湿地再生における外来植物対策: 霞ヶ浦の湖岸植生帯再生地における

湿地再生における外来植物対策:
霞ヶ浦の湖岸植生帯再生地における市民参加型管理の試み
西廣 淳・西口 有紀・西廣
(安島)美穂・鷲谷 いづみ
*
(東京大学大学院 農学生命科学研究科)
*
e-mail:[email protected]
摘 要
在来種の生育に悪影響を及ぼす侵略的外来種の管理は、湿地植生の再生において重
要な課題である。特に、シードバンクを含む土壌を撒きだすことにより植生を再生さ
せる事業では、一般に事業初期の植被率が低いため、近傍に外来植物の種子供給源が
存在する場合、計画者の意図に反してそれらの種が優占する植生になる危険性があ
る。霞ヶ浦では、湖底の土壌シードバンクを活用して湖岸植生帯を再生させる事業が
進められている。本稿では、この再生事業地の一つである石川地区で 4 年間にわたっ
て継続されている市民参加型の調査を通じて明らかにされた植生の変化を、特に外来
種の侵入の実態に重点を置いて記すとともに、この調査の参加者からの提案を発端に
開始された外来植物の市民参加型除去活動とその成果について報告した。事業の実施
より 1 年後から多くの外来植物が確認されたが、ホウキギク(ヒロハホウキギクを含
む)とオオクサキビは、植生の発達とともに地上植生からは認められなくなった。一
方、セイタカアワダチソウは、特に比高の高い場所で急速に地上茎の密度を増加させ
2
た。しかし、事業地内の約 2,500 m の範囲において、7 月初旬に年あたり 25 ~ 32 人
により、セイタカアワダチソウをはじめとする侵略的外来植物を選択的に抜き取る活
動を 3 年間継続した結果、その場所では、地上茎の密度を 20%程度に減少させるこ
2
とができた。セイタカアワダチソウの密度が減少した場所では 1 m あたりの平均出
現種数は 7.5 種から 9.4 種へと増加したが、外来種数の率も 22.7%から 28.7%に増加
した。特に、近傍の堤防法面に生育している種であるナギナタガヤやネズミホソムギ
(ネズミムギ、ホソムギを含む)
の増加が認められた。しかし、優占種であるセイタカ
アワダチソウが減少したことにより、外来種の重要度(全種の被度の合計に占める外
来種の被度の割合)は 52.9%から 15.7%へと有意に低下した。
キーワード:外来種管理、湖沼、自然再生、セイタカアワダチソウ、土壌シード
バンク(埋土種子集団)
1.はじめに
人間活動によって劣化・喪失した湿地生態系を
回復させる取り組みでは、多くの場合、植生の再
生が必要になる。その際、対象とする場所の水文
学的条件などの物理的な環境条件さえ回復させれ
ば、特に植物を導入しなくとも望ましい植生が再
1)
生する場合もあるが 、目標とする植生の回復が
望めない場合には、植物の積極的な導入が必要に
2)
なる 。植物を導入する手法の中で、土壌シード
バンク(soil seed bank)を活用した植生再生手法、
すなわち再生を目標とする植物のシードバンクを
含む土砂を植物の発芽・定着条件を備えた事業対
象地に撒く方法は、生物多様性保全の点からみて
3)-5)
多くの利点をもつ 。特に、自然な組み合わせ
の多様な種を一括して再生できること、再生事業
を実施しようとする場所やその近傍の土壌シード
バンクを活用することで、遺伝的な意味での地域
固有性を損なわずにすむことは、大きな利点であ
3)-5)
る 。
土壌シードバンクを活用した植生再生では、
土壌を撒きだす場の条件を多様化することで、多
様な種の発芽適地を用意することができる。多く
の植物種は、温度、光、水分条件など様々な環境
要因を手がかりにして、実生定着に適した環境を
検出し、発芽する性質を進化させているためであ
2)-6)
る 。また、植生の発達に対する人為の介入を
最小限にできるため、より自然の植生に近い種組
成や構造を持つ植生の再生が期待できるという利
7)
点もある 。
一方、このように植生の発達を自然に任せる方
法により成立する植生は、外部からの種子分散
地球環境
12:65-80(2007)
Printed in Japan
2007 AIRIES
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西廣ほか:霞ヶ浦の湖岸植生帯再生地における市民参加型管理の試み
や、植生を構成する種間の相互作用といった地
域・局所スケールの生態学的過程の影響を強く受
8)-12)
ける
。特に、導入する土壌に競争力の強い外
13),14)
来植物の種子が多く含まれる場合
や、近傍に
外来植物の供給源が存在する場合には、計画者の
意図に反してそれらの種が優占する危険性があ
15)-17)
る
。 湿地再生に悪影響を及ぼすと考えられる侵略的
外来種の侵入が認められた場合には、適切な管理
を行い、分布拡大や密度増加を抑制する必要があ
る。そのための有効な手法の一つが、当該種の選
18),19)
択的除去である
。人間の手による選択的除去
は、除草剤や大規模な機械を用いる方法などと異
なり、保全すべき在来種にはほとんど影響を及ぼ
さずに管理できるという長所をもつ一方、多くの
19)
人手が必要となる 。
しかし、湿地生態系の再生を含む「自然再生事
業」では、次の理由により多くの手間を必要とす
る管理を実現できる可能性がある。一般に、自然
再生事業は地元住民や対象地の自然に関心をも
20)
,21)
つ市民の幅広い参加によって進められる
。ま
た、事業実施後の管理を含めた多くの段階を多様
な主体の参加によって実施することは、関係者の
22)
間で認識を共有し「為すことにより共に学ぶ」
順応的管理を適切に進行する上でも有効である。
市民参加による管理活動の実施は、事業の目的の
共有、事業対象とする自然の現況について認識の
共有、管理の必要性や、すでに実施した管理の効
果に関する認識の共有といった、広義の環境学習
としての意義も大きい。侵入した外来植物のモニ
タリング調査と選択的除去も、そのような参加型
管理の一つとして位置づけることができる。
茨城県の霞ヶ浦では、湖底の土壌シードバンク
を活用して湖岸植生帯を再生させる事業が進めら
れており、2002 年に工事が完了した。筆者らは
この事業の計画立案に携わるとともに、事業が実
施された場所において、再生された植生を対象に
市民参加型のモニタリング調査を 2003 年から実
施している。この調査では、調査開始年から事業
対象地の一部に侵略的外来植物であるセイタカア
ワダチソウの侵入が確認された。そこで、セイタ
カアワダチソウの競争性の高い生態的特性や、日
本の河川や湖沼においてセイタカアワダチソウが
23),24)
高い侵略性を示している現状
を説明したとこ
ろ、参加者からセイタカアワダチソウの選択的除
去を実施したいという要望が寄せられた。そこ
で、2004 年から NPO 法人と行政(国土交通省)の
