1-16 - OCN

1. 創 始 者 ポール・ハリス(ロータリー創 立 当 時 まで)
(2005 年 6 月 28 日 現 在 )
ポール・ハリスは 1868 年 4 月 19 日 、ミシガン湖 畔 にあるラシーンという町 に生 ま
れました。父 ジョージは社 交 的 な性 格 でしたが経 済 観 念 に乏 しく、祖 父 の援 助 で開
業 したドラッグストアも倒 産 に追 い込 まれて 1871 年 に一 家 は離 散 し、3歳 のポール
はバーモント州 、ウォーリングフォードの谷 間 にある父 方 の祖 父 母 の家 に預 けられ
ました。ポールは、厳 格 でありながら愛 情 に満 ちた祖 父 母 のもとで成 長 し、ここで誠
実 、質 素 、寛 容 、無 私 という精 神 を身 に付 けました。この少 年 時 代 の体 験 がポール
のバックボーンを形 成 して、ロータリーの理 念 に大 きな影 響 を与 えることになります。
少 年 時 代 のポールは悪 戯 好 きで冒 険 心 に富 み、退 学 処 分 を受 けたりもしました
が、やがて教 育 熱 心 な祖 父 の期 待 に応 えて天 性 の素 質 を開 花 させ、名 門 校 プリン
ストン大 学 に入 学 しました。しかし、翌 年 祖 父 が死 去 したためにプリンストン大 学 を
去 り、1年 間 働 いてから祖 母 の希 望 に従 い、弁 護 士 になるためにアイオワ州 立 大 学
に入 学 して、1891 年 に法 学 部 を卒 業 しました。
その後 、5年 間 の放 浪 生 活 で人 生 を学 び、また勤 務 先 では引 き留 められました
が、経 済 的 理 由 からではなく「本 当 の人 生 を生 きるために」シカゴに落 ち着 く決 心 を
して、1896 年 に法 律 事 務 所 を開 きました。シカゴの街 で親 友 のない淋 しさに耐 えら
れなかったポールは、ある晩 仲 間 の弁 護 士 と郊 外 を一 緒 に散 歩 した時 に、その弁
護 士 が付 近 の商 店 主 たちと親 しく挨 拶 を交 わすのを目 撃 して、故 郷 ウォーリングフ
ォードの生 活 を思 い出 し、「実 業 家 が友 人 関 係 を築 き、同 時 に仕 事 の取 引 も出 来
るクラブ」を作 ることを思 い付 いたといわれます。彼 は後 年 、「ある意 味 では、ロータリ
ーは故 郷 の谷 間 から生 まれました」と書 いています。
この着 想 を数 年 間 温 めていたポールは、1905 年 2 月 23 日 、3人 の若 い実 業 家
を誘 い、お互 いに故 郷 の村 で経 験 したような助 け合 いを推 進 し、親 睦 を深 める方
法 についての彼 の計 画 を打 ち明 け、全 員 賛 成 のもとにロータリー・クラブを創 立 す
ることになります。こうして「相 互 扶 助 」と「親 睦 」からスタートしたロータリーでしたが、
それに飽 きたらなくなった会 員 たちによって、「奉 仕 」の概 念 がロータリーに導 入 さ
れるようになりました。その時 、古 参 会 員 たちの反 発 もあった中 で、ポール・ハリスは
新 しい会 員 たちの側 に立 って、そうした奉 仕 の概 念 を採 り入 れ、今 日 のロータリー
の基 礎 を固 めました。
第 二 期 クラブ強 化 推 進 委 員 会
2. ポール・ハリス放 浪 の旅
(2005 年 6 月 28 日 現 在 )
ポール・ハリスは1891年 、23歳 でアイオワ大 学 を卒 業 し、法 学 の学 位 を取 得 しま
した。その時 、同 期 の多 くの仲 間 は弁 護 士 として開 業 をしました。しかし、ポールは
大 学 の講 師 が「まず小 さな町 に行 って5年 位 、愉 快 に過 ごし、その後 に弁 護 士 開
業 をすべきだ」と述 べたことに従 いました。ポールはお金 がないので、アルバイトをし
ながら5年 間 をかけて、アメリカの各 地 だけでなく、外 国 も見 てこようと決 心 しました。
まず西 部 に向 かい、どんな仕 事 でも引 き受 け、山 でも荒 野 でも分 け入 り、長 距 離
を歩 き通 し、貧 困 のどん底 の時 には野 宿 をしたり、大 都 市 の通 りをほっつき歩 くこと
もありました。時 には飢 餓 状 態 に陥 り、窮 乏 生 活 を味 わう日 々もありました。サンフラ
ンシスコでは地 方 の新 聞 社 のフリー・ランサー(自 由 契 約 記 者 )になりました。もちろ
んサンフランシスコにはベテラン記 者 があふれていたのですが、ポールにはニュース
に対 する嗅 覚 があり、すぐれた文 章 スタイルだったということです。
一 時 、マラリアにかかり、休 養 をとらざるを得 ませんでした。その後 、南 部 諸 州 で
はピープルブ劇 場 で役 者 をしたり、カウボーイになったり、新 聞 記 者 をしたり、ホテ
ルの夜 勤 事 務 員 になったり、農 作 業 もしました。心 配 した友 人 からは「頭 が変 にな
ったのではないか」という手 紙 さえきました。比 較 的 長 く勤 めたのは大 理 石 のセール
スでした。1893年 には首 都 ワシントンで臨 時 記 者 もしています。フィラデルフィアで
は新 聞 の求 人 広 告 を見 て、イギリス船 籍 バルチモア号 の家 畜 係 になってイギリスに
渡 りました。
家 畜 係 なので労 働 条 件 は非 常 に悪 く、他 の乗 組 員 には荒 くれ男 もいました。し
かし、それに負 けることなく、後 には船 員 を監 督 する副 主 任 としてイギリスに再 び行
っています。その後 1896年 にハリスは失 業 者 のあふれていたシカゴに定 住 して、
放 浪 は終 わります。
ロータリーの創 立 者 としてのハリスの生 涯 を振 返 ってみると、この放 浪 は決 してむ
だな5年 間 ではなかったと考 えられます。この5年 間 の体 験 によって、ハリスは祖 父
母 から教 わった人 間 の尊 厳 というものが、いかに尊 いかという認 識 を深 めました。ま
た、この体 験 を通 して、世 の中 の多 様 性 への洞 察 力 を得 ました。
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3. ロータリーの概 要
(2005 年 6 月 28 日 現 在 )
不 況 で荒 れすさんだシカゴで、あたたかい人 間 関 係 を求 めていた青 年 弁 護 士 ポ
