第4章 目標達成に向けた取組み - 諏訪市

第4章
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目標達成に向けた取組み
目標達成のために
前章で提示した目標を達成するため、排出部門ごとの具体的な取組み内容、取組み主体
について示します。◎印の付いた取組み内容は、図表 23 の取組み施策に対応しています。
取組み内容を参考に取組み施策の達成を目指しましょう。
また、取組みを管理改善、行動改善、機器導入、自然利用の 4 つに分類しました(図表
25)。
(図表 25)取組みの分類
分
類
内
容
管理改善
事業所全体、あるいは家庭全体のエネルギーの使用方法を見直す取組み
行動改善
一人ひとりが日常的な行動を見直す取組み
機器導入
省エネルギー効果の高い機器などを導入する取組み
自然利用
再生可能エネルギーを利用して、二酸化炭素排出削減を行う取組み
コラム
再生可能エネルギーの買取制度
2012 年から再生可能エネルギーの普及、推進を目的として、固定価格買取制度がはじ
まりました。
〈対象エネルギー〉
・風力発電
・太陽光発電
・地熱発電
・中小規模水力発電
・バイオマス発電
10 ㎾未満の住宅用太陽光発電も、この制度の対象となります。発電した電力のうち、
家庭で使われなかった余剰分が電力会社に買取られます。買取価格は毎年見直されます
が、一度売電がスタートすると、一定の期間は契約時の買取価格で固定されます。
〈現在の買取価格、期間〉
買取価格
1 ㎾当たり 38 円(税込)
期間
電気の供給開始から 10 年間
(2013 年度現在)
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第4章
目標達成に向けた取組み
2 目標達成のための部門別取組み内容
<①産業部門>
取組み主体:事業者(製造業、建設・鉱業、農林水産業)
(図表 26)産業部門
分
類
取組み内容と取組み例
取 組 み 内 容
取 組 み 例
◎環境マネジメントシステム※12 の利用
ール隊、ESCO 事業者※13 等への診断依頼
◎冷房の温度を上げる
・28℃に設定する
◎暖房の温度を下げる
・20℃に設定する
◎冷暖房は必要な時、場所だけつける
機器導入
・冷暖房を 1 日 1 時間減らす
・不要な場所の冷暖房は消す
◎エアコンのフィルターの定期清掃
・月に 1、2 回の清掃を実施する
◎建物の省エネルギー化
・断熱化改修を実施する
・省エネ機器へ切り替える
◎OA 機器の見直し
行動改善
・ISO14001 を取得する
・省エネ診断の実施、信州省エネパトロ
◎省エネルギー診断の実施
管理改善
・エコアクション 21 の認定を受ける
・省エネモードを利用する
◎不要な照明は消す
・昼休みは消灯する
・蛍光管を LED 照明に替える
◎高効率照明器具の使用
・白熱電球を電球型蛍光管に替える
◎高性能ボイラーの導入
・ビニールハウスへの導入
◎低燃費型建設機械の導入
・低燃費型バックホウの導入
自然利用
太陽光発電導入
・工場の屋根にシステムを設置
太陽熱利用温水器の導入
・工場にシステムを設置する
◎印は図表 23 の取組み施策「省エネルギー対策の実施」に対応した取組み内容です。
※12
環境マネジメントシステム
事業所等が運営や経営の中で、環境に関する方針や目標を自主的に設定し、達成に向けて取り組んでい
くための事業所内の体制・手続き等の仕組みのこと。EMS(= Environmental Management System)
ともいわれます。
具体的には、環境省が策定したエコアクション 21 や、国際規格の ISO14001 等があります。
※13
ESCO 事業者(エスコじぎょうしゃ)
省エネルギーに関する包括的なサービスを提供し、顧客の利益と地球環境の保全に貢献する事業を行う
事業者。省エネルギー効果の保証等により顧客の省エネルギー効果(メリット)の一部を報酬として受取
ります。
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<②家庭部門>
取組み主体:市民(世帯)
(図表 27)家庭部門
分 類
取組み内容と取組み例
取 組 み 内 容
取 組 み 例
◎室内温度を調整する
・緑のカーテンで室温上昇を防ぐ
住宅の省エネルギー化
管理改善
・断熱化改修の実施
◎省エネルギー診断の実施
