不定詞の発展的用法1 - Z会

10章
不定詞の発展的用法1
学習時間のめやす 45分
1 不定詞の 3 つの用法
今までに勉強した不定詞の 3 つの用法について,もう一度整理してみましょう。
〼 ① I want to buy some books.
わたしは何冊か本を買いたいです。
〼 ② Meg went to Paris to study art.
メグは芸術を勉強するためパリに行きました。
〼 ③ He wants something good to eat.
彼は何かおいしい食べものが欲しいです。
〈to+ 動詞の原形〉の形を不定詞といい,文中でのはたらきの違いにより名詞用法,
・
副詞用法,形容詞用法の 3 つの用法がある。
〈to+ 動詞の原形〉の形を不定詞といいます。不定詞には,名詞用法,副詞用法,
形容詞用法の 3 つの用法があります。この 3 つの用法は,形は同じですが,文中での
はたらきが異なります。
●目的語・主語・補語としてはたらく不定詞:名詞用法
名詞と同じはたらきをし,「…すること」という意味を表します。文中で目的語・
主語・補語になります。例文①がこの用法の不定詞です。
では例文をいくつか見てみましょう。
〈目的語になる不定詞〉
I like to read books on Sunday.
(わたしは日曜日に,本を読むのが好きです。
)
〈主語になる不定詞〉
To travel is fun.
(旅行をするのは楽しいです。
)
Eri’s dream is to become a teacher.
〈補語になる不定詞〉
(エリの夢は先生になることです。
)
●目的・感情の原因を表す不定詞:副詞用法
副詞と同じはたらきをし,「…するために」や「…して」という意味を表します。
文中で,動詞・形容詞を修飾します。例文②がこの用法です。
John went to the library to study quietly.
〈動詞を修飾する不定詞〉
(ジョンは静かに勉強するために図書館へ行きました。
)
I’m glad to see you again.
〈形容詞を修飾する不定詞〉
(あなたにまた会えてうれしいです。
)
be glad〔happy〕to …
(…してうれしい)
be sorry to …
(…して残念だ)
be surprised to …
(…して驚く)
be pleased to …
(…してうれしい)
be delighted to …
(…して喜ぶ)
be disappointed to …
(…してがっかりする)
be excited to …
(…して興奮する)
●形容詞としてはたらく不定詞:形容詞用法
形容詞と同じはたらきをし,
「…するための」という意味を表します。文中で,
名詞・
代名詞を修飾します。例文③がこの用法です。
〈名詞を修飾する不定詞〉
Miki has a lot of homework to do.
(ミキにはしなくてはならない宿題がたくさんあります。
)
Tom didn’t have anything to write with.
〈代名詞を修飾する不定詞〉
(トムは何も書くためのものを持っていませんでした。
)
※後ろに前置詞が付く不定詞については次のページで詳しく説明します。
注意しよう
something〔anything〕
to write with: ペ ン な
どの筆記用具のこと
something〔anything〕
to write on: 紙 な ど の
用紙のこと
チェック問題
次の日本文の意味を表すように,空所に最も適当な語を 1 語ずつ入れなさい。
⑴
クリスは日本語を習い始めました。
Chris began(
⑵
)
( )Japanese.
外国で勉強することは簡単ではありません。
⑶
わたしはおじを迎えるために駅に行きました。
I went to the station(
⑷
ジョーはその話を聞いて驚きました。
Joe was surprised(
⑸
)( )my uncle.
)
( )the story.
彼らは何も食べるものを持っていませんでした。
They didn’t have anything(
⑹
.
)( )
何か温かい飲み物をください。
Please give me something hot(
.
)( )
10
章
( )
( )in a foreign country is not easy.
2 後ろに前置詞が付く不定詞
不定詞の後ろに前置詞が付き,
〈(代)名詞 + 不定詞 + 前置詞〉となる場合について学習しましょう。
〼 ④ Weʼre looking for a house to live in.
わたしたちは住む家を探しています。
〼 ⑤ We had something to talk about. わたしたちには話すことがありました。
〼 ⑥ I have nothing to write with.
