(2)−2 正規部分群、剰余群(商群) - Xrea

(2)−2 正規部分群、剰余群(商群)
(i) 2次の対称群 S2 S2 ={(1),(12)}={(1)}∪{(12)}
このとき、{(1)}は恒等置換(何も動かさない)であり、{(12)}は1←→2交換、
1回の交換ですから、これは奇置換です.
(ii) 3次の対称群 S3
S3 ={(1),(12),(23)、(13),(123)、(132)} の6個でした。
偶置換 A 3
・・ ・・ (1)、(123)、(132) の3個
奇置換 A3 ・・ ・・ (12)、(23),(13) の3個
したがって、 S3 = A3  A 3 であり、ともに元の個数が同じ部分集合です。
元の個数が同じ部分集合
(iv) 4次の対称群
S4
(2)−1続き でやりましたが、もう1回やりましょう。 S4 を作ります。
(ア) {1、2、3、4}を並べます。
(1234)、(1243)、(1324)、(1342)、(1423)、(1432) (2134),(2143),(3124),(3142),(4123),(4132)
(2314),(3214),(3412),(4312),(2413),(4213)
(2341),(2431),(3241),(3421),(4231),(4321) の24個の並べ方
があります。 (4!=4×3×2×1=24)
(イ) 置換を作ります
[
]
[
]
その作り方は、 1234 や 1234 のように、上に1234を固定し
1234
1243
下に移動先の数字を置き、これを(1)、(34)と簡略して表しました。(1)は特別な表
記であり、(34)は1,2が動いていないのでこう書きます。
したがって、(ア)を簡略して表すと、同じ順で
(1)、(34)、(23)、(234)、(243)、(24)
(12)、(12)(34)、(132)、(1342)、(1432)、(142)
(123)、(13)、(13)(24)、(1423)、(1243)、(143)
(1234)、(124)、(134)、(1324)、(14),(14)(23)
となります。
また、偶置換 A 4 と奇置換 A4 の個数を調べましょう。
A 4 ={(1)、(234),(243)、(12)(34),(132),(142),(123),(13)(24),
(143)、(124)、(134)、(14)(23)}の12個
A4 ={(34)、(23)、(24)、(12)、(1342)、(1432)、(13)、(1423)、(1243)
(1234)、(1324)、(14)}の12個
A 4 、 A 4 の個数がまた同じ個数なりました。{1,2,3,・・・・、n}の並べ替えは
n!となりますので偶数この並べ替えがあります。つまり、置換の個数は元の個数によ
らず偶数個です。だから、偶置換と奇置換の個数が同じになるのは十分予想ができ
ることなのです。しかし、予想は予想でしかありませんので証明が必要になります。
次回はその証明から始めましょう。 2013.5.13
*** Sn の同じ個数の偶置換と奇置換の元から成ること***
(証明) 偶置換の個数をi個、奇置換の個数をj個として、偶置換の元を ai で奇
置換の元を bi とましょう。証明の方法としては背理法に当たります。
(注意) 偶置換とは偶数個の互換の積からなり、奇置換は奇数個の互換の積か
らなる。
かってな a k ( 1≤k ≤i )に、例えば、互換(12)をかけましょう。すると、は奇置換
になりその個数はi個です。仮定により、奇置換の全体は j 個でしたので a k と(12)
の積でできる奇置換の個数が j をこえることはありません。したがって、
i≤ j ・・・① が成立します。
次に、互換(12)を bm ( 1≤m ≤ j ) にかけましょう。今度は偶置換になります。互換の
個数がtotalで偶数個になるからです。上と同じで、できる偶置換の個数はiをこえる
ことはありません。 i≥ j ・・・② が成立です。
したがって、 ①、②より i=j で、偶置換と奇置換の個数は同じになります。
Q。E。D
2013.5.16
個数が24個とサイズが十分になったところで正規部分群、商群の話に移りましょう。
【覚書】
仕事に向かう車の中で思いついたこと
ここは、記述の流れから無理があります。体とか同型写像とかが入ってきますのでと
ばしても結構です。ここは自分のためのメモのつもりでやっています。
解が、x=2+ √ 3 を例にします。これには、共役な解x=2- √ 3 があります。そこ
で、σ( √ 3 )=- √ 3 なる写像を考えます。実は、これは準同型写像と呼ばれる
写像で、後で本格的にやりますので今は少し我慢してください。
a ∈ Q (Q は有理数)のとき、 定義によって(これも後で)σ(a)=a が自然に
導かれます。つまり、有理数 Q 上では σ は代入された値を変えません。例えば、y=
xみたいなものです。Q 上で σ は恒等写像なのです。
そこで、方程式が解けるという事はどんなことなのか?それを簡単な例で考えてみま
しょう。
方程式は、 x 2 −4x+1=0 とします。解は、x= 2±√ 3 。
σ( √ 3 )=ー √ 3 、е( √ 3 )= √ 3 とします。 eは恒等写像。
Q( √ 3 )={
} なる集合(正確には体という)を考えます。方程
−4x+1=0である以上、今までは Q( √ 3 )がこの方程式に付随した体
a+b√3
|
a , b∈ Q
式が、 x 2
であるとしか見れませんでした。しかし、ルートの中が3になる方程式は他にも沢山
あるはずです。例えば、2次の項が1(モニックといいます)以外は考えませんので、
x 2a xb = 0
2
から、判別式 D= a −4 a b > 0 を満たす ( a , b ) は無
数にあります。何故なら、 a  a−4b 0 は、 a > 0 な ら a> 4 b と同値です。これを
満たすa,bは無数。このa,bで決まる無数の方程式にe、σ は対応しているのです。
**なぜ解けるのか**
少々、先走った印象を与えるかもしれません。方程式がなぜ解けるのか、その概略を機会がある都度記述してい
きます。私のイメージもそれによって整理されるだろうと思うからです。結構苦しんでいます。でも、水泳の北島選
手じゃないけれど、「キモチイー!」のです。
ここでの中身については、後で正式に取り上げますので、まだ習っていない人はこんなものかぐらいで読み過ご
して下さって結構です。
例1) x2 ー 2 x ー 3 = 0  ( x+ 1 ) ( x ー 3) = 0  x = ー 1、 3
これは、有理数(分数までの数)だから中学生以上であればいつでもできます。

例 2) x2 ー2 2x 2=0
2
 ( x − 2 ) =0
 x = 2
これも、
2
そこで、Q(
Q(
という数が四則演算まで分かっていれば解けます。
2
)={a+b
2
:a,b a , b ∈ Q 、Q は有理数}
2
)は、体(field)と呼ばれるもので四則演算で閉じています。代表的なものは実数全体の集合です。
実数そのものと言って良いでしょう。
逆に言うと、Q(
2

)が用意できるから x2 ー2 2x 2=0 は解けるのです。