失神の診断・治療ガイドライン - 日本循環器学会

循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2005 − 2006 年度合同研究班報告)
失神の診断・治療ガイドライン
Guidelines for Diagnosis and Treatment of Syncope(JCS 2007)
合同研究班参加学会:日本循環器学会,日本救急医学会,日本小児循環器学会,日本心臓病学会,日本心電学会,
日本不整脈学会
班 長 井
上 博 富山大学大学院医学薬学研究部内科学第二
班 員 相
澤
義
房 新潟大学大学院医歯学総合研究科
安
部
治
彦 産業医科大学循環器・腎臓内科
古
賀
義
則
小
林
洋
一 昭和大学第三内科
住
友
直
方 日本大学小児科
髙
瀬
凡
平 防衛医科大学校防衛医学研究センタ
鄭 忠
和 鹿児島大学大学院医歯学総合研究科
中
里
祐
中
西
循環器学分野
宮
協力員 尾
武
邦
夫 大阪南医療センター
辻 豊 鹿児島大学大学院医歯学総合研究科
河
野
律
子 産業医科大学循環器・腎臓内科
清
水
昭
彦 山口大学大学院医学系研究科保健学科
鈴
木 昌 慶應義塾大学救急医学
住
吉
正
孝 順天堂大学医学部附属静岡病院循環器科
濱
崎
秀
一 鹿児島大学大学院医歯学総合研究科
水
牧
功
一 富山大学大学院医学薬学研究部内科学第二
二 順天堂大学医学部附属順天堂浦安病
宮
武 諭 済生会宇都宮病院救急診療科
野 赳 三重県病院事業庁
安
田
正
之 順天堂大学循環器内科
崎
光
弘 横浜南共済病院循環器内科
山
田
典
一 三重大学大学院医学系研究科循環器内科学
堀 進
悟 慶應義塾大学救急医学
渡
辺
則
和 昭和大学第三内科
松
益
德 山口大学大学院医学系研究科
謙 弘前大学循環器内科
杉
本
恒
明 関東中央病院
幸 自治医科大学循環器内科
山
口 久留米大学医学部附属医療センター
循環器科
ー医療工学研究部門
循環器呼吸器代謝内科学
院循環器内科
循環器呼吸器代謝内科学
循環器呼吸器代謝内科学
器官病態内科学
外部評価委員
奥
村 島
田
竹
下 和
徹 虎の門病院
彰 麻生医療福祉専門学校
(構成員の所属は 2007 年7月現在)
目 次
Ⅰ.序文…………………………………………………………1050
Ⅱ.総論…………………………………………………………1050
1.定義 …………………………………………………1050
2.原因と病態生理 ……………………………………1050
3.疫学 …………………………………………………1051
4.診断へのアプローチ ………………………………1053
Ⅲ.各論…………………………………………………………1053
1.起立性低血圧 ………………………………………1053
2.神経調節性失神 ……………………………………1055
3.状況失神 ……………………………………………1061
4.体位性起立頻脈症候群 ……………………………1063
5.頚動脈洞過敏症候群 ………………………………1065
6.徐脈性不整脈 ………………………………………1067
7.頻脈性不整脈 ………………………………………1068
8.虚血性心疾患 ………………………………………1069
9.心筋症 ………………………………………………1070
10.弁膜症 ………………………………………………1072
11.先天性心疾患 ………………………………………1073
Circulation Journal Vol. 71, Suppl. IV, 2007
1049
循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2005−2006 年度合同研究班報告)
12.その他の心疾患 ……………………………………1074
13.大動脈疾患 …………………………………………1075
14.肺塞栓症,肺高血圧症 ……………………………1077
15.小児の失神 …………………………………………1079
16.入浴と失神 …………………………………………1080
17.採血と失神 …………………………………………1082
Ⅳ.救急での対応………………………………………………1082
Ⅴ.自動車運転…………………………………………………1085
Ⅵ.文献…………………………………………………………1087
(無断転載を禁ずる)
Ⅰ
序 文
Ⅱ
失神は日常診療の場でよく遭遇する病態であり,救急
来院例の 1 ∼ 3%を占める 1)−4).Framingham 研究では 26
1
総 論
定義
年間の追跡期間中に男性で 3 %,女性で 3.5 %が少なく
とも 1 回の失神を経験している 5).原因疾患によっては
生命に影響しないが,失神時に軽微な外傷(29 %)ば
失神を表す英語 syncope の語源はギリシャ語の“syn”
( 英 語 で は with,together) と“koptein”
( 英 語 で は cut
かりでなく骨折,硬膜下血腫,自動車事故などの合併症
off,strike)に由来する(英語の faint は syncope と同義).
(6%)を起こしうる .しばしば再発し,ときに精神的
失神は「一過性の意識消失の結果,姿勢が保持できなく
2)
6)
な問題を生じることもある .
なり,かつ自然に,また完全に意識の回復が見られるこ
診断手技として,不整脈には電気生理検査,神経調節
と」と定義される.発症は比較的速やかであり,意識は
性失神にはティルト試験が広く行われ,失神の原因とな
多くの場合速やかに回復する.「意識障害」のうちで,
る病態生理の理解が進み,不整脈に対する非薬物治療の
特異な臨床像を持った 1 つの症候である.前駆症状(浮
進歩とあいまって,適切な診療が可能になってきた.本
動感,悪心,発汗,視力障害など)を伴うこともあれば
ガイドラインは可能な限りわが国の研究成果を取り入
伴わないこともある.失神からの回復後に逆行性健忘を
れ,現時点における失神の診療に関する標準的なガイド
見ることもある 1).
ラインの作成に努めた.患者数が限られ,無作為比較試
失神前状態 near-syncope,pre-syncope は,失神に至る
験が少ないことから,エビデンスレベルとしては必ずし
寸前の状況を指す表現として使用されるが,真の失神の
も高くない研究成績も採用し,エビデンスレベルについ
前駆状態であることもあれば非特異的な「めまい感」を
ての記載は省いた.診断・治療方法の推薦の度合いは以
この様に表現することもある.
下のクラス分けに従った.
①クラスⅠ :有益であるという根拠があり,適応で
2
原因と病態生理 1),7),8)
あることが一般に同意されている.
②クラスⅡ a :有益であるという意見が多い.
失神を来たす病態は様々であるが,共通する病態生理
③クラスⅡ b :有益であるという意見が少ない.
は「脳全体の一過性低灌流」である.表 1 に失神の原因
④クラスⅢ :有益でないかまたは有害であり,適応
となる疾患をまとめた 1),7).表 2 には,意識障害を来た
でないことが同意されている.
す病態で,失神との鑑別を要するものをまとめた 1),7).
なお,本学会から既にガイドラインが公表されている
しかし,表 2 のものを失神に含める立場もある 8).
病態の診療方針は,それらのガイドラインに準じて立て
脳循環が 6 ∼ 8 秒間中断されれば完全な意識消失に至
ることとし,本ガイドラインで個々に記すことは省いた
り,収縮期血圧が 60mmHg まで低下すると失神に至る 9).
ものがある.
また脳への酸素供給が 20 %減少しただけでも,意識消
失を来たす 10).適切な脳循環を維持するために以下の機
構が生体には備わっている 1).
1
脳血管の自動調節機構
血圧の変動にもかかわらず脳への血流量を維持する機
1050
Circulation Journal Vol. 71, Suppl. IV, 2007
失神の診断・治療ガイドライン
構 で, 生 理 的 状 態 の 下 で は, 収 縮 期 血 圧 が 70 ∼
であり,瞬時に動員されるものではないが,この機構が
150mmHg の範囲内では脳血流量は一定に保たれる.
不十分であると失神を生じ易くなる.
2
脳血管局所の
代謝性・化学性調節機構
これらの代償機転の動員にもかかわらず,脳循環の自
動調節機構の範囲を超えて血圧が低下し,しかもある一
定以上の時間持続した場合に意識消失が生じる.従って,
PO2 が低下した場合や PCO2 が上昇した場合に脳血管
失神は,
の拡張を促す.
①心拍出量の低下
3
圧受容器反射機構
②下半身への過度の血液プーリング
③脳血管抵抗の過度の上昇
動脈圧が低下した際に,反射性に交感神経緊張が亢進
が単独で,あるいは複合して作用する結果生じる(表 1)
し心拍数を増加,心収縮性を増加,末梢血管抵抗を増加
1),7)
させて,動脈圧を維持する.
4
循環血液量調節機構
腎臓,ホルモンなどにより循環血液量を維持する機構
表 1 失神の原因疾患(文献 1,7 改変引用)
(1)起立性低血圧
① 自律神経障害
(a)原発性:純型自律神経失調症
多系統萎縮
自律神経障害を伴う Parkinson 病
(b)続発性:糖尿病性ニューロパチー
アミロイドニューロパチー
(c)運動後
(d)食後
② 薬剤,アルコール
③ 循環血液量低下
出血,下痢,Addison 病
(2)神経調節性失神および類縁疾患
① 神経調節性失神
② 血管迷走神経反射
③ 頚動脈洞過敏症候群
④ 状況失神
(a)急性出血
(b)咳嗽,くしゃみ
(c)消化管刺激(嚥下,排便,内臓痛)
(d)排尿後
(e)運動後
( f )食後
(g)その他(金管楽器演奏,重量挙げ)
⑤ 舌咽神経・三叉神経痛
(3)心原性
① 不整脈
(a)徐脈性不整脈
(b)頻脈性不整脈
② 器質的心疾患,心肺疾患
(a)狭窄性弁膜症
(b)急性心筋梗塞/虚血
(c)閉塞性肥大型心筋症
(d)心房粘液腫
(e)大動脈解離
( f )心膜疾患/タンポナーデ
(g)肺塞栓症/肺高血圧症
(4)脳血管
① 盗血症候群
② 過換気
.
3
疫学
1
失神の発生率
① Population-based study
1985 年 の Framingham 研 究 で は,5,209 人( 年 齢 30
62 歳)を 26 年間にわたって追跡した結果,少なくとも
1 回の失神を男性の 3.0%,女性の 3.5%が経験している 5).
2002 年の報告では,7,814 人(年齢 20 96 歳)を平均 17
年間追跡し 822 人(男 348 人,平均年齢 65.8 歳)に失神
を認めた.失神の発生率は 6.2/1,000 人年,積算の発生
率は 10 年間で 6 %であった(表 3).発生率は年齢とと
もに高くなり,70 歳以上で著明な増加を認めたが,発
生率に性差はなかった.基礎疾患に心血管系疾患がある
と失神の発生率は約 2 倍に上昇した 11).
Framingham 研究の結果から本邦の失神発生数を演繹
すると,平成 16 年度の総人口約 1 億 2,600 万人に対し,
年間約 78 万人に失神が発生したことになる.
表2 失神と鑑別を要する意識障害の原因疾患
7より改変引用)
(文献1,
(1)意識消失∼低下を起こす疾患
① 代謝性疾患:低血糖,低酸素血症
② てんかん
③ 中毒
④ 椎骨脳底動脈系の一過性脳虚血発作
(2)意識消失を伴わず,失神によく似た疾患
① 転倒
② 脱力発作症候群(cataplexy syndrome)
③ 転倒発作(drop attacks)
④ 心因反応(身体化障害,ヒステリーなどを含む)
⑤ 頚動脈起源の一過性脳虚血発作
Circulation Journal Vol. 71, Suppl. IV, 2007
1051
循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2005−2006 年度合同研究班報告)
表3 Population-based study における失神の発生率,原因別頻度と予後(Framingham 研究)
報告年
1985
米国
Savage
(5)
米国
Soteriades
2002
(11)
国
著者
追跡 追跡 失神
患者数 期間 患者数
平均
7814 17.0
年
平均
年齢
822 65.8 歳
5209 26 年 172
52 歳
原因(%)
失神患者
失神の発生率
の性別
心原性 VVS 不明
男 348 人
女 474 人
予後
心原性
VVS
不明
死亡ハザード比 *[95% CI]
6.2/1000 人年
1.32 ‡
積算発生率
2.01
1.08 †
9.5 21.2 36.6
(10 年)
[1.48-2.73][0.88-1.34][1.09-1.60]
6.0%
男 71 人
女 101 人
積算発生率
(26 年)
男 3.0%
女 3.5%
VVS:血管迷走神経性失神,95% CI:95%信頼区間
* 失神のない群との比較,多変量補正後 † P<0.001 ‡ P<0.01
測される.
② Hospital-based study
失神の再発率
2
失神患者は救急部門(Emergency Department: ED)を
受診することが多く,欧米の報告では ED 受診患者にお
Framingham 研究では失神の再発率は 21 ∼ 28 %で 5),
ける失神患者の頻度は 1 ∼ 3%で,ED における転帰のう
11)
ち入院は 26 ∼ 68%であり,ED 経由の全入院患者の 1 ∼
で再発率が高い 11).ED の受診者を対象とした研究では,
6%に相当した(表 4)
失神の再発率は 1 年半で 15% 22),2 年半で 34% 23)であっ
,失神の病歴がある場合に再発率が高く,心原性失神
2),3),12)∼17)
.
東京都内の大学病院における救急車搬送患者の主訴を
た.失神の再発自体は必ずしも死亡や突然死と関連しな
検討した報告では,急病患者のうち一過性意識障害を主
いが,身体活動を制限する要因となる 1),23).
訴とする患者は 13 %で,一過性意識障害の 79 %が失神
うち 3.5%が失神患者であった
失神の原因疾患
3
であった 18).また外因を含めた全ての救急車搬送患者の
19),20)
.この値は欧米の報
Framingham 研究における失神の原因別頻度は心原性
告とほぼ一致する.平成 16 年度の東京消防庁の救急隊
が 10 %,非心原性のうち血管迷走神経性が 21 %,原因
出動件数は約 69 万件あり
11)
不明が 37%であった(表 3)
.
,東京都(人口 1250 万人)
21)
で年間約 2.4 万人が失神のため救急搬送されていると推
欧米の Hospital-based study では,心原性が 4 ∼ 36 %,
欧米の研究
Sun(12)
Crane(15)
Blanc(14)
Sarasin(22)
Ammirati(13)
Kapoor(2)
Eagle(24)
Martin(16)
Kapoor(17)
Day(3)
Silverstein(4)
日本の研究
Suzuki(19)
Samukawa(25)
患者数
著者
調査
対象
国
2004
2002
2002
2001
2000
1990
1985
1984
1983
1982
1982
米国
英国
フランス
スイス
イタリア
米国
米国
米国
米国
米国
米国
210
454
650
195
433
176
170
204
198
108
55
57
60
63
56
54
41
56
44
67
2004
1988
日本
日本
715
87
58
ED
56 循環器病棟
ED:救急部門,VVS:血管迷走神経性失神
1052
平均
年齢
(歳)
報告年
Circulation Journal Vol. 71, Suppl. IV, 2007
ED
ED
ED
ED
ED
ED
ED
ED
ED
ED
ICU
入院率
表4 Hospital-based study における失神の頻度,入院率,原因別頻度と予後
救急受診患
原因(%)
者に占める
心原 非心
失神患者の
VVS 不明
性 原性
割合(%) (%)
0.8
1.7
1.2
1.1
63
42
26
3.5
非心
原性
不明
51(5 年)
30
24
30(1 年)
12
6
19(1 年)
6
6
23(5 年)
6(1 年)
8
6
9
心原性
32
68
3
死亡率(%)
36
7
10
11
21
25
9
4
26
9
36
10
64
33
27
37
44
37
35
8
45
37
5
40
17
58
18
31
40
24
14
18
41
39
38
48
13
47
32
17
失神の診断・治療ガイドライン
血管迷走神経性が 5 ∼ 45 %,原因不明が 13 ∼ 48 %であ
.本邦にも 2 つの報告があり,
3),15)−17),22),24)
った(表 4)
徴的な所見,外傷の有無などに注意する.
起立時(能動的立位で 5 分間)の血圧測定は起立性低
1 つは失神精査のため循環器病棟に入院した患者を対象
血圧や体位性起立頻脈症候群の診断の参考になり,外来
とした研究で,原因別の頻度は心原性が 64 %,非心原
で簡単に行えるので失神の鑑別診断には欠かすことは出
性が 18 %,不明が 17 %であった
25)
.他の報告と比較し
来ない.心電図は基礎心疾患や不整脈(の誘因となる疾
て心原性の頻度が高いが,循環器病棟の入院患者という
患)を診断する上で参考になる.胸部 X 線写真は器質的
選択バイアスのためと考えられる.もう 1 つは東京都内
心疾患や大血管疾患の診断の参考になる.
の大学病院に救急搬送された失神患者を対象とした研究
上記の基本的検査で診断がつけば,必要に応じて治療
で,原因別頻度は心原性 10 %,血管迷走神経性 31 %,
を開始する.神経調節性失神及び類縁疾患の可能性が疑
原因不明 32%であった(表 4) .
われた場合には,ティルト試験,頚動脈洞マッサージを
19)
行う.状況失神ではこれらの検査によって診断すること
失神の予後
4
が難しく,長時間心電図記録(ホルター心電図)が参考
11)
では,失神を経験した人は経験し
になることがある.欧米では皮下に植え込み数ヶ月から
なかった人と比べ,すべての原因による死亡のハザード
年にわたる記録が可能な loop recorder もこの目的で利用
比が 1.3 倍であった.心原性失神では死亡のハザード比
される.器質的心疾患が疑われた場合には,それぞれの
が 2 倍となり,心血管系イベント(急性心筋梗塞もしく
可能性に応じて心エコー検査,長時間心電図記録,運動
は冠動脈疾患による死亡,脳卒中)のハザード比は 2 倍
負荷試験を行い,診断確定のために電気生理検査,心臓
以上であった.原因不明の失神でも死亡のハザード比が
カテーテル検査,冠動脈造影,肺血流スキャンなどを選
1.3 倍であった.一方,血管迷走神経性失神は,死亡・
択する.
心血管系イベントのハザード比は失神のないものと同等
失神と鑑別を要する非失神性意識障害の鑑別を要する
Framingham 研究
11)
であり予後良好であった(表 3) .
場合には,脳波,頭部の画像検査(CT,MRI),頚動脈
欧米の Hospital-based study においても,心原性失神
エコー,血液検査が必要になる.患者の訴えによっては
の 1 年後の累積死亡率は 19 ∼ 30%で,非心原性失神の 6
精神・心理的アプローチが必要な例もあるが,生命に関
∼ 12%,原因不明の 6%と比べ予後は不良であった
わる器質的疾患がないことを確認しておく.
2)−4),
.1 年間の突然死発生率も心原性失神は 24%で,他
16),17)
の 2 群の 3 ∼ 4 %と比べ高く
2),17)
,心原性失神の予後は
表 5 の検査をすべて行う必要があるわけではなく,示
唆される病態に応じて選択する.
不良である(表 4).
本邦の循環器病棟の入院患者を対象とした研究では,
1 年後の死亡率に 3 群間で差を認めなかったが,死亡の
80 %が突然死であった .救急車搬送患者を対象とし
25)
Ⅲ
各 論
た研究では,心原性失神は非心原性失神と比較して死亡
率(全ての原因および心疾患による死亡)が有意に高く,
19)
欧米の報告と同様であった(表 4)
.
