燃焼灰対応試験

別紙資料 木質ペレットストーブの燃焼灰対応試験
木質ペレットストーブの燃焼灰対応試験は、ユーザ回収灰の六価クロム分析、検出原因調査、抑制対策試験の大きく三項目について行いました。
1 試験方法
(1) ユーザ回収灰の六価クロム分析
県内ユーザに連絡し、県庁、地方振興局で燃焼状況を聞き取りながら灰を回収し、六価クロム濃度を分析しました。これらのデータから発
生頻度や原因を推定しました。
(2) 検出原因調査
調査は、木質ペレット原料と製造工程、県内で製造されている燃焼機器とその燃焼条件について行うこととしました。原材料を定め製造方
法を統一して木質ペレットを試作し、それらを県内製の燃焼機(ペレットストーブ)で燃やして、得られた灰を分析しました。
燃焼試験には、県の試験研究機関と関係企業以外にも、農林水産部長室、商工労働観光部長室、水産技術センター、花巻地方振興局、大船
渡地方振興局などのペレットストーブを使用しました。
(3) 抑制対策試験
最初に燃焼機の影響を把握できたことから、燃焼機の抑制対策に取り組みました。順次、ペレット製造時の抑制対策と、灰になってからの
無害化の試験に取組中です。
試験は、得られる灰の量が少ないことや関係する条件が多いことから時間を要しています。今後も県の試験研究機関と関係企業が連携して
試験を継続し、効果の判明した抑制策は順次、役立てて参ります。
2 ユーザ回収灰の六価クロム分析結果
(1) 分析した全てのペレットストーブ燃焼灰は160件、そのうち89%の六価クロムが基準値未満。
(2) 160件の内、いわて型ペレットストーブの灰は108件で87%が基準値未満。そのうち、いわて型家庭用ペレットストーブの灰は65
件で97%が基準値未満。基準値超過の事例からは傾向がわかるだけで原因の特定はできない。
(3) クラフトマンストーブの灰は、分析した32件のうち97%が基準値未満。
(4) ペレットボイラーの燃焼灰は5件、すべて基準値未満。
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3 試験の組み立てと対策
樹木
木材が灰
になるま
で
製材端材
粉砕
ペレタイザー
灰
木質ペレット
燃焼機
樹種
樹 皮
●燃焼機由来
●ペレット製造工程由来
クロムの負
荷と六価ク
ロム生成の
仮説
無害な金属クロム
(耐熱性金属部材)
無害な金属クロム
(耐摩耗性金属部材)
化学的アタック
●樹木由来
摩耗(仮説)
酸化
剥落
<対策>
剥落防止
燃焼
生成した灰
ペレット
無害なクロム
ペレット
製造
灰だし
無害なクロム
灰
6
六価クロム
(無害化も可能)
4 検出原因調査
(1) ペレットの灰による金属腐食モデル試験(化学的アタック)
ユーザ灰の分析等から、ペレットの種類と燃焼機種類の組み合わせにより、灰の六価クロム濃度が基準値以上となる頻度が異なるため、県
内製ペレットストーブの金属部材から燃焼灰の中にクロムが混入する可能性を調べました。県産木質ペレットストーブの燃焼灰を、燃焼機の
金属部材上(耐熱性ステンレス)に置き、電気炉で 800℃、5 時間加熱した後、断面組織を電子顕微鏡で観察しました。
腐食膜厚
腐食膜厚
腐食 腐食
腐食
腐食
耐熱性ステンレス
耐熱性ステンレス
耐熱性ステンレス
耐熱性ステンレス
耐熱性ステンレス
県産広葉樹バークペレット燃焼灰による腐食
県産ホワイトペレット燃焼灰による腐食
平均腐食膜厚 21.8 μm
平均腐食膜厚 31.1μm
加熱のみ(灰なし)腐食
平均腐食膜厚 0.81 μm
① 県産広葉樹バークペレット燃焼灰は、県産ホワイトペレット燃焼灰よりも、金属腐食を進行させにくい。
② 灰をのせずに金属のみを加熱しただけでは腐食は進みにくい。
(2) 県内製ペレットストーブに使われている金属部材表面のクロムの動き
O
K
Cr
腐食
剥
離
耐熱性ステンレス
クロム
腐食部は酸化されている
腐食部にカリウムが侵入
