Title Author(s) Citation Issue Date URL Ni基20Cr-20Co-Ni合金の焼戻時効におよぼす第4元素添加 の影響 末永, 勝郎; 若原, 稔 鹿児島大学工学部研究報告, 2: 1-9 1962-09-15 http://hdl.handle.net/10232/10628 http://ir.kagoshima-u.ac.jp Ni基200r-2000-Ni合金の焼戻時効におよぼす 第4元素添加の影響 末永勝郎*・若原 稔* EFFECrOFFe,Cu,Si,Mn,MoANDWONTHEPROPERTIESOF ZOCr−20Co−NiAUSrENITICALLOYS KatsuroSUENAGA,MinomWAKAHARA EfTectofCu,SiandMnontheagmgcharcteristicswasnotsignificant,buttheadditionof MoorWpromotedtheagehardening・ RecrystallizationtemperatureofthealloyswassomewhatelevatedbySiandMn,andre‐ markablybyMo、 TheadditionofFeloweredthereCrystallizationtemperaturewithitsconcentration、 Thebendingcreeppropertiesat700。CweredeterioratedbyFe,andimprovedbySi,Moand W・ ThecorroslonresistivityathightemperaturewasimprovedSi,whiledeterioratedbyCuand Mo. ReceivedMay31,1962. 第1表 試料の配合組成 1 . 緒 言 多くの工業用超耐熱合金の基礎系をなすとみられる 5 1 0 ’123 ’1234 れらの単独添加元素が合金の諸性質にいかなる影智を 123 Mo,Wの6種の第4元素を単独に添加した場合,こ −1234 だ見当らない.木報告はCr,COの濃度をそれぞれ 20%に一定したCr-Co-Ni合金にFe,Cu,Si,Mn, 一mm犯靴 く,単一添加元素の作用についての詳細な報告はいま ︵UOOOOOOOOOOOOOOO︿UへUOO︵0 実験は行っていない.彼ら自身も指摘しているごと 2222222222222222227−22 のはかなり複雑な組成の試料であって,個々の添加元 素が単独でいかなる影響を与えるかについての系統的 02 02 02 02 02 02 02 02 02 02 02 02 02 02 02 02 02 02 02 02 0 2 合金の再結晶軟化におよぼす添加元素の影郷について Jellinghausら1)の報告があるが,彼らが実験に供した 000009876987509876987 654325555555555555555 が,その焼戻時効性におよぼす影拶を知ることは極め て重要なことである.Ni-Cr基およびNi-Cr-Co基 M a r k 畷 別驚 驚曙 O O3 O4 O12341235m1234123 12 0一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一 睡氏匪匪mmmq団駈馴恥地皿血伽此WWW 基Cr-Co-Ni合金への添加元素の種類と挫度と Ni基Cr−Co−Ni合金への添加元素の種類と挫度と およぼすかを,溶‘体化水冷と溶体化水冷後冷間圧延の 二つの状態について階段的昇温焼戻,一定温度におけ る焼戻時効,曲げクリープ特性,大気中高温耐蝕性な どの諸試験結果を中心にして系統的に検討した. の高い合金を高純アルミナ質増渦中タンマン炉で急速 に熔解してシェル型に鋳造した.