・うちエコ診断の実施
◎冷蔵庫の設定温度を下げる
・設定温度を強から中へ下げる
◎冷蔵庫を適切に設置する
・上に物を置かない
(放熱効率を上げる)
・壁から離して設置する
◎家庭のエネルギー使用量を記録する
・環境家計簿を利用する
・HEMS※14 を設置する
◎冷房の温度を上げる
・28℃に設定する
◎暖房の温度を下げる
・20℃に設定する
◎冷暖房は必要な時、場所だけつける
◎エアコンのフィルターの定期清掃
◎暖房器具の設定温度を下げる
・冷暖房を 1 日 1 時間減らす
・不要な場所の冷暖房は消す
・月に 1、2 回清掃を実施
・電気こたつ、電気カーペットの設定温
度を大から中にする
・1 日 1 時間視聴を減らす
◎テレビの使用を減らす
・主電源で消すようにする
・画面の輝度を最大→中央にする
◎テレビの明るさを調整する
・週に 1 回画面の掃除をする
行動改善
◎冷蔵庫に物を詰め込みすぎない
・物を入れるのは全体の半分程度までに
する
◎冷蔵庫の開閉を見直す
・開閉の回数を減らす
◎パソコンの利用時間を減らす
・利用時間を 1 日 1 時間減らす
◎電子レンジで調理する
・野菜の加熱に電子レンジを利用する
◎ガスコンロの炎を小さくする
・炎が鍋底からはみ出ないようにする
◎洗濯物はまとめて洗う
・洗濯機の容量の 8 割まで入れて洗う
・使用時間を 1 日 1 分減らす
◎掃除機の使い方を見直す
・集塵パックを適宜取り換える
・電気製品は使い終わったらコンセント
を抜く
◎待機電力を減らす
・主電源で切る
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分類
取組み内容
機器導入
取組み例
◎省エネ家電を購入する
・買替え時にトップランナー製品を選ぶ
◎高効率照明器具を使用する
・蛍光管を LED 照明に替える
・ヒートポンプシステム、家庭用コージ
高効率給湯機を導入する
自然利用
ェネレーションシステムを導入する
太陽光発電導入
・自宅の屋根にシステムを設置する
太陽熱利用温水器の導入
・自宅にシステムを設置する
・入浴は温泉を利用する
温泉熱を利用する
・共同浴場を利用する
地中熱を利用する
・地中熱利用システムを導入する
◎印は図表 23 の取組み施策「省エネ家電への買替え」、「省エネ行動の実施」に対応した
取組み内容です。
※14 HEMS(ヘムス)
Home Energy Management System の略称。電気、ガス等の使用量の表示、家電機器の制御を行うシス
テムのこと。
コラム
日常の行動を改善すると…
家庭での省エネの取組みは 1 回ずつではわずかなものですが習慣化していけば大きな削
減へつながります。また省エネルギーを心がけることは光熱水費の節約にもつながります。
年間CO₂削減量
年間節約額
◎電気こたつの設定温度を強から中に変える
17.1 ㎏
約 1,080 円
◎テレビの視聴時間を 1 日 1 時間減らす
5.9 ㎏
約 370 円
◎画面の明るさを調整する
9.5 ㎏
約 600 円
◎シャワーを 1 日 1 分短くする
29.1 ㎏
約 2,760 円
◎冷蔵庫の設定温度を強から中に変える
21.6 ㎏
約 1,360 円
◎冷蔵庫を適切に設置する
15.8 ㎏
約 990 円
◎冷蔵庫の開閉を見直す
5.7 ㎏
約 360 円
◎ガスの火が鍋底から出ないようにする
5.4 ㎏
約 330 円
◎掃除機の利用意を 1 日 1 分短くする
1.9 ㎏
約 120 円
◎洗濯物はまとめ洗いをする
2.1 ㎏
約 3,950 円
(出典
一般財団法人省エネルギーセンター「家庭の省エネ大辞典 2012 年版」)
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(図表 28)<取組み前>
改善点はどこだろう?
・誰もいない部屋の
電気がついている
・冷気が入ってくる
・古い冷蔵庫を使っている
・古い冷暖房機器を使っている
・コンロの火が鍋底より大きい
・白熱電球を使っている
・光熱費の負担が大きい
(出典
環境省
地球温暖化対策に係る長中期ロードマップ「伝え手のためのイラスト
集」)
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第4章
(図表 29)<取組み後>
目標達成に向けた取組み
こんな家に変えていこう!
