~ミカンの隔年結果(裏年)の対応と今後の技術対策~ ~ミカンの隔年

平成20年8月
発行
第73号
~ミカンの隔年結果(裏年)の対応と今後の技術対策~
~ミカンの隔年結果(裏年)の対応と今後の技術対策~
温州ミカンの隔年結果は、高品質果実を生産するた
めに樹勢を低下させたり、密植や成らせ過ぎ、剪定不
足等が原因で樹の栄養バランスが崩れることで起こり
ます。これに、近年の異常気象による夏季の高温乾燥
がさらに樹勢を低下させて隔年結果を助長しています 。
本 年 の 着 花 指 数 は 、 極 早 生 で は 9.2 と や や 低 い 程 度
で し た が 、 早 生 温 州 で は 6.2 と 過 去 最 も 低 く 、 園 地 や
樹によるバラツキが極めて大きく、県内でも紀南地方
は特に少なく、隔年結果が強くなっています。
今後の管理作業としては 、極早生温州は早期に摘果し肥大を促進させ 、高品質でM 、
L級の果実になるように仕上げ摘果を 8 月上旬までに行います。早生温州では、着果
の少ない樹は粗摘果は行わず、 9 月下旬からの樹上選別を中心に行います。着果過多
樹は 7 月 10 日頃まで樹冠上部 40 %を全摘果し、夏芽を出させます。着果中程度樹は
樹 冠上部 20 %を 全摘果 し、亜 主枝・ 側枝の上向 き果を摘果します 。夏季に降雨が 少
ない場合は、早急に灌水を行い樹を弱らせないことが大切です。着果の少ない樹は次
年度は表年樹となり着花過多になるので、着花量を減らし、栄養生長の促進のために
切り返し剪定をできるだけ早く行い、連年安定生産を目指しましょう。
紅南高生産の取組について
紅南高生産の取組について
~摘枝・摘葉による南高果実着色試験~
~摘枝・摘葉による南高果実着色試験~
紅南高の生産技術確立のため、試験園を上富田町の水田転換園
に設置しました 。摘枝・摘葉は 5 月 30 日および 6 月 6 日に行い 、1
区 あたり 亜主枝 3 本に 対し 刈り込 み鋏や 剪定鋏 を用 いて処理し、
果実に日光が当たるようにしました。
果実表 面の 3 割以上 に濃 い紅色 がつい た果実 を紅 南高と判定し
ました。紅南高は処理 1 週間後から出来はじめ、収穫日の 6 月 18 (摘枝・摘葉処理)
日の紅南高数は、 5 月 30 日処理区で 1,050 果中 663 果( 63.1 % )、 6
月 6 日処理区では 713 果中 298 果( 41.8 % )、対照区では 609 果中 15
果( 2.5 % )でした 。なお 、日焼け果の増加は見られませんでした 。
以上の結果から、摘枝・摘葉は収穫の 1 ~ 2 週前に処理するこ
とにより着色するため 、紅南高生産に有効な方法と考えられます 。
今後の生育状況等については、継続して調査します。
(着色処理区)
これからも付加価値の高い青ウメを生産するため、技術の普及
〔処理 2 週間後〕
に取り組んでいきます。
発
行:西牟婁振興局 産業振興部 農業振興課
〒 646-8580 田辺市朝日ヶ丘 23-1
TEL: 0739-26-7941
FAX: 0739-26-7945
E-mail: [email protected]
HPアドレス : http://www.pref.wakayama.lg.jp/prefg/130600/130651/index/index.htm
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~ウスイエンドウ栽培に取り組んでみましょう!!~
~ウスイエンドウ栽培に取り組んでみましょう!!~
ウスイエンドウは、和歌山県を代表する
野菜のひとつです。
西牟婁管内では、温暖な気候条件を活か
して、海岸地域を中心に栽培されていて、
昨年度の栽培面積は約 8ha で年々増加してい
ます。
ウスイエンドウは他の野菜と比べて、販
売価格が安定し、経費を抑えて栽培出来る
ので収益性が高く、また軽量野菜で重労働
が少ない等の利点もあります。
特に「夏まき年内どり」の作型では、 8 月
下旬から 9 月上旬に播種するので、生育初期は夏季高温時にかん水等こまめな管理作