4
診断へのアプローチ
1
起立性低血圧
1
病態生理
失神患者を診る場合の基本的な診断方法を表 5 にまと
人が仰臥位から立位になると,約 500 ∼ 800ml の血液
めた.何よりも病歴聴取が重要で,それぞれの病態に特
が胸腔内から下肢や腹部内臓系へ移動し,心臓への還流
徴的な前駆症状,随伴症状の有無を確認する.例えば,
血液量が約 30 %減少する.このため,心拍出量は減少
長時間の立位時に悪心・嘔吐を伴う場合は神経調節性失
し体血圧は低下する.この循環動態の変化に対し,生体
神が疑われる.一方,運動時に動悸あるいは胸痛が先行
は圧受容器反射系の賦活により対処する.圧受容器反射
すれば器質的心疾患に伴う不整脈が疑われる.降圧薬服
系は,①頚動脈・大動脈弓部・心肺・大静脈に存在する
用の有無,突然死の家族歴の有無なども診断の参考にな
圧受容器(伸展受容器),②迷走神経(求心路),延髄に
る.身体所見では,器質的心疾患を示唆する所見,血管
ある血管運動中枢(延髄孤束核,頭側延髄腹外側野),
雑音,血圧の左右差,自律神経失調を伴う神経疾患に特
交感神経(遠心路)及び③末梢血管・心臓(効果器)か
Circulation Journal Vol. 71, Suppl. IV, 2007
1053
循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2005−2006 年度合同研究班報告)
表5 失神患者の診断法
表6 起立性低血圧の原因
Ⅰ基本的検査
1)病歴
2)身体所見
3)起立時の血圧測定
4)心電図
5)胸部X線写真
Ⅱ特定の疾患が疑われた場合
1)神経調節性失神および類縁疾患
(1)ティルト試験
(2)頚動脈洞マッサージ
(3)長時間心電図記録
2)心疾患
(1)心エコー図
(2)長時間心電図記録
(3)運動負荷試験
(4)電気生理検査
(5)心臓カテーテル検査,冠動脈造影
3)大血管疾患
(1)MRI
(2)造影 CT
(3)肺血流スキャン
(4)血管造影
4)神経系疾患
(1)神経内科,脳外科へのコンサルテーション
(2)頭部画像検査(CT,MRI など)
Ⅲ失神以外の意識障害が疑われた場合
1)血液検査(血糖値,
動脈血ガス分析,
薬物血中濃度など)
2)頭部 CT,MRI,MRA など
3)頚動脈エコー
4)脳波
5)精神・心理的アプローチ
6)その他,病態に応じた検査
(1)特発性自律神経障害
① 純粋自律神経失調(Bradbury-Eggleston 症候群)
② 多系統萎縮(Shy-Drager 症候群)
③ 自律神経障害を伴う Parkinson 病
(2)二次性自律神経障害
① 加齢
② 自己免疫疾患
Guillain-Barre 症候群,混合性結合組織病,関節リウマ
チ,Eaton-Lambert 症候群,SLE
③ 腫瘍性自律神経ニューロパチー
④ Central brain lesions
多発性硬化症,ウェルニッケ脳症
視床下部や中脳の血管病変,腫瘍
⑤ Dopamine beta-hydroxylase 欠乏症
⑥ Familial hyperbradykinism
⑦ 全身性疾患
糖尿病,アミロイドーシス,アルコール中毒,腎不
全
⑧ 遺伝性感覚性ニューロパチー
⑨ 神経系感染症
HIV 感染症,シャガース病,ボツリヌス中毒,梅毒
⑩ 代謝性疾患
ビタミン B12 欠乏症,ポルフィリン症,ファブリー病,
タンジール病
⑪ 脊髄病変
(3)薬剤性及び脱水症性
① 利尿薬
② α遮断薬
③ 中枢性α2受容体刺激薬
④ ACE 阻害薬
⑤ 抗うつ薬
三環系抗うつ薬,セロトニン阻害薬
⑥ アルコール
⑦ 節遮断薬
⑧ 精神神経作用薬剤
Haloperidol,
levomepramazine,
chlorpromazine 等
⑨ 硝酸薬
⑩ β遮断薬
⑪ Ca 拮抗薬
⑫ その他(Papaverine 等)
らなる.圧受容器反射系の賦活の結果,心拍数増加,心
収縮力増加,末梢血管抵抗増加,末梢静脈の収縮を生じ
る.健常者では,この圧受容器反射系が適切に機能して
血圧の過剰な低下を抑制しているが,圧受容器反射系の
いずれかの部分に異常をきたすか循環血液量が異常に低
下した状態では,起立時に高度の血圧低下をきたす 26).
2
減少や血管拡張作用を有する薬剤に起因するものが最も
多い 34)−36).特に高齢者では圧受容器反射機能低下など
診断と原因疾患
のために,薬剤による血圧低下作用が生じやすい 37).自
仰臥位または座位から立位への体位変換にともない,
律神経障害の重症のもの(表 7)に起立性低血圧が高頻
起立 3 分以内に収縮期血圧が 20mmHg 以上低下するか,
度に合併する 38),39).
または収縮期血圧の絶対値が 90mmHg 未満に低下,あ
るいは拡張期血圧の 10mmHg 以上の低下が認められた
3
治療
際に起立性低血圧と診断する.起立性低血圧の診断には
クラスⅠ
立位 5 分間が推奨されているが 7),27),約 3 分間の起立で
1)急激な起立の回避
起立性低血圧の約 90%が診断可能である
2)誘因の回避:脱水,過食,飲酒など
28),29)
.
起立性低血圧に伴う失神の症状は,朝起床時,食後・
運動後にしばしば悪化する.食後に惹起される失神は殊
3)誘因となる薬剤の中止・減量:降圧薬,前立腺疾患
治療薬としてのα遮断薬,硝酸薬,利尿薬など
に高齢者に多く,食後の腸管への血流再分布が原因とさ
れる.
クラスⅡ a
30)−33)
起立性低血圧の原因疾患(表 6)
1054
Circulation Journal Vol. 71, Suppl. IV, 2007
の中で,体液量
1)循環血漿量の増加:
失神の診断・治療ガイドライン
表7 重症度による自律神経障害の分類(文献 38 改変)
(1)重症自律神経障害:求心路・中枢異常,圧受容器反射
異常,舌咽神経障害
(2)重症自律神経異常:遠心路異常
① 後天性
多系統萎縮症
純粋自律神経失調症
自己免疫自律神経失調症
自律神経ニューロパチー(糖尿病,
アミロイドーシス,
腎不全に伴うもの,ビタミン B12 の不足,傍腫瘍
性神経症候群,特発性疾患)
Guillain-Barre 症候群
② 先天性
Dopamine beta-hydroxylase 欠乏症
(3)軽症自律神経異常
① 体位性起立頻脈症候群(POTS)
② 神経調節性失神
③ ノルエピネフリン運搬体の不足
④ 薬剤(ノルエピネフリン運搬体の抑制)
⑤ 安静
表8 起立性低血圧の治療(文献 41,42 改変)
(1)原因,誘因の除去
① 活動時の降圧薬中止
② 利尿薬中止
③ α遮断薬(前立腺肥大治療)中止
④ 過食予防
(2)非薬物療法
① 水分補給,塩分摂取増加
② 急な起立の回避
③ 弾性ストッキング装着
④ 上半身を高くした睡眠
⑤ 昼間の臥位を避ける
(3)体液量の増加
① 貧血の治療(erythropoietin)
② fludrocortisone
(4)短時間作用型昇圧薬
① midodorine
② indometacin
③ pyridostigmine
(5)その他
① ergotamine
② octreotide
食塩補給
鉱質コルチコイド(フルドロコルチゾン 0.02 ∼
0.1mg /日 分 2 ∼ 3)
2
神経調節性失神
1
概念
エリスロポエチン
2)弾性ストッキング
3)上半身を高くした睡眠
4)α刺激薬
神経反射性失神には,神経調節性失神をはじめ血管迷
塩酸ミドドリン 4mg /日 分 2
走神経失神(vasovagal syncope),頚動脈洞症候群,情
メチル硫酸アメジニウム 20mg /日 分 2
動 失 神(emotional syncope), 状 況 失 神(situational
塩酸エチレフリン 15 ∼ 30mg /日 分 3
syncope,排尿,嚥下,排便,食後,咳など)が含まれ,
これらは一括して“神経調節性失神症候群(Neurally
mediated syncopal syndrome)”と呼ばれている 48).
クラスⅡ b
1)エルゴタミン 3 mg /日 分 3
2
臨床的特徴
起立性低血圧自体が危険であることはまれであるが,
神経調節性失神は,1)一過性徐脈により失神発作に
血圧低下に伴う脳虚血等の危険な合併症が問題である.
至る心抑制型(cardioinhibitory type),2)徐脈をともな
失神を含む症状の重症度も考慮した治療が必要である
わず,一過性の血圧低下のみにより失神発作に至る血管
40)−43)
(表 8)
4
.
予後
抑制型(vasodepressor type),3)徐脈と血圧低下の両者
をともなう混合型(mixed type)に分類される.患者の
多くは,程度の差はあれ発作直前に前駆症状として頭重
起立性低血圧の予後は,心疾患等の基礎疾患の有無に
感や頭痛・複視,嘔気・嘔吐,腹痛,眼前暗黒感等の何
依存する.特発性自律神経障害症例の予後は必ずしも悪
らかの前兆を自覚している.失神の原因となる徐脈には
くないが,その他の自律神経障害症例の予後は良好とは
洞徐脈や洞停止が多いが,房室ブロックも稀ではない.
いえない.加齢とともに低血圧に伴う虚血性臓器障害が
本邦では血管抑制型や混合型による発作頻度が比較的高
出現しやすくなり,起立性低血圧症例では死亡率が増加
いが,欧米ではむしろ心抑制型の発生頻度が高い.
する 44),45).脳卒中発症率の増加 46)や虚血性心疾患発症
神経調節性失神は,長時間の立位あるいは坐位姿勢,
率の増加
47)
も報告されている.
痛み刺激,不眠・疲労・恐怖などの精神的・肉体的スト
レス,さらには人混みの中や閉鎖空間等の環境要因が誘
因となって発症し,自律神経調節の関与が発症にかかわ
Circulation Journal Vol. 71, Suppl. IV, 2007
1055
循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2005−2006 年度合同研究班報告)
っている 49),50).神経調節性失神は体動時に発生するこ
ず中大脳動脈の平均血流速度は低下し,脳血管抵抗が上
とは少なく,立位あるいは坐位で同一姿勢を維持してい
昇していた 54),55),55−a).意識消失発作は一過性徐脈や血
るときに発生しやすい.失神発作は,日中,特に午前中
圧低下の発生する前に既に出現している場合がある.更
に発生することが多く 51),失神の持続時間は比較的短く
に,前兆出現時に既に左右差を認める可逆性の脳波異常
(1 分以内),転倒による外傷以外には特に後遺症を残さ
を認めている 56).以上から,本症の失神発作では,むし
ず,生命予後は良好である
3
11)
ろ脳血管抵抗上昇の存在下に一過性徐脈や一過性血圧低
.
下が加味されて急激な脳血流低下をきたしている可能性
病態生理
もある 57).このことは,心臓ペーシング(60 ∼ 70/ 分)
立位により末梢静脈のうっ帯が起こり,心臓への静脈
を行っても神経調節性失神発作が予防できないことから
還流量が減少するため心拍出量が低下し,これによる動
も明らかである 58),59).
脈圧低下に対して,頸動脈洞や大動脈での高圧系圧受容
神経調節性失神の前兆は偏頭痛の前兆とも非常によく
器反射により交感神経系緊張と迷走神経系抑制が生じ
似ている.神経調節性失神の自然発作時やティルト検査
る.そのため心拍数,心収縮力,末梢血管抵抗が増加し,
時の心電図からも明らかなように,患者が前兆を自覚す
立位時の血圧低下を代償する.さらに立位姿勢を継続す
る最中には,一過性の心拍数増加や血圧上昇をきたして
ることにより,容積の減少した左室の収縮力増強は左室
いる.一方で,偏頭痛患者も同様に症状出現時に著明な
の機械受容器を刺激し,C 線維を介して脳幹部(延髄孤
徐脈を呈することがある.このことは,脳循環異常によ
束核)に至り,ここからの線維により血管運動中枢を抑
っても二次的に徐脈や血圧低下を引き起こすことがある
制,迷走神経心臓抑制中枢を興奮させ,それぞれ遠心性
ことの証明でもあり,神経調節性失神患者の病態生理が
線維を介して血管拡張と心拍数減少を来すと考えられて
単純に上述の反射経路(図 1)のみではない可能性を示
いる(図 1).52,53)
唆する.
上述の機序のみでは説明困難な場合が存在し,上記以
神経調節性失神の発症機序には心臓と脳幹部の反射経
外に,①脳循環,②心肺圧受容器反射,③心理的要因等
路以外に,脳循環異常の存在の関与も疑われている 54)−
が神経調節性失神の発症に関与している.
57),60)−62)
が,脳の自動調節機構は健常者と同様に保たれ
ているとの報告もある 63).
①脳循環の関与
失神発症時の中大脳動脈血流速度をドップラーエコー
で観察した研究では,失神が起こっているにもかかわら
②心肺圧受容器反射の関与
神経調節性失神患者では,立位負荷時の過剰な心肺圧
受容器反応がみられる 64),65).更に,立位負荷時の中心
図1 Head-up tilt 試験で誘発される神経調節性失神の機序
心拍数↓
血管拡張
Headーup t i l t
静脈還流↓
中心静脈圧(右房圧)↓
低圧系圧受容器
(右房,上大静脈)
延髄
(心臓血管中枢)
交感神経活動↑
迷走神経活動↓
1056
迷走神経核
延髄
血管運動中枢
孤束核
求心性迷走神経枝
左室容量↓ (無髄性C線維)
心拍出量↓
左室機械受容器
(Mechanoreceptor)
血圧↓
高圧系圧受容器
(頸動脈洞,大動脈弓)
静脈圧の低下が著しく,そのため心肺圧受容器反射の亢
進により過度の交感神経機能亢進を認め,これが迷走神
経の過度の亢進をもたらす 64).
③心因性要因の関与
神経調節性失神患者のティルト検査陽性群は陰性群に
比べ,明らかにうつの程度が高く,特に比較的若年者と
女性においてその傾向が大きい 66).失神の再発も精神的
異常を有する患者群において高い傾向がある 67).
4
左室収縮性↑
心拍数 ↑
診断
ティルト試験の適応
クラスⅡ a
細動脈収縮
Circulation Journal Vol. 71, Suppl. IV, 2007
1.再発性失神あるいはハイリスク例の単回の失神(病
歴上,神経調節性失神が疑われるか否かに関わら
ず)で,
失神の診断・治療ガイドライン
①器質的心疾患がない場合
発作時の状況から神経調節性失神を疑うことができる
②器質的心疾患があっても諸検査で他の失神の原
が,この失神の診断と治療効果の判定にはティルト試験
因が除外された場合
2.明らかな原因(心停止,房室ブロック)などが同
定されているが,神経調節性失神も起こしやすく
治療方針への影響が考えられる例
3.運動誘発性あるいは運動に関係する失神の評価
が有力である.
① Head-up tilt(ティルト試験)
a.方法と感度・特異度
ティルト試験の方法は施設により相違がみられ統一さ
れたプロトコールはない.検査結果を左右する因子とし
クラスⅡ b
て,①傾斜角度,②負荷時間,③薬物負荷の有無と薬物
1.てんかん発作と痙攣を伴う失神の鑑別
の種類,④判定基準の差があげられる.ティルト試験は
2.再発性の原因不明の意識消失患者(特に高齢者)
傾斜角度が急峻なほど,負荷時間が長いほど静脈還流量
の評価
が減少し失神の誘発率(感度)が高くなるが,特異度は
3.繰り返すめまいや失神前駆症状の評価
低下する.原因不明の失神例に施行されたティルト試験
4.末梢ニューロパチーあるいは自律神経不全症に伴
の陽性率は,傾斜角 60 ∼ 80 のティルト単独負荷では時
う原因不明の失神の評価
5.神経調節性失神の治療効果の評価
間が 10 ∼ 20 分間で 6 ∼ 42 %と低く 9),53),70)−73),負荷時
間を 30 ∼ 60 分と延長しても 24 ∼ 75 %にとどまる 74)−
.イソプロテレノール(0.01 ∼ 0.03µg/kg/ 分)は,心
76)
クラスⅢ
収縮力の増強(β 1 刺激)との血管拡張(β 2 刺激)に
1.外傷を伴わず,その他のリスクが高くない単回の
よる静脈還流量の減少が神経調節性失神を誘発し易くす
失神発作で,血管迷走神経性失神の特徴があきら
る 53),71),73),76),77).イソプロテレノール負荷を併用した場
かなもの
合に陽性率が 60 ∼ 87%と高くなるが,偽陽性率も高く
2.他の特別な失神の原因が明らかで,神経調節性失
なり特異度は 45 ∼ 100 %とばらつきが大きい 53),71),76).
神の起こしやすさが治療方針に影響しないもの
ニトログリセリン負荷(1 錠 0.3 mg 舌下または 1 噴霧 0.3
mg 舌下)ティルト試験の感度は 49 ∼ 70 %,特異度は
神経調節性失神を疑う臨床的に有用な所見には,①前
90 ∼ 96%である 72),73),75).その他には硫酸イソソルビド
兆としての腹部不快感,②失神の初発から最後の発作の
78),79)
期間が 4 年以上,③意識回復後の悪心や発汗,④顔面蒼
れることもある.
白,⑤前失神状態の既往がある 68),69).このような失神
具体的方法は表 983)および表 1084)を参考にする.
表9 ティルト試験の手技に関する勧告(文献 83)
項 目
検査室
勧 告
静かで照明をおとし,適温に保つ
一晩あるいは検査数時間前は絶食
点滴静注による補液
患 者
後日の経過観察のティルト試験は,同じ時刻に行
う
最低3誘導の心電図の連続記録
記 録
最も侵襲の少ない方法で1心拍毎の血圧モニター
Foot-board support による
台
スムーズに角度が変換できるもの
角 度 60 ∼ 80 度が推奨される(70 度が一般的)
最初の薬物負荷のない場合は 30 ∼ 45 分
負荷時間
薬物負荷では薬物により適宜設定
イソプロテレノール(点滴静注が望ましい)
薬物負荷 ニトログリセリン
エドロフォニウム
ティルト試験の手技に精通している看護師と技師
監 視
医師はすぐ対応できるよう同伴するか近くで待機
検査に協力的でない場合など特殊な問題点がある
小 児 ティルト負荷時間は確立していない
水銀血圧計による血圧測定が一般的
,エドロフォニウム 80),アデノシン 81),82)が用いら
b.評価(ティルト試験に対する反応様式)
ティルト試験の判定は,血管迷走神経神経反射による
表 10 ACC 勧告と ESC ガイドラインより推奨される
ティルト試験のプロトコール(文献 84)
開始前の安静臥床:静脈カニュレーションがなければ最低
5 分間,なされていれば最低 20 分間.
ティルトの角度:60 ∼ 70 度
薬物負荷のない場合:20 分∼ 45 分間施行
薬物負荷のない試験が陰性の場合:イソプロテレノール
(点
滴静注)負荷もしくはニトログリセリン(舌下)負荷によ
るティルト試験を 15 ∼ 20 分間.
イソプロテレノール負荷:ティルトを継続したまま負荷前
より約 20 ∼ 25%の心拍数の増加を目標に,1 µ g/ 分より
3 µ g/ 分まで徐々に増加.
ニトログリセリン負荷:ティルトを継続したまま 400 µ g
のニトログリセリンスプレーを舌下投与 *.
失神が誘発されるか,薬物負荷を含めたティルトの予定時
間を完遂したら終了とし,
失神が誘発されれば陽性とする.
【* 注】わが国ではニトログリセリン錠剤 0.3 mg の舌下投与ま
たはスプレー1噴霧 0.3 mg を使用する.
Circulation Journal Vol. 71, Suppl. IV, 2007
1057
循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2005−2006 年度合同研究班報告)
悪心,嘔吐,眼前暗黒感,めまいなどの失神の前駆症状
い.また血管迷走神経反射に伴い心房細動が誘発される
や失神を伴う血圧低下と徐脈を認めた場合に陽性とす
ことがあるが,通常自然に停止する 96).
る.陽性基準としては収縮期血圧 60 ∼ 80mmHg 未満や
収縮期血圧あるいは平均血圧の低下が 20 ∼ 30mmHg 以
5
治療
上としているが,一定の基準はない.一方,失神の誘発
クラスⅠ
をもってのみ陽性と判断すべきであるという意見もある
1)病態の説明
84)
2)誘因を避ける:脱水,長時間の立位,飲酒,塩分制
.
ティルト試験で誘発される神経調節性失神は心拍数と
85)
血圧の反応から 3 つの病型に分類される(表 11)
.
利尿薬など
c.再現性
ティルト試験は日内の再現性は良好であるが
限など
3)誘因となる薬剤の中止・減量:α遮断薬,硝酸薬,
86),86 −a)
,
4)前駆症状出現時の回避法
日差変動がある 87),88).ティルト試験陽性例が無治療で
の経過観察中に,再検査での陽性率が低下するという報
クラスⅡ a
告があり 89),90),神経調節性失神の治療効果をティルト
1)循環血漿量の増加:食塩補給,鉱質コルチコイド(フ
試験で判定する場合,日差変動の可能性を考慮する.
ルドロコルチゾン 0.02 ∼ 0.1mg /分,分 2 ∼ 3)
d.適応
2)弾性ストッキング
米国心臓病学会のコンセンサス報告 83)によるティルト
3)ティルト訓練
試験の適応は,本項の冒頭に掲げたとおりである.
4)上半身を高くした睡眠
近年,起立性低血圧をきたす種々の病態,体位性頻脈
5)α刺激薬
91)
症候群(POTS: postural tachycardia syndrome)
,神経
塩酸ミドドリン 4mg /日 分 2
調節性失神などを「起立不耐症(orthostatic intolerance)
メチル硫酸アメジニウム 20mg /日 分 2
を伴う自律神経機能異常」として包括する概念が提唱さ
塩酸エチレフリン 15 ∼ 30mg /日 分 3
れている 92)が,これらの起立不耐症を伴う疾患すべてに
ティルト試験の適応がある.
