2009 年度(前期) 円谷 昭一先生 2009 年 8 月 11 日 会計学総論 分析企業:倉敷機械株式会社 経済学部 1年 学籍番号: 09EC425 氏名: 金 智叡(キム ジエ) 会計学総論 倉敷機械株式会社 はじめに 目次 序 企業紹介 本 結 ファンダメンタル分析 1、安全性分析 2、収益性分析 3、効率性分析 4、成長性分析 両社企業の総評 (現状、問題点と対策) 参考文献及びウエブサイト 1 会計学総論 倉敷機械株式会社 当レポートは倉敷機械株式会社のファンダメンタル分析を目的にする。競争社は 株式会社ヤマダコーポレーションとし、比較しながら分析していく。 両社が東証 2 部に属し、決算期が 3 月末、業種が機械、従業員が 300 名内外 (倉敷機械:285 名、ヤマダコーポ:327 名)であるなど、共通点があるため、 株式会社ヤマダコーポレーションを比較企業とした。数値は決算期の 3 月の連結 貸借対照表、連結損益計算書の数値を用いた。 企業紹介 倉敷機械株式会社 設立:1949 年 8 月 31 日 市場名: 東証 2 部、 代表者: 藤川 資本金 明夫 上場: 9 億 5,400 万円 業種分類: 1961 年 10 月 機械 大証 2 部 証券コード: 決算期: 発行済株式数: 3 月 20 日 6211 従業員数: 従業員 285 名(内、 平均年齢: 女 38 名) 16、000 千株 平均年収: 40 才 2 4,810 千円 会計学総論 倉敷機械株式会社 未来に向けて共に発展します 経営理念 活発な企業展開を通して、お客様をはじめ全ての 人々を共に発展します。 確かな価値を創造します お客様のニーズにマッチした確かな価値をスピーディに創造し、未来に向けて共有します。 社会に貢献します 地域とのネットワ1ークを大切にし、人と環境に優しい企業づくりを心がけ、社会に貢献します。 チャレンジスピリッツで躍進します チャレンジスピリッツで未来に挑戦し、新技術・新分野に向かって躍進を続けます。 1949 年 1951 年 1960 年 1961 年 1963 年 1970 年 1981 年 1982 年 1983 年 1985 年 1990 年 1992 年 1994 年 1999 年 2005 年 2006 年 2007 年 2008 年 2009 年 1938 年 工作機械のお製造を目的とし、日本重工業株式会 社を設立 <資本金 100 万円> 出資:倉敷紡績株式会社 1944 年 倉敷紡績株式会社 北越製作所となる 企業再建設備法により倉敷機械工業株式会社を設立<資本金 5,000 万円> 倉敷機械株式会社に改称 1 億円に増資 2 億 5,000 万円に増資 3 億 5,000 万円に増資 5 億円に増資 クラキ・アメリカコーポレーションを設立 6 億円に増資 6 億 6.000 万円に増資 組立工場増設(第 5 工場) テクノセンター完成 機械工場FMSライン設置 9 億 5,400 万円に増資 ISO9001 取得 福山営業所を開設 中国現地法人 上海倉機商貿有限公司を設立 組立工場増設(第 8 工場) 北九州出張所を開設。ドイツ駐在員事務所を設立 アフターサービス部門を分析化 クラキサービス株式会社を設立 沿革 3 会計学総論 製品 倉敷機械株式会社 工作機械 テーブル型 CNC 横中ぐりフライス盤→ ← 高 速 型 CNC 横 中 ぐりフライス盤 ←複合フライス盤 ←ガンドリルマシン 5 軸プロファイラー→ 産業機械 ←内径精密加工専用機 情報機器 CAD,CAM,CAE,管理ソフト CAD→ 機械オプション→ ←金型オプション 解析オプション→ 4 会計学総論 倉敷機械株式会社 株式会社ヤマダコーポレーション 設立:1939 年 12 月 20 日 市場名: 設立代表者: 山田 豊雄 上場: 東証 2 部 証券コード: 6392 従業員数: 327 名 資本金: 6 億円 業種: 1962 年 9 月 決算期: 機械 発行済株式数: 3 月末 平均年齢: 35 才 12、000 千株 平均年収: 5,260 千円 企理念業 あらゆるニーズに応えるポンプと 