平成26年8月豪雨災害(広島豪雨災害) におけるCOSMO-SkyMed衛星観測結果 2014年8月29日 経緯 2014年8月19日~8月20日 広島市において局地的な豪雨による土砂災害等が発生。 2014年8月20日 被災地域のCOSMO-SkyMed(以下「CSK」)衛星の災害前画像の検索を実施。 災害前と同条件でCSK衛星(STRIPMAP HIMAGE、約40km×約40km)にて被 災地域の新規撮影を計画。 2014年8月26日夕方 CSK衛星にて災害後の撮影を実施。 2014年8月27日 災害前の2014年8月10日と災害後の2014年8月26日のCSK画像の災害前後の 2時期の画像を利用してカラー合成を行い、豪雨による土砂災害発生箇所を推 定した。 1 COSMO-SkyMed撮影結果 災害前 撮影諸元 CSK衛星カラー合成画像 観測日時 2014/8/10 2014/8/10 18:08 (災害前) 2014/8/26 18:08 (災害後) 撮影モード STRIPMAP HIMAGE 空間分解能 3m シングルルック (5mマルチルック) オフナディア 角 (入射角) 24.13度 (26.65度) 軌道方向 下降軌道 ルック方向 右 本解析結果は、全てマルチルック処理を行って います。 災害後 拡大エリア (広島市安佐南区八木地区) R:2014-8-10(災害前) G:2014-8-26(災害後) B:2014-8-26(災害後) 2014/8/26 国土交通省「国土数値情報(行政区域、道路、鉄道データ)を利用し作成 COSMO-SkyMed Product ©ASI-Agenzia Spaziale Italiana 2014. All RightsReserved. Produced by Japan Space Imaging. 2 COSMO-SkyMed衛星カラー合成画像 SAR画像において、標高の高いとこ ろが衛星の軌道側に倒れこむフォ アショートニングやレイオーバー等 のレーダ特有の歪みが発生します。 本画像では山頂部が東側に倒れこ んでいます。 R:2014-8-10(災害前) G:2014-8-26(災害後) B:2014-8-26(災害後) A B 土石流・土砂崩れ の堆積による変化 C CSK衛星カラー合成画像について 災害前後に撮影された2枚のCSK 衛星画像にRGBの色を与えてカラー 合成処理することで、地表面の変化 によるマイクロ波反射強度の変化が 「色の変化」として画像上にて表れて います。 8月10日撮影画像に赤、8月26日撮 影画像に緑と青の色を割り当て、左 図のCSK衛星カラー合成画像を作成 しました。本合成画像において、 ① 「水色」:土石流等が堆積した為、 マイクロ波の反射が強まったと推定さ れる領域 ② 「赤色」:森林の流出や河床水位の 増加によるマイクロ波の反射が弱まっ たと推定される領域 ③「白黒灰色」:変化が少ない領域 赤色枠で囲んだエリア(八木地区) が特に強い土砂堆積による影響と推 定される変化が表れています。 P.4 拡大エリア COSMO-SkyMed Product ©ASI-Agenzia Spaziale Italiana 2014. All RightsReserved. Produced by Japan Space Imaging. 3 CSK衛星カラー合成画像結果拡大図(安佐南区) A B 土石流・土砂崩れ の堆積による変化 C P.5 拡大エリア Esri Japan, Esri, HERE, DeLorme, iPC/DRM, USGS, METI/NASA, DigitalGlobe, JSI 左図の黄色で囲んだ山間部に水色が顕著に確認できます。特にCは土砂で大きな被害を受けた広島県安佐南区八木地区です。 ※右の同エリア図と比較するとCSK衛星カラー合成画像における山頂域が衛星軌道方向(今回の場合、東側)に倒れ込んでいることが確認できます。 COSMO-SkyMed Product ©ASI-Agenzia Spaziale Italiana 2014. All RightsReserved. Produced by Japan Space Imaging. 4 CSK衛星カラー合成画像結果拡大図(八木付近) 災害後 P.6 拡大エリア JR可部線 災害前 JR可部線 土石流・土砂崩れ の堆積による変化 左図の赤枠で囲んだJR可部線に向かって、山間部からの土砂流出による堆積(水色)が広がっているのが確認できます。