クラスⅡ b
e.合併症
1)β遮断薬*
ティルト試験の安全性は高く合併症は非常に少ない.
ティルト試験で長い心停止を伴う心抑制型反応が誘発さ
プロプラノロール 30 ∼ 60mg /日 分 3
メトプロロール 60 ∼ 120mg /日 分 3 など
れることがある 93),94)が,これは合併症ではない.すみ
2)ジソピラミド 200 ∼ 300mg /日 分 2 ∼ 3
やかに臥位にもどすことにより心停止や失神は遷延せず
3)セロトニン再吸収阻害薬
短時間でも蘇生術を施行することは少ない.虚血性心疾
パロキセチン 10 ∼ 40mg /日 分 1(夕食後)
患や洞不全症候群の症例にイソプロテレノール負荷を施
ミルナシプラン 30 ∼ 100mg /日 分服
行して冠攣縮や重篤な不整脈が誘発されることがある
4)心抑制型に対するペースメーカー(DDD,DDI)§
95),95-a)
が,ニトログリセリン負荷では合併症の報告はな
表 11 ティルト試験で誘発される神経調節性失神の病型
Type 1: 混合型(mixed type)
心拍数は増加した後減少するが 40/ 分以下にはならな
いか,40/ 分以下でも 10 秒未満あるいは心停止3秒未
満
血圧は上昇した後,心拍数が減少する前に低下
Type 2 : 心抑制型(cardioinhibitory type)
心拍数は増加した後減少し,40/ 分以下が 10 秒以上あ
るいは心停止 3 秒以上
2A:血圧は上昇した後,心拍が低下する前に低下
2B:血圧は心停止時あるいは直後に 80mmHg 以下に低
下
Type 3 : 血管抑制型(vasodepressor type)
心拍は増加した後不変のまま血圧低下
心拍は低下しても 10%未満
1058
Circulation Journal Vol. 71, Suppl. IV, 2007
クラスⅢ
1)抗コリン薬
【注】
*β遮断薬は心抑制型失神では症状を増悪させる.この
ため ESC のガイドライン 7)では,β遮断薬をクラスⅢに
分類している.
§本学会の不整脈の非薬物治療ガイドライン(2006 年
改訂版)ではクラスⅡ a に分類されているが,プラセボ
効果と考えられる例が多いため,本ガイドラインではク
ラスⅡ b とした.
失神の診断・治療ガイドライン
失神発作の頻度,重症度などに応じて,生活指導,増
徐脈作用により失神予防に効果を発揮する(保険適応
悪因子の是正,薬物治療,非薬物治療を適宜組み合わせ
外).ジソピラミドは,ティルト試験時に失神が生じる
る.患者にこの疾患の病態を理解させ,増悪因子(脱水,
までの時間を延長し,10 例中 9 例では失神は再発しなか
長時間の立位,アルコール多飲など)をなるべく避ける
った 101).しかし相反する報告あり,cross over 試験によ
ようにし,めまい,悪心,眼前暗黒感などの失神前駆症
るジソピラミド静注後の誘発率はプラセボと差はなく,
状が出現したら速やかに臥位をとるように指導する.テ
また経口投与においても失神の再発率はプラセボと差が
ィルト試験により神経調節性失神と診断され病態につい
なかった 102).
ての理解が深まると,患者の精神的ストレスが減少し,
ピルメノールはジソピラミドと同様に発作予防に効果
失神を回避する行動をとることが可能となる.これによ
が期待される(保険適応外)103).
り無投薬でも失神の再発を減らすことができる.起立時
c.抗コリン薬
の血圧低下の原因となる硝酸薬,利尿薬,α遮断薬,
陰性変力作用・血管収縮作用・徐脈予防にアトロピン
Ca 拮抗薬は失神発作を助長するため可能な限り減量,
などの抗コリン薬が有効と考えられるが,実際に有効性
中止する.
を支持する報告はみられない.
これらの患者指導,増悪因子の除去によっても失神発
d.交感神経刺激薬(α刺激薬)
作を繰り返す例や,心抑制型や高齢者など前駆症状が乏
末梢血管を収縮させ静脈還流減少を予防し,反射性血
しく突然失神し外傷の危険性が高い例には,まず薬物治
管拡張に拮抗して,血圧低下を予防する.ミドドリンが
療を考慮する.
有効とする報告が多い.神経調節性失神 12 例に対し,
プラセボとミドドリン 5mg を内服させる cross over 試験
①薬物療法
104)
では,ティルト試験による失神誘発率はプラセボ群
生活指導および増悪因子を除去した後にも頻回の発作
12 例中 8 例(67 %)に比べミドドリン群では 12 例中 2
を起こす症例や,外傷の危険が高い高齢者に対しては薬
例(17%)と低率であった.
物治療が必要である.徐脈,血圧低下を予防するために
ティルト試験陽性の神経調節性失神 41 例に対しミド
陰性変力作用,血管収縮作用,循環血液量増加作用,徐
ドリン 2.5 ∼ 5.0mg を内服させた報告では,39 例(95%)
脈予防作用のある薬剤が使用される.以下に述べる薬物
でティルト試験は陰性となった 105).その後ミドドリン
は決定的な薬効は証明されていない.実際の治療は,各々
経口投与により平均 19 ヶ月の経過観察期間中 97%が無
の症例の主となる原因を同定し,それにあった治療法を
症状であった.
選択する必要がある.
e.鉱質コルチコイド(フルドロコルチゾン)
a.β遮断薬
循環血液量を増加させ静脈還流の減少を予防するほ
陰性変力作用のために用いる.ティルト試験で誘発さ
か,α受容体の感受性を高める 106).
れた失神発作の予防にメトプロロール静注はプラセボに
f.セロトニン再吸収阻害薬(パロキセチン,ミルナシ
比べ有効である 97).プロプラノロール静注が有効であっ
プラン)
た症例では,β遮断薬経口投与は 94 %の例で失神の発
セロトニンは血圧を調節するための重要な伝達物質で
生を抑制できた 98).しかしβ遮断薬治療群と無治療群で
ある.ティルト試験陽性が陰性となった症例はプラセボ
や
の 38.2%に比べ,セロトニン再吸収阻害薬では 61.8%と
二重盲検試験でアテノロール群とプラセボ群で失神の再
有意に多かった 107).他剤が無効の神経調節性失神に対
失神の再発率に有意な差を認めなかったという報告
発率に有意差を認めなかったという報告
90)
99)
もある.
しセロトニン再吸収阻害薬を使用し 53 %に有効であっ
β遮断薬の効果が一致しないのは,起立性低血圧など
たとの報告 108)があるが,セロトニン再吸収阻害薬は圧
が対象に含まれ母集団が一定でないことも影響している
受容器反射を抑制できないとの報告 109)もあり,今後の
可能性がある.ACE 阻害薬の長期間の投与で交感神経
検討が必要である.
系を抑制し失神の発生を抑制したという報告
100)
もあり,
β遮断薬が使用できない例では検討する余地がある.
②非薬物治療
なお,心抑制型の例ではβ遮断薬は症状を増悪させう
a.失神回避方法
るので,使用しない.
神経調節性失神の前兆を自覚した場合には,その場で
b.ジソピラミド
しゃがみこんだり横になったりすることが最も効果的で
陰性変力作用と抗コリン作用による血管収縮作用・抗
ある.それ以外に,1)立ったまま足を動かす,2)足
Circulation Journal Vol. 71, Suppl. IV, 2007
1059
循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2005−2006 年度合同研究班報告)
を交差させて組ませる,3)お腹を曲げてしゃがみ込ま
部,背中,頭部で後ろの壁に寄りかかる姿勢を 30 分継
せる,4)両腕を組み引っぱりあう,等の体位あるいは
続するものである.これを 1 日に 1 ∼ 2 回,毎日繰り返す.
等尺性運動によって数秒から 1 分以内に血圧を上昇さ
多くの失神患者は,トレーニング開始直後は壁に寄りか
せ,失神発作を回避あるいは遅らせ,転倒による事故や
かる姿勢で 30 分間起立することは出来ないが,毎日こ
外傷を予防することができる
110)
れを繰り返すことにより起立持続時間は徐々に延長し,
.
b.失神の予防治療
トレーニング開始後 2 ∼ 3 週間で 30 分間立てるようにな
ⅰ)ペースメーカー治療
る 118).起立訓練中は下半身を決して動かしてはいけな
心抑制型に対するペーシングの効果については 1990
いことを患者に伝えておく.筋肉収縮が働き静脈還流が
年代初頭から検討されているが 58),59),生理的ペースメ
増加するからである.一旦 30 分間の立位維持姿勢が可
ーカーによる通常の設定レート(60 ∼ 70ppm)では血
能となると,その後は 1 日 1 回 30 分間の起立調節訓練を
圧低下を予防できない.1990 年代後半になって,心抑
毎日継続させることで失神発作の再発は長期にわたって
制型の再発性神経調節性失神に対して比較的速いペーシ
予防される.1 日 1 回のトレーニングが有効性と継続性
ングレート(> 100bpm)でペーシング治療を行うと,
の面から神経調節性失神の治療手段として相応しい 126).
失神発作が予防されることが明らかになった
111)−114)
.
徐脈発生時に比較的速いレートのペーシングを行うペー
機能の亢進がトレーニングによって有意に抑制されるた
ス メ ー カ ー 機 能(Rate Drop Response 機 能,Search
めと考えられる 127).一方で,トレーニング効果が見出
Hysteresis 機能,Sudden Bradycardia Response 機能等)の
せなかったとする報告もある 128).
治療効果については,非植え込み患者群との比較試験が
多施設共同でなされている 112)−114).これらの結果では,
ペースメーカー治療群はペースメーカー以外の治療群よ
り再発予防は明らかに優れていた 112)−114).しかしペー
6
予後
①生命予後
スメーカー植え込み治療そのものによるプラセボ効果の
器質的心疾患が否定された神経調節性失神の予後は比
影響が除外しえない.最近,神経調節性失神患者 100 例
較的良好で 129),平均 30 ヶ月の経過観察で 1 例も死亡例
にペースメーカー植え込み手術を行い,半数ずつペーシ
を認めなかった 130).Framingham 研究においても 26 年
ング機能を ON にした群と OFF にした群での治療効果が
の経過観察で孤立性失神は死亡率に影響しなかった 5).
検討され,ペーシング治療 ON 群と OFF 群で失神再発予
ティルト試験で失神が誘発されても,その後失神の再発
防効果に差を認めなかった
115)
.現時点では,ペースメ
がなく,再度のティルト試験において失神が誘発されな
ーカー治療による失神の再発予防効果は,ペースメーカ
くなる自然治癒例も多い 89),90).
ー植え込みによるプラセボ効果と考えられる 115),116).た
しかし,神経調節性失神は直接死亡原因にならないが,
だし,心抑制型の例には効果が期待される.
交通事故や外傷など重大な事故の原因になる可能性があ
ⅱ)起立調節訓練法(Orthostatic self-training または Tilt
る 131).また,長い心停止が誘発され痙攣が生じた症例は,
重篤であり突然死の可能性があるためペースメーカー植
training)
Ector が 始 め て 本 治 療 法 の 有 効 性 を 報 告 し,Tilt
training と命名した 117).ティルト台を使用せず自宅等の
壁を利用して自分で起立訓練を行う起立調節訓練
込による心停止予防が必要である 132).
②再発率
(orthostatic self-training)としても報告されている 118).
一度ティルト試験で失神が誘発されても,その後の経
本治療法は薬物治療の必要性がなく,また自宅や職場で
過中失神発作が出現せず,再試験をおこなっても失神が
も自分で安全にいつでも行うことが出来る
119)
.現在ま
誘発されなくなる例も多い.約 3 年の経過観察中,ティ
で,本治療法の有効性に関するコントロール試験 120),
ルト試験で陽性と診断された 54 例のうち 28%で再発し
薬物治療との比較試験 121),悪性神経調節性失神に対す
たとする報告 133)がある.その他,7%/ 1 年∼ 15%/ 21
る本治療法の効果
122)
,長期フォローアップ成績
123)
,薬
物抵抗性あるいは難治性神経調節性失神患者に対する有
効性 124),125)が報告されており,本治療法は従来の薬物治
療に比べ優れた成績をおさめている.
起立訓練法は,両足を壁の前方 15 ∼ 20cm に出し,臀
1060
この治療法が有効であるのは,立位負荷直後の交感神経
Circulation Journal Vol. 71, Suppl. IV, 2007
ヶ月 89),33%/ 23 ヶ月 134),30.2%/ 30.4 ヶ月 130),35%
/ 3 年 1)という再発率が報告されている.
失神の診断・治療ガイドライン
図2 神経調節性失神症候群の反射経路(文献 136 より引用)
血管迷走神経性失神
Emotional syncope
(情動失神)
徐脈・心停止
大脳皮質
Postural/Gravitational syncope
(長時間の立位・坐位,Head-up tilt など)
Post-exertional syncope
(運動直後の失神)
心臓(抑制)
左室の
機械受容器
迷走神経刺激
延髄
頚動脈洞失神
Carotid sinus syncope
(頚動脈洞失神)
頚動脈洞受容器
迷走神経核
孤束核
状況失神
Cough syncope
(咳嗽失神)
気道の受容器
胸腔内圧上昇
血管運動中枢
脳脊髄圧上昇
脳血流低下
静脈還流減少
心拍出量低下
Swallowing syncope
(嚥下性失神)
食道の受容器
Defecation syncope
(排便失神)
腸管の機械受容器
Micturition syncope
(排尿失神)
膀胱の機械受容器
交感神経抑制
末梢血管(拡張)
血圧低下
血管迷走神経性失神,頚動脈洞失神および状況失神では,神経反射の受容器の違いにより求心路が異
なるが,反射中枢である延髄孤束核からの遠心路はほぼ同一と考えられている.
3
1
ほとんどが夜間から明け方である(91%が午後 6 時∼午
状況失神
前 6 時に発症)139).
排尿による迷走神経刺激が静脈還流の減少(排尿時の
病態生理
いきみ,立位による)に加わって血圧低下や徐脈・心停
止をきたすとされるが,就寝中の末梢血管抵抗減少,飲
状況失神(situational syncope)はある特定の状況ま
たは日常動作で誘発される失神で
135)
,神経調節性失神
症 候 群(Neurally mediated syncopal syndrome) に 含 ま
れる病態である 48).急激な迷走神経活動の亢進,交感神
経活動の低下および心臓の前負荷減少により,徐脈・心
停止もしくは血圧低下をきたし失神する
135)
.排尿
酒,利尿薬・血管拡張薬服用の影響により低血圧が助長
される 136).
②排便失神
排便失神は比較的高齢(50 ∼ 70 代)の女性に多く
136),140),141)
,切迫した排便や腹痛など消化管症状を伴う
(micturition)
, 排 便(defecation)
, 嚥 下(swallowing),
場合が多い 136),140).失神前は睡眠中もしくは臥位で休息
咳嗽(cough),息こらえ(Valsalva 手技),嘔吐(vomiting)
中の例が多く,発症は夜間∼明け方に多いとの報告 140)
などに起因する失神発作が含まれる.図 2 に想定される
もあるが,好発時間帯は排尿失神のように明らかではな
神経反射経路を示す.
い 139).
①排尿失神
排便失神は,臥位による末梢血管抵抗減少があり,排
便時のいきみによる静脈還流の減少,腸管の機械受容器
立位で排尿する男性に多く発症し中高年に比較的多い
を介した迷走神経反射が加わって血圧低下や徐脈・心停
が,20 ∼ 30 代の若年者にも発症する 136)−138).長時間の
止をきたす 136),140).排便失神では高齢者で循環器系など
臥床後や夜間就寝後の排尿中∼直後に起こり 137),138),飲
に基礎疾患を有しているためか,他の原因による失神の
酒 138)や利尿薬の服用が誘因となる.特に飲酒との関係
再発や死亡が多い 140).
が深く,過半数が飲酒後に発症している 138),139).発症は
Circulation Journal Vol. 71, Suppl. IV, 2007
1061
循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2005−2006 年度合同研究班報告)
のティルトを併用することにより陽性反応が得られ易く
③嚥下性失神
なる 148).一方,ティルト試験は,状況失神において有
嚥下性失神は比較的まれであるが,これまでに 60 例
用性は高くない 149),150).しかし,血管迷走神経性失神を
の症例報告がある 136).平均年齢は 57 歳(15 歳∼ 85 歳)
合併している例もあり,他に適当な検査もないことから
で 40 ∼ 70 代の中高年に多い.男性が 67%と多い.誘因
ティルト試験を施行しているのが現状である.
は固形物が最も多く,炭酸飲料,温水,冷水でも誘発さ
れる.食道バルーンによっても徐脈性不整脈が誘発され
3
治療
る 136).食道疾患の合併が 42%に認められ,食道ヘルニア,
クラスⅠ
食道スパズム,憩室,癌,アカラジアなどが報告されて
1)病態の説明
いる
136),142)
.基礎心疾患としては心筋梗塞後が最も多く,
特に下壁梗塞後に嚥下性房室ブロックの発症が多い
143)
.
食道圧受容器の感受性亢進による迷走神経反射が原因
2)誘因を避ける:飲酒,血管拡張薬,坐位での排尿,
便通の調整,嚥下方法の工夫など
3)前駆症状出現時の回避法
で 142),硫酸アトロピンの投与により発作は抑制される.
嘔吐失神(vomiting syncope)も数例の報告があるが,
クラスⅡ a
嚥下性失神と同様,食道拡張に対する圧受容器の感受性
1)重症例や心抑制型の例に対するペースメーカー*
亢進に起因する
144)
.
クラスⅡ b
④咳嗽失神
1)咳嗽失神に対する肺疾患の治療
咳嗽失神は中年(30 ∼ 50 代)の男性に多く,肥満ま
たは頑強で胸郭が大きい患者に多い 145).これは咳によ
クラスⅢ
り胸腔内圧が上昇し易いためである.また大量の喫煙者
1)抗コリン薬
で飲酒例が多く,慢性閉塞性肺疾患の合併も多い
145)
.
咳嗽失神は,胸腔内圧上昇に起因する場合と迷走神経
【注】
反射に起因する場合とがある.前者では胸腔内圧の上昇
*ペースメーカー治療の有効性を支持する成績は多くは
により静脈還流量が減少し,心拍出量低下によって脳血
ないが,本失神では他に有効な治療法が少ないためⅡ a
流量が低下する.胸腔内圧上昇は脳脊髄圧を上昇させ,
とした.
脳動脈を圧迫することによっても脳血流を低下させる.
後者には気道における圧受容器の過敏に起因するもの
確立されている治療はなく,個々の病態に応じて治療
146)
方針を立てる.
や頚動脈洞過敏によるもの
2
1062
147)
が含まれる.
診断
①生活指導
詳細な病歴聴取により失神時の状況を把握すること,
状況失神では一般的に発作頻度が少なく,生活指導で
失神の原因となる他の基礎疾患(循環器疾患,神経疾患,
十分な場合も多い.いずれの状況失神でも発作の直前に
代謝性疾患など)を否定することが重要である.診断が
前兆(気分不快,血の気が引くような感じなど)があっ
明らかでない場合,誘発試験を行うが,状況失神では同
た場合,しゃがみこんで転倒に備えるように指導する.
じような状況で誘発を試みても失神発作が再現されるこ
a.排尿失神
とは少ない.しかし,嚥下性失神では,誘因となる物質
過度の飲酒や血管拡張薬の服用を避ける.特に感冒や
(固形物など)の嚥下や食道バルーンの拡張により,再
疲労時はアルコールを控える.飲酒時には男性でも坐位
現性をもって徐脈性不整脈が誘発されることが多い 136).
での排尿を指導する.
また,バルサルバ試験も嚥下性失神や咳嗽失神患者にお
b.排便失神
いて,ごく一部の症例で血圧低下や心停止を伴い失神発
誘因となる腹痛や下痢を予防し,夜間の排便を避ける.
作が再現できる場合がある 136).咳嗽失神などでは頚動
c.嚥下性失神
脈過敏症を合併している場合もあるため,50 歳以上の
誘因(固形物,温湯,冷水,炭酸飲料など)を避け,
患者では頚動脈洞マッサージを施行してみる 147).頚動
固形物は十分に咀嚼して小さくしてから飲み込む.