原料金属として, Ni,Cr,CO,Fe,Cu,Mnはそれぞれ電解精製したも 2.試料と実験方法 試料は第1表に示すような配合組成の21種の純度 のを,Si,Mo,Wも高純度のものを使用し,熔湯総 量に対し0.5%のMnで脱酸を行なった.鋳塊はこ れを900℃で20%の圧延加工の後1200°C,4hr水 :k**機械エ学教室 冷の溶体化処理を施こして,充分な均一化と溶体化を 鹿児島大学工学部研究報告第2号 2 はかった.溶体化の後一部は20%の冷間圧延を施こ 化水冷後20%冷間圧延材の硬度におよぼす添加元素 して試料とした. の種類と挫度の影響を示す.溶体化水冷材において 第4元素を添加しない記号0のものを基準にとり, 第4元素の添加が溶体化材の析出硬化性に,また冷間 圧延材の軟化抵抗性,時効性にいかなる影響を与える かを知るために,溶体化水冷と溶体化水冷後20%冷間 圧延の二つの状態の試料について,500°Cより1200°C まで階段的に昇温各温度1hr水冷の繰返し焼戻しを 行なって硬度の変化を測定し,また600℃,700℃, 800℃の各温度で200hrまで焼戻時効せしめて硬度 の変化を測定した.さらに高温強度に対する影響を知 るため,溶体化水冷および溶体化水冷後20%冷間圧 延の二つの状態の試料について,700℃,8kg荷重下 (最大曲げ応力18.7kg/mm2)で100hrまでの曲げ クリープ特性の測定を行った.更にクリープ強度と同 時に耐熱合金に対して,要求される高温耐蝕性におよ ぼす添加元素の影響をみるために,溶体化水冷後20% 冷間圧延材について,大気中で800℃,100hr保持後 の重量増を測定した. は,Feの添加は合金を軟化せしめる傾向がみられる が,Fe以外の元素の添加は合金を硬化し,その添加 濃度の増加とともに硬度は上昇する.そしてその硬化 作用はSiがもつとも大きく,ほぼMo,Cu,W,Mn の順に小さくなる.溶体化後冷間圧延材においては, 第4元素を添加したものは基準試料0に較べて,冷間 圧延による硬化量は小さいが,硬度そのものはSi, MoあるいはWの添加の場合それらの濃度の増加と ともにほぼ増加する.またCuは4%まであまり影 響なく,MnとFeとでは却って低い硬度を示す. 3−2.焼戻時効時の硬度変化におよぼす 添加元素の影響 溶体化水冷後冷間圧延材をある特定の温度以上に焼 戻すときは,加工歪の恢復ならびに再結晶による軟化 が起るが,この他に析出硬化性の合金においては,析 出による硬化に次いで析出物の凝集,母相への再溶 解による軟化が重畳してきて遂には加工前の状態に戻 3.実験結果とその考察 3-1.添加元素が溶体化硬度および圧延硬度に およぼす影響 る.そして高温強度を要求する耐・熱合金においてはこ の焼戻軟化抵抗の出来るだけ大きいことが望ましい. ここでは焼戻時効硬化性および焼戻軟化抵抗』性におよ 本実験に供した試料はいずも熱間圧延,冷間圧延と ぼす添加元素の影響をみるために,1200°C,4hr溶体 もに容易であって,格別加工に困難を感ずるごときこ 化水冷材および溶体化水冷後20%冷間圧延材につい とはない.また鋳造状態においては樹枝状品の発達を て,500°Cより1200℃まで階段的に昇温各温度1hr みるが,熱間圧延後1200.C’4hr水冷の溶体化処理 繰返し加熱水冷の焼戻を行なって,その間の硬度変化 を施こすことにより,いずれも均一固溶体の一相組織 を測定した.