小学校3年∼6年「新しい理科」(東京書籍)準拠 新・理科指導ポイント集 ・児童の学習意欲を高めるための学習展開例や発問例 ・観察・実験を確実に行うための留意点 ・学習に有効な教材・教具のつくり方や実践例 宮城県教育研修センター 初等理科研究グループ 目 3 次 年 単元名 4 年 単元名 ページ ページ 1 植物をそだてよう 1 1 あたたかくなると 28 2 チョウをそだてよう 4 2 電気のはたらき 31 3 植物のからだをしらべよう 8 3 暑くなると 34 4 こん虫をしらべよう 11 4 月の動き 37 5 花と実をしらべよう 16 5 星の動き 40 6 日なたと日かげをくらべよう 18 6 すずしくなると 42 7 光を当てよう 20 7 もののかさと力 45 8 明かりをつけよう 23 8 もののかさと温度 49 9 じしゃくにつけよう 25 9 水のすがたとゆくえ 53 10 寒くなると 57 11 もののあたたまりかた 61 12 生き物の1年をふりかえって 65 この「新・理科指導ポイント集」は,宮城県教育研修センターホームページ内の「科学巡回 訪問 HomePage」よりダウンロードすることができます。 http://midori.edu-c.pref.miyagi.jp/science/ 「新・理科指導ポイント集」をクリック 5 単元名 年 6 年 単元名 ページ ページ 1 天気と気温の変化 68 1 ものの燃えかたと空気 103 2 植物の発芽と成長 72 2 動物のからだのはたらき 108 3 生命のたんじょう 76 3 植物のからだのはたらき 113 4 花から実へ 81 4 生き物のくらしとかんきょう 117 5 台風と天気の変化 85 5 大地のつくりと変化 120 6 流れる水のはたらき 89 6 水よう液の性質とはたらき 124 7 てこのはたらき 92 7 電流のはたらき 128 8 もののとけかた 95 8 人とかんきょう 132 9 おもりのはたらき 99 「使いやすい理科室」 資 135∼139ページ 料 理科指導CD 理科指導に有効なコンテンツ 参考文献及び参考URL 140ページ 141∼146ページ 147ページ 1 植物をそだてよう 東京書籍3年 4月下旬∼5月上旬 2(3)時間 【 単元の目標】植物を育てて学校を花でいっぱいにし,虫も来るようにしたいという願いを基に, 植物の種を各自の栽培用ポットなどにまき,大切に世話をして,変化の様子を記録していくこと ができるようにする。また,植物の芽ばえに感動しながら観察を行うとともに,これからの成長 の様子に関心をもつことができるようにする。 学習活動とポイント項目 学習活動 時間 ポイント項目 第1次 たねをまこう 1(2)時間 ・校庭や学校の周りには,いろいろな植物の花が咲き,そこに 1 1 学習に入る前の準備に 虫が来ていることから,自分たちも植物を育てて花を咲かせ, ( 2) ついて 虫も来るようにしようと考え,以下のことを話し合って,種を 2 導入について「学校を まき,栽培する。 花でいっぱいにして,虫 ○ホウセンカとヒャクニチソウの種をまいて,花が咲き終わる をたくさんよぼう」 まで育てる。 ○一人が一鉢ずつに種をまいて,水やりなどの世話をしながら, 大切に育てる。 ・ホウセンカとヒャクニチソウの種を観察する。 3 記録カードのかかせ方 ・記録カードのかき方を学習し,種の形や大きさ,種をまいたこ について となどを記録カードにかく。 第2次 どんなめが出たかな 1(2)時間 ・ホウセンカとヒャクニチソウの芽生えを観察して,どんな芽 1 3 記録カードのかかせ方 が出たかを話し合い,芽の様子で気付いたことや栽培への願 ( 2) について いを記録カードにかく。 ・ホウセンカとヒャクニチソウの芽の大きさや形を比べて,似 ているところや違っているところはどこかを話し合う。 ・初めに出てきた葉を「子葉」ということを知り,この後どん な形の葉が出てくるかを話し合う。 ・記録カードを整理して,まとめていく方法を話し合い,以下 のいずれか好きな方法を選んで作業をする。 ○上部に穴をあけて,ノート式にとじていく。 ○セロハンテープでつないで,蛇腹式にたたんでいく。 ・これからの世話の仕方と観察について以下の観点で話し合う。 ○水やりについて。 ○何日おきぐらいに観察し,記録していったらよいか。 ○目立った変化のどのようなところを記録するか。 1 学習に入る前の準備について (1) まく種について 教科書では,ホウセンカとヒャクニチソウを取り上げているが,マリーゴールド,ヒマワリ,オク ラ,フウセンカズラ,コスモスなどを取り上げている他社の教科書もある。ここでは,2種類以上の 植物を育てていくことにより,植物の育ち方にはきまりがあること,種や芽の形は,種類によって違 っているということに気付かせていくことがねらいなので,それぞれの植物の特徴を押さえた上で取 り上げることが望ましい。 - 1 - (2) 植え方について 栽培用ポットなどで児童それぞれに育てさせるか,直接花壇やプランターにじかまきするか,ねら いや実態に応じて育て方を工夫する。栽培用ポットなどで育てる場合,苗が大きくなりすぎると,植 え替えをしてもうまく根付かないので,植え替えの時期を遅らせないようにする。また,発芽しない 場合を想定し,教師がいくつか余分に栽培しておくことも大切である。 ホウセンカについて ・種は大きく,よく発芽する。4∼5月に種をまく。 ・花壇にじかまきの場合は,30㎝おきに,3∼5粒ずつまき,芽 が出たら,丈夫そうなものだけを残して間引き,30㎝おき一本 ずつになるようにする。 ・栽培用ポットなどで育てる場合は葉が6∼8枚になったら,花 壇に植え替える。 ヒャクニチソウについて ・種は4月中∼下旬にまく。花壇にじかまきの場合は,低温だと 発芽まで時間を要し成長が遅れるので,状況に応じて5月以降 でもよい。 ・栽培用ポットなどで育てる場合は葉が6∼8枚になったら,25 ∼30㎝の間隔を空けて花壇に植え替える。 ・教科書で取り上げられているのは,小輪一重咲きの「ホソバヒ ャクニチソウ」という名前だが,園芸店では「リネアリス」と いう種類で売られている。「ヒャクニチソウ」というと多くは八 重咲きのものを指すので,花が咲いてから「教科書のヒャクニ チソウとちがう」とならないよう購入するときは種類をしっか り確認する。もし種類が違うものを購入した場合は事前に児童 に説明しておく(育て方は変わらない)。 ホウセンカの種 ヒャクニチソウの種 4月 たねまき・めばえ p.4~7 5月 6月 7月 育ちかた・からだのつくり p.16~20 8月 9月 花と実・まとめ 花 卵・幼虫・さなぎ・成虫 モンシロチョウ アゲハ 卵・幼虫・成虫(トンボ) p.8~15 バッタ トンボ p.26~32 - 2 - p.38~41 成虫(バッタ) ・記録カードをセロハンテープでつないだり, ひもでとじ たり してまとめる。 ・高さを棒グラ フにして表していくなど。 (3) 記録の仕方やまとめ方について 八重咲きのヒャクニチソウ この単元は,世話をしながら観察結果を記録していく過程が重 要なので,記録の仕方やまとめ方をどのようにするかで学習の成果が違ってくる。 また,下図のように,4∼9月にかけて,昆虫の単元と並行して学習を進めていくので,教師は単 元の計画をしっかり見通して臨むことが大切である。 2 導入について 「学校を花でいっぱいにして,虫をたくさんよぼう」 教科書p.1の「しぜんたんけんをしよう」の活動などを基に,校庭や学校の周りには,いろいろな 花が咲き,虫が来る様子を想起させる。さらに,「自分たちも植物を育てて花をさかせ,虫もくるよう にしよう」と投げ掛けることで,児童の種まきや栽培活動への意欲付けを図っていきたい。 発問例 ○校庭や学校のまわりで,気づいたことや見つけたものがあれば発表しましょう。 ○花だんにたくさんの虫をよぶには,どうしたらよいでしょう。 ○ホウセンカやヒャクニチソウのたねをまいて花をさかせ,虫たちをよぼう。 3 記録カードのかかせ方について 理科の学習では,観察対象を目的をもって観察し,発見したことや気付いたことを記録し保存して おくことが重要である。このため記録カードのかき方についても事前に十分に指導しておきたい。 (1) 事前に指導しておきたいこと ①絵は鉛筆でかかせる・・・鉛筆で明瞭にかかせたい。鉛筆で輪郭などをかいた後に,その中を 色鉛筆でうすく彩色させるようにするとよい。 ②絵を大きくかかせる・・・観察したものは,スペースをいっぱいに使って,大きくかくように するとよい。 めが出るまで一週間ぐ らいかな。 ヒャクニチソウのたねは小さい けどめも小さいのかな。 ホウセンカはめもまる いのかな。 水やりをわすれないようにして, 大切に世話をしていこう。 (3) めの観察について 発問例と予想される児童の反応例 ○めをくわしくかんさつして, カードに記 ろくしましょう。形や大きさ,高さ,色な どを絵や文でかきましょう。 ・ホウセンカのめのくきのとこ ろは,赤っぽいね ・まるい葉が,2まい出てい る。子葉(しよう)とかふた 葉って言うんだね。 ・ヒャクニチソウのめは,とて も小さいね。 ・子葉のまん中から新しい葉が 出てきているよ。 製本したり,つないだりすることを 考えて枠どり しておくとよい。 (2) 種まきについて 発問例と予想される児童の反応例 ○たねをまいたことをカードにかきましょう。 ・調べること(題),日づけ,気づいたことや感じた ことなどを絵や文でかきましょう。 ・たねをセロハンテープではりつけておきましょう。 ○いつごろ,どんなめが出てくるかな。 記録カード ホウセンカをそだてよう 4月 22 日 ・ 実物の たね ホウセンカのたねは まるくて小さいです。 どんなめが出るか, 楽しみです。 ○ホウセンカとヒャクニチソウのめの形をくら べてみよう。にているところやちがうところ があるでしょうか。話し合ってみましょう。 ホウセンカのめ ・さいしょにまるい葉が2まい出ているところが にている。 ・2まいの葉の間から,新しい葉が出ているとこ ろがにている。 ・めの大きさは,ずいぶんちがうね。 ・葉の色は,どちらも黄緑色だけど,ホウセンカ のくきの色は赤っぽいものがある。 ・葉の形や大きさは,植物によってちがうんだね。 ヒャクニチソウのめ - 3 - 2 チョウをそだてよう 東京書籍3年 5月中旬∼6月上旬 6(7)時間 【単元の目標】キャベツの葉にとまったモンシロチョウの活動の様子に興味をもち,モンシロチョ ウの卵を採集して育て,卵,幼虫,さなぎ,成虫への成長の変化をとらえる。また,成虫の体のつく りを調べ,頭,胸,腹の三つの部分からできていることを知り,そのような体のつくりの特徴をもつ 虫の仲間を昆虫ということをとらえることができるようにする。 学習活動とポイント項目 学習活動 時間 ポイント項目 第1次 チョウのそだちかたをしらべよう 5(6)時間 ・教科書p.8∼9の写真を見て,モンシロチョウがキャベツの葉に 1 1 導 入に つい て「 キ ャ 止まって何をしているかを話し合う。 ベツの葉を調べよう」 ・キャベツ(学校内に設けた無農薬の栽培園などで裁培している もの)の葉に,黄色い粒や青虫が見られるか,探してみる。 ・黄色い粒が見つかったら,付いている葉の部分を切り取って, 小さいカップの容器に入れて持ち帰る。 ・黄色い粒がモンシロチョウの卵であること,青虫が卵からかえ 3 2 モ ンシ ロチ ョウ の 育 った幼虫であることを知り,どのように育ってチョウになるかを ( 4) ち方 話し合う。 【参 考 】冷 蔵庫 を使 っ た ・モンシロチョウの卵や幼虫の世話の仕方を知り,飼育して,卵 羽化時間の調整 や幼虫の成長の様子を観察し,記録カードに成長過程で気付い たことや成長への願いをかく 。(幼虫の観察は,成長の程度に 合わせて適期に時間分割して扱う。) ・終齢(5齢)幼虫以後の観察は課外とし,目立った変化の時期 をとらえて観察し,記録する。 ・成虫になったら,食べ物を調べるために,うすい砂糖水を与え てみる。 ・卵から成虫までの成長変化について,記録カードを基にまとめ, 1 【参 考 】授 業で 使え る デ 発表する。 ジ タ ル教 材「 青虫 く ん ・チョウの飼育,観察を通して,特に面白かったこと,驚いたこ の成長日記」 となどを話し合う。 第2次 チョウのせい虫をしらべよう 1時間 ・チョウの成虫の体のつくりを調べて,体の分かれ方,昆虫の足 1 【参 考 】モ ンシ ロチ ョ ウ の数,はねが体のどの部分に付いているかを話し合い ,「昆虫 の オ スと メス の見 分 け 」の定義を知る。 方 (チョウの成虫の観察が終わったら,外に放す。) 1 導入について 「キャベツの葉を調べよう」 教科書p.8∼9の写真を見て,花に来ているモンシロチョウは花の蜜を吸っているが,キャベツ畑に 来ているモンシロチョウは卵を産んでいるのではないかと予想させ,キャベツの葉を調べる活動への 意欲をもたせる。 モンシロチョウの卵の入手 「 キャベツの葉に何がついているか調べよう」とはたらき掛け, モンシロチョウの卵が付いたキャベツの葉を虫眼鏡で観察させ モンシロチョウは,食草とな る。 るキャベツやコマツナ,ダイコ 予想される児童の反応例 ン,アブラナなどのアブラナ科 の植物に産卵するので,学校に ・黄色いつぶは,とても小さく,細長い形をしている。 これらの植物がある場合は,比 ・キャベツの葉には,あながあいているところがある。 較的見付けやすい。学校にこれ ・あなの近くにアオムシがいる。 らの植物がない場合は,農家か ・黄色いつぶは,たまごかもしれない。 ら卵のついたキャベツの葉を分 その後,「黄色いつぶがモンシロチョウのたまごかどうか,持 けてもらうとよい。 ち帰ってそだてよう」とはたらき掛け,飼育への意欲をもたせる。 - 4 - 2 段階 モンシロチョウの育ち方 期間 ① 卵 3 ∼ 6 日 間 成長の様子 飼育のポイント ・幼虫から育てると,アオムシ 約1mmの細長い形 葉の裏側 コマユバチ(体長約3mm)に 寄生されていることが多く, 途中で死ぬことがあるので, 卵から飼育する。 表面に縦横の細かな線 ・飼育容器の底に水でぬらした モンシロチョウの卵 モンシロチョウの産卵 キッチンペーパーを敷き,そ ・モンシロチョウはキャベツやコマツナ,ダイコン,ア の上に卵の付いた葉を置く。 ブラナなどのアブラナ科の植物に産卵する。 葉の乾燥に気を付ける。 ・産卵直後は乳白色だが,時間の経過とともに黄色から ふた(ラップフィルムなど) オレンジ色に変化する。 に穴を開ける。 ・卵から幼虫の間は,虫眼鏡や双眼実体顕微鏡を用いて 観察するとよい。 先端が白っぽくなる。 ② ふ 化 約2∼10分で 卵から出る。 ぬれたキッチン ペーパー 黒い点が見える。 ふ化直前の卵 卵の殻を食べる1齢幼虫 ・葉が古くなったら,新しい葉 を幼虫がいる葉の下に置き, 幼虫が移動したら古い葉を取 り除く。 ・キャベツは緑色の濃い外側の 大きさは約2mm 大きさは約3cm 部分を与える。 1齢幼虫 5齢幼虫 ・容器にふんがたまるので,敷 ・体を大きくするためにキャベツの葉などを食べる。 いた紙ごと毎日取り替える。 ・2∼3日ごとに4回の脱皮を繰り返してさなぎになる。 ・幼虫が約5mmになったら大き 脱皮するごとに2齢幼虫∼5齢幼虫へと呼び名が変わ な飼育容器に移す。 ガーゼなどのネットをふたの る。 ・脱皮する前は食べるのをやめ,動かなくなる。その後 間に挟み,アオムシコマユバ 約1日で脱皮を始める。脱皮は数分で終わり,幼虫は チやハエなどの侵入を防ぐ。 毛で覆われている。 10 ∼ ③ 幼 15 虫 日 間 脱いだ皮を食べる。 観察のポイント ・えさを食べる様子(口や頭の動かし方など) ・体の表面の様子(色,細かな毛など) ・歩くときの様子(足の使い方など) ・体の大きさと食べたえさやふんの量 ・脱皮の様子( 脱皮前の動かない状態,皮を脱ぐ様子, 皮を食べる様子など) - 5 - キッチンペーパー 葉の切り口に水を含ませたテ ィッシュペーパーを巻き,ア ルミはくで包む。 約1日後 約4分か けて脱皮 しさなぎ になる。 7 ∼ ④ さ 10 糸で固定した幼虫 よう化直後のさなぎ な 日 ・よう化(蛹化:さなぎになること)が近づいた5齢幼 ぎ 間 虫は,えさを食べるのをやめ,飼育容器内を歩き回る。 よう化の場所が決まると,糸で体を固定する。 ・翌日,脱皮し蛹となる。よう化したばかりのさなぎの 皮膚はとても軟らかいが,やがて硬くなり,さなぎ本 来の形になる。 ・えさも食べず,ふんもしない ので世話がかからない。 ・激しく動かすとさなぎを支え ている糸が切れたりするので 観察のために動かすときはそ っと動かす。 ・羽化した成虫は,棒のような 物にぶら下がってはねを広げ るので,蛹の近くに割りばし などの棒を用意する。 約20∼30秒で 脱出する。 羽化間近のさなぎ ⑤ 羽 化 7 ∼ 10 日 間 ⑥ 成 虫 羽化 ・羽化が近づいてくると, ①さなぎの中が透けて見え るようになる ②チョウのからだがさなぎ の殻と離れ始める 羽化直後 などの変化が見られる。 ・さなぎの背中が割れて成虫がはい出てくる。 ・さなぎから抜けだした成虫は,約10分かけてはねを広 げ,約1時間は棒のような物にぶら下がって静止して いる。 観察のポイント ・はねを傷めないように大きめ ・体のつくり(頭,胸,腹 の飼育箱を用意し,その中に に分かれていること,4 花を入れて飼育する。 枚のはねと6本の足は胸 ・3∼4日の飼育が限度である から出ていること) ため,体のつくりの観察が終 ・頭の感覚器官(目,触角, わったら,野外に放す。 モンシロチョウの成虫 口の様子) ・胸の運動器官(4枚のは ねと白いりんぷん,足は 節になっていて曲がるこ と) モンシロチョウは3月下旬∼4月下旬ごろ冬越ししたさなぎが羽化し,1年に5∼6回世代交代する。 - 6 - 【参考】冷蔵庫を使った羽化時間の調整 羽化は,自然の状態では夜間が多い。教室で羽化の様子を観察する には,冷蔵庫を使って羽化時間を調整する方法がある。 ①さなぎが透けてはっきりとはねが見え始め,頭部から腹部にかけ 空気が入ったら(右図),冷蔵庫へ入れる。 ②翌日,冷蔵庫から出し,30℃前後に加温すると約30分後(室温20 ℃の場合は約50分後)には羽化が始まる。 ③羽化直前はさなぎ全体が白っぽくなり,やがて羽化が始まる。 ④約20∼30秒でさなぎから脱出する。 ⑤抜け出した成虫は,棒などにぶら下がって約10分かけてはねを伸 ばす。 ⑥約1時間はその場に静止する。 宮城県教育研修センター平成13年度長期研修員研究報告書 「昆虫の成長過程を意欲的に継続観察する児童を育てる指導の一試み」より http://aobadb.edu-c.pref.miyagi.jp/practice_research/attach/01C0011.pdf 【参考】授業で使えるデジタル教材「青虫くんの成長日記」 宮城県教育研修センター科学巡回訪問ホームページ内に ある「デジタル教材」のページでは,モンシロチョウの成 長記録を動画で配信している。卵から幼虫,幼虫からさな ぎ,さなぎから成虫までの成長の様子をパソコンで見るこ とができる。(平成18年5月 本センターにて撮影) http://midori.edu-c.pref.miyagi.jp/science/dejitaru/ dejitaru.htm 青虫くんの 成長日記 【参考】モンシロチョウのオスとメスの見分け方 メスは背中側のはねが,オスに比べ黒い。 オス メス - 7 - 頭部から背 中の突起の 所まで空気 が入り白っ ぽくなった ら冷蔵庫に 入れる。 3 植物のからだをしらべよう 東京書籍3年 6月上旬∼6月中旬 3(4)時間 【単元の目標】植物の成長変化に興味をもち,育ててきた植物の様子の観察や,それらを花 壇に植え替える活動を通して,植物のからだは,葉,茎,根からできていることを知る。ま た,ほかの植物(フウセンカズラなど)とも比較して調べ,植物のからだは,葉,茎,根と いう共通のつくりをしていることをとらえることができるようにする。 学習活動とポイント項目 学習活動 時間 ポイント項目 第1次 そだちかたをしらべよう 1時間 ・ホウセンカとヒャクニチソウは,子葉が出てきた後どのよう 1 1 導入について に育ってきたか,これまでに観察してきたことを話し合う。 ・ホウセンカとヒャクニチソウの葉や茎の育った様子を観察し 2 からだの観察のポイン て,記録カードに気付いたことをかく。 