切りくずを利用した エコ遠心鋳造方法の提案 名古屋工業大学大学院 工学研究科 機能工学専攻 教授 渡辺 義見 1 研究背景 2007年11月 JST 名古屋工業大学 新技術説明会資料 遠心力混合粉末法による 光触媒傾斜機能材料の製造技術 名古屋工業大学大学 大学院工学研究科 機能工学専攻 教授 渡辺 義見 大学院工学研究科 産業戦略工学専攻 助教 佐藤 尚 2 研究背景 2006年 遠心力鋳造法による光触媒機能Al-TiO2傾斜機能材料の創製 平成18年度 独立行政法人 科学技術振興機構シーズ発掘試験研究 2007年 微細粒子粉末が複合化された微細粒子複合材料の製造方法 特願2007-132127 2008年 東海広域ナノテクものづくりクラスター 知的クラスター創成事業(第Ⅱ期) 界面制御ナノコンポジット部材の開発(関係府連携枠) 2008年 遠心力混合粉末法を用いた 軸受用銅基傾斜機能材料の実用化 平成20年度,名工大産学官連携セン ター実用化研究推進経費事業 2008年 切りくずを利用した遠心鋳造 方法および鋳造材, 特願2008-300351 2009年 チタン/生体高分子系新規 傾斜機能材料の開発と生体材料へ の応用,独立行政法人 科学技術 振興機構 地域イノベーション創出 総合支援事業,重点地域研究開発 推進プログラム 平成21年度 シーズ発掘試験 3 新技術の基となる研究成果・技術 傾斜機能材料の技術を利用したナノ粒子分散次世代エコ切断砥石の開発 ダイアモンド微細粒子と母材Alの混合粉末に遠心力鋳造法を適用することによって, 微細粒子を材料表面に傾斜分散させる=遠心力混合粉末法(特許出願済み) ダイアモンドナノ粒子と 回転中の金型へ母材Al リング状材料の表面に微 母材Al粉末の混合粉末を 溶湯を流し込む 細粒子が分散 金型内にセット 混合粉末 母材Al溶湯 ダイアモンドナノ粒子 金型 湯道 金型 母材Al 母材Al溶湯 遠心力による加圧 母材Al粉末 固相→液相 母材との濡れ性が悪い微細粒子を分散させることが可能 混合粉末に母材粉末が用いられているため,微細粒子が母材によって強固に固定 4 ダイアモンドナノ粒子と 母材Al粉末の混合粉末を 金型内にセット 混合粉末 ダイアモンド粒子 Al粉末 湯道 金型 5 回転中の金型へ母材Al 溶湯を流し込む 混合粉末 ダイアモンド粒子 Al粉末 湯道 金型 母材Al溶湯 遠心力による加圧 6 溶湯の熱 遠心力による加圧 ダイアモンド粒子を 溶融Alが取り囲む Al粉末が溶解 混合粉末 ダイアモンド粒子 溶融Al Al粉末 金型 母材Al溶湯 遠心力による加圧 7 凝固 リング状材料の表面に 微細粒子が分散 ダイアモンド粒子 金型 金型 8 真空中 Al/SiC傾斜機能材料の製造 真空遠心鋳造装置 重力倍数:1000G 試料表面 Al Si 300mm 300μm 300μm 酸化抑制によりAl粉末が溶解,SiCの均一分散が可能に 9 製造したAl/SiC傾斜機能砥石によるCFRPの加工実験 Al/SiC CFRP 10 加工後の試料 接触部分 固定上面 加工方向 加工方向 10 mm 固定上面 加工後のCFRP 加工後のAl/SiCリング 真空中で作製したAl/SiC傾斜 機能砥石:CFRPの切削加工が 可能 11 従来技術とその問題点 現在,遠心鋳造で製造される製品としては軸受 保持器・ウォームホイール等があるが,軸受保 持器製造過程においては、遠心鋳造材の8割以 上を切削加工し,製品を得ている.また,遠心鋳 造で製造される形状記憶合金パイプ継ぎ手の 内面も切削により精密加工されている. この旋削加工,フライス加工,ドリル加工等によ り,大量の切りくずの発生を伴う. 12 切削屑を 金型内にセット 純Al切削屑 湯道 金型 13 回転中の金型へ 母材Al合金 溶湯を流し込む Al合金切削屑 湯道 金型 母材Al合金 溶湯 遠心力による加圧 14 切屑製造工程 Condition Al円柱材に対して端面切削を行い切屑を作製 回転数 460 rpm 送り 0.15 mm 切込み 0.2 mm Production 切屑の長さが20 mm 以下に なるように切断 このときのかさ密度 約12 vol.% 15 純Alによる実験 Al切削屑を25g金型に配置 800℃に加熱した純Al, 300gを鋳造 重力倍数80,金型は室温あるいは300℃ 16 通常の遠心鋳造 遠心力印加方向 500 μm 500 μm 10 mm 遠心力印加方向 200μm 500 μm 17 遠心力印加方向 切削屑投入 金型 室温 500 μm 遠心力印加方向 200μm 10 mm 18 遠心力印加方向 切削屑投入 金型 300℃ 500 μm 遠心力印加方向 200μm 10 mm 19 遠心力印加方向 Al-12.5%Si Pure Al 切削屑投入 金型 室温 10 μm 500 μm 遠心力印加方向 遠心力印加方向 200μm 200μm 20 Al-12.5%Si + Al切削屑SEM 組成像(明:Si 暗:Al) 20 μm SEI写真 400μm 20μm 21 2.70 2.69 2.68 2.67 Density [Mg/m3] 2.66 2.65 2.64 2.63 通常の遠心鋳造 2.62 切削屑を用いた鋳造(金型室温) 切削屑を用いた鋳造(金型300℃) 2.61 2.60 2.59 0 0.2 0.4 0.6 0.8 1 Normalized position 22 G S1 S2 S3 S4 振幅 G S1 S2 S3 S4 S5 振幅 S5 S6 S7 S8 S9 S10 23 新技術の特徴・従来技術との比較 従来技術の問題点であった,製品製造時に発 生する切り屑を溶解することなく再利用するこ とに成功した. 従来では,切り屑を再溶解していたため,不 必要なエネルギー投入が行われており,また, 地球温暖化ガス発生の面からも問題があった。 本技術の適用により,溶解量を削減できるた め,溶解コストが2~3割程度削減されること が期待される. 24 想定される用途と業界,企業への期待 本技術の特徴を生かすためには,遠心鋳造を 利用し,軸受保持器製造を行っている企業, あるいは形状記憶合金パイプ継ぎ手の製造 を行っている企業との共同開発を行いたい. 実機での適用を行い,プロセスパラメータの影 響に関し調査し,早期の実用化を目指す. 25 実用化に向けた課題 現在,アルミニウム系について,巣のない遠 心鋳造製品の製造が可能なところまで開発済 み. 今後,銅合金について実験データを取得し, 実際の遠心鋳造工場に適用していく場合の条 件設定を行っていく. 実用化に向けて,投入可能な切り屑の体積分 率を30%程度まで向上できるよう技術を確立 する必要もあり. 26 本技術に関する知的財産権 発明の名称 :切りくずを利用した遠心鋳造 方法および鋳造材 出願番号 :特願2008-300351 出願人 :国立大学法人名古屋工業大学 発明者 :渡辺義見,佐藤尚 27 お問い合わせ先 名古屋工業大学 産学官連携センター 企画・管理部門 TEL 052-735-5627 FAX 052-735-5542 e-mail [email protected] 28
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