わたしは書くものを持っていません。
・不定詞の後ろに前置詞が付き,
〈(代)名詞 + 不定詞 + 前置詞〉の形になる場合がある。
・
〈
(代)名詞 + 不定詞 + 前置詞〉の前置詞は省略することはできない。
例文④を見てみましょう。
さらにくわしく
〈動詞 + 前置詞 +(代)
We’re looking for a house to live in.
a houseはinの意味上の目的語
(わたしたちは住む家を探しています。
)
名詞〉の形に戻して考え
る。
→ live in a house
不定詞のあとに,前置詞が付いています。名詞 a house は,in の意味上の目的語で,
live のあとに a house を続けたい場合,必ず in が必要です。このように,
(代)名詞の
前に前置詞が必要な場合,不定詞になっていてもあとに前置詞が付き,
〈(代)名詞 +
不定詞 + 前置詞〉の形となります。
She found a chair to sit on.
→ sit on a chair
a chairはonの意味上の目的語
(彼女は座るいすを見つけました。
)
a houseやa chairは前置詞の意味上の目的語になっています。このように前置詞
は不定詞と不定詞が修飾する(代)名詞をつなぐはたらきをしているので,省略する
ことはできません。
不定詞の後ろに前置詞が付くか付かないかは,不定詞の中の動詞とその不定詞が修
飾する名詞との関係で決まります。動詞が他動詞の場合には前置詞は付きませんが,
自動詞の場合には前置詞が必要になります。
I have something to say.
→ say something
「~を言う」のsayは他動詞なので前置詞は付かない
(わたしには言いたいことがあります。
)
〈他動詞 + 目的語〉
We had something to talk about.
→ talk about some
「~について話す」のtalkは自動詞なので前置詞が必要
(わたしたちには話すことがありました。
)
thing
〈自動詞 + 前置詞 +目
的語〉
後ろに付く前置詞によって意味が変わる場合があります。次の例文で確認しましょ
整理しよう
前置詞の意味を確認しよ
う。
I have nothing to write.
(わたしは書くことがありません。
)
う。
about = 〜について
in = 〜に
書くこと自体がない
on = 〜の上に
with = 〜で〔手段〕
;
I have nothing to write with.
(わたしには書くものがありません。
)
〜と一緒に
書くための道具〔ペンなど〕がない
I have nothing to write on.
(わたしには書く紙がありません。
)
書くための紙がない
不定詞と前置詞の間に語(句)が入ることもある。
This is a hook to hang a cap on.
(これは帽子をかけるためのフックです。
)
→ hang a cap on a hook〈他動詞 + 目的語 + 前置詞句〉
章
10
チェック問題
次の日本文の意味を表すように,カッコ内から最も適当なものを選びなさい。
⑴
彼には一緒に遊ぶたくさんの友達がいます。
He has a lot of friends to play( in ; for ; with ).
⑵
何か話すことがありますか。
Do you have anything to talk( by ; about ; with )?
⑶
( )
( )
わたしは書く紙が 1 枚欲しい。
I want a sheet of paper to write( on ; in ; at ).
( )
3 in order to
不定詞を含む表現in order to … とso as to …について学習します。
〼 ⑦ They practiced hard in order to win the game.
〼 ⑧ I’ll
彼らは試合に勝つために一生懸命に練習しました。
bring the book tomorrow so as to lend it to you.
あなたに貸すために,明日その本を持っていきます。
・in order to … は「…するために」の意味を表し,ʻ目的ʼ を表す副詞用法の不定詞の
意味をよりはっきり表すことができる。
・so as to … もin order to …とほぼ同じ意味で用いられる。
a in order to …
整理しよう
‘目的’の意味を表す副
まず,次の文を見てみましょう。
He went to the station to meet his aunt.
(彼は彼のおばを迎えに,駅へ行きました。
)
「…するために」と ʻ目的’
この文の〈to+ 動詞の原形〉は副詞用法の不定詞で,
の意味を表しています。「…するために」の意味をよりはっきりと,強調して表した
いときには,in order to … の表現を用います。上の文をin order to … を用いて書
き換えると,次のようになります。
→ He went to the station in order to meet his aunt.
Emi bought this CD to listen to it on the train.
=Emi bought this CD in order to listen to it on the train.
(エミは電車の中で聞くためにこのCDを買いました。
)
b so as to …
in order to … とほぼ同じ意味を表す表現として,so as to … があります。この
2 つの表現はともに,「…するために」の意味を明確に示すために用いられます。上
で見た例文は,いずれもin order to … の代わりにso as to … を用いて書き換える
ことができます。
He went to the station so as to meet his aunt.
Emi bought this CD so as to listen to it on the train.
