(昆繍」 無ボウ培養細胞 謝るベタ シアニン) - 東北大学

さく た まさあき
氏名・ (本籍)
餐に
五で
坦害
作田正明
学位の種類
(長野県)
理学博士
㌦型
学位記番号
理博第 992 号
学位授与年月日
昭和61年3月25日
学位授与の要件
学位規則第5条第i項該当
研究科専攻
東北大学大学院理学研究科
(博士課程) 生物学専攻
i害
学位論文題目
Regulaしory mechanism of betacyanln accumulation in
suspe ns ion cultures of Phy tolacca am erica na L.
装kれ
(昆繍」 無ボウ培養細胞 謝るベタ シアニン)
論文審査委員
(主査)
教授駒嶺穆
教授小西和彦
助教授和田俊司
。
Contenむs
List of Abbreviation Used in Text
Acknowledgement
Prefa ce
Chapter I. Grow七h related accum ulation of betacyanin
in suspension cultures of Phytolacca americana
Abstract
Introduction
M aterials and Methods
Results
Discussion
Re ferences
一 353一
次
文
目
論
Figures
Chapter I1. Effects of various plant growth regulators on betacyanin
accum ula tion in suspens圭 on cul tures of Phytolacca americana
Abstract
Intro(iuctiOn
Materials and Me七h ods
Results
DiSCussion
Re fe rences
Figures
C虹apter l11. Ef£ects of nutritional factors on betacyanin accumulation
an(i growth in suspens1on cu1七ures of Phytolacca americana
Part A. Eff壱cts of sucrose on betacyan呈n
accumulatiorl an(i growth in suspension cultures of Phytolacca
ameriCana
Abstract
Introduction
Materials and Methnds
Results and D iscussion
References
Figures
Part B. Effects of nitrogen source on betacyanin accumula七ion and
growth in suspepsion cuitres of Phytolacca americana
Abstract
Introduction
Ma terials and Methods
Res ul ts and Discussion
Referen ces
Figures
Chapter IV. Aromatic amino acid metabolism in relation to betacyanin
&ccum ula七ion in suspension cultures of Phytolacca americana
Abstract
Inむroduction
Materials and methods
Results
-354一
DiSCussion
References
Tables
F呈gures
Chapter V. Activities of the
beむacyanin under various
biosynthetic pathway from もyrosine to
condiし玉ons in suspension cultures of
Phy to lacca americana
Abstract
Intro 〔i uction
MaLerials and Methods
R es ul ts and Discussion
Re ferences
Tables
Figure
Concluding Remarks
一355一
論文内容要旨
序論
高等植物には, 多くの二次代謝物が存在するが, その中で植物色素は二次代謝の発現機構解明
を試みる際に, 有効な指標となりうるものと考える。 べタ シアンニ ンは, ナデシコ科を除くアカ
