赤血球の見方 赤血球の見方

基本的な尿沈渣の見方①
基本的な尿沈渣の見方①
赤血球の見方
赤血球の見方
H22年6月20日(日)新人サポート研修会
名古屋第二赤十字病院 安土 みゆき
正しい尿沈渣の見方とは?
正しい尿沈渣標本の作製
尿沈渣検査法2000
このテキストが標準法です
尿の撹拌
硝子棒などによる攪拌
手回しによる攪拌
スピッツ尿は転倒混和
尿沈渣用スピッツに移す
10ml入れる
スイング型遠心器で500G・5分遠心する
rpm=1000×√500/(11.18×R)
R:半径
R=16cm
rpm=1700
上清の排出
アスピレート法
デカント法
沈渣量 0.2ml
尿沈渣の混和
スポイドで強く泡立てないようによく混和する
染色液は1滴約50μl加え混和する
沈渣の積載
専用スポイドで尿沈渣を
15μl載せる
カバーリング
カバーグラスの中心部
を真上から水平にかぶ
せる
不適切な標本
気泡が入り濃淡がある
旨くできた標本
均一にカバーリングできて
いる
・弱拡大で全視野(WF)を観察後、強拡大にする
《弱拡大(LPF:100倍による鏡検》
1. 標本内の有形成分が均等に分布していることを
確認する。
2. 開光絞りを絞り、硝子円柱、細胞集塊を見落とさ
ないようにする。
《強拡大(HPF:400倍)による鏡検》
1. 20∼30視野観察することが望ましいが最低10
視野を観察する。
・鏡検時、次のことを参考にする
尿の採取法
沈渣の外観
尿定性
前回値
年齢
性別
診療科
その他の検査データ(生化学、血液など)
・尿沈渣成分の見る順番を決めておく
例
まず視野全体を見る(細菌、真菌、結晶など)
↓
赤血球
↓
白血球
↓
上皮類
↓
円柱
まず、無染色で観察し必要に
応じてS染色をする。
無晶性塩類で他の尿沈渣成分が
わからないときは?
PH5.0
尿酸塩
PH7.5
リン酸塩
尿沈渣にEDTA加生理食塩水を加える
EDTA加生理食塩水
良く混和して遠心する
(洗浄する)
無晶性塩類
EDTA加生理食塩水で洗浄後
赤血球の見方
血尿とは?
2006年に血尿診断ガイドラインが
発刊された
《血尿の定義》
*血尿とは尿に赤血球が混入した状
態であり、腎・泌尿器系疾患の診
断・治療のための重要な症候である。
血尿の診断は通常、尿色調の観察、
尿定性・半定量検査による尿潜血反
応、顕微鏡的検査である尿沈渣検査
によって行われる。
メルクマニュアル家庭百科より
血尿の分類
1)肉眼的血尿
:色調により本人が気づく血尿
2)顕微鏡的血尿:尿潜血反応または顕微鏡によって
はじめて観察される血尿
3)無症候性血尿:何らの症状も伴わず偶然の機会に
検尿で発見される血尿(チャンス血尿)
4)症候性血尿 :何らかの臨床症状を伴う血尿
血尿のカットオフ値
1)尿試験紙法
尿潜血反応(1+)ヘモグロビン0.06㎎以上/dL
を陽性とする。
2)尿沈渣検査法
赤血球5個以上/HPF(400倍強拡大1視野)
を血尿とする。
また、無遠心尿でのフローサイトメトリー法
(FCM法)では20個以上/μLを血尿とする。
尿中でみられる赤血球の形態
・大きさは6∼8μmで中央がくぼんだ円盤状である。
(淡い黄色調を呈している)
・浸透圧やPHなど尿の性状及び出血部位によって種々
の形態を示す。
尿の性状でどのように変化するの?
・高浸透圧尿
・高比重尿
・低PH尿
萎縮状(金平糖状)
・低浸透圧尿
・低比重尿
・高PH尿
膨化状
出血部位によってどのように変化するの?