脈洞マッサージは仰臥位で陰性であっても,60 ∼ 70 度
d.咳嗽失神
Circulation Journal Vol. 71, Suppl. IV, 2007
失神の診断・治療ガイドライン
咳の予防として禁煙,肥満の改善(減量)を指導し,
る 154).女性に多い理由は明らかではないが,女性ホル
基礎に肺疾患がある場合はその治療を行う.
モンや性周期との関連が示唆されている 155).成人の慢
性疲労症候群(CFS)例の 25 ∼ 50 %に POTS が認めら
②薬物療法
れる 156).
有効性が確立されたものはない.嚥下性失神で徐脈・
症状は立位に伴う動悸,ふらつき,疲労感,全身倦怠
心停止を伴うものでは硫酸アトロピンが有効との報告
感が主体であるが,多彩な症状を認める 157).これらの
142)
もあるが,口渇等の副作用も強く,一般的に長期間
症状は脳血流低下に基づくものであり正確な機序は不明
の服用は困難である.咳嗽失神では肺疾患の治療が咳の
であるが,静脈還流量の減少,過換気やそれにともなう
予防に重要であり,必要に応じて鎮咳薬を投与する.
低 CO2 血症による脳循環調節の異常,脳動脈収縮がめ
③ペースメーカー治療
159)
生活指導により失神が予防できず,発作時に徐脈や心
どの迷走神経刺激症状もみられ,さらに振戦やパニック
停止が確認されている場合はペースメーカー治療の適応
障害のような不安神経症状を呈する 158).起立不耐症で
である.特に嚥下性失神では著しい徐脈・心停止を認め
は皮膚への血流低下により,四肢特に下肢のチアノーゼ
ることが多く,ペースメーカー治療が有効である.
がみられることが多い.これは広汎に下肢に広がりまだ
4
まいや眼前暗黒感,頭痛などの症状の原因となる 158),
.発汗や顔面紅潮などの交感神経刺激症状,悪心な
ら模様を呈する 158),160).
予後
一般的には合併する基礎疾患(特に心疾患)による.
3
原因と病態生理(図 3)159)
特に高齢者では心血管系の異常を伴うことが多く,重大
①下肢限局型の自律神経性ニューロパチー
な基礎疾患を見落とさないことが重要である.失神の再
(部分的自律神経障害 partial dysautonomia)
発については血管迷走神経性失神とほぼ同様である 150).
4
POTS の発症に先行してウイルス感染がみられ 152),ノ
ルアドレナリンに対する血管収縮反応の検討で下肢の静
体位性起立頻脈症候群
(POTS)
脈に脱神経過敏が認められる.交感神経皮膚反応や定量
的軸索反射性発汗試験,ノルアドレナリンの spillover の
検討から下肢のみで交感神経機能異常が認められる 91),
本症候群では失神を来たさないが,病態生理は神経調
161)
節性失神症候群に類似しているため,本ガイドラインで
られる 162).
取り上げて解説する.
②β受容体感受性亢進(β -receptor hypersensitivity)
1
概念
1982 年 Rosen らが起立時に疲労,運動不耐症,心悸
亢進などを伴う患者群を「体位性頻脈症候群(postural
tachycardia syndrome)」 と 報 告 し た
.1993 年
151)
Schondorf らはこの病態を体位性起立頻脈症候群(POTS:
postural orthostatic tachycardia syndrome) と 命 名 し た
152)
.ティルト試験で異常な心拍数の増加を示し,多く
の場合起立 2 分以内に心拍数が 120 ∼ 170/ 分まで増加す
る.
2
臨床的特徴
.また,下肢への極度の重力依存性血液貯留が認め
図3 POTS の体位性頻脈と起立不耐症をきたす原因として
想定される機序(文献 159 より改変引用)
静脈運動調節障害
起立時の静脈プーリング
の増加
中心血液量の減少
動脈圧の減少
心肺圧受容器の減負荷
交感神経による増大
脳血管抵抗
末梢血管抵抗
POTS と ほ ぼ 同 義 語 と さ れ る 特 発 性 起 立 不 耐 症
(idiopathic orthostatic intolerance)の有病率は少なくと
も 1/500 以上にのぼり,全米で 50 万人以上の患者がいる
とされる 153).患者の大半は 15 ∼ 50 歳,平均年齢は 30
代前半であり,男女比は 1:4 ∼ 5 で若年女性に好発す
動脈圧の維持
頻脈
脳血流量と脳血流速度の低下
脳動脈収縮
起立不耐症
Circulation Journal Vol. 71, Suppl. IV, 2007
1063
循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2005−2006 年度合同研究班報告)
起立時にβ 1 受容体を介する心拍数増加が大きいこと
①生活指導,増悪因子の除去
が機序の 1 つであり,β遮断薬の有効である理由とされ
起立性低血圧に準ずる.
ている
163)
②薬物療法
.
臨床的な有効性が無作為二重盲検試験で確認された薬
③循環血液量の減少
循環血液量については一定の成績はない
160),164)
.
る.治療の目的は,a)循環血液量の増加,b)過剰な交
であり,増悪因子として関与する.
感神経活動の抑制,c)末梢血管(動脈,静脈)の収縮,
④中枢自律神経線維網の障害
d)β受容体感受性亢進の減弱にある.
脳幹部から大脳にかけて圧受容器反射に関与する脳幹
a)循環血液量の増加
網様体や視床下部などを中心とする中枢自律神経線維網
急性の治療としては生理食塩水の点滴静注を行う.内
(central autonomic network)と呼ばれる網状の線維連絡
服薬としてはフルドロコルチゾン(0.02 ∼ 0.1mg /日,
があり,POTS 例ではこの自律神経中枢の異常が関与す
分 2 ∼ 3)の有効性が認められている 171).ただしその効
る可能性がある 165).
果は塩分の摂取量に依存するため,患者には十分な塩分
⑤骨格筋ポンプの障害
摂取をあわせて指導する.治療抵抗性の患者には , 赤血
一部の POTS 例では運動機能とは関係なく骨格筋ポン
球増加作用と血管収縮作用を有するエリスロポエチンの
プが障害されている
166)
172)
有効性が報告されている(保険適応はない)
.
.
⑥遺伝的要因
b.交感神経活動の抑制
家族性高ブラジキニン血症
167),168)
やノルエピネフリン
過剰な交感神経活動の亢進を認める患者には中枢性交
トランスポーター(NET)遺伝子異常の関与を示唆する
感神経抑制薬が有効である.交感神経抑制薬に対する感
報告があるが 169),大多数の POTS 患者の遺伝的要因は
受性が高いため少量より投与を開始する.クロニジン
(0.225 ∼ 0.45mg /日,分 3)単独あるいはフルドロコ
明らかでない.
⑦ High-flow, low-flow and normal-flow POTS
ルチゾンとの併用を行う 171).これらの薬剤は,長期投
POTS の病態は単一ではなく安静臥床時の末梢血管抵
与により交感神経活動を亢進させ中心血液量を減少さ
抗 と 心 拍 出 量 に よ り“high-flow POTS”,“low-flow
せ,かえって起立不耐症を増悪させる可能性がある.
POTS”,“normal-flow POTS”の 3 つに分類されること
c.末梢血管(動脈,静脈)収縮
がある
4
α 1 受容体刺激薬(ミドドリン 4mg /日,分 2)が用
160),170)
.
いられる 171).エフェドリン(12.5 ∼ 75mg /日,分 1 ∼ 3)
診断
表 12 に診断基準
の有効性を示す報告もあるが,中枢神経作用など副作用
を示す.起立もしくはティルト 5
91)
分以内に臥位に比べ心拍数が 30 /分以上増加するが,
起立性低血圧を認めない.この際に臨床経過と同様なめ
まい,立ちくらみ,視野異常,動悸,振戦,脱力感など
多彩な起立不耐症の症状がみられる.貧血,脱水,体重
減少をきたす消耗性疾患が基礎にないことが必要であ
り,起立不耐症を助長しうる薬剤が投与されていないか
の確認も重要である.
5
治療(表 13)
治療方針は起立性低血圧に準じて行う.
表 12 Low らによる POTS の診断基準(文献 91 より引用)
(1)起立またはティルト5分以内に心拍数増加≧ 30 /分
(2)起立またはティルト5分以内に心拍数≧ 120 /分
(3)起立不耐症の症状が持続する
(2)を満たさない
【注】上記すべてを満たすものは重症 POTS,
ものは軽症 POTS.
1064
物療法はいまだになく,症例ごとに薬剤の効果を検討す
POTS の発生機序として循環血液量のみでは説明が困難
Circulation Journal Vol. 71, Suppl. IV, 2007
表 13 POTS の治療
1)患者指導,増悪因子の除去
① 体重減少,脱水,貧血の是正
② 原因薬剤の中止
③ 慢性消耗性疾患,長期臥床,運動不足の是正
2)薬物療法
① 循環血液量の増加
(a)生理食塩水点滴静注(1 L / 1 時間)
(b)フルドロコルチゾン
(c)エリスロポエチン
② 過剰な交感神経活動の抑制
中枢性α 2 受容体刺激薬:クロニジン,メチルドーパ
③ 末梢血管(動脈,静脈)の収縮
(a)ミドドリン
(b)ジヒドロエルゴタミン
④ β受容体感受性亢進の減弱
β受容体遮断薬:プロプラノロールなど
3)非薬物療法
① 塩分摂取
② 下肢筋肉トレーニング
③ 弾性ストッキング
④ 上半身を高くした睡眠
失神の診断・治療ガイドライン
や半減期の短さなどによりその投与は制限される 171).
α 1 受容体刺激薬の長期投与による効果は未だ明らかで
はない.
d.交感神経β受容体の感受性亢進の減弱
β遮断薬が非常に有効とされる 163)が,これまでに無
洞過敏症候群は全体の 25%以上に認められる 1),183).
診断
2
①臨床症状
作為試験によるβ受容体遮断薬の効果の検討はなされて
失神発作の頻度は様々であるが,頚動脈洞過敏の病態
おらず,長期効果も明らかではない.
は数年に及ぶ慢性期においても持続することが多い 179).
6
予後と社会生活
脳虚血症状(めまい,ふらつき感,失神)は立位や坐位,
歩行時に生じやすく,着替えや運転,荷物の上げ下ろし
POTS の生命予後は一般に良好であり 1 ∼数年以内に
などの頚部の回旋や伸展およびネクタイ締めなどの頚部
自然に軽快する例が多いが,予後を系統的に検討した報
への圧迫が誘因となる.また,頚動脈洞を圧排するよう
告はなく不明の点が多い.POTS のタイプによっても予
な頚部腫瘍(甲状腺腫瘍など)や頚部リンパ節腫大など
後が異なる可能性があり
158)
,また起立時の頻回に認め
られる症状のため日常生活の QOL や ADL が著しく制限
される場合がある
5
173)
.
頚動脈洞過敏症候群
によって認められることもある.
頚動脈洞過敏症候群の診断には血管迷走神経性失神と
の鑑別が重要であり,両者の臨床的特徴を把握すること
183)
が必要である(表 14)
.頚動脈洞過敏症候群は男性
に好発し,しばしば冠動脈疾患や高血圧などを合併する
48),174)
.
頚動脈洞過敏症候群は中高年齢層の原因不明の失神患
者においてしばしば認められ,重要な疾患である 1),7),
48),174)−176)
.
1
病態生理と発症頻度
②頚動脈洞マッサージによる診断および病型分類
ホルター心電図やモニター心電図記録上,一過性の洞
停止や房室ブロックが認められ,その原因精査において
電気生理検査上異常なく,頚動脈洞マッサージ(CSM)
頚動脈洞の圧受容器は,血管内圧の上昇や外部からの
により初めて診断される例もある 184),185).
頚動脈洞圧迫により血管壁の伸展が生じると刺激され
頚動脈洞過敏症候群は心電図および動脈血圧モニター
る.頚動脈洞内の圧受容器からの求心性神経線維は舌因
記録下に CSM で病歴と一致した意識消失発作が誘発さ
神経を通り,延髄中の弧束核そして迷走神経背側核,疑
れた場合,血圧および心拍数の反応から病型分類される
核および延髄・橋網様体に至る.遠心性神経線維は,洞
177)−179),186)
結節や房室結節に分布する迷走神経心臓枝と心室筋や全
で症状が出現し初めて陽性と判定される場合もある.臥
身血管に多く分布する交感神経に分かれる.頚動脈洞圧
位と比較すると,ティルト下の立位における CSM のほ
迫により前者が刺激されると洞機能や房室伝導能に抑制
うが頚動脈洞過敏の程度が増強され,診断率が高まる 1),
的に働き,洞停止や房室ブロックが生じ心停止に至る
187),188)
177)
見過ごされやすく,立位による圧迫で診断される頻度が
心性・遠心性神経線維または脳幹,さらには洞結節など
高い 187),188).
心臓自体のどの部位の過剰反応に起因するものか明らか
CSM によって生じる合併症は神経症状であるが,発
.しかし,頚動脈洞過敏現象が,反射弓における求
.5 秒間の圧迫で陰性を示し,10 秒間の圧迫
.特に血管抑制反応が主体であるものは臥位では
ではない.頚動脈洞過敏症候群が洞機能不全症候群の一
症状であることは考えにくい 178),179).頚動脈洞過敏症候
群の病態と加齢に伴う動脈硬化との関係が指摘されてお
り,また加齢に基づく胸鎖乳突筋の慢性除神経との関係
も注目されている 48),180),181).中枢神経におけるシナプス
後α 2 受容体の抑制,セロトニン再摂取増強との関係も
あげられている 48),182).
頚動脈洞過敏症候群は,神経反射性失神を示す例の約
13 %に認められ,さらに原因不明の失神患者における
検討では,頚動脈洞マッサージにより診断される頚動脈
表 14 頚動脈洞過敏症候群と血管迷走神経性失神の比較
発症頻度
発症年齢
性差
前駆症状
家族歴
心疾患合併
発作時活動状態
診断法
病型分類
頚動脈洞過敏症候群
低い
中高年(> 50 歳)
男性に多い
ほとんどなし
ほとんどなし
しばしばあり
頚部回旋に関係
頚動脈洞マッサージ
心臓抑制型が多い
血管迷走神経性失神
高い
若年∼中高年
女性にやや多い
高率
しばしばあり
少ない
立位,坐位,排尿時
ティルト試験
血管抑制,混合型が多い
Circulation Journal Vol. 71, Suppl. IV, 2007
1065
循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2005−2006 年度合同研究班報告)
症率は 0.1 ∼ 0.45%と極めて低い 1),189).神経症状が発症
3)セロトニン再吸収阻害薬
しても多くは 24 時間以内に回復する.しかし,過去 3
パロキセチン 10 ∼ 40mg /日 分 1(夕食後)
ヶ月以内に脳梗塞や一過性脳虚血の既往を認める例や頚
ミルナシプラン 30 ∼ 100mg /日 分服
動脈に血管雑音を有する例では,合併症のリスクが高ま
るため CSM は避けるべきである.
クラスⅢ
以下の病型分類は基本的には神経調節性失神のものに
1)頚動脈洞刺激によって心抑制型の反応を示すが,症
準ずる.
a.心臓抑制型(Cardioinhibitory type)
状がないか軽い場合のペースメーカー
2)抗コリン薬
CSM により少なくとも 3 秒以上の心停止を伴う頚動
脈洞過敏を示し,意識消失発作が誘発され,収縮期血圧
薬物療法の有効性の報告は少なく,症状の頻度,重症
の低下は 50mmHg 以内にとどまる.心停止は,洞停止
度および病型により治療方針を決める 190),191).
あるいは洞房ブロックばかりでなく完全房室ブロックに
症状が失神に至らず,めまい感やふらつき感にとどま
よっても生じ,
しばしば心電図上 non-conducted PAC(心
っている場合は,頚動脈洞圧迫につながる急激な頚部回
室伝導を認めない心房期外収縮)が記録される.AH ブ
旋,伸展などの行動は避けるように生活指導する.ネク
ロックによる房室ブロックが潜在している可能性があ
タイ締め,着替え,運転,荷物の上げ下ろしなどの行動
り,心臓抑制型において電気生理検査を行うことは,伝
に伴って症状が出現しやすいため,注意が必要である.
導抑制部位の病態の解明ばかりでなくペーシングモード
失神に至る例では,心臓ペーシングなどの適切な治療を
選択にも有用である 179).
積極的に行わないと再発の危険性が高い 179),190)−193).特
b.血管抑制型(Vasodepressor type)
に反復する失神をきたす例や失神発作時に長い心停止や
CSM により 3 秒以上の心停止は示さないが,50mmHg
頭部外傷を認める例では,ペースメーカー治療が絶対適
以上の収縮期血圧低下を認め意識消失発作が誘発され
応となる 190).頚動脈洞を圧排する頚部腫瘤などによる
る.
二次性の頚動脈洞過敏症候群では,臥位,坐位でも症状
c.混合型(Mixed type)
は出現しやすく摘出術などの根治治療が必要となる.心
混合型は心臓抑制型と血管抑制型の両者の頚動脈洞過
臓抑制型に対する抗コリン薬などの内服治療は再発率も
敏を認める.
高く無効である.
3
治療
頚動脈洞過敏症候群に対するペースメーカー治療の適
応は本項の冒頭に示したとおりである 190).ペースメー
クラスⅠ
カー治療においては,心臓抑制型ではしばしば房室ブロ
1)病態の説明
ックによる心停止を伴うため,AAI 型ペースメーカーで
2)誘因を避ける:急激な頚部の回旋・伸展,きつい襟,
きついネクタイなど
は失神を予防することができず禁忌である.VVI 型では,
ペースメーカー症候群や血管抑制反応の増強により,心
3)頚部腫瘍の摘除
拍数は維持されるが血圧低下が認められ,必ずしも症状
4)失神を伴う心抑制型に対するペースメーカー(DDD,
の改善は認められない場合がある.DDD,DDI 型の心
DDI)
房心室同期ペーシングが本疾患に最適な治療法である
191)
.混合型でも心臓抑制反応が強い例はペーシング治
クラスⅡ a
療が有効であるが,血管抑制が強い場合は血管抑制型と
1)失神発作があり頚動脈洞刺激で心抑制型の過敏反応
同様にペーシング治療による心停止の予防だけでは症状
を示すが,明らかな失神発作が誘発されない場合の
の改善は認められない.近年,rate drop response 機能を
ペースメーカー
もつ生理的ペースメーカーが,頚動脈洞過敏症候群にお
ける心臓抑制反応が強い例で有効とされている 192),194).
クラスⅡ b
血管抑制型に対しては確立された治療法は得られてい
1)β遮断薬
ない.エフェドリン,プロプラノロールやセロトニン摂
プロプラノロール 30 ∼ 60mg /日 分 3
メトプロロール 60 ∼ 120mg /日 分 3 など
2)エフェドリン 12.5 ∼ 75mg /日 分 1 ∼ 3
1066
Circulation Journal Vol. 71, Suppl. IV, 2007
取阻害薬が有効であった報告もみられる 179),195).
失神の診断・治療ガイドライン
4
予後と社会生活
③診断
失神を示さず,めまい感やふらつき感などにとどまる
12 誘導心電図,モニター心電図,ホルター心電図に
場合は,頚動脈洞圧迫につながる急激な頚部回旋,伸展
より診断されるが,迷走神経の影響を除外するため運動
などの行動を避けるように生活指導することで,失神を
負荷心電図や硫酸アトロピンに対する反応を確認する.
予防できる.血管抑制反応が強い頚動脈洞過敏を呈する
本症候群が疑われるが上記検査によっても確定診断に至
例では,ペースメーカー治療が無効であり,また有効な
らない場合,電気生理検査の適応である 201).電気生理
薬剤がないため日常生活における生活指導を常に念頭に
検査では,①洞結節オーバードライブ抑制試験による洞
おく必要がある.特に再発性の失神を有する例では運転
結節回復時間(sinus node recovery time: SNRT),さら
中の失神はしばしば事故につながるため,運転制限や禁
に 基 本 刺 激 周 期 長 に よ り 補 正 し た 修 正(corrected)
止が必要となる.
SNRT の 計 測 202), ② 洞 房 伝 導 時 間 測 定(Strauss 法,
6
Narula 法)203),204),③洞結節電位直接記録 205)により洞機
徐脈性不整脈
能の評価を行う.一般に SNRT は 1400ms 未満,CSNRT
は 525ms 未満を正常範囲とする.
失神の原因となる徐脈性不整脈には洞不全症候群,房
室ブロックがあげられる.これらの鑑別には失神発作の
状況,年齢,既往歴,家族歴,基礎疾患の検索と心電図,
必要に応じて電気生理検査などの検査が有用である
1),
原則としてペースメーカーが選択される.それまでの
繋ぎとして,もしくは患者がペースメーカー治療を希望
しない場合などにはオルシプレナリン(40mg /日 分 4
196)
.