ト(その1) ・葉が6枚ぐらいになった苗を,日当たりのよい花だんやプラ 3 苗を植え替える「苗を ンターに植え替える。 いためないようにして植 ・水やりなど,植え替えた後の世話の仕方について確認する。 えよう」 ・いつごろ開花するのか予想して,話し合う。 第2次 植物のからだをしらべよう 2(3)時間 ・植物のからだは,葉や茎のほかに,どんな部分からできてい 1 4 からだの観察のポイン るのか,ホウセンカやヒャクニチソウの苗を観察して,から ( 2) ト(その2) だのつくりを調べる。 ・ホウセンカやヒャクニチソウは,葉,茎,根からできている ことをとらえる。 ・p.19の資料を見て,フウセンカズラのからだのつくりをホウ センカやヒャクニチソウと比べる。実際に種をまいて育て, からだのつくりや育ち方を調べてもよい。(課外) ・記録したカードを掲示したり,教材提示装置を用いて記録を 1 【 参考 】「 青 森県 総合 学 校 見たりしながら,植物のからだのつくりについて気付いたこ 教育センターのホームペ とを発表し合う。 ージ」より ○それぞれの植物の,葉,茎,根は,どの部分か。 ○葉は,どこについているか。また,根は,どこから出てい るか。 ・植物のからだは,どれも,葉,茎,根からできていることを まとめる。 1 導入について 2枚の葉(子葉)の状態から1 ヶ月以上が経過し, 「めが出たあと, ホウセンカやヒャクニチソウは今 どうなっているかな」と問い掛け, 観察の意欲を高めていきたい。 中には課外時間に観察や世話を 意欲的に行ってきた児童もいると 思われるので,導入でぜひその努力 の様子を取り上げ,ほめてやりたい。 ホウセンカの子葉 - 8 - ヒャクニチソウの子葉 2 からだの観察のポイント(その1) 初めの観察では,単に成長して大きくなってきたことを 確かめるだけでなく,最初に出てきた2枚の葉(子葉:し よう,ふたば)と新しく出てきた葉( 本葉:ほんば)では, 形や大きさに違いがあることをとらえさせ,記録させる。 発問例(※は留意点) ○さいしょに出てきた葉と新しく出てきた葉の形や大き さにちがいはあるかな。 ・大きさを手のひらとくらべてみよう。 ※新しく出てきた葉のことを「本葉(ほんば )」と呼ぶ ことを紹介してもよい。 ○くきの高さや太さ,色はどうなっているかな。 ・太さをえんぴつや指などとくらべてみよう。 ※高さを紙テープではかり,そのまま用いたり,その後 の成長の様子を棒グラフとしてまとめたりするとよい。 ○さいしょは2まいだった葉の数はどうなっているかな。 ○真横や真上などからもかんさつしたり,さわったりし て,気づいたことを絵や文でかこう。 ※葉を1枚とり,記録カードにはらせておく。 ホウセンカの本葉 ヒャクニチソウの本葉 ・ホウセンカの新しい葉は,まわりがギザギザしている。 ・ヒャクニチソウの新しい葉は,さいしょの葉より細長いね。 ・新しい葉は,さいしょの葉と形がちがうし,大きいね。 ・めが出たころより,せが高くなり,くきも太くなった。 ・上から見ると,葉はいろいろな方向に出ているよ。 地面から, 一番新しい葉 の付け根まで を測る。 植物の「高さ」について 3 苗を植え替える「なえをいためないようにしてうえよう」 ホウセンカやヒャクニチソウを栽培用ポットで育てた場合,本葉が6∼8枚程度になったら花壇に 植え替える。30cmくらいの間隔をあけて植えるようにするとよい。「葉の数やくきの高さのほかに, 見えないところで大きく育ったことがわかるところがあります。どこでしょう?」と問い掛け, 「 根」 の部分に着目させながら,観察させたり植え替え作業を行ったりするとよい。苗をとり出すときには, 茎をつまんで引っぱり出そうしたり,土を落として根をむき出しにしてしまう児童も見られるので, 事前指導を徹底する。グループに1鉢程度,後で根の様子を観察するための苗も残しておく。 なえを指の間にはさむように してのせましょう。 植え替えの指導例 (1) まず,さいばい用ポットのまわりを手で軽くもみほぐします。 (2) 次に,手の真ん中を開いて,なえを手のひらにさかさにのせて から,ゆっくり取り出します。 (3) 土を見てみましょう。白い根がいっぱい広がっているね。 (4) 土がついたままで植えます。植えた後になえの土がもり上がら ないようにしましょう。 (5) 水をたっぷりかけましょう。 - 9 - 4 からだの観察のポイント(その2) ホウセンカとヒャクニチソウの苗についている土を水でそっと洗い落として,根の様子を観察する。 「植物のからだは,どんな部分からできているのだろうか 。」と投げ掛け,前単元で学習した昆虫の 体が頭,胸,腹の3つに分けられるのと同様に,植物も3つの部分から成り立っているという観点か ら話し合わせると面白い。 発問例 記録カード ○土をそっとあらって,葉,くき,根のようすをかんさつ しよう。 ○こん虫のからだみたいに植物のからだも3つの部分から できています。どんな部分からできているのだろう。 ○葉,くき,根それぞれについてかんさつし,調べたこと をまとめましょう。 ・葉は,どこについているか。 ・くきは,どの部分か。 ・根は,どのように分かれているか。 ホウセンカのからだをしらべよう 6月 14 日 葉 くき 根 ※ホウセンカやヒャクニチソウの線画のワークシートを教 師用指導書資料編などから準備しておき,部分ごとに色 分けさせるとよい。 【参考】「青森県総合学校教育センターのホームページ」より ホームページ内の「小学校理科教育講座」の中には,次のような,身の回りに見られる植物 の葉,茎,根の見分け方や葉の枚数についてクイズ形式で楽しく学べるコンテンツが用意され ている。p.21の「とびだせ」やまとめの学習に有効なので紹介する。 「次の植物の根・葉・茎はどこでしょう?」 予想して文字をクリックすると,答えの部 分が枠囲みで表示される。 「私たちは,植物の根・茎・葉・花・実の どの部分を食べているのでしょうか?」 予想して文字をクリックすると,答えが 表示される。 - 10 - 4 こん虫をしらべよう 東京書籍3年 6月下旬∼7月中旬 5(6)時間 【単元の目標】野外にいる昆虫に興味をもち,いろいろな昆虫を探して,それらの食べ物とすみか を調べ,昆虫には植物を食べたり,それをすみかにしたりして生きているものがいることをとらえる ことができるようにする。また,いろいろな昆虫の体のつくりを調べるとともに,先に学習したチョ ウの育ち方と比較し,昆虫には,幼虫からさなぎを経ないで成虫になるものがいることをとらえるこ とができるようにする。 学習活動とポイント項目 学習活動 時間 ポイント項目 第1次 こん虫をさがそう 2(3)時間 ・校庭や野原などで昆虫を探して,それらの食べ物とすみかにつ 1 1 導 入に つい て「 こ ん いて観察して調べる。詳しく観察するものは教室に持ち帰り, ( 2) 虫 は どん な所 にい る で 観察した後は元の所に返す。 しょうか」 ・いろいろな昆虫の食べ物とすみかを図鑑などで調べ,以下につ 1 2 こん 虫の 食べ 物や す いて話し合う。 みかについて考えよう ○植物は,昆虫の食べ物やすみかになっているか。 【 参考 】昆虫の生育環境 , ○昆虫のすみかは,外敵からの隠れ場所になっているか。 飼育 方 法を 紹介 する ホ ー ・昆虫の食べ物とすみかとの関係についてまとめる。 ムページ 第2次 こん虫のからだをしらべよう 1時間 ・チョウの成虫の体調べで学んだ昆虫の定義を基に,いろいろな 1 3 こ ん虫 もけ いを 作 ろ 昆虫の体を,以下について調べる。 う ○体の分かれ方はどうか。 ○足やはねの数はどうか。 ○足やはねは体のどの部分についているか。 ・トンボやバッタがものを感じとる部分はどこかを,人の体と比 較して,話し合う。 第3次 トンボやバッタのそだちかたをしらべよう 2時間 ・トンボやバッタの幼虫は,チョウのようにさなぎになってから 1 【 参考 】昆虫の生育環境 , 成虫になるのかを話し合い,図鑑などからそれぞれの幼虫の飼 飼育 方 法を 紹介 する ホ ー い方を知り,実際に飼育して,どのように成虫になるかを調べ ムページ る。 ・トンボやバッタの仲間(不完全変態の昆虫)の育ち方をチョウ 1 の仲間(完全変態の昆虫)の育ち方と対比して,いろいろな昆 虫の成長順序を絵などに表して発表し合う。 (トンボやバッタの成長の程度に合わせて,適期に扱う) 1 導入について 「こん虫はどんな所にいるでしょうか」 この時期になると,校庭や野原でいろいろな生き物が見られるようになり,昆虫の仲間も増えてく る 。「このごろの校庭や野原には,どんなこん虫が見られるでしょうか」と問い掛け,この時期に見 られる昆虫について話し合い,昆虫を探す活動への意欲をもたせる。 発問例と予想される児童の反応例 ○このごろの校庭や野原には,どんなこん虫が見られるでしょうか。 ○どんな所に,どんなこん虫がいましたか。 校庭の花だんには ・モンシロチョウ ・ミツバチ ・ハナアブです。 校庭の池の近くには ・トンボ(ヤゴ) ・アリ ・クモです。 野原には ・アゲハチョウ ・バッタ ・ダンゴムシです。 ○こん虫はどんな所にいるかさがしに行きましょう。 - 11 - うら山には ・カブトムシ ・クワガタ ・カミキリです。 この時期に見られる主な昆虫(①は主に見られる場所,②は成虫の食べ物,③は幼虫の食べ物) モンシロチョウ(完全変態の昆虫) ①校庭(花壇),キャベツ畑やアブラナ畑など 「完全変態」とは ②いろいろな花のみつ 卵→幼虫→さなぎ→成 ③キャベツやアブラナなどの葉 虫の順に育つもの。チ ョウ,カブトムシなど。 アゲハ(完全変態の昆虫) ①校庭(花壇),野原,都会の真ん中でも見る 「不完全変態」とは 卵→幼虫→成虫の順に 育つもの。さなぎの過 ことができる ②いろいろな花のみつ 程がない 。(例)トン ③サンショウやミカンなどの柑橘系やセリの ボ,バッタなど。 葉 ベニシジミ(完全変態の昆虫) ①校庭(花壇),野原,畑の周辺など開けた明るい場所 ②いろいろな花のみつ ③スイバ,ギシギシなどの葉 ミツバチ(完全変態の昆虫) ①校庭(花壇),野原 ②女王バチはローヤルゼリー,ハタラキバチ(働きバチ)はいろいろな花のみつ ③女王バチはローヤルゼリー,ハタラキバチは最初はローヤルゼリーで途中から 花粉とはちみつのだんご ※ローヤルゼリーとはハタラキバチが集めた花粉を体内で分解し生成したもの。栄養素を多く含んだ特別食。 ハナアブ(完全変態の昆虫) ①校庭(花壇),野原,水辺,都会の真ん中でも見ることができる ②いろいろな花のみつ ③下水など汚水中の腐った物 ショウリョウバッタの幼虫(不完全変態の昆虫) ①校庭(芝生),野原 ②イネ科の植物 ③成虫と同様 トノサマバッタの幼虫(不完全変態の昆虫) ①校庭(芝生),野原 ②イネ科の植物 ③成虫と同様 - 12 - エンマコオロギの幼虫(不完全変態の昆虫) ①校庭(芝生),野原や畑,道ばた,人家の周辺 ②植物や小動物の死骸 ③成虫と同様 クロオオアリ(完全変態の昆虫) ①校庭,野原など開けた場所 ②死んだ虫やアブラムシのみつ ③女王アリからもらう栄養分 シオカラトンボ(不完全変態の昆虫) ①山地から住宅地に至るまでの,池,湿地,水田,水たまりなどの水辺 ②カやハエなどの小さな虫 ③水田,池沼などにいるアカボウフラ(アカムシ)やイトミミズ カブトムシ(完全変態の昆虫) ①林や森 ②クヌギやコナラなどの樹液 ③腐葉土 ノコギリクワガタ(完全変態の昆虫) ①林や森 ②クヌギやコナラなどの樹液 ③クヌギやコナラなどの枯れ葉 アブラゼミ(不完全変態の昆虫) ①校庭(樹木),林や森 ②樹液 ③木の根の汁 ゴマダラカミキリ(完全変態の昆虫) ①校庭(樹木),林や森 ②クワ,ヤナギ,ポプラ,イチジク,クヌギ,コナラなどの樹皮や葉, 樹液 ③クワ,ヤナギ,ポプラ,イチジク,クヌギなどの木 - 13 - 2 こん虫の食べ物やすみかについて考えよう 昆虫の食べ物とすみかとの関係についての学習では,「こん虫はどんなものを食べるのだろうか」 と問い掛ける。昆虫の食べ物について図鑑やインターネットで調べた後,すみかとの関係について話 し合わせ,調べたことを学級全体で共有できるようにする。調べる昆虫は,前時の野外活動で見付け た昆虫や教科書p.24∼25に掲載されている昆虫の中から一人2∼3種類を選ぶ。 発問例と予想される児童の反応例 ○こん虫はどんなものを食べますか。 モンシロチョウは いろいろな花のみ つをすう。 セミは木のしるを すう。 トノサマバッタは 草を食べる。 アゲハは花のみつ をすう。 ○(野外活動を振り返って)こん虫は,どんな所にいましたか。 モンシロチョウは花 だんやキャベツ畑に いた。 トノサマバッタは 草むらにいた。 セミは木にいた。 アゲハは花だんや サンショウの木の そばにいた。 ○こん虫はどんな所をすみかにしていますか。 食べ物のある所。 たまごをうむ所。 ○こん虫のすみかは,てきからかくれられる所になっていますか。 なかなか見つけられないから, かくれ場所になっていると思う。 バッタやセミの体の色は,草や 木と同じような色をしている。 まとめ方の例 こん虫には,植物を食べ物にしたり,すみかにしたりしているものがいる。 3 こん虫もけいを作ろう 昆虫の体のつくりを確認する活動として,昆虫の模型を作成する方法がある。昆虫の体は,頭,胸, 腹の三つに分かれていること,6本の足や4枚のはねは胸に付いていることを確認してから,作成に に取り掛かる。 粘土 (紙粘土) 画用紙 モール 竹ひご ※教科書p.84には,ペーパーモデル「トンボのもけいをつくろう(型紙付き)」が掲載されている。 - 14 - 【参考】昆虫の生育環境,飼育方法を紹介するホームページ ・昆虫エクスプローラ http://www.insects.jp/ 様々な昆虫の生育環境を調べるときに便利である。 ・石川県ふれあい昆虫館 http://www.pref.ishikawa.jp/fureai/ 「主な昆虫の飼育マニュアル」 カブトムシ,アゲハチョウ,クワガタ,ヤゴ,コオロギ,テントウムシ, バッタ,カマキリ,モンシロチョウ,スズムシなど昆虫の飼育方法につい て詳しく紹介している。 - 15 - 5 花と実をしらべよう 東京書籍3年 9月上旬∼9月中旬 2(3)時間 【単元の目標】ホウセンカやヒャクニチソウの様子に興味をもち,育っている様子や花を観察 し,つぼみから花への変化を調べる活動を通して,花から実への変化を推論する。また,実の できたころに,種まきから結実までの観察記録を整理して,主な成長の変化の様子についてま とめ,植物の成長には一定の順序があると考えることができるようにする。 学習活動とポイント項目 学習活動 時間 ポイント項目 第1次 植物のそだちかたをしらべよう 1(2)時間 ・育ててきた花や花が咲いた後の様子を観察して,記録カードに, 1 1 導入について育ち方 以下の観点について気付いたことをかく。 ( 2) を調べる ○花のつぼみは,いつごろから,茎のどこにでき始めたか。 ○花が咲いた後,花の部分はどのように変化するか。 ・つぼみ,花,花びらが落ちたものを見比べて,つぼみから花へ の変化と,花が咲いた後,どのようになるかを話し合う。 ・花が実になることの観察は,課外に,変化があったときに行う。 第2次 植物のそだちかたをまとめよう 1時間 ・ホウセンカやヒャクニチソウのこれまでの観察記録を見返した 1 2 育ち方をまとめる り,教科書p.40∼41のホウセンカとヒャクニチソウの成長過程 の写真を見たりして,それらを基に,種まきから実ができるま での主な変化を整理する。 ・植物の一生を,グループごとにまとめて発表し,各自の記録と 見比べて,主な成長変化をまとめる。(教科書p.40の記録カー ド右端の「 そだちかたのまとめ」の個人別のカード作成作業か, 教科書p.41上図のグループ別のまとめ発表会のいずれか一方を 扱ってもよい。) ・ホウセンカやヒャクニチソウの実が熟してきたら,種をとり, 【参考】ホウセンカの種 一つの種からたくさんの種ができたことをまとめる。(課外) とり 1 導入について 育ち方を調べる 1学期のホウセンカやヒャクニチソウの記録を基に,「育ててきたホウセンカやヒャクニチソウに 花がさいたよ」と投げ掛け,観察への意欲をもたせる。 この時期には,1つの株で,つぼみ,花,実のすべてが観察出来ることも多く,つぼみや花に着目 させながら観察していくことによって,その後の変化をとらえさせるようにする。 (1) 全体の様子を観察して,気付いたことを話し合う。 気付いたことの例 葉がたくさんしげっているよ。 くきがずいぶん太くなったね。 せたけもずっと高くなったよ。 ホウセンカ ヒャクニチソウ - 16 - (2) 花やつぼみの色や形,花がついている茎の場所,実のでき方などを調べて記録する。 発問例 ○どんな色や形の花がさいているでしょう。 ○くきのどこに花をつけているでしょう。 ○花がさいた後のようすはどうなっているでしょう。 ○実はもうできているかな。 ホウセンカ ホウセンカの花や実の特徴 ・葉の根元につぼみができ,つぼみの下には , 赤くて,花びらがひら ひら重なっているよ。 距( きょ)と呼ばれるとがった部分がある。 ・3枚の花びらと3枚のがく( 2枚は小さく , 1枚は大きな距がつく)がある。 同じところから,花が たくさんさいているね。 ・花びらの左右の2枚は対称形である。 ・受粉すると花が落ち,先がとがった楕円形 花びらが落ちたもの もあるね。 の実ができる。 ・広く分散するように,実は熟すとはじけて , 種を遠くに飛ばす。 ヒャクニチソウ ヒャクニチソウの花や実の特徴 ・茎の先端につぼみができ,茎はそれ以上の 黄色やオレンジ色で,花びら がきれいにならんでいるよ。 びなくなる。 ・花は一重ざき,開花中には,チョウやハチ がよく訪れる。 茎の先に,花が1つ ずつさいているよ。 ・受粉すると実が成熟するにつれ,茎や花び らがかれ始める。 かれてしまった花も あるね。 ・熟した実は自然に落ちる。実の中には黒く 熟した種が入っている。 (3) 花の咲いた後の変化を予想するとともに,継続して観察する。 花の一つにモールなどをしばって印をつけ,実が熟していく様子を調べる。ここでは,花のどの部 分が実になるかなどの詳しい観察ではなく,おおまかな変化としてとらえさる。 育ち方をまとめる ホウセンカのそだちかた になった。 葉 が十まい めが 出た。 テープで つなぐ (㎝) たねをまいた。 4月の「 植物をそだてよう」での学習計画を基に, これまで記録してきたカードをセロハンテープでつ ないだり,ひもでとじたりして一冊にまとめる。 右のように,それぞれの時期ごとの植物の背の高 さを棒グラフに表して振り返らせるのも有効である。 花が さ い た! 2 ひもで とじる 【参考】ホウセンカのたねとり ホウセンカの種は飛び散るので,花が咲き終わったら根元の地面にビニルシートを敷いておく とよい。採取した種を観察させるとき,種まきをしたときの残りの種と比較させ,形や大きさが 同じであること,一つのたねからたくさんの種ができたことに気付かせたい。 また,指で触るとパチンと種がはじけ飛ぶ様子を観察させながら,種が広く分散するための工 夫であることを合わせて理解させたい。 - 17 - 6 日なたと日かげをくらべよう 東京書籍3年 9月下旬∼10月中旬 6(8)時間 【単元の目標】日なたと日陰の地面の様子に興味をもち,太陽の光が当たっている地面と当たって いない地面の様子を比較しながら調べ,日なたと日陰の地面の様子には違いがあることをとらえるこ とができるようにする。また,影の位置の変化と太陽の動きとの関係を調べ,影の位置は,太陽の動 きによって変化することをとらえることができるようにする。 学習活動とポイント項目 学習活動 時間 ポイント項目 第1次 地面のあたたかさをくらべよう 2時間 ・日なたと日陰の暖かさの違いについて,生活経験などを基に話 1 1 導 入に つい て「 日 な し合う。 た と 日か げた んけ ん を ・日なたと日陰を探して,地面に手を当てて,暖かさを比べる。 しよう」 ・いつも日陰になっている地面にも手を当てて,暖かさなどを調 1 2 地 面の 温度 を調 べ る べる。 教具の工夫 ・温度計の使い方を知り,日なたと日陰の地面の温度を,午前10 時ごろと正午ごろに測って記録する。 ・日なたと日陰の地面の温度を比べて,その違いをまとめる。 第2次 かげのできかたをしらべよう 2(3)時間 ・地面の温度の観察や生活経験を基に,日陰は時間がたったとき 1 3 か げふ み遊 びを し よ 同じ所にできていたかを話し合う。 ( 2) う ・棒の影の向きが時刻によってどうなるか,地面にしるしをつけ 4 (1)影の向きを調べる て調べる。 教具の工夫 ・太陽が動いているか,遮光プレートを使って建物の壁などを目 じるしにして調べる。 ・影は,日光をさえぎるものがあると太陽の反対側にできている 1 ことや,太陽が動いていることを話し合う。 ・太陽が動くことによって影の向きも変わることをまとめる。 第3次 太陽のうごきをしらべよう 2(3)時間 ・太陽の動きや影の観察を基に,1日の太陽の動きについて話し 1 合う。 ( 2) ・方位磁針の使い方を知る。 ・地面に四方位のしるしをつけ,その中心に棒を立てて,太陽の 4 (2)太陽の動きを調べ 動きと影の向きを,3回ぐらい調べる。 る教具の工夫 ・自分たちの観察結果や教科書の資料から,太陽は1日の間に東 1 から出て南を通って西に沈むことをまとめる。 ・太陽の動きや日光を利用したものの資料を読み,太陽やエネル ギーについて話し合う。 1 導入について 「日なたと日かげたんけんをしよう」 「日なたと日かげたんけんをしよう」とはたらきかけ,日なたのプールサイドで足の裏が熱かった ことや,木陰(日陰)に入って涼しかったことなど生活経験を想起させるとともに,日なたと日陰に ついて比べてみようとする児童の意欲をまず高めたい。実際の活動では,さわった感じ,見た感じな ど,色々な感覚を十分に活用してその違いをとらえさせることを重視したい。 気付いたことの例 これから学習すること ・日かげの方がすずしい。 ・日かげのかべはひんやりするけど,日なたのかべはあたたかい。 日なたと日かげの地面で ・日かげには,コケみたいなものが生えているよ。 は,どれだけあたたかさ ・日なたの土はあたたかいけれど,日かげの土はつめたい,さか がちがうのだろう? いめは半分のあたたかさみたいだ。 - 18 - 次のような方法で,日なたと日陰の暖かさの違いを比べることも有効である。 日なた 日陰 2 地面の温度を調べる教具の工夫 日なたの地面の温度を測る場合,教科書では 温度計におおいをしているが,右のような教具 を工夫すれば,より安全に測ることができる。 まとめ方の例 日光によってあたためられるから,日 かげよりも日なたの地面の温度が高い。 3 日なたの時は直接日光が当たら ないようにふたをして使う。 日なたと日陰に,砂や水を入れた水槽やレンガ・ブロックなどを置く。 アスファルトに水をまく。 牛乳パックを上のように切り 開き,棒温度計を差し込む穴 を開ける。 かげふみ遊びをしよう 影について調べる学習の導入では,児童の身近な遊びであるかげふみ遊びを取り入れる。遊びの中 で「かげをふまれないようにするには,どうしたらよいだろう。」とはたらき掛け, ・自分が走れば影もいっしょについてくること ・建物や樹木などの影に入ると自分の影とは区別がつかなくなること ・影を背にして(太陽の方を向きながら)逃げるとふまれにくいこと などに気付かせ, ○太陽が出ているときに影が出ること ○日光をさえぎるものがあると影ができること ○影は全て同じ向きにできること ○体の向きをかえても,影の方向は変わらないこと ○影は太陽の反対側にできること 4 などについて理解させていくようにする。 (1)影の向き,(2)太陽の動きを調べる教具の工夫 下のような教具を工夫すれば,グループや児童一人一人に実験に取り組ませることができる。 (2)太陽の動きを調べる教具 太陽と影の向きに1時間ごと色を 変えたビニールテープをはる。 時刻を書いたペ ットボトル ペ ットボトルに半分 ほど砂を入れ、棒を 差し込む。 方位を書いた紙 と方位磁針 (1) 影の向きを調べる教具 方位を書いた厚紙に10㎝ほどのス トローを両面テープで固定する。 北 西 東 南 風に飛ばされないようバインダー などにはさんで実験するとよい。 まとめ方の例 かげは,日光をさえぎるものがあると太陽の反対がわにでき,かげのできる方向は,太陽の動き によってかわる。 - 19 - 7 光を当てよう 東京書籍3年 10月下旬∼11月下旬 6(8)時間 【単元の目標】鏡ではね返した日光を日陰の壁や的に当てる活動に興味をもち,日光の当たったと ころの明るさや暖かさと,はね返した日光の進み方について,工夫して調べたり,記録したりするこ とができるようにする。また,日光を重ねて当てたり,虫めがねで日光を集めたりしたときの,日光 が当たったところの明るさや暖かさについて比較しながら調べ,日光の性質についての考えをもつこ とができるようにする。 学習活動とポイント項目 学習活動 第1次 時間 日かげに日光を当てよう ポイント項目 3(4)時間 ・鏡は日光をよくはね返すことを知り,鏡の取り扱いに注意しな 1 1 がら鏡を使って日光をはね返し,日陰の壁や的に当ててみる。 導 入に つい て「 光 の ・前時の学習や今までの生活経験から,鏡ではね返した日光の当 たった所の暖かさや日光の進み方について話し合う。 まと当て遊びをしよう」 1 2 ( 2) は ね返 した 日光 の 進 み方を調べよう ・鏡ではね返した日光を手に当て,日光の当たっていないときと 比較して,暖かさを調べる。 ・鏡ではね返した日光を地面にはわせたり,日光の進む道筋に物 を置いたりして,日光の進み方を調べる。 ・日光が当たった所は明るく,暖かくなり,日光は直進すること 1 をまとめる。 ・日光の利用についての資料を読み,身の回りの光の利用につい て話し合う。 第2次 かがみではねかえした日光をかさねよう ・はね返した日光を重ねて当てた所は,より明るく,暖かくなる 1時間 1 かを話し合う。 3 日 光を 重ね たと き の あ た たか さを 温度 計 で ・はね返した日光を重ねて当て,日光の当たった所の明るさを見 調べよう 比べたり,手に当てて暖かさを比べたりする。 第3次 虫めがねで日光をあつめよう 2(3)時間 ・虫眼鏡を使って日光を集めて,紙を焦がすことができるかを調 1 べる。 ・日光を重ねて当てたり,日光を集めたりした所は,より明るく, より暖かくなることをまとめる。 1 ( 2) ・日光の性質を利用して,日光のリレーなどの活動を行う。 - 20 - 1 導入について 「光のまと当て遊びをしよう」 「かがみを使って,日かげの所にあるまとに日光を当ててみよう」とはたらき掛け,光の的当て遊 びをする。この活動を通して鏡の操作技術を身に付けるとともに,はね返した日光の進み方や明るさ や暖かさについて気が付いたことを発表させ,これからの学習の見通しをもたせる。 予想される児童の反応例 これから学習すること ・かがみを使うと日光をはね返すことができる。 ・はね返した日光が当たった所は明るくなった。 ・かがみではね返した日光は, ・かがみを右に向けたらはね返した日光も右に動いた。 どう進んでいるのだろう。 ・はね返した日光の形は,かがみにはった紙の形と同 じだ。 ・かがみではね返した日光が当 ・二つのはね返した日光を合わせると明るくなった。 たったところのあたたかさは, ・光の当たったところをさわってみたらあたたかかっ どうなっているのだろう。 た。 数人で同時に一つの壁(的)に日光をはね返すと,どれが自分 のはね返した日光か分からなくなることがある。そこで,右図の ように自分のはね返した日光を区別できるように,鏡のガラス面 に,○や△などの形を切り抜いた紙をはる。 ○の形を切り抜いた 紙をはった鏡の例 2 はね返した日光の進み方を調べよう 鏡ではね返した日光の進み方を調べる実験では,右図のように鏡 の裏に段ボール紙をスタンドのように付けると傾きを自由に変えた 粘着テープ 段ボール紙 り,固定したりすることができる。 また教科書では,はね返した日光を小黒板に当てて観察している が,下図のように校舎の日陰部分や段ボール箱などを用いると手軽 にできる。地面のでこぼこをなくし平らに整地してから実験を行う と,はね返した日光が直進している様子をとらえることができる。 段ボール紙で作った スタンドの例 校舎の壁面 地面を平らに整 地しておく。 はね返した日光の進み方調べの例 - 21 - 3 日光を重ねたときのあたたかさを温度計で調べよう 鏡ではね返した日光を重ねたときの暖かさを調べる場合は,手で感じる活動の他に温度計を使っ て調べる方法もある。下図のように温度計を固定するときは,段ボール箱を利用する。 温度計 段ボール紙の溝に温 度計を差し込む。 鏡ではね返した日光 日光を当てないとき 鏡2枚のとき 鏡1枚のとき 鏡ではね返した日光を重ねたときの暖かさ調べの例 この実験を行う際には,次の点に気を付けて行う。 ・晴天の日に実施する。 ・鏡は段ボール箱からできるだけ近くに置き,地面に固定する。 ・直射日光による温度上昇を避けるため,温度計は段ボール箱の日陰側に差し込む。 ・鏡ではね返した日光は温度計の液だめに当てる。 ・熱が奪われるのを防ぐため,風が吹く日は避ける。 ・はね返した日光を手に当てて暖かさの違いにも気付かせる。 まとめ方の例 かがみの数 なし 1まい 2まい 明るさ ふつう 明るい 1まいより明るい 手に当てた感想 あたたかい なしよりあたたかい 1まいよりあたたかい 23℃ 25℃ 26℃ 温 度 かがみではね返した日光を重ねるほど,日光が当たった所は明るくあたたかくなる。 - 22 - 8 明かりをつけよう 東京書籍3年 11月下旬∼12月下旬 7(8)時間 【単元の目標】身の回りの明かりに興味をもち,豆電球,乾電池,導線をどのようにつなぐと明かり がつくかを比較しながら調べ,回路(電気の通り道)ができると電気が流れ,明かりがつくことをとら えることができるようにする。次に,身の回りのいろいろな物を回路につないで明かりがつくかを比 較しながら調べ,電気を通す物と通さない物を判別し,そのことや回路の考え方を利用して,工夫し てスイッチを作ることができるようにする。 学習活動とポイント項目 学習活動 時間 ポイント項目 第1次 豆電球の明かりをつけよう 2(3)時間 ・身の回りの明かりを思い出し,豆電球に明かりをつけるには, 1 1 導 入に つい て「 ど の 豆電球と乾電池をどのようにつないだらよいかを話し合う。 よ う にす ると 明か り が ・ソケット付きの豆電球と乾電池をつないで明かりをつけ,明か つくのかな」 りのつくつなぎ方とつかないつなぎ方の違いを考える。 ・明かりがついたつなぎ方を,図や絵を使って発表し合い,電気 1 の通り道についてまとめる。 ( 2) ・ソケットを使わずに,豆電球と乾電池をつないで,明かりをつ ける。 第2次 電気を通すものをさがそう 3時間 ・導線と導線の間にくぎをつないでも豆電球の明かりがつくこと 2 2「 電 気を 通す もの 発 見 から,くぎは電気を通すことを知り,電気を通す物がほかにも 器」を作ろう ないかを話し合う。 ・身の回りにあるいろいろな物を,電気の通り道につないで明か りがつくかを調べ,電気を通す物と通さない物とに分ける。 ・缶の表面などに塗ってある物は,紙やすりではがして調べる。 ・動かせない物は,「電気を通す物発見器」をつくって調べる。 ・金属(金物)は,電気を通すことをまとめる。 1 ・資料を読み,導線や乾電池ボックスは,電気を通す物と通さな い物を組み合わせていることを知る。 第3次 スイッチをつくろう 2時間 ・簡単に回路をつないだり切ったりする工夫をしたり,電気を通 2 す物と通さない物を組み合わせたりして,スイッチを作ること ができることを知る。 ・身の回りにある物を使い,工夫してスイッチを作る。 1 導入について 「どのようにすると明かりがつくのかな」 右図のような「手作り電気スタンド」を提示し, 明かりがつく現象を見せる。その後,電気スタンド には,乾電池,豆電球,ソケットが使われているこ とを説明し ,「どのようにすると明かりがつくでし ょうか」と問い掛け,ソケットについた豆電球と乾 電池のつなぎ方を予想させる。 割りばし 粘土 予想される児童の反応例 ・かん電池にどう線をつなげば明かりがつくか 段ボール紙 もしれない。 ・かん電池の出っぱりのある角と平らな面にど う線をつなぐとつくかもしれない。 乾電池は導線のつ なぎ方が見えない ようにする。 ・かん電池の出っぱりのある角と,かん電池の 「手作り電気スタンド」の例 横につけるとつくかもしれない。 - 23 - 次に教科書p.63のイラストや児童が考えたつなぎ方について,正しいかどうか確かめる実験をさせ る。 かん電池のどこにつないだら豆電球がつくでしょうか。 かん電池の向きをかえても豆電球はつくでしょうか。 どう線をつないでも豆電球はつくでしょうか。 実験後,豆電球の明かりをつけるには,どのようにつなげばいいのかまとめる。 まとめ方の例 「かん電池の+きょく 」「どう線 」「豆電球」「どう線 」「かん電池の−きょく」のじゅんに1つの わのようにつなぐと,電気の通り道ができて電気がながれ,明かりがつく。 2 「電気を通すもの発見器」を作ろう 身の回りの物(はさみ,消しゴム,スプーン,ゼムクリップ,ジュース缶など)から電気を通す物 を調べる活動を行う。このとき,下の右図のように「ソケットについた豆電球 」「乾電池 」「導線」 をつないだ物を空き箱に入れた「電気を通すもの発見器」を利用するとよい。 使用に当たっては,「発見器」の導線やくぎを絶対にコンセントに差し込まないよう指導する。 首に掛ける ひもを付け る。 左図の回路 を200ml 牛 乳パックに 入れる。 豆電球を上 から出す。 単一乾電池 乾電池ボックス 導線をつなぐ。 導線を出し先端にくぎを付ける。くぎの 先端は安全のため,やすりで丸くする。 活動後,電気を通す物と通さない物についてまとめる。 まとめ方の例 金ぞくは,電気を通す。ジュースかんなどは金ぞくの表面に電気を通さない物がぬってある。 - 24 - 9 じしゃくにつけよう 東京書籍3年 1月上旬∼2月中旬 8(11)時間 【単元の目標】磁石に付く物に興味をもち,いろいろな物に磁石を近付けて,磁石に付く物と付か ない物を判別し,磁石が鉄を引き付けることを知る。また,磁石は,磁石に付かない物が間にあって も鉄を引き付けることを,電気と比較してとらえることができるようにする。また,異極は引き合い, 同極はしりぞけ合うこと,鉄は磁石に付けると磁石のはたらきをもつようになることを調べ,磁石に ついての考えをもつことができるようにする。 学習活動とポイント項目 学習活動 時間 ポイント項目 第1次 じしゃくにつくものをさがそう 3(4)時間 ・電気を通す物を調べたことと関連づけながら,どんな物が磁石 2 1 導 入に つい て「 か ご に付くかを話し合う。 の 空 きか んを ,じ し ゃ ・身の回りの色々な物に磁石を近付けて調べ,磁石に付く物と付か くを使ってとりだそう」 ない物を見分ける。 ・磁石に近付けてはいけない物があることを知る。 ・鉄は,磁石に付くことを知る。また,磁石の端の部分が鉄をよ 1 2 極 を実 感さ せる た め く引き付けることを確かめ,その部分を「極」ということを知 ( 2) に る。 ・資料を読み,電気と違って,鉄との間に磁石に付かない物があ 3 さ鉄を集めてみよう っても,鉄を引き付けることを確かめる。 第2次 じしゃくのきょくのせいしつをしらべよう 2(3)時間 ・2本の磁石の極同士を近付けたときの様子について話し合う。 1 4 き ょく のせ いし つ を ・2本の棒磁石の極同士を近付けて,引き合ったりしりぞけ合っ 調べよう たりする性質を調べる。 ・磁石は,違う極同士は引き合い,同じ極同士はしりぞけ合うこ 1 4 き ょく のせ いし つ を とをまとめる。 ( 2) 調べよう ・極同士の性質を利用して極を判別することができることを知り, しるしのない磁石の極を調べる。 ・資料を読み,磁石のN・Sや,方位磁針が磁石の性質を利用し た物であることを知る。 第3次 じしゃくについた鉄をしらべよう 2(3)時間 ・磁石につながってついた2本の鉄のくぎが,磁石から離しても 1 つながっている様子を観察し,磁石に付けた鉄のくぎが磁石に ( 2) なっているかを調べる。 ・磁石につけた鉄は,磁石のはたらきをもつようになることをま 1 とめる。 ・資料を読み,強い磁石を使って,方位磁針作ったり,直したり 5 方 いじ しん のひ み つ する。 を調べよう 第4次 じしゃくがつかわれているものをさがそう 1時間 ・磁石を使った物を,身の回りの物から探してみる。 1 1 導入について 「かごの空きかんを,じしゃくを使ってとりだそう」 形や大きさの違うアルミニウム缶とスチール缶を数個づつ混ぜてかごに入れ,磁石を使って取り出 してみる。磁石に付く缶と付かない缶があることから,金属でも磁石に付く物と付かない物があるこ とを実感させ,身の回りでも磁石に付く物と付かない物があるか調べようとする意欲を高めたい。 気付いたことの例 これから学習すること ・じしゃくにつくかんとつかないかんがある。 ・金ぞくでもじしゃくにつくものとつかないものがある。 ・かんのひょうじが,「スチール」と「アルミ」とにな っている。 ・いろいろなものにじしゃくを近づ けて,じしゃくにつくものとつか ないものに分けよう。 ・金ぞくはどれもじしゃくにつくの ・鉄でできているかんがつくのだと思う。 ・空きかんだけでなく,他のものもためしてみたいな。 - 25 - だろうか。 発問例や予想される児童の反応例 ワークシート例 ○じしゃくの決まりを見つけよう。 じしゃくにつくもの,つかないものしらべ ○教室やみの回りにあるものにじしゃくを近づ けて,つくかつかないかしらべてみよう。 しらべるもの ○けっかを予想し,記入してからじっけんして ゼムクリップ みよう。 予想・わけ ○ 金ぞくだから アルミニウムはく ○ 金ぞくみたいだから ○電気を通すものとのちがいはあるのかな。 じしゃくにつくものには,何かきまり があるのかな。 くぎ ○ 金ぞくだから はさみ × にぎるところはつかない けしゴム × 金ぞくではないから 紙 × けっか ○ × ぴかぴか光るものはつくんじゃないかな。 わかったこと,気づいたこと 電気を通すものは,じしゃくにも つくんじゃないかな。 じしゃくは鉄でできているものを引きつける。 まとめ方の例 ・じしゃくは鉄でできているものを引きつける。 ・電気を通してさらにじしゃくにつくものがある,電気を通すがじしゃくにつかないものがある, 電気を通さずじしゃくにもつかないものがある。 ・じかにふれていなくても鉄を引きつける。 2 極を実感させるために 磁石の極について説明する際,次のような実験を行うと効果的である。 ②そっと磁石を持ち上げると,強く引 に磁石を置く。 3 きつける部分=極が確認できる。 じし ゃく のはじっこの方に たくさんついているね。 ①クリップや小さな釘を広げ,その上 さ鉄を集めてみよう 教科書p.72の「理科のひろば」では,磁石と付く物の間に,色々な物をはさんで,引き付ける力を 調べる実験が紹介されている。下のようにして砂鉄集めをすると,この性質を実感しながら楽しく活 動に取り組むことができる。 ①フィルムケースに掲示 用の磁石を入れる。 ②ふたをして,砂場や校庭 の砂につける。 ③静かに持ち上げると砂鉄がつ き,ケースを上下にふると, 砂鉄が落ちる。 - 26 - 4 きょくのせいしつを調べよう 発問例と予想される児童の反応例 ワークシート例 ○じしゃくの一方のきょくを「Nきょく」といい, きょくのせいしつしらべ もう一方のきょくを「Sきょく」といいます。 ○「Nきょく」と「Sきょく」,ちがうきょくどう きょくの近づけかた けっか しを近づけたらどんなことがおこるでしょう。 NをSに近づける くっついた ○「Nきょく」と「Nきょく」,「Sきょく」と「S SをNに近づける くっついた きょく 」,同じきょくどうしを近づけたらどんな NをNに近づける はなれた ことがおこるでしょう。 SをSに近づける はなれた ○N,Sのしるしのないじしゃくにもきょくはある のかな。見つけるにはどうしたらいいでしょう。 わかったこと,気づいたこと ほかのじしゃくでも同じようになるのかな。 ためしてみたいな。 ちがうきょくを近づけるとくっつき, 同じきょくを近づけるとはなれた。 ふでばこやランドセルにもこのしくみが 使われているんだね。 まとめ方の例 きょくのせいしつしらべ ちがうしるしのきょくどうし おなじしるしのきょくどうし 引き合う しりぞけ合う ○NきょくとSきょくとでは引き合う ○NきょくとNきょく, SきょくとSきょくとではしりぞけ合う 5 ほういじしんのひみつを調べよう 学習で使用した磁石を水に浮かべたり,糸でつるしたり して自由に動くようにしておくと,やがてN極は北,S極は 南を指して止まる。