ザ目及びサボテン目等に特異的に分布する赤色色素で, 広義のアルカロイ ドの一種とされる含窒
素化合物である。 高等植物 に広く分布する赤色色素であるアントシアニ ンが, フェルニアラニン
からケイ ヒ酸を経て生合成されるのに対 し, ベタ シアニ ンは, チロシンからDOPAを経て生合
のみに特異的に分布するのに対 し, べタシアニンは他の組織にも広く分布する。 このように生合
成上関連のある二つの赤色色素の発現が生物学的に異なることは, 二次代謝の発現機構と植物細
胞の生長, 分化との相関という観点から極めて興味深い事実である。
近年, 高等植物の培養細胞をモデル系と した二次代謝に関する研究が数多く なされている。 植
物組織培養系は, 比較的均一な細胞群と して扱うことができること, 生育環境の制御が容易であ
ること, またさ らには, 細胞数や細胞形態といった細胞 レベルからの研究が容易であることなど
の点か ら, 細胞の増殖及 び形態的分化との関連において二次代謝の制御機構解明を試みるにあた
り, 有効なモデル系となりうる ものと考える。 実際, アントシアニンを含むフラボノィ ド化合物
の生合成とその制御機構については, 培養細胞系を用 いた多くの研究によりその全様が解明され
つつある。
本研究では, ヨウ シュヤマ ゴボウ培養細胞系を用い, ベタ シアニン生成の制御機構について詳
細に検討を加えると共に, 生長との相関という観点からの解析を試みた。
第1章 ヨウシュヤマゴボウ培養細胞におけるベタシアニン生成と生長との相関
一般に, 植物培養細胞系における二次代謝は, 細胞分裂が終了した後に発現することが多くの
系により示されている。 ベタ シアニンの生成に対する環境要因の影響については, ハゲイ トウ等
の芽生えを用いた多くの研究がなされてきている。 しか し, 細胞増殖とベタシアエン生成との関
連については, いまだ明らかにされていない。 本章では, まずヨウシュヤマ ゴボウ培養細胞にお
けるベタ シアニン生成と細 胞増殖及び細 胞塊サイ ズとの相関について検討をおこなった、
実験に用いたヨウシュヤマゴボウ培養細胞は, 茎から誘導 したもので, 5x 10-6 M, 2, 4-D
及び3%ショ糖を含む Murashige & Skoog の培地で7日ごとに継代培養され, 培養期間中にベ
タ シアニン生成能を得た cell line である。 細胞は, 暗黒下 27℃で振とう培養された。 培養細胞
を酵素液 (4%マセロザイム, 4彩 ドリセラーゼ, 2%セルラーゼ オノズカR-10, 0.7 Mマ
ンニトール) で処理することにより, プロトプラストと し, これを計数することにより細胞数を
もとめた。 ベタ シアニン量は, 80%メタノールで抽出後 535 nm における吸光度を指標として定
量した。
一356一
5
成さ れ, 両色素が同一植物 に共存する例は報告さ れて いない。 また, アントシアニンは表皮組織
培養期間中における細胞当りのベタ シアニン量の変化を測定 したところ, 指数増殖期に当 る継
代後5日目にベタ シアニン蓄積の ピークがみられたD さらに, リン酸飢餓処理により, 生長が抑
制されると同時にベタ シアニ ンの蓄積も抑制されることが明らかとなった。 培養細胞を顕微鏡に
旧刀 ウ
細胞及び遊離細胞は, 伸長, 肥大するとともにベタ シアニンが消失する傾向が観察された。 そこ
廿巨
より観察 したところ, 細胞分裂及びベタ シアニン蓄積は細胞塊内部で活発であり, 細胞塊表面の
で, 培養細胞を細胞塊サイ ズにもとずいて分画 し, 生重量当りのべタシアニン量を測定 したとこ
ノ
ろ, 細胞塊サイ ズの大きなものほどベタ シアニン含量が高いことが明らかとなった。
一般に, 二次代謝産物の生成は, 細胞増殖とは背反する事象であるのに対 し, べタ シアニン生
成は, 生長と強く 相関 しており, 細胞分裂と同時, もしくはその直後に生成蓄積されるものと考
えられる。
第2章 ヨウシュヤマゴボウ培養細胞におけるベタシアニン生成に及ぼす各種植物生
長調節物質の影響
植物生長調節物質は, ベタ シアニンの生成に大きく影響することがハゲイ トウ等の芽生えを用
いた多くの実験により示されている。 しか し, これらはいずれも生重量当りのベタ シァニン最を
指標としている。 植物の生長は, 細胞分裂と細胞伸長, 肥大の両側面より成るものであり, 各種