人と地球に優しい環境機器で社会に貢献する 5 会計学総論 沿革 1923 年 1939 年 1947 年 1962 年 1963 年 1969 年 1986 年 1990 年 1996 年 2003 年 2004 年 2005 年 2007 年 倉敷機械株式会社 1905 年 故山田重次郎が東京都芝区(現港区)新堀町に 工場を設け、バルブ及びコック類の製造を開始 故山田正太郎が同工場を継承し、グリースポンプの製造に着手 (株)東京山田油機製作所(資本金 18 万円)に改組 商号を山田油機製造株式会社に改称 本社を大田区馬込東 4 丁目(現所在地)に移転(5 月) 東京証券取引市場第二部に上場する(9 月) 神奈川県相模原市に主力工場として新工場建設 資本金を 6 億円に増資 オランダに YAMADA EUROPE B.V.を設立(6 月) アメリカに YAMADA AMERICA,INC.を設立(11 月) シンボルマークを「ヤマダのポンプ」から に変更(3 月) 商号を株式会社ヤマダコーポレーションに変更(10 月) ISO9001 の認証を取得する ISO4001 の認証を取得する EC 指令規格の適合を宣言する 創業 100 年となる 中国にヤマダ(上海)ポンプ貿易有限公司を設立 製品 インダストリアル インダストリアル レジプロポンプ→ ←ダイアフラムポンプ 自動定量化・移送システム 6 会計学総論 倉敷機械株式会社 オートモティブ ルブリケーソン機器→ ←カーサービス機器 コントロール機器→ 環境機器 排気ガス排出 ・浄化システム→ ハイバキュームシステム フロンガス関連機器→ 7 会計学総論 倉敷機械株式会社 ファンダメンタル分析 流動比率、当座比率、自己資本比率、負債比率、 固定比率、固定長期適合率 安全性 流動比率 250% 200% 150% 100% 2005 2006 倉敷機械 113% 127% ヤマダコーポ 197% 185% 2007 2008 2009 132% 136% 159% 204% 221% 172% 倉敷機械 流動比率は 200%を超えるのが 理想的だが、倉敷機械はそれに全 業界平均 0% 然近づいていない。しかし、だん 2005 2006 2007 2008 2009 だん良くなってくる傾向である。 一方、ヤマダコーポはほぼ 200%を維持してきたが、今年の流動比率が非常に下がっ たことが目立つ。 50% ヤマダコーポ 当座比率 2005 2006 倉敷機械 80% 89% ヤマダコーポ 100% 117% 115% 2007 2008 2009 80% 85% 94% 101% 60% 122% 130% 86% 140% 120% 当座比率は 100%を超えるのが理 ヤマダコーポ 想的だ。倉敷機械は今まで 100%超 20% えなかったが、今年 101%を達成し 0% た。ヤマダコーポは 100%を相当超 2005 2006 2007 2008 2009 えるいい数値を維持してきたが、今 年 86%に下がる。このままなら、銀行からの貸し出しは難しくなるだろう。すぐ、現 金化できる資産がかなり減ったことがわかる。 40% 倉敷機械 8 会計学総論 倉敷機械株式会社 自己資本比率 50% 2005 2006 倉敷機械 23% 29% ヤマダコーポ 42% 38% 2007 2008 2009 37% 36% 43% 42% 46% 47% 45% 40% 35% 30% 25% 20% 倉敷機械 15% ヤマダコーポ 10% 業界平均 倉敷機械は 2005 年よりかなり 自己資本比率が増えた。これは持続 的な資本金の増額があったからだと 思う。2009 年にはほぼ業界平均値ま で来ている。ヤマダコーポの自己資 5% 0% 2005 2006 2007 2008 2009 本率は平均値より高いと言える。 負債比率 350% 2005 年の倉敷機械の 負債比率はとても高い。 ヤマダコーポ 250% 機械業の中では資本 業界平均 200% 金が少ない方なので、 2005 年福山営業所の 150% 設立費用のため、負債を 100% 増やさざるをえなかっ 50% たと思う。 