また同じく溶体化材と溶体化水冷後20 となる.第1図は1200°C,4hr溶体化水冷材と溶体 %冷間圧延材とをそれぞれ600°C,700.C,800°Cの各 温度で200hrまで焼戻時効せしめて硬度の変化を測 定した. 硬度版 122 I: 熔体化材を焼戻すことによって,いずれの試料もわ ずかながら時効硬化I性を有することが知られた.すな 、 、 啓 星 一 o G 溶蜘上米謡錘0%均圧 わち階段的に昇温して焼戻す場合,焼戻温度の上昇に つれてわずかながら硬化して700°C∼850.Cで最高硬 度に達し,以後焼戻温度の上昇とともに軟化する.ま 4 0 r l 2 0 0 o 4 1 ' r 溶 佐 イ ヒ フ l < > 今 た600.C,700°C,800°Cで焼戻時効せしめるとき,程 度の差はあるがいずれもわずかながら硬化し,800℃ 0 2 焼展でもつとも硬化量が少なく,Fe,Cu,Si,Mn添 JOL-d3 − −,c5‘ 鳥 i 一い i , NN C洲 ,W% 4 OIO203040 − 氏 忠 0 5 1 0 1 5 2 0 −Mn% 第1図添加元素が溶体化硬度および 冷間圧延硬度におよぼす影響 加の場合600°C焼戻で,Mo,W添加の場合は700℃ 焼戻でもつとも硬化量が大きい. 溶体化して冷間圧延したものを階段的に昇温して焼 戻すとき,鮫初ひずみ時効による硬化を示すが,次い で加工ひずみの恢復にともなう軟化が起り,引続き再 末永.若原:Ni基20Cr-20Co-Ni合金の焼戻時効におよぼす第4元素添加の影靭 3 結晶による急激な軟化を示す.また同じく溶体化水冷 る硬度変化を,また第7図∼第9図はおのおの600℃, 後冷間圧延材を600.C,700°C,800℃の各温度で焼戻 700℃,800℃の各温度で焼戻時効せしめたときの硬度 時効せしめるとき,600℃時効では加工ひずみの除去 変化を示したものである. による最初の軟化に引続き時効硬化が起り,次いで緩 Cuもわずかながら時効硬化性を与えるが,Cu濃 '慢なる軟化に転ずる.700.C時効では600°C時効と 度の増加は時効硬化性の大勢を左右するほどの影響は ほぼ同じであるが,温度が高いため最初の軟化に続く 硬化が著しくない.800℃時効では加工ひずみの除去 与えない.またCuの添加により溶体化水冷後冷間圧 延材の焼戻軟化抵抗が幾分小さくなるのが認められ と再結晶による軟化が徐々に起り,50∼100hrで加 る . 工の影響は全く失われ,溶体化材を焼戻時効せしめた (c)Siの影緋 ときとほぼ同程度の硬度になる. 次に各添加元素毎に焼戻時効性に対する影響につい 第10図∼第13図はSi添加合金についての結果を 示したものである. て述べる. 300「 (a)Feの影群 260卜: 0 2 2 破度 変化を,第3図∼第5図はおのおの600℃,700℃, 800℃における焼戻時効硬度の変化を示す. 1 第2図はFe添加合金の階段的昇温焼戻による硬度 H Y l 8 0 卜 一一 溶体化材を焼戻すときFe膿度の増加とともに最大 1 4 0 卜 硬化量はやや減少し,時効硬化性が少なくなる.Fe− '0は基準試料0よりむしろ軟化抵抗は大きいが,Fe l U I l 卜 挫度の増加とともに軟化抵抗は小さくなる. 6 0 〒 3 1 0 2 0 S O │ Ⅲ 1 1 5 一-一一ワ00‘Cl(刈る暇時間I:r (b)Cuの影群 第4図Fe添加合金を700・Cで焼戻時効 第6図はCu添加合金の階段的昇温繰返し焼戻によ せしめるときの硬度変化 ): 1: 2幻卜 以 220卜 計"…… 戊 │ { 、 l i j I 」 1m 卜『20 $ ミ 皇 蔑 § l師 0 8 M 「 1 1 ‐ Ⅱ U 塊' 炭‘ 私 。