協力を得て、外来植物の選択的除去活動を開始し
た。その結果、セイタカアワダチソウの繁茂を抑
66
制する効果が認められ、市民参加による選択的除
去が湿地再生における有効な外来種管理手法の一
つとなることが示されつつある。このことは類似
した事業においても参考になる事実であるため、
報告する。
本稿では、まず霞ヶ浦での湖岸植生帯再生事業
の概要を解説し、次に、市民参加型植生調査で得
られた結果、および選択的除去活動が植生に与え
た効果について述べる。なお、植生調査と選択的
除去を含めた植生管理活動は現在でも継続されて
おり、本稿では 2006 年までの結果・成果につい
て述べる。
2.霞ヶ浦における土壌シードバンクを活用した
植生再生
霞ヶ浦は面積 220 km 、平均水深 4 m、最大水
深 7 m の広く浅い湖である。1970 年代までは湖
岸に沈水、抽水、浮葉植物から構成される広大な
植生帯が存在したが、過去 30 年程度の間に、コ
ンクリート堤防の築造、水質の悪化、水位変動パ
25)-27)
ターンの改変などによって大幅に失われた
。
また、1996 年に、利水を目的として水位を年間
を通じて高くするとともに、自然の水位変動とは
逆に冬季に高く夏季に低い変動パターンとする管
理が開始されて以来、霞ヶ浦を国内最大の自生地
としていた絶滅危惧浮葉植物アサザの個体群が急
28)
速に衰退した 。
これらの状況を踏まえ、国土交通省(当時は建
設省)は霞ヶ浦の湖岸植生帯の保全と再生を目的
とした事業を開始した
(
「霞ヶ浦湖岸植生帯の緊急
保全対策事業」
)
。この事業は、自然再生推進法の
施行前に開始された事業であるが、市民参加によ
る順応的管理によって進めることを基本理念とし
て挙げるなど、同法の精神を先取りした計画に
29)
よって進められた 。具体的な計画を立案するた
めの議論が 2000 年に開始され、保全・再生のた
めの工事が 2001 年から 2002 年にかけて実施され
た。
霞ヶ浦における土壌シードバンクを活用した植
生帯再生は、この「緊急保全対策事業」の一部と
して実施された。近年にアサザをはじめとする絶
滅危惧植物の衰退・消失が進んだ場所から対象
地を選び、まず過去の地形図、空中写真、植生図
を参考に、過去およそ 30 年間に失われた植生帯
の範囲を検討し、既存の堤防の前面(湖側)
に植生
30)
帯の基盤となる地形を土木的に造成した 。この
人工湖岸の地盤高は、多様な植物を再生させるこ
とを目指し、浅い水域、地表面が湿潤条件を維持
2
地球環境 Vol.12 No.1 65-80(2007)
図 1 霞ヶ浦の湖岸植生帯再生事業の様子.
左:事業を実施する以前の湖岸の様子,中央:土壌シードバンクを含む表土を撒きだしている段階,右:再生のための工事
完了後 1 年が経過した湖岸.
する程度の高さの場所、比較的乾燥する場所など
を含むように設計された。造成した人工湖岸の表
層には、約 10 cm の厚さで、霞ヶ浦湖岸の漁港
や樋門の周辺から底質を浚渫する公共事業で得ら
れた土砂が撒きだされた。撒きだした土砂には、
霞ヶ浦の地上植生から消失した種も含め、多様な
在来の水生・湿生植物の土壌シードバンクが含ま
31)
れていることが先行研究から示唆されていた 。
土壌シードバンクを活用した植生帯の再生は、
2
5 箇所の湖岸(合計約 65,200 m )で実施され、工
事は 2002 年に完了した。工事が完了してから
32)
1 年以内に、環境庁レッドデータブック 記載種
6 種、霞ヶ浦の地上植生からはほぼ完全に消失し
ていた在来の沈水植物 12 種を含む、180 種の植
物の再生が確認され、湖底の土壌シードバンクが
失われた湖岸植生の再生に有効な材料となること
33)
が示された (図 1)
。
3.方法
3.1 市民参加による植生調査
本稿では、湖岸植生帯再生事業を実施している
場所のうち、茨城県石岡市にある「石川地区」
事業地において継続して実施している調査から、
2003 年から 2006 年に実施した内容について報告
する。石川地区では、湖岸約 1.1 km の範囲に、
幅(水辺から堤防までの距離)25 ~ 80 m 程度の
湿地が再生されている(図 2)。2002 年 6 月から 7
月までの間に再生された湖岸の表層に浚渫土砂が
撒きだされた。
植生調査は、毎年初夏(5 月下旬~ 6 月上旬)と
秋(9 月下旬~ 10 月上旬)に実施されている。こ
れらのうち 2003 年の調査は筆者らのみで実施し
たが、2004 年から 2006 年の調査は少なくともそ
の一部を市民参加型で実施した。
市民参加型植生調査の参加者は、ウェブペー
ジ、メーリングリスト、新聞を活用した呼びかけ
に応じた 51 名で、6 回の調査でのべ 90 名(一回
あたり 11 から 22 人)が参加した。調査は、植生
の現状を科学的に把握するという目的のほかに、
事業全体の目的や調査対象地での再生目標につい
て理解を共有すること、および調査結果に対する
生物多様性保全の観点からの評価を共有すること
など、学習的な効果が得られることを意図して、
下記のプログラムで実施した。
①事前説明:霞ヶ浦の湖岸植生帯再生事業の背
景、目的、手法、参加型植生調査の目的と方法
について、視聴覚資料と配布資料を用いて室内
で説明した。また 2 回目以降は、前回までの調
査結果の概要を説明した。
②フロラ調査:石川地区湖岸植生帯再生事業地の
全域を対象として、著者の一人
(西廣淳)
が現場
で植物の名前や同定のポイントを説明し、参加
者が植物名などを記録した。野外調査終了後、
室内で、現場では同定できなかった植物を同定
すると共に、各自の記録を相互に照合し、植
物名の誤った理解を防いだ。フロラ調査は各調
査年の初夏と秋に実施した。
③トランセクト調査:石川地区湖岸植生帯再生事
業地内の、堤防沿い方向 50 m、堤防と垂直な
方向 20 m の範囲を定点調査区とし(図 2)、そ
の中に堤防と垂直なトランセクトを 10 m 間隔
で 5 本設けた。トランセクト内を 0.5 × 0.5 m
のコドラートに隙間なく区切り、コドラート内
に出現した植物種名を記録した。地形を維持す
るために設置した石などの構造物上ではコド
ラートを設置しなかった結果、コドラート数は
合計 186 となった。調査は、トランセクトあた
り原則として 3 ~ 4 名の参加者で実施した。種
の同定の誤りを防ぐため、フロラ調査の翌日ま
たは一週間後に、フロラ調査参加者によって実
施した。さらに、各トランセクトに現場での植
物の識別能力が十分にある参加者を原則として
1 名以上充てるとともに、西廣が全トランセク
67
西廣ほか:霞ヶ浦の湖岸植生帯再生地における市民参加型管理の試み
N
100m
図 2 霞ヶ浦における調査地・石川地区の位置と調査および外来植物除去活動を実施した範囲を示す平面図.
