未到の生産量を誇る生産拠点 技術拠点としても存在感を出す 1つの工場としては、世界で最多の油 合肥には約100名からなる研究開発 圧ショベル生産量を誇る安 部門があり、日本で開発された技術や製 省合肥市 の日立建機(中国) 。金原は、この世界一 品を中国で評価し、カスタマイズしてい の生産拠点のポテンシャルをさらに引き る。 「モデルチェンジの時などは、ここか 上げようとしている。 ら土浦に派 遣して日本の開発チームを 昨年末には年間生産計画を前倒しし、 支援する場合もある」という。 2012年で2万4000台を、一気に3万 生産拠点のみならず、技術拠点として 台に引き上げた。13年にはさらに3万 も存在感は高まっているのだ。 6000台を目指す。誰も り着いていな 担保するのは、やはり “人” 。日立建機 (中国)では、優れた人材育成のシステム い未踏の数である。 実現するためには、コンポーネントの として、合肥職業訓練校とタイアップ。2 現地化が伴を握る。輸入部品比率を抑 年次から2年間特別教育を行い、そこか えることで、他メーカー、とりわけ台頭著 ら成績優秀者のみを入社させている。技 しい中国国内メーカーにスピードとコス 術、技能だけでなく、日立建機のモノづく トで対抗する。 り思想から学ぶ事ができ、日本より社員 「いま取り組んでいるのは、コンポーネ 金原正起 教育のリードタイムが短くて済む。 ントの中国現 地化。油圧機器など心臓 世界一の生産量は、これらさまざまな 部は日本の土浦で開発するが、それ以外 「日立建機品質」への取り組みがあって のところは徐々に現地化を図っていく予 日立建機(中国) 董事総経理 はじめて実現されるのである。 定です」 世界中で培ったノウハウを集約 現地の人がときめく総合品質を提供 数々の国の海外経験がある平岡は、 各 つまり、グローバル企業にとって現地 「品質に対する要求は、この中国でも 化は当然のこととして、問題はその現地 間違いなく高まっている。工事の質も上 化をどう行うか。それは現地の人々が長 がっているし、納期に対する要求も厳し く勤められる「ときめく会社」 を創ってい くなってきた。環境に対する関心も高い。 くことにあるというのだ。 だから、中国のお客 様は日本 製品の品 日立建機(上海) 董事総経理 平岡明彦 10 2011 Spring & Summer 「ときめき」だ。 国のユーザーの様々な特性を知り尽くす。 「中国の方はより良い条件を求めて転 質の高さをよく知っています。 『 間違いな 職を繰り返すと言われますが、そうでは い製品だ』と」 ない。一緒に会社を創っていこうと思え それは単に機械的品質だけではない。 るか。自分が必要とされているか。仕事に 納期や納車、定期巡回、緊急時の部品 ときめきがあるかということを重視する。 のサプライ、人々の対応まで含めての “総 それがあって、ときめく製品と総合品質 合品質” を意味する。 は生まれてくるんです。 一方で、中国の国内メーカーの追随は 人脈やネットワークでは、中国企業が 激しく、その戦略は明確だ。基幹部品を 有利でしょう。でも我々には世界中で培 外部調達し、優 秀な人材は他からスカ ってきたさまざまな経験と技術、マネジ ウト。中国企業 独自のネットワークもあ メント力がある。それらの資産を地域地 る。そのメッシュもだんだん細かくなって 域に合った形に組み合わせ、日立建機品 いく。ではその時、日立建機はどうする 質に磨き上げれば、必ず社員もお客様も のか。平岡は意外な言葉を口にする̶̶ ときめくはずです」
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