生長調節物質はその両側面にわたりさまざまな作用機作をもつ。 本章では, ヨウシュヤマ ゴボウ
培養細胞におけるべタ シアニ ン' 生成に及 ぼす各種生長調節物質の影響につ いて細胞ベースでの検
討を行った。
継代後7日目の細胞を 2,4-D, IAA, NAA, Kinetin, BAP, 4-PU, zeatin, IPA,
GA、, ABA をそれ ぞれ種々。)濃度で含む培地に移植 し, 6日間培養後収穫 し, 細胞数及びベタ
シアニン量を測定 した。 3種のオーキ シンのうち 2,4-Dはベタ シアニ ンの 蓄積を著しく 促進し
た。 一般に, 2,4-Dは二次代謝産物の蓄積に対 して抑制的な効果を持つことが知 られている。
しか し, ヨウ シュヤマ ゴボウ培養細胞においては, ベタ シアニンの蓄積は細胞増殖と強い相関を
示すことを考慮するならば, 2,4-Dのベタ シアニンに対する促進的効果は理にかなった ものと
いえる。 サィ トカイニ ン類は, ハゲィ トウの芽生えにおけるベタ シアニン生成を促進するのに対
して, ヨウシュヤマ ゴボウ培養細胞においてはこれを阻害 した。 この理由としては, ヨウ シュヤ
マゴボウ培養細胞で は内生サイ トカイニン レベルが高く, サイ トカイニンの投与はスーパーオプ
ティ マムを引き 起こすことが考えられる。
第3章 ヨウシュヤマゴボウ培養細胞におけるベタシアニン生成と成長に及ぼす栄養
要因の影響
第1節 ヨウシュヤマゴボウ培養細胞におけるべタシアニン生成と生長に及ぼすショ糖の影響
植物培養細胞系において, 培地中のショ糖濃度は一次代謝のみならず二次代謝にも影響を及ぼ
すことが知 られている。 本章では, ヨウ シュヤマ ゴボウ培養細胞におけるベタ シアニ ン生成及び
一357一
祀
生成に及ぼすショ糖の影響について検討した。
継代後7日目の細胞をショ糖及びマ ンニ トールを種々の濃度で含む培地に移植 し, 6日間培養
後収穫し, 細胞数及びベタシアニン含量の測定を行った・ ベタ シアニ 噛積は・ 細胞数当りで醗
ショ糖濃度3%において, また生重量辺りでは6%においてそれぞれ最大となった。 これは, シ
ョ糖濃度が高くなるに従い, 細胞数が増加するとともに細胞のサイ ズが小さくなることに起因し
ている。 マンニトールを加え浸透圧を調整することにより, 細胞数の増加はショ糖それ自体の影
響によるものであり, 細胞のサイ ズの減少は, ショ糖自体とそれによる浸透圧の上昇の両者によ
るものであることが明らかとなった。 また, 浸透圧の上昇はベタ シアニン蓄積を抑制 した。 これ 『
らのことより, ショ糖は濃度が2彩まではベタ シアニン生成を促進するが, それ以上の濃度では
ほとん ど影響を及 ぼさ ないことが明らかとな つた。
第2節 遇ウシュヤマゴボウ培養細胞におけるべタシアニン生成と生長に及ぼす窒素源の影響
べタ シアニンは, アントシアニンやキノ ンとは異なり分子中 に窒素を含む二次代謝産物である。
このことにより, 培地中の窒素源はべタ シアニ ン生成の制御要因と して重要な位置を しめるもの
と考え,これについて検討を加えた。
1
継代後7日目の糸田胞を種々 の厳の硝酸イオン及びア ンモニウムイオンを含む培地 書こ移植 し, 1
き
6日間培養後収穫 し, 細胞数及びベタ シァニン量を測定 した。 培地中の全窒素量が 0-40 mMの
範囲では, 全窒素量の増加とともにベタ シアニン含量は増加したが, 40 - 80 mMの範囲ではベ
タ
タ シアニン量に大きな変化はみられなかった。 ベタ シアニ ン生成は, アンモニウムイオンと硝酸
イオ ンの比により大きく 影響された。 ア ンモニウムィオンは, 生長を促進したがベタ シアニ ン蓄
積は抑制 した。 これに対 し, 硝酸イオンは, 生長に対しては大きな影響は及ぼさなかったがベタ 1
シァ翻 蓄積を促進した・ また, 培地中のアンモニウムイオンがなくなり硝酸イオンの消費が著 1
しく なるのとほぼ同時にベタ シアニンの急速な蓄積がみられた。 これらのことよ り, ベタ シアニ 1
ぞ
ンの蓄積は,硝酸イオンに大きく依存することが示唆された。 1
1
}
第4章 ヨウシュヤマゴボウ培養細胞における芳香族アミノ酸代謝とべタ シアニン生
む
成との相関
1
5
ベタ シアニンは, 芳香族アミノ酸であるチロシンより生合成される。 この乙とにより, 細胞内 1
ア
におけるチロシンの供給は, ベタ シアニン生成の制御におけるキーチップとなりうるものと考え, !