トに目を配り、必要に応じて同定を補助した。
トランセクト調査は、原則として各調査年の初
夏と秋に実施したが、2003 年の初夏と 2004 年
の秋については実施しなかった。
④意見交換:野外での調査(フロラ調査およびト
ランセクト調査)が終了した後、室内で懇談の
時間を設けた。調査で確認された絶滅危惧種や
侵略的外来種などについての解説を行い、次回
以降の調査や今後実施すべき管理について参加
した市民と研究者の間で意見を交わした。
本稿では、上記の調査の成果に基づいて、事業
地への外来植物の侵入状況について解析した。確
34)
認されたフロラのうち、
「外来種ハンドブック」
掲載のリストに基づき外来種を識別し、種数に占
める割合を算出した。また、各調査時期のトラン
セクト調査の結果について、全調査コドラート数
に占める種毎の出現コドラート数の割合を算出
し、種毎の出現頻度(%)
とし、特に出現頻度が高
かった外来種 10 種についてその年次変化を分析
した。
3.2 セ イタカアワダチソウの選択的除去と効果
の検証
石川地区湖岸植生帯再生事業地では、2003 年
の秋から外来種セイタカアワダチソウが比較的高
い頻度で確認されたため、2004 ~ 2006 年の各年
の 7 月初旬に、セイタカアワダチソウを選択的に
68
除去する活動を実施した。7 月初旬に実施したの
は、セイタカアワダチソウの地上茎が見つけやす
く、また降雨が多いため土壌が軟化して抜き取り
やすいためである。この活動は、筆者らが所属す
る東京大学 21 世紀 COE プログラム「生物多様
性・生態系再生研究拠点」と、霞ヶ浦流域で保全
と再生のための活動を展開している NPO 法人ア
サザ基金が共同で主催し、国土交通省霞ヶ浦河川
事務所が協力する体制で実施した。
選択的除去活動は、植生調査の参加者とその
知人、メーリングリスト、ウェブページでの呼
びかけに応じた参加者によって行い、2004 年、
2005 年、2006 年のそれぞれ、26 人、32 人、25 人
(国土交通省職員を含む)が参加した(図 3)。選択
的除去作業に先立ち、セイタカアワダチソウの識
別方法と、なるべく地下茎をつけた状態で抜き取
ることなどの注意点を説明し、特にセイタカアワ
ダチソウの密度が高い場所で選択的除去を実施し
た。
この活動では、セイタカアワダチソウと同様に
日本の河川や湖沼において侵略的性質が確認さ
23)
,24)
れているオオブタクサとアレチウリ
について
も、事業地内で低頻度ながら侵入が確認されたた
め同時に除去した。
セイタカアワダチソウの侵入の実態と除去の効
果を把握するための植生調査を行った。事業地内
地球環境 Vol.12 No.1 65-80(2007)
図 3 セイタカアワダチソウの選択的除去(左),抜き取ったセイタカアワダチソウの運び出し(右).
には、水際から 10 m 程度はなれた場所に、湖岸
と平行に周辺よりも比高が高くなるように造成さ
れた場所があり、セイタカアワダチソウはこの場
所で特に高密度で確認された。以下、この場所を
「微高地」、それ以外の地表面が湿っている場所を
「湿潤地」とする(図 2)。選択的除去活動では、
微高地全域を対象に除去が計画されていたが、時
間的・労力的な制約のため、除去を行ったのは約
2
2,500 m となり(以下「除去区」とする)、微高
地の中にもセイタカアワダチソウが除去しきれな
い場所が残された
(以下「未除去区」とする)
。調
査は 2004 年から 2006 年までの各年において、セ
イタカアワダチソウ除去活動の直前にあたる 6 月
後半に行った。微高地の除去区および未除去区、
ならびに湿潤地のそれぞれの中で典型的な植生の
場所に 10 m のラインを 2 本設け、各ライン沿い
に 2 m 間隔で 5 つずつのコドラート(1 × 1 m)を
設け(合計 30 コドラート)、各コドラート内のセ
イタカアワダチソウの地上茎の本数を記録した。
また、2006 年の調査では、除去区と未除去区
の全てのコドラートにおいて、植被率、植生高、
出現種、出現種ごとの被度を記録した。植被率と
被度は目視による現場での判断に基づき、10%単
位で記録した。ただし 5%に満たない種は 1%と
して記録した。この結果に基づき、以下の式を用
いてコドラート毎に「外来種重要度」を評価し
た。
ここで、C a は外来種の被度、C i は在来種の被
度を示す。
また、2005 年には、除去区、未除去区、湿潤
地の全てのコドラートを対象に、コドラートの中
心付近の標高をレベル測量で測定した。
4.結果
4.1 フロラ調査
2003 年から 2006 年までに実施した調査によ
り、石川地区全域で合計 295 種(うち外来種は 83
種)が確認された(付表 1)。なお、事業地内では
ネズミムギとホソムギ、およびそれらの中間的な
形質を示す個体が認められ、判別が困難だったた
め、これらの植物を一括してネズミホソムギとし
て扱った。また、ホウキギクとヒロハホウキギク
についても中間的な形質の個体が多く認められた
ため、ここでは区別せずにホウキギクとして扱っ
た。
確認された在来種には、環境庁レッドデータ
32)
ブック 記載種が 13 種(表 1)含まれていたほか、
サクラタデ、ドクゼリ、ミクリ、イヌタヌキモな
ど湿地や水辺を主な生育場所とする種が多く含ま
れていた(付表 1)。ただし、オニバスとデンジソ
ウは、霞ヶ浦由来の個体から増殖させて得た種子
や株を事業地内の一部で植栽しているため、それ
に由来する可能性がある。
確認種数は 2005 年までは年々わずかずつ増加
したものの、2006 年には減少していた(図 4)。
各年の確認種数に占める外来種数の割合は、23%
~ 29%程度でほぼ一定だった(図 4)。確認され
た外来植物の中には、「日本の侵略的外来種ワー
34)
スト 100」 にも挙げられ、かつ日本の河川にお
ける侵略的外来植物として規模の大きな優占群落
26)
を形成する場合が多いことが指摘されている 、
セイタカアワダチソウ、アレチウリ、オオブタク
サ、オオカナダモが含まれていた。
4.2 トランセクトでの植生変化
調査を開始した 2003 年から 2006 年までの間
に、再生地全体で優占種が入れ替わり、植生は相
観的にも大きく変化した。定点調査区内に設置
69
西廣ほか:霞ヶ浦の湖岸植生帯再生地における市民参加型管理の試み
表 1 霞ヶ浦の湖岸植生帯再生事業地「石川地区」で確認されたレッドデ
ータブック記載種.
科名
和名
ゴマノハグサ科 カワヂシャ
ミツガシワ科
アサザ
アカバナ科
ウスゲチョウジタデ
ユキノシタ科
タコノアシ
スイレン科
オニバス
ミズアオイ科
ミズアオイ
カヤツリグサ科 カンエンガヤツリ
コツブヌマハリイ
ジョウロウスゲ
ミズニラ科
ミズニラ
ハナヤスリ科
トネハナヤスリ
デンジソウ科
デンジソウ
ウキゴケ科
イチョウウキゴケ
ランク※
NT
VU
VU
VU
VU
VU
VU
VU
EN
VU
CR
VU
CR + EN
2003
O
O
O
O
O
O
O
O
O
O
確認年
2004 2005
O
O
O
O
O
O
O
O
O
O
O
O
O
O
O
O
O
O
O
O
2006
O
O
O
O
※ランク CR:絶滅危惧 IA 類,CR + EN:絶滅危惧 I 類,EN:絶滅危惧 IB 類,
VU:絶滅危惧 II 類,NT:準絶滅危惧種
図 4 石 川地区湖岸植生帯再生事業地で各調査年に
確認された種数.