1
④治療
洞不全症候群
①定義・病態生理
洞不全症候群は洞自動能低下もしくは洞房伝導能の一
過性または持続性低下により徐脈をきたすもので,前者
に よ り 洞 停 止, 持 続 性 洞 徐 脈, 心 拍 応 答 性 の 低 下
(chronotropic incompetence)
,後者により洞房ブロック
が出現する.大部分は洞結節細胞もしくは周囲心房筋の
加齢に伴う変性,線維化などによる特発性と呼ばれるも
のである.二次性のものとして虚血性心疾患,心筋症,
弁膜症,炎症,高血圧,膠原病,心アミロイドーシスな
から漸増)やシロスタゾール(200mg /日 分 2,保険適
応外)などの薬物療法が選択される.ただし,これら薬
物療法の効果は不確実であることを念頭に置く.ペース
メーカー植え込みの適応は不整脈の非薬物治療ガイドラ
イン 206)に従う.
⑤予後
ペースメーカー植込み後の予後は基礎疾患による.
2
房室ブロック
①定義・病態生理
どに伴うものがある.多くは 50 歳以上に発症するが,
房室ブロックは心房から心室へ刺激が伝達される際
まれに若年者にもみられ,先天的な刺激伝導異常も疑わ
に,刺激伝導系のいずれかの部位において,伝導遅延ま
れる 197).自律神経,特に迷走神経の関与が大きく,徐
たは途絶が認められるものである.
脈は夜間に著明である.Brugada 症候群との合併も報告
先天性と後天性に大別されるが,前者は修正大血管転
され注意が必要である 198),199).
位や心室中隔欠損を伴う心奇形などによく認められる.
②分類
後天性では伝導系を含む心筋の虚血,炎症,変性,外傷
などが原因となる.後天性房室ブロックは,一般に加齢
Rubenstein の分類が使用される 200).
に伴う変性,線維化などの原因の明らかでないものが多
Ⅰ群:原因不明の著しい持続性洞徐脈(心拍数< 50/ 分)
い.その他,二次的なものとしては,虚血性心疾患,心
Ⅱ群:洞停止あるいは洞房ブロック
筋症,心筋炎,薬剤性,膠原病,サルコイドーシスに伴
Ⅲ群:徐脈頻脈症候群
うものなどがある 207).
Circulation Journal Vol. 71, Suppl. IV, 2007
1067
循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2005−2006 年度合同研究班報告)
期が 450msec 以上に延長する例などは 3 枝ブロックへの
②診断
進展する可能性が高く失神の原因となりうる 201).
12 誘導心電図,モニター心電図,ホルター心電図に
徐脈性心房細動では,臨床症状と徐脈との関連が明ら
より診断されるが,迷走神経の影響を除外するため運動
かでない場合には,ホルター心電図を繰り返し記録し,
負荷心電図や硫酸アトロピンに対する反応を確認する.
徐脈の程度(覚醒時の心室拍数< 40/ 分)や心室停止の
器質的房室伝導障害を有する例では,これらの負荷によ
長さ(> 3 秒以上)などの所見を参考とする 201).
り房室伝導の増悪を示すことが多い.房室伝導障害が疑
われるが,上記検査によっても確定診断に至らない場合
③治療
は電気生理検査の適応である 201).本法ではブロック部
臨床症状を有する例ではペースメーカー植込みが原則
位の診断をはじめ,不応期測定,下位中枢の安定性評価
である 206).それまでの繋ぎもしくはペースメーカー治
および潜在性ブロックの誘発を行う
208)
.すなわち,①
His 束以下の伝導遅延の有無,②漸増性心房ペーシング
療を拒否する例では,硫酸アトロピンや交感神経刺激作
用を有するオルシプレナリン(40mg /日 分 4 から漸増),
法による AH Wenckebach 型ブロックおよび His-Purkinje
イソプロテレノール(0.01 ∼ 0.1µg / kg /分)などを使
系における 2 度以上のブロック出現心拍数 209),210),③心
用するが,効果は不確実である.植え込みの適応は不整
房期外刺激法による心房,房室結節,His-Purkinje 系の
脈の非薬物治療ガイドライン 206)に従う.
相対・有効不応期の測定を行う.これらによってもブロ
ックがみられない時には,④心室オーバードライブ抑制
④予後
試験や⑤ Ia 群抗不整脈薬負荷などによる房室ブロック
ペースメーカー植込み後の予後は基礎疾患に依存す
の誘発を行う.これにより HV 時間が 2 倍以上に延長す
る.
る場合,HV 時間が 100ms 以上に延長する場合,さらに
は 2 度 以 上 の 房 室 ブ ロ ッ ク が 出 現 し た 場 合 は His-
7
頻脈性不整脈
1
病態生理
Purkinje 系の器質的伝導障害が示唆される.低用量の抗
不整脈薬によりブロックが誘発されれば診断意義は大き
い.このために使用される薬剤はシベンゾリン(1.4mg/
kg),ジソピラミド(1.0mg/kg),プロカインアミド(10mg/
頻脈(表 15)により心拍出量が低下ないし消失する
kg)などである.
ことが原因である.頻脈が数秒で停止すればめまいや動
脚ブロックに 1 度ブロックの合併を認めた場合は,ブ
悸で終わることがあるし,持続すれば突然死に結びつく
ロック部位診断のため電気生理検査が不可欠である 211),
17),218)
.また,2 度 Wenckebach 型ブロックの大多数は,迷
212)
走神経の緊張に伴う機能的(可逆的)ブロックで,ブロ
ック部位は His 束上である 213),214).His 束内,His 束遠位
でみられることは比較的まれな現象であり
215)
,何らか
の器質的障害の存在が示唆される.運動負荷など心房拍
数の増加に伴い房室伝導の増悪を認めることが多く 216),
2
診断
失神の原因として一過性の頻脈を疑うことが重要であ
る.
①病歴
217)
,ほとんどの例でさらに高度房室ブロックへ進展す
失神に先行する動悸 219),運動や精神的ストレスの関
る.2 度 Mobitz Ⅱ型ブロックは His 束以下の器質的伝導
与 220),突然死の家族歴,心疾患の既往,心電図異常の
障害が原因とされ,運動負荷や硫酸アトロピンによる反
既往,服薬状況を把握する.
応は,伝導の不変もしくは悪化となって現れる.より高
度の房室ブロックへの進展が認められることが多い.2
枝ブロックが存在する例で,進行性に 1 度もしくは 2 度
のブロックを合併した場合は間欠的 3 枝ブロックの出現
が考えられ注意が必要である.この場合は,電気生理検
査が必須であり,HV 時間が 100msec 以上に延長してい
る例,毎分 150 以下の心房刺激で HV ブロックが出現す
る例,心房期外刺激法による His-Purkinje 系の有効不応
1068
.
Circulation Journal Vol. 71, Suppl. IV, 2007
表 15 失神をきたす頻脈性不整脈
A 上室性頻脈
1 発作性上室頻拍
2 心房粗動
3 心房細動
B 心室性頻脈
1 単形性心室頻拍
2 多形性心室頻拍
3 心室細動
失神の診断・治療ガイドライン
②身体所見
予後
4
器質的心疾患の有無,心拡大や心不全徴候の有無を確
心原性失神の 1 年目の死亡率は 24%と高い 1),17).我が
認する.病歴や身体所見は心臓由来の失神かどうかの推
国の ICD 治療群では,1 ∼ 3 年の観察で 40 ∼ 50%に適切
定に役立つ
68)
.心エコー検査も有用である
221)
作動が認められている 241).QT 延長症候群,Brugada 症
.
候群,カテコラミン誘発性多形性心室頻拍などを対象に
③心電図
治療効果を比較した大規模試験はまだない.
WPW 症候群,Brugada 症候群
222)
,QT 延長症候群
223)
に注意する.催不整脈性右室心筋症では,T 波の異常や
イプシロン波などがみられる
8
虚血性心疾患
1
病態生理
224)
.異常 Q 波,肥大所見,
ST-T の異常,QRS 幅の延長などは心疾患を示す.
④ホルター心電図
虚血性心疾患による失神の機序には,心筋ポンプ失調
頻脈発作がホルター心電図で捉えられる可能性は低い
あるいは不整脈による心原性のものと Bezold-Jarisch 反
225)−227)
射などの神経反射によるものがある.
.失神をきたす頻脈が考えられる場合は,入院し
てモニターを行い,適時電気生理検査に移行するのが安
全である.
①急性冠症候群
14 カ国 20,881 人の急性冠症候群の検討では,8.4%の
⑤電気生理検査
症例で胸痛を認めず,23.8%の症例が初期には急性冠症
プログラム刺激によって頻脈の誘発を試みる.WPW
候群と診断されず 242),その中の約 20%の症例が失神発
症候群,発作性上室頻拍や心房粗動では誘発率は高く診
作やその前兆を訴えて受診した(図 4).従って失神発
断的価値も高い
228)
作で受診してきた症例においては,常に虚血性心疾患の
.
基礎心疾患を有し単形性の持続性心室頻拍が確認され
ている例では,心室頻拍の誘発率は高い 229).持続性心
室頻拍や心室細動の誘発例では,失神や突然死の危険が
高い 230),231).Brugada 症候群では多形性心室頻拍や心室
可能性を考慮する必要がある 242)−244).
②狭心症
a.冠攣縮性狭心症
,その意義については議論があ
失神も一つの病態であり頻度は 4 ∼ 33 % 245)−248)とさ
る.失神例の電気生理検査の適応は本学会ガイドライン
れる.機序として虚血による心筋ポンプ失調 249),房室
233)
ブロック 250),洞徐脈,心室性頻脈性不整脈などが考え
細動が誘発されるが
232)
に従う.
3
られている.一般的には,右冠動脈の近位部 251),QT
治療
dispersion が増大している症例 252),多枝病変 253),254)や発
失神が発作性上室頻拍,WPW 症候群,特発性心室頻
作時に不整脈とくに心室頻拍 255),256),心室細動,完全房
拍による場合はカテーテルアブレーションにより根治で
きる 234),235).心室頻拍や心室細動による場合は,植え込
み型除細動器(ICD)が最も確実な手段となる 190).心
筋梗塞後の心機能低下例で,電気生理検査で持続性心室
図4 無痛性の急性冠症候群における症状の頻度(文献244より引用)
合計が 100%を超すのは1つ以上の症状があるため
頻拍・心室細動が誘発される場合は ICD で予後は改善
50
する 236),237).
40
あるので,これに従う.持続性心室頻拍・心室細動例に
対するアミオダロンの有効性には論議がある
239),240)
.
QT 延長症候群やカテコラミン誘発性多形性心室頻拍の
失神および突然死の予防には,β遮断薬と運動制限が原
則となる.症状や突然死の家族歴の有無などを参考に
ICD を考慮する
190),238)
.
Patients (%)
個々の頻脈についての治療のガイドライン 238)は既に
49.3
30
26.2
24.3
19.1
20
10
0
Dyspnea
Diaphoresis Nausea and
vomiting
Syncope
Circulation Journal Vol. 71, Suppl. IV, 2007
1069
循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2005−2006 年度合同研究班報告)
室ブロック 257)を呈する例に多い.非発作時には異常が
心筋ポンプ失調のみが原因と確定できないし,神経反射
認められないことから,原因不明の失神のなかにはこの
266)
や原発性不整脈(心室細動)の関与もある.急性心
病態による失神発作が多く含まれている可能性がある
筋梗塞後にはティルト試験の陽性率も 33%と対照の 3 倍
258)
くらい高く,1 年間の経過観察で 25%の症例に失神ある
b.労作狭心症
いは失神前症状が発生する 266).
心筋ポンプ失調や虚血に伴う頻脈性不整脈,房室ブロ
虚血発作が頻脈性心室性不整脈の発生に関係している
ックなどにより失神・前失神発作を起こす.動脈硬化性
例では,虚血発作に対する治療を優先する.適応のある
.
病変のみでなく先天性冠動脈疾患
259)
や川崎病
260)
なども
2
場合には冠動脈形成術や外科的治療を行う(クラスⅠ).
冠攣縮例の失神発作は突然死につながる可能性もある
原因となる.
が 267),突然死とは無関係とする報告もある 245).一般的
診断
には,Ca 拮抗薬が第一選択である(クラスⅠ)267).しか
患者が失神前後で胸痛を自覚すれば,運動負荷テスト,
し,薬剤による効果が不十分あるいは不確実と考えられ
心エコー,心電図モニターなどが第一段階として推奨さ
る場合,ICD 植込みを行う(クラスⅡ a).
1)
れる(クラスⅠ)
.ホルター心電図が最初に勧められ
陳旧性心筋梗塞例で失神の原因が心室細動や持続性心
るが,発作時の記録が困難な場合にはイベントレコーダ
室頻拍であることが確認されている場合は ICD の適応
ーや植込み型ループメモリー記録装置が推奨される
261)
.
である(クラスⅠ).原因不明の失神発作があり,持続
失神の原因として心筋虚血が疑われる場合,冠動脈造
心室頻拍や心室細動が電気生理検査で誘発され,有効な
影が診断と適切な治療方法選択のために推奨される(ク
190)
薬剤がない場合は ICD の植込みを行う(クラスⅠ)
.
ラスⅠ).冠動脈造影が正常の場合には冠攣縮性心筋虚
頻拍発作の予防にアミオダロンやβ遮断薬の併用投与も
血を疑い,エルゴノビン負荷 262)あるいはアセチルコリ
有効である(クラスⅡ a)が,その効果は ICD に劣る.
ン負荷
263)
を行なう.まれにイソプロテレノール負荷に
よって誘発される場合もある
264)
.
運動負荷試験は,運動中あるいは運動直後におこる失
神発作の診断には重要である.運動中に起こる失神発作
不整脈の非薬物治療ガイドライン等 206),238)が公表されて
いるので,治療方針はこれらに準じて立てる.
予後
4
の多くは心原性であり,徐脈を伴わない著明な低血圧に
原因となる冠動脈の重症度と左室機能の障害程度に依
よって引き起こされることが多く,無痛性虚血性心疾患,
存する 254),267),268).
虚血による心室性不整脈・房室ブロックが原因となる.
一方,運動負荷直後に起こる失神発作の多くの原因は自
9
心筋症
1
肥大型心筋症
律神経調節障害と考えられている.
虚血性心疾患のなかでも心筋梗塞既往例における失神
発作の診断には,
電気生理検査が有用である(クラスⅠ)
265)
.ESVEM 試験 230)でも電気生理検査で心室頻拍が誘
発された失神既往例では,自然発作の心室頻拍が記録さ
れた症例と同程度にハイリスクであることが示された.
肥大型心筋症(HCM)における失神は,本症の死因
冠動脈疾患症例に起こった原因不明の失神患者で,電気
の過半数を占める突然死の危険因子として重要である
生理検査により心室頻拍・細動が誘発され植込み型除細
269),270)
動器(ICD)が植込まれた 178 例では,2 年間で 55 %の
り返し発生する失神は突然死の危険が高いことを示唆す
症例で心室頻拍・細動が再発し,失神発作と心室性不整
る.HCM の 失 神 の 頻 度 は 欧 米 で は 16 ∼ 19 % 271)−273),
脈との関連が強かった
231)
.
.特に若年者の失神,運動中に発生する失神,く
本邦の特発性心筋症調査研究班の報告 274)では 16.8 %,
遅延電位,T 波交互脈などは,器質的心疾患を有する
自験例 275)では 8.9%である.一般に非閉塞性例より閉塞
症例の失神発作・突然死に対する補助的な診断として用
性例で高率にみられる.
いられる.
HCM で失神を来す機序としては以下のものが挙げら
3
治療
虚血性心疾患による失神発作がすべて心筋虚血による
1070
①病態生理
Circulation Journal Vol. 71, Suppl. IV, 2007
れている 276).1)心室性・上室性頻脈性不整脈,2)徐
脈性不整脈,3)高度な左室流出路狭窄,4)自律神経
異常(心肺圧受容器反射の異常),5)心筋虚血と拡張障
失神の診断・治療ガイドライン
害の相互作用である.頻脈性不整脈では心室頻拍が突然
抗不整脈薬の失神に対する効果は不明である.また流出
死の危険因子として重要で,失神を伴う心室頻拍は ICD
路狭窄に対する中隔枝塞栓術,DDD ペースメーカーの
を考慮する必要がある
206),238),269),270)
.頻脈性心房細動も
失神に対する治療効果も不明である.
HCM の失神の機序とされるが比較的稀である.むしろ
失神を伴う徐脈性不整脈はペースメーカーの適応であ
HCM では Ca 拮抗薬,β遮断薬,抗不整脈薬が使用され
る(クラスⅠ)206).この場合には心房機能を温存できる
ることもあり,失神の原因としては徐脈性不整脈が多い.
DDD ペーシングを選択する.
一方 HCM ではこれらの不整脈がなくても失神を来す
失神を伴う HCM における突然死の予防のためには
が,その機序として心肺圧受容器反射の異常が指摘され
ICD が最も有効で,その適応は不整脈の非薬物治療ガイ
ている.特に閉塞性例では左室流出路狭窄により有効心
ドライン 206),238)に準じて決定する.しかし HCM におけ
拍出量が低下し,反射性の交感神経緊張状態が発生しや
る電気生理検査の有用性は必ずしも確立されておらず,
すい.このため左室流出路狭窄が更に増強され,左室壁
ACC/ESC Concensus Document270),276)では失神に加え
内の圧受容器を刺激して,交感神経抑制,迷走神経緊張
て,1) 突 然 死 の 家 族 歴,2) 高 度 な 左 室 壁 肥 厚( ≧
を来し失神を誘発する .しかし失神は流出路狭窄のな
30mm),3)運動中の血圧上昇反応不良(< 20mmHg),4)
い非閉塞性例でも発生し,ティルト試験陽性 277)や,下
頻回あるいは連発数の多い非持続性心室頻拍のいずれか
半身陰圧負荷試験で血管収縮反応の低下あるいは逆に血
のリスク因子があれば,ICD の適応を考慮すべきとして
1)
管拡張反応を示す例がある
278),279)
.したがって HCM で
は左室内圧の上昇がなくても圧受容器自身の異常又は心
筋錯綜配列などによる心筋壁張力の変化により交感神経
抑制と迷走神経刺激を来し,失神が誘発される可能性が
ある.また HCM では約 30%の症例が運動負荷試験中に
血圧上昇反応の異常を示し,これは突然死の危険因子と
して知られているが
275),280)−282)
,この機序としても心肺
圧受容器異常の関与が考えられている.
②診断
いる(クラスⅡ).
2
拡張型心筋症
①病態生理
拡張型心筋症(DCM)で失神を合併する例では突然
死が高率に発生し,失神は予後不良であることを示す症
状である 283).DCM における失神の頻度は特発性心筋症
調査研究班の集計 274)では 17.6%である.
DCM の失神の機序としても心室頻拍などの心室性不
HCM の失神の機序は多様であり,個々の症例におい
整脈,徐脈性不整脈,心房細動などの上室性不整脈によ
てどの機序で失神を来しているかを判断することが重要
る心原性失神の他,心肺圧受容器反射の異常による神経
である.病歴では突然死のリスクと関係する失神の回数,
反射性失神が挙げられている 283),284).このうち心室頻拍
運動との関係,近親者の突然死の有無を聴取するが,頻
による失神が大多数を占め,原因不明の失神も大半は心
回に失神発作をくり返す例は本邦では比較的少ない.ホ
室性不整脈によるものと推測されている.
ルター心電図は頻脈性,徐脈性不整脈の検出に必須の検
査である.非持続性心室頻拍例における ICD の適応決
②診断
定のための電気生理検査の有用性は確立されていない.
失神の原因が致死性不整脈の可能性が高い場合には入
心肺圧受容器反射の異常の検討にはティルト試験や下半
院による心電図モニターが必要である(クラスⅠ)7).
身陰圧負荷が有用であるが,日常臨床ではまだ一般的で
ホルター心電図は,失神や失神前駆症状が頻回にみられ
ない.むしろ運動負荷試験での血圧反応が突然死のリス
る場合はクラスⅠ適応であり,失神が頻回でなくても電
ク評価の面から有用である.
気生理検査などの必要性を検討するためには有用である
③治療
(クラスⅡ).体外式のイベントレコーダーは 4 週間以内
に失神症状がある場合は適応である(クラスⅡ).