安佐 南区八木町太田川付近(黄丸)には土石流による土砂の堆積が顕著に表れています。同斜面側には、土石流後による赤と水色 の変化が判読でき、これらは森林が流された変化によるものと推定されます。左図は広島市安佐南区八木地区におけるCSK衛 星カラー合成画像の拡大図、右図に同エリアの災害前に撮影されたIKONOS光学画像を示します。 国土交通省「国土数値情報(行政区域、道路、鉄道データ)を利用 COSMO-SkyMed Product ©ASI-Agenzia Spaziale Italiana 2014. All RightsReserved. Produced by Japan Space Imaging. 5 CSK衛星カラー合成画像結果拡大図(八木付近) オルソ化による歪み B B D D C A C A 土石流・土砂崩れ の堆積による変化 左図は広島市安佐南区八木地区におけるCSK衛星カラー合成画像の拡大図に、右図は同エリアの災害前に撮影されたIKONOS光学画像に、それ ぞれ国土地理院にて作成された斜め写真からの被災地域の写真判読図(左図:黄色線、右図:赤)を重ね合わせたものになります。国土地理院によっ て作成された斜め写真による写真判読図とCSK衛星カラー合成画像による変化域を比較すると、ほぼ同じエリアにて顕著にCSK衛星カラー合成画像 の色調が変化していることが確認できます。 ※本CSK衛星カラー合成画像は、国土地理院による写真判読図と比較するためオルソ補正を行っており、スライド2で説明したSAR画像特有の歪みを補正したエリアにおいても強い 色の変化が判読されますが、これらは土石流による色の変化とは異なります。 国土交通省「国土数値情報(行政区域、道路、鉄道データ)および国土地理院が平成26年8月20、21日に撮影した斜め写真の撮影範囲を判読した図を利用 COSMO-SkyMed Product ©ASI-Agenzia Spaziale Italiana 2014. All RightsReserved. Produced by Japan Space Imaging. 6 【参考資料】合成開口レーダ(SAR)とは? SAR衛星は、マイクロ波を地表面に向けて送信し、地表から反射するマイク ロ波の強さ及び位相から対象物の状態や高さ・変位を測定する。 ① ② ③ © DigitalGlobe 光学衛星(GeoEye-1) 建物等の 人工構造物 森林等の 植生域 水域 鏡面体 ② ①明るい白色 強い ②中間的なグレー色 マイクロ波の反射 ① ③黒色 弱い *地表面からの後方散乱強度は、マイクロ波の波長・入射角や植生・土壌の含水率等 により同じ対象物でも多少異なります。 COSMO-SkyMed Product ©ASI-Agenzia Spaziale Italiana 2011. All Rights Reserved. Produced by JAPAN SPACE IMAGING CORPORATION ③ レーダー衛星(COSMO-SkyMed) 東京の天候:くもり(2009年3月3日) 7 【参考資料】 COSMO-SkyMed衛星について 1. 天候、昼夜の影響を受けない画像撮影 2. 4機コンステレーションの撮影能力 3. 四国地方ほぼ全域(約18,300㎢)の3m分解能画像( STRIPMAP HIMAGE ) を8日間で整備しました。この画像データを基に、SARの特性を活用した変 化抽出が可能。 5種類の撮影モード 4. XバンドのSAR(合成開口レーダー)センサーを搭載し、全天候型で昼夜を 問わず最高1mの高分解能画像を提供。また、同一軌道上に4機の衛星を 配置することで高い撮影頻度を実現。北緯40度付近であれば圧倒的な撮 影能力を実現。 目的に応じた撮影に対応できる柔軟性を備えています。衛星進行方向(ア ジマス)に対し、右・左方向の切り替え撮影が可能。 単一、複数画像による比較・解析 撮影したSAR画像により、津波等による浸水域の抽出や、異なる時期に撮 影された同一地域を比較、解析し、状況変化を把握可能。 8 お問い合わせ 〒104-0028 東京都中央区八重洲2-8-1 日東紡ビル8F 営業本部営業第一部 TEL. 03-5204-2727/FAX. 03-5204-2730 E-mail: [email protected] http://www.spaceimaging.co.jp/ 9
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