、 c脳 雲20坐.蝋良灘MP''2m2‘一 抑‘ ‘皮 ‘, 凹 l仙卜 第2図Fe添加合金を階段的に昇温各温度1hr 00←ー 0 . K 繰返し焼戻水冷するときの硬度変化 m2U50100200 一一800ゥCに111渇閏勧叶閉l↑I 1 0 0 2浬 硬度州 第5図Fe添カロ合金を800°Cで焼戻時効 0 6 せしめるときの硬度変化 7孔 0 I Z l j U 0 8 ? 4 0 卜 碇打岨恥 2 0 0 卜 1 4 0 12,.恥I易fiM_/1、;湖 1 0 0 60 ロ O U 5 1 3 1 0 2 0 S O l O O 2 0 0 -600,cにおける1秘時Ⅲ|'r 節3図Fe添加合金を600.Cで焼戻時効 せしめるときの硬度変化 : z , = 拳 溌 雲 書 慧 謹 蕊 刈吊F4iO6iO訓0,卿01200 I 2040060080010001200 &戻 戻過 遇鹿 − 1 ' ヒ ノ ス , : 昌 尺 。 ピ ー− ー− メメ''t 庇。 。じ c 第6図Cu添カロ合金を階段的に昇温各温度1hr 繰返し焼戻水冷するときの硬度変化 鹿児島大学工学部研究報告第2号 4 3DO I淵 2LCkft水謝1?Oエマ正x旨I 2 6 0 段 刺 Z 2 0 m H ▽ 1 8 0 H v l I 4 0 1200oいん種ムイt末鐙力 I O O b O − ー ’u・弓ljIOzO51』'002蛇 600・c唖、'f凸9諦戚lY1h↑ −600,[に脚lT4B繕0柵hr 第11区ISi添加合金を600°Cで焼戻時効 第7図Cu添カロ合金を600°Cで焼戻時効 せしめるときの硬度変化 せしめるときの硬度変化 3D0F ヨ l J O F 1 1 2 6 0 卜 0 2 2 砿度 2 6 0 卜 計、扇罵薫 H v l 3 0 卜 H v l 3 0 卜 .竺典_‐ 1 4 0 卜 I 4 U 卜 1 0 0 卜 Ⅲ0卜 6 0 H テ I j 5 A J 寺 0 唾 l J I l J 2 0 S U I O I j 31U21J30IUUZUU 釦 11 -700・Clごおけ叩拘叫間hr 一‘700s〔に坤銀蜘臥Ⅷhr 第8図Cu添カロ合金を700.Cで焼戻時効 第12図Si添加合金を700.Cで焼戻時効 せしめるときの硬度変化 せしめるときの硬度変化 1 0 0 「 { 淵 T ZbIjトヘ 睡足蹄 硬 〃0卜 度 随 0 F lyU卜 H v I 8 0 ト 140卜 1 4 0 1 . lUU卜 ' 0 0 卜 60L= 0 0 § 」 ?050100705 一』jOOTl−Jw&別EtaMU1hr 第9図Cu添加合金を800°Cで焼戻'1寺効 せしめるときの硬度変化 6 0 寺 3 1 0 2 0 5 0 I 凹 西 ロ 咽 一gcO'cにおけb鍔効吋嗣1W 第13図Si添加合金を800°Cで焼戻'1寺効 せしめるときの硬度変化 3 ? U 戸 100 Siの添加は前述のごとく溶体化硬度を高める効果 ZiOL 副硬蜘恥 は非常に大きいが,時効硬化に対する影響はSi−3が やや大きいほかはきわめて微弱である.溶体化水冷後 冷間圧延材の焼戻軟化抵抗性は,Si−1の場合基準試 1 6 [ 料0と同程度であるが,si濃度が増大すると大きくな り,Si−3の軟化完了温度は約950°Cにあって,基準 諏 30号戸伽bMaCOl0jol2iD ?