これは,地球の北側(北極)がS極, 南側(南極)がN極になっていて,それぞれの極を引きつけ るためである。説明と合わせて,この実験を行うとより方 位磁針の仕組みが実感できる。 棒磁石をたこ糸でつるす - 27 - 1 あたたかくなると 東京書籍4年上 4月中旬∼5月上旬 5(7)時間 【単元の目標】春の生き物の様子に関心をもち,動物の出現や活動を観察して記録し,それらの 様子をとらえ,今後1年間の変化について調べていく見通しをもつことができるようにする。ま た,ヘチマやヒマワリの栽培を通して,暖かさの変化と植物の成長との関係を調べていくことが できるようにする。さらに,暖かさが増すと生き物の様子がどのように変化するかを予想し,次 の季節への活動の意欲をもつことができるようにする。 学習活動とポイント項目 学習活動 時間 ポイント項目 第1次 動物の活動のようすを調べよう 3(4)時間 ・教科書p.1∼3の写真を見たり,校庭や野原などの様子を見て回った 1 1 導入について りして,このごろの動物や植物などの様子について話し合う。 2 記録 カー ドに つ ・空気の温度の測り方や記録の仕方を学習する。 いて ・校庭や野原などにはどのような動物が見られるかを調べて,その様 2 子を記録する。そのときの空気の温度を測って記入する。 ( 3) 第2次 植物の成長のようすをまとめよう 1(2)時間 ・春に種をまく植物の,これからの育ち方と空気の温度との関係につ 1 3 ヘチ マの 種ま き いて話し合う。 ( 2) について ・ヘチマやヒマワリの種を栽培用ポットにまいて,記録をかく。そのとき の空気の温度を測って記入する。 ・葉が3∼4枚になったら,花壇に移植する。(課外) 第3次 記録を整理しよう ・動物や植物の観察記録を,個人別とクラス全体やグループ別でまと める。クラス全体で月表を作って,そこにカードをはったり,グル ープ別で新聞にまとめたりする。 ・動物や植物のこれからの変化を予想して,話し合う。 ・教科書の資料を読み,このごろのツバメの活動の様子について話し 1時間 1 4 記録 の整 理の 仕 方 【参 考】 屋上 まで 伸 びるヘチマ 合う。 1 導入について 教科書p.1∼3の写真や学校の周辺を見て「 寒いころとくらべて,どのようにかわっただろうか?」 と問い掛け,寒いころの様子と今の様子をくらべ,身の回りの動物や植物について気付いたことを発 表させ話し合う。その後,これからどのように変化するのかについて考えさせ,観察活動へと展開し ていく。 気付いたことの例 これから学習すること ・平地には寒かったころに見られた雪はまっ たくなく,あたたかそう。 あたたかくなると,こん虫などの動 ・木には小さい葉が見られ,サクラなどの花 物や植物のようすは,どのようになっ もさいている。 ているのか調べよう。 ・草が生えてきた。 - 28 - 2 記録カードについて 4年生では,季節ごとの自然の変化や生き物の様子,栽培するヘチマやヒマワリなど,1年間を通 して記録カードに観察した様子を記録していくこととなる。 学年末には本単元を含めた自然観察に関する内容をまとめる単元「生き物の1年をふりかえって」 がある。そのため,この春からかき始める記録カードを継続的にかき ,保管しておく必要がある。 児童は,同じカードを1年間通して使うことにより,観察方法をしっかり身に付けられ,観察結果を振 り返る材料ともなるので学習に有効である。 記録カードの例 日付,時間,天気,気温, 場所などしっかり記録す る。 スケッチ後,斜線部分な どにスケールを入れさせ ると大きさの記録にもな る。 3 ヘチマの種まきについて ヘチマは熱帯性の植物であり,発芽適温が30℃と高いので,気温が高くならないと発芽しない。そ こで,種をまく場合には,種をまいた栽培用ポットや鉢を,できるだけ日当たりがよく,冷たい風が 当たらない室内などに置く。例えばビニールでおおいをすることでも発芽を促進できる。 さらに,ヘチマの種皮は厚く,なかなか発芽しないことがあるので,下図のように種にニッパーな どで傷をつけると,発芽しやすくなる。発芽したとき,若干子葉に傷がつくことがあるが,その後の 苗の成長には影響はない。 この部分を カットする。 次に,傷をつけた種を底の平らな皿に重ならないよ うに並べ,1∼2日ほど水に浸し,十分吸水させる。 - 29 - 4 記録の整理の仕方 記録の整理の方法には,とじる方法,パンフレットのようにつないで広げられるようにする方法, ファイルに入れる方法など様々ある。どの方法も個人の記録を整理する方法としては,有効であるが, グループやクラスの記録としていつでも見返せる状態にしたい。そこで下図のように,大きな模造紙 に記録カードをはり足していく方法で掲示すると,成長の流れもつかめて効果的である。 ●植物の成長と昆虫の活動のようす 月を明記することでしっかりと 季節の変化をとらえられる。 記録カードをはる。 調べた植物,動物ごとにまとめる。 【参考】屋上まで伸びるヘチマ 学級園などのヘチマ棚の高さは 2mくらいが一般的である。しか し,すぐに茎は棚の上に達して, 横に這い始め,ほかの茎にからま ってしまい,観察しづらくなる。 そこで,ヘチマの茎を横に這わ すのではなく,上に伸ばすように してみる。これにより,ヘチマの 茎の成長の様子が子供たちにとっ てとても分かりやすいものになる。 また,緑のカーテンは夏の暑さ 対策にもなり,環境教育としても 有効な教材である。 茎が伸びないうちに 屋上とヘチマ棚をロ ープで結ぶ。ロープ のマスの間隔を50cm にすると長さが測り やすい。 - 30 - 2 電気のはたらき 東京書籍4年上 5月中旬∼6月中旬 10(12)時間 【単元の目標】乾電池とモーターで走る自動車を作って走らせるなかで,前に,速く走らせるには どうしたらよいかに問題をもち,乾電池のつなぎかたや数を変えてモーターの回り方を調べ,電流の 向きや強さの変化と,電気のはたらきの変化を関係付けてとらえることができるようにする。また, 光電池は光が当たると電気を起こすことを知り,光電池で動く自動車やおもちゃを作って,動かすこ とができるようにする。 学習活動と対応する項目 学習活動 時間 ポイント項目 第1次 自動車を走らせよう 3(4)時間 ・モーターを乾電池につないで,軸に触れてみる。 2 1 導 入に つい て「 手 作 ・乾電池とモーターで走る自動車を作り,自動車が前に進むよう りせん風機を作ろう」 に乾電池をつないで,走らせる。 ・ 「回路」と「電流」について知る。 ・乾電池のつなぐ向きを変えると,モーターの回る向きや電流の 1 2 電 流の 向き とモ ー タ 向きがどうなるかを,モーターの軸に触れたり,検流計を使った ( 2) ー の 回る 向き との 関 係 りして調べる。 を調べよう 第2次 自動車をはやく走らせよう 3時間 ・作った自動車を走らせ,もっと速く走らせるにはどうしたらよ 1 3 モ ータ ーを はや く 回 いかを考える。 す た めに は, かん 電 池 ・乾電池2個をどのようにつなぐと,自動車が速く走るようにな を ど のよ うに つな い だ るかを調べる。 らよいだろう ・乾電池の直列つなぎと並列つなぎについてまとめる。 1 ・乾電池が1個のときと2個直列つなぎ・並列つなぎのときの, 1 電流の強さと豆電球の明るさを調べる。 第3次 光電池のはたらきをしらべよう 4(5)時間 ・乾電池はやがて消耗するので,弱まらない電池はないか,身の 1 【参考】光電池について 回りの光電池について話し合う。 ・光電池に当てる光の当て方を変えて,モーターの回り方を調べ る。 ・光電池は光の強さや当たる角度によって,はたらきが変わるこ 1 とをまとめる。 ・光電池の利用の資料を読み,エネルギー(電気)と環境につい て話し合う。 ・光電池で動く自動車やいろいろなおもちゃを工夫して作り,動 2 かして遊ぶ。 ( 3) ・ 「たしかめよう」を行い,電気のはたらきについてまとめる。 1 導入について 「手作りせん風機を作ろう」 電気のはたらきで動く「手作り扇風機」(写真)は,乾電池とモー モーター 乾電池ボックス ター,ペットボトル,画用紙などの身近な材料で簡単に製作すること ができる。また,その後の電流の向きとモーターの回る向きとの関係 を調べる実験や,乾電池のつなぎ方による電気のはたらきの大きさを 調べる実験にも利用することができる。 製作前に ,「乾電池の+極」「導線 」「モーター」「導線」「乾電池の −極」と順に一つの輪ができるようにつなぐと,電気の通り道である 「回路」ができることを確認する。このとき,モーターの軸に触れさ せ,電気のはたらきでモーターが動くことを実感させる。 画用紙 - 31 - ペットボトル 「手作り扇風機」製作例 モーターをペットボト ルのふたにセロハンテ ープで固定する。 画用紙で作 ったはねを モーターの 軸にセロハ ンテープで 固定する。 乾電池を入れた乾電 池ボックスをペット ボトルに輪ゴムで固 定する。 はさみで切 れ込みを入 れ,折り曲 げる。 クリップを導線に付 け乾電池と乾電池ボ ックスの間に挟んだ り抜いたりする(ス イッチ)。 まとめ方の例 電気の通り道を回路 といい,電気の流れを電流 という。 2 電流の向きとモーターの回る向きとの関係を調べよう 電流の向きとモーターの回る向きとの関係を調べる活動では,下図のように「手作りせん風機」と 検流計をつないで実験するとよい。 はじめに,電流を流し,モーターの回る向きと検流計の針の振れ方を調べる。次に,乾電池の向き を変えて電流を流すと,モーターは先ほどとは反対の向きに回り,検流計の針も反対に振れる。 検流計は,針が目盛り板中央の0点にくるようになっている。切りかえスイッチには5A(アンペ ア)と0.5Aがあり,今回の実験では0.5A(「 モーター,まめ電球」の方)に切り替えて使う。また, 検流計は,正確な電流量を調べるのではなく,電流の有無や強さを比べる「目安」として活用し,検 流計に乾電池だけをつながないように注意する。 実験のポイント モーターは 反時計 モ ータ ーは 時計 回り に回る。 回り に回る。 乾電池 の向きを 変えると 検流計の針は 検流計の針は +極 −極 左側に振れる 。 −極 +極 右側に振れる 。 まとめ方の例 かん電池の向きを変えると,回路に流れる電流の向きが変わり,モーターの回る向きが変わる。 - 32 - 3 モーターをはやく回すためには,かん電池をどのようにつないだらよいだろう 乾電池のつなぎ方による電気のはたらきの大きさを調べる活動では,「モーターをもっとはやく回 すためには,かん電池2こをどのようにつないだらよいだろうか」と問い掛け,乾電池2個のつなぎ 方のパターンを話し合わせる。 予想される児童の反応例 (1) +極と−極をつなぐ。 (2) +極と+極をつなぐ。 (3) −極と−極をつなぐ。 (4) +極同士, −極同士をま とめてつなぐ。 話し合いで出されたパターンについて,下図のように「手作りせん風機」と乾電池をつなぎ,確か める実験をする。なお,実験後,乾電池の+極と−極をつなぐつなぎ方を「 直列つなぎ」,+極同士, −極同士をまとめてつなぐつなぎ方を「並列つなぎ」ということを紹介する。 導線にクリップを付 け,クリップ同士を つなぐようにする。 +極同士,−極同士をまとめてつないだ例 まとめ方の例 かん電池を直列につなぐとモーターははやく回るようになる。 へい列につなぐとモーターの回るはやさはほとんど 変わらない 。 【参考】光電池について 光電池の起電力は,日光の当たる角度や光の強さによって変化する ので,実験する際は,日光が光電池全面に直角に当たるようにする。 また,日光の強い時期や時間を選んで実験するとよい。 また,光電池は,2個を直列につなげば電圧は2倍になるが,電流 の大きさは同じである。したがって,モーターの回転数は変化しない。 逆に,光電池を2個並列につなぐと,電流の大きさは2倍になり,モ ーターは速く回る。乾電池の直列つなぎ,並列つなぎと逆の現象が起 こるので,光電池の直列・並列つなぎの活動を行うと児童には混乱を 日光を直角に当てる 招く恐れがある。 - 33 - 3 暑くなると 東京書籍4年上 6月中旬∼6月下旬 4(6)時間 【単元の目標】春に予想した生き物の様子を想起し,このごろの動物の活動や植物の成長の様 子を観察して記録し,春のころと比較して,それらの変化が暖かさと関係があるのではないかと 推論できるようにする。また,これまでの観察を基に,季節が変わると生き物の様子がどのよう に変化するかを予想し,次の季節への活動の意欲をもてるようにする。 学習活動とポイント項目 学習活動 時間 ポイント項目 第1次 動物の活動のようすを調べよう 2(3)時間 ・教科書p.26∼27の写真を見て,春のころの様子と比べながら,この 2 1 導入について ごろの動物や植物などの様子について話し合う。 ( 3) ・校庭や野原などで見られる動物の活動の様子を観察して,記入する。 2 アゲ ハの 飼育 に そのときの空気の温度を測って記録する。野外観察だけで分からな ついて いことは,図鑑やインターネットなどで調べる。 ○動物の数や種類と活動の様子 ○動物の成長の様子など ・春の記録と比べ,このごろ動物が多く見られるようになってきたわ けを話し合う。 ○暖かさはどうか。 ○食べ物はどうか。 第2次 植物の成長のようすをまとめよう 1(2)時間 ・育ててきたヘチマやヒマワリの様子を観察して,記録する。そのと 1 3 ヘチ マの 栽培 に きの空気の温度を測って記入する。 ( 2) ついて ・これまでのヘチマやヒマワリの観察記録と比べて,育ちかたと空気 の温度との関係について考える。 第3次 春と夏の記録をくらべよう 1時間 ・記録カードを整理する。 1 4 記録 カー ドの 記 ・これまでの記録を比べて,動物や植物の様子の変化を暖かさと関係 入について づけて考え,それらのこれからの変化を予想して話し合う。 ・資料を読み,このごろのツバメの活動の様子について話し合う。 1 導入について 教科書p.26∼27の写真や学校の周辺を見て「春のころとくらべて,植物や昆虫などの様子はどのよ うにかわっただろうか?」と問い掛け,春の様子を思い浮かべながら今の様子と比べ,身の回りの動 物や植物について気付いたことや予想したことを自由に発表させ話し合う。その後,これからどのよ うに変化するのかについて考えさせ,観察活動へと展開していく。 気付いたことの例 これから学習すること ・春のころより,緑が多くなった。 ・いろいろな昆虫が見られると思う。 暑くなると,こん虫などの動物や植 ・アゲハやカマキリの成虫もいるんじゃない 物のようすは,どのようになっている かな。 のか調べよう。 ・ツバメのひなも大きくなってる。 - 34 - 2 アゲハの飼育について 教科書p.28∼29「1 動物の活動のようすを調べよう」には,動物の例として,アゲハ,ヒキガエ ル,ナナホシテントウ,オオカマキリ等が取り上げられ,昆虫が集まる野原の挿絵も載せられている。 ここでは,アゲハの飼育例について解説する。 ○アゲハについて 成虫の寿命は2∼4週間程度で,雌はこの間にサンショウやミカ ンなどの柑橘系( ミカン科)の葉に100 個くらいの卵を産み付ける。 卵は幼虫・さなぎを経て,約45日で成虫になる。 ○アゲハの飼育例 ①卵・幼虫の採取 春から秋に,幼虫のえさになる植物(サンショウ やミカンなどの柑橘系やセリの葉の裏側など)を探 せば卵や幼虫が見つかる。見つけたら葉ごと持ち帰 り,飼育箱に入れる。 ②幼虫の飼育 卵や1齢幼虫のときは小さな飼育箱でもかまわないが,5齢幼虫は1齢 幼虫の100倍もえさを食べるので,大量のえさが入る大きな飼育箱を用意す る。えさの不足は成長に影響するので,えさを切らさないように注意し, えさの入れ替え,ふんの清掃を毎日行い,飼育箱を常に清潔にしておく。 幼虫には,直接触れないようにし,移動させる場合は,水をしみこませた 筆につかまらせると幼虫を傷つけずに移すことができる。 幼虫が落ちないように綿 をびんの口に詰める。 さなぎになるための 木を入れる。 びんに餌をぎっしりと束 にして立てる(セリやに んじんも食べる)。 ③さなぎについて さなぎになったら絶対に触らない。春から夏の間,さなぎは2週間ほどで 成虫になる。秋にさなぎになったもの(休眠さなぎ)はそのまま冬を越すの で,飼育箱を日の当たらないベランダなどに置く。2週間ほどで羽化するさ なぎと越冬するさなぎの違いは,幼虫のときの気候による。短日条件(短日 =昼の長さが夜よりも短いこと)で飼育すると休眠さなぎとなり,寒い季節 を過ごさないと羽化しない。 ④成虫について アゲハの成虫の飼育は難しく,すぐに死んでしまうことが多いので,観察が終わったら,すぐに外 へ放す。 - 35 - 3 ヘチマの栽培について この時期になるとヘチマも成長し,観察への関心や意欲も高まる。しかし,夏場に向けて成長がう まくいかず,本来のあるべき姿の観察ができない場合もある。そこで,ヘチマの栽培について解説す る。 ○追肥について ヘチマを栽培ポットから花壇に植え替えをして10 日位したら,トマトやキュウリ栽培と同じ化成肥料 を施す。一株10g位を苗から少し離して施す。日照 時間が長くヘチマの葉や茎の成長が盛んな時期は, 光合成が活発なので追肥してやると非常によく育ち, 夏に大きく育つ様子をしっかり観察することができ る。しかし,多くやればいいものではなく,おおよ そ8月中旬までに10日間ぐらいの間隔で,3回ぐら い追肥を行う。 ○支柱について 支柱は,園芸店で売っているプラスチック・金 属製や竹で組むが,ヘチマの重量に耐えられるよ うにしっかり組む。つるが風でなびいて折れたり しないよう,伸びるにしたがって支柱にくくり, 固定する。カボチャのように地ばいにしても育つ が,大きく成長したヘチマを収穫することは難し い。しっかりとした支柱を用意することが大きな ヘチマを収穫する条件である。 ※ヘチマ棚の工夫については「あたたかくなる と」でも紹介しているので参考にしてほしい。 ○水について 水のやり過ぎは根腐れの原因ともなるので注意する。よく夏休みに係を決めて水をやったりするが, その際は朝方早くか夕方に水やりを行うようにする。日中に水やりを行うと,水が地面の熱によって 高温のお湯となり,ヘチマを弱らせる原因となる。 4 記録カードの記入について 記録カードは単元「 1 あたたかくなると」から同じ物を使用し, 年間の変化をしっかりとらえることができるようにする。本単元に おいて記録カードに記入する際のポイントは,以下の通りである。 記録カードに記入するポイント ・空気の温度を正確に測ることができているか。 ・茎の長さはどのくらい伸びているか。 ・葉の大きさはどのくらいの物であったか。 ・暖かさとどんな関係があるのか。 - 36 - 4 月の動き 東京書籍4年上 6月下旬∼7月上旬 3(4)時間 【単元の目標】月の動きに興味をもち,月を観察して記録し,月の位置を時間と関係付けて考え, 月は絶えず動いていることをとらえることができるようにする。また,これらの活動を通して,夜 空に輝く月の美しさや不思議さを感じとることができるようにする。 学習活動とポイント項目 学習活動 第1次 月の動きを調べよう ・教科書の写真や生活体験などを基に,月について話し合う。 時間 ポイント項目 3(4)時間 1 1 導 入に つい て「 昼 間 ・方位磁針の使い方を確認し,月の観察方法と記録の仕方を話し ( 2) 合う。 ・午後に上ってくる月を探し(上弦の月のころ),月の動き方を 予想する。 ・夕方から夜にかけて,半月の動きを観察して記録する。 ( 課外) ・半月の動きの観察結果を整理する。 1 ・半月の動きを,太陽の動きと関係付けながらまとめる。 ・6∼7日後に見られる満月の動きを予想し,観察して記録する。 (課外) ・満月の動きの観察結果を整理する。 ・形の違う月の動きを,太陽の動きと関係付けながらまとめ,月 で も 月を 見る こと が で きるのだろうか?」 2 月齢について 3 月の位置の調べ方 4 月の観察の実際 2 月齢について 【参 考 】ビ デオ カメ ラ を 活用した観察例 1 2 月齢について の動きのきまりを話し合う。 ・月の形についての資料を読み,いろいろな形の月について話し 合う。 ・ 「 たしかめよう」を行い,月の動きについてまとめる。 