緑のバーは在来種,赤いバーは外来種を示す.バーの
上の数字は全種数に占める外来種数の割合を%で示す.
したトランセクトでの植生調査からは植生の経年
的な変化が示された。たとえば、イガガヤツリや
オオクサキビは 2003 年秋の調査で、ホウキギク
は 2004 年初夏の調査で 50%以上の高い出現頻度
を示したが、これらの種は 2006 年には全く確認
されなかった(表 2)。逆に、ヨシは 2003 年秋の
調査では 5.9%と低頻度でしか確認されなかった
が、2005 年と 2006 年の秋の調査ではそれぞれ約
60%と約 70%のコドラートで確認され(表 2)、相
観的にも優占種となった。ホウキギク、
セイタカア
ワダチソウ、アメリカセンダングサ、オオクサキビ
は、いずれも霞ヶ浦の平常時の水位(YP 1.1 m)よ
りも 10 cm 程度高い比高の場所を中心に認めら
れた
(表 2)
。
トランセクト調査では合計 168 種が確認され、
うち 34 種は外来植物だった。これらの外来種の
70
うち、少なくとも一回の調査で 10%以上の出現
頻度を示したアメリカアゼナ、アメリカセンダ
ングサ、オオクサキビ、キシュウスズメノヒエ、
セイタカアワダチソウ、ナギナタガヤ、ヒメコバ
ンソウ、ヒメムカシヨモギ、ホウキギク、ネズミ
ホソムギの 10 種について、出現頻度の年次変化
を、季節ごとに図 4 に示した。初夏の調査で認
められたネズミホソムギ、ナギナタガヤ、ヒメコ
バンソウは、2004 年には出現頻度は 10%未満と
低かったが、2006 年には高い頻度で認められる
ようになった(図 5)。一方、ホウキギク、オオク
サキビ、ヒメムカシヨモギ、アメリカアゼナ、キ
シュウスズメノヒエは、2006 年までにトランセ
クト上では確認されなくなっていた。これらの種
とは異なり、セイタカアワダチソウとアメリカセ
ンダングサは、全ての調査年で 25%以上と高い
頻度で確認された(図 5)
。
4.3 セイタカアワダチソウ除去の効果
レベル測量の結果、微高地は湿潤地よりも約
30 cm 地面が高く、その差は有意だった(表 3)。
一方、ともに微高地に設置した除去区と未除去区
では、比高に有意差が認められなかった。
セイタカアワダチソウの地上茎の密度は、湿潤
地では経年的に変化しなかったものの、微高地の
未除去区では急速な増加が認められ、2006 年には
2004 年の 5.7 倍にまで密度が増加した(図 6)。
一方、セイタカアワダチソウの除去区では、
2005 年には未除去区の 22%、2006 年には未除去
区の 20%に低下していた(図 6)
。
除去区と未除去区は、2006 年の時点ではどちら
も植被率が高く、両者の間に有意差は認められな
かった(表 4;t- 検定,P > 0.05)。除去区では未除
地球環境 Vol.12 No.1 65-80(2007)
表 2 各年の各調査時期における出現頻度と出現したコドラートの比高を,少なくとも一回の調査で出現頻度
の上位 5 位以内に入った種について示す.
上位 5 位以内に入った出現頻度を太字で示した.2003 年あるいは 2004 年における出現頻度が高い順に示し,外来種を赤
字で示した.
a)初夏に実施した調査結果.
出現頻度
(%)
2004 年 2005 年 2006 年
和 名
50.8
55.9
ホウキギク
0
46.5
セイタカアワダチソウ
31.2
35.1
43.8
65.1
アメリカセンダングサ
37.7
42.2
クサネム
6.5
8.8
ヒメガマ
37.8
イヌコウジュ
2004 年
1.18
(1.10-1.43)
1.21
(1.09-1.48)
比高
(m)*
2005 年
1.15
(0.91-1.45)
1.18
(0.92-1.40)
2006 年
—
1.14
(0.91-1.39)
1.17
(1.04-1.39)
1.15
(0.91-1.48)
1.12
(0.92-1.33)
1.15
(0.99-1.43)
1.14
(0.95-1.17)
1.16
(1.15-1.18)
5.3
55.3
1.05
(0.90-1.21)
1.10
(0.96-1.28)
1.16
(1.15-1.18)
31.4
23.7
65.1
1.17
(1.08-1.28)
1.15
(0.9-1.480)
1.16
(0.91-1.40)
スギナ
ヤナギタデ
ゴキヅル
23.2
20.5
19.5
42.5
47.3
45.7
64.9
1.15
(0.9-1.480)
1.16
(0.94-1.43)
1.16
(0.94-1.46)
1.12
(0.90-1.40)
1.10
(0.93-1.16)
1.17
(1.04-1.39)
ツルマメ
15.7
22.6
8.8
38.6
81.6
1.22
(1.13-1.43)
1.14
(1.03-1.18)
1.08
(0.92-1.33)
1.24
(1.14-1.45)
1.13
(0.90-1.44)
1.14
(0.90-1.40)
ヨシ
コモチマンネングサ
15.1
14.1
43.0
32.3
57.9
49.1
1.20
(1.02-1.48)
1.30
(1.13-1.48)
1.17
(0.92-1.48)
1.20
(0.92-1.48)
1.13
(0.91-1.37)
1.17
(0.90-1.40)
比高
(m)*
2005 年
—
1.15
(1.15-1.15)
2006 年
—
—
平均(最小値-最大値),値は霞ヶ浦の標高基準に基づき YP で示す.
*
b)秋に実施した調査結果.
和 名
イガガヤツリ
オオクサキビ
イヌビエ
出現頻度
(%)
2003 年 2005 年 2006 年
67.7
0
0
60.2
0.7
0
39.2
0
0
2003 年
1.18
(0.92-1.48)
1.18
(0.90-1.48)
1.15
(0.90-1.40)
—
—
セイタカアワダチソウ
37.1
33.6
25.5
1.19
(0.91-1.48)
1.22
(1.11-1.40)
1.16
(0.90-1.40)
ヒメガマ
31.2
3.7
20.2
1.08
(0.96-1.33)
1.11
(1.04-1.16)
18.8
26.2
50.3
1.12
(0.91-1.40)
ヌカキビ
1.24
(1.09-1.48)
1.19
(1.09-1.48)
1.17
(1.14-1.43)
イヌコウジュ
12.9
48.3
0
1.06
(0.91-1.22)
1.19
(1.09-1.43)
—
ホウキギク
ヨシ
8.1
5.9
43.0
0.5
71.3
1.07
(0.94-1.22)
1.22
(0.94-1.40)
1.17
(1.09-1.43)
1.17
(0.96-1.48)
1.16
(1.16-1.16)
1.13
(0.90-1.48)
イ
1.6
27.7
0.91
(0.90-0.91)
1.19
(1.11-1.39)
1.16
(0.93-1.40)
ヤナギタデ
ツルマメ
1.1
0
26.8
47.0
12.8
56.4
1.17
(1.17-1.18)
—
1.16
(1.04-1.38)
1.20
(1.15-1.38)
1.13
(0.95-1.19)
1.16
(0.90-1.45)
60.4
18.1
平均(最小値-最大値)、値は霞ヶ浦の標高基準に基づき YP で示す.