「−』l1LW淡職卿Ⅷ 第10図Si添加合金を階段的に昇温各温度1hr 繰返し焼戻水冷するときの硬度変化 試料の0のそれに較べておよそ100℃高い. (d)Mnの影響 第14図∼第17図はMn添加合金についての結果 末永・若原:Ni基20Cr-20Co-Ni合金の焼戻時効におよぼす節4元素添加の影響 5 ヨ卯 を示したものである. Mn濃度の相違による時効硬化性の差はほとんど認 められない.溶体化水冷後冷間圧延材の焼戻軟化抵抗 2釦 荻 性は,Mn濃度の低い場合基準試料の0と同程度もし 度 2 2 0 くはやや小さい程度であるが,Mn挫度が増加すると H Y I 8 0 0 4 軟化抵抗は少し増加する. 川団 (e)Moの影響 第18図∼第21図はMo添加合金についての結果 『 を示したものである. 00.5i3102050100200 -800‘cに封ろ鋪効菌矧1,1. 溶体化材の焼戻による硬化量はFe,Cu,Si,Mnを 第17図Mn添加合金を800°Cで焼戻時効 卸獅I せしめるときの硬度変化 認 [ 固 』 副0卜 劇……雑 Z m , 眼 X ? │ M ' 6 [ ’ l2即t4hrシ齢jヒオ〈鋤 H v 曾 一 、 、 ‘ 1 2 0 卜 q 1 I 30号i-で460600”I伽l2il20 坐.測炭雛.WOl抑 第14図Mn添加合金を階段的に昇温各温度111r 繰返し焼戻水冷するときの硬度変化 :│ I S O 一 卯 , 訓 壁鱈 _ 庚 卿Ir …2’− 40 蝋巡 庚蝋 変難 lW ・1 此拶 戻篤 温職 度M 。m C l2m20竺 第18図Mo添加合金を階段的に昇温各温度1hr 繰返し焼戻水冷するときの硬度変化 I: 癖伽bK鑓20%が圧材 3 0 D 「 T ( J O 彼だⅡ 硬 度 2 2 0 卜 2 2 U 卜 H v , 3 ‘ I 1帥 言=言言ご霊室=二: 凶0卜 140卜 I J O 卜 i U U 卜 6 0 帝 U L 5 3102050110021jO −600.cにJ棉吋効#棚hr 60ーー 0 ' 1 5 3 1 0 2 0 s o ' 0 0 2 0 0 600.Cにおける簡効H綱1W 第15図Mn添加合金を600.Cで焼戻時効 第19区IMO添加合金を600°Cで焼戻時効 せしめるときの硬度変化 せしめるときの硬度変化 3 0 [ 700「;神化北心伐20%“,汁 0 6 2 2硬度汁 6 0 卜 0 3 2 額今胤州 2 2 0 1 ‐ Ⅶ 1 30卜 一一=些学蒜:全一‐峯 ' 4 0 1 - ’ l 0 0 I D O 卜 f 1 I ) 60些一 0 l 4 U 0 . と 3 1 0 2 0 S O I O O 2 U U −ワ00.Cに湖ろロ蜘開組hr 第16図Mn添加合金を700°Cで焼戻11寺効 せしめるときの硬度変化 Ⅱ OqSI31020SOIOO200 −ワ00.9におけ堀劫8柵h『 第20図Mo添カロ合金を700.Cで焼戻時効 せしめるときの硬度変化 6 鹿児島大学工学部研究報告第2号 3 0 0 『 卿 塞仏農化7IC4h後20%睡粘 2 4 0 卜 画 破童閉 破度 22叶 H v I 別 I別卜 1 4 0 1判卜 I , 1 1 , I D U 卜 、 0 鴎 3102050100 80m端脆端寅固i,r ? Ⅱ 6OL二 0 U u略b I J I O 2 0 5 0 I 卯 2側 一▽00.[にカサbB織詩間hr 第21図Mo添加合金を800℃で焼戻時効 第24図W添加合金を700。Cで焼戻時効 せしめるときの硬度変化 せしめるときの硬度変化 添加したもののそれに較べてかなり大きい.