肩甲帯と胸郭から、 体幹機能・呼吸機能の診方をかえる! ~構造と機能

関町病院 リハビリテーション科
磯谷隆介
機能が破綻すると構造が変わる
構造を見ればその機能がわかる
肩甲帯は自由故、
破綻した機能を表現しやすい構造となる
肩甲帯の構造がわかれば全身の機能が把握可能
① .肩甲帯の動き
肩甲帯の構造
肩甲帯は(肩甲骨・鎖骨・胸骨・第1肋骨・第1胸椎)
で構成されている。
<コツその1>
肩鎖関節・胸鎖関節を軸にして胸郭の上をどのように動くかイメージする。
<コツその2>
胸骨・第1肋骨・第1胸椎のリングをイメージする
肩甲帯の動きによってリングがどう立体的に動くか
② .胸郭の対応
矢状面
-肩甲帯が小さく動くと上位胸郭(1-3肋骨)から動く
-肩甲帯が大きく動くと中位胸郭(4-7肋骨)まで動く
前額面
-肩甲帯が小さく動くと中位胸郭(4-7肋骨)から動く
-肩甲帯が大きく動くと下位胸郭(8-10肋骨)まで動く
小
上位胸郭
大
中位胸郭
② .胸郭の対応
肩甲帯からの体幹機能評価
肩甲帯
矢状面
水平面
前額面
胸椎
肋骨
重心
前傾
屈曲
前方回旋
後
下制
後傾
伸展
後方回旋
前
後退
内転
右回旋
後方回旋
左後・右前
前方牽引
外転
左回旋
前方回旋
右後・左前
挙上
上方回旋
右側屈
右
下制
下方回旋
左側屈
左
内転
右回旋
後方回旋
左後・右前
外転
左回旋
前方回旋
右後・左前
回旋
側屈
屈伸
並進
骨盤拳上
上肢拳上
片脚
Weight Shift
胸鎖関節
肩鎖関節
挙上
③.横隔膜との関連
外側弓状靭帯:腰方形筋
①胸骨部:前後径の拡大(上位肋骨)
②肋骨部:横径・肋骨下角の拡大(下位肋骨)
③腰椎部:垂直径の拡大、腰椎・下肢の支持
内側弓状靭帯:大腰筋
「統合」=①+②+③
挙上
肩甲帯
前傾
横隔膜胸骨部
呼気位
胸郭
横隔膜
肩甲帯
前後径の縮小
肋骨
呼気 拳上・前傾 前方回旋(下制)
胸椎
横隔膜
屈曲
拳上(弛緩)
「統合」=①+②+③
下制
肩甲帯
後傾
横隔膜胸骨部
吸気位
横隔膜
肩甲帯
前後径の拡大
胸郭
肋骨
吸気 下制・後傾 後方回旋(挙上)
胸椎
横隔膜
伸展
下制(収縮)
「統合」=①+②+③
前方牽引
肩甲帯
外旋
横隔膜肋骨部
呼気位
横隔膜
呼気
横径・肋骨下角の縮小
胸郭
肩甲帯
肋骨
胸椎
横隔膜
外旋
前方回旋(下制)
左回旋
挙上(弛緩)
「統合」=①+②+③
後退
肩甲帯
内旋
横隔膜肋骨部
吸気位
横隔膜
吸気
横径・肋骨下角の拡大
胸郭
肩甲帯
肋骨
胸椎
横隔膜
内旋
後方回旋(挙上)
右回旋
下制(収縮)
治療
横隔膜
胸郭
横隔膜の状態によって治療を変える
横隔膜
胸郭
肩甲帯
①肩甲帯:胸郭拡張方向へ筋トレ
拳上(弛緩)
下制位 ②胸郭:拡張方向へmobilization
=柔らかい
②横隔膜:部位を意識した吸気ex
胸郭と肩甲帯の動ける幅がない
横隔膜が機能できる幅がないので
肩甲帯から胸郭の動きを作る
呼気位
横隔膜
胸郭
治療
横隔膜
胸郭
肩甲帯
①横隔膜:弛緩させるStretch
下制(収縮)
拡張位 ②胸郭:下制にアシスト
=固い
③肩甲帯:胸郭下制方向へ筋トレ
吸気位
横隔膜の柔軟性低下
 交感神経系が優位でrelax出来
ていないので横隔膜から動きを作る
(
呼吸の肢位
矢状面
前額面
)
肩甲帯
肋骨
胸椎
呼気(機能不全)
拳上・前傾
前方回旋(下制)
屈曲
吸気(柔軟性低下)
下制・後傾
後方回旋(挙上)
伸展
評価から
呼気(機能不全)
外旋
前方回旋(下制) 左回旋
吸気(柔軟性低下)
内旋
後方回旋(挙上) 右回旋
治療へ
呼吸誘導
肩甲帯
胸郭
横隔膜(部位・治療)
腰椎部
矢
状
面
吸息
①下制・後傾 ②前後径:挙上 ③胸骨部:アシスト
③腸腰筋
:収縮
呼息
③拳上・前傾 ②前後径:下制 ①胸骨部:stretch
①腸腰筋
:stretch
前
額
面
吸息
①内旋
②横径:挙上
③肋骨部:アシスト
③腰方形筋
:収縮
呼息
③外旋
②横径:下制
①肋骨部:stretch
①腰方形筋
:stretch
※①~③の順に治療すると効果的