*
去区よりもセイタカアワダチソウの被度は低かっ
たものの、外来種であるネズミホソムギやナギナ
タガヤが比較的高い被度で認められた
(表 4)
。
コドラートあたりの合計種数および外来種数
は、除去区のほうが有意に多かった(図 7)。一
方、種毎の被度の合計値に占める外来種の重要度
は、除去区のほうが未除去区よりも有意に低かっ
た
(図 7)
。
5.考察
図 5 主要な外来種の出現頻度の年次変化.
少なくとも一回の調査で,10%以上のコドラートで確
認された種を対象に示した.
5.1 植生再生事業地に侵入した外来植物
土壌シードバンクを植物の導入材料として植生
を再生させる手法では、一般に、事業初期の植被
率が低いため、周辺から供給される種子からの侵
71
西廣ほか:霞ヶ浦の湖岸植生帯再生地における市民参加型管理の試み
表 3 湿潤地および微高地
(除去区および非除去区)
のコドラートの比高.
比高
*
(m)
微高地・
除去区
微高地・
未除去区
湿潤地
1.34 ± 0.02a
1.33 ± 0.02a
1.02 ± 0.04b
平均±標準偏差,値は霞ヶ浦の標高基準に基づき YP
で示す.異なるアルファベットは,Scheffe の方法によ
る事後検定において有意な違い(P < 0.05)が認められ
たことを示す.
*
表 4 未除去区および除去区における植被率,植生
高,種毎の被度.外来種は赤字で示した.
植被率(%)* 1
植生高(cm)* 1
セイタカアワダチソウ
ヨモギ
未除去区
n = 10
除去区
n = 10
92.5 ± 4.6
93.6 ± 6.7
107.2 ± 22.3 106.5 ± 17.64
被度(%)* 2
52(5)
10(4)
44(5)
25(4)
コモチマンネングサ
26(5)
10(4)
ツルマメ
10(4)
66(5)
ネズミホソムギ
3.25(4)
7(3)
ヨシ
5.5(2)
10(2)
スギナ
4.6(5)
1(2)
カモジグサ
3.25(4)
3.25(4)
ギシギシ
1(1)
1(1)
クサイ
1(1)
1(1)
ネジバナ
1(1)
1(1)
アキノウナギツカミ
1(1)
アキノノゲシ
1(1)
アゼナルコ
1(1)
ウキヤガラ
ゴキヅル
1 1)
(
1(1)
ヒメコバンソウ
1(1)
赤はセイタカアワダチソウの選択的除去を行わなかった
「未除去区」,緑は 2004 年から 2006 年まで除去を行った
「除去区」に設置したコドラート(ともに微高地に設置し
たコドラートで評価),青は湿潤地に設置したコドラー
ト(セイタカアワダチソウ除去は実施していない)での結
果について,平均値と標準偏差を示す.全ての調査は,
それぞれの年におけるセイタカアワダチソウ除去を行う
直前にあたる 6 月下旬に実施した.
図 7 セ イタカアワダチソウの未除去区と除去区に
成立した植生の相違.
イヌコウジュ
20(4)
ノチドメ
10(1)
カラスノエンドウ
4.6(5)
ナギナタガヤ
3.25(4)
イ
1(2)
ヒメムカシヨモギ
1(2)
ケキツネノボタン
1(1)
ハナヌカススキ
ハハコグサ
1 1)
(
1(1)
平均値±標準偏差
出現コドラートにおける平均値
(出現コドラート数)
*1
*2
入・定着が生じやすいと考えられる 。本研究で
対象とした事業地においても多数の外来種が確認
されたが、そのうちの一部は撒きだした土壌シー
ドバンクではなく、事業後の種子分散に由来する
と考えられる。例えばセイタカアワダチソウの種
35)
子は特別な休眠をもたないため 、永続的な土壌
シードバンクを形成し難いと考えられる一方、事
業地周辺の休耕田や路傍に極めて普通に存在して
6)
72
図 6 セイタカアワダチソウの地上茎密度の年次
変化.
1 × 1m のコドラート内での平均出現種数を,在来種
(緑)と外来種(赤)に分けて棒グラフで示した.また
コドラートあたりの外来種の重要度を青いプロットで
示した。全て,エラーバーは標準偏差である.
いるため、それらから種子が供給されたと考えら
れる。
本研究におけるトランセクト調査で確認された
外来植物のうち、ホウキギクとオオクサキビにつ
いては、事業を実施してから 1 ~ 2 年間は広範囲
で認められたものの、4 年目にあたる 2006 年に
はほとんど認められなくなっていた。なお、トラ
ンセクト調査ではキシュウスズメノヒエとヒメ
ムカシヨモギについても同様な傾向が認められた
が、これら 2 種は事業地内の別のトランセクトで
は、局所的に優占群落を形成していた。事業初期
に地上植生に繁茂した後、地上植生から消失した
植物の多くは、攪乱依存種的な生活史戦略をもつ
36)-38)
種である可能性が高い
。一般に、攪乱依存種
は土壌シードバンクを形成し、植生ギャップや裸
39)
地が形成されると発芽する性質をもつ 。した
地球環境 Vol.12 No.1 65-80(2007)
がって、ホウキギクやオオクサキビは地上植生か
ら消失したものの、土壌シードバンクとしては残
存しており、将来攪乱が生じて地上植生が失われ
36)
-40)
ると、再び出現する可能性がある
。
5.2 セ イタカアワダチソウの侵入実態と管理の
効果
本研究では、セイタカアワダチソウの侵入後の
地上茎密度の増加の程度は、生育場所の比高に
よって大きく異なることが示された。現在、霞ヶ
浦の水位は YP 1.1 m を維持するように管理され
ている。本研究で「湿潤地」とした場所の標高
は、霞ヶ浦の通常の水位と同等か数 cm 低い場所
であり、水位は土壌表面付近にあった。このよう
な場所ではセイタカアワダチソウの密度は低く、
また侵入しても地上茎はほとんど増加しないこと
が示された。一方、本研究で「微高地」とした
霞ヶ浦の通常の水位よりも 20 ~ 30 cm 程度高い
場所では、放置すれば侵入から 2 、3 年で高密度
のセイタカアワダチソウ群落が形成されることが
示された。セイタカアワダチソウは冠水条件では
35)
発芽しないこと から考えても、比高が低く、十
分に湿潤な条件を維持できる場所を広く取ること
により、セイタカアワダチソウの繁茂はある程度
は防げる可能性がある。
比高が高い場所ではセイタカアワダチソウは増
加したが、選択的除去を継続することにより、抑
制が可能であることが示された。本研究で「除去
区」とした場所でもセイタカアワダチソウを根絶
することはできなかったが、これは除去の時点で