またFe, Cu,Si,Mnを添加した合金の最高硬度を示す焼戻温 度が600°Cであるに対し,Mo添加合金は700℃焼 戻でもつとも硬化量が大きいことが注目される.また 0詑 0附 0 邸 虚訳度州 ヲ 0 0 Moの添加は溶体化水冷後冷間圧延材の焼戻軟化抵抗 をかなり著しく大きくする. 1 4 0 (f)Wの影響 1 0 0 第22図∼第25図はW添加合金についての結果を 6 0 示したものである. 一 一 − 1 005 溶体化材を焼戻すときの硬化量はMo添加合金よ 第25図W添加合金を800℃で焼戻時効 り少しく小さい程度であって,W濃度の相異による 麺 「 3102050100200 800.cに坤聡吋厨hr せしめるときの硬度変化 差はMd添加の場合と同様ほとんど認められない. 2 2 0 卜 最高硬度を与える焼戻温度はMo添加合金と同じく 700°Cである.また3%までのWの添加は溶体化 乳卿… 後冷間圧延材の焼戻軟化抵抗をあまり左右しないとい ってよい. l 釦 卜 ’ I密IL 3-3.焼戻時効後の顕微鏡組織について 開?戸 一聖L畷淀幾哩“ 0 0 2 坐_耀趨虎lWl2鴫 第22図W添加合金を階段的に昇温各温度1hr 繰返し焼戻水冷するときの硬度変化 焼艮時効後の顕微鏡組織をみるに,Fe,W,Moを 添加した合金においては粒内,粒界に析出物が認めら れるが,SiMnを添加した合金においてはほとんど 300『 析出物は認められない.Cu添加合金においてはCu 260卜 濃度が高く焼戻時効温度が比較的低い場合に析出物が : 種 ‘ ’ 認められる.写真1は1200.C,4hr溶体化水冷材の 600°C,200hr焼戻時効後の組織を示す.Si−3,Mn−10 H V l 8 0 ト においては基準試料の0と同様析出物はほとんど認め られないのに対し,Fe-40,Mo-4,W−3においては粒 1 4 0 卜 界に沿うての析出のほか粒内に方向性をもった析出物 I U D 卜 が認められる.Fe添加合金の析出について武田,花 0 0 笥 十 0 5 3102050100200 −600。[に測る時勤碕lW111r 第23図W添加合金を600.Cで焼戻時効 せしめるときの硬度変化 井,湯川2)3)はCo-Cr-Ni-Fe4元合金(CO=。= Ni,FeO∼40%)において。相の析出を認め,Fe濃 度の増加とともに析出量の減少することを報告してい 7 末永・若原:Ni基20Cr−20Co−Ni合金の焼戻時効におよぼす節4元室添加の影響 迅 〃 ■’ ,が 灘 か 、戦? 〆写 鯵 " 、 $ I r I 蔭 . ル 。 凸● ( 謎 ; 鱒へ, $ ■5 '、 顎 罰,え、、、 杉 卦甚、 識ダ 態 娩 私鍵,、、 (b)Fe-40合金 少 (a)基準試料0 ・1‘: γ$・ 録、啓 ノ ‘ 農 了 鯨 丑 (d)Si−3合金 一二一群拳 ×400 ’︲# ‘ タ (cノCu−4合金 ×400 ⋮i⋮齢亨1177 ×400 .拳シミ…i韮灸為4,、 , 、 綴 。 , , 夢 : 亙 雲 岸 . F 、 誘 ミ ー ,鞠 ‘、渡$;ノ。偽 韓 寿 哉 呼 ; . 切 寓 融 y ; ; 簿 : 式 ノ ー ∼ 鱗辱鴛 鳥 、 . 1 宙 (e)Mr1−10合金 (f)Mo−4合金 ×400 ×400 ×400 (9)W−3合金 ×400 写真1 溶体化水冷材の600。C200hr時効後の顕微鏡組織 10%准酸水溶液中電解腐触 る.木研究においてもFe挫度の増加とともに焼辰時 効硬度,時効硬化量が減少しており,かつFe股度の 増加とともに時効析出物の減少する傾向が認められる が,Fe濃度の増加とともに。