1 導入について 「昼間でも月を見ることができるのだろうか?」 教科書では,夜間の月の観察を中心に説明している。ここでは教師と児童が学校で一緒に観察でき る方法について解説する。昼間に月を観察させるためには,半月(上弦の月,下弦の月)のころをね らう。「昼間でも月を見ることができるのだろうか?」と児童に問い掛け,自由に意見を言わせてい く中で月への興味や観察への意欲を高めたい。 発問例と予想される児童の反応例 ○昼間でも月を見ることができるのだろうか。 月は夜に出てくるものなので 見ることはできないと思う。 上弦の月 下弦の月 (左半 分が欠 けてい る月) (右 半分 が欠 けてい る月 ) 月齢が6∼9なら, 午後に観察できる! 月齢が21∼24なら, 午前に観察できる! 朝,学校にくるときに見たこ とがあるよ。だから見られる と思う。 ○校庭に出て見えるかどうか確かめてみよう。 - 37 - 2 月齢について 月の満ち欠けの度合を「月齢」といい,約29.5日の周期がある。月が見えない「新月」を月齢0と し,満月の月齢は15となる。その日の月齢や月の出,月の入りの時刻を知ることで月の形や月の見え る位置を知ることができる。月齢を知るための方法としては,月齢の載ったカレンダー「太陽・月・ 星のこよみ」(財団法人国際文化交友会発行)や「国立天文台」のホームページ,「ヤフー!きっず」 のネットサイト,新聞の県内版(毎日掲載されている),などを参考にする。 新月 0 上弦 満月 下弦 新月 7 15 21 29.5 3 ○月の見え方 (1) 月齢6∼9のころ (2) 月齢15(満月)のころ 約90° 東 南 (3) 月齢21∼24のころ 約90° 約180° 西 東 南 西 東 南 西 ・太陽から約90°遅れて出てくる。 ・太陽から約180°遅れて出てくる 。 ・太陽 より約90° 早く出てく る。 ・午後 2時∼5 時ごろ, 南東か ら ・太陽が沈むころに出て,太陽が出 ・明け方∼ 11 時ごろ , 南西から 南の空に見える。 午後から夜間にかけて 月の観察に適している るころに沈む。 西の空に見える。 夜間から深夜の観察 になってしまう ○月齢から分かること 2007年6月22日(金)の例(国立天文台のホームページより) ・月齢 6.5 ・・・・・・ほぼ上弦の月 ・月の出時刻 11:16・・・月が出る時刻が午前11時20分ごろ ・月の入り時刻 23:29・・月が沈む時刻が午後11時30分ごろ 早朝から午前にかけて 月の観察に適している ・およそ,12時間月は出ている。 ・月の出から6時間(12÷2)後の 午後5時20分ごろ,最も高く南側 に見える。 ・午後3時∼4時ころには,南東の 空に見える。 ※学習時期の6月下旬∼7月上旬は,宮城県においては梅雨の時期であり,昼間の 観察はほとんどでき ないことも考えられる。授業時間に限らず月の観察の機会をできるだけ多くもつように心掛け,で きれば学習時期より前の5,6月から観察できるチャンスをうかがっておくことも必要である。 【参考】上弦,下弦の月とは 上弦の月 下弦の月 弦 弓 弓 弦 - 38 - 地平 線に沈むとき の形で決まる。 半月の形を弓に見立てると,直線の部分が「弦」で曲線の部分が「弓」となる。地平線に沈むとき, 「弦」が上にくる形の月のことを「上弦の月」,「弦」が下にくる形の月を「下弦の月」とそれぞれ呼ぶ。 3 月の位置の調べ方 月の動きを調べるためには,位置を知る必要がある。位置を知るために は,「方位」と「高度」を調べることが大切である。 (1) 方位磁針で方位を調べる 方位磁針で読み取った方位を地面に書き,その中心に立って観察させる と観察場所が固定でき有効である。月の方位は月の真下にある地上物を目 印にするとよい。 (2) 握りこぶしで高度を調べる 水平の位置(地平線)から両腕をのばして両手の握りこぶしを使って縦 にして積み重ねていくと,水平から真上まではほぼ9個分になり,握りこ ぶし1個分が約10°の角度に相当することになる。 (3) 目標物を決めて調べる 方位と高度の調べ方が理解できたら,地上物の頂上や教室の窓にはった 月の図などを目標物にして,自分が決めた場所から正確に方位や高度が調 べられるように練習する。 4 南 東 西 北 約10° 月の観察の仕方 (1) 同じ場所で観察できるよう,校庭など立つ場所に方角や目印をつけておく(夜間に家で観察する場合 は,昼間のうちに場所や方角を確認するよう指導する)。 (2) 建物や木など目印になる物をかき( 教師が事前に 地上の様子をかいた記録カードを用意するとよい) 方位や高さに気をつけながら初めの月の位置を記録する(月の動きを予想し,矢印を示してもよい) 。 (3) 約1時間ごとに3回ほど調べて,月の形やかたむきに気をつけながら月の位置を記録する(予想 と比べる)。 ①午後(上弦の月)の観察 ②午前(下弦の月)の観察 午後2時ごろ,南東の空にある月を見つける。 午前9時ごろ,南西の空にある月を見つける。 月 の高 さ 月 の高 さ 60° 午後4時 40° 午後3時 60° 午前9時 午前10時 40° おおよその角度を表 示し ておいてもよい 午前11時 午後2時 20° 20° 南 南 東 西 方 位 方 位 【参考】ビデオカメラを活用した観察例 ビデオカメラで月を撮影し,月の動きを見せることも有効である。最近のビ デオカメラには長時間撮影することが可能な機種や録画と中断を繰り返しな がら一定時間撮影する「インターバル撮影」の機能を備えた機種も出回って いるので,手持ちのカメラを確認してみるとよい。 ※カメラを三脚に固定し,画面に建物や木など目印になる物を入れ撮影する。 ※2∼3時間撮影したものを早送りで児童に見せる。 - 39 - 5 星の動き 東京書籍4年上 9月上旬∼9月下旬 2(3)時間 【単元の目標】星の動きに興味をもち,星を観察して記録し,星には明るさや色の違う星があること をとらえることができるようにする。また,星の位置を時間と関係付けて考え,星は並び方を変えな いが,位置が変わることをとらえることができるようにする。さらに,これらの活動を通して,星の 美しさや不思議さを感じとることができるようにする。 学習活動とポイント項目 学習活動 時間 ポイント項目 第1次 星を調べよう 2(3)時間 ・教科書の写真から,はくちょう座とカシオペヤ座を探して,星 1 1 導 入に つい て「 教 科 の並び方や色,明るさについて話し合う。 ( 2) 書 の 写真 から はく ち ょ ・星座早見や星座カードの使い方を知る。 う ざ とカ シオ ペヤ ざ を ・教科書やカード,星座早見などを用いて,はくちょう座やカシ さがそう」 オペヤ座の形と動きの観察の方法と記録の仕方を話し合う。 2 星 座早 見( 盤) を 使 ・めあての星座を探して,星の並び方や動き,星の明るさや色を っ た はく ちょ う座 や カ 観察して記録する。(課外) シオペヤ座の探し方 【参 考 】星 座早 見( 盤 ) の使い方 ・星の動きの観察結果を整理する。 ・観察結果を基に,星には,いろいろな明るさや色があることや 星座の位置は変わるが星の並び方は変わらないことをまとめる。 ・天体観測についての資料を読み,最新の観測方法やその成果に ついて知る。 ・ 「たしかめよう」を行い,星とその動きについてまとめる。 1 導入について 1 「教科書の写真からはくちょうざとカシオペヤざをさがそう」 はじめに,7月単元「夏の星」で活用したデジタル教材「夜空を見上げよう」を使い,夏の星座に ついて振り返る。次に教科書p.44,45の写真を使い ,「はくちょうざやカシオペヤざをさがし,星を 線で結んでみよう」と問い掛け,はくちょう座とカシオペヤ座を探させ,星を線で結ばせる。その後, 星の並び方や色,明るさの違い 教科書p.44,45写真での主な星座の位置 について気付いたことを発表さ はくちょう座 せ,星には明るさや色に違いが ①はくちょうざをさがして あることをとらえさせる。 星を線で結んでみよう。 ②カシオペヤざをさがして 星を線で結んでみよう。 こぐま座 北斗七星 カシオペヤ座 44ページ 45ページ - 40 - デジタル教材 「夜空を見上げよう」 宮城県教育研修センター科 学巡回訪問ホームページ内に ある「デジタル教材」のペー ジからダウンロードすること ができる。 http://midori.edu-c.pref.mi yagi.jp/science/dejitaru/de jitaru.htm 2 星座早見(盤)を使ったはくちょう座やカシオペヤ座の探し方 星座早見(盤)で9月5日 午後8時頃の星空を調べると 図のようになる。 北 カシオペヤ座 ↓北極星 北 斗七 星 こぐま座 はくちょう座 こと座 デネブ→ 東 西 ←ベガ ペガスス座 夏の大三角 アルタイル→ わし座 いて座 さそり座 はくちょう座 南 (1) はくちょう座の探し方 ①南を向いた姿勢で,真上を見上げると明るい星が二つ見える。 ②東(左手)側の明るい星がはくちょう座のデネブで,尾の部分にある。 西(右手)側にある明るい星がこと座のベガである。 ③教科書巻末の星座カード「はくちょうざ」を利用し,十字形の星の並び を確認することができる。 (2) カシオペヤ座の探し方 ①北を向いた姿勢で,北東の方角(右手側)を見る。 ②水平の位置(地平線)から手を伸ばして握りこぶし三つ分(約30度)上 を向く。 ③教科書巻末の星座カード「カシオペヤざ」のように,英語のWの形を縦 にした明るい星の集まりがカシオペヤ座である。 【参考】星座早見(盤)の使い方 ①調べたい方位が下になるように,星座早見(盤)を持つ。 ②星座早見(盤)を頭上にかざす。真ん中が真上の空,円のふちが地 平線になる。 ※星座早見(盤)では空を見上げるように使うため,東西の位置が地 図とは逆になっている。 - 41 - カシオペヤ座 約3 0度 6 すずしくなると 東京書籍4年下 9月中旬∼10月上旬 6(7)時間 【単元の目標】夏に予想した生き物の様子を想起し,動物の活動や植物の成長の様子を観察して 記録し,夏のころと比較して,それらの変化が暖かさと関係があるのではないかと推論できるよ うにする。また,ヘチマとサクラなどの落葉樹の様子を対比して,ヘチマが枯れることと落葉樹 の葉が枯れ落ちることとの違いに気付き,さらに,寒くなると生き物の様子がどのように変化する かを予想し,次の季節への活動の意欲をもてるようにする。 学習活動とポイント項目 学習活動 第1次 動物の活動のようすを調べよう ・教科書p.1∼3の写真を見て,春から夏のころの様子と比べながら, このごろの動物や植物などの様子について話し合う。 ・校庭や野原などで見られる動物の活動の様子を観察して記録し,どこ が変わっているか,前の記録と比べる。そのときの空気の温度を測っ て記入する。野外観察だけで分からないことは,図鑑やコンピュータ などで調べる。 ○動物の数や種類と活動の様子 ○動物の成長の様子 など ・夏のころと様子が変わってきたわけを考えて,みんなで話し合う。 第2次 植物の成長のようすを調べよう ・育ててきたヘチマやヒマワリの様子を観察して,記録する。そのときの 空気の温度を計って記入する。 ・これまでのヘチマやヒマワリの観察記録を整理して,種まきから実が 熟するまでの変化を振り返り育ち方と空気の温度との関係をまとめる。 第3次 ヘチマとサクラをくらべよう ・植物のこのごろの様子から,植物の冬越しと生命のつながりについて話 し合う。ヘチマは,個体は枯れても,種で生命をつなぐことを知る。 ・このごろのサクラなどの落葉樹の様子を観察して,ヘチマと比べる。 ・記録カードを整理する。 ・これまでの記録を比べて,動物や植物の様子の変化を暖かさと関係づ けて考え,それらのこれからの変化を予想して話し合う。 ・資料を読み,このごろのツバメの活動の様子について話し合う。 1 導入について 時間 ポイント項目 2(3)時間 1 導入 に つい て 「 春や 夏 に比 べ て , 2 (3) ど う変 わ った だ ろ うか ? 」 2 季節を感じる野 外観 察 に つい て 2時間 【 参 考】 気 温の 確 認 2 方法 2時間 3 1 ヘチ マ の観 察 に つ いて ( ヘチ マ た わし ) 1 「春や夏に比べて,どう変わっただろうか?」 教科書p.2∼3の写真や学校周辺を見せて,「春や夏にくらべて,どうかわっただろうか?」と問 い掛けて,秋の様子をとらえさせる。しかし,写真を見ただけでは,細かな違いに気がつかず,話し 合いが停滞しがちである。そこで,教科書の上巻に載っている春の様子と夏の様子の写真も見ながら 話し合わせる。また,話し合いをまとめる場面では上巻p.1∼3,p.26∼27と下巻p.2∼3の写真を プロジェクターで大きく映し出し,互いの気付きを確認し合うための教材として活用する。 気付いたことの例 これから学習すること ・カマキリが成虫になっているよ。 すずしくなると,こん虫などの動物や植 ・虫の数がへってきているみたい。 物のようすは,どのようになっているのか ・葉っぱの色が黄色になってきているよ。 調べよう。 ・ヘチマは伸びなくなりかれてきている。 - 42 - 2 季節を感じる野外観察について 教科書p.4∼5では,その季節に野原で自生する植物を挿絵として紹介している。野外観察を行う 前にその挿絵の植物を探しておき,自生している場所や特徴など,その植物について説明をする。児 童はその説明を聞いて教科書に載っている植物が実際にあることを知り,関心をもち,自分でも探し たいという意欲が高まる。ぜひ児童と一緒に,図鑑やインターネットの資料を片手に野外観察を行い, 身の回りの自然に親しませてほしい。 ○教科書p.4∼5の挿絵の植物 ①ヤマハギ(p.4,中央の赤紫の花) マメ科の植物。アカマツ林中や森林の周縁部分,草地などに生育する。ヤ マハギの花は7月∼10月にかけて咲く。花の色は,翼弁は濃い紅紫色である が,旗弁や竜骨弁もやや色の濃いものが多い。茎は高さ2m近くになること もある 。「秋の七草」の一つ「ハギ(萩)」は,このヤマハギのことである。 宮城県の県花「ミヤギノハギ」は,枝がしだれるところからヤマハギとは異 ヤマハギ なる。 ② ノコンギク (p.4,中央から下にかけての青紫の花) キク科の多年草。山野に普通に生育するいわゆる野菊の一種。人家の周り の空き地,土手,道端などにも生育する。花期は8∼11月。茎の上部に多く の枝を出し,淡青紫色の頭状花をつける。 ノコンギク ③ オミナエシ (p.4∼5,中央の黄色の花) オミナエシ科の多年草。全国の草地や森林の周縁部分に普通に見られる植 物であったが,近年は少なくなった植物の一つである。名前の「オミナ」は 「美しい女性」の意味である。ままごと遊びではこの花を器に盛ってご飯(き な粉ご飯)に見立てていた。漢字では女郎花と書く。秋の七草の一つ。 オミナエシ 【参考】 気温の確認方法について 春,夏と秋の違いを気温を通してとらえる場面もあるが, これまでの記録を何らかの理由によりなくしてしまい,比較 ができない場合もある。ここでは,そのようなときに利用で きるホームページを紹介する。 気象庁のホームページ (http://www.jma.go.jp/jma/index.html) 気象庁→気象統計情報→気象観測(電子閲覧室)→ 地点毎 のデータの順に進むと上ページが表示され,最寄りの観測地 点(宮城県に20箇所)を選ぶことができる。検索内容選択で 「1日の毎時の値」を指定し,調べたい日付を入力し検索す ると,その日の気象データが1時間単位で調べることができ 便利である。 (宮城県内の観測地点) 駒ノ湯・気仙沼・鶯沢・川渡・築館・米山・志津川・加美・古川・雄勝・泉ケ岳・大衡 鹿島台・石巻・新川・塩釜・江ノ島・仙台・名取・不忘山・白石・蔵王・亘理・丸森・筆甫 - 43 - 3 ヘチマの観察について(ヘチマたわし) 実が成熟してきたヘチマを観察させるポイント ①秋になり,実が乾燥することによって重さがだんだん軽くなる変化をとらえさせる。 ②秋から冬にかけて,枯れてきたヘチマのつると,サクラなどの落葉樹の葉が枯れ落ちることとの 違いを比較させながら,継続して観察させる。 ③根もとを掘って,葉や茎だけでなく根も枯れていることを観察させ,植物の生と死についてサク ラなどと対比しながら理解させる。 ④実からこぼれ落ちる種の様子などを観察させることによって生命が伝えられていることをとらえ させる。 ヘチマたわしの作り方 ここでは,上述の④の活動後に,種を取った実からたわしを作る方法(ヘチマのすじとり)を紹介 する。作り方には,ヘチマの実がまだ青いうちに収穫して水につけて腐らせる方法と,ヘチマの実が 枯れて自然落下するまでつるにつけておく方法の二通りがある。前者は早めにヘチマを処理しなけれ ばならず,また,腐敗臭も気になるので後者について解説する。 実をつるから切り取らずに残しておくと,実はだんだん乾燥して軽くなり,表皮の色が茶かっ色に なってくる。やがて,実の下の穴から黒い種がこぼれるので,ヘチマの下にざるなどを置いて種を採 取しておく。 ①つるについた状態で,ヘチマの 実から種を採取する。 ②つるから切り離し,実を2ヶ月 程度乾燥させ,木づちでたたく。 ざる ③たわしでこすりながら水洗いす る。 ④よく水洗いしたら,つるして乾 燥させる。(完成) ひもや針金など でつるす。 ※ 漂白剤に一日ほど浸けておくと, 白色にすることができる。 - 44 - 7 もののかさと力 東京書籍4年下 10月中旬∼10月下旬 5(6)時間 【単元の目標】閉じこめた空気に力を加えたときの変化に問題をもち,空気でっぽうで玉を飛ば したり,注射器の中の空気のかさの変化を調べたりして,空気のかさと手ごたえの変化を関係付 けて考えることができるようにする。また,閉じこめた水に力を加えるとどうなるかに問題をも ち,空気と比較しながら調べたり,空気や水の性質を使ってものづくりをしたりして,力を加え たときの空気や水の性質についての考えをもつことができるようにする。 学習活動とポイント項目 学習活動 第1次 空気をとじこめよう ・空気を入れたポリ袋やプラスチックの入れ物などをおして,手ごたえ を感じる。 時間 ポイント項目 1時間 1 導 入 に つい て 「か 1 さ 袋 ロ ケッ ト を と ば そ う 」「紙 コ ッ プ ロ ケ ット 」 第2次 空気でっぽうをつくろう 1(2)時間 ・玉が遠くに飛ぶように,筒や玉などの材料を工夫して空気でっぽうを 作り,玉を飛ばしてみる。 1 ・玉が飛ぶときの,筒の中の空気や,後玉の位置を観察し,押し棒を押 (2) すと,筒の中の空気のかさが小さくなって,玉が飛び出すことをまと める。 第3次 空気はおされるとどうなるか 1時間 ・前時までの学習から,空気は力を加えるとかさが変わるのか,また, 2 空気と水を見分 おされたときの空気の性質に問題をもち,注射器に閉じこめた空気を けよう おして,かさと手ごたえの変化を調べる。 1 ・玉を水中に飛ばして,おし縮められた空気が前玉をとばしていること を確かめる。 ・空気は,おし縮められてかさが小さくなるほど,おし返す力が大きく なることや,この力で空気でっぽうの前玉が飛び出すことをまとめる。 第4次 水はおされるとどうなるか ・水は,力を加えるとかさが変わるのかについての問題をもち,注射器 に閉じこめた水をおして,空気と比べながら,かさや手ごたえの変 化を調べる。 ・空気と違って,水はおし縮められないことをまとめ,おされたときの 空気と水の性質の違いを整理する。 ・空気と水の性質を使って,ものを動かすおもちゃなどを作る。 ・ 「 たしかめよう」を行い,力を加えたときの空気や水の性質について まとめる。 1 2時間 1 3 浮 沈子 を 作 ろう 1 導入について「かさ袋ロケットをとばそう」「紙コップロケット」 単元の導入として,空気の入ったポリ袋などをおして空気の存在を確かめたり,手ごたえを感じた りする活動は教科書の中でも紹介されている。ここでは,児童が楽しく空気の存在を実感できる実験 例を2つ紹介する。 - 45 - (1)かさ袋ロケットをとばそう かさ袋に空気を閉じこめてみると細長いかさ袋の風船ができる(かさ袋はホームセンターで100 枚350円程度で売られている)。 ○作り方 ①かさ袋とモールを用意する。 ②かさ袋の口の開いている方から息を入れ膨らませる。 ③かさ袋が膨らんだら開いている口をモールで縛る。 「モール」を使った袋の閉じ方 モールで一度きつく縛り,余った部分を途中から折って束ね,さらにしっかりと縛る。