HCM の突然死は運動中や直後に発生することが知ら
電気生理検査による持続性心室頻拍・心室細動の誘発
れており,一般に過激な労作,競技スポーツなどの制限
は冠動脈疾患などでは突然死のリスク評価に有用とされ
が必要である 238),269),270).特に運動中に失神を来す例や
ている.しかし,DCM では両者の関連は必ずしもみら
運動負荷試験中の血圧上昇反応不良例では厳しい運動制
れず,持続性心室頻拍・心室細動の誘発がみられない例
限が必要である(クラスⅠ).
でも突然死の発生や ICD の作動が見られ,電気生理検
HCM の薬物治療に用いられるβ遮断薬,Ca 拮抗薬,
査の有用性は確立されていない 7),285),286).
Circulation Journal Vol. 71, Suppl. IV, 2007
1071
循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2005−2006 年度合同研究班報告)
写真(左室拡大,大動脈弁の石灰化や上行大動脈の拡大)
③治療
でまず疑う.心エコー法や心臓カテーテル法により大動
DCM などの左心機能低下例で有効性が認められてい
脈弁狭窄症の有無,重症度を決定する.大動脈弁口面積
る抗不整脈薬はアミオダロンとソタロールである.しか
1cm2 以下あるいは連続波ドプラ法による圧較差が 64
し,突然死の危険性が高い失神を伴う DCM では,突然
mmHg 以上の時は重症大動脈弁狭窄症とする 288).発作
死の予防に優れる ICD が第一選択で,適応は不整脈の
が危険であるために,運動負荷等での失神誘発は通常行
非薬物療法ガイドラインなど
なお同ガイドライン
206),238)
に従う.
206)
では,ICD の適応として持続
性心室頻拍,心室細動以外の場合には電気生理検査によ
る持続性心室頻拍・心室細動の誘発が条件とされている.
しかし,DCM に伴う原因不明の失神はそれ自体が突然
出現することもあるので,ホルター心電図による不整脈
の評価は重要である.
③治療
死の高リスクであり,持続性心室頻拍・心室細動が誘発
内科的には安静を保つ.外科的に大動脈弁置換術(ク
されない場合にも誘発された場合とほぼ同等の頻度で突
ラスⅠ)を行うか,やむを得ない場合は経皮経管的大動
然死や ICD の作動がみられることがあきらかとなりつ
脈弁交連形成術を行う.
つある.このため 2004 年の ESC の失神治療ガイドライ
ン 7)では DCM(虚血性,非虚血性を問わず)における
④予後
電気生理検査の有用性は低い(クラスⅢ)とされており,
大動脈弁狭窄症で失神が出現した場合の予後は悪く,約
近い将来本邦のガイドラインの再評価が必要であろう.
3 年で多数例が死亡する 289).
一方房室ブロック,洞不全症候群などの徐脈性不整脈
が失神の原因である場合にはペースメーカーの適応とな
る(クラスⅠ).この場合心房機能を温存できる DDD ペ
ーシングを選択すると共に左室機能の改善が期待できる
両室ペーシングの併用が望ましい.
10 弁膜症
心臓弁膜症による失神は,他の原因が除外された時に
2
僧帽弁狭窄症
①病態生理
左房内に生じたボール状血栓が僧帽弁口を塞ぐことに
より失神が出現する.左房内血栓による塞栓の部分症状
としても出現する.
②診断
診断されることが多く,確定診断に至ることは困難であ
僧帽弁狭窄症と左房内のボール状血栓の存在を明らか
る.主に,1)大動脈弁狭窄症,2)僧帽弁狭窄症,3)
にする.身体所見,心電図,胸部レントゲンに加え,心
僧帽弁閉鎖不全症,4)感染性心内膜炎により失神が生
エコー法や心臓カテーテル法により僧帽弁狭窄症の有
じる.
無,僧帽弁口面積,僧帽弁圧較差等の評価を行う.僧帽
大動脈弁狭窄症
1
①病態生理
主に運動中に末梢血管抵抗が下がり,大動脈弁狭窄症
があるために心拍出量は増えず,血圧が下がり失神が生
じる
287)
.頚動脈洞や左室の圧受容器が異常となり低血
圧に寄与する可能性もある.一過性の心房細動,房室ブ
ロックが失神を起こすこともある.
②診断
失神と重症大動脈弁狭窄症があり,他の失神を来たす
疾患がないときに,大動脈弁狭窄症に伴う失神と診断さ
れる.身体所見,心電図(左室肥大)や胸部レントゲン
1072
わない.大動脈弁狭窄症に合併する不整脈により失神が
Circulation Journal Vol. 71, Suppl. IV, 2007
弁口面積 1.5cm2 以下を中等度有意狭窄とし,1cm2 以下
は重症僧帽弁狭窄症とする 290).左房血栓の評価も行う
291)
.
③治療
外科的に左房内のボール状血栓の摘出を行う(クラス
Ⅰ).僧帽弁狭窄が重症な場合は弁置換術もあわせて行
う.
④予後
塞栓症状はしばしば非可逆的である.十分な抗凝固療
法を行うことにより血栓の予防は可能である.
失神の診断・治療ガイドライン
3
僧帽弁閉鎖不全症
脈によるものをまず考える.先天性心疾患の修復術は伝
導障害や徐脈を起こし,心房や心室頻拍の基質を形成す
る.短絡疾患の Eisenmenger 化は肺血管抵抗の上昇をき
①病態生理
たして低血圧を招く.
僧帽弁閉鎖不全に伴う失神あるいは突然死(重症逆流
例で年間 1.0 ∼ 7.8%)292)の病態生理は不明なところが多
①心房中隔欠損症(ASD)
く,確立されていない.僧帽弁閉鎖不全による左室の容
心事故は 40 歳台で起こり始め,60 歳までに約 40%に
量負荷が不整脈を起こすという考えや,弁尖逸脱時に乳
生じる.心房性不整脈のみで失神はおこりにくく肺血管
頭筋が機械的刺激を受けて心室性不整脈を起こし失神や
病変との合併により低血圧や失神発作を引き起こす.一
突然死の原因となるという考えもある.
方,手術後の ASD 患者は手術結果にかかわらず,心房粗・
細動を起こす 296).
②診断
術前あるいは術後の心房細動は手術の時期が遅ければ
失神と僧帽弁閉鎖不全症があり,他の失神を来たす疾
より発生しやすく,術前に心房細動や粗動であった 68
患がないときに,僧帽弁閉鎖不全症に伴う失神と診断さ
%は手術後も洞調律に復すことはない 297).修復術を施
れる.身体所見,心電図,胸部レントゲン写真に加え,
行された 0 ∼ 14 歳の患者の長期間の追跡では,67 %の
心エコー法や心臓カテーテル法により僧帽弁閉鎖不全症
患者が 24 時間心電図で異常調律を指摘され,45 %に上
の有無,原因,重症度の評価を行う.
室性頻拍,39%に洞機能低下,17%に伝導障害を認め,
4%の症例で房室ブロックのためペースメーカー植込み
③治療
が必要であった 298).
僧帽弁置換術・形成術の適応は一般に心不全症状や左
室機能により決定され,失神の有無だけからは決定でき
②心室中隔欠損症(VSD)
ない 293).本学会の弁膜症の非薬物治療ガイドライン 293)
無手術の VSD 患者は両心不全による心室性不整脈や
にあるように複数の因子を検討して適応を決定する.
突然死を引き起こす可能性が高い 299).25 年以上の自然
歴研究では,多くの患者が失神や重篤な不整脈を経験し,
④予後
失神の既往と生命予後は強く関連していた.心室頻拍は
一般に心不全症状のない,左室機能の良好な重症僧帽
Eisenmenger 症候群の 18 %,修復術後患者の 5 %,薬物
弁閉鎖不全症は予後良好とされてきた.しかし,無症状
治 療 を 受 け て い る 患 者 の 3 % に 認 め ら れ た 299).
であっても突然死が多いという報告が最近あり,今後十
Eisenmenger 化も失神の重大なリスクとなる.
分な検討が必要である
4
292)
.
感染性心内膜炎
感染性心内膜炎に伴う疣贅が塞栓を起こし,脳虚血症
状として意識障害を起こし失神との鑑別が必要となる.
感染性心内膜炎症例の 10 %が塞栓による脳虚血症状を
起こす 294).
11 先天性心疾患
手術成功例でも数十年後には不整脈が出現する可能性
があり,心筋切開線が心室性不整脈の原因となる.通常,
房室ブロックは手術中におこるが,術後多年月を経て進
行する場合もある 300).
③動脈管開存症(PDA)
PDA の死亡率は生後数ヶ月以内が高く,1 歳までで 30
%,20 ∼ 30 歳以上では 1 %となる 301).失神との関係で
は左室肥大や肺高血圧症に伴う Eisenmenger 化が考えら
れる.
ここでは成人に到達した一般的な先天性心疾患の異常
295)
④心内膜床欠損症
中心にまとめる.器質的心疾患のない症例に起こる失神
術前あるいは術後を問わず徐脈性不整脈(洞不全症候
発作と異なり,突然死の危険信号と考えられる.
群や房室ブロック)への進行が多く,これによる失神発
やその姑息あるいは根治手術と失神発作との関連を
1
病態生理
作が起こりやすい 302).
先天性心疾患の症例が失神発作を呈した場合には不整
Circulation Journal Vol. 71, Suppl. IV, 2007
1073
循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2005−2006 年度合同研究班報告)
みられる程度である 309).この手術の合併症は,左室流
⑤大動脈狭窄
出路より右室流出路の閉塞が多い 311).術後 1 年目の死
大動脈狭窄・大動脈弁狭窄・大動脈弁上狭窄は同じ血
行動態的な異常から失神をきたす.左心系閉塞性疾患は
経時的に閉塞の程度が進行し,重症度が増して心拍出量
亡原因は主に先天的な冠動脈異常に関連している 312).
⑨修正大血管転移
が低下する.特に,失神は心拍出量の必要性が増大した
修正大血管転移では失神に関する十分な数の報告はな
時に起こる.左心系閉塞性疾患は左室肥大となり,これ
い.しかし,完全房室ブロックの合併が手術の有無に関
は心室性不整脈による突然死の危険因子である
わらず 29 ∼ 31 %にみられる 313),314).さらに,心房細動
303)
.
や粗動も 36%にみられ 315),死亡した患者の 4 人のうち 2
⑥ Ebstein 奇形
人に心房細動の病歴があった.心房内血流転換術を受け
心房性不整脈から失神を起こす.Ebstein 奇形の 50 %
た患者と同様に右室機能不全を認め 316),どのような頻
の患者が副伝導路や WPW 症候群を合併しており,短い
脈性不整脈でも失神や失神前症状を起こす可能性があ
不応期の副伝導路に心房細動を合併すれば失神や突然死
る.
を引き起こす 304).
2
⑦ Fallot 四徴症(TOF)
診断
先天性心疾患がどのような手術(特に切開や縫合の部
失 神 の 既 往 の あ る 成 人 TOF の 患 者 の ほ と ん ど が,
位)を施行されたかについて詳細な情報が重要である.
VSD のパッチ閉鎖術,肺動脈弁下狭窄切除術あるいは
先天性房室ブロックも他の先天性心疾患を伴わないも
右室流出路のパッチ閉鎖術による完全修復術を受けてい
のがある 317).通常の心電図,ホルター心電図で診断で
る.失神や突然死のリスクは心室性不整脈と関連し
305)
304),
きない場合には,イベントレコーダーやループメモリー
.失神の既往のある
式記録装置を利用する 318).心エコー検査は非侵襲的な
成人 TOF の精査には,心室性不整脈に対する電気生理
病態確認に,心臓カテーテル検査・造影検査は血行動態
検査が必須である.
把握,先天性冠動脈異常 259),319)や血管走行異常 320)によ
,手術術式と強い関連がある
306)
る失神発作の診断に有用である.
⑧大血管転移症
完全大血管転移症で手術を受け生存しているのは心房
3
治療・予後
内血流転換術(atrial switch operation)または大動脈血
失神は突然死とも関連する場合が多いので,原因を探
流 転 換 術 を 受 け た 患 者 で あ る. 心 房 内 血 流 転 換 術
求して,それに対する治療を行う.修復術が不完全であ
(Mustard や Senning 手術)などの心房内血流転換術後に
った場合には,その修復目的に再手術が行われる.徐脈
失神を起こす機序には,不整脈と心拍出量減少の 2 つが
性不整脈にはペースメーカー,頻脈性不整脈にはカテー
ある.患者はしばしば運動と関連した失神を起こす.さ
テルアブレーション,植込み型徐細動器手術を行う 321),
らに低心拍出量の上に,徐脈や頻脈が合併し失神や突然
322)
死のリスクを増加させる.
Mustard 手術後の 6% 307)に失神発作があり,79% 308)に
.
12 その他の心疾患
不整脈が発生する.洞機能障害が術後 10 年の累積で 35
%にまで達し,電気生理検査が原因精査に有効である.
ペースメーカー植込みによっても突然死は抑制されない
307)
.術後に起こる心房粗動や心房内リエントリー性頻
拍は生存者の 4 ∼ 16%に認められるが 307),309),これは心
臓手術に伴う瘢痕組織による伝導障害が心房内リエント
心臓粘液腫
①概念と病態生理
原発性の良性心臓腫瘍(心臓腫瘍全体の 75 %)のう
.心房性不整脈
ちの約 50 %を心臓粘液腫が占める.あらゆる年齢層に
は失神症状と強く関連しているが,ブロックや心室性不
みられ 323),左房(75%),右房(18%)の順に多く,心
整脈も失神や突然死の危険因子となる.
324)
室での発生は少ない(左室 4%,右室 4%)
.
大動脈血流転換術(Jatene 手術)が行われた患者では
腫瘍の脳塞栓により意識障害を引き起こしたり,腫瘍
不整脈の報告はなく,電気生理検査にもわずかな異常が
が弁口を閉塞し一過性に心拍出量が低下し失神を生じた
リー性頻拍の基質となるためである
1074
1
310)
Circulation Journal Vol. 71, Suppl. IV, 2007
失神の診断・治療ガイドライン
りすることがある.左房粘液腫は僧帽弁狭窄症に,右房
粘液腫は三尖弁狭窄症に類似の血行動態を示す.
②原因疾患
悪性腫瘍,特発性,尿毒症が主要な原因とされるが,
②症状
心外傷後,開心術後の心タンポナーデに加え,インター
多彩な臨床症状が特徴的である.全身症状のほか,塞
ベンション治療時の心タンポナーデが増加している 327),
栓症状,心腔閉塞症状などがみられる.粘液腫で産生さ
328)
れる IL-6 自体の作用あるいは過剰産生に対する反応で
ある種々の全身症状(発熱・易疲労感・体重減少・貧血・
.
③症状
関節痛・発疹など)が出現する 325).塞栓症は心臓粘液
心タンポナーデが急激に発生した場合にはショックと
腫の約 45%で発生し
なり,意識消失をきたすことがある.緩徐に生じた場合
326)
,脳・腎・四肢でおこりやすい.
左房粘液腫の塞栓症の約 50 %は一過性脳虚血発作・て
には心不全の症状に類似し,呼吸困難・起坐呼吸・全身
んかん・偏頭痛・脳梗塞などの中枢神経症状として発現
倦怠感の左心不全症状や,頸静脈怒張・肝うっ血などの
する.
右心不全症状を伴う.
他覚所見としては,急性発症の心タンポナーデの時に
③検査
みられる収縮期血圧低下・静脈圧上昇・心音微弱(Beck
身体所見では,I 音亢進(僧帽弁閉鎖の遅延による)
の三徴)がよく知られている.頻脈・呼吸数増加・奇脈
と I 音分裂(僧帽弁口からの腫瘍の突出による)が聞か
などもみとめられる.
れることがある.全収縮期雑音と拡張期ランブルを聴取
するが,体位によって心雑音が大きく変化する点が特徴
④検査
である.左房粘液腫が左室内に陥頓し,心内膜にあたる
心電図では洞頻脈・低電位・電気的交互脈などがみら
際に発生する叩打音(tumor plop)が拡張早期に聴取さ
れるが,特異的ではない.胸部 X 線写真では心タンポナ
れる.
ーデによるショックの際には,心不全と異なり肺野は正
経胸壁心エコーや経食道心エコーにより腫瘍の大き
常であることが多い.心エコー検査では,吸気時の右室
さ,付着部位,性状,可動性について詳細な観察が可能
径拡大と左室径の減少,収縮早期の右房虚脱および拡張
である.造影 CT や MRI からも有用な情報を得ることが
早期の右室虚脱が出現し,さらに進行すると収縮早期の
できる.腫瘍が存在する心腔内へのカテーテル挿入は腫
左房虚脱が発生する.
瘍塞栓の危険性もあり,カテーテル検査と造影検査の意
義は合併する心疾患の検索に限定される.
④治療と予後
⑤治療と予後
確定診断後に心膜穿刺をただちに行い心嚢液をドレナ
ージする(クラスⅠ).穿刺はエコーガイド下に行うこ
良性腫瘍であるが,弁口陥入,血行動態の悪化,塞栓
とが望ましい.出血による急性心タンポナーデの場合に
症あるいは不整脈により死に至ることもあり,診断がつ
は緊急開胸を行い外科的なドレナージを要する場合もあ
き次第速やかに外科的に摘出を行う(クラスⅠ).
る.急性心タンポナーデの短期予後は早期診断と早期治
2
心タンポナーデ
①概念と病態生理
療で決定され,長期予後については心タンポナーデの原
因疾患に依存する.
13 大動脈疾患
心タンポナーデは,心嚢液貯留により心膜腔圧の上昇
をきたし,静脈還流障害と心室充満障害が発生する.そ
失神を起こす大動脈疾患は大動脈解離と大動脈炎症候
の結果,心拍出量が低下した状態を指す.急速に貯留し
群である.
た場合には急激な心拍出量の低下によりショック,失神
の原因となりうる.
Circulation Journal Vol. 71, Suppl. IV, 2007
1075
循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2005−2006 年度合同研究班報告)
大動脈解離
1
2
①病態
大動脈炎症候群(高安動脈炎)
①病態
意識消失は大動脈解離による出血や心タンポナーデに
大動脈炎症候群では炎症によって血管が狭窄や閉塞
よる血圧低下,脳虚血によるものであるが,中には胸痛,
し,脳循環に関与する血管が傷害を受けた場合はめまい
背部痛による失神もある 329).一方,大動脈解離が頚動
や立ちくらみ,失神発作,さらにひどい場合には脳梗塞
脈など弓部分枝血管にまで拡がり動脈閉塞を呈する場合
や失明を起こす場合がある 332).また,頸動脈洞圧受容
には,脳虚血による失神を生じうる.
器が大動脈炎により傷害を受け,頸動脈洞反射亢進によ
って極端な血圧動揺が起こり,めまい,失神を起こす場
②診断
合もある 333).
a.症状
実際の臨床の場では典型的症状(突然発症の激烈な胸
背部痛)を呈しない例が少なくない.激烈な胸背部痛と
は異なる症状として,意識消失(障害),心窩部痛,胸
膜刺激症状,片麻痺,腰痛,下肢痛などがある.
②診断
表 16 にまとめた所見をもとに診断を進める.
③治療
急性大動脈解離で入院した 250 例のうち,激烈な胸背
高安動脈炎による炎症を抑えることが基本である.副
部痛とは異なる症状を呈した例が 70 例みられた
.こ
腎皮質ステロイドを用い炎症を抑え,血栓を予防する薬
れらの主な症状として,意識消失(障害)が 23 例,心
剤を用いる(クラスⅠ).炎症が強くなかなかステロイ
窩部痛が 14 例,胸膜刺激症状が 11 例,片麻痺が 6 例,
ドが減らせない場合は,免疫抑制剤を使うこともある.
330)
腰痛が 8 例,下肢痛が 5 例であった.Mayo Clinic からの
報告 331)では欧米,アジアから集計した急性大動脈解離
1,009 例中約 12%に失神がみられた.
b.身体所見と検査
解離の発症とともにショックを呈することもあるが,
し ば し ば 高 血 圧 を 呈 し, 著 し い と き は 収 縮 期 圧
200mmHg にも及ぶ.しかし,血圧は解離の進展部位に
応じて低値を示すことがあるので,必ず両側上・下肢で
測定し,もっとも高いところを指標とする.De Bakey
Ⅰ型では大動脈弁閉鎖不全を合併することがある.
胸部 X 線写真では上縦隔陰影の拡大,下行大動脈陰影
の左方への偏位,胸腔への滲出像,肺野のうっ血像など
に注意する.心電図は異常所見を示さないことが多いが,
冠動脈に影響すると虚血性変化を示す.