相の素地固溝体への溶 解度が増すためとみられる.Cu−4においては粒内全 面に分散した微細な析出が認められるが,この析出物 2 0 『 筏 『 E 0 。 L 卜 屍-20 1 . 2 nm 弱-10 セ ツ 孫 . 3 0 O U N 試駿払度:700℃ 試験荷堂:8K9 I E は17-4PHステンレス鋼にみられると同様Cuに富 む相と考えられる. 3-4.添加元素が曲げクリープ特性におよぼす 0.20406080’00 聴聞l1r 第26図溶体化後冷間圧延材の曲げクリープ 特性におよぼすFe添加の影響 影響について IMIげクリープ特性におよぼす合金北素の影裡をみる り,かつFe挫度の増加とともに著しく抗クリープ性 ため,1200℃,4hr溶体化水冷後20%冷間ハミ延材に の劣化するのが認められる.その原因はFe濃度の増 ついて700°C,8kg荷近ドのIOOhrまでの'''1げクリ 加とともに焼戻軟化抵抗が小さくなり,また硬度が低 ープ。試験を行なった.第26図はFe添加合金の曲げ 下することにあるものとみられる. クリープ特性を示したものである.わずかのFeの添 第27図はCu添加合金についての結果である.Cu 加は埜準試料0に対・し'111げクリープ特性を幾分改善す の添加はCu−3の挑み速度がやや大きい以外は焼み るが,Fe20%以上になると基準試料0より弱くな 壁,挑み速度にほとんど影響を与えないとみ,てよい. 鹿児島大学工学部研究報告第2号 漣狩祁 趣み雨 参 一 〆 d n b O 卯 I U U Ⅲ 劇 1 b O g O l m 第30図溶体化後冷間圧延材の曲げクリープ 特性におよぼすMo添加の影響 第27図溶体化後冷間圧延材の曲げクリープ 特性におよぼすCu添加の影響 蝿〃 焼み” m、 〆三三三一雷 皿 一 q U 蒔明l,淳 的 8 0 皿 第28図溶体化後冷間圧延材の曲げクリープ 特性におよぼすSi添加の影響 m I Q E 第31図溶体化後冷間圧延材の曲げクリープ 特性におよぼすW添加の影響 少・ザ 秘狩 って,wの添加は前述のごとく特に焼戻軟化抵抗を 大きくする傾向は認められないが,Mo添加の場合と 同程度に曲げクリープ特性を改善する. m、 3-5.添加元素が高温耐蝕性におよぼす影響 について 大気中高温腐蝕抵抗におよぼす合金元素の影響をみ 時IW1hr 第29図溶体化後冷間圧延材の曲げクリープ 特性におよぼすMn添加の影響 第28図はSi添加の場合の結果を示す.2%まで 冷間圧延硬度を高め焼戻軟化抵抗を大きくするので曲 げクリープをもかなり改善するが,Si−3はもつとも硬 度が高く軟化抵抗も大きいにもかかわらず榛み速度が 著しく大きくなる. 第29図はMn添加合金についての結果であって, した試料を3.5×5.6×35.0mmの寸法にエメリーペー パ−03まで仕上げて,大気中で800℃に加熱,同温 度にl00hr保持した後炉中放冷して加熱前後の重量 変化を測定した.この場合いずれの試料も重量増加を 0 864 1重部噛桐崎齢佃 のSiの添加はその濃度の増加とともに溶体化硬度, るために,1200℃,4hr溶体化水冷後20%冷間圧延 h』 Mn添加合金の曲げクリープ特性は基準試料0のそれ のであるが,Moの添加がその濃度の増加に伴なって 硬度を高め焼戻軟化抵抗を大きくすることに対応し て,曲げクリープ特性を著しく改善する. 第31図はW添加の場合の結果を示したものであ 0 第30図はMo添加合金についての結果を示したも 2 1 とほとんど差はないが,焼戻軟化抵抗の大きいMn− 10がMn−5より榛み速度がやや小さい. 