この方法 だと空気が漏れにくく,たとえ漏れてしぼんだとしても,また空気を入れ直すことができるとい う利点がある。 ○飛ばし方 ①木製の棒などで強く押し込む(指でもよい)。 ②かさ袋に入った空気からの反発力を感じたら,かさ袋を支えている方の手を放す。 ③かさ袋ロケットが勢いよく遠くまで飛ぶ。 (2)紙コップロケット 簡単に作れて,導入に活用できる教材の例である。ダンボール箱に閉じ込められた空気がおし出 れることにより,紙コップロケットが発射される。 ○作り方 ←サークルカッター ダンボール箱 を両側から押 すとロケット が発射する。 ①ダンボール箱に紙コップ の口の直径の大きさにあ った穴をサークルカッタ ーなどでまるくあける。 ②紙コップの口を重ね てビニールテープで しっかり止め,ロケ ットを作る。 - 46 - ③ロケットをダンボ ール箱にセットし て完成。 2 空気と水を見分けよう 教科書p.14∼15の「空気はおされるとどうなるか」「水はおされるとどうなるか」を学習する際に, 以下のような実験器具を2本の注射器で作り,児童に空気と水の性質の違いについて気付かせる。 ○実験「空気?水?,どっちがどっち?」 発問例と予想される児童の反応例 ○2本の注しゃ器にはそれぞれ空気と水が入ってい ます。さて,どっちがどっちなのでしょうか。話し 合いましょう。 同じ形で中が 見えないから 分からない。 右がわはおせる けど,左がわは おせないよ。 おせるか,おせ ないかのちがい が答えのヒント かも。 グループごとに話合いをしたり,自分たちの考えを発表したりすることを通して,実験に対する関 心を高めさせるとともに,理科的な考えを深めさせることができる。また,発表させた後,注射器の 周りを覆っているカバーをはずし,確認しながら実験を行うと実験の結果についてしっかり理解させ ることができる。 ○実験器具の作成方法 ①注射器の先は2本と もビニールテープでし っかりふたをする。 準備物 ・ペットボトル2本 (お茶用ペットボトル2ç 用のものを利用) ・注射器2本 (30mç のプラスチック製 ※1本170円) ・アルミはく ・フィルムケース2個 ・プラスチック板1枚 ( 大きさ30cm× 15cmぐらい) ・ビニールテープ ・セロハンテープ ⑥作った④と⑤をビニー ルテープで固定する。 ②中に何が入っている か分からないように, 周りをアルミはくでお おう。 ⑤プラスチックの板にフ ィルムケースをビニール テープなどで固定する。 できあがり! ⑦②で作った注射器に 水と空気をそれぞれ入 れ,⑥のペットボトル の先に入れる。 - 47 - ③ペットボトルを切る。 必要なのは点線で囲んだ キャップ部分を切り取っ た上半分である。 ④切ったペットボトル をセロハンテープでつ なぐ。 3 浮沈子を作ろう ○浮沈子とは 空気 はおし縮められるが,水 はおし 縮められないという性質 を利用 したものである。ペット ボトルを手でおすと浮沈子(スト ロー)中の空気が縮み,体積が小 さくな るため浮力も小さくなり 沈む。 また,はなすと空気は元 の体積 に戻るため浮力も大きく なり, 浮沈子は上へと浮いてい く。 浮沈 子の動きが空気と水のか さの性 質を利用していることに 気付く ことができるようにする ため, 浮沈子には空気の体積変 化が見えやすいストローを利用す る。 ○準備物 ①ペットボトル(炭酸飲料用のもの)1個 ②水 ③折れ曲がるストロー 1本 ④大きなクリップ(長さ5㎝程度)1個 ⑤小さなクリップ(長さ3㎝程度)2個 500mçか1.5ç ○作り方 ①ストローの折れ曲がる所から約3cmの所を切り取り,そこに大きなクリップを1個付け,さ らに小さなクリップを2個付ける。 ②ストローを曲げてクリップを付けた状態で,そのままペットボトルに入れる。 クリップを付けたストロー ペットボトルをおすことによって沈む浮沈子 ※うまく沈まない(強い力が必要)ときはストローの中に入っている空気を少し減らすようにす るとよい。 - 48 - 8 もののかさと温度 東京書籍4年下 10月下旬∼11月中旬 6(8)時間 【単元の目標】フラスコやプラスチックの入れ物,試験管の中の空気を温める実験を通して,空気 は温められるとかさがどうなるかに問題をもち,空気の温度の変化とかさの変化を関係付けながら調 べることができるようにする。また,水も金属も,温度によってかさが変化するかに問題をもち,空 気と比較しながら調べ,ものの温度とかさの変化を関係付け,ものによる変化の仕方の違いをとらえ ることができるようにする。 学習活動とポイント項目 学習活動 時間 ポイント項目 第1次 空気はあたためられるとどうなるか 2時間 ・フラスコやプラスチックの入れ物,試験管に閉じこめた空気を 1 1 導 入に つい て「 せ っ 温める実験を行い,空気は温められるとどうなるかを話し合う。 け ん 水の まく をふ く ら ませよう」 ・空気は,温められるとかさが大きくなるかに問題をもち,試験 管に閉じこめた空気を温めたり冷やしたりして,かさの変化を 調べる。 1 2 試 験管 ,ガ ラス 管 , ゼ リ ーを 使っ て空 気 の か さ の変 わり 方を 調 べ よう 【参 考 】ゴ ム栓 をつ け た ガラス管の作り方 第2次 水はあたためられるとどうなるか 1(2)時間 ・水も,温められるとかさが大きくなるかに問題をもち,試験管 1 3 試 験管 とガ ラス 管 を の中の水を温めたり冷やしたりして,かさの変化を調べる。 ( 2) 使 っ て, 水の かさ の 変 ・空気も水も,温められるとかさが大きくなり,冷やされるとか わり方を調べよう さが小さくなること,水のかさの変わり方は,空気に比べて小 さいことをまとめる。 ・ 「考えよう」について話し合い,考えをまとめる。 ・資料を読み,棒温度計の仕組みについて知り,温度計作りを行 う。 第3次 金ぞくはあたためられるとどうなるか 3(4)時間 ・金属も,温められたり,冷やされたりするとかさが変わるかに 2 4 ア ルコ ール ラン プ や 問題をもち,金属球を熱したり冷やしたりして,かさの変化を ( 3) 金 属 球膨 張実 験器 の 取 調べる。 扱いについて ・アルコールランプなどの使い方を練習する。 ・金属も,熱せられるとかさが大きくなり,冷やされるとかさが 1 小さくなること,金属のかさの変わり方は,空気や水に比べる と小さいことをまとめる。 ・資料を読み,身の回りの金属の伸び縮みの例について知り,身 の回りの工夫について話し合う。 ・「 たしかめよう」を行い,温度によるもののかさの変化をまと める。 1 導入について 「せっけん水のまくをふくらませよう」 試験管の口にせっけん水の膜をはったものを手で温め, せっけん水の膜を膨らませる実験を行う。お湯を使わず, 手で温めるだけで十分なので,安全かつ容易に行うことが できる。 繰り返し実験をさせる場合は,試験管を数本用意し,冷 えている試験管を使うと膜が膨らみやすい。 手で温めると膜が膨らむ。 せっけん水 - 49 - 実験後 ,「なぜ,まくがふくらんだのでしょうか」と問い掛け,膜が膨らんだ理由を考えさせる。 予想される児童の反応例 ・あたためられて,空気が上の方にいくから。 ・あたためられて,空気が上がっていくから。 ・あたためられて,空気がふくらんだから。 このとき,空気の膨張する性質と,上昇する性質とを混 同した考えが出ることが予想される。その場合,写真のよ うに試験管を横にしたり,逆さにして,手で温める実験を するとよい。試験管の口を上にしたときと同じように,せ っけん水の膜が膨らむので,温められた空気は横や下の方 にもいくことを確認させ,空気の膨張する性質に気付かせ る。 さらに,発泡ポリスチレン(フォームポリエチレン)の 栓をしたフラスコをお湯につけると栓が飛び出す実験や, 空気を抜いたボールにお湯をかけてボールが膨らむ実験も 空気の膨張する性質に気付かせる実験として有効である。 栓をしたフラスコをお湯につけると 栓が飛び出す。 お湯をかけるとボールが膨らむ。 水でぬらした栓 2 試験管を横にしても,逆さにしても せっけん水の膜は膨らむ。 90%程度の空気量 試験管,ガラス管,ゼリーを使って空気のかさの変わり方を調べよう 空気を温めたり冷やしたりして,かさの変わり方を調べる実験では,教科書p.20のように試験管と ゴム栓をつけたガラス管をお湯に入れたり,氷水に入れたりしてかさの変化を観察する。 60∼70℃のお湯に入れたり, 氷水に入れたりする。 ゼリー ゴム栓付きの ガラス管 (30cm程度) ゼリーにガラス管を1cm程度さし, 真上に引上げ,ゼリーを挿入する。 ゼリーはゴム栓の上部に見えるよう に,ガラス管を傾けて移動させる。 ゼリーが最初に あった位置 カップめんの容器 お湯用と氷水用の 2つを準備する。 空気を閉じ込めた 試験管 ゼリーは100 円ショップな どで購入可 - 50 - ガラス管に挿入したゼリーの 上昇や下降は,中に閉じこめら れた空気のかさの変化が原因で あることを確認する。 ゼリーが最初に あった位置 上昇した ゼリー 下降した ゼリー 観察のポイント 試験管をお湯につけるとゼリ ーは上がり,氷水につけると 下がる。 まとめ方の例 空気はあたためられるとかさ が大きくなり,冷やすとかさ が小さくなる。 3 試験管とガラス管を使って,水のかさの変わり方を調べよう 水を温めたり冷やしたりして,かさの変わり方を調べる実験では,教科書p.21のように試験管とゴ ム栓をつけたガラス管をお湯に入れたり,氷水に入れたりしてかさの変化を観察するとよい。 60∼70℃のお湯に入れたり,氷 水に入れたりする。 水を入れた 試験管 はじめの水面の 位置に付けた印 上昇した 水面 下降した 水面 ゴム栓付きの ガラス管 (30cm程度) ※ゼリーは入 れない。 カップめんの容器 はじめの状態 温めた状態 冷やした状態 観察のポイント ・水も空気と同じように温度によってかさが変わる。 ・水も空気と同じように温度によってかさが変化するが,変化の度合いは,空気と比べると小さ い。 まとめ方の例 水も空気と同じように,あたためられるとかさが大きくなり,冷やされるとかさが小さくなる。 - 51 - 4 アルコールランプや金属球膨張実験器の取扱いについて 金属を温めたり冷やしたりしたときのかさの変化を調べる実験は,教科書p.23のように金属球膨張 実験器を用いて,アルコールランプで熱したり,水で冷やしたりしてかさの変化を確かめる。児童は, この実験で初めてアルコールランプを使うので,その取扱いについては教科書p.24を参考に指導する 必要がある。また,熱した金属球などの扱いにも十分注意させる必要がある。 ○アルコールランプの取扱いについて 使用前の点検 アルコールの補充 メタノールをろうとを使 い,ゆっくり注ぎ入れる。 本体に傷やひび割れがない か,アルコールは8分目ま で入っているか確認する。 ○金属球膨張実験器の取扱いについて 大きい輪の使用 十分な加熱 熱い金属球 金属球が通る大きな輪 小さい輪を使うと,球が輪 の中に入り,抜けなくなる ことがある。 金属球は膨張が小さいの で,時間をかけて加熱す る。 【参考】ゴム栓を付けたガラス管の作り方 (1) ガラス管を約30cmに切断する。 ① (2) ゴム栓に穴をあけ,ガラス管を差し込む。 ① ガラス管の直径より一回り 大きいコルクボーラーを準 備する。 目立てやすりを斜めに当 て,一箇所傷をつける。 ② 水で冷やしても金属球は, 余熱で熱くなっているの で,手で触らない。 ② ゴム栓にコルクボーラーを 垂直に当て,ゆっくり回し ながら穴をあける。 傷口が外側になるように握 り,親指で押しながら左右 に引っ張る。 ③ ③ 切り口はガスバーナーで熱 するか,目立てやすりで軽 く削り丸くする。 ガラス管の先とゴム栓に水 を付け,両手の間隔を狭く してゴム栓を回しながら差 し込む。 ※コルクボーラーは,ゴム栓やコルク栓の穴あけに使用す る。教材販売店で6本組で1,600円ほどで購入できる。 - 52 - 9 水のすがたとゆくえ 東京書籍4年下 11月中旬∼12月下旬 9(11)時間 【 単元の目標】水が沸騰するときの様子に興味をもち,水を熱して水蒸気になることを調べたり, 水面や湿った物から水が蒸発していること,空気中の水蒸気は水滴になって現れることや水は冷 やされると氷になることなどを調べたりして,水の姿の変化を温度と関係付けてとらえることが できるようにする。 学習活動とポイント項目 学習活動 時間 ポイント項目 第1次 水を熱しつづけるとどうなるか 4(5)時間 ・水を熱し続けたときの様子を観察して,気付いたことや疑問に思っ 1 導入について「水 を たことについて話し合う。 熱 し続けるとどうな る ・水を熱したときに出てくるゆげについて,予想を基に計画を立て, 2 か」 調べる。 (3) ・水を熱したときに出てくる泡について,予想を基に計画を立て, 調べる。 ・水を加熱したときの水の変化をまとめる。 1 2 水を熱したときに 出 て くるあわの正体は 何 だ ろう ・水が沸騰するときの温度と,沸騰後の温度変化について調べる。 1 第2次 水はふっとうしなくてもじょう発するのだろうか 2(3)時間 ・写真資料や生活経験を基に,水たまりや水槽の水のゆくえについ て話し合う。 1 ・入れ物におおいをした物としない物を,日なたと日陰に置いて, ( 2 ) 中の水がどうなるか調べる。 ・おおいをしない入れ物の水の量が減ることから,水は沸騰しなく 3 蒸発する水をつか ま ても蒸発することを確かめる。 え よう ・日なたの水の方が早く減ることから,温度と蒸発との関係につい 1 て考える。 ・資料を読み,ぬれたタオルから水が空気中に出ていくことを知る。 第3次 空気中の水じょう気は水にもどせるか 1時間 ・蒸発して空気中に出ていった水蒸気を水にもどす方法を考える。 ・冷やしておいた入れ物を外に出したときに水滴がつく現象を見て, 水滴がどこからきたか話し合う。 1 ・資料の写真から,空気中には水蒸気があり,冷やされると水にも どることを確かめる。 第4次 水はひやされるとどうなるか 2時間 ・水が氷になるときの温度を調べる。 1 ・資料を読み,水以外の物の姿の変化について知る。 【参 考】ペットボトル を ・ 「 たしかめよう」を行い,水は,温度によって姿を変えることを 1 使 って簡単にできる 実 まとめる。 験 - 53 - 1 導入について「水を熱し続けるとどうなるか」 水を熱したときに出てくるゆげや泡の様子を児童に観察させ,その後の学習計画を立てさせる。特 に水を熱したときに出てくる水蒸気の泡(気体)については,「中から出てくるあわは,空気だ」と いう考えをなかなか捨てきれないものと思われる。そこで,次のような空気と水蒸気の違いを比較す る実験を行うことで,水の中から出てくる泡(気体)が空気ではないことに気付かせたい。 準備物 ・・・300mlのビーカー,ポリプロピレン製の小さなカップ,加熱器具 ※ポリプロピレン製の小さなカップについて ・耐熱温度は120℃くらい。 ・大きさは,およそ直径5cm,深さ4cm,容量70ml。このサイズだと300mlのビーカーにも入る。 ・3∼4個で100円。百円ショップやホームセンターでも売っている。 ※加熱器具について 教科書では,アルコールランプを使って実験を行っているが,火力が弱いので水が沸騰するまで 時間がかかってしまう。この単元では,沸騰で出てくる泡を観察したり,集めたりする実験が多い ことから,火力の強いガスバーナーや理科実験用ガスこんろや電熱器を用いた方がよい。 実験の手順 (1) カップの中に空気が入らないように,ふせて水の中に入れる。 (2) 水を沸騰させ,泡がぼこぼこと出てくると,カップの中に泡(気体)がたまり,ある程度たまる とカップが浮かび,水面に出てくる。 (3) 加熱をやめ冷えてくると,カップの中の気体が消え,カップが沈む(つまり気体は水蒸気であるこ とが分かる)。 (4) カップの中に空気を入れて行った場合と比較させたりして,なぜカップの中の気体が消えたのか を考えさせる。 カップの中には空気が入らな いようにして,実験を行う。 水がふっとうしたらカップ がうかんできたよ。空気が 入っているのかな? 気付いたことの例 ・あわは空気だと思う。 ・カップにたまったあわは熱するのをやめたら消えてし まった。 ・空気を入れて同じようにやってもなくならなかった。 ・あわは空気ではない。 - 54 - 火を消したら中のあわが なくなっていくよ!空気 とは別のものかな? これから学習すること ふっとうした水の中から 出てくるあわの正体は何 だろう? (正体は水じょう気) 2 水を熱したときに出てくるあわの正体は何だろう 教科書p.31の実験では,ポリ袋に集めた水蒸気がストローを通る途中で冷やされることによって水 に戻る様子がよく観察できるが,これと合わせて,下の写真のようにろうとに直接ポリ袋をつないだ 実験装置により,ポリ袋がふくらんだりしぼんだりする様子が見られ,「水じょう気は目に見えない 気体」ということを実感させることができる。 自在ばさみに 袋とろうとを輪ゴムでつなぐ 袋をはさむ。 下図のように組み立てる ビーカーに は,少なめに お湯を入れる と袋の中に湯 が入り込ま ず,時間も短 縮できる。 加熱器具は,火 力の強いものを 使うとよい。 沸騰した水から, 水蒸気が発生し, ポリ袋ふくらむ。 3 加熱を止めると, ポリ袋がしぼみ, ポリ袋の中に水滴 ができる。 蒸発する水をつかまえよう 教科書p.35では,ふたをしない入れ物とふたをし た入れ物の水を同じ条件の場所に置き,ふたをしな い入れ物の方の水が減っていることから,水が空気 中に出ていったこと=蒸発について理解させる。 一方,ふたをした入れ物の方は,ふたのラップシ ートに付いている水滴に着目させることで,水の蒸 発が途中でさえぎられていることを児童に理解させ るが,右のように工夫することで,いわゆる「しけ る」という生活体験を基に,空間にある水蒸気の存 在をより実感させることができる。 - 55 - 割りばし,たこ糸,クリップを使って,ティッ シュぺーパーやお菓子などをぶら下げてみる。 【参考】ペットボトルを使って簡単にできる実験 「くもをつくってみよう」 水蒸気を含んだ温かい空気が上空で冷やされることにより,目に見える水や氷の粒になった ものが雲である。下のような実験を行うことで,雲のできる様子を簡単に再現することができる。 氷 実験の手順 ①1.5∼2 çペットボトルの上部を切ったものを準備する。 ②30℃ぐらいのぬるま湯200mçをペットボトルに入れる。 ③ペットボトルの上にポリ袋に入れた氷をのせる。 ④温かい水蒸気が冷やされ,白く曇る様子を観察する。 ぬるま湯 「お湯でペチャンコ」 水が水蒸気に変わると体積は大きくなり,逆に水蒸気が水に変わると体積は小さくなる。下 のような実験を行うことで,水と水蒸気の体積の違いを簡単に観察させることができる。 水をかける 実験の手順 ①1.5∼2 çペットボトルに70∼80℃ぐらいのお湯200mç を入れる。 ②ペットボトルの口から湯気が出てきたら,すばやくキ ャップのふたをする。 ※ペットボトルの中は,空気が水蒸気によって追い出さ れ,水蒸気が充満している状態になる。 - 56 - へこんだペットボトル ③ペットボトルに水をかけると,みるみるペットボトル がペチャンコになる様子が観察できる。 ※充満している水蒸気が冷やされ,水に変わることで体 積が小さくなり,ペットボトルがへこむ。 10 寒くなると 東京書籍4年下 1月上旬∼1月下旬 4(5)時間 【 単元の目標】秋に予想した生き物の様子を想起し,動物や植物の冬越しの様子を観察したり, 資料で調べたりして,秋のころと比較し,それらの変化が暖かさと関係があるのではないかと 推論できるようにする。また,春,夏,秋の記録と冬の記録とを比較し,生き物の様子の変化 と暖かさとを関係付けて考え,再び暖かくなると生き物の様子がどのように変化するかを予想 し,次の季節への活動の意欲をもてるようにする。 学習活動とポイント項目 学習活動 時間 ポイント項目 第1次 動物の活動のようすを調べよう 2時間 ・教科書p.42∼43の写真を見て,春,夏,秋のころの様子と比べ 2 1 導入について ながら,このごろの動物や植物などの様子について話し合う。 ・校庭や野原などの動物はどうしているかを観察して記録し,前 2 動 物の 冬越 し( 昆 虫 の記録と比べる。そのときの空気の温度を測って記入する。 や 動 物の 生態 につ い て 野外観察だけで分からないことは,図鑑やコンピュータなどで 調 べ るコ ンテ ンツ の 紹 調べる。 