0% しかし、負債を増やし 2005 2006 2007 2008 2009 ても、貸出などの利子よ り多い利益が上げられるなら、最終的には純利益の増加につながる。 300% 倉敷機械 2005 2006 2007 2008 2009 倉敷機械 326% 240% 170% 171% 130% ヤマダコーポ 136% 138% 124% 114% 109% 2005 年から急な負債率の減少がみられるが、これは施設投資分の資金が還元された からだと思う。実際に連結貸借対照表を見ると短期借入金と長期借入金の減少がみら れる。 ヤマダコーポの負債比率は最近何年間、大きな変化は見られない。少し下がってい 9 倉敷機械株式会社 会計学総論 く傾向にあるが、ほぼ業界平均値を維持しているといえる。 高い負債比率がずっと続くのは安全性を疑われるが、施設投資をした後の何年間は 負債比率が高くても問題ないだろう。 固定比率 250% 倉敷機械 200% 150% 2005 2006 ヤマダコーポ 倉敷機械 200% 145% 業界平均 ヤマダコーポ 90% 110% 2007 2008 2009 122% 128% 106% 101% 100% 102% 100% 50% 固定比率は 100%以下であるこ とが理想的である。しかし、機械 2005 2006 2007 2008 2009 業はほかの業種と比べ、機械装置 などの割合が高いため、固定比率も高くなるだろう。 したがって、業界平均値も 90%くらいだ。しかし、倉敷機械の 2005 年の数値は業 界平均を相当上回る危険な数値だ。だんだんよくなって 2009 年はかなり下がったこと がわかる。両社企業とも理想の 100%以下にはなってないが、業種平均値を考えたら、 まま大丈夫だといえる。 0% 固定長期適合率 100% 2005 2006 倉敷機械 88% 77% ヤマダコーポ 55% 69% 60% 2007 2008 2009 50% 77% 77% 69% 61% 61% 69% 90% 80% 70% 40% 30% 倉敷機械 固定長期適合率は 100%が理想的だ。 倉敷機械は固定長期適合率が減少 10% していく傾向にあるが、ヤマダコーポ 0% は 2009 年数値が上がった。しかし、 2005 2006 2007 2008 2009 両社企業とも 100%よりずいぶん下 回るので、固定長期適合率でみた安全性は確保されているといえる。 20% ヤマダコーポ 10 会計学総論 倉敷機械株式会社 インタレスト・カバレッジ・レシオ(ICR)(倍) 30 2005 2006 倉敷機械 10 倍 21 倍 ヤマダコーポ 15 倍 21 倍 2007 2008 2009 倉敷機械 27 倍 28 倍 28 倍 ヤマダコーポ 15 倍 8倍 0.6 倍 25 20 15 10 ICR はどのくらい支払い利息がカ バーできるかを示す指標である。 高ければ高いほどよいといえる。 倉敷機械は 2005 年、平均値を下回 ったが、だんだん ICR 数値が上がっ 業界平均 5 0 2005 2006 2007 2008 2009 てきて現在は業界平均値を上回っている。 一方、ヤマダコーポは 2006 年から ICR 数値が急に下がってきた。2009 年は 0.6 倍 で、返済能力が乏しくなったといえる。安全性に問題があると思う。 売上高利益率(ROS; 売上総利益率 ) 売上高利益率(ROS;営業利益) 総資産利益率(ROA;営業利益) 自己資本利益率(ROE) 収益性 売上高利益率(ROS; 売上総利益率 ) 45% 2005 2006 倉敷機械 32% 33% ヤマダコーポ 33% 35% 2007 2008 2009 倉敷機械 34% 32% 30% ヤマダコーポ 39% 36% 35% 40% 35% 30% 25% 20% 15% 10% 業界平均 機械業の売上高利益率の平均値は 5%でかなり低い。しかし、両社企業 0% は 30%台の売上高利益率を維持して 2005 2006 2007 2008 2009 いる。