業が必要になりますが、販売単価が高い年内からの収穫が可能で、無霜地域では春先
まで継続して収穫出来ます。また、霜の降りる地域では「秋まき春取り」の作型と組
み合わせることによって、長期間の収穫が出来ます。
こ の よ うに ウ ス イ エ ンド ウ 栽 培で は 、作 型を 組 み合 わせ る こと で、 11 月 か ら 5 月
頃までの長期間の収穫が可能となりますので、経営の主幹品目としても有望です。
興味をお持ちの方は、少しの面積からでも取り組んでみてはいかがでしょうか。
詳細については、最寄りのJA又は農業振興課まで是非お問い合わせ下さい。
~西牟婁管内の山菜類を活用した遊休農地解消の取組み~
~西牟婁管内の山菜類を活用した遊休農地解消の取組み~
◎現
状
西牟婁管内においても、近年、農業後継者の減少や農業就業者の高齢化、鳥獣害
等により、遊休農地が増加しています(166ha:2005年農林業センサス )。特に山間
地では、立地条件の悪い場所が多く遊休化が進んでいます。
◎対 策
県では、増加する遊休農地の解消を図るため、優良な農地づくりと農地の流動化
の促進への取組みを進めています。その支援策の一つとして、今年度から『和歌山
版果樹産地づくり総合支援事業』が始まり、生産活動の再開等により遊休農地の解
消に要する経費に対する支援を行っています。
◎ 山菜類 を 活用 した 取組 み
山菜類は省力的で省投資な品目であり、西牟婁管内では現在、山間部を中心に県
林業試験場、JA紀南と連携しながら栽培を推進しています。品目としては、ヤマ
ブキやワラビ、イタドリに加え、有望品目としてコゴミ、ウルイなどについて、す
さみ町に設置した栽培実証展示ほを中心に、効率的な増殖方法等について栽培試験
を行っています。
(コゴミ : 収穫4月)
(ウルイ : 収穫4~5月)
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~太陽熱土壌消毒のパワーアップ法~
~太陽熱土壌消毒のパワーアップ法~
太 陽 熱 を 利 用 し た 土 壌 消 毒 は 、 作 物 の土 壌 病 原 菌 を殺
す 有 効 な 方 法 と し て 広 く 導 入 さ れ て い ます 。 し か し 、そ
の 年 の 天 候 に よ っ て 効 果 が ば ら つ く な どの 問 題 点 が あり
ま し た 。 昨 年 度 、 県 農 業 試 験 場 に お い て、 土 壌 消 毒 効果
を よ り 高 め る 方 法 が 実 証 さ れ 、 西 牟 婁 管内 で も 、 田 辺市
稲 成 町 の カ ス ミ ソ ウ 栽 培 ハ ウ ス に お い て 、 7月 11日 よ り
現地実証を行っています(以下、技術のポイント )。
・ 土 壌 消 毒 期 間 中 、 地 温 上 昇 に 最 適 な 土 壌 水 分 ( 30~ 40% ) を 維 持 す る 。
・トンネル被覆することで、土壌深くまで地温を上昇させる。
・土壌消毒後、消毒した土を動かさず不耕起で定植する。
~そばの栽培で地域に活力を!~
~そばの栽培で地域に活力を!~
農業振興課では、遊休農地の解消や地域の活性化を目
的にそばの栽培推進を行っています。
昨年度は 、管内各地で 150 a が栽培されました 。中でも 、
秋津川振興会(田辺市)では、地場産そばを使った「そ
ば打ち体験」をスタートしました。短時間ででき、その
場ですぐに食べられるとあって、参加者からは「とても
楽しい」と好評です。白浜町でもそば打ち体験への取り
組みが始まっています。
また、龍神村の宮代小学校では、総合学習としてそば
(秋津川そば打ち体験の実施)
の栽培に取り組み、親子で打ったそばを地域の高齢者の
皆さんを招き、 3 世代でおいしく食べて交流しました。
そ ば は 、そ の 昔 西 牟 婁地 方 で も 各 家 庭で 栽 培 され 、「そ ばが き 」と して 食 べら れ て
いたそうです。
~認定農業者になりましょう!~
~認定農業者になりましょう!~
認定農業者制度は、担い手の育成・確保のためにつくられた国の施策で、農業経営