小型の個体は見落としてしまったこと、翌年まで
に新たに侵入・定着した個体があることが原因と
考えられる。
本研究では、選択的除去によりセイタカアワダ
チソウの密度が抑制された場所では、種の豊かさ
が増している実態が確認された。これは、除去せ
ず放置した場所には優占種となるセイタカアワダ
チソウが抑制されたためにできた空間に、様々な
植物が侵入した結果であると考えられる。このよ
うな空きニッチェに侵入する植物種の組成は、種
ごとの生活史特性に加え、周辺における種の供給
12),
41)
圧の強さに影響される
。本研究の除去区でも
確認されたネズミホソムギやナギナタガヤなどの
イネ科外来草本は、事業実施箇所に隣接した堤防
の法面などに多く生育しており、これらの場所が
種子の供給源となっていた可能性がある。
セイタカアワダチソウが高密度で侵入した微高
地は、比高から考えると、本来の自然の湖岸で
42),
43)
は、オギが優占種となる場所と考えられる
。
2006 年の時点では、オギの定着は低頻度でしか
認められなかったが、高茎草本であるオギが優占
群落を形成すれば、今回確認された多様なイネ科
外来草本は侵入し難くなる可能性がある。そのた
め、セイタカアワダチソウを除去した後にオギを
植栽することで、新たな外来種の侵入を防げるか
もしれない。順応的管理における次のステップと
して試みる価値があるだろう。
5.3 市民参加型の調査と管理
市民参加型の植生調査と管理の対象とした
「霞ヶ浦の湖岸植生帯の緊急保全対策事業」は、
基本理念として市民参加による順応的管理を挙げ
ていたものの、計画のための検討会では委員の公
募などの開かれた形式はとられなかった。そのこ
とにも起因して、事業の目的や内容についての一
般の理解は高かったとはいえない。市民参加型
植生調査の終了後、参加した感想についてアン
ケート調査を実施した結果からは、「施設づくり
(植生再生のための土木事業)
をした意味があった
ような気がする」
、「シードバンクを含む湖底の土
壌を使うというすばらしい方法で感動」
、
「再生事
業が順調に進んでいるという実感を持ち嬉しかっ
た」、「データを通して変化を実感できること(が
よい)
(括弧内は著者による補足)
」
という回答が得
られた。この調査が、事業に関する共通認識の構
築に寄与する面があったと考えられる。
本稿で解説したセイタカアワダチソウの除去活
動は、植生調査終了後に研究者がセイタカアワダ
チソウの性質や問題を解説し、それを踏まえて参
加者から自発的に実施が提案され、実現した。ま
た、実際の活動では、植生調査の参加者とその知
人が多く参加した。これらは、市民参加型の調
査が、管理の必要性についての認識の共有や、参
加型の管理の実現に重要な役割を果たしたことを
示している。一般に、自然再生の取り組みにおい
て、多様な主体が参加して実施するモニタリング
調査には、「ともに学ぶ」ことや「共感する」こ
とを通して順応的管理の適切な実施を可能にす
21)
るという役割があることが指摘されているが 、
霞ヶ浦での参加型調査はこの一例といえるだろ
う。
土壌シードバンクを活用した湿地植生の再生で
6)
は、外来植物の管理が必要となる場合が多い 。
本稿で解説した、多くの人の参加による選択的除
去は、少なくともセイタカアワダチソウのように
識別しやすく手で抜き取ることが可能な種につい
ては、有効な管理手法であると考えられる。
73
西廣ほか:霞ヶ浦の湖岸植生帯再生地における市民参加型管理の試み
謝辞
Ecology,68,587-595.
9) Drake,J.(1991)Community-assembly mechanics
本稿は、内容について責任を持つ者として 4 名
が著者となりましたが、内容の大部分は植生調
査に参加して下さった方々との共同研究の成果で
す。この調査と、セイタカアワダチソウの除去
活動に参加された方々に深くお礼を申し上げま
す。またこれらの活動を共催、協力して下さった
NPO 法人アサザ基金、国土交通省霞ヶ浦河川事
務所、植物の同定でアドバイスを下さった村中孝
司さん、データ整理を手伝って下さった浜田直美
さん、除去活動の写真をご提供下さった木村仁志
さん、原稿に対して有益なコメントを下さった高
川晋一さん、菊池玲奈さん、壁谷真紀さんにも感
謝いたします。本研究の一部はニッセイ財団特別
研究助成「持続可能性を築く『市民・研究者協働
による生物多様性モニタリング』の研究」の共同
研究として実施しました。
and the structure of and experimental species
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41)Johnston,I. M.(1986)Plant invasion windows:
a time-based classification of invasion potential.
Biological Review,61,369-394.
42)Yamasaki,S.(1981)Growth responses of Zizania
latifolia,Phragmites australis and Miscanthus
sacchariflorus to varying inundation. Aquatic
Botany,10,229-239.
43)Yamasaki,S.(1990)Population dynamics in
overlapping zones of Phragmites australis and
Miscanthus sacchariflorus. Aquatic Botany,36,
367-377.
水植物の散布体バンク.保全生態学研究,8,
113-118.
(受付 2007 年 3 月 22 日,受理 2007 年 4 月 18 日)
75
西廣ほか:霞ヶ浦の湖岸植生帯再生地における市民参加型管理の試み
付表 1 霞ヶ浦湖岸植生帯再生事業
「石川地区」で確認された植物種.
「外来」の列では外来種に「A」,「RDB」の列では環境庁レッドデータブック 32)におけるランク,CR:絶滅危惧 IA 類、EN:
絶滅危惧 IB 類,CR + EN:絶滅危惧 I 類,VU:絶滅危惧 II 類,NT:準絶滅危惧を示す.確認された年を「O」で示した.