{
種々の条件下における, 芳香族アミノ酸合成に関与する酵素群の活性変動及び遊離アミノ酸のブ 1
一ルサィズの変化について検討を加えた。
1
継代後7日目の細胞を種々の条件の培地に移植し, 6日間培養した後収穫 し, これを材料とし 1
た・ 遊離アミノ酸量は・ 鵬メタノーノレで抽出後アミノ酸アナライザーにより定量 した・ 酵素1㌧
定法により抽出後, セファデックスG-25カ ラムクロマトにより低分子を除いたのち, 活性測定 1
}
にもちいた。 2,4一一Dは, 芳香族アミノ酸合成系の諸酵素の活性を高めたのに対 し, GA, はこれ 1
キ
を抑制した。 その結果, 2,4-Dは遊離のチロシンプールを増大させたが, GA3は減少させた。 t
ξ
一358一
}
}
1
これらのことよ り, ベタ シアニ ン生成に対する 2,4-Dの促進効果及びGA、 の抑制効果はチロシ
養はシし影よ㌧ま
ンの供給レベルがその一因となっていることが示唆された。 また, 培地中の全窒素量を減少させ
ると, 芳香族アミノ酸合成系の諸酵素の活性が低下するとともに, 遊離のアミノ酸プールも減少
した。 しかし, この条件下で培地中にチロシンを加えると, チロシンプールは増大し, ベタシア
ニン含量も高くなった。 このことにより, 窒素源はチロシンの供給 レベルに大きな影響を及ぼし,
その結果と してベタ シアニ ン生成を制御することが示唆された。
第5章 ヨウシュヤマゴボウ培養細胞における種々の条件下でのチロシンからべタシ
アニ ンヘの生合成活性
前章において, チロシンの供給 レベルがベタ シアニン生成の制御における一つのキーステップ
響
であることが示唆された。 べタ シアニン生合成におけるチロ シン以降の過程については, 関与す
る酵素などは明らかにされておらず, 制御様式はいまだ不明である。 本章では, 嫉C標識チロシ
ンを培養細胞に投与 し, ベタ シアニンにとりこまれた放射活性を測定することにより, 種々の条
件下におけるチロ シン以降の生合成活性について 検討を加えた。
継代後4日目の細胞に14C標識チロシンを投与 し, 2時間イ ンキュベートした後, 80%メタノ
ールでベタ シアニンを抽出 し, さ らにラ ジオHPLCにより分離をおこない, ベタ シアニンフラ
クショ ンの放射活性を測定 した。 2,4-Dは, チロシン以降のベタ シアニン生合成系の活性を上
昇させた。 GA3は, CO2 フラクショ ンヘの放射活性のとりこみを上昇させることより, チロシン
のメ タボリ ックフローを分解に向け, その結果と してベタ シアニン合成へ利用されるチロシン量
が減少する ものと考えられる。 これに対 し, 培地中の窒素量はチロシン以降のベタ シアニン生合
成系には影響 しないことがあき らかとなった。
総合考察と結論
ヨウシュヤマゴボウ培養細胞におけるベタ シアニ ン生成は, 他の多く二次代謝産物の生成様式
とはかなり異なっている。 一般に, 二次代謝産物の生成, 蓄積と細胞増殖とは背反的であるのに
対 し, ヨゥ シュヤマ ゴボウ培養細胞におけるベタ シアニ ン生成は, 細胞増殖と強く 相関 している。
種々の条件下におけるベタ シアニン生成について詳細に検討 した結果, ベタ シアニ ン生成は,
前駆物質であるチロ シンの供給 レベルとチロシンか らベタ シアニンヘの生合成能の 両者により制
御されうることが明らかとなった。 このうち, チロシンの供給 レベルのより制御は, 細胞増殖と
の関連か ら極めて興味深いものといえる。