ール・ハリスが3人 の仲 間 と共 に、最 初 の会 合 を持 ったのが1905年 2月 23日 でし
た。丁 度 今 から100年 前 になります。 この4人 は互 いの事 務 所 で「輪 番 」に会 合 を
開 きました。当 初 の目 的 は親 睦 と相 互 扶 助 でした。この4人 のグル ープの名 称 を
「ロータリー」と、会 員 を「ロータリアン」と呼 びました。新 たなメンバーが加 わり、正 式
にシカゴ・ロータリー・クラブを組 織 しました。しかし、多 忙 な職 業 人 が毎 週 集 まるた
めには目 的 に職 業 奉 仕 と、恵 まれない人 々への援 助 も加 えられました。
それが初 期 ロータリアンの努 力 の成 果 として、「超 我 の奉 仕 」と「最 もよく奉 仕 する
者 、最 も多 く報 いられると」という標 語 にまとめられました。 クラブ数 が多 くなるにつ
れて、ロータリー・クラブ全 米 連 合 会 、ロータリー・クラブ国 際 連 合 体 、そして国 際 ロ
ータリーと発 展 してきました。国 際 ロータリーの第 一 の目 的 はロータリーの綱 領 を推
進 するために世 界 中 のクラブを支 援 することです。 ロータリーの奉 仕 を導 く羅 針 盤
として「ロータリーの綱 領 」が作 られています。
奉 仕 はクラブ奉 仕 、職 業 奉 仕 、社 会 奉 仕 と国 際 奉 仕 に分 離 されます。クラブ奉
仕 は土 台 となり、親 睦 、例 会 、ロータリー情 報 や広 報 、会 員 増 強 などです。職 業 奉
仕 は「四 つのテスト」を実 行 し、倫 理 向 上 に努 めています。社 会 奉 仕 は地 域 のニー
ズに応 じ、国 際 奉 仕 は国 際 理 解 と平 和 を求 めたものです。 ロータリー財 団 の使 命
は地 域 レベル、全 国 レベル、国 際 レベルの人 道 的 、教 育 的 、文 化 交 流 プログラム
を通 じてロータリーの綱 領 と使 命 を実 行 するものです。
国 際 ロータリーの立 法 機 関 としては3年 毎 に規 定 審 議 会 が民 主 的 に開 催 されま
す。その決 定 は「手 続 要 覧 」に記 されます。ロータリー・クラブは2004年 12 月 末 現
在 で世 界 の166カ国 にクラブ数 32,176、会 員 総 数 は約 121万 人 です。2005 年 6
月 現 在 、世 界 のロータリー国 数 は 2 カ国 増 えて 168 カ国 になりました。
日 本 では 2005 年 2 月 末 現 在 クラブ数 は 2,329、会 員 数 はおよそ 103,591 人 で
す。これは世 界 の会 員 数 の8.5%になります。女 性 会 員 数 は世 界 で既 に 15 万 人
を超 え総 会 員 数 の 12.5%を占 めています。女 性 のガバナーも世 界 で 66 人 と増 加 し、
まもなく女 性 の RI 理 事 や会 長 も夢 ではなくなりました。時 代 の変 化 と共 に多 様 性 が
求 められています。
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4. クラブ定 款 と細 則
(2005 年 6 月 28 日 現 在 )
RI に加 盟 するに当 たって、ロータリー・クラブはクラブ定 款 として標 準 ロータリー・ク
ラブ定 款 を採 択 しなければなりません。クラブ細 則 については、推 奨 ロータリー・クラ
ブ細 則 が推 奨 されていますが、クラブ定 款 および国 際 ロータリーの定 款 、細 則 と矛
盾 しない限 り、クラブ自 身 の事 情 に応 じて変 更 することができます。もし疑 問 がある
場 合 は、その変 更 案 を RI 事 務 総 長 に提 出 して RI 理 事 会 の審 議 を乞 わなければな
りません。
しかし、1922 年 ロサンゼルス国 際 大 会 で、「今 後 RI に加 盟 するすべてのクラブは
『標 準 ロータリー・クラブ定 款 』を採 用 しなければならない」と決 定 されましたので、
1922 年 6 月 6 日 より前 に RI に加 盟 したクラブおよび RI 試 験 的 プロジェクトに参 加
しているクラブは、そのクラブ独 自 の標 準 ロータリー・クラブ定 款 および RI 細 則 の下
に運 営 する資 格 を有 することとなっています。
クラブ定 款 は、クラブの名 称 、クラブの所 在 地 域 が明 記 され、ロータリーの綱 領 を
全 面 的 に受 け入 れることなどが定 められています。またクラブ例 会 、会 員 身 分 、職
業 分 類 、出 席 、クラブ理 事 会 の構 成 と役 割 、入 会 金 および会 費 などの支 払 い義 務
についても決 められています。更 に、また、クラブ定 款 には会 員 である義 務 として、
ロータリー雑 誌 の購 読 、綱 領 の受 諾 とクラブ定 款 ・細 則 の遵 守 、仲 介 及 び調 停 、地
域 社 会 ・国 家 および国 際 問 題 などについての規 定 も含 まれています。
推 奨 ロータリー・クラブ細 則 は、上 述 したとおり、そのまま採 用 するよう義 務 づけら
れるものではありませんが、クラブ理 事 および役 員 の選 挙 、理 事 会 、役 員 の任 務 、
会 合 、入 会 金 および会 費 、裁 決 の方 法 、委 員 会 の構 成 と任 務 、財 務 、会 員 選 挙
の方 法 、決 議 、議 事 の順 序 並 びに改 正 などが詳 しく決 められています。
ロータリー・クラブは、その管 理 主 体 はクラブ理 事 会 でありますが、RI 加 盟 クラブ
として、綱 領 を遵 守 し、クラブ定 款 ・細 則 に則 って運 営 されるものであり、クラブ会 員
は入 会 金 と会 費 を支 払 うことによって、綱 領 の中 に示 されたロータリーの原 則 を受
諾 し、クラブの定 款 ・細 則 に従 い、その規 定 を遵 守 しなければなりません。
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5. クラブへの入 会
(2005 年 6 月 28 日 現 在 )
会 員 を増 強 して奉 仕 の仲 間 を増 やすためにも、クラブ入 会 の手 続 をよく知 って頂
く必 要 があります。新 会 員 の入 会 には、クラブ正 会 員 からの書 面 による推 薦 が必 要