科名
キク科
アカネ科
キキョウ科
タヌキモ科
ハマウツボ科
ゴマノハグサ科
オオバコ科
和名
ブタクサ
オオブタクサ
ヨモギ
ノコンギク
ホウキギク
アメリカセンダングサ
コセンダングサ
タウコギ
トキンソウ
オオアレチノギク
コスモス
アメリカタカサブロウ
タカサブロウ
ヒメジョオン
ヒメムカシヨモギ
ハルジオン
ハキダメギク
ハハコグサ
タチチチコグサ
チチコグサ
チチコグサモドキ
ウスベニチチコグサ
ウラジロチチコグサ
キクイモ
ブタナ
オオジシバリ
ニガナ
ジシバリ
アキノノゲシ
コウゾリナ
ノボロギク
セイタカアワダチソウ
オニノゲシ
ノゲシ
セイヨウタンポポ
オオオナモミ
オニタビラコ
ヤエムグラ
ヨツバムグラ
ホソバノヨツバムグラ
ミゾカクシ
キキョウソウ
イヌタヌキモ
ヤセウツボ
キクモ
アゼトウガラシ
スズメノトウガラシ
アメリカアゼナ
アゼナ
ムラサキサギゴケ
オオカワヂシャ
タチイヌノフグリ
オオイヌノフグリ
カワヂシャ
オオバコ
確認年
外来 RDB 2003 2004 2005 2006
学名
Ambrosia artemisiaefolia
A
O
O
Ambrosia trifida
A
O
O
Artemisia indica
O
O
O
O
Aster ageratoides subsp. ovatus
O
O
Aster subulatus
A
O
O
O
O
Bidens frondosa
A
O
O
O
O
Bidens pilosa
A
O
O
O
Bidens tripartita
O
O
O
Centipeda minima
O
O
O
Conyza sumatrensis
A
O
O
O
Cosmos bipinnatus
A
O
O
Eclipta alba
A
O
O
O
Eclipta prostrata
O
O
O
O
Erigeron annuus
A
O
O
O
O
Erigeron canadensis
A
O
O
O
O
Erigeron philadelphicus
A
O
O
O
Galinsoga quadriradiata
A
O
Gnaphalium affine
O
O
O
O
Gnaphalium calviceps
A
O
O
Gnaphalium japonicum
O
O
O
O
Gnaphalium pensylvanicum
A
O
O
O
Gnaphalium purpreum
A
O
O
O
O
Gnaphalium spicatum
A
O
O
O
O
Helianthus tuberosus
A
O
O
Hypochoeris radicata
A
O
O
Ixeris debilis
O
O
O
O
Ixeris dentata
O
Ixeris stolonifera
O
O
Lactuca indica
O
O
O
O
Picris hieracioides subsp. japonica
O
O
O
O
Senecio vulgaris
A
O
Solidago altissima
A
O
O
O
O
Sonchus asper
A
O
O
Sonchus oleraceus
O
O
Taraxacum officinale
A
O
O
O
O
Xanthium canadense
A
O
O
O
O
Youngia japonica
O
O
Galium spurium var. echinospermon
O
O
O
Galium trachyspermum
O
O
Galium trifidum var. brevipedunculatum
O
O
O
Lobelia chinensis
O
Triodanis perfoliata
A
O
O
O
Utricularia australis
O
O
O
O
Orobanche minor
A
O
O
Limnophila sessiliflora
O
O
Lindernia angustifolia
O
O
O
Lindernia antipoda
O
O
Lindernia dubia var. major
A
O
O
O
Lindernia procumbens
O
O
O
Mazus miquelii
O
Veronica anagallis-aquatica
A
O
O
O
Veronica arvensis
A
O
Veronica persica
A
O
O
Veronica undulata
NT
O
O
O
Plantago asiatica
O
O
O
76
地球環境 Vol.12 No.1 65-80(2007)
科名
アワゴケ科
シソ科
和名
ミズハコベ
シロネ
ヒメサルダヒコ
コシロネ
セイヨウハッカ
ヒメジソ
イヌコウジュ
ヒメナミキ
ムラサキ科
ハナイバナ
キュウリグサ
ミツガシワ科
アサザ
ネナシカズラ科 ネナシカズラ
アメリカネナシカズラ
ヒルガオ科
ホシアサガオ
ガガイモ科
ガガイモ
セリ科
ドクゼリ
ノチドメ
チドメグサ
セリ
フウロソウ科
アメリカフウロ
ウルシ科
ツタウルシ
カエデ科
トウカエデ
ブドウ科
ノブドウ
トウダイグサ科 エノキグサ
コニシキソウ
アカバナ科
アカバナ
ヒレタゴボウ
チョウジタデ
ウスゲチョウジタデ
メマツヨイグサ
コマツヨイグサ
マツヨイグサ
ヒシ科
オニビシ
ミソハギ科
ホソバヒメミソハギ
ヒメミソハギ
エゾミソハギ
アリノトウグサ科 アリノトウグサ
オオフサモ
ホザキノフサモ
マメ科
クサネム
イタチハギ
ヤブマメ
ツルマメ
ヤハズソウ
メドハギ
ウマゴヤシ
コメツブツメクサ
ムラサキツメクサ
シロツメクサ
カラスノエンドウ
スズメノエンドウ
カスマグサ
バラ科
ヘビイチゴ
ノイバラ
ユキノシタ科
タコノアシ
ベンケイソウ科 コモチマンネングサ
サクラソウ科
コナスビ
アブラナ科
アブラナ
カラシナ
タネツケバナ
学名
Callitriche palustris
Lycopus lucidus
Lycopus ramosissimus
Lycopus ramosissimus var. japonicus
Mentha piperita
Mosla dianthera
Mosla punctulata
Scutellaria dependens
Bothriospermum tenellum
Trigonotis peduncularis
Nymphoides peltata
Cuscuta japonica
Cuscuta pentagona
Ipomoea triloba
Metaplexis japonica
Cicuta virosa
Hydrocotyle matirima
Hydrocotyle sibthorpioides
Oenanthe javanica
Geranium carolinianum
Rhus ambigua
Acer buergerianum
Ampelopsis brevipedunculata
Acalypha australis
Euphorbia maculata
Epilobium pyrricholophum
Ludwigia decurrens
Ludwigia epilobioides
Ludwigia greatrexii
Oenothera biennis
Oenothera laciniata var. laciniata
Oenothera stricta
Trapa natans
Ammannia coccinea
Ammannia multiflora
Lythrum salicaria
Haloragis micrantha
Myriophyllum brasiliense
Myriophyllum spicatum
Aeschynomene indica
Amorpha fruticosa
Amphicarpaea bractaeta subsp. edgeworthii var. japonica
Glycine max subsp. soja
Kummerovia striata
Lespedeza cuneata
Medicago polymorpha var. polymorpha
Trifolium dubium
Trifolium pratense
Trifolium repens var. repens
Vicia angustifolia
Vicia hirsuta
Vicia tetrasperma
Duchesnea chrysantha
Rosa multiflora
Penthorum chinense
Sedum bulbiferum
Lysimachia japonica
Brassica campestris
Brassica juncea
Cardamine flexuosa
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西廣ほか:霞ヶ浦の湖岸植生帯再生地における市民参加型管理の試み
科名
ヤナギ科
ウリ科
スミレ科
オトギリソウ科
ミゾハコベ科
タデ科
ナデシコ科
ヒユ科
アカザ科
アサ科
キンポウゲ科
マツモ科
スイレン科
ハス科
ラン科
ヤマノイモ科
アヤメ科
ユリ科
ミズアオイ科
ガマ科
78
和名
マメグンバイナズナ
イヌガラシ
スカシタゴボウ
マルバヤナギ
カワヤナギ
イヌコリヤナギ
キヌヤナギ
コリヤナギ
オノエヤナギ
タチヤナギ
ゴキヅル
カボチャ
アレチウリ
ツボスミレ
コケオトギリ
ミズオトギリ
ミゾハコベ
シャクチリソバ
ソバ
サクラタデ
ヤナギタデ
オオイヌタデ
イヌタデ
サデクサ
ヤノネグサ
イシミカワ
サナエタデ
アキノウナギツカミ
ミゾソバ
アレチギシギシ
ナガバギシギシ
ギシギシ
オランダミミナグサ
ウシハコベ
ツメクサ
ムシトリナデシコ
シロバナマンテマ
ノミノフスマ
ハコベ
イノコズチ
ヒナタイノコズチ
オオホナガアオゲイトウ
シロザ
アリタソウ
カナムグラ
ケキツネノボタン
タガラシ
マツモ
オニバス
ハス
ネジバナ
ヤマノイモ
キショウブ
ニワゼキショウ
アイイロニワゼキショウ
オオニワゼキショウ
ヤブカンゾウ
ホテイアオイ
ミズアオイ
ヒメガマ
学名
Lepidium virginicum
Rorippa indica
Rorippa islandica
Salix chaenomeloides
Salix gilgiana
Salix integra
Salix kinuyanagi
Salix koriyanagi
Salix sachalinensis
Salix subfragilis
Actinostemma lobatum
Cucurbita moschata
Sicyos angulatus
Viola verecunda
Hypericum laxum
Triadenum japonicum
Elatine triandra
Fagopyrum cymosum
Fagopyrum esculentum
Persicaria conspicua
Persicaria hydropiper
Persicaria lapathifolia
Persicaria longiseta
Persicaria maackianum
Persicaria nipponensis
Persicaria perfoliata
Persicaria scabra
Persicaria sieboldii
Persicaria thunbergii
Rumex conglomeratus
Rumex crispus
Rumex crispus subsp. japonicus
Cerastium glomeratum
Myosoton aquaticum
Sagina japonica
Silene armeria
Silene gallica var. gallica
Stellaria alsine var. undulata
Stellaria media
Achyranthes bidentata var. japonica
Achyranthes bidentata var. tomentosa
Amaranthus palmeri
Chenopodium album
Chenopodium ambrosioides
Humulus japonicus
Ranunculus cantoniensis
Ranunculus sceleratus
Ceratophyllum demersum
Euryale ferox
Nelumbo nucifera
Spiranthes sinensis
Dioscorea japonica
Iris pseudoacorus
Sisyrinchium rosulatum
Sisyrinchium angustifolium
Sisyrinchium sp.