両社企業の製品は付加価値が高 く、いい価格で売られていると思う。したがって、売上高利益率(売上総利益)から みた収益性は両社企業ともよいといえる 5% 11 会計学総論 倉敷機械株式会社 売上高利益率(ROS;営業利益) 25% 倉敷機械は 2007 年から売上 高利益率が下がっているが、 20% まだ業種平均値より上回っ ているため、収益性があると 15% 倉敷機械 いえる。 ヤマダコーポ 一方、ヤマダコーポは 2007 10% 業界平均 年から売上高利益率が急に 5% 下がってきた。今年は営業利 益が急低下し、売上高利益率 0% (営業利益)がゼロに近くな 2005 2006 2007 2008 2009 った。 販売業務をは 2005 2006 2007 2008 2009 じめ無駄な支出 倉敷機械 16% 19% 20% 18% 16% が多かったと思 ヤマダコーポ 5% 7% 8% 6% 0.3% われる。企業の 営業利益がこのように急低下するのは大変問題があると思う。管理費などが還元でき る収益性ある製品の開発も考えるべきだ。 総資産利益率(ROA;営業利益) 16% 14% 12% 10% 8% 6% 倉敷機械 4% ヤマダコーポ 業界平均 2% 0% 2005 2006 2007 2008 2009 2005 2006 2007 2008 倉敷機械 13% 15% 14% 12% ヤマダコーポ 5% 6% 7% 5% 対策が要求される。 12 倉敷機械の総資産利益率 は 2006 年に比べ、少し下が ったが、業種の平均値よりは 数値が高い。 総資産利益率からみた効 率性には問題ないといえる。 一方、ヤマダコーポはずっ と前から総資産利益率が業 種平均値より下回っていた。 今年は営業利益が非常に下 がったので、総資産利益率 もゼロに近く 2009 なる。 12% 収益性を上げ 0.2% るための至急な 会計学総論 倉敷機械株式会社 自己資本利益率(ROE) 50% 2005 2006 倉敷機械 43% 28% ヤマダコーポ 7% 8% 30% 2007 2008 2009 25% 25% 17% 16% 4% 4% ▲2% 45% 倉敷機械 40% ヤマダコーポ 35% 業界平均 20% 15% 倉敷機械は 2005 年の収益性が かなりよかったが、最近何年間収 益が減少していく傾向にある。 しかし、まだ業種平均値を上回 っているため、収益性が悪いとは 10% 5% 0% 2005 2006 2007 2008 2009 いえないだろう。 一方、ヤマダコーポの自己資本利益率は前からずっと業種平均値を下回っていたが、 今年当期純利益がマイナスになり、自己資本利益率がマイナスに陥った。収益性に問 題があるといえる。 総資産回転率、有形固定資産回転率 棚卸資産回転率、売上債権回転率 効率性 総資産回転率(回) 1 0.9 2005 2006 0.8 倉敷機械 0.7 回 0.7 回 0.7 ヤマダコーポ 0.9 回 0.8 回 2007 2008 2009 0.7 回 0.6 回 0.7 回 0.8 回 0.8 回 0.8 回 0.6 0.5 0.4 倉敷機械 0.3 ヤマダコーポ 0.2 業界平均 両社企業とも総資産回転率が業 種平均値以下であるので、効率性は 0.1 よくないと思う。部品などの在庫が 0 必要以上増えないように、資源を効 2005 2006 2007 2008 2009 率性よく配分する必要がある。 また、使っていない機械装置などが多いのも予想される。 13 会計学総論 倉敷機械株式会社 有形固定資産回転率(回) 4.5 2005 年 2006 年 倉敷機械 1.6 回 1.9 回 ヤマダコーポ 3.9 回 2.8 回 2007 年 2008 年 2009 年 1.7 回 1.5 回 1.7 回 2.5 回 2.4 回 2.1 回 倉敷機械 4 3.5 ヤマダコー ポ 3 2.5 2 1.5 1 有形小手資産回転率は高ければ高 いほどよい。機械業はほかの業種と 0 比べ、工具器具備品などの割合が高 2005 2006 2007 2008 2009 いため、有形固定資産回転率が高く なるのは難しいと思う。 