以上のことより, ヨウ シュヤマ ゴボウ培養細胞におけるベタ シアニン生成の制御に関する作業
仮説を提供する (図1)。 図1のAにおいて, 脱分化的増殖へ向かう経路1と不定胚形成等の分化
へ向かう経路πのスイッチングが行われる。 多くの二次代謝産物の 生成は増殖と背反すること, 及
びニ ンジン培養細胞におけるアントシアニ ン合成においては 不定胚形成と密接な相関があること
一359一
}
±1星護 慰籍閨鷺麺灘 灘護島鍛』訟
より, ベタ シアニン生成は, 代謝の流れが経路1に向かうことが必要であり, 経路1のB点から
構が他にも一般化でき るか否かが今後の課題と考える。
ウる
分岐した代謝のオーバーフローにより引き起こされると考えられる。 このような二次代謝発現機 ・
かはに
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欄 瓢§
1鴫 員轟麗御職
毎
ウ“
訴
ン
肩書
心、
ボ
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農.罐躍一溜人
蹴鞠繭
閉口爵
臨 臨酔醐開
聞1鯛 浦甜略
翻i輪 網目ll霞 麗
脚曹鵬
図 1. ベタシアニン生成に関する作業仮説
一360一
シア
論文審査の結果の要旨
こと
シ、ら
本論文は含窒素フェノール性赤色色素であるベタ シアニ ンの生成制御機構をヨウ シュヤマ ゴボ
見機
ウ(Phytolacca amerlcana L.) の培養細胞を用いて, 特に生長との関連において明らかにす
ることを目的としたものである。
一般に植物の二次代謝産物の生成・堆積は, 細胞の増殖と脊反的で分化と相関しており, 増殖
が停止し, 分化がおきるとそれに伴って生成堆積する。 ところが本論文において, ベタシアニン
はヨウ シュヤマ ゴボウの培養細胞の増殖に伴って生成・堆積する もので, 多くの二次代謝産物と
は異なる様式を示すことを初めて明らかに している。
次に, 植物ホルモンであるオーキシンがベタ シアニン生成に促進的で, サイ トカイニン, ジベ
レリ ン, アブシジン酸は阻害的であることをしめしている。
さらに本論文では培地中の栄養源一炭素源, 窒素源のベタ シアニ ン生成堆積に対する効果を調
べ, 特にア ンモニアイオンは阻害的で硝酸イオンは促 進的であることを明・らかに している。
以上で明 らかにな つた種々の生理的条件下でのベタ シアニ ンの生成 ・堆積の制御機構について
本論文では さらに研究 を進めている。 すなわ ちベタ シアニン生成堆積に影響 を与える条件下で, アミノ
酸プール, 特にベタシアニ ンの前駆体であるチロシンのプール, チロシンの生成経路であるシキ
ミ酸経路の酵素活性, トレーサー実験によるチロシンか らべタ シアニ ンヘの生合成活性などを詳
細に 検討 して, チロシンの生成に関与するプレフェン酸デヒ ドロゲナーゼ, チロシンからベタシ
アニ ンヘの生成段階が Key Step となっていることを解明 した。
以上のことを総合して, ベタ シアニンは従来の二次代謝産物とは異なり, 細胞分化の経路でな
く細胞増殖の経路 に位置する もの で, チロシ ン代謝活性が十分に高い時に生成堆積するものであ
るという新 しい説を提出 している。
これらの結果は植物生理学における重要な新知見で, 博士論文の内容に価するものである。
以上作田正明提出の論文は, 本人 が自立 して研究活動を行うに必要な高度の研究能力 と学識を
有することを示 している。
よって作田正明提出の論文 は理学 博士の学位 論文と して合格と認め る。
一361一