ですが、他 クラブからの移 籍 会 員 や、他 クラブでの元 会 員 は元 クラブからの推 薦 で
もよいことになっています。素 質 のよい会 員 を迎 えるには、クラブ細 則 に定 められた
各 段 階 を忠 実 に守 ることが大 切 です。推 奨 クラブ細 則 に従 って入 会 手 続 を簡 単 に
説 明 しましょう。
1.何 よりも、日 頃 から未 充 填 職 業 分 類 を念 頭 に置 いて、入 会 候 補 者 の物 色 を心
掛 けることが肝 要 ですが、推 薦 人 として責 任 の持 てる候 補 者 以 外 は絶 対 に推 薦 し
ないことが鉄 則 です。正 会 員 が被 推 薦 者 の氏 名 を、クラブ幹 事 を通 じて、書 面 をも
って理 事 会 に提 出 します。候 補 者 の方 から入 会 を希 望 してきた場 合 を除 いて、第 4
段 階 までは候 補 者 には機 密 に事 を運 ばなければなりません。
2.理 事 会 は被 推 薦 者 がクラブ定 款 の職 業 分 類 と会 員 資 格 の条 件 を満 たしている
ことを確 認 します。この際 、クラブ理 事 会 は会 員 選 考 ・職 業 分 類 委 員 会 から審 査 報
告 を受 けるのもよいでしょう。
3.理 事 会 は推 薦 状 の提 出 後 、30日 以 内 に承 認 ・不 承 認 を決 定 し、クラブ幹 事 を
通 じて推 薦 人 に通 告 します。
4.理 事 会 の決 定 が肯 定 的 であった場 合 は、被 推 薦 者 にロータリーの目 的 や会 員
の特 典 と義 務 について説 明 します。この説 明 の後 で、被 推 薦 者 が会 員 申 込 用 紙
に署 名 し、その氏 名 と職 業 分 類 をクラブに発 表 することの承 諾 を求 めます。
5.被 推 薦 者 の発 表 後 、7日 以 内 に書 面 による異 議 申 し立 てがなければ、入 会 金
を納 めることにより会 員 になります。異 議 申 し立 てがあっても、次 の理 事 会 の票 決 で
入 会 が承 認 されれば、入 会 金 の納 付 により会 員 となります。
6.感 動 的 な新 会 員 の入 会 式 と、オリエンテーションを行 い、会 員 証 を発 行 してRI
に報 告 します。
最 も重 要 なことは、新 会 員 がクラブに溶 け込 めるように最 大 の努 力 をすることであ
り、会 長 は新 会 員 を援 助 する会 員 1名 を指 名 し、新 会 員 をクラブ・プロジェクトや行
事 に参 加 するよう勧 めます。入 会 後 間 もない時 期 の新 会 員 に対 するきめ細 かな配
慮 が、将 来 の退 会 防 止 に大 きく役 立 つでしょう。
第 二 期 クラブ強 化 推 進 委 員 会
6. ロータリー・クラブ会 長
(2005 年 6 月 28 日 現 在 )
国 際 ロータリー(Rotary International、以 下 RI)は、RI定 款 およびRI細 則 に従 っ
て結 成 された現 に存 在 するロータリー・クラブ(以 下 、クラブ)によって構 成 されてい
ます。クラブの理 事 会 はクラブの管 理 主 体 です。クラブ会 長 は、クラブを代 表 すると
同 時 にクラブ運 営 管 理 の責 任 があります。クラブ会 長 、各 役 員 および各 理 事 は、い
ずれも、本 クラブの瑕 疵 なき会 員 でなければなりません。クラブ会 長 は、クラブ全 体
を指 導 する能 力 を持 ち、かつ、会 員 の尊 敬 と信 頼 を有 する者 となっています。
そして、会 長 エレクト研 修 セミナー(PETS)と地 区 協 議 会 (地 区 協 )に会 長 エレ
クトとして必 ず出 席 し、かつ、いつでもクラブを指 導 し、クラブの事 務 を執 るのに必 要
な時 間 と労 力 を捧 げ得 る者 となっています。また、任 務 に就 く前 の年 度 に、会 長 職
の実 習 期 間 を通 じて与 えられた役 割 を務 めたことがある者 、自 己 のクラブの理 事 あ
るいは一 つまたはいくつかの主 要 な委 員 会 の委 員 もしくはクラブ幹 事 を務 めたこと
がある者 、1 回 以 上 地 区 大 会 に出 席 したことがある者 、そして、自 己 のクラブの定
款 ・細 則 に関 して役 立 つ知 識 を有 する者 といった要 件 を備 えていることとなってい
ます。
なかでも、PETSと地 区 協 への出 席 は会 長 就 任 の必 須 条 件 です。申 すまでもな
く、クラブの運 営 はクラブ会 長 のロータリーに対 する識 見 と熱 意 によって左 右 されま
す。ポール・ハリスは次 のように述 べています。すなわち「世 界 は絶 えず変 化 してい
ます。そして私 たちは世 界 と共 に変 化 する心 構 えがなければなりません。ロータリー
物 語 は何 度 も書 き換 えられなければならないでしょう。」と。
クラブ会 長 は、激 動 する社 会 の変 化 に応 じた奉 仕 活 動 を行 うために、地 域 社 会 、
国 際 社 会 の動 向 を的 確 に把 握 し、ニーズを分 析 して、効 果 的 な奉 仕 活 動 を実 行
するようクラブを指 導 することが望 まれています。そのために、自 己 のクラブ効 果 的
なクラブとするためには、四 大 奉 仕 部 門 を踏 まえ、能 率 的 なクラブ管 理 を基 盤 とし
て、会 員 を維 持 し増 加 すること、成 果 のある奉 仕 プロジェクトを実 施 し、ロータリー財
団 への支 援 を行 い、クラブ・レベルを超 えたクラブ指 導 者 の育 成 を心 がけ、実 行 す
ることが要 請 されています。
第 二 期 クラブ強 化 推 進 委 員 会
7. クラブの週 例 会
(2005 年 6 月 28 日 現 在 )
「今 年 度 は、楽 しい例 会 にしたい・・」 ほとんどのクラブ会 長 さんは、そう思 い、努 力
をしていると思 います。 しかし、あっという間 に 1 年 が過 ぎ、果 たして何 回 楽 しい例
会 を行 えただろうか。 次 年 度 もほとんど同 じ様 に過 ぎる。たった 1 時 間 の例 会 に、
クラブ会 員 は出 席 します。 楽 しい例 会 にする責 任 は、会 長 さんにあります。 そし
て、それを支 えるプログラム委 員 会 です。それでは、会 員 が満 足 する「楽 しい例 会 」
とは、どのような例 会 でしょうか?