特に両社企業とも保守、アフターサービス業務も行ってい るので固定有形資産自体の多いことが予想される。したがって、有形固定資産からみ た回転率はよくない。 0.5 棚卸資産回転率(回) 6 5 4 3 2 倉敷機械 1 ヤマダコーポ 2006 2007 2008 2006 年 倉敷機械 5.4 回 5.1 回 ヤマダコーポ 4.0 回 4.2 回 2007 年 2008 年 2009 年 4.2 回 4.6 回 4.2 回 4.1 回 4.4 回 3.4 回 業種平均値は 68 回である。 両社企業とも棚卸資産回転率がよ くない。業種平均値が 68 回なのに両 社は 6 回までも行ってない。さらに、 0 2005 2005 年 2009 棚卸資産回転率が下がる傾向である。 在庫の増えたことが予想される。在庫は管理するにも費用がかかるため、徹底的な 管理が必要だ。資源の適切な分配が行われるなら在庫が減り、生産費用や管理費用も 減らせるだろう。また、資金をほかのところへ回すこともできる。したがって、両社 企業は棚卸資産(主に在庫品)の管理を見直すべきである。 14 会計学総論 倉敷機械株式会社 売上債権回転率(回) 6 2005 2006 5 倉敷機械 3.1 回 3.1 回 4 ヤマダコーポ 4.4 回 4.8 回 3 2007 2008 2009 3.2 回 3.4 回 3.1 回 4.2 回 4.6 回 5.7 回 2 倉敷機械 業種平均値は 96 回である。 両社企業は売上債権回転率におい 0 ても業種平均値と比べ、顕著に低い数 2005 2006 2007 2008 2009 値を示している。 ヤマダコーポの数値が 2007 年から上がる傾向にあるが、業種平均値を考えたら大き な変化だとは思わない。 このグラフから両社企業が売上債権(受取手形または売掛金)をたくさん持ってい ることがわかる。資金を効率よく使っていないといえるだろう。 1 ヤマダコーポ 成長性 営業利益、当期純利益、経常利益 営業利益(百万円) 1600 1400 2005 2006 1200 倉敷機械 1,035 1,337 1000 ヤマダコーポ 489 702 2007 2008 2009 1,394 1,352 1,369 877 630 25 800 600 倉敷機械 400 200 単位は百万円である 倉敷機械の営業利益はゆっくりだが、 伸びる傾向にある。会社の成長までで はないが、今の状態を維持することが ヤマダコーポ 0 2005 2006 2007 2008 2009 できるといえる。 15 会計学総論 倉敷機械株式会社 一方、ヤマダコーポの営業利益は 2007 年から大幅に減少してきた。今年決算期の 営業利益が 2 千 5 百万円で、このままなら企業の存続もあやうくなるだろう。 当期純利益(百万円) 1000 800 600 倉敷機械 400 ヤマダコーポ 200 2005 2006 倉敷機械 803 736 ヤマダコーポ 275 341 2007 2008 2009 889 692 749 243 218 ▲142 0 -200 2005 2006 2007 2008 2009 単位は百万円である 倉敷機械はある程度の純利益を出 している。しかし、企業の成長まで は期待できない。 ヤマダコーポの当期純利益はずっと下がる傾向があり、今年はマイナスに陥った。 企業の成長はともかく、今は企業存続のための対策を考えるべきであろう。 経常利益(百万円) 1400 2005 2006 倉敷機械 957 1,262 ヤマダコーポ 444 678 2007 2008 2009 600 1,295 1,219 1,268 400 782 580 ▲33 1200 1000 800 倉敷機械 ヤマダコーポ 200 単位は百万円である 0 倉敷機械は経常利益が上がる傾向 -200 2005 2006 2007 2008 2009 にある。経常利益でみると成長性が あるといえる。 一方、ヤマダコーポは 2007 年から経常利益が下落し、今年はマイナスになった。