に 関する 支援は 、認 定農業 者を中 心として重点 的に実施されます 。特に、平成 19 年
~ 21 年の 3 年間を「集中改革期間」として下記の制度資金等が強化されています。
◎ 制度資金 の 無利子化 (JA又は農業振興課にご相談下さい 。)
農 地 取 得 可能 な ス ー パ ーL 資 金 や 農 業 用機 械 ・ 倉 庫 の導 入 が 可 能 な近 代 化 資 金 が あ
ります。
資金名
スーパーL資金
近代化資金
金 利
無利子 ※ 500 万円以上の資金が対象です。
融資率
100 %
償還期間 25 年(うち据置期間 10 年)以内
15 年(うち据置期間 7 年)以内
◎ 農業者年金 への 助成 (JA又は農業委員会にご相談下さい 。)
基本となる保険料(月額 20,000 円)に対して 、次のような保険料への助成があります 。
◇ 35 歳未満青色申告者 20,000 円の保険料に対し、 10,000 円( 50 %)助成
◇ 35 歳以上青色申告者 20,000 円の保険料に対し、 6,000 円( 30 %)助成等
● 認定農業者 になるには
市町長が「農業経営改善計画」を認定します。市町の農業担当課にご相談下さい。
● 認定農業者 について
集落や団体などの会合での勉強会又は個人的に、認定農業者について知りたいとい
うようなことがありましたら農業振興課にご連絡下さい。
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~西牟婁地方の各グループリーダーを紹介します!~
~西牟婁地方の各グループリーダーを紹介します!~
農業士会連絡協議会
(会員178名)
たなか
生活研究グループ連絡協議会
(会員 305 名)
かずまさ
会長:田 中 一 正 さん
人の和、地域の絆を
強め、より魅力ある
農業士活動に取り組
んで参ります。
い い だ
し ず こ
会長:飯田 静子さん
若い世代に食の大切
さを伝えるため、食
育活動に取り組んで
参ります。
4 Hクラブ連絡協議会
(会員 34 名)
たまき
よしひろ
会長:玉 置 貴 啓さん
ク ラ ブ員 の 交流 や研 修
活 動 を通 じ て、 仲間 づ
く り と資 質 向上 に取 り
組んで行きます。
~「まるかじり!和歌山のうまいもんと観光展」開催!!~
~「まるかじり!和歌山のうまいもんと観光展」開催!!~
「梅の日」は、田辺市など紀南の梅産地の各団体で作る「紀州梅の会」が、毎年 6
月 6 日を「梅を贈って健康を祝し、ロマンを語る日」として定め、平成 18 年から始
まりました。その記念行事の一環として、 6 月 7 日に神奈川県のさいか屋横須賀店で
開催中の「まるかじり!和歌山のうまいもんと観光展」に、田辺市と県の関係者が参
加し、PR活動を行いました。
梅ジュースの作り方講習として、先着 50 名を対象に
500 g の 梅 と 砂 糖 を 使 っ て 、 梅 ジ ュ ー ス を 作 っ て も ら
いました。凍った梅を使ったジュース作りは初めてと
いう方が多く、メモを取る方や、説明だけでもと後ろ
で聞く方、パンフレットを持ち帰る方など大勢の方が
集まりました。ジュースの試飲では、さっぱりして美
味しいという意見が多く、イベントは盛況に終わりま
した。
(ジュース作りの様子)
~平成20年度
~平成20年度 西牟婁振興局
西牟婁振興局 産業振興部
産業振興部 農業振興課の体制~
農業振興課の体制~
西牟婁地方の農業振興に全力で取り組んで参りますので引き続き、ご支援、ご協力
のほどよろしくお願いします。
課 長 北原 照一
産地第一グループ
産地第一グループ
主 任 赤木 芳尊
主 査 中 一晃
副 主 査 行森 啓
技 師 大山 智史
産地第二グループ
産地第二グループ
主 査 林 孝史
主 査 村上 豪完
副 主 査 田中 輝勇
技 師 栗山 温子
猟友会事務局
連絡先:TEL・FAX
0739-26-7729
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担い手グループ
主 任 片山 泰弘
副 主 査 服部 龍二
副 主 査 山下 京子
技
師 浅井 千晶