ISOTISSUE マニュアル(第4版) 20100820KM - ニッポンジーン

ISOTISSUE
Code No. 317-03103(3 回分), 311-03101(30 回分)
マニュアル(第 4 版)20100820KM
Ⅰ 製品説明
Ⅳ 使用例
ISOTISSUE(アイソティッシュ)は、動物組織からゲノム DNA を抽出するた
めのキットです。操作中フェノール、クロロホルムのような有害物質を使用
せず、また、微量遠心チューブを用いるため、操作が簡便です。全工程を
約 3 時間で終了することができます。本品により得られたゲノム DNA は数
十~数百 kbp で、しかも高純度なので、制限酵素の基質や PCR に用いる
ことができます。
試料(組織) 50 mg(1.5 ml マイクロチューブ)
Extraction Buffer 500 µl
ホモジナイズ *1)
20 mg/ml Proteinase K 40 µl
ボルテックスを十分に行う
55℃で 15 分間インキュベート、途中 1~2 回攪拌
5 M NaCl 200 µl
1~2 秒 ボルテックス
Ⅱ 使用上の注意
・ 本品は、試験研究用試薬ですので、医薬品、その他の目的にはご使用
になれません。
・ マニュアル記載内容と異なった取り扱いによるトラブルにつきましては、
弊社では責任を負いかねます。
・ 製品安全性データシート(MSDS)につきましては、ニッポンジーンホー
ムページ(http://www.nippongene.com/pages/products/msds.html)にて
ご覧いただけます。
*2)
(添加した NaCl が溶液中で可能な限り均一な状態になるようにする)
55℃で 5 分間インキュベート *3)
5 分間、氷上に静置 (SDS を含む沈澱が析出してくる)
遠心(12,000×g、10 分間、4℃)
上 清
*4)
等量のイソプロパノール
室温で 5 分間、穏やかに転倒混和
遠心(2,000×g、1 分間)
Ⅲ キット内容
*5)
保存温度: -20℃
1.
2.
3.
4.
5.
6.
7.
8.
Extraction Buffer (*1)
20 mg/ml Proteinase K
5 M NaCl
TE (pH 8.0)
10 mg/ml RNase A (*2)
3 M Sodium Acetate (pH 5.2)
3 M LiCl (*3)
150 mM Sodium Citrate (*3)
(3 回分)
1 ml×2 本
150 μl
0.7 ml
1 ml ×2 本
20 μl
0.2 ml
0.7 ml
0.7 ml
(30 回分)
20 ml
1.5 ml
7 ml
20 ml
0.2 ml
1 ml×2 本
7 ml
7 ml
沈 澱
TE(pH 8.0) 400 µl
タッピングにて溶解させる *6)
10 mg/ml RNase A 5 µl 添加、1~2 秒ボルテックス
55℃で 15 分間インキュベート
20 mg/ml Proteinase K 5 µl 添加、1~2 秒ボルテックス
55℃で 15 分間インキュベート
3 M Sodium Acetate(pH 5.2) 40 µl 添加、
1~2 秒ボルテックス
イソプロパノール 440 µl 添加*7)、1~2 秒ボルテックス
遠心(2,000×g、1 分間)
本品にはイソプロパノール、エタノール、滅菌水は含まれておりません。
(*1) Extraction Buffer に含まれている SDS が析出している場合、37℃で
インキュベートして融解させてからご使用下さい。
(*2) RNase A 溶液中に白い沈殿が析出していることがありますが、品質、
性能に問題はありません。このような場合には、遠心分離し、上清のみを
使用して下さい。
(*3) ご使用前に、Wash Solution を調製して下さい。
Wash Solution 組成(終濃度):
0.3 M LiCl、15 mM Sodium Citrate、75% Ethanol
沈 澱
Wash Solution 1 ml *8) を添加し 洗浄 *9)
Wash Solution 1 ml を添加しもう一度 洗浄
70%エタノール 1 ml で 洗浄 *9)
エタノール *11) 1 ml で 洗浄 *9)
5~10 分間 風乾 *12)
TE(pH 8.0) 200~500 µl で溶解 *13)
genomic DNA 溶液
*14)
調製方法:(30 回分の場合)
キットに含まれている 3 M LiCl、150 mM Sodium Citrate 各 7 ml に、
滅菌水 3.5 ml、Ethanol(99.5%) 52.5 ml を加えて調製する。調製した溶
液は白濁する。調製後は-20℃保存する。
株式会社ニッポンジーン
〒930-0834 富山市問屋町 1-8-7 TEL 076-451-6548 FAX 076-451-6547
E-mail [email protected] URL http://www.nippongene.com/
*9)
*10)
*1) あらかじめ、組織を滅菌処理したはさみなどで細かく刻むか、ポリトロ
ンホモジナイザーなどでホモジナイズしてもよい。
2) マウス各組織から得られたゲノム DNA の制限酵素処理
1
2
3
4
5
6
7
8
1. Marker 6 (λDNA / Sty I )
*2) 組織が完全に溶解しない場合には、Proteinase K のインキュベート時
間をさらに 15~20 分間延長する。ただし、Proteinase K の処理時間が 45
分以上になることは避ける。
2. 心臓ゲノム DNA intact
3. 心臓ゲノム DNA / EcoR I
4. 胃ゲノム DNA intact
5. 胃ゲノム DNA / EcoR I
*3) 溶液の粘性が高く、均一にならないときは、インキュベート時間をさら
に 5 分間延長する。
6. 腎臓ゲノム DNA intact
7. 腎臓ゲノム DNA / EcoR I
8. Marker 6 (λDNA / Sty I )
*4) 遠心操作で上清と沈殿に完全に分離できない場合、ゼリー状の固ま
りや組織残渣を含まないようにできる限り上清のみを取る。ただし、上清と
沈殿にほとんど分離できない状態のときには、そこで抽出を中止し、*1)
のホモジナイズを十分に行ってから抽出する方法に変えるとよい。
Agarose S 0.8% gel,
TAE Buffer 50V 80 min.