経 常損失の企業には成長性があるとはいえない。現在のあやうい状況を克服するための 至急な対策が必要である。 16 会計学総論 倉敷機械の成長性 倉敷機械株式会社 ヤマダコーポの成長性 1,400 1,200 1,000 800 600 400 200 0 1,000 800 600 400 200 2005 2006 2007 2008 2009 営業利益 当期純利益 0 -200 経常利益 2005 営業利益 2006 2007 当期純利益 2008 2009 経常利益 倉敷機械は今年、去年と比べ、成長性に関する数値が少し下がっているが、利益が 安定していて、技術開発と在庫管理などを通す成長が可能だと思う。 ヤマダコーポは 2007 年以後、成長性に関する数値が急に下がっている。今年は当期 純利益がマイナスで、経常損失になっている。財務能力を回復するために、在庫管理、 労働力管理などに力をいれるべきだ。 両社企業の総評(現状、問題点と対策) 去年 9 月以降、世界的金融危機によって世界同時不況に陥り、機械産業はその影 響を強く受けたと思う。不況の場合、支出が減少することを予想し、生産を減らすた め、設備投資を行う企業が少なくなる。したがって、設備に必要な製品を生産・販売・ 保守する両社企業の業績が伸びないのも当然であろう。それが今年の収益性の悪化し た理由だと思う。 倉敷機械は国内とアジアでの業績は少し落ち込んだが、北米、欧州を中心に業績が 好調に推移したそうだ。また、国内では、情報機器事業が低調だったが、主力の横中 ぐりフライス盤が好調であったため、収益性は業種別平均値でみたらいい方だ。収益 性を上げるためには、独自の技術開発が重要なことは言うまでもないだろう。 ヤマダコーポは最近何年間収益性が低調で、今年は営業利益の大幅な減少により、 売上高利益率と総資産利益率はほぼゼロである。 ところで、いくら不況といっても企業は利益を出さなければならない。厳しい状況 を認識し、徹底的な在庫管理、労働力管理に力を入れるべきだったと思う。しかし、 両社企業とも効率性もよくない。特に、ヤマダコーポの年収平均は気になる。倉敷機 械と比べ、平均年齢は 5 才少ない(ヤマダコーポ:35 才、倉敷機械:40 才)のに平 17 会計学総論 倉敷機械株式会社 均年収が相当高い。(ヤマダコーポ:5,260 千円、倉敷機械:4,810 千円)従業員にそ れらの能力以上の給料を与えていないか見直す必要がある。これ以外にも、販売業務 などにおいて、無駄な支出が多かったため、今年の営業利益や当期純利益がマイナス になっただろう。 倉敷機械も効率性がよくないが、売上高が伸びたため、営業利益や当期純利益がマ イナスにはならなかった。効率性を上げれば、利益をもっと出せるのにおしいところ である。 安全性においては両社企業とも流動比率と当座比率が理想地を満たないため、よく ないといえる。特に今年、ヤマダコーポのインタレスト・カバレッジ・レシオの数値 は非常に危うい。 成長性は両社企業とも期待できない。ヤマダコーポは企業の存続も危ういではない かと思った。倉敷機械はかなりいい技術を持っているし、機械業の販売不振(倉敷機 械の報告によると工作機械業界の間近の受注額は前年の 8 割減だそうだ)のなかで売 上高を伸ばしているため、効率性を上げれば、成長が期待できる。 両社企業とも最大の課題は効率性を上げることに違いない。 参考文献及びウエブサイト 円谷昭一 『会計・簿記講義資料集』、2009 年 倉敷機械株式会社のホームページ http://www.kuraki.co.jp/ 株式会社 ヤマダコーポレーションのホームページ http://www.yamadacorp.co.jp/company.html 野村證券のホームページ http://www.nomura.co.jp/ 開示 Net Internet Disclosure http://kaijinet2.esper-search.com/discl/ 18
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