(株)東芝

汚染土壌からのセシウム回収技術の開発
㈱東芝
本報告書は、内閣府委託業務「福島第一原子力発電所事故に係る避難区域等における除染実証業務」の一部として、平成23
年度「除染技術実証試験事業」の成果を取りまとめたものです。
従って、本ポスターの著作権は、内閣府に帰属しており、本報告書の全部又は一部の無断複製等の行為は、法律で認められ
たときを除き、著作権の侵害にあたるので、これらの利用行為を行うときは、内閣府の承認手続きが必要です。
事業の概要
 セシウム(Cs)を含む汚染土壌に有機酸を添加してCsを液中に溶離後、吸着剤を用いてCsを回収する技術を実証する。
 常圧、100℃未満でCsの溶離、回収が可能で且つ使用済みの有機酸を水と二酸化炭素に分解し、二次廃棄物発生量が
少ないプロセスの成立性を確認する。
実施内容
土壌からのCs除去フロー
 常圧処理による安全・簡易な手法として、有機酸である
シュウ酸による、汚染土壌からのCs溶離及び溶離液のリ
サイクル・分解の可能性を確認。
 ラボ試験:実験用土壌による効果の確認
 実証試験:福島県で採取した汚染土壌による実証
Cs溶離プロセス
土壌の
採取
固液
分離
除染土壌
Cs吸着プロセス
目標
Csの
回収
溶離液
溶離液の投入
溶離液の
リサイクル・分解プロセス
①シュウ酸による汚染土壌からのCs溶離回収システムの確立
②安価で運搬可能な装置システムの構築
③除染目標数値 : 8000Bq/kg以下
試験・評価結果
Cs溶離プロセス
Csの
溶離
線量
測定
分離
吸着剤の投入
溶離液
溶離液のリサイクル
100
溶離率/[%]
シュウ酸の
再利用可能
ゼオライト無
シュウ酸+過酸化水素
→ 二酸化炭素+水
分解前
分解後
設計条件
汚染土壌処理量
5 トン/日
溶離液
シュウ酸、1.0mol/L
液固比
50 溶離液体積(L)/土壌重量(kg)
溶離温度
80∼95℃
溶離時間
1 時間
溶離回数
1 回 ※1
上
m
85
0u
m
以
0μ
m
85
10
m
45
∼
μ
30
10
シュウ酸
供給装置
シュウ酸
サージタンク
0.8
減容可能
0.6
0.4
1/20
0.2
1/200
セシウム溶離
プロセス
溶離槽
⑤
シュウ酸分解
プロセス
②
⑥
セシウム回収
プロセス
セシウム
吸着塔
④
⑨
紫外線照射装置
③
ドレン
受けタンク
⑦
⑧
分解ループ
サージタンク
0
ケ
イ
ト
ル
モルデナイト フェロシアン化
ニッケル
シ
ア
ン
化
ニ
ッ
モ
ル
デ
ナ
土
フ
ェ
ロ




過酸化水素
0%
①
1
土
溶離液からのCs回収可能
廃棄物の減容可能
=吸着剤=
・ゼオライト(モルデナイト)
・フェロシアン化ニッケル
二次廃棄物
発生量
二次廃棄物発生量(倍)
土壌からのCs溶離率93%
(1.0mol/Lシュウ酸、処理温度95℃、液固比50ml/g、繰り返し5回)
Cs溶離プロセス
水
20%
※1 システムは繰り返し溶離も可能とする。
5
45
2
3
4
繰返し回数/[回]
0
0μ
0
0∼
0.0
40
10
m
鉄溶出量(1.0mol/L,95℃)
溶離率(0.05mol/L,80℃)
溶離率(1.0mol/L,95℃)
60%
40%
項目
20
30
80
0μ
40.0
シュウ酸
システム成立性評価
基本設計条件
30
0∼
120
処理前
シュウ酸1.0mol/L 95℃
40
以
下
60.0
放射能分布
(初期土壌の放射能を100とする)
160
鉄溶出量/[mg]
Cs溶離率/[%]
80.0
50
二酸化炭素
80%
割合
シュウ酸は分解可能
(水、二酸化炭素)
(COOH)2+H2O2→2CO2+2H2O
200
ゼオライト有
100%
化学式
後
100.0
20
0
溶離液の分解
Csイオンの溶け出し
変化無
40
シュウ酸添加により土壌構造を
壊し、Csを溶かし出し易くする。
構造が壊れる
低下
60
(1.0mol/Lシュウ酸:25回)
金属成分の溶け出し
1 回目
2回目
80
金属とシュウ酸の化合物
処理前後の溶離液
まとめ
二酸化炭素
紫外線照射
やめる
シュウ酸の添加
1
排水
リサイクル
シュウ酸イオン
Csイオン
カリウムなど
処理後 約450Bq/kg
20.0
分解
溶離液のリサイクル・分解プロセス
溶離原理
処理前 約5000Bq/kg
前
廃吸着剤
Cs吸着剤
セシウム溶離 :土壌は外観上変化なく、土壌中のCsの93%を除去できることを確認 。
セシウム回収 :吸着剤を用いることで、二次廃棄物発生量が少なく、減容が可能であることを確認。
シュウ酸分解 :シュウ酸は水と二酸化炭素に分解可能なことを確認。
システム成立性 :基本設計条件で、処理容量5トン/日の処理装置の概念設計を実施。
: 溶液の流れ