Hemerocallis fulva var. kwanso
Eichhornia crassipes
Monochoria korsakowii
Typha angustifolia
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地球環境 Vol.12 No.1 65-80(2007)
科名
ミクリ科
イネ科
カヤツリグサ科
和名
ガマ
コガマ
ミクリ
アオカモジグサ
カモジグサ
ヌカボ
ハナヌカススキ
スズメノテッポウ
メリケンカルカヤ
コブナグサ
トダシバ
カラスムギ
カズノコグサ
コバンソウ
ヒメコバンソウ
イヌムギ
ジュズダマ
ギョウギシバ
メヒシバ
アキメヒシバ
イヌビエ
タイヌビエ
オヒシバ
シナダレスズメガヤ
カゼクサ
ニワホコリ
アシボソ
オニウシノケグサ
ヒロハウシノケグサ
ナギナタガヤ
ウシノシッペイ
ヌメリグサ
チガヤ
チゴザサ
アゼガヤ
ネズミホソムギ
ササガヤ
オギ
ヌカキビ
オオクサキビ
シマスズメノヒエ
キシュウスズメノヒエ
スズメノヒエ
チカラシバ
クサヨシ
ヨシ
ツルヨシ
ミゾイチゴツナギ
スズメノカタビラ
ナガハグサ
ヒエガエリ
アキノエノコログサ
キンエノコロ
エノコログサ
マコモ
シバ
ハタガヤ
カサスゲ
ジョウロウスゲ
アゼナルコ
学名
Typha latifolia
Typha orientaris
Sparganium erectum
Agropyron ciliare
Agropyron tsukushiense var. transiens
Agrostis clavata subsp. matsumurae
Aira elegans subsp. elegans
Alopecurus aequalis
Andropogon virginicus
Arthraxon hispidus
Arundinella hirta
Avena fatua
Beckmannia syzigachne
Briza maxima
Briza minor
Bromus catharticus
Coix lacryma-jobi
Cynodon dactylon
Digitaria ciliaris
Digitaria violascens
Echinochloa crus-galli var. caudata
Echinochloa oryzicola
Eleusine indica
Eragrostis curvula
Eragrostis ferruginea
Eragrostis multicaulis
Eulalia vlmlnea var. polystachya
Festuca arundinacea
Festuca pratensis
Festuca myuros
Hemarthria sibirica
Hymenachne indica
Imperata cylindrica
Isachne globosa
Leptochloa chinensis
Lolium hybridum
Microstegium japonicum
Miscanthus sacchariflorus
Panicum bisulcatum
Panicum dichotomiflorum
Paspalum dilatatum
Paspalum distichum
Paspalum thunbergii
Pennisetum alopeculoides
Phalaris arundinacea
Phragmites australis
Phragmites japonica
Poa acroleuca
Poa annua
Poa pratensis var. pratensis
Polypogon fugax
Setaria faberi
Setaria glauca
Setaria viridis
Zizania latifolia
Zoysia japonica
Bulbostylis barbata
Carex amplifolia subsp. dispalata
Carex capricornis
Carex dimorpholepis
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西廣ほか:霞ヶ浦の湖岸植生帯再生地における市民参加型管理の試み
科名
イグサ科
ツユクサ科
ウキクサ科
ショウブ科
ヒルムシロ科
トチカガミ科
オモダカ科
ミズニラ科
トクサ科
ハナヤスリ科
ホウライシダ科
デンジソウ科
ウキゴケ科
80
和名
ミコシガヤ
コウボウシバ
チャガヤツリ
ヒメクグ
タマガヤツリ
ホソミキンガヤツリ
メリケンガヤツリ
カンエンガヤツリ
ヒナガヤツリ
アゼガヤツリ
ヌマガヤツリ
コアゼガヤツリ
コゴメガヤツリ
カヤツリグサ
イガガヤツリ
カワラスガナ
ミズガヤツリ
マツバイ
ハリイ
コツブヌマハリイ
テンツキ
ヒデリコ
メアゼテンツキ
ウキヤガラ
イヌホタルイ
フトイ
マツカサススキ
コウキヤガラ
カンガレイ
サンカクイ
ハナビゼキショウ
ヒメコウガイゼキショウ
イ
タチコウガイゼキショウ
コウガイゼキショウ
アオコウガイゼキショウ
ホソイ
コゴメイ
クサイ
ツユクサ
イボクサ
アオウキクサ
ウキクサ
ショウブ
オオササエビモ
ヒルムシロ
ササバモ
ヤナギモ
オオカナダモ
コカナダモ
トチカガミ
ヘラオモダカ
サジオモダカ
オモダカ
ミズニラ
スギナ
トネハナヤスリ
ミズワラビ
デンジソウ
イチョウウキゴケ
学名
Carex meurocarpa
Carex pumila
Cyperus amuricus
Cyperus brevifolius var. leiolepis
Cyperus difformis
Cyperus engekmannii
Cyperus eragrostis
Cyperus exaltatus var. iwasakii
Cyperus flaccidus
Cyperus flavidus
Cyperus glomeratus
Cyperus haspan
Cyperus iria
Cyperus microiria
Cyperus polystachyos
Cyperus sanguinolentus
Cyperus serotinus
Eleocharis acicularis var. longiseta
Eleocharis congesta
Eleocharis parvinux
Fimbristylis dichotoma
Fimbristylis miliacea
Fimbristylis squarrosa var. esquarrosa
Scirpus fluviatilis
Scirpus juncoides
Scirpus lacustris subsp. creber
Scirpus mitsukurianus
Scirpus planiculmis
Scirpus triangulatus
Scirpus triqueter
Juncus alatus
Juncus bufonius
Juncus effusus var. decipiens
Juncus krameri
Juncus leschenaultii
Juncus papillosus
Juncus setchuensis var. effusoides
Juncus sp.
Juncus tenuis
Commelina communis
Murdannia keisak
Lemna aoukikusa
Spirodela polyrhiza
Acorus calamus
Potamogeton anguillanus
Potamogeton distinctus
Potamogeton malaianus
Potamogeton oxyphyllus
Egeria densa
Elodea nuttallii
Hydrocharis dubia
Alisma canaliculatum
Alisma plantago-aquatica
Sagittaria trifolia
Isoetes japonica
Equisetum arvense
Ophioglossum namegatae
Ceratopteris thalictroides
Marsilea quadrifolia
Ricciocarpos natans
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