断層心エコー検査による上行大動脈の内膜フラップの
証明は,解離が上行大動脈に存在することを示し,緊急
度が高くなる.X 線 CT は造影法を併用し,場合によっ
ては dynamic scan を行う.MRI や CT は確定診断が可能
であり,その臨床的価値は高い.
c.治療
外科治療を含めた初期治療を必要とする(クラスⅠ)
331-a)
.
1076
Circulation Journal Vol. 71, Suppl. IV, 2007
表 16 大動脈炎症候群の診断
1.診断上重要な身体所見
(1)上肢または下肢の脈拍・血圧異常
(2)頸部,背部,腹部での血管雑音
(3)若年者の高血圧
(4)眼底変化
(5)炎症所見:微熱,頸部痛,全身倦怠感
2.診断上参考となる検査所見
(1)炎症反応:赤沈亢進,CRP 上昇,白血球増加,γグロ
ブリン増加
(2)貧血
(3)免疫異常 : 免疫グロブリン増加,補体増加
(4)凝血:凝固線溶亢進,血小板活性化亢進
(5)HLA:B52,B39
3.画像診断
(1)大動脈石灰化像
(2)動脈閉塞・狭窄病変,弓部大動脈分枝の限局性狭窄
からびまん性狭窄
(3)肺動脈病変
(4)冠動脈病変
4.確定診断
(1)確定診断は画像診断(DSA,CT,MRA)で行う.
(2)若年者で血管造影によって大動脈とその第一次分枝
に閉塞性あるいは拡張性病変を多発性に認めた場合
は,
① 炎症反応が陰性でも大動脈炎症候群を第 1 に疑う.
② 炎症反応が陽性ならば,大動脈炎症候群と診断する.
(3)上記の自覚症状,検査所見を有し,下記の鑑別疾患
を否定できるもの.
① 動脈硬化症 ② 炎症性腹部大動脈瘤
③ 血管型ベーチェット病 ④ 梅毒性中膜炎
⑤ 巨細胞性動脈炎 ⑥ 先天性血管異常
⑦ 細菌性動脈瘤
失神の診断・治療ガイドライン
血管の閉塞や狭窄が強くて日常生活に大きく差し支える
場合は,炎症が治まってから外科的に血管のバイパス手
③治療
術をする.約 20 %に再燃が認められるので定期的に経
主な治療は,肺動脈内血栓の溶解・除去,再発防止,
過観察が必要である.
呼吸循環管理である 340).
a.薬物的治療
14 肺塞栓症,肺高血圧症
抗凝固療法は予後改善効果や再発率低下効果が明らか
であり,禁忌でない限り全例に対して行う(クラスⅠ).
1
急性期は即効性のある未分画ヘパリンの静脈内投与で開
肺塞栓症
始し,慢性期にかけてワルファリンの経口投与に切り換
塞栓子が何であれ肺塞栓症においては失神を来しうる
え,肺血栓塞栓症を生じた危険因子の種類によって継続
が,以下に最も遭遇する機会の多い肺血栓塞栓症による
期間を決定する.
失神について記述する.
血栓溶解療法(わが国では monteplase のみ保険承認あ
り)は,ヘパリンによる抗凝固療法単独治療に比べ,よ
①病態生理
り早期に肺動脈内血栓の溶解が得られる.血栓溶解療法
失神を呈したものの割合は 14 ∼ 27%
334),335)
とされる.
の適応は,急性肺血栓塞栓症の急性期で,ショックや低
肺血栓塞栓症での失神は,特に広汎型肺血栓塞栓症にお
血圧が遷延する血行動態が不安定な例である(クラス
いて血栓による肺動脈の閉塞により急性右心不全,心拍
Ⅰ).血行動態が安定している症例でも,心エコー上,
出量の急激な低下,体血圧の低下から脳血流の低下を来
右室拡張や壁運動低下といった右心負荷所見を認める場
すことによる.意識レベルの低下を来すような広汎型肺
合には血栓溶解療法で治療する(クラスⅡ a).
血栓塞栓症例のなかにはそのまま心停止に進展するもの
b.カテーテル治療(クラスⅡ b)
もあるが,失神のみで生存するものは,肺動脈内で血栓
血栓を破砕吸引して血流を再開させるカテーテル的血
が移動あるいは破砕溶解することで肺動脈の閉塞が不完
栓破砕吸引療法が積極的に試みられる.しかし治療中に
全となり血流が再開し脳血流が回復することによる 336).
血栓が血管遠位部や別の血管を閉塞することで血行動態
その他,急激な肺動脈への血栓閉塞による心筋への伸
が増悪したとの報告もある.
展刺激から頻脈性不整脈や徐脈性不整脈が誘発される可
c.呼吸循環管理
能性や,血管迷走神経反射(Bezold-Jarisch 反射)によ
低酸素血症に対しては酸素投与を行い,経皮的酸素飽
る血圧低下の可能性が想定されている
337),338)
.
和度を 90%以上に維持する(クラスⅠ).必要に応じて
気管内挿管を施し人工呼吸器管理を行う(クラスⅠ).
②診断
ショック,低血圧に対しては昇圧薬や経皮的心肺補助装
失神と共に呼吸困難,胸痛といった症状の有無や,低
置(PCPS)を用いる.
血圧,頻脈,頻呼吸,頸静脈怒張,II 音肺動脈成分の亢
d.下大静脈フィルター
進といった所見の有無,危険因子の有無を確認する.急
下大静脈フィルターは下肢あるいは骨盤内の静脈血栓
性肺血栓塞栓症では安静臥床後の初めての起立,歩行,
が遊離して肺動脈に流入するのを防ぐ.永久留置型と非
トイレでの発症が多い
339)
.心電図,胸部 X 線,動脈血
永久留置型(一時留置型と回収可能型)に分けられる.
ガス,D ダイマー測定,心エコー,下肢静脈エコーなど
絶対的適応は急性肺血栓塞栓症や深部静脈血栓症を有す
を行なう.心エコーにおける右室拡張,右室壁運動低下,
る症例のうち①抗凝固療法禁忌例(クラスⅠ),②十分
三尖弁逆流速度から推定される肺動脈圧上昇などの右心
な抗凝固療法下に再発する例である(クラスⅠ).
負荷の存在や,下肢静脈エコーでの静脈血栓の存在は肺
e.外科的治療
血栓塞栓症の可能性を高める.
適応例では人工心肺を用いた体外循環下に肺動脈を切
確定診断は造影 CT,肺シンチグラフィー,肺動脈
開して直視下に肺動脈内の血栓摘除を行なう.
MRA,肺動脈造影による.多列検出器型 CT は肺動脈内
血栓のみならず下肢,骨盤,腹部を同時にスライスする
ことで,塞栓源の検索にも有用である.
④予後
失神を呈した肺血栓塞栓症例は重症例が多く,失神な
し群と比べ肺動脈造影で 50 %以上の閉塞を認めた割合
は 82 %対 28 %(p<0.001),低血圧を認めた割合は 76 %
Circulation Journal Vol. 71, Suppl. IV, 2007
1077
循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2005−2006 年度合同研究班報告)
対 12 %(p<0.001),心停止を来した割合は 24 %対 1 %
(p<0.001)と有意に失神あり群で高率であった
341)
.肺
血栓塞栓症における失神は 30 日死亡率の独立した予後
c.血管拡張療法
(1)カルシウム拮抗薬(クラスⅡ a)
欧米の研究で,急性負荷試験での反応群(約 25 %)
規定因子である 342).
2
は中止する.
においてのみカルシウム拮抗薬の大量投与が予後を改善
肺高血圧症
することが示されている 347).
(2)エポプロステノール持続静注療法(クラスⅠ)
①病態生理
エポプロステノールは強力な血管拡張作用と血小板凝
肺高血圧症では運動時に肺動脈圧が上昇しやすいた
集抑制作用を有し,中心静脈カテーテルと注入用ポンプ
め,一回駆出量は増加せず,主として心拍数を増加させ
を用い持続静脈内投与される 348).投与量は 1~2ng/kg/ 分
ることで心拍出量を維持している.肺高血圧症に伴う失
の微量より開始し,状態をみながら漸増する.エポプロ
神発作は運動誘発性右心不全によって生じる 343).その
ステノール持続静注療法は特発性肺動脈性肺高血圧症の
他,頻脈性不整脈や徐脈性不整脈,血管迷走神経反射に
予後を大幅に改善した 349).但し,右心不全の急性増悪
よっても失神を来す
344)
期の使用は病態悪化の危険性があるため原則禁忌であ
.
り,カテコラミンなどを用いた右心不全の治療を優先す
②診断
る.
安静臥位での平均肺動脈圧が 25mmHg を超える場合
(3)プロスタサイクリンアナログ(ベラプロスト,クラ
(但し,肺疾患,睡眠時無呼吸症候群,肺胞低換気症候
群においては 20mmHg)を肺高血圧とする
345)
.
静脈内投与以外の経路で投与可能な長時間作用型のプ
失神以外に労作時息切れや呼吸困難,易疲労感,動悸,
ロスタサイクリンアナログが使用される.60µg /日 分
胸痛,咳嗽を生じる.低酸素血症に伴うチアノーゼ,頸
3 から開始し,状態に応じて最大 180µg /日まで漸増す
静脈怒張,Ⅱ音肺動脈成分の亢進,心雑音(三尖弁閉鎖
不全や肺動脈弁閉鎖不全)などの肺高血圧に伴ってみら
る.
(4)エンドセリン受容体拮抗薬(ボセンタン,クラスⅠ)
れる身体所見の有無を確認する.
経口薬ボセンタンは ETA と ETB 両受容体の拮抗薬で
心電図では右室肥大の変化が現れる.心エコーでは右
あり,肺動脈収縮抑制のみならず,血管平滑筋増殖およ
室・右房の拡張と,肺高血圧が高度の場合には心室中隔
び線維化抑制作用も期待されている.62.5 ∼ 125mg /
の左室側への偏位,三尖弁逆流速度の増加が認められる.
日 分 2 から開始し,状態に応じて最大 250mg /日まで
肺高血圧症が疑われた症例に対しては,胸部造影 CT,
増量する.
MRI,肺換気血流シンチグラフィー,右心カテーテル検
査,肺動脈造影(高度肺高血圧では急性増悪の危険あり)
(5)フォスフォジエステラーゼ 5 阻害薬(シルデナフィ
ル,クラスⅡ a)
などの精密検査により重症度の判定や原因疾患の同定を
クエン酸シルデナフィルは,肺高血圧症患者における
行う.
強力な肺動脈拡張作用を有する 350).25 ∼ 50mg /日 分
③治療
2 から開始し,漸増する.わが国では保険承認は得られ
ていない.
ここでは肺動脈性肺高血圧症の治療を中心に述べる
d.肺移植(クラスⅠ)
346)
内科的治療に抵抗し進行する症例では移植を考慮せざ
a.在宅酸素療法(クラスⅠ)
るを得ない.生体部分肺移植が成人例に対しても試みら
長期使用に伴う予後改善効果については明らかでない
れ,成功例が報告されている 351).
が,低酸素血症を認める症例では低酸素性肺血管攣縮と
e.心房中隔裂開術(クラスⅡ b)
それに伴う肺血管リモデリングの進行防止を期待して用
心房内での右左シャントを形成することで右室圧を低
.
いられる.
下させ,左室前負荷を増やして心拍出量を増加させるこ
b.抗凝固療法(クラスⅡ a)
とが望める反面,右左シャントにより動脈酸素分圧は低
禁忌でない限り原則として抗凝固療法を全例に対して
下する 352).根本的な治療法とはなり得ず,あくまで移
行う.エポプロステノール持続静注療法下では喀血とい
植までの橋渡し的治療である.
った出血性合併症の問題が指摘されており,減量もしく
1078
スⅡ b)
Circulation Journal Vol. 71, Suppl. IV, 2007
失神の診断・治療ガイドライン
めば予後は良好である(クラスⅠ).
④予後
肺高血圧症は実に様々な原因によって生じ,予後も原
6
先天性心疾患術後不整脈
因によって大きく異なる.明らかな原因を認めない特発
先天性心疾患術後には洞機能不全,房室ブロック,心
性肺動脈性肺高血圧症は予後不良であり,進行性に肺血
房粗動,心室頻拍など種々の不整脈がおこることがある.
管抵抗が増加して右心不全から死亡する.確定診断から
術後症例では,心機能が低下していることがあり,心不
の平均生存期間が約 3 年,5 年生存率は約 30 ∼ 40%と極
全,失神,突然死などを起こしやすい.それぞれの不整
めて不良である
353)
.
15 小児の失神
脈は心電図,ホルター心電図で診断する.
① Senning 術,Mustard 術後
Mustard 術の 10 年後には接合部調律,促進性心室調律
などが 60 %を占める 360).Senning 術後でもほぼ同等と
小児特有の失神および失神との鑑別を要する病態とし
ては,以下の項目がある.
1
神経調節性失神,自律神経失調症,
起立性低血圧
報告され,123 例の Mustard または Senning 術後の患者
で心房頻拍の合併がある例では洞徐脈は重症で,12 %
が死亡しペースメーカーが 15%に必要であった 361).
② Fontan 術後
Fontan 術後や Total cavopulmonary connection(TCPC)
小児,特に思春期の失神の原因として最も多い.神経
術後では洞機能不全の可能性が高いが,心外導管を用い
調節性失神の項等を参照.
た TCPC では洞機能が比較的温存される 362),363).
2
先天性房室ブロック
先天性房室ブロックでは徐脈,ひいては心停止により
③ Fallot 四徴症術後
Fallot 四徴症術後例では右室切開の影響で術後の心室
性不整脈の発生が多い.三枝ブロック,心室期外収縮,
失神をおこす可能性がある.発症機序の実験モデルによ
右室血行動態悪化(右室圧≧ 60mmHg)などが遠隔期
る検討 354)では,Ca2+ 電流の抑制が直接もしくは間接的
突然死の危険因子となる 364).これ以外にも,手術時年齢,
に房室ブロックをおこすことが示唆されている 355).心
手術が行われた年代,血行動態,心拡大の有無,心機能,
電図により診断する.治療は完全房室ブロックの項を参
伝導障害の有無,心室性不整脈の有無などが心室頻拍の
照.
発生に関与する.突然死が 5%にみられる 365).
3
356)
てんかん(欠神発作)
④その他の先天性心疾患術後
心室中隔欠損術後は 2% 366),両大血管右室起始症術後
小児の意識消失をきたす病態では 1 ∼ 8%と比較的多
367)
く,脳波で典型欠神発作の発作時に 3c/s の棘徐波律動を
に遠隔期突然死がおき,このうちのかなりの例が心室頻
認める.エトサクシミド,バルプロ酸などの抗てんかん
拍によるものである.
薬を用いる(クラスⅠ).生命予後は良好である.
先天性心疾患術後症例では遠隔期に完全房室ブロック
4
モヤモヤ病
内頚動脈終末部,脳底動脈が進行性に狭窄,閉塞をき
た す 疾 患 で 357), 脳 虚 血 に 伴 う 失 神 を き た す.MRI,
MRA で内頚動脈の狭窄・閉塞を描出する.外科的に直
接あるいは間接血行再建術 358)を行う(クラスⅠ).生命
予後は良好であるが,てんかん,高血圧などの合併症が
おこりうる.
5
家族性洞機能不全
や単一肺動脈を合併する総動脈管症術後では 18% 368)
となり,失神,突然死をきたす症例がある 369).術後一
過性に完全房室ブロックとなった症例,完全右脚ブロッ
クに左軸偏位を合併する症例は注意が必要である.
7
冠動脈奇形
① Bland-White-Garland 病,冠動静脈瘻
Bland-White-Garland 病は左冠動脈が肺動脈から起始
するもので,失神で発見されるものは多くはない.冠動
静脈瘻も失神をおこすものは少ない.
家族性のものは小児期,若年から症状が出現すること
が多い 359).心電図,ホルター心電図により診断する.
治療は洞機能不全の項を参照.ペースメーカーを植え込
Circulation Journal Vol. 71, Suppl. IV, 2007
1079
循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2005−2006 年度合同研究班報告)
も失神を主症状とすることは少ない.多くは遠隔期にお
②冠動脈起始異常
こる虚血性心疾患後の心室性不整脈 260)によるものであ
冠動脈が大動脈と肺動脈の間を走行することにより,
る.冠動脈造影で冠動脈瘤,冠動脈瘤石灰化,広範囲な
運動中に突然心筋虚血をおこす.冠動脈奇形は若年者運
segmental stenosis を伴う場合には川崎病冠動脈瘤の後遺
動中の突然死の症例に高率に認められ,45 %の症例で
症を考える.
胸痛,失神などの症状が認められる 370).心電図,運動
川崎病遠隔期の冠動脈狭窄に対して,内胸動脈を用い
負荷テスト,心エコーでの左心機能評価などを行っても,
た AC バイパス術,PTCA,ロタブレーター,ステント
異常を認めることはない.心エコーで冠動脈起始を注意
374)
留置などが行われる(クラスⅡ a)
.死亡率は極端に
深く観察するか,冠動脈造影を行い診断する.外科的治
減少し,遠隔期の予後は比較的良好である 375).
療を行う(クラスⅠ)
8
16 入浴と失神
心筋炎
心筋の急性炎症による急性循環障害,房室ブロック,
心室頻拍,心室細動などの不整脈により失神をおこす.
1
はじめに
突然死した若年者剖検心の 273 例中 27 例(10 %)が心
本邦の入浴は,清潔保持と身体を温める効用を兼ねる
筋炎で,この内 2 例は失神が主症状であった
ため,湯温が欧米(40℃以下)よりも高く,冬季は 43℃,
371)
.
治療法は成人の心筋炎と同様である.本学会の「急性
夏季は 41℃である 376),377).また,本邦では入浴にともな
および慢性心筋炎の診断・治療に関するガイドライン」
う死亡が多く,従来は心疾患や脳血管障害などが死因と
372)
に準じて行う.小児心筋炎の 24%が死亡もしくは心
考えられてきた.しかし,近年,高温浴による体温上昇
移植が必要であったとの報告があり,予後は不良である
が失神(熱失神),ショックや意識障害(熱射病)を誘
373)
発し,死因となる可能性が推測されている.
.
9
川崎病
2
川崎病の急性期に失神をおこすことはなく,遠隔期に
人
3500
入浴中の急死
図 5 に厚生労働省人口動態調査による「家庭内溺死」
図 5 家庭内溺死の経年変化(厚生労働省人口動態調査による)
3000
2500
2000
65歳以上
45−64歳
15−44歳
5−14歳
0−4歳
総数
1500
1000
500
0
56 58 60 62 64 66 68 70 72 74 76 78 80 82 84 86 88 90 92 94 96 98 00 02
19 19 19 19 19 19 19 19 19 19 19 19 19 19 19 19 19 19 19 19 19 19 20 20
年
1990 年代後半以降は,65 歳以上の高齢者が大半を占めている.
1080
Circulation Journal Vol. 71, Suppl. IV, 2007
失神の診断・治療ガイドライン
の経年変化を示した.溺死者の大部分が高齢で,発生場
所の殆どは浴室と推測されている.死因が心疾患や脳血
4
入浴による失神の機序
管障害と記載された場合にはこの統計に含まれないの
入浴は生体に温熱負荷と水浸負荷(水圧,浮力)をも
で,入浴中急死の実数はこの数倍にのぼる.世界統計
たらす.温熱負荷は体温を上昇させて血管拡張による血
(WHO)で各国の溺死者数を比較すると,本邦では高齢
圧低下を誘発するが,血行動態は温水への自律神経系の
者が殆どを占め,本邦においてのみ高齢者の入浴中死亡
反応,水圧による体表静脈の圧迫,年齢により修飾を受
が多い(図 6).1982 ∼ 6 年の大阪府の剖検例 1,230 人中
ける.水温 40 ℃(10 分)から 47 ℃(3 分)の入浴負荷
17 %は入浴中の急死で
時の血行動態の検討では,高水温,高齢ほど心拍数増加
,秋田県の院外心肺停止の 8
378)
∼ 10%も入浴中に発生した 379),380).すなわち,法医学,
と血圧上昇を認めたが,総じて生理的に危険な血行動態
救急隊のいずれの記録からも本邦では入浴中の死亡が多
変化は認められなかった 377),386),387).しかし,42 ℃ 5 分
間の入浴で血圧が 89mmHg 低下した 81 歳男性の例が報
いことが明らかである.
3
告されている 388).入浴事故から救助された 2 例では,
失神から心肺停止への
病態の連続性
立位耐性の低下(神経調節性失神)が認められ,高温負
荷時の血圧低下が推測された 389).健常男性の 41℃(10
東京都では入浴中の急病による救急要請は年間約
分間)の入浴後に,洗い場で 9 人中 4 人が立ちくらみを
2,500 件(1995 年)であり,高齢者,冬季に多く,25%
ともなう起立性低血圧を認めたとの報告がある 390).