◉ それは、会 員 一 人 ひとりが例 会 に参 加 していると感 じる例 会 です。
◉ そして、会 員 一 人 ひとりが実 際 に参 加 する例 会 にすることです。
◉ また、ロータリー情 報 、職 業 情 報 を常 に伝 える例 会 にすることです。
◉ それによって、会 員 にとって、役 に立 つ例 会 にすることです。
そのような例 会 にするには、具 体 的 に何 をするのか、どうするか・・ということが大 変
重 要 です。
例 会 プログラムについては特 別 月 間 などを考 慮 して、6 カ月 間 の大 まかな例 会
プログラムを作 成 します。 そして、次 は、3 カ月 間 のより具 体 的 なプログラムを委 員
会 と打 ち合 わせながら作 ります。具 体 的 なプログラムの元 になるのは、すべての小
委 員 会 (クラブによって異 なりますが最 低 15 以 上 あると思 います)の活 動 です。 そ
の全 小 委 員 会 が 1 カ月 又 は最 低 2 カ月 に 1 回 、必 ず委 員 会 を開 いてもらいます。
会 長 がお願 いをし、実 行 してもらいます。
委 員 会 の会 議 の内 容 は、1. 委 員 会 の役 割 、何 をやらなければならないか
を
委 員 の間 でシェアーする(ロータリー情 報 )、2. 奉 仕 プログラムに会 員 が参 加 する
ために、委 員 会 として、何 時 、何 を、どの様 に行 動 していくかを討 議 する。 3. 委 員
会 以 外 のロータリー関 連 や職 業 ・仕 事 関 連 、経 済 関 連 、その他 の話 題 を話 し合 い、
委 員 同 士 理 解 しあう機 会 とする。(少 人 数 が良 い) そして、委 員 会 で、討 議 したこ
と・話 題 に出 たこと・・感 想 などすべての事 柄 について、例 会 で報 告 をし、意 見 を聞
くなどして例 会 を組 み立 てていけば、楽 しく役 に立 つ例 会 になっていくと思 います。
第 二 期 クラブ強 化 推 進 委 員 会
8. クラブ協 議 会
(2005 年 6 月 28 日 現 在 )
クラブ協 議 会 は、クラブの主 要 な計 画 作 りを相 談 するための組 織 会 合 で、クラブ
のプログラムと活 動 もしくは会 員 教 育 について協 議 するために開 かれます。クラブ
協 議 会 では、長 期 計 画 の立 案 、委 員 会 活 動 の調 整 、クラブ計 画 がどのように正 確
に実 施 されていかの認 識 、創 意 に溢 れた解 決 策 および活 動 を刺 激 する打 ち解 け
た討 議 、ロータリーとプログラムに関 する継 続 的 な教 育 、クラブの強 い点 、弱 い点 の
定 期 的 な検 討 が可 能 となります。
また奉 仕 プロジェクトや活 動 、会 員 増 強 、退 会 防 止 、地 区 大 会 や他 の会 合 への
出 席 などについて話 し合 い、さらに会 員 の教 育 の場 となり、会 員 の奉 仕 活 動 への
関 心 を喚 起 します。 クラブ協 議 会 は、クラブ役 員 ・理 事 ・委 員 会 委 員 長 を含 むクラ
ブ会 員 の会 合 で、クラブの全 会 員 の出 席 が要 請 されます。 クラブ協 議 会 では、ク
ラブ会 長 、あるいはその指 名 を受 けた役 員 が主 宰 します。 クラブ協 議 会 は、多 く
のクラブで毎 月 開 催 されていますが、1 年 間 に次 にあげるスケジュールで少 なくとも
4 回 、できれば 6 回 開 催 するのが最 も望 ましく、効 果 的 であるといわれています。
1. 地 区 協 議 会 直 後 3 週 間 以 内 (7 月 1 日 以 前 ):地 区 協 議 会 で作 成 され、提 案
された計 画 を始 め、どのようにクラブは RI テーマと強 調 事 項 を組 入 れるかにつ
いて説 明 し、検 討 を行 い、討 議 する。 会 長 エレクトがクラブ協 議 会 を主 宰 しま
す。
2. 7 月 1 日 以 降 :年 度 の計 画 を討 議 し、採 択 します。
3. 公 式 訪 問 の 2 週 間 前 :ガバナーの公 式 訪 問 の 2 週 間 前 のガバナー補 佐 のク
ラブ訪 問 の際 に、クラブ協 議 会 を行 います。
4. 公 式 訪 問 の間 :クラブの状 況 をガバナーと討 議 します。
5. ロータリー年 度 の中 間 (1 月 /2 月 ):クラブの目 標 に向 けての進 展 状 況 を検 討
し、完 了 すべき計 画 を決 定 します。
6. 地 区 大 会 の後 :この協 議 会 で出 されるアイデアおよび示 唆 は、クラブ計 画 を完
了 に導 くのに役 立 つよう実 施 することができます。
第 二 期 クラブ強 化 推 進 委 員 会
9.
地区ガバナー
(2005 年 6 月 28 日 現 在 )
地 区 ガ バ ナ ー は 、 就 任 日 の 24 カ 月 以 上 30 カ 月 以 内 に 選 出 さ れ ま す 。 地
区 ガ バ ナ ー は 、 RI 理 事 会 の 方 針 と RI 定 款 細 則 に 従 っ て 、 地 区 内 ク ラ ブ を
直 接 監 督 し ま す 。 地 区 ガ バ ナ ー は 、 RI 役 員 と し て 、 RI 理 事 会 の 総 括 的 管
理 下 に 置 か れ ま す 。地 区 ガ バ ナ ー は 、RI の 管 理 に 沿 っ て 、地 区 内 ク ラ ブ が
ロータリーの奉仕の理想を遂行するよう援助します。地区ガバナーは、任
期中、新クラブの結成と会員増強を奨励し、ロータリー財団プログラムへ
の参加と財政支援を推進します。
また、地区大会を計画、主催します。ガバナー月信を発行します。地区
ガバナーは、ガバナー・エレクトのときに、毎年 2 月頃、米国で開催され
る国際協議会に出席しなければなりません。その後 2 月中に地区チーム研
修 セ ミ ナ ー を 開 催 し 、3 月 中 に 、会 長 エ レ ク ト 研 修 セ ミ ナ ー 、4 月 も し く は
5 月に地区協議会を開催します。ロータリアンが地区ガバナーに指名され
る資格条件は何でしょうか?