図a
図b
クロム濃縮
の低下
図c
① 腐食された金属表面には、カリウムによる浸食が見られました(図 a)
。同一部分で酸化が進んでいます(図 b)
。
② 金属と腐食の境界層には、クロムの濃度により濃淡の差が見られます(図 c)
。腐食により金属が脆くなり腐食酸化物が灰中に脱落すると
推定されます。
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5 抑制対策
(1) 燃焼機の部材変更による対策効果
ペレットストーブ部材の金属腐食を抑制するため、業務用のいわて型ペレットストーブの耐熱性金属部材を対策型に交換して試験を行いま
した。
耐熱性が高くクロムを含んでいないセラミック材料を現行材料表面に溶かして吹き付けた「セラミック溶射対策型」です。
燃やした木質ペレットの種類
試作ホワイトペレット1
試作ホワイトペレット1
燃焼機
いわて型業務用(対策なし)
いわて型業務用(セラミック溶射対策型)
六価クロム(mg/l)
9.7
0.47
セラミック溶射対策により、六価クロムは基準値未満となり効果大。
セラミック溶射対策型で抑制効果が認められたので、複数の試作した木質ペレットにより抑制効果を試験しました。
燃やした木質ペレットの種類
試作ホワイトペレット
試作全木ペレット
セラミック溶射対策なしの燃焼機(業務用)
六価クロム(mg/l)
3.0 ∼14
0.82∼11
セラミック溶射対策燃焼機(業務用)
六価クロム(mg/l)
0.47∼3.8
0.68∼1.8
試作した木質ペレット燃焼灰の種類によっては、セラミック溶射対策を実施しても、灰の六価クロム低減効果のやや低いものや、基準値
以下に抑制できない場合がありました。これを抑制するためにさらに試験を実施中です。
※ホワイトペレット:木部が原料のペレット、※全木ペレット:樹皮+木部が原料のペレット、※バークペレット:樹皮が原料のペレット
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(2) 広葉樹バーク(樹皮)の効果
県内で製造されている広葉樹バークペレットを燃やした灰は、未対策の県内製ペレットストーブでも基準値未満であることから、その抑制
効果の試験を行いました。
広葉樹バークペレットと試作したホワイトペレットを、金属腐食対策を行わない、いわて型業務用ペレットストーブで重量比率で50%ず
つ混合して燃やすと、燃焼灰中の六価クロムは基準値未満でした。
燃やした木質ペレットの種類
試作ホワイトペレット1
広葉樹バークペレット 50% + 試作ホワイトペレット150%
広葉樹バークペレット
燃焼機
いわて型業務用ペレットストーブ
いわて型業務用ペレットストーブ
いわて型業務用ペレットストーブ
六価クロム(mg/l)
9.7
0.10
0.05
このため、六価クロムの低減に効果があると認められる広葉樹バーク等を添加したペレットを試作し、県内製ペレットストーブで燃やし
た灰の中の六価クロム低減効果を確認中です。
6 土壌が灰に及ぼす影響の確認
すでに庭などに木質ペレットストーブの燃焼灰を撒いていた場合の影響が懸念されたので、モデル的に土壌に灰を混合する試験を行ったとこ
ろ、混合直後に六価クロムが激減しました。
土壌
黒ボク土
混合比(重量)
土
灰
4
1
1
1
混合前六価クロム
mg/l
3.6
3.6
混合 6 時間後六価クロム
mg/l
0.02
0.03
土壌環境基準=0.05 mg/l
黒ボク土の効果
有機物量が多い黒ボク土では土壌と灰を1:1で混合しても、六価クロムの値が、混合前3.6mg/lの値であったものが0.03mg
/lに減少し、土壌環境基準以下となり劇的に減少しました。灰の六価クロムが土壌有機物による還元作用で無害な三価クロムになると推定
しています。
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