は救急隊到着時に心肺停止状態であった
381)
.心肺停止
以外の多くの例では一過性意識障害が主訴で 382),383),傷
5
温熱負荷による心肺停止の機序
病者ではなく発見者が救急要請し,自力では浴槽から脱
全身浴(肩まで水浸)で温熱負荷を継続すると,やが
出できず,救助されなければ不幸な転帰をとったものと
て体温は湯温に等しくなる.ヒトが生存可能な体温は
推測される
384)
.しかし,病院に搬送された後には,半
42 ℃が限界で,その後に意識障害,ショックが発生し
.体温が低下する
391)
て死亡する(heat stroke)
.サルの 45 ℃の水浸・温熱
と意識障害が改善する経過から,高温入浴による意識障
負荷では 55 分後に深部体温は 42℃に達し,血圧が低下
害(熱失神,熱射病)が主病態であり,発見と救助が遅
して心停止にいたる 392).ラットの恒温室・加温(42 −
れると浴槽内の傷病者の体温がさらに上昇して,心肺停
43℃)では,体温上昇にともない血圧が低下し,約 100
止に至るものと推測された.屍体検案が最も充実した東
分で心停止にいたる 393),394).後者のモデルでは血中サイ
数の患者が帰宅を許可されていた
385)
京都 23 区(東京都監察医務院)の入浴中急死発生数を
トカイン(IL-1 β,TNF- α,IL-6 など)が上昇し,体
基にすると,2000 年には全国で 14,000 人の入浴中急死
温上昇,血圧下降にともない脳血流低下,さらに視床,
が発生していると推定された.
線条体,視床のドパミン,セロトニン,ノルエピネフリ
ンの分泌が増加すること,サイトカイン拮抗薬の前投与
50
によりこの反応が抑制されることが報告されている.す
図 6 国別にみた溺死者数(WHO の統計より)
なわち過度の温熱負荷は敗血症に類似した臓器障害を誘
発する 391).
0ー4歳
40
30
5ー14歳
15ー64歳
6
65歳以上
危険因子と対策
入浴中の事故の危険因子には,入浴者側の要因として
高齢や循環器疾患(大多数は高血圧),入浴方法の要因
として高温入浴,長時間入浴,自宅入浴(発見が遅れる)
20
などがある.入浴中の事故の予防には,入浴による体温
10
0
上昇を軽度にする方法(低温浴,半身浴,短時間入浴,
浴室暖房,シャワーなど)や声かけ入浴(入浴時に家族
リア
トラ
ス
オー
ス
ン
ラ
フ
イツ
ド
リス
イギ
国
米
港
香
本
日
わが国は溺死者が多く,また高齢者が溺死者の大部分を占める
という特徴がみられる.
が声をかける)がある.
浴槽内に溺没あるいは声をかけても反応が低下してい
る状態で発見した場合には,直ちに浴槽から救出するか,
傷病者の顎を風呂の蓋に乗せて溺没を防ぐ.浴槽から救
Circulation Journal Vol. 71, Suppl. IV, 2007
1081
循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2005−2006 年度合同研究班報告)
出できない場合には浴槽の栓を抜く.これらと並行して
⑨衣類等により体を強く締め付けた状態
救急要請,さらに一次救命処置を施す.
⑩水分摂取不足
予防と処置・対応
3
17 採血と失神
採血の方法,採血室の温度,環境,献血者の緊張度や
採血時(献血を含む)の合併症の中で失神発作は最も
体調が影響する.定期的に採血施行者の教育訓練を実施
頻度の高い合併症であり,血管迷走神経反応(vasovagal
し,専門的知識を備え,応急処置について熟知し,迅速
reaction: VVR)によって発生すると考えられている.
な対応を計ることが重要である.合併症を起こした献血
者に対しては,その場で症状が回復しても注意を怠らず,
発生頻度と原因
1
電話などによりその後の状況を把握する.
処置及び対応は,以下のように行う.
VVR は軽症と重症に分けられるが(表 17),一般献
血者を対象とした日本赤十字社の統計 395)によると,献
①医師の診察を受けさせる.
血時に発生した軽症 VVR の発生頻度は 0.76 %(男性
②献血者に安心させるように声をかけると同時に仰
0.605 %,女性 1.012 %),重症 VVR の発生頻度は 0.027
臥位にして頭部低位にする.
%(男性 0.021%,女性 0.036%)である.
③症状の改善がなければ採血を中止する.
VVR の発生は採血開始 5 分以内に発生することが最
④衣服を緩め,足下を保温する.
も多いが,採血中または採血前にも発生する.心理的不
⑤脈拍を測定し,適宜血圧を測定する.
安,緊張もしくは採血に伴う神経生理学的反応によって
⑥悪心がある場合はゆっくりと深呼吸させ,嘔吐に
備えて顔を横に向け容器等の準備を行う.
発生する場合が多い.症状には個人差があるが,軽症か
ら放置により重症に進行し,気分不良,顔面蒼白,痙攣,
⑦失神した場合は,名前を呼ぶなど声をかける.
尿・便失禁に至る.
⑧舌根沈下の恐れがある場合は,気道の確保を計る.
⑨血圧低下が続く場合,医師の指示により適宜補液
危険因子
2
などを行う.
VVR におけるハイリスクと考えられる献血者には下
⑩回復後は水分補給を行い,十分休養させる.
記のような特徴がある.ハイリスクに該当する場合には
⑪医師の判断により帰宅させる.状況に応じてタク
シーを利用するか,付き添って送り届ける.
あらかじめ十分な注意が必要である.
⑫症状によっては医療機関を受診させる.
①初回献血
②前回献血から間隔のあいた場合
③若年
Ⅳ
④失神の既往(強い立ちくらみや過換気症候群を含
む)
救急での対応
⑤献血に対する強い不安感や緊張感(採血時の合併
症経験)
失神患者では意識障害が突然出現するため救急部門
⑥強い空腹,食べ過ぎ,強い疲労感,睡眠不足
(emergency department, ED)を受診する頻度が高い.
⑦体重,血圧等が採血基準の最低値,最高値(特に
女性)
⑧献血後,身体に負荷のかかる予定(急ぎの移動,
重労働,激しいスポーツ等)
表 17 血管迷走神経反応の重症度分類
1082
分類
症 状
収縮期血圧(mmHg)
採血前→測定最低値
脈拍数(/ 分)
採血前→測定最低値
呼吸数
(/ 分)
軽症
気分不良,顔面蒼白,あくび,冷汗,悪心,
嘔吐,意識消失(5 秒未満)
,四肢皮膚の冷感
120 以上→ 80 以上
119 以下→ 70 以上
60 以上→ 40 以上
59 以下→ 30 以上
10 以上
重症
軽症の症状に加え,意識喪失(5 秒未満),け
いれん,尿失禁,便失禁
120 以上→ 79 以下
119 以下→ 69 以下
60 以上→ 39 以下
59 以下→ 29 以下
9 以下
Circulation Journal Vol. 71, Suppl. IV, 2007
失神の診断・治療ガイドライン
1
ならない(表 18).仰臥位での失神は心原性失神が示唆
救急部門(ED)における
失神患者へのアプローチ
される 7).
2
バイタルサイン
ED における失神患者の頻度は 1 ∼ 3 %である 3),15),19),
失神患者の仰臥位でのバイタルサインは正常なことも
22),332),396 −399)
.失神患者は ED 受診時に症状が消失して
あり,バイタルサインの測定は仰臥位のみならず立位で
いるため,てんかんや低血糖発作のような失神以外の一
も必要である.原因不明の失神患者において起立性低血
7),400)
,失
圧は稀ではないが(表 18),必ずしも失神の原因とは限
神が疑われた患者において失神類似の病態と診断された
らない.他の原因や起立性低血圧を呈する器質的疾患を
患者の頻度は 6 ∼ 20%である(表 18).
疑う必要がある.
過性意識障害をきたす病態との鑑別を要する
2
3
失神患者のリスク層別化
身体所見
うっ血性心不全は予後不良を強く示唆する(表 19).
ED における失神の診療の目的は心原性失神をはじめ
うっ血性心不全の症候を見逃してはならない.ED を受
とする器質的疾患の鑑別,すなわちハイリスク患者の抽
診する失神患者の 6 ∼ 39%は転倒に伴って頭頸部に受傷
出にある.欧米の報告では心原性失神患者の生命予後は
しており,外傷を主訴に来院することが少なくない.転
非心原性失神患者と比べ不良である 3),15),22),219),397),398),401
倒患者では失神の有無を病歴から明らかにする必要があ
−403)
る(表 18).
.本邦においても心原性失神患者の生命予後は非心
原性失神患者よりも不良である
19)
.失神患者における心
4
原性失神の割合は 4 ∼ 30%を占める(表 18).
1
12 誘導心電図
心電図は失神患者の診療において必須の検査である.
病 歴
診断への寄与は 4 ∼ 13%であるが(表 18),異常を認め
失神前後の詳細な病歴聴取は失神の原因診断に役立つ
れば予後不良が疑われるので(表 20),すべての患者に
403 −406)
(表 19)
.失神は必ずしも立位で発生するとは限
施行されるべきである.心電図で異常所見を認めず,そ
らない.19 ∼ 55 %は坐位で発生しており,坐位での失
の他の予後不良を示唆する要因がなければ心原性失神の
神は神経調節性失神や起立性低血圧を否定する根拠とは
可能性は否定的である 15),219),398),406).
表 18 救急部門における失神患者
著 者
発表年
Day(3)
1982
1983/1986
Kapoor
(219,402)
Martin
1984
Thakore(396)
1999
Ammnirati
2000
Sarasin(22)
2001
Crane(15)
2003
Farwell
2004
Quinn(397)
2004
Shen(398)
2004
Sun
2004
Suzuki(19)
2004
Baroletti(399)
2005
Bringnole(333)
2005
Elesber(406)
2005
加重平均(95%信頼区間)
患者数
198
204
170
100
195
650
189
421
684
263
1778
715
1124
541
200
−
非失神
患者 *
%
31.2
3.4
外傷の
合併
%
−
35.8
坐位
失神
%
−
−
ECG に
よる診断
%
3.1
5.9
心原性
9.1
26.0
失神の原因,%
血管迷走 起立性
神経性
低血圧
43.0
−
4.9
6.9
不 明
13.4
47.5
−
−
1.9
4.1
37.1
7.7
37.6
11.2
−
−
24.0
16.0
31.0
−
29.0
18.0
26.2
−
−
21.0
29.7
6.2
17.4
20.0
−
−
−
10.6
37.2
24.3
14.2
6.3
−
−
12.4
7.4
40.7
3.7
−
6.9
−
−
−
17.1
45.6
−
22.1
17.6
6.7
−
−
8.2
−
−
−
0.9
33.0
49.5
−
28.9
34.2
−
58.2
7.2
−
−
−
−
−
−
−
10.0
−
−
−
9.9
30.6
21.4
32.2
21.2
−
−
−
5.7
−
−
−
10.0
25.5
32.9
7.3
13.7
35.1
6.7
−
8.1
32.5
42.5
−
12.0
41.5
17.5
19.5
2.5
23
37
8
11
35
15
35
13
(6-20) (6-39) (19-55) (4-13) (8-14) (30-40) (7-23) (30-40)
*:失神を主訴に来院した患者のうち失神類似の病態と診断された患者
Circulation Journal Vol. 71, Suppl. IV, 2007
1083
循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2005−2006 年度合同研究班報告)
表 19 救急部門における失神患者のリスク層別化
リスクを高める因子
著 者
発表年
リスク
Kapoor(401)
1986
死 亡
年齢
歳
> 70
Martin(219)
1997
不整脈性失神と死亡
> 45
Crane(15)*
2002
死 亡
> 70
CHF
CAD
脳血管障害
Colivicchi(403)
2003
死 亡
> 65
心血管疾患
胸 痛
前駆症状なし
頻回の発作
運動誘発性
前駆症状なし
Quinn(397)
2004
7 日以内の事故
CHF
呼吸困難
Sarasin(22)
2003
不整脈性失神
> 65
†
Elesber(406)
2005
心原性失神
> 60
既往歴
現病歴
CHF
CHF
心室性不整脈
CHF
CHF
CAD
心室性不整脈
ECG
身体所見
異 常
異 常
異 常
異 常
異 常
胸 痛
運動誘発性
異 常
有意な弁疾患
CHF
脳血管障害
重篤な OH
Hct<30%
SBP<90mmHg
有意な弁疾患
CHF
*:ACP guidelines(文献 400)に基づいて患者を分類,†:The clinical policy by ACEP(Ann Emerg Med 2001;37:771-776)に基づ
いて患者を分類.
CHF:congestive heart failure,CAD:coronary artery disease,OH:orthostatic hypotension,Hct:hematocrit,SBP:systolic blood
pressure
5
血液検査
7
頭部 CT・脳波検査
一般的な血液検査は必須とは考えられていない 7),400).
脳神経系の異常を示唆する病歴や身体所見を認めない
しかし,ヘマトクリット< 30%は 1 週間以内のイベント
患者に対して頭部 CT 検査や脳波検査を施行する必要は
発生の予測因子である
397),407)
.失神患者において心筋特
異的トロポニンをはじめとした心筋マーカーのルーチン
検査は有用ではない 408).
6
ない 7),400).
3
断層心エコー図検査
救急部門(ED)における
失神患者の disposition
断層心エコー図検査は心原性失神のみならず,心疾患
ED における失神診療の目的は患者のリスクを判断
の既往や心電図異常が認められた失神患者においてルー
し,disposition(帰宅させるか入院させるか)を決定す
チンに施行すべき検査である.
ることである.リスク評価が不能な患者に対しては,外
来経過観察を行い再度 disposition を判断する 409).
表 20 心原性失神を示唆する心電図異常
虚 血
• 急性の虚血を示唆する心電図所見が失神に合併
不整脈による失神
• 陰性変時作用のある薬剤を使用せずに洞徐脈(< 40 拍 /
分)
,反復する洞房ブロック,洞停止(> 3 秒)
• Mobitz II 型,3 度の房室ブロック
• 上室,心室頻拍
• 心停止を来たすペースメーカー不全
不整脈による失神の可能性
• 2 枝ブロック
• 心室内伝道遅延(QRS 幅≧ 0.12 秒)
• 2 度房室ブロック(Mobitz I 型)
• 陰性変時作用のある薬剤を使用せずに無症候性洞徐脈
(< 50 拍 / 分)
,洞房ブロック,洞停止(< 3 秒)
• 期外収縮
• QT 延長
• V1-3 の ST 上昇を伴う右脚ブロック(Brugada 症候群)
• 心筋梗塞を示唆する Q 波
文献 1 より引用改変
1084
Circulation Journal Vol. 71, Suppl. IV, 2007
1
高リスク患者
ED を受診した失神患者において,以下の因子が多い
ほどリスクが高い(表 19).
①高齢者(65 歳以上)
②うっ血性心不全の症候
③下記の心血管疾患の既往
うっ血性心不全
心室性不整脈
虚血性心疾患
中等症以上の弁膜疾患
④心電図異常
⑤胸痛を伴った失神
失神の診断・治療ガイドライン
表 21 失神等を有する例の自動車運転(文献 7 より)
診 断
不整脈
(1)薬物治療患者
(2)ペースメーカー植込み患者
(3)カテーテルアブレーション
治療成功患者
(4)ICD 患者
神経反射性失神
(1)神経調節性失神
軽・中等症
重症
(2)頸動脈洞過敏症候群
軽・中等症
重症
(3)状況失神
軽・中等症
重症
原因不明の失神発作
軽・中等症
重症
自家用運転者
職業運転者
治療成功が確認されるまで運転中止
1 週間禁止
治療成功が確認されるまで運転中止
適切なペースメーカー機能が安定するまで中止
症状再発が 3 ヶ月間なければ可
不整脈再発及び ICD 作動が 6 ヶ月以上なければ可 永久的禁止
制限なし
神経学的検査で異常なく,危険を伴わない場合
は制限なし
有用な治療が認められなければ不可
(Tilt 試験陰性は必須)
症状がコントロールされるまで不可
制限なし
症状がコントロールされるまで不可
危険を伴わない場合は制限なし
治療の有効性が確認されるまで不可
制限なし
適切な治療がなされるまで不可
危険を伴わない場合は制限なし
治療の有効性が確認されるまで不可
危険を伴う場合でなければ制限なし
診断と適切な治療がなされるまで不可
心疾患を伴う患者で原因が特定されるか 、 症状 あらゆる検査で不整脈・心疾患を除外し,3 ヶ月
が最低 3 ヶ月以上なくなった場合のみ可
以上症状がなく,診断と治療が適切であれば可
【注】ICD:植込み型除細動器
2
図 7 救急部門における失神の診療指針
低リスク患者
高リスクを示唆するような因子のない失神患者,例え
バイタルサイン,病歴,身体所見,12 誘導
失神
ば若年者で心疾患の合併のない神経調節性失神は低リス
クであり,帰宅が可能である.失神の再発頻度が高い患
者や外傷を合併した患者はティルト試験の適応である.
4
外傷予防
非失神
疑われる疾患の評価
心疾患以外の器質的原因の疑い
胸 痛
心疾患の既往・症候
仰臥位での失神
その他心原性を示唆する症候
12 誘導心電図異常
あり
なし
失神に伴って致死的頭部外傷を受傷することがある
65 歳未満
20)
.大都市圏においては失神が原因で鉄道のホームから
65 歳以上
異常あり
年齢
断層心エコー検査
異常なし
線路内に転落する事故 410)や自動車運転中の失神によっ
て交通事故が起こる 411).
5
頻回・外傷合併
なし
救急部門(ED)における
失神の診療アルゴリズム
以上の推奨事項を踏まえ,ED における失神の診療指
針を図 7 に示す.患者の病態にあわせて検査や処置を追
あり
評価終了
Ⅴ
入院 / 経過観察
心原性失神の評価
神経調節性失神の評価
自動車運転
加する.
平成 13 年から施行された改正道路交通法では,自動
車運転免許取得あるいは免許更新に際しては,失神発作
を有する者は自己申告が必要であり,その場合には医師
の診断書が必要とされている.本邦においては,日本不
Circulation Journal Vol. 71, Suppl. IV, 2007
1085
循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2005−2006 年度合同研究班報告)
整脈学会がペースメーカー・ICD 患者の自動車運転につ
図 8 失神の既往を有する患者の自動車運転の指針
(日本不整脈学会,文献 412 より引用)
412)
いての指針(図 8) を公表しているが,それ以外の指
:自己申告
:公安委員会決定
針についてはなされておらず,各主治医の判断に委ねら
(免許の申請の場合)
失神の既往または
医師からの運転を控えるようにとの助言
(−) (+)
れている.
欧米においては各疾患におけるガイドラインが制定さ
おいてもほぼ同じ内容となっている.ここでは 2004 年
に公表された ESC のガイドライン 7)を表 21 に示す.わ
PM
ICD
植込後失神
植込後失神
(−)
(+)
医師からの運転を
控えるようにとの助言
(+)
(−)
OK
他の
理由
(−)
PM
(−)
ICD
(−) (+)
医師からの運転を
控えるようにとの助言
が国においてもこれに準じた指導を行う.
原因不明
原因不整脈
OK
れており,その基準はヨーロッパ諸国のみならず米国に
(−)
発作の
おそれ有
(+)
他の
理由
× の教示
× の教示
診 or 臨適
保留
O
K
適・診
OK
6M 後
臨適
(診)
×
保留
適・診
適・診
OK
6M 後
臨適
(診)
6
M
見込
O
K
×
以内に
保留
6
M
見込
見込
O
K
×
運転を控えるべきとはいえない
6
M
以内に
6 6
MM
診 or 臨適
診 or 臨適
︵臨適による診断である必要がある︶
運転を控えるべきとはいえない
×
以内に
適・診
︶
適・診
OK
診 or 臨適
発作なく
かつ運転を控えるべきとはいえない
経過し、
保留
O
K
×
O
K
見込
保留
6
M
以内に
見込
O
K
運転を控えるべきとはいえない
以内に
6
M
診 or 臨適
とまではいえない
﹁運転を控えるべきとはいえない﹂︵
OK
発作の
おそれ有
OK
診 = 診断書,適 = 適性検査,臨適 = 臨時適性検査,PM= ペース
メーカー,ICD= 植え込み型除細動器,+ = あり,− = なし,
OK= 免許可,× = 免許拒否または取り消し,6M=6 ヶ月
1086
Circulation Journal Vol. 71, Suppl. IV, 2007
失神の診断・治療ガイドライン
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