0 2 J 4 QSiNoW% O I O ? 0 J O 4 0 − 凡 船 0 5 1 0 1 5 2 0 −ノルw〆 第32図添加元素が高温耐蝕性におよぼす影響 末永・若原:Ni基20Cr-20Co Ni合金の焼戻時効におよぼす第4元素添加の影響 示した.これは大部分酸化によるものであるが,酸化 のほかに窒化もある程度考えられる.第32図に単位 面積当りの重量増加におよぼす合金元素の祇類と濃度 の影響を示す. siの添加は大気中加熱による竜量増加を少なくし, 高温耐蝕性を改善することを示す.Fe,Mn,Wの添 加は高温耐蝕性にほとんど影響は与えないが,Fe,Mn についてはその添加濃度の高いところでは耐蝕性を著 しく悪くする.Cu,Moの添加は高温耐蝕性を著しく 悪くし,特にMoの場合顕著である.これはMoの 添加が軟化抵抗を高め,抗クリープ性を著しくよくす 9 (ま認められない. (3)溶体化後の冷間圧延材を焼戻すときの焼戻軟 化抵抗性はFeの添加によりかなり小さくなり,Cu の添加によってもやや小さくなる.Si,Mnの添加は その濃度が高くなると軟化抵抗を大きくする.Moの 添加はかなり著しく軟化抵抗を高めるが,wは3%の 範囲ではあまり影郷を与えない. (4)溶体化水冷後冷間圧延材の抗クリープ性を, Feの添加はその汲度の増加とともに著しく劣化する. その原因はFe濃度の増加とともに焼戻軟化抵抗が小 さくなり,また硬度も低下することにあるとみられ る事実ときわめて対照的である.但しCu,Moの湛 る.Si,Mo,Wを添加したものは曲げクリープ特性 度の変化による影響はきわめて小さい. が優れている.Cu,Mnの添加は抗クリープ性に特別 な影響は与えない. 4 . 総 括 20Cr-20Co Ni合金にFe,Cu,Si,Mn,Mo,W の6種の第4元素を単独に添加したとき,これらの添 加元素が焼戻軟化抵抗,焼戻時効性,顕微鏡組織,111 げクリープ特性および高温耐蝕性におよぼす影響につ いて実験的研究を行なって次の諸点を明らかにした. (1)Feの添加は溶体化硬度,溶体化後の冷間圧延 (5)大気中高温腐蝕抵抗はSiの添加により改善さ れるが,Cu,Moの添加により著しく劣化する.Fe, Mn,Wの添加は高温耐蝕性に余り著しい影響は与え ないが,Fe,Mnの場合は添加濃度が高くなると高温 、仙性を劣化せしめる. 終りに本研究遂行に当り,終始御懇篤なる御指導御 援助を頂いた東京工業大学教授岡本正三先生に深甚な 硬度を低くするが,Cu,Si,Mo,Wの添加はその濃 度の増加とともに合金を硬化する.Mnの添加によっ て溶体化硬度は大きくなるが,溶体化後の冷間圧延硬 る謝意を捧げる. 度はかえって小さくなる. 1)W、Jellinghaus,W・Wink:Arch・EisenhU枕en, (2)いずれの組成の試料も溶体化状態ではγ単相 であるが,これを焼戻すときわずかながら時効硬化性 が認められ,Mo,Wの効果は比較的大きい.Fe,Cu, Mo,Wを添加した合金には焼戻時効後微細な析出物 が認められるが,Si,Mnを添加したものには析出物 文 献 29(1958),559. 2)武田,花井,湯川:鉄と鋼,41(1955),320,43 (1957),299. 3)武田,花井,湯川:F│木学術振興会耐熱金属材料 研究委員会報告集,1960-11,197.
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