まず、クラブの正会員でなければなりません。就任までに少なくとも 7
年 間 ロ ー タ リ ー・ク ラ ブ に 在 籍 し な け れ ば な り ま せ ん 。1 年 間 ロ ー タ リ ー ・
ク ラ ブ 会 長 を 務 め て い な け れ ば な り ま せ ん 。2004 年 規 定 審 議 会 の 決 定 に よ
り 、新 ク ラ ブ の 加 盟 認 証 日 か ら 6 月 30 日 ま で の 期 間 が 6 カ 月 以 上 あ れ ば 、
その創立会長は、ガバナーに指名される資格があります。また、ロータリ
ーについての実際的知識があり、管理能力には定評があり、かなりの時間
とエネルギーをロータリー責務の遂行に費やす意思がなければなりません。
地区ガバナーは、年度終了後3カ月以内に地区の財務報告を、地区内各
クラブに提出しなければなりません。財務報告は、資格を備えた第 3 者の
会 計 士 が 点 検 し た も の で な け れ ば な り ま せ ん が 、監 査 は 不 要 に な り ま し た 。
その年次報告は、すべての地区内クラブの代表者が出席するような地区会
合で採択します。このような地区会合が開かれない場合、次年度の地区大
会で採択します。
第 二 期 クラブ強 化 推 進 委 員 会
10. 地 区 大 会
(2005 年 6 月 28 日 現 在 )
年 次 地 区 大 会 の目 的 は、親 睦 活 動 、感 銘 を与 える講 演 、および地 区 の問 題 並
びに国 際 ロータリー全 般 に関 する事 柄 の討 議 を通 じて、ロータリーのプログラムを
推 進 することにあります。地 区 大 会 はロータリーのプログラム、および地 区 やクラブ
の活 発 な活 動 を最 高 によく見 せる展 示 場 のようなものです。地 区 大 会 は地 区 内 の
会 員 基 盤 を維 持 し、増 強 を図 る良 い機 会 であることを認 識 し、士 気 を高 揚 する方
法 で情 報 を提 示 し、かつロータリーの親 睦 を深 めるような雰 囲 気 を作 り出 さねばなり
ません。 また、地 区 大 会 では、3 年 に一 度 開 催 される RI 規 定 審 議 会 で審 議 される
立 法 案 を提 出 する権 限 もあります。 次 回 の規 定 審 議 会 に提 出 されるすべての立
法 案 は地 区 で審 議 の上 、承 認 されたことを明 記 した証 明 書 を添 付 することになりま
した。
地 区 大 会 には次 のことを推
推 奨 されます。
されます
・ 会 期 は丸 2 日 をかけ、3 日 を越 えないようにする。
・ 多 くの会 員 の参 加 を高 めるため、グループ討 論 を含 める。
・ ロータリーおよびロータリー財 団 に関 する内 容 に重 点 を置 いた均 衡 の取 れたプ
ログラムを含 めること。
・ 地 区 大 会 決 議 を検 討 すること。
・ 新 しいロータリアン、地 区 大 会 に初 めて出 席 したロータリアン、クラブ会 長 、次 期
クラブ役 員 を紹 介 すること。
・ プログラムにおいて、ロータリー活 動 に参 加 してきた人 たちを最 大 限 に起 用 する
こと。
・ 事 前 登 録 を奨 励 して、次 年 度 の地 区 大 会 を推 進 するセッションを含 めること。
・ 費 用 を低 く抑 え、すべてのロータリアンが出 席 できるようにすること。
・ 地 区 大 会 と他 の行 事 の日 程 が重 なるのを避 けること。
・ 配 偶 者 の行 事 やその他 の行 事 が重 ならないように日 程 を調 整 し、登 録 者 全 員
が本 会 議 に出 席 するよう奨 励 すること。
・ クラブおよび地 区 プロジェクトを〔友 愛 の広 場 〕などに展 示 すること。
・ 会 長 代 理 の経 験 を見 分 け、適 宜 、討 論 その他 のセッションに関 与 してもらうこ
と。
・ 新 しいロータリアンのために特 別 オリエンテーションを提 供 する。
第 二 期 クラブ強 化 推 進 委 員 会
11. ロータリーの友
(2005 年 6 月 28 日 現 在 )
なぜ、ロータリーの雑誌を読まなければならないのでしょうか?
その答えを
出すためには、まず、ロータリーの雑誌に何が書かれているのかを知る必要があ
ります。
アメリカ・エバンストンにある国際ロータリー(RI)世界本部で編集・発行
し て い る 『 THE ROTARIAN』 は 、 ロ ー タ リ ー 唯 一 の 機 関 誌 で 、 こ こ に は R I 会
長の考えやRIでどのような活動に取り組んでいるのか、といった記事が掲載さ
れています。また、世界中のロータリアンの活動を知ることもできます。
こ の ほ か に ロ ー タ リ ー で は 、全 世 界 で 31 の 地 域 雑 誌 か 発 行 さ れ て い ま す 。『 ロ
ータリーの友』はその地域雑誌の一つで、日本のロータリアンのために日本語で
発 行 さ れ て い ま す 。地 域 雑 誌 は 、『 THE ROTARIAN』か ら 、指 定 さ れ た い く つ か
の記事を翻訳して掲載する義務があります。
『 ロ ー タ リ ー の 友 』に は「 R I 指 定 記
事 」と 表 示 し て い ま す 。
「 R I 指 定 記 事 」は 、全 世 界 の ロ ー タ リ ア ン で 共 有 す る 必
要 の あ る 記 事 で 、各 ク ラ ブ の 基 本 的 な 活 動 に 関 係 あ る 記 事 が 多 く 見 受 け ら れ ま す 。
一方、地域雑誌には、発行している国または地域のロータリー活動や文化を反
映した記事も掲載されています。
『 ロ ー タ リ ー の 友 』に は 、日 本 国 内 の ロ ー タ リ ー
クラブや地区の活動、ロータリアンの意見が掲載されています。
ロータリーには、さまざまなロータリアンがいます。さまざまなロータリーク
ラブがあります。ロータリアンは、毎週の例会で、同じクラブの会員同士、情報
交換をしたり、友情を深めたりすることができます。地区大会やそのほかのさま
ざ ま な 機 会 に 、地 区 内 の 状 況 を 知 る こ と が で き ま す 。し か し 、国 内 す べ て の ロ ー タ
リークラブを実際に訪問したり、それらのクラブの会員と意見交換をしたりする
のは、容易なことではありません。まして、全世界のロータリアンとなるとなお
さらです。
『ロータリーの友』を通して、RI会長の方針やRIの動静を知るとともに、
日本全国、全世界のロータリークラブ、ロータリアンを訪問しましょう。ロータ
リーの世界が広がります。皆さんは、もう、最初の問いの答えを見つけることが
できたに違いありません。
第 二 期 クラブ強 化 推 進 委 員 会
12.