◎使わない部屋の
電気は消す
・太陽光発電システム
の設置
・断熱対策の実施
◎低公害車の購入
◎冷蔵庫を省エネ率の高いものに
◎冷暖房機器を省エネ率の高いものに
◎コンロの火は鍋底より小さく
◎照明を蛍光灯、LED照明に変更
・光熱費の負担が減る
◎テレビの視聴時間を減らす
◎HEMS※を設置する
※電気、ガス等の使用量の表示、家電機器の制御が可能
(出典
環境省
地球温暖化対策に係る長中期ロードマップ「伝え手のためのイラスト
集」)
◎印の付いた取組み内容は図表 23 の取組み施策及び図表 27、31 の取組み内容に対応し
ています。日常生活で改善できる点はまだまだあります。20 ページ、21 ページの取組み例、
コラムを参考に取り組んでみましょう。
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<③業務部門>
取組み主体:事業者(第 3 次産業)
、市
(図表 30)業務部門
分 類
取組み内容と取組み例
取 組 み 内 容
取 組 み 例
◎環境マネジメントシステムの利用
ール隊、ESCO 事業者等への診断依頼
◎冷房の温度を上げる
・28℃に設定
◎暖房の温度を下げる
・20℃に設定
◎冷暖房は必要な時、場所だけつける
◎エアコンのフィルターの定期清掃
建物の省エネルギー改修
行動改善
機器導入
・冷暖房を 1 日 1 時間減らす
・不要な場所の冷暖房は消す
・月に 1、2 回清掃を実施
・断熱化改修の実施
・昼休みは消灯する
◎不要な照明は消す
・廊下、トイレ等は未使用時は消灯する
・蛍光管を LED 照明に替える
◎高効率照明器具の使用
・白熱電球を電球型蛍光管に替える
・省エネ機器へ切り替える
◎OA 機器の見直し
自然利用
・ISO14001 の取得
・省エネ診断の実施、信州省エネパトロ
◎省エネルギー診断の実施
管理改善
・エコアクション 21 の認定
・省エネモードを利用する
太陽光発電導入
・事業所の屋根にシステムを設置する
太陽熱利用温水器の導入
・事業所にシステムを設置する
温泉熱・地中熱を利用する
・空調システムを導入する
◎印は図表 23 の取組み施策「省エネルギー対策の実施」に対応した取組み内容です。
コラム
パソコンの使い方を見直すと…
オフィスのOA化に伴い、業務部門の二酸化炭素排出量は全国的に年々増加しています。
事務仕事に必要不可欠であるパソコンの使い方を見直してみましょう。
・使わない時は電源を切る、省エネモードに設定する
・スクリーンセーバーの設定を切る(設定していると描画処理のため電力を消費します。)
・パソコンの利用時間を 1 日 1 時間減らす 年間CO₂削減量 11 ㎏
<④運輸部門>
(出典
約 690 円の節約
一般財団法人省エネルギーセンター「家庭の省エネ大辞典 2012 年版」)
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第4章
目標達成に向けた取組み
取組み主体:市民、事業者、市
(図表 31)運輸部門
取組み内容と取組み例
分 類
取 組 み 内 容
取 組 み 例
・加減速の少ない運転を心掛ける
・アクセルは早めに離す
◎エコドライブの実践①
・冷暖房は適切に使用する
・不要な荷物は乗せないようにする
◎エコドライブの実践②
行動改善
・5 秒間で時速 20km程度に加速する
ゆっくりと発進する
(e スタート※15 の実践)
◎エコドライブの実践③
・荷物の積み下ろしはエンジンを切る
アイドリングストップ※16 を実施する
・5 秒以上停止の場合エンジンを切る
・ノーマイカー通勤デーを設定する
自家用車の使用を減らす
・公共交通機関を利用する
・自転車、徒歩で移動する
機器導入
・低燃費車、電気自動車、ハイブリッド
◎低公害車へ切り替える
車へ買替える
◎印は図表 23 の取組み施策「低公害車へ更新」、
「エコドライブの実践」に対応した取組
み内容です。
※15
e スタート
ゆっくりとした穏やかな発進のこと。最初の 5 秒で、時速 20 ㎞程度が目安となります。
※16
アイドリングストップ
自動車を短期間の駐停車や信号待ちなどの間にエンジンを停止させることです。
コラム
エコドライブを実践すると…?