詞用法の不定詞
to …(…するために)
=in order to …
=so as to …
発展
ʻ結果ʼ を表す副詞用法の不定詞
副詞用法の不定詞は「…するために」という ʻ目的’ の意味のほかに,
「
(~して)…する」と ʻ結
果’ の意味を表すことがある。
I woke up to find it was raining outside.
(目を覚ますと,外では雨が降っていました。
)
His grandmother lived to be eighty.
(彼の祖母は80歳まで生きました。
)
We practiced hard, only to lose the game.
(わたしたちは一生懸命練習をしましたが,試合に負けてしまいました。
)
章
10
チェック問題
次の日本文の意味を表すように,空所に最も適当な語を 1 語ずつ入れなさい。
⑴
彼は友達とサッカーをするために公園へ行きました。
He went to the park in( )
( )play soccer with his
friends.
⑵
彼女は放課後,宿題をするために図書館へ行きました。
She went to the library so( )
( )do her homework
after school.
4 不定詞の否定表現
不定詞の否定形について学習しましょう。
〼 ⑨ She decided not to join the chorus club.
〼 ⑩ Be
彼女はコーラス部に入らないことにしました。
careful not to break the glasses.
コップを割らないように気をつけなさい。
〼 ⑪ He ran to school in order not to be late.
彼は遅刻しないように,学校まで走りました。
・不定詞を否定するときは,toの前にnotを置いて〈not to+ 動詞の原形〉の形にする。
・in order to … やso as to … の否定形を作るときも,toの前にnotを置く。
a 不定詞の否定形
さらにくわしく
不定詞「…すること」は〈to+ 動詞の原形〉で表します。
「…しないこと」のよう
notの 代 わ り にneverを
に不定詞を否定するときは,toの前にnotを置き,〈not to+ 動詞の原形〉の形にし
ない」と強い否定の意味
ます。
用いると,
「決して…し
を表す。
(彼はそこへ行かないことにしました。
)
He decided not to go there.
They tried not to look at the terrible scene.
(彼らはその恐ろしい光景を見ないようにしました。
)
Bob promised not to be late again. (ボブは二度と遅刻しないと約束しました。)
She pretended not to know the story.
(彼女はその話を知らないふりをしました。
)
The man decided
never to return to his
hometown.(その男の人
は決して故郷に戻らない
ことにしました。
)
整理しよう
不定詞の否定形が文の主
語や補語になる場合もあ
る。
The important thing is
また,動詞の目的語になる不定詞が否定形の場合と,文の動詞が否定形の場合との
意味の違いに注意しましょう。
{
not to give up soon.
(大切なことはすぐにあ
き ら め な い こ と で す。
)
He tried not to see her again.
(彼は彼女に二度と会わないようにしました。
)
He didn’t try to see her again.
(彼は彼女にもう一度会おうとはしませんでした。
)
※ try not to …は「…しないようにする」,not try to …は「…しようとしない」
b 副詞用法の不定詞の否定形
副詞用法の不定詞の否定形について見てみましょう。例文⑩はnot to break the
glasses(コップを割らないように)という ʻ目的’ を表しています。このように,
be carefulやtake careに続く場合は,不定詞にそのままnotを付けて,「…しないよ
〈否定形の不定詞が文の
補語〉
うに」の意味を表します。
She took care not to catch a cold.
(彼女は風邪をひかないように気をつけました。
)
be carefulやtake care以外の場合は,不定詞を含んだ ʻ目的’ を表す表現,
〈in
order to …〉や〈so as to …〉の否定形を用いるのがふつうです。否定形の作り方
は不定詞が単独の場合と同じように,toの前にnotを置きます。
She left home earlier in order not to miss the bus.
(彼女はバスに乗り遅れないように早めに家を出ました。
)
He didn’t tell her the truth so as not to make her angry.
(彼は彼女を怒らせないように本当のことを言いませんでした。
)
また,〈in order never to …〉とnotの代わりにneverを用いると,
「決して…し
ないように」と,強調する内容になります。
Try it again in order never to have any regrets.
(決して後悔しないように,もう一度やってごらんなさい。
)
次の日本文の意味を表すように,空所に最も適当な語を 1 語ずつ入れなさい。
⑴
彼は彼女を悲しませないようにしました。
He tried( )
( )( )her sad.
⑵
彼女はボールを投げるとき,失敗しないように気をつけました。
She took care( )
( )( )when she
threw the ball.
⑶
わたしは道に迷わないように,地図を持っていきました。
I brought a map in( )
( )( )get
lost.
10
章
チェック問題