ロータリー米山奨学事業のあらまし
(1)歴史・沿革
(2005 年 6 月 28 日 現 在 )
1 .ロータリー米 山 奨 学 事 業とは
(財)ロータリー米山記念奨学会は、勉学、研究を志して日本に在留している外
国人留学生に対し、日本全国のロータリー・クラブ会員の寄付金を財源として、
奨学金を支給し支援する民間の奨学財団です。
1967 年 に 財 団 法 人 と し て 設 立 の 許 可 を 受 け 、こ れ ま で に 世 界 104 の 国・地 域 出
身 の 12,707 人 ( 2005 年 4 月 現 在 ) に お よ ぶ 外 国 人 留 学 生 を 支 援 し 、 今 日 で は 、
事業規模と採用数において、民間で最大の奨学団体(*)となっています。
( * ) ( 財 ) 助 成 財 団 セ ン タ ー 発 表 の 助 成 等 事 業 費 上 位 100 財 団 ( 2003 年 度 ) に
お い て 、米 山 奨 学 会 は 年 間 助 成 額:17 億 円 で 第 3 位 、民 間 主 導 型 財 団 で は 第
1位となっています。
2 . 世 界の 平 和を 願って始まった奨 学 事 業
米 山 奨 学 事 業 の 歴 史 は 、 50 年 以 上 前 に さ か の ぼ り ま す 。
敗 戦 後 の 復 興 が 続 く 1952 年 、 日 本 の ロ ー タ リ ー の 礎 を 築 い た 米 山 梅 吉 氏 の 功
績を記念して、東京ロータリークラブによって「米山基金」が設立されました。
日本のロータリーが国際ロータリーに復帰して3年後、米山梅吉氏がそれを見ず
して、奉仕に捧げた生涯を終えてから6年後のことです。米山梅吉氏が生前、東
南アジアに深い関心をもっていたことから、ロータリー財団の国際奨学制度に模
して、アジア諸国から奨学生を招致しようというのが基金設立の目的でした。そ
し て 、2 年 に わ た る 募 金 活 動 の 後 、1954 年 に タ イ か ら 第 1 号 奨 学 生 と な る ソ ム チ
ャード氏を招聘したのです。氏は、東京大学で養蚕学を研究し、帰国してからは
タイの蚕糸局に入局、タイシルクの増産に貢献しました。
米山奨学金の創設の目的は、日本が再び戦争の過ちを繰り返さない誓いと、世
界に“平和日本”の理解を促すことにありました。留学生が平和を求める日本人
と 出 会 い 、 互 い に 信 頼 し 合 う 関 係 を 築 き 、「 世 界 の 懸 け 橋 」 と な る こ と を 願 っ て
つくられたのです。
3 . 日 本のロータリー独 自の「 多 地 区 合 同 奉 仕 活 動 」として大きく発 展
東京ロータリー・クラブ単独の「米山基金」は、ソムチャード氏を含めて3名
の奨学生に奨学金を支給して終結しました。しかし、米山奨学事業そのものは、
当時の日本のロータリー指導者たちに共感と賛同をもって受け入れられ、
「ロータ
第 二 期 クラブ強 化 推 進 委 員 会
リ ー の 国 際 奉 仕 と し て 最 も ふ さ わ し い 企 画( 1956 年 の 第 60 地 区 大 会 決 議 文 よ り )」
として、全国のロータリー・クラブの共同事業へと発展的に継承されたのです。
“月に煙草1箱を節約して”を合言葉に、全国に寄付が呼びかけられるととも
に 、1957 年 に は 、財 団 化 を 念 頭 に 、全 国 規 模 の「 ロ ー タ リ ー 米 山 奨 学 委 員 会 」が
組織され、翌年には新組織のもとで、全国の大学から8人の奨学生が採用されま
した。
10 年 に お よ ぶ ロ ー タ リ ア ン の 献 身 的 な 尽 力 の 結 果 、文 部 省( 当 時 )よ り 念 願 の 財
団 法 人 の 許 可 が 下 り 、1967 年 7 月 1 日 に 、財 団 法 人 ロ ー タ リ ー 米 山 記 念 奨 学 会 が
設 立 さ れ ま し た 。今 日 に い た る ま で 、日 本 の 全 地 区 の 多 地 区 合 同 奉 仕 活 動 と し て 、
他 国 に 類 を 見 な い 大 規 模 な 国 際 奨 学 事 業 と し て 発 展 を 続 け て い ま す 。 2004 年 11
月の国際ロータリー理事会では、長年、日本のロータリアンがこの奨学活動を通
じて世界理解と平和に貢献していることに、称賛が送られました。
(財)ロータリー米山記念奨学会
第 二 期 クラブ強 化 推 進 委 員 会
13. ロ ー タ リ ー 米 山 奨 学 事 業 の あ ら ま し
(2)米山奨学金制度の特徴
(2005 年 6 月 28 日 現 在 )
1 . 米 山 奨 学 金の 支 給 状 況
2005 年 度 の 米 山 奨 学 生 採 用 数 は 801 人 ( 2005 年 4 月 末 現 在 ) で す 。 そ の う ち 、
博 士 課 程 は 367 人( 延 長 者 含 む )、修 士 課 程 は 318 人 で 、大 学 院 生 が 全 体 の 約 86%
を 占 め て い ま す 。学 部 生 は 103 人 と 1 割 強 で 、残 り 13 人 は 、台 湾・韓 国 か ら の 研
究員招聘や元米山奨学生の再留学、発展途上国の農村・地域指導者養成など、特
別米山奨学金と呼ばれるプログラムの採用者です。
修 士・博 士 課 程 の 大 学 院 生 へ の 奨 学 金 額 は 月 額 14 万 円 、学 部 生 へ の 奨 学 金 額 は
月 額 10 万 円 で 、 奨 学 団 体 の 中 で は 比 較 的 高 額 の 水 準 で す 。
な お 、寄 付 金 収 入 の 減 少 に よ り 、2005 年 の 採 用 数 は 前 年 に 比 べ て 2 割 削 減 、奨
学金額も平均7%削減されています。
2 . 米 山 奨 学 生はこのように選ばれます
∼ 地 域の 大 学と 連 携し、ロータリアンの“目”で奨 学 生を 選ぶ 指 定 校・大 学 推 薦
制度∼
ロータリアンが支援するにふさわしい“優秀”な奨学生を選ぶ募集・選考シス
テ ム と し て 、 2001 年 10 月 か ら 、 指 定 校 ・ 大 学 推 薦 制 度 が 導 入 さ れ て い ま す 。 こ
れは、地区が指定する大学から、米山奨学生にふさわしい学生を候補者として推
薦してもらう制度です。
大学から推薦された候補者を、各地区のガバナーや米山理事、地区米山奨学委
員長などで組織する地区選考委員会で面接して、米山奨学生を決定します。
米山奨学生に求められる“優秀性”として、①学業優秀であること、②異文化
理解に対する積極的な姿勢、③高いコミュニケーション能力、の3つを重視して
います。
3 .「 世 話クラブ・カウンセラー制 度」による留 学 生の 心のケアを重視
ロ ー タ リ ー 米 山 奨 学 金 制 度 の 最 大 の 特 徴 は 、経 済 的 な 支 援 だ け で な く 、
「世話ク
ラブ・カウンセラー制度」を設けて、奨学生の精神面のケアを図っていることで
す。親善・交流を通じた国際理解を推進する米山奨学事業の要であり、ロータリ
