オーストリア特許庁訪問記

オーストリア特許庁訪問
2003 年
10 月 23 日
メンバー:青木、本多、吉岡、浅野
ウィーンに滞在して 2 日目、気候は日本の 12 月上旬のような寒さである。
なかなか寒さに慣れないまま、午前より EPO ウィーン支局で行われている「日本特許情報
ミーテイング」を前半まで参加し、失礼してオーストリア特許庁に訪問することとなった。
これは、吉岡氏が直接、オーストリア特許庁に連絡され面会の時間を取られたもので、
連合会代表として、吉岡氏、青木氏、本多氏、そして私、浅野が訪問することになった。
タクシーで EPO から約 20 分、白い壁がベースに緑のラインが入った大変シンプルな建物
で、入り口側左の外壁に「OSTERREICHISCHES PATENTAMT」と書かれている、ここ
が、オーストリア特許庁だ。
午後 2 時に、特許文書管理部:イングリッド・ヴェイデンゲール博士、エヴァ・フェス
ラー工学士(お二人とも女性)と面会する。
お二人ともとても気さくな方で、イングリッドさんの仕事部屋へ我々を迎え入れてくれた。
机には人数分のカップ、コーヒー、ミネラルウォーター、オレンジジュース等が、ヨー
ロッパらしさを感じさせる可愛らしいテーブルナプキンの上に置かれていた。
まず吉岡氏が、彼女らに堪能なドイツ語で挨拶をして今回わざわざ時間を頂いた事に感謝
する。そして私の方を示してここからは彼が英語で我々との通訳をしますよ、(と言ってい
たように聞こえた)と説明していた。
オーストリアは通常ドイツ語が話されているが、特許庁職員は大抵英語が話せる。
実際、すごいドイツ語訛りなのだが、ドイツ語で話されるよりは良い。
質問内容
>オーストリアと EPO との関係は?
出願する場合の選択のメリットはあるのか?
オーストリアは、EP 加盟国であるが、EP 経由での登録よりも、自国内で出願・審査さ
れたものが、多い。
ただ、このことが EP 経由の以降よりも自国内で出願したほうがメリットがあるという訳で
は無いようだ。(あまり、特別な意識を持っていないように感じられた)
>日本で過去に同一日に同じ内容の出願がありどちらも権利を持ってしまったようなケ
ースがあり、その時は判断基準があるのか?
優先権が主張されている場合は、有している方が優先されるが、当事者による話し合い
のケースが多い。
(この件に関しても相当突っ込んでみたが、具体例が起こっていないため回答に苦労され
ていたようだ)
>審査官のみが使用できる特別なデータベースがあるのか?
オーストリア特許庁内で専門のデータベースは所有していない、インパドック、エスパ
スネット、デパテイスなど一般的な DB を使っている。
>東ヨーロッパ諸国の調査は可能か
特許庁内で、調査を受けることは出来るのだが、これらの国のデータベースが無いため
マニュアル調査になる。言語の問題もあるので難しい。
驚くべき図書館
質問も終了して、こちらで保管されている公報についても聞いてみた。
驚くべきことに、5千万件ほどの自国、主要国の公報がペーパーで保管されている。
またこれらは、CD-ROM,
マイクロフィルムにも収められており、保管体系も、
番号、IPC 分類、審査用分類ごとにそれぞれ並び替えられている。
私たちはその保管場所“図書館”を案内させてもらうことができた。
下へ降りていき図書ルームへ案内された。
机がたくさん並び、パソコンも設置されている。
ここは一般に開放されており、ここで
は企業、学生が勉強のために使用しているようだ。
奥の特許公報書庫室へ入った。
広い部屋に一面棚の列である。スペース確保のために棚に車輪がつけられたおかげで
ぎっしりと棚が何列もつまっている。
もちろんこの特許庁内だけでなく別の場所にもあるというすべての棚の長さを合計すると
17 キロメートルほどになるという。
すごい!の一言につきる、1852 年に書かれた公報まで存在するのだから、、。
貴重な時間を頂いて見学をさせていただき、ここまで見せてくれるとは思っていなか
った我々もすっかり満足していた。
イングリッドさん、エヴァさんにお礼を言って失礼させてもらった。
今回、特に印象に残ったのは、やはり公報を紙で保管しているという点である。
ドイツ特許庁もそうだったが、古いものを大事にしている。
イングリッドさんが言った「これだけの量の公報を保管できる場所が提供されていること
に大変有り難く思っている」この言葉が示すように国全体が文化として残されたものを守
っていこうという姿勢が見られる。
それが、ヨーロッパの町並みにも彼らの精神・文化が実によく表されているのではないか
と思う。
なんでも最新化と騒いでいる自分の国に対して疑問を持ってしまったのは私だけだろう
か?
そんなことが残った今回の訪問であった。
以上