介) ・秋のころと様子が変わってきたわけを考えて,みんなで話し 【参 考 】ロ ゼッ トを 形 成 合う。 する植物 第2次 ヘチマとサクラをくらべよう 1(2)時間 ・落葉樹( サクラなど)の様子を観察して,枝先の様子などから, 1 3 植 物の 冬越 し( ヘ チ 枯れたヘチマの様子との違いを調べる。 ( 2) マ と 落葉 樹と の対 比 に ・ヘチマとサクラの冬越しの様子から,生命のつながりについて ついて) 考え,話し合う。 第3次 春,夏,秋,冬の記録をくらべよう 1時間 ・記録カードを整理して,暖かいころと寒いころとで動物や植物 1 の様子がどう違うか話し合う。 4 あ たた かい ころ と 寒 いころをくらべよう ・これまでの記録を比べて,動物や植物の様子の変化を暖かさと 関係付けて考え,それらのこれからの変化を予想して,話し合 う。 ・資料を読み,ツバメの冬越しの様子について話し合う。 1 導入について 教科書p.42∼43の写真を見て「秋のころとくらべて,どう変わっただろうか?」と問い掛け,p.2 ∼3に載っている秋の写真と比べながら,気付いたことを自由に発表させ,話し合わせる。その後, 身の回りの動物や植物はどのように冬を越すのか考えさせ,観察活動へと展開していく 気付いたことの例 ・山や川に雪がつもり,とても寒そ う。 ・草はかれてしまった。 ・木には葉っぱが見られない。 ・こん虫や動物などのすがたはまっ たく見えない。 これから学習すること ・こん虫や動物はどのようにして冬をこすか 調べよう。 ・葉が落ちたり,かれてしまった植物はどの ようにして冬をこすか調べよう。 - 57 - 2 動物の冬越し(昆虫や動物の生態について調べるコンテンツの紹介) インターネットで調べ学習を行う場合,様々なホームページを見るだけで時間が過ぎてしまうとい うことがよくある。昆虫や動物の生態について調べる場合でも種類は限られてくるので,効率よく学 習を行うためには,事前に内容の確認をしてから活用させるようにしたい。 調べ学習に有効なコンテンツ 「インターネット昆虫図鑑」 「TBS生物図鑑」 http://www.iip.co.jp/zukan/ 3 http://www.tbs.co.jp/seibutsu/zukan/ 植物の冬越し(ヘチマと落葉樹との対比について) 「このごろ,ヘチマやサクラなどの木のようすはどうなっているだろうか。かれてしまったのでし ょうか?」と児童に問い掛け,それぞれの様子について予想させてから観察を行う。 秋に実をつけて,種をつくったヘチマは,この時期になると,すっかり枯れてしまっている。 一方,サクラなどの落葉樹も葉を落とし,一見すると枯れたように見える。 ここでは,ヘチマとサクラなどの落葉樹の違いについて,冬越しの仕方と生命の伝えかたという視 点で,比較していくようにする。 ヘチマの観察のポイント ・葉や茎だけでなく,根も枯れている。 ・実も枯れて茶色になり,先端に穴があいて種がこぼれ落ちてく る。 ・ヘチマは枯れて死んでしまったが,種という別な物によって冬 を越し,生命が伝えられていくことを理解させる。 サクラやイチョウなどの落葉樹は,葉をすっかり落とし,枯れてしまったように見える。しかし, 近付いてみると,枝には,春になると芽吹く冬芽(ふゆめ,とうが)があり,秋のころよりも大きく なっていることに気付く。落葉樹を観察させる際は,この冬芽に着目させながら,冬越しの仕方をと らえさせるようにする。 サクラの観察のポイント ・葉が枯れ落ちて,樹形がはっきりと分かる。 ・葉のつけ根や枝先に,春になると芽吹く冬芽ができている。 ・葉は枯れ落ちているが,冬を越して,春になると花を咲かせる ことから,落葉樹が生きていることを実感させる。 ・ヘチマの様子と比較させながら,植物によっていろいろな冬越 しの仕方があることを理解させる。 サクラの冬芽 - 58 - 4 あたたかいころと寒いころをくらべよう 1年間を暖かいころと寒いころに大まかに分け,「1 あたたかくなると 」「3 暑くなると」「6 すずしくなると」での記録を基に,それぞれの生き物の様子の違いについて話し合う。さらに「12 生き物の1年をふりかえって」まで見通しをもって観察を続けられるよう児童の意欲付けを図る。 発問例やまとめ方の例 ○あたたかいころと寒いころとでは,生き物のようすはどのように違うのでしょうか。 ・見られる生き物の種類や数はどうなったでしょう。 ・あたたかさ(空気の温度)の変化と何かかかわりがあるのでしょうか。 ・観察したり,育ててきたこん虫や植物の記録をもとに考えてみましょう。 あたたかいころ 寒いころ(冬ごしのしかた) こん虫 アゲハ 夏のころはよう虫や成虫がたく 成虫は見られない,さなぎにな さん見られた って冬ごしをする カマキリ 春から夏にかけて,よう虫も成 成虫は見られない,たまごで冬 動 虫もさかんに活動していた ごしをする テントウムシ アブラムシを食べ,活発に活動 成虫のまま,落ち葉の下でじっ していた として冬ごしをする カブトムシ 暑い夏になると,成虫がたくさ 成虫は見られない,よう虫で冬 物 ん見られた ごしをする (鳥るい) ツバメ 春になると南からやってきて巣 秋のころ,南にわたりあたたか をつくり,ひなを育てていた いところですごす (両生るい) ヒキガエル たまごやおたまじゃくしが見ら 土の中にもぐり,じっとしてい れた る=冬みんして冬ごしをする ※動物によって様々な冬越しの仕方があることを理解させるために,ハチュウ類( トカゲ, ヘビ)鳥類(ハクチョウ)ホニュウ類(クマ,キツネ)等を例に挙げてみてもよい。 植 物 ヘチマ サクラ 温度が高くなるとよく成長した 夏に花がさき,実ができた 春になると花がさき,その後に 葉がたくさん出てきた ヘチマはかれてしまったが,た ねで冬ごしをする 葉はかれてしまったが,木は生 きたままで冬ごしをする わかったこと,気づいたこと ・動物や植物は,いろいろなすがたで冬ごしをする。 こん虫・・・たまご,よう虫,さなぎ,成虫のすがたで冬をこすものがいる 植物・・・たねや生きたままで冬をこすものがある。 動物・・・すみかを移動したり,冬みんして冬をこすものがいる。 ・あたたかいころは,動物はさかんに活動し,植物はよく成長する。 ・寒くなると,動物は数がへったり植物はかれたりする。 ・生き物の活動には,空気のあたたかさが大きくかかわっている。 ○これから,冬をこしてあたたかくなると,生き物のようすはどうなるのだろうか。 こん虫のたまごからはよう 虫がうまれ,さなぎから成 虫がうまれる。 ヘチマはめが出て,サ クラは花がさいて葉が 出てくると思う。 動物も植物も,きょ年 の春のころと同じよう になると思う。 ○さらに観察を続けていきましょう。 ※生き物にとっての1年間のサイクルが繰り返されていくという考えや予想を基に,観察を続 けていく。 - 59 - 【参考】ロゼットを形成する植物 教科書p.44∼45には,地面にへばりつくようになって冬越しをしている植物が示されている。 茎がなく,葉を平らに広げ,地表に接して円形になったこの形状のことを「ロゼット」と呼ぶ。 茎を作らないことでエネルギーの消費を押さえ, 葉を平らに広げることで効率よく光合成を行う ことができる。タンポポ,ヒメジョオン,ナズナ,ハハコグサなどはこうして冬を越す。 セイヨウタンポポ セイヨウタンポポのロゼット ヒメジョオン ヒメジョオンのロゼット ナズナ ナズナのロゼット ハハコグサ ハハコグサのロゼット - 60 - 11 もののあたたまりかた 東京書籍4年下 1月下旬∼2月下旬 9(11)時間 【単元の目標】生活場面や簡易実験から,金属の温まり方について問題をもち,金属は熱した所か らどのように温まっていくかを,見通しをもって調べることができるようにする。また,水や空気の 温まり方についての問題をもち,金属の温まり方と比較しながら調べ,水や空気と金属では温まり方 が違うことを,物の性質と関係付けてとらえることができるようにする。 学習活動とポイント項目 学習活動 時間 ポイント項目 第1次 金ぞくはどのようにあたたまるか 4時間 ・金属の温まり方について簡単な実験を行う。 2 1 導 入に つい て「 ど の ・金属は,熱い物に触れていない所も熱くなることから,金属は よ う にあ たた まる か 予 どのように温まっていくのかを予想し,教科書の図にかき込む。 想しよう」 ・金属の棒や板の一部を熱して,ほかの部分はどのように温まる 2 2 銅 製の 棒や 板と ロ ウ かを調べる。 を 使 った 金属 の温 ま り ・金属は,熱せられた所から熱が伝わって,順に,ほかの所が温 方調べ まっていくことをまとめる。 第2次 空気や水はどのようにあたたまるか 5(7)時間 ・水や空気の温まり方について,金属の温まり方と比較しながら 1 考え,予想する。 ・水と空気の,調べる順序とその方法を決める。 ・水を入れた試験管の下や上のほうを熱して,水の温まり方を調 1 3 サ ーモ テー プを 使 っ べる。 た水の温まり方調べ ・水は,上の方を温めても下の方が温まらないことから,水は温 1 められると上の方に動いていくのかに問題をもち,試験管に水 ( 2) とおがくずを入れ,下の方から熱して,水の温まり方を調べる。 ・部屋の上の方と下の方の温度を比べたり,電熱器に線香の煙を 1 4 水 槽と ロウ ソク を 使 近づけたりして,空気の温まり方を調べる。 っ た 空気 の温 まり 方 調 べ ・水と空気の温まり方について,まとめる。 ・資料を読み,空気の温まり方について話し合う。 ・ 「たしかめよう」を行い,物の温まり方についてまとめる。 1 導入について 1 ( 2) 「どのようにあたたまるか予想しよう」 「 生活の中で,物をあたためたり,物があたたまるのを見たりしたことがありますか」と問い掛け, 物を温めている場面を想起させる。出された意見を金属,水,空気に分類した後,具体的な場面を指 定して,金属,水,空気はどのように温まるか予想させ,学習の見通しをもたせる。 予想される児童の反応例 金ぞく 金ぞくのたまじゃく しが熱くなる場面 水 なべで水をわかす場面 空気 ストーブで部屋をあた ためる場面 熱 熱 ・ たまじ ゃく し全体 がすぐ あたたまると思う。 ・ たまじ ゃく しの下 の方か らあたたまると思う。 熱 ・下の 方からあ たたまる と 思う。 ・上の 方からあ たたまる と 思う。 - 61 - ・ 上の方か ら少し ずつあた たまると思う。 ・ ストーブ の近く からあた たまると思う。 2 銅製の棒や板とロウを使った金属の温まり方調べ 金属の温まり方を調べる場合,教科書p.52のよう ロウを薄く塗った銅板 (15cm×15cmが適当) にロウを薄く塗った金属の棒や板をスタンドに固定 スタンド し,アルコールランプで熱し,ロウの溶け方を観察 するとよい。 使用する金属は,銀の次に熱伝導率が大きい「 銅」 が適している。 棒の長さは30cm,板の大きさは15cm×15cmが適当 である。 アルコールランプと 金属のトレー 観察のポイント 金属棒 ロウが溶けた所は, 光って見える。 ロウが溶けていない 所は,輝きがなく, ロウのかけらが見え る。 金属板 熱 した 所 か ら 近 い 順に 温 ま る 。 熱した所から近 い順に温まる。 棒 を斜 め に し て も 熱し た 所 か ら 近い順に温まる 。 金属 が 切 られ た 所は 熱 が 伝わ ら ない。 まとめ方の例 金ぞくは,熱したところから熱が伝わって,順にほかのところがあたたまっていく。 ○代用品の例 銅製の板がすぐに手に入らない場合,次のような物を使って実験を行うこともできる。 ①一斗缶や菓子箱などのふたを使った実験 ②アルミニウムのトレーを使った実験 アルミニウムのトレーだと,金属 三脚4台に乗せて熱する。 板に比べてコの字型も簡単に加工 できる。 - 62 - 3 サーモテープを使った水の温まり方調べ 水の温まり方を調べる場合,教科書p.55の「サーモテープで 調べる方法」が,温まり具合が視覚的に分かるのでよい。試験 管を10秒ほど熱し,火から離し様子を観察する。サーモテープ サーモテープを 入れた試験管 試験管ばさみ の色の変化が見られるまで加熱と火から離す操作を繰り返す。 なお,沸騰しそうになったら,すぐに加熱をやめる。また, 試験管の口をのぞいたり,人のいる方に向けたりしてはいけな アルコールランプと 金属のトレー い。 サーモテープは,決められた温度になると色が変わるテープで,50℃で色が変わるものが適当で ある。教材販売店で2cm×20cm,5枚入の物を1,900円ほどで購入できる。サーモテープは試験管の 長さに合わせて切り,耐久性をもたせるためラミネート加工してから使うとよい。 観察のポイント 試験管の下の方を熱した場合 試験管の上の方を熱した場合 ・はじめは試験管の下 の方が熱く,黄色か ら赤色に変わる。 ・しばらくすると上の 方も熱くなり,黄色 から赤色に変わる。 ・試 験管 の上の 方が 熱 く, 黄色か ら赤 色に変わる。 ・下 の方 は冷た いま ま で, 黄色か ら変 わらない。 まとめ方の例 水は,下の方をあたためたときは,上の方もあたたまるが,上の方をあたためたときは,下の方 はあたたまらない。 ○うがい薬(ヨウ素が含まれるもの)と画用紙を使った手作りサーモテープ ① ② ③ 加熱済 未加熱 ① うが い 薬 ( ヨウ 素 が 含 まれ る ② 水 を入 れ た 試 験管 に , ① の画 ③ 試 験 管を 上 記 の 方法 で 熱 し 画 も の )を 5倍 に薄 め た溶 液 を , 用 紙を 入 れ る 。画 用 紙 は 濃い 用 紙 の色 の 変 化 を観 察 す る 。 試験 管 の 大 きさ に 切 っ た画 用 紫 色に 変 わ る 。加 熱 後 の 色を 水 が 温ま っ た 試 験管 の 上 部 と 紙に 塗 り , よく 乾 燥 さ せる 。 比 較す る た め に同 じ 物 を 2本 下部 は 画用 紙 が白 色に 変 わる 。 用意 する 。 ※ うがい薬と画用紙を使った手作りサーモテープは,一度しか使えないので多めに作っておく。 ※ 画用紙には,繊維同士を結び付けるためにデンプンが使われている。画用紙に,ヨウ素を含むうがい薬を塗ると 紫色になるのはこのためである。これを加熱すると,デンプン分子からヨウ素分子が外れるため白色になる。 - 63 - 4 水槽とロウソクを使った空気の温まり方調べ 空気の温まり方を調べる場合,部屋に見立 板をアルミニウムはくで包んだふた てた水槽と,ストーブに見立てたロウソクを 使って実験をするとよい。 水槽内には温度計を上部と下部にセロハン テープで固定し,粘土に立てたロウソクと線 香を隅の方に置く。ふたは板をアルミニウム はくで包んだものを用いる。上部と下部の空 粘土に立てた ロウソクと線香 気の温度の上がり方を比べたり,線香の煙で 温度計 空気の動き方を観察したりする。 水槽 観察のポイント ロウソクに火をつけない場合 ロウソクに火をつけた(温めた)場合 22℃ 17℃ ・空 気の温 度は上 部も,下 部も変 わらな ・空 気の温度 は,上 部が下部 にくらべ高 い。 くなる。 ・線 こうの けむり は,ゆっ くり動 き,水 ・線 こうのけ むりは ,ロウソ クに近い所 そう全体に広がる。 ( あたため られる )では勢 いよくのぼ り ,水そう の側面 付近(冷 やされる) では下へさがる。 ・線 こうのけ むりが ぐるぐる 回っている ように見える(空気の対流 )。 まとめ方の例 空気は水と同じように,あたためられると上に動き,上にある温度の低い空気は下に動く。 - 64 - 12 生き物の1年をふりかえって 東京書籍4年下 2月下旬∼3月中旬 5(6)時間 【単元の目標】冬に予想した生き物の様子を想起し,冬越しをした動物の活動の様子を観察して 記録し,冬のころと比較して,それらの変化が暖かさと関係があるのではないかと推論できるよ うにする。また,1年間の記録をまとめて,生き物の様子の変化と暖かさとを関係付けて考える ことができるようにする。 学習活動とポイント項目 学習活動 時間 ポイント項目 第1次 動物の活動のようすを調べよう 2時間 ・教科書p.60の写真を見て,冬のころの様子と比べながら,このご 2 1 導入について ろの動物や植物の様子について話し合う。 「冬のころと比べて」 ・校庭や野原などで,いろいろなすがたで冬越しをしていた動物の このごろの活動や出現の様子を観察して記録し,前の記録と比べ る。そのときの空気の温度を測って記入する。 ・冬のころと様子が変わってきたわけを考えて,みんなで話し合う。 第2次 1年間の生き物のようすをまとめよう 3(4)時間 ・各自でこれまでの記録を整理して,それぞれの生き物の各季節に 2 2 1年 間の 生き 物の 様 おける変化の要点をまとめる。 子のまとめ方 ・クラス全体やグループ別に,1年間観察してきた生き物と空気の 温度の記録を整理する。 ○動物の記録 ○ヘチマやヒマワリの記録 ○サクラの記録 ○学校の周りの様子 ・整理した記録を基に,それぞれの生き物の主な変化を発表し合い, それを空気の温度の変化と結びつけて話し合う。 ・春,夏,秋,冬,早春の生き物の変化を振り返り,生命のつなが 1 3 生き物の1年のくら りについて考える。 ( 2) しについて ・「 生き物の1年のくらし」や「生き物と季節」の資料を読んで, 【 参考】 「アゲハ」と「 オ 生き物と季節との関係,生き物と生命のつながりについて話し合 オカマキリ」の世代交 う。 代の違いについて ・ 「たしかめよう」を行い,暖かさと生き物についてまとめる。 1 導入について 「冬のころと比べて」 教科書p.60∼61の写真や学校周辺を見て「冬のころとくらべて,どうかわっただろうか?」と問い 掛け,p.42∼43に載っている冬の写真と比べながら,気付いたことを自由に発表させ話し合う。その 後,身の回りの動物や植物は冬を越してどのように変化するのかについて考えさせ,観察活動へと展 開していく。 気付いたことの例 ・山や川につもっていた雪がとけた。 ・草が少しずつ生えてきた。 ・木には葉っぱが見られない。 これから学習すること 冬ごししたこん虫や植物は冬のころにく らべてどうかわってきたのか調べて記録し よう。1年間の生き物の様子をまとめよう。 - 65 - 2 1年間の生き物の様子のまとめ方 観察カードを利用した掲示例 模造紙に月を記入し,それに個人または グループで1年間を通して継続的に記録し た観察カードをはるようにすると,1年間 の生き物や植物の様子をとらえやすい。気 温も棒グラフで表すと観察カードと比較し やすい。 気温の変化と生き物の様子の変化の 関 係についてまとめるので,気温の記 録が不可欠である。 気温の記録の確認のページ 気象庁のホームページ 3 http://www.jma.go.jp/jma/index.html 生き物の1年のくらしについて (1)生き物の1年の変化についてノートにまとめよう。 ※まとめる活動の過程において生き物の生命のつながりについて着目するよう声がけする。 春 動 物 夏 あたたかくなるといろいろな 種類の生き物が元気よく動き 出す。 種をまき,芽が出てく る。 春から秋にかけて大きく成長するこん虫 や動物のすがたが見られる。 冬 動きがにぶくなる生き物がふえてく る。死んでしまう生き物もいるが,じ っと寒さにたえて冬ごしする生き物も いる。 写真を用意しておくと,まとめた際に分かりやすい。 ヘチマ 植 物 秋 くきが大きく成長して実ができる。夏をすぎると体 種をつくって冬になると葉も根もくきも の成長はあまり見られないが実がどんどん大きくな かれてしまう。 る。 サクラ 花がさき,その後にわか葉 が生えてくる。 新しいえだがのび新しく出 葉がかれ落ちていきはじめ 葉はかれて落ちているが,え た葉の数もふえ大きくなり だには芽ができている。 る。 緑色がこくなる。 ※ヘチマは「夏生一年生植物」で,種をつくって冬に枯れる。サクラは「落葉樹」で,葉のみを 落とし,個体そのものは生きている。 - 66 - (2)生命のつながりについてまとめてみよう。 こん虫・動物・植物に分け,生命のつながりについて班ごとにまとめ発表する。 ※班ごとの発表が終了した後,不足があれば教師が補足する。 まとめ方の例 こん虫・・・たまご,幼虫,さなぎ,成虫のすがたに変わり,次の命につなげるもの,次の年も成 虫とし生き続けるものがいる。 