ー・ク ラ ブ と い う 地 域 密 着 の 組 織 だ か ら こ そ で き る 重 要 な 特 性 と い え る で し ょ う 。
奨学生には、大学の所在する地区のロータリー・クラブから世話クラブが選ば
第 二 期 クラブ強 化 推 進 委 員 会
れます。さらに世話クラブの会員の中から、専任のカウンセラーが1人付いて、
奨学生の日常の相談に乗ったり、文化体験の案内役や交流の橋渡しに努めたりし
て、奨学生の日本での生活が心豊かなものになるように配慮しています。大学の
指導教員と連絡を取り合ったり、自宅に奨学生を招いて家族ぐるみで交流したり
する例も多くあります。
奨学生には毎月1回世話クラブの例会に参加することが義務づけられており、
奨学金もそこで手渡されます。そのほかにも、奨学生には、ロータリー・クラブ
の例会で母国のことや自分の研究についてスピーチしたり、クラブ・地区の社会
奉仕活動、交流会や研修旅行に参加したりと、ロータリーの活動を通じて、日本
文化や地域社会と触れ合うさまざまな機会が提供されます。
「世話クラブ・カウンセラー制度」は、国費や他の奨学金制度には無い魅力と
して、奨学生はもとより、政府・大学などからも注目されています。
(財)ロータリー米山記念奨学会
第 二 期 クラブ強 化 推 進 委 員 会
14. ロ ー タ リ ー 米 山 奨 学 事 業 の あ ら ま し
(3)寄付金と表彰制度
(2005 年 6 月 28 日 現 在 )
1.財政状況
米 山 奨 学 事 業 は ロ ー タ リ ア ン に よ っ て 支 え ら れ て い ま す 。奨 学 事 業 費 は 年 間 15
億円にのぼり、いただいたご寄付はすべて奨学事業のために使われます。日本の
ロータリアンが、助成額全国3位を誇るまでに育て上げた米山奨学事業ですが、
厳しい経済環境と会員数の減少により、寄付金収入は減少の一途をたどっていま
す。
1999 年 度 か ら 2004 年 度 ま で は 、寄 付 金 の 減 少 分 を 特 別 積 立 金 を 活 用 す る こ と
で 補 っ て き ま し た が 、2005 年 度 に は つ い に 奨 学 生 採 用 数 と 支 給 額 の 引 き 下 げ に 踏
み切りました。
今後は、これ以上特別積立金を取り崩さないよう、寄付金収入に見合った奨学
事業を目指し、事務費削減や補助費の見直しなどを行い、財政の健全化に努めて
います。
2 . 寄 付 金と 免 税の 優 遇 措 置
寄付金には普通寄付と特別寄付の2種類があります。
普通寄付金は、全ロータリー・クラブから毎年1月1日および7月1日の会員
数分のご寄付をいただいています。寄付行為(財団法人における定款)の「寄付
金受領に関する施行細則」に、当会を援助する全ロータリアンから定期的に受領
するものと定められ、当会奨学事業の安定的な財源となっています。1人当たり
の 寄 付 額 は 各 地 区 の 目 標 額 を 達 成 す る た め 、各 ク ラ ブ で 定 め て い た だ き ま す 。1967
年 の 財 団 化 当 初 は「 1 人 当 た り 月 額 50円 以 上( 年 額 600円 以 上 )」で 始 ま り ま し た
( 当 時 の 大 卒 初 任 給:26,150円 )。現 在 は 全 国 平 均 で 年 額 4,000円 と な っ て い ま す 。
平均金額を上回るようご協力をお願いいたします。
特別寄付金は、個人、法人またはロータリー・クラブから、普通寄付金以外に
任 意 で 寄 付 さ れ る も の で す 。特 別 寄 付 金 に は 表 彰 制 度 が 設 け ら れ て い ま す 。ま た 、
個人、法人のご寄付に対しては、所得税および法人税法上の優遇措置が受けられ
ます。あわせて遺言による特別寄付に対しても、相続税法上の優遇措置を受ける
ことができます。
3.表彰制度
第 二 期 クラブ強 化 推 進 委 員 会
特 別 寄 付 金 に 対 す る 表 彰 制 度 は 1972 年 か ら 始 ま り ま し た 。「 累 計 で 高 額 の 支 援
を重ねている会員を特に表彰すべき」との地区からの要請に応えて「米山功労者
賞」を設け、地区大会で盾を増呈することにしたのを機に、恒久的な制度として
制定されました。
個人寄付に対する「米山功労者」表彰は、ロータリー財団のポール・ハリス・
フ ェ ロ ー ( 米 貨 1,000 ド ル で 表 彰 ) に な ら い 、 当 時 の 為 替 レ ー ト で 同 額 に 相 当 す
る 累 計 30 万 円 を 第 1 回 表 彰 と し 、 以 降 30 万 円 ご と に 表 彰 を 重 ね る 形 で ス タ ー ト
しました。しかし、昨今の経済状況を鑑み、米山功労者をより身近な目標として
い た だ け る よ う に 、 2003 年 7 月 よ り 、 累 計 10 万 円 で 第 1 回 表 彰 と す る 制 度 に 改
定 し ま し た 。 そ の 後 も 10 万 円 ご と に 表 彰 さ れ 、 第 2 回 表 彰 ( 累 計 20 万 円 ) か ら
「 米 山 功 労 者 マ ル チ プ ル 」、 第 10 回 表 彰 ( 累 計 100 万 円 ) か ら 「 米 山 功 労 者 メ ジ
ャ ー ド ナ ー 」と 称 号 が 変 わ っ て い き ま す 。な お 、従 来 の「 米 山 フ ァ ン ド フ ェ ロ ー 」
( 累 計 15 万 円 ) は 廃 止 と な り ま し た 。
ま た 、法 人 寄 付 に 対 し て は 、累 計 35 万 円 で「 米 山 功 労 法 人 」、累 計 が 100 万 円 に
達 し た と き「 米 山 特 別 功 労 法 人 」と し て 表 彰 さ れ 、ク ラ ブ に は「 米 山 功 労 ク ラ ブ 」
「 ク ラ ブ 創 立 記 念 特 別 寄 付 」「 達 成 ク ラ ブ 」 な ど の 表 彰 が あ り ま す 。
(財)ロータリー米山記念奨学会
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15. ロ ー タ リ ー 米 山 奨 学 事 業 の あ ら ま し
(4)米山学友の活躍
(2005 年 6 月 28 日 現 在 )
1 . 世 界で 活 躍する米山 学 友
ロ ー タ リ ー 米 山 記 念 奨 学 会 で は 、「 世 話 ク ラ ブ ・ カ ウ ン セ ラ ー 制 度 」 に よ っ て 、
心の通った奨学事業を実現し、これまでに1万人を超える優秀な奨学生を世に送
り出してきました。日本のロータリアンを通じて、ロータリー精神に触れ、心を
はぐくんだ米山学友は、いま世界を舞台に活躍しています。
< 大 使になった米 山 学 友 >
崔 相 龍 ( チ ェ ・ サ ン ヨ ン ) 氏 【 韓 国 / 1969-72/ 東 京 大 学 大 学 院 / 東 京 日 本 橋
RC,東 京 城 西 RC】 は 、 2000 年 2 月 か ら 2 年 間 駐 日 韓 国 大 使 を 務 め ま し た 。 現 在