エコドライブの各取組みで削減できるCO₂の排出量は以下のとおりです。
年間CO₂削減量
年間節約額
・e スタートの実施
194 ㎏
約 11,370 円
・加減速の少ない運転
68 ㎏
約 3,980 円
・早めにアクセルを離す
42 ㎏
約 2,460 円
・アイドリングストップ
40 ㎏
約 2,360 円
(出典
一般財団法人省エネルギーセンター「家庭の省エネ大辞典 2012 年版」)
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<⑤廃棄物部門>
取組み主体:市民、事業者、市
(図表 32)廃棄物部門
分 類
取組み内容と取組み例
取 組 み 内 容
取 組 み 例
・買いすぎに注意する
・食べ残しを減らす
◎ごみの発生抑制
・買物はマイバッグを持参する
行動改善
・4R※17 を心がける
・生ごみの水分を切る
◎燃やすごみの排出抑制
・資源物の分別を徹底する
◎印は図表 23 の取組み施策「ごみの排出抑制」に対応した取組み内容です。
※17 4R(よんアール)
リフューズ(購入拒否)、リデュース(ごみ減量)、リユース(再使用)、リサイクル(再生利用)の略。
コラム
レジ袋を使わなくなると…
現在長野県は「レジ袋削減県民スクラム運動」に取り組んでおり、賛同者には諏訪市
内に店舗のある事業者も多く含まれます。マイバッグを利用し、レジ袋を削減すると2
つの面から二酸化炭素排出量の削減につながります。
①燃やすごみの削減
・レジ袋は1枚あたり 8gであり、諏訪市の全家庭が毎日1枚使うと年間で約 60t。
・このレジ袋を燃やさずに済むと年間で約 17tの二酸化炭素削減になります。
②レジ袋製造に使用する石油資源の削減
・レジ袋を作るには1枚当たり原油 18.3ml が必要となります。
・諏訪市の全家庭が毎日1枚使うと年間で約 746 万枚。このレジ袋を作らずに済むと
年間で約 455tの二酸化炭素削減になります。
(出典
長野県プレスリリース「マイバッグの普及のため長野県全域での「レジ袋無料
配布中止」を提唱します」)
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第4章
3
目標達成に向けた取組み
市の取組み
地域の温暖化対策推進のため、市では率先して以下の取組みを実施します。
○庁内の省エネルギー対策の実施
・地球温暖化対策実行計画(事務事業編)を更新、推進します。
・低公害車の導入を推進します。
・公共施設への省エネルギー、再生可能エネルギー設備導入を検討します。
○情報提供
・省エネルギー、再生可能エネルギー、また地球温暖化に関する情報全般に対して積極
的な情報の提供を行います。
・市広報、ホームページを利用し、市民、事業者に向けた情報発信を行います。
・職員による出前講座の充実、活用を図ります。
・環境教育の普及推進を図ります。
・国、県の地球温暖化対策事業について積極的な情報発信を行います。
○設備導入に係る補助制度
・設備導入に係る補助制度を継続するとともに、拡充を検討します。
<現在実施中の補助制度>
・再生可能エネルギー等導入設置補助金(太陽光、太陽熱、再生可能エネルギー)
・諏訪市生ごみ堆肥化容器等設置補助金
・諏訪市住宅リフォーム補助金(断熱工事等)
○温泉熱・地中熱利用事業の推進
・実証実験の実施、家庭、事業所への導入を検討します(図表 33)。
○交通網の整備
・かりんちゃんバスについて、利用しやすい運行形態を検討します。
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(図表 33)温泉熱・地下熱システム導入事業推進フロー
諏訪市 温泉熱・地下熱システム導入の今後について
モデル事業
情報を公表
美術館・片倉館
システム案
ランニング
コスト
イニシャル
コスト
情報を公表
家庭用冷暖房システム検討
温泉熱・地下熱
専門委員会
産業連携推進室
水道局
生活環境課
冷暖房システム案の検討
ランニングコストの算出
イニシャルコストの算出
HPメーカとの
連携
市内事業者と
の連携
家庭用冷暖房システム公表・モデル事業へ
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第5章
第5章
1
評価と進行管理
評価と進行管理
計画の推進体制
進行管理の流れは、マネジメントの基本的なサイクルである PDCA サイクルにしたがっ
て進行します(図表 34)。
本計画に基づく取組みの PDCA サイクルの概略を以下に示します。
①計画(Plan)
各主体(市民・事業者・市)が、市長からの諮問を受け、環境審議会※18 で答申され、市が
定めた基本計画にのっとり、行動計画をたてます。
②実行(Do)
市民・事業者・市が各々の役割のもと確実に実行し、成果に結びつけます。
③点検・評価(Check)
環境推進会議 ※ 19 では、計画の進捗状況を把握し、各主体に提言し是正を行います
(図表 35)。
④見直し・改善(Action)
環境推進会議・各主体は、点検・是正の結果を受け、推進の見直しを行います。
⑤翌年度の計画(Plan)
各主体は、翌年度目標などを定めた、新たな行動計画を作成します。
※18 環境審議会
市長からの諮問に応じ、施策の修正、行動指針の見直しなどについて確認を行い意見を述べます。
環境推進会議の報告を受け、意見・提言を行います。
※19 環境推進会議
各主体(市民・事業者・市)の代表が参加し連携を取りながら計画を推進する組織です。
計画の進捗状況の把握、見直し、各主体に対する提言を行います。
12
(図表 34)計画の進行
2②実行(Do)
①計画(Plan)
あ
各主体(市民・事業者・市)が
あああ計画を実行
諏訪市地球温暖化対策実行計画、
年度取り組み内容の作成
③点検・評価(Check)
④見直し・改善(Action)
環境推進会議による捗状況の把握
各主体への提言
環境審議会への報告
環境審議会による答申・意見
環境推進会議・各主体は
提言を受け、計画を見直す
(図表 35)推進体制図
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2
計画の見直し
環境状況の変化や社会情勢の変化などに対応し、適切な環境政策を推進するため、概ね 4
年をめどに計画の見直しを行います。見直しに当たっては、総合的な評価のための推計を
検討します。
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