動 物・・・一年の生活のサイクルが決まっており,数年生きながら命をつないでいく。 植 物・・・ヘチマなどの夏生一年生植物はそれ自身,冬にかれてしまうが,種をつくって命をつ なぎ,サクラなどの落葉じゅは葉のみを落とし,一見かれてしまったかのように見え るが木そのものは生きている。 【参考】「アゲハ」と「オオカマキリ」の世代交代の違いに ついて アゲハチョウの観察は4年生の学習内容として取り入れ られているが,1年間の生き物の様子をまとめる際にアゲ ハチョウの世代交代を理解をしていないと間違った解釈を してしまう場合があるので注意が必要である。 アゲハチョウは春に卵であったものが秋に成虫になるの ではなく,春に卵であったものは夏には成虫になり,次の 世代の卵を産む。さらにその卵は秋には成虫となり,次世 代の卵を産み,そのたまごは蛹(さなぎ)まで成長し,気 温が低い場合には冬越しをする。このように アゲハチョウ は1年間の中で3∼4回の世代交代を行っている ことを児 童にも理解させておく。 それに比べて オオカマキリは,カブトムシと同じように 1年間に1世代という世代交代を行う。 昆虫にも成長のスピードに違いがあり,世代交代の回数 も違うことを知らせておきたい。 アゲハの一生 卵 一齢幼虫 二齢幼虫 三齢幼虫 四齢幼虫 終齢 幼 虫 オオカマキリの一生 卵 蛹になる直前 幼虫 蛹(さなぎ) 成虫 成虫 1年間に1世代交代。さなぎにはならない ので卵で冬越しする。 1年間に3∼4世代交代。さなぎで冬越し する。 - 67 - 1 天気と気温の変化 東京書籍5年上 4月中旬∼5月中旬 8(10)時間 【単元の目標】天気の変化の様子に興味をもち,気象情報を基に,日本付近の天気の変化の仕方 の特徴についてとらえ,数日間の観測結果や気象情報を活用して,天気の変化を予想することが できるようにする。また,気温は天気によってどう変わるかに問題をもち,天気の様子の異なる 日の気温の変化を調べ,1日の気温の変化の仕方は,天気によって違いがあることをとらえるこ とができるようにする。 学習活動とポイント項目 学習活動 時間 ポイント項目 第1次 天気の変化を予想しよう 5(6)時間 ・遠足や運動会が近づいたときなどの経験から,どのような 1 導入について「天気はどん ときに天気を調べたり,天気予報を活用したりしているか なときに調べるかな」 話し合う。 1 ・教科書p.3の資料を参考にして,天気の変化を知ることの できる情報について調べ,それぞれの情報の内容を知る。 ・教科書p.4∼5の写真資料や天気の情報から,天気の変化の 2 気象衛星の雲写真をみよう 決まりについて考える。 1 ・このごろの日本付近の天気変化の特徴をとらえる。 ・実際の天気で天気変化の決まりを調べ,天気の予想をする 3 手作り百葉箱をつくろう ために,観察の方法や記録の仕方について考え,計画を立 1 てる。 ・天気の見分け方や気温の測り方など,天気の様子を調べる 方法を知る。 ・数日間,実際に天気の様子を観測して記録し,気象情報と 1 4 観察記録をする際のポイント 比べる。 ( 2) ・観測の記録をまとめ,このごろの天気変化の決まりを考え る。 1 ・これからの生活のなかで,天気の情報をどのように活用し たらよいかを考える。 第2次 天気と気温を調べよう 3(4)時間 ・気温はその日の天気によってどう変わるかについて,晴れ の日,くもりの日,雨の日を予想して,それぞれの日の1 1 日の気温の変化を調べる。 ( 2) ・天気の様子が変わったら,そのときの様子も記録しておく。 ・晴れの日と,くもりや雨の日の1日の気温の変化の様子の 1 5 天気の違いと気温の変化の様子 違いを,記録を基に話し合う。 ・天気による気温の変化の様子についてまとめる。 1 ・「 たしかめよう」を行い,天気と気温の変化についてまと める。 1 導入について 「天気はどんなときに調べるかな」 はじめに,これまで具体的にどんなときに天気を調べてきたのか児童の経験談を発表させながら, 現段階での児童の天気の調べ方についても整理していく。この時, 天気の変わり方と気象情報に興味 をもち,進んでそれらの関係について考えたり調べたりしようとする意欲を高めるようにする。 - 68 - 導入時の学習プリント例 「天気と気温の変化」カード 左のようなカードを事前に配布 これまでどんなときに天気を調べましたか? 先生から みんなに質問です! (児童回答例)運動会・遠足 いつもどうやって天気予報を調べてい ますか? し,自分の考えを記入させておく と,導入の際どの児童もスムーズ に話合いに参加でき,学習活動へ の関心・意欲も高まる。 ※質問数が少なく小さなカードな ので,記入後学習ノートに貼付し, これからの学習活動に生かす。 (児童回答例) テレビ・ラジオ・電話・ネット 天気はどうやって予想すると思いますか? (児童回答例)風の動き・雲の動き 名前 (5年○○○○) 2 気象衛星の雲写真を見よう 気象衛星の雲写真を効果的に活用し, 雲の動きをより視覚的にとらえさせる方法としては ,下記のよう な写真を1時間ごとに十数枚用意し,プレゼンテーションソフトなどでスライドショーとして提示し たり,本書の5年「5 台風と天気の変化」の中でも紹介している「パラパラ天気」を作成してみた りするなどの方法がある。 気象衛星の雲写真は「高知大学気象情報頁(http://weather.is.kochi-u.ac.jp/)」からダウンロ ードすることができ,便利である。1996年4月から現在までの1時間ごとの写真が掲載されているが, 前日,もしくは特別な行事があった日など,児童の印象に残っている日のものを活用するとより分か りやすい。 実際の気象衛星の雲写真 自分たちの住んでいるところの天 気の変化にも着目させる。 雲の位置の変化や動き に着目させる。 - 69 - 3 手作り百葉箱をつくろう 左のような手作り百葉箱を作り, 温度を調べる意欲を高めさせると ともに,気温についての正確な理 解を定着させたい。 百葉箱代わりに,パックの 底に両面テープをはって固定 して使う。持ち運びができる ので,教科書p.9の観察2で 使用するものの代替品にでき る。 気温を測る条件 ・温度計に日光が直接当たらないようにして測る。 ・温度計の高さが地面から1.2∼1.5mぐらいのところで測る。 ・建物から離れた風通しのよいところで測る。 4 観察記録をする際のポイント 教科書p.7∼8の,観察1での記録の仕方にはいくつかのポイントがある。記録をした後にその 時期の日本の天気の規則性が分かるよう,観察中の声掛け,表へのまとめ方などの工夫を行う。 雲写真は新聞やインターネット(「高知大学気 象情報貢」など)から集めることができる。 定点撮影だと変化がはっきりする。撮りそこね ると代わりの写真がないので,担当者を決めて 計画的に撮影する。 気温を測る場所と時間は事前に決めておく。 天気だけでなく,雲と風にも着目させる。 雲の形や位置,風の向きなどによって,あした の天気を予想させる。 - 70 - 5 天気の違いと気温の変化の様子 教科書p.10では晴れの日,くもりの日,雨の日の一日の気温の変化について観察し,それぞれグラ フを作成する。その後,児童は3枚のグラフを見比べながら,天気の違いによる気温の変化について 話し合う。しかし,3枚のグラフに分かれているため,違いがとらえられない児童も見られる。そこ で,話し合う前に各グラフの線を色別にし,1枚にまとめる。これにより明確に気温の違いが表示さ れ,比べやすくなり,話合いもスムーズに行われる。 晴れの日のグラフ 予想される児童の反応例 お昼近くになると, 気温がぐっと高くな っているよ。 くもりの日のグラフ 予想される児童の反応例 ちょっとはあたたかく なるようだけど,あま り変わりないよ。 雨の日のグラフ 予想される児童の反応例 朝からほとんど変わり ない低い気温だよ。 3枚のグラフを合わせる - 71 - 2 植物の発芽と成長 東京書籍5年上 5月中旬∼6月中旬 11(12)時間 【単元の目標】種子の発芽に必要な条件について考え,温度,水,空気の条件について実験し,発 芽には適当な温度,水,空気が必要であることをとらえることができるようにする。また,発芽前後 の種子を調べ,発芽によって種子の中の養分が使われることをとらえることができるようにする。さ らに,植物の成長に必要な条件について考え,日光と肥料の条件について実験し,成長には日光や肥 料が必要であることをとらえることができるようにする。 学習活動とポイント項目 学習活動 時間 ポイント項目 第1次 種子の発芽を調べよう 4時間 ・種子の発芽条件を温度,水,空気の観点で考え,話し合う。 1 1 導入について ・種子の発芽条件について調べる方法を考え,実験を計画して, 2 2 実 験1 発 芽す る 条 以下の観点で実験する。 件を調べよう ○温度は発芽と関係があるか。○水は発芽と関係があるか。 ○空気は発芽と関係があるか。 ・種子が発芽する条件についてまとめる。 1 【参 考 】発 芽の 条件 を 1 ・実験①を振り返り,実験方法を整理して,条件制御について考 つの容器で調べる える。 ・実験で発芽したインゲンマメを大きい入れ物に植え替えて,世 話をする。 第2次 種子にふくまれているものはなにか 2(3)時間 ・種子の中の葉や茎や根にならない部分(子葉)のはたらきを考 1 え,発芽前のものと発芽してしばらくたったものを切って,ヨ ウ素液にひたし,色の変化の仕方を比べる。 ・種子の中にはでんぷんがあり,種子が発芽するときの養分とし 1 て使われることをまとめる。 ( 2) 第3次 植物の成長に必要なものはなにか 5時間 ・植物の成長に必要なものは何かを話し合い,調べる方法を考え, 1 3 実 験2 成 長す る 条 実験を計画する。 件を調べよう ・日光と植物の成長との関係,肥料と植物の成長との関係を調べ 1 る実験を設定する。 ・資料を読んで,野菜を早く大きく育てるための工夫について考 え,話し合う。 ・日光と植物の成長との関係についての実験結果をまとめる。 (適 1 期に扱う) ・肥料と植物の成長との関係についての実験結果をまとめる。 (適 1 期に扱う) ・ 「たしかめよう」 を行い, 植物の発芽と成長についてまとめる。 1 1 導入について 「種子が発芽するために必要な条件は何だろう?」と問い掛け,自分なりの考えをこれまでの理科 の学習や生活経験から,理由も含めて話し合わせたい。 予想される児童の反応例 条件 「必要」とした理由 「必要ない」とした理由 水 種をまいたら必ずあたえ,その後もあたえ サボテンが育つ砂漠には水がないから。 続けるから。 日光 日当たりのいい方がよく育つから。 種は土の中なので,光は関係ないから。 温度 あたたかくなると芽が出てくるから。 冬でも植物はあるから。 空気 うちゅうでは植物が育たないから。 水中にも植物はあるから。 肥料 花や野菜を育てるときに使うから。 成長には必要だが,発芽には必要ない。 土 自然では土の中から芽が出るから。 「 水草」や「水さいばい」というのがあるから。 - 72 - 話合いでは,植物が「発芽」するために必要な条件と,「成長」するために必要な条件が混乱する ことが懸念される。ここではまず「発芽」に絞って話し合わせる。 「発芽」するために必要な条件・・・・・・・・・・温度,水,空気 発芽の条件として「温度」や「空気」は児童の考えとしてなかなか出てこないことも予想される。 種をまく季節や時期,生命が生きていくための条件,地球環境なども視野に入れながら多面的に考え させていくことが必要である。 2 実験1 発芽する条件を調べよう 調べる条件だけを変えて,ほかの条件は同じにしておく(条件統御)という考え方は,児童にと ってこの単元が初めての経験となる。児童には調べる条件以外は同じにしないと何が発芽に関係して いるか分からなくなることを伝えた上で,教科書を参考にしながら調べる条件を一つ一つ確認させて いく。 実験の指導例 ①温度は発芽と関係があるか。 ○調べる条件・・・ 温度 ・まわりと同じ温度のところと低いところに置いて調べよう。 ・低いところは冷ぞう庫に入れよう。 ○同じにする条件・・・水あり,日光に当てない,空気あり ・肥料をあたえないようにバーミキュライト (肥料を含まない土)に種子をまこう。 ・水はいつも土がしめっているようにあたえよう。 ・冷ぞう庫の中は日光が当たらないから,まわりと同じ温度のところに置く種子には,おおいを しよう。 ・空気にはどちらも同じようにふれているね。 ・結果がわかるまで観察を続けよう。 冷蔵庫に入れる おおいをする バーミキュライト (脱脂綿でもよい) 穴をあける 温度は「常温」 温度は「低温(6∼7℃)」 ※水やりを350mç ペットボトルを2本準備して与えると,与えた水の量を 常に比べながら実験することができる。 ※この実験により,発芽には日光,肥料,土は必要でないことも確かめら れる。発芽の条件として児童からこれらの考えが出された場合には説明 するとよい。 - 73 - ②水は発芽と関係があるか。 ○調べる条件・・・ 水 ・水をあたえるものとあたえないものに分けて調べよう。 ・水のあたえすぎに気をつけながら,いつも土(バーミキュライト)がしめっているようにしよう。 ・両方に水をあたえないように気をつけよう。 ○同じにする条件・・・常温,空気あり,日光あり ・日光の当てかたや温度を同じにして調べよう。 ・空気にはどちらも同じようにふれているね。 水 バーミキュライト (脱脂綿でもよい) いつもしめ らせておく 水をあたえる 水をあたえない ③空気は発芽と関係があるか。 ○調べる条件・・・ 空気 ・空気にふれていないものと空気にふれているものに分けて調べよう。 ・空気にふれていないものは,種子を水の中にしずめて調べよう。 ・空気にふれているものは,脱脂綿をしめらせておこう。 ○同じにする条件・・・常温,日光あり ・日光の当てかたや温度を同じにして調べよう。 ・日光が当たりすぎると,水が蒸発して種子が空気にふれてしまうので気をつけよう。 いつもしめ らせておく 水を入れる 脱脂綿 空気にふれていない 空気にふれている - 74 - 低温に置く ⑥ ⑤ ④ すべて発芽しない ②だけ が発芽する 【参考】発芽の条件を1つの容器で調べる 常温に置く 教科書では,発芽の条件についてそれぞれに容器を準備して 調べているがここでは1つの容器で調べられる方法を紹介する。 (1) 同じタイプの試験管などを2本用意し, ③ ①水を1/3まで入れ,種子を沈める。 ②水が湿る位置に脱脂綿を入れ,その上に種子を置く。 ② ③水が湿らない位置に脱脂綿を入れ,その上に種子を置く。 (2) 常温と低温(冷蔵庫)のところにおき2∼3日間様子を見る。 発芽の条件である,適当な温度,水,空気のすべての条件がそ ① ろった②だけが発芽する。 3 実験2 成長する条件を調べよう 「子葉がしおれ,種子の中の養分がなくなってしまったインゲンマメが,これから大きく成長して いくために必要な条件は何だろう?」と問い掛ける。水を与えながら「大きく」育つための条件とい う視点で話し合わせるので,発芽の条件より話し合いは焦点化されると考えられる。 「大きく成長」するために必要な条件・・・・・・・日光,肥料 この部分を切り取る 日光 肥料+水 肥料+水 ②肥料は成長と関係があるか。 ○調べる条件・・・ 肥料 ・肥料をあたえるものとあたえないものに分けて調べよう。 ○同じにする条件・・・水,常温 ・肥料を入れた水と同じ量の水を同じようにあた えよう。 ・両方とも,日光が当たるようにしよう。 ・2∼3週間続けて観察しよう。 肥料+水 おおいは下に角材な どを置き 風通しを よくする。二重に する場合 は温度が上がらな いよう北側 の面を開ける。 実験の指導例 ①日光は成長と関係があるか。 ○調べる条件・・・ 日光 ・温度の違いが出ないように日なたの同じ場所に置き,日光を当てないものにはおおいをしよう。 ○同じにする条件・・・肥料,水,常温 ・肥料を入れた水を同じようにあたえよう。 ・おおいの中の温度が高くならないようす 日光 き間をあけよう。 ・4∼5日間続けて観察しよう。 日光 水のみ ※「肥料を入れた水」は,「ハイポネックス(ホームセンターなどで購入 )」を水で約1000倍に薄め たもの(原液1mç を水で薄めて1 çにする)を使う。ペットボトルなどに作っておくと,あたえ た量を確認しやすい。 - 75 - 3 生命のたんじょう 東京書籍5年上 6月∼7月上旬 6(9)時間 【単元の目標】魚と人はどちらも卵から生命が始まることに興味をもち,子どもに育つまでの様 子をどちらか選んで調べることができるようにする。魚では,メダカの雌雄を飼育して採卵し,子 メダカになるまでの様子を観察し,目立った変化をとらえることができるようにする。人では,母 体内での子どもの成長から誕生までの過程を資料などで調べ,変化の様子をまとめるとともに,生 命のすばらしさをとらえることができるようにする。 学習活動とポイント項目 学習活動 時間 ポイント項目 第1次 生命のたんじょう 6(9)時間 ・魚も人も卵から生命が始まることを知り,それぞれどのように変化し 1 1 導 入に つ い て て子どもに育っていくかについて考え,調べることをどちらか一つ選 択する。【導入 とな る本時 だけ 合同の 授業 。次時 からは 「魚の た んじょう 」「人のたんじょう」の選択による授業】 ・メダカの雌と雄の判別の仕方を知り,実際に見分ける。 1 2 めすとおすを見 ・メダカを飼育して卵を産ませる準備をする。 (2) 分 け てみ よ う 魚 3 メダカの飼育水槽 例 の 4 メ ダカ を 殖 やそ う た ・メダカの 卵を解剖顕微鏡で観察して記録し,卵の中でどのよ 1 ん うに子メダカに育つかを話し合う。 じ ・数日ごと にメダカの卵の中の変化を解剖顕微鏡で観察し記録 2 ょ する。 (3) う ・卵からか えった子メダカを観察する。メダカの卵の中の成長 1 【 参 考 】 イ ン タ ー ネ 変化をまとめる。 (2) ッ ト の 活 用 「 メ ダ カ ・サケの卵の変化の資料を読む。 の一 生 」 ・「 たしかめよう」を行い魚の卵の成長についてまとめる。 ・人の母体 内での子どもの成長を想像して話し合い,調べるこ 1 人 とを決める。 (2) の ・人の母体内での子どもの成長を調べる方法を考え ,計画する 。 1 た ・卵子と精子の受精及び受精卵の成長について学習する。 2 【参考】インターネ ん ・人の母体 内での子どもの成長を資料などで調べ,生命の不思( 3 ) ッ ト の 活 用 「 せ い め じ 議さやすばらしさを話し合う。 1 いた ん じょ う 」 ょ ・人の母体内での子どもの成長変化をまとめる。 (2) う ・「 たし かめよ う」 を行い ,人 の母体 内で の成長 につ いてま と める。 1 導入について 教科書p.26∼27では魚も人も卵から生命が始まることが示されている。これまで人の生命が卵から 始まることを知らない児童も多いと思われるので,まずは感想を話し合わせ,まだ分からない内容を 課題としてとらえさせ,学習意欲を高めるようにする。 発問例と予想される児童の反応例 これから学習すること ○魚や人の命がたまごから始まると知って,思ったこと を話し合いましょう。 魚や人 のたま 魚 ごが子ど もに成 どうして,たまごの 魚は知っていた 長するま でのよ たまごが子ども まま生まれる生き物 けど,人もたまご うすにつ いて, にどうやってな と子どもになるまで 人 から命が始まるな るのだろうと思 調べよう。 おなかで育つ生き物 んてびっくりし た。 った。 がいるのだろう。 - 76 - 2 めすとおすを見分けてみよう 教科書p.28では,ヒメダカの 雌と雄の見分け方を右のように 紹介しているが,児童にメダカ を観察させる場合,水槽を一斉 に見ると,なかなか見えにくい。 そこ で ,「チャック付きポリ 袋」を使った方法を紹介する。 観察の手順・方法について ○準備物 チャック付きポリ袋,シール付きフック(百円ショップで購入できる),画びょう 黒色画用紙,二穴パンチ ①チャック付きポリ袋の入り口中心部にパン チで穴を1つあける。 ②シール付きフックを黒色画用紙などの台紙 にはり付け,①をつり下げられるようにする。 フックをはる。 「アイウ…」などの表示をしておくとよい。 ③ポリ袋にメダカを一匹ずつ入れ,フックに かけ,画びょうで壁に固定し,児童に観察さ せる。必要に応じて,フックからポリ袋をは ずす。 ④③を教室内の数か所につり下げ,