は 、高 麗 大 学 教 授 で す 。1998 年 2 月 の 金 大 中 大 統 領 訪 日 時 に は 、日 韓 共 同 宣 言
をつくる過程で政治学者として貢献するなど、新しい日韓の交流に大きな役割
を果たしています。
<ガバナーになった米山 学 友 >
第 3490 地 区( 台 湾 )の 2005-06 年 度 ガ バ ナ ー と し て 、米 山 学 友 の 許 國 文 氏
【 1975-77 年 度 奨 学 生 / 徳 島 大 学 医 学 部 / 世 話 ク ラ ブ : 徳 島 RC】が 選 出 さ れ ま
した。許氏は、台湾・羅東市にある羅東博愛病院の副理事長で、羅東西ロータ
リークラブに所属しています。
2005 年 2 月 下 旬 に ア ナ ハ イ ム で 行 わ れ た R I 国 際 協 議 会 で は 、日 本 人 以 外 で た
だ 1 人、日本語セッションに参加。積極的に議論にも加わって、日本のガバナ
ー・エレクトとの交流を大いに深めたとのことです。
な お 、 米 山 学 友 の ガ バ ナ ー 誕 生 は 、 韓 国 の 林 隆 義 氏 【 1997-98 年 度 第 3650 地
区 P.G.】 に 次 ぐ 2 人 目 で 、 台 湾 で は 初 の 快 挙 で す 。
< 日 本 政 府より 叙 勲を受けた 米 山 学 友 >
在 ス リ ラ ン カ の 米 山 学 友 、 チ ャ ン ド ラ シ リ ・ フ ェ ル ナ ン ド 氏 【 1982-84 年 / 東
北 大 学 大 学 院 / 仙 台 西 RC】 は 、 平 成 15 年 度 秋 の 叙 勲 で 、 日 本 政 府 よ り 勲 三 等
旭日中綬章を贈られました。フェルナンド氏は、国費留学生として来日後、
1982-84 年 に 米 山 奨 学 金 を 受 け て 、 東 北 大 学 大 学 院 に て 公 法 学 を 学 び 、 修 士 号
を取得。帰国後は、スリランカ警察庁に入り、現在は警察庁長官の重職にあり
ます。日本・スリランカ間の警察協力推進に寄与したほか、コロンボ市の治安
が悪化した際には、在留邦人の保護のために情報提供や警備指導に尽力するな
ど、まさに母国と日本との懸け橋として活躍しています。
第 二 期 クラブ強 化 推 進 委 員 会
2 . 拡 大・ 進 化する学友 会 活 動
奨学期間を終えてからも、ロータリーとの交流を継続したいと希望する米山学
友は少なくありません。このような学友の希望と、地区のロータリアンの支援に
よ っ て 、 す で に 国 内 に 23、 海 外 に 2 つ ( 台 湾 ・ 韓 国 ) の 計 25 の 米 山 奨 学 会 学 友
会が設立されています。
学友会活動は、地区と連携した親睦・交流活動が主体ですが、最近では、学友ら
が自分たちの力を生かして、地域社会に貢献しようという取り組みも増えていま
す。米山記念奨学会は、このような学友会の発展的な活動を歓迎し、積極的に支
援していく方針です。
(財)ロータリー米山記念奨学会
第 二 期 クラブ強 化 推 進 委 員 会
16.
ロータリー米山奨学事業のあらまし
(5)米山奨学事業の変革
(2005 年 6 月 28 日 現 在 )
1 . 2006 年 度 制 度 改 編 のために
米 山 奨 学 金 制 度 は 、お よ そ 5 年 ご と に 、ロ ー タ リ ア ン 対 象 の ア ン ケ ー ト 調 査( 基
礎調査)を実施して、制度見直しの基礎資料としています。
第 1 期 米 山 奨 学 事 業 基 礎 調 査 は 1999 年 に 行 わ れ 、そ の 結 果 を 基 に 、多 く の ロ ー
タ リ ア ン の 論 議 を 経 て 、「 指 定 校 ・ 大 学 推 薦 制 度 」 な ど が 確 立 さ れ ま し た 。
第 2 期 基 礎 調 査 は 、2006 年 か ら の 制 度 改 編 を 前 提 に 、2003 年 に 実 施 さ れ ま し た 。
1,000 人 の ロ ー タ リ ア ン の 声 を 集 め た こ の 調 査 結 果 を も と に 、 米 山 奨 学 事 業 フ ォ
ーラムを開催して、地区代表者に討議を重ねてもらい、既存制度の検証と新制度
の 検 討 を 進 め ま し た 。2005 年 6 月 の 理 事 会・評 議 員 会 で の 最 終 協 議 を 経 て 、2006
年より新制度が施行されます。
2 . 2006 年からの新 制 度 案
①現地募集採用型 奨学金の試行
∼ 日 本 留 学 のチャンスを 提 供し、“懸 け 橋”を 育
成∼
現行の米山奨学金制度では、すでに日本の大学・大学院に在籍している留学生
を 対 象 と し て い ま す 。今 回 の 制 度 改 編 プ ロ セ ス で は 、
「日本に来ることさえできな
い人たちにも日本留学のチャンスを与えたい」との声が多く聞かれました。日本
に留学しやすい近隣の国や、先進国の人だけでなく、経済的にまだ発展途上で、
なかなか日本に留学するチャンスのない国の優秀な人材を支援したいとの希望で
あり、それを実現するプログラムが、現地募集採用型奨学金の試みです。
こ の プ ロ グ ラ ム で は 、い わ ば“ 丸 抱 え ”で 日 本 に 呼 び 寄 せ る こ と と 引 き 換 え に 、
奨学期間後は必ず帰国して母国の力となり、同時に日本と母国との友好の懸け橋
となることを条件とする予定です。海外からの帰国組が母国で活躍できる環境が
整っていることも候補国の条件となり、現在のところ、試験的な実施の候補国と
しては、ベトナムが有力です。
② 地 区の 裁 量で、 特 色 ある留 学 生 支 援が 可 能 に
ロ ー タ リ ー の 特 性 を 生 か し た 「 地 域 密 着 型 奨 学 事 業 」 を 推 進 す る こ と も 、 2006
年 度 制 度 改 編 の 目 的 で す 。そ こ で 、地 区 へ の 奨 学 生 割 り 当 て 数 の 一 部 に 、
「地区裁
量枠」を設けることを提案します。
第 二 期 クラブ強 化 推 進 委 員 会
地区奨励奨学金(仮称)を新設して、この枠内で、大学・大学院以外の教育機
関、例えば、短期大学や高等専門学校、一定の要件を満たした専修学校や日本語
学校などで学ぶ留学生を支援の対象とすることを可能とします。近隣に大学がな
いために、米山奨学生との接点が少なかった地域にも世話クラブを拡げることが
でき、また、奨学金額は修士・博士課程の半額とする代わりに、1人分の枠で2
人採用することができます。
どのような留学生を支援するか、現行制度以上に地区の自主性を尊重しようと
いうのが提案の目的です(奨学金額は、理事会・評議員会で決定される全国統一
の も の と な り ま す )。
ロータリアンにとって、常に“より身近な奨学事業”であるように、米山奨学
事業はこれからも改革と見直しを進めてまいります。新しい米山奨学事業の展開
に、引き続き温かいご支援とご協力をお願いいたします。
(財)ロータリー米山記念奨学会
第 二 期 クラブ強 化 推 進 委 員 会