(2005年)
均一赤血球
変形赤血球
isomorphic RBC
dysmorphic RBC
変形赤血球判定基準(JCCLS試案)
低頻度変形
変形率5∼40%未満
一部多彩性と認められる
中等度変形
変形率40∼80%未満 多彩性を疑う
高頻度変形
変形率80%以上
強い多彩性を疑う
現在、赤血球形態の判定基準の見直し案が
出されている。
JCCLS
検索
変形赤血球の出現機序は?
★損傷糸球体基底膜を通過する時の機械的ダメージ
★ネフロン通過の際の浸透圧や尿成分の変化および
急激な環境変化
★両者の混合による変化
多彩な形態
注)尿細管が強く傷害されネフロン自体の機能が低下
している場合は糸球体からの出血にもかかわらず赤血
球形態に変化を示さないことがある。
均一赤血球
均一赤血球
均一赤血球
均一赤血球
変形赤血球
変形赤血球
変形赤血球
血尿における尿沈渣の見方のポイント
1.弱拡大で赤血球の確認、ついで円柱の出現を観察
する。
2.強拡大にして赤血球形態、円柱の種類を観察する。
円柱内成分として赤血球を3個以上認められたときは赤血
球円柱と判定する。赤血球円柱の多くは糸球体由来と考え
られる。従って赤血球円柱を認めた場合は赤血球形態が不
明であっても糸球体性の血尿と診断できる。
赤血球円柱
赤血球円柱
赤血球円柱
赤血球円柱
血尿を呈する代表的な疾患は?
非糸球体性の血尿を呈するもの
・膀胱炎、尿路結石、尿路の悪性腫瘍、前立腺炎、間質性
腎炎、嚢胞腎、急性腎盂腎炎、腎奇形、腎腫瘍、全身疾患
に伴う血尿
糸球体性の血尿を呈するもの
・急性糸球体腎炎、IgA腎症、ループス腎炎、HUS、糖尿病性
腎症、紫斑病性腎炎、Alport症候群やFabry病などの遺伝性
腎炎など
尿潜血反応と尿沈渣赤血球の結果の関連性①
潜血反応
(−)
(+−)
(1+)
(2+)
(3+)
尿沈渣
赤血球数
0∼
1/5∼9
1/20∼
10∼19/1
1/4∼9∼
30∼49/1
5∼9/1∼
50∼99/1
10∼19/1
∼100以上/1
*2006年そこが知りたい尿沈渣検査(横山貴他)より
尿潜血反応と尿沈渣赤血球の結果の関連性②
潜血反応
(-)
尿沈渣赤血球
(-)
(+)
異常なし(血尿なし)
・試験紙の劣化
・高比重尿
・アスコルビン酸その他強力な還元性物質含有尿
・カプトプリル含有尿
・尿の攪拌が不十分なとき
・多量の粘液成分(塩、結晶)の混入
・誤認(酵母、白血球、上皮の核、シュウ酸ca、でん
ぷん粒、油滴、脂肪球、精子の頭部、レシチン顆
粒など)
(+)
・尿が古いとき
・高アルカリ性尿/低張尿
・ヘモグロビン尿
・ミオグロビン尿
・細菌の増殖(ペルオキシダーゼ作用)
・高度の白血球尿/細菌尿
・精液の混入(ジアミンオキシダーゼ)
・見落とし
血尿あり
赤血球と間違えやすい尿沈渣成分
1.酵母様真菌
2.シュウ酸カルシウム(ビスケット型)
3.脂肪球
4.レシチン顆粒
*それぞれの尿沈渣成分の特徴をよく知る
*赤血球は酢酸によって溶血する
酵母様真菌
酵母様真菌
シュウ酸Ca
シュウ酸Ca
シュウ酸Ca
レシチン顆粒
レシチン顆粒(S染色)
赤血球多数のためその他鏡検不可としますか?
酢酸で赤血球を溶血させてみる
酢酸滴下後
・赤血球は腎、尿路疾患を示唆する重要な尿沈渣
成分である。
・赤血球は、尿の性状や出血部位によって様々な
形態を示す。
・日常的にはよくみられる成分だが、尿沈渣中に
は様々な成分が混在し、赤血球と間違えないよう
うにそれぞれの尿沈渣成分の特徴を熟知してお
こう。
次は白血球の見方です。