数学の理解を高めるヒント 1 部分分数分解から学ぼう! 1 1 1 1 + + +g + ^ を求めなさい h ^ h ^ h ^ h ^ h ^ h ^ h x+ 2 x+ 3 x+3 x+4 x + 7 ^x + 8h x+ 1 x+2 という問題があります。これは何も知らないと通分して答えることしか頭に浮かばず、 計 算量の膨大さにうんざりしてくるタイプの問題ですが、部分分数分解という手法を用い るととても簡単に答が出せます。 1 部分分数分解とは、 ^ を ^ 1 h - ^ 1 h に変形する手法をいいます。 x+2 x + 1h^ x + 2h x+1 1 1 1 1 は^ と^ をかけあわせたものですね。当然ながら ^ や ^x + 1h^ x + 2h x + 1h x + 2h x + 1h 1 1 1 の方が ^ よりも単純な形です。複雑な ^ を構成する ^x + 2 h x + 1h^ x + 2h x + 1h^ x + 2h 部分的な要素のように考えることもできるでしょう。より単純な「部分的な要素である 1 1 分数」の ^ と^ の引き算の形に「分解」して書き表すことから、部分分数 x + 1h x + 2h 1 分解という名前がついたと考えてください。 ^ を ^ 1 h - ^ 1 h に変形 x+2 x + 1h^ x + 2h x+1 1 1 したように ^ を ^ 1 h - ^ 1 h に、^ を^ 1 h- ^ 1 h x+3 x+4 x + 2h ^x + 3h x+2 x + 3h^ x + 4h x+3 に⋯というように変形するわけです。その上でこれらを与式に代入していくと、与式は 1 ^x + 1h - 1 ^ x + 2h + 1 ^x + 2h - 1 ^x + 3h + 1 ^x + 3h - 1 ^x + 4h +g+ 1 ^x + 7h - 1 ^x + 8h と なり、- ^ 1 h と + ^ 1 h , - ^ 1 h と + ^ 1 h といった隣り合った分数が次々と x+2 x+2 x+3 x+ 3 消え、最終的には ^ 1 h - ^ 1 h だけが残り、ここだけを通分して答を出せばよいと x+8 x+1 いう問題です。 ところで部分分数分解というのは、自然に頭に浮かぶものでしょうか。これに対する 1 を導くこ 答は「ノー」です。 ^ 1 h - ^ 1 h を見たときに、通分して ^ h x+2 x+1 x + 1 ^ x + 2h 1 1 1 とは自然にできるでしょうが、^ を見たときに ^ に分解で h ^ h h ^ x + 2h x+ 1 x+2 x+1 きると発想できるようになることは、訓練を通さないと身に付かないことです。つまり、 1 ^x + 1h - 1 1 という式を、左辺を見て頭の中で計算をしてみて右 ^ x + 2h = ^x + 1h^ x + 2h 辺に至るという流れは自然にできますが、右辺を見て頭の中で計算をしてみて左辺に至 1 るという流れは普通ではありません。 ^ 1 h - ^ 1 h を計算すれば ^ と x+2 x+1 x + 1h^ x + 2h 同じになるという結果を知った上で、敢えて逆順の変形をさせるという、中学校までの 勉強ではほとんど扱うことのなかった頭の動きを要求しています。こうした自然な頭の 動きと逆のことを意識的に行うという発想が、 高校数学の中には結構出てくるのですが、 逆順の頭の流れであることを意識していないために何をやっているのかわからなくなっ てしまうということがよくあるわけです。 1 さて、ここで ^ を部分分数分解することを考えてみましょう。先程の例 x + 1h ^ x + 3h にならって機械的に ^ 1 h - ^ 1 h とするのは「問題あり」です。手順としては自分 x+3 x+1 が自然に理解できる流れから始めて、そこから次のステップに移る態度が大切です。自 然に理解できる流れとは、先程の式での左辺(通分前)から右辺(通分後)への流れで (通分後)を部分分数分解すると ^ 1 h - ^ 1 h (通分前)的な感 x+3 x+1 1 1 じになりそうだと考えながらも、必ず左辺の方、つまり、 ^ を通分して h ^ x + 3h x+1 2 計算するとどうなるのかからスタートします。 実際に通分して計算すると ^ h x + 1 ^ x + 3h 1 1 になりますから、このままでは ^ とは一致しません。 ^ に一 h ^ h h x +1 x+ 3 x + 1 ^ x + 3h 2 致するようにするためには、 となる式を半分にしないといけないはずです。 ^x + 1h ^ x + 3h 1 2 が部分分数分解した式だということになります。 その結果として、1 ( 1 2 ^x + 1h ^ x + 3h 1 では同様にして、 ^ を部分分数分解してみましょう。この場合も x - 1h^ x - 2h 1 1 を通分して計算するという自然な流れから始めます。この計算をする ^x - 1h ^ x - 2h -1 1 1 1 と^ となるので、^ に -1 をかけないと ^ に ^ x - 2h x - 1h^ x - 2h x - 1h x - 1h^ x - 2h 1 はならないことがわかります。この過程を経て ^ = -( ^ 1 h - ^ 1 h 2 x - 1h^ x - 2h x-1 x-2 す。 ^ 1 x + 1h ^ x + 3h になるということを求めていくわけです。 このように逆順の頭の動きを要求する場面が高校数学ではよく出てきます。その時も 発想の基本は同じです。実際に式変形を行う際には、 「確か公式ではこうだったから」と いう「知識」のみに基づいて進めるとドツボにはまる恐れがあることを理解しましょう。 よくわからないから公式に頼って何とか答を出そうとする人がよくいますが、これが数 学をわからなくする原因になっていることに気づいてください。わからないときにはわ かるところまで立ち返ればよいのです。自然な流れから考え始めていくという確かな手 順を追いさえすれば、確実にできるようになります。
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