腱板損傷に対するリハビリテーションプロトコール 術後の状態 腱板手術後の外転装具による固定 肩関節屈曲・外転約 45 度の位置で固定し、前腕・上腕のバンドにて装具を密着する。 術後リハビリテーション 1.装具固定期(術直後~手術後 3 週) ①握り運動(術直後~) タオル、ボール等を繰り返し握ります。握る強さは痛みのない範囲で行います。 ②前腕の捻り運動(術直後~) 固定バンドをしたままの状態で手のひらを返す運動を繰り返し行います。 ③臥位で肘の屈伸運動(術直後~) リハ室にて実施 自室にて実施 肘の曲げ伸ばしを動かせる範囲で行います。 部屋で行う場合は反対の手で肘を曲げましょう。 ④首のストレッチ(術直後~) 肩甲挙筋 僧帽筋 手術した肩を下垂させた状態からゆっくり斜め前下方に首を傾けます。 同じく、手術した肩を下垂させた状態からゆっくり斜め前上方に首を傾けます。 どちらも 5 秒間止めてから戻します。 ⑤肩の上げ下げ運動(術直後~) 座位で背中を丸めずに肩の上げ下げを行います。 ⑥胸張り運動(術直後~) 座位で左右の肩甲骨を後方へ引き寄せる運動を行います。 2.装具除去移行期(手術後 3~5 週) ①等尺性肩内・外旋運動(手術後 3 週~) 固定バンドをしたまま、肘を支点に矢印の方向へ力を入れます。 反対の手で抵抗を加え、約 5 秒間保持します。 ②肩の保持運動(手術後 3 週~) 仰向けになり、肘を伸ばしたまま腕を天井に向けて保持します。 痛みがなく行えるようになってきたら反対の手を用いて上下左右へ軽く抵抗を加えて保持します。 ③バンザイ体操(手術後 3 週~) 仰向けで両手を組み、できるだけ腕を遠くに伸ばしながらバンザイ(屈曲)しましょう。 ④テーブル上での肩内・外旋運動(手術後 4 週~) 肘を支点にし、タオルとともに腕を左右へ動かしましょう。 運動は肩に力が入らないように軽く行ってください。 ⑤テーブルでの運動(手術後 4 週~) 軽くテーブルを押し、肘を曲げないように腕を伸ばしましょう。 ⑥肩を前方へ押し出す運動(手術後 4 週~) 肘を伸ばしたまま腕を天井に向けた位置から腕を前方へ押し出します。 3.機能訓練期(手術後 5~12 週) ①横向きでの肩外旋運動(等尺性・等張性) (手術後 5 週~) 肘を曲げた状態で、肘が体から離れないように前腕を外側へ動かしましょう。 ②肩板運動(手術後 6 週~) 親指を上向きにし、肘を曲げないように肩を上げましょう。 上げる角度は斜め 45°を意識し、上げすぎないように注意しましょう。 反対の手で肘が開かないように固定し、肘を曲げた状態で前腕を内側へ動かしましょう。 反対の手で肘が開かないように固定し、肘を曲げた状態で前腕を外側へ動かしましょう。 ③タオルはさみ運動(手術後 6 週~) 手術した肩を上にしてタオルを脇に挟み、反対の手で肘を体に近づけるように引っ張りましょう。 ④肩関節・肩甲帯抵抗運動(手術後 8 週~) 肩関節屈曲運動(重錘:500g~、セラバンド:黄色~) 肩関節外転運動 肩甲骨内転運動 肩を耳に近づけたり、体を傾けたりしないように肩を上げましょう。 4.アスレティックリハビリテーション期(12 週以降) ①腹臥位にて肘立て 両手を肩幅に開き、肘立ての状態から前後・左右へ重心の移動を行う。 ②腹臥位にて四つ這い 両手を肩幅に開き、四つ這いの状態から前後・左右へ重心の移動を行う。 腱板断裂修復術後に行うリハビリテーションプロトコール 修復過程 固定期 2週 (ウルトラスリング・三角巾) 1週 固定 3週 運動療法 日常生活 頚部・肩甲帯スパズム除去 良肢位保持 他動運動(愛護的) ADL 指導 肩以外の自動運動(手指・手・肘・肩甲帯) 背臥位 自動運動(等張性:抵抗なし) 座位 5週 腱板機能訓練(等尺性:抵抗なし) 立位 6週 腱板機能訓練(抵抗運動) 4週 機能訓練期 7週 移行期 自動運動(等尺性:抵抗なし) 8週 16 週 6 ヵ月 10 ヵ月 アスレティックリハビリ期 12 週 肩・肩甲骨周囲の抵抗運動 結髪・結帯動作 肩関節複合運動(抵抗運動) 軽作業可能 職場復帰 オーバーヘッド動作開始 競技部分復帰(投球を除く) 競技完全復帰
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