Ⅵ トラブルシューティング
*5) 染色体 DNA を損なわないようにできるだけ穏やかにかつ十分に混合
する。
*6) 完全に溶解できない場合には、55℃で 15 分間インキュベートし、指先
で軽くチューブをはじき(タッピング)、溶解させる。また、溶解後白濁してい
る場合、遠心(12,000×g、15 分間)して、沈殿を取らないように上清を得
て、これをサンプルとして用いる。
*7) イソプロパノールの代わりに、2.5 倍量のエタノールを用いてもよい。
*8) Wash Solution の調製方法は、「Ⅲ キット内容」(*3)を参照。
*9) 転倒混和した後、ピペットマンを用いて、DNA 沈殿を吸い込まないよう
に注意深く上清を除去する。
*10) ポリサッカライドなどのコンタミネーションが考えられる場合は Wash
Solution による洗浄の回数をさらに増やしてもよい。
*11) 乾燥を容易にするために行う。省略してもよい。
*12) 真空乾燥機を用いて乾燥してはいけない。沈殿を完全に乾燥してし
まうと溶解性が著しく減少する。
*13) 4℃前後で一晩静置することによってほぼ完全に溶解する。4℃の静
置で溶解しない場合には、55℃でインキュベートする。それでも溶解しない
場合は、ピペットチップの先端 2~3 mm を切って、径を大きくしたものを用
いて、できるだけ穏やかにピペッティングを行う(激しいピペッティングは、
高分子量(>100 kb)DNA を 20 数 kb まで断片化してしまう)。
*14) マウス各組織から得られたゲノム DNA の収量
マウス組織
DNA(µg/mg tissue)
肝臓
腎臓
心臓
0.5 ~ 1
0.2 ~ 1
0.5 ~ 1.5
Ⅴ データ
Q1. 試料が溶解しない、または溶解しにくい。
A1. ・ Extraction Buffer を加える前に試料を滅菌したはさみなどでできる
だけ細かく切り刻んでおく。
・ 試料をポリトロンホモジナイザーなどでホモジナイズする。
・ 加える Proteinase K の容量を増やす。
・ 加える Extraction Buffer の容量を通常の 2 倍にして、試料を希釈して用
いる。ただし、試料によっては DNA の分解が起こる可能性がある。
・ Proteinase K 処理のインキュベート時間を延長する。
・ 試料が熱で変性している可能性がある。Proteinase K 処理の温度を適
当な温度に下げ、反応時間を延長する。(例えば 37℃で 3 時間など)
Q2. 収量が少ない。
A2. ・ 試料が完全に溶解していない場合には、上記 A1. を参考にして溶
解させる。
・ Proteinase K 処理後の遠心分画でゼリー状物質が認められる場合には、
試料に対する Extraction Buffer の容量比を 2 倍にし、ホモジナイズしてか
ら抽出を行う。
Q3. OD260 / OD280 の値が 1.7 以下である。
A3. ・ DNA 沈殿を Wash Solution(0.3 M LiCl, 15 mM Sodium Citrate,
75% Ethanol)で洗浄を繰り返す。
・ 効果がないときは DNA 溶液に、終濃度 300 mM LiCl、終濃度 150 mM
Sodium Citrate を加え、55℃で 15 分間インキュベートした後にエタノール
沈殿を行い、その後 Wash Solution(0.3 M LiCl, 15 mM Sodium Citrate,
75% Ethanol)で洗浄を行う。
Q4. DNA が溶解しない。
A4. ・ ホモジナイズの回数を減らす。
・ 加える Extraction Buffer の量を増やす。
・ 穏やかにピペッティングを行う。(ピペットチップの先端を 2~3 mm 切っ
て、径を大きくしたものを用いる。)
Q5. DNA が切断されている。
A5. ・ ピペッティングをできるだけ避ける。
・ ピペッティングはできるだけ穏やかに行う。(ピペットチップの先端を 2~3
mm 切って、径を大きくしたものを用いる。)
・ 新鮮な試料を用いる。
1) マウス各組織から得られたゲノム DNA
1
2
3 4
1. T4GT7 DNA : 166 kbp
Q6. RNA がコンタミネーションしている。
A6. ・ RNase 処理からやり直す。
2. 肝臓ゲノム DNA
3. 腎臓ゲノム DNA
4. 心臓ゲノム DNA
パルスフィールドゲル電気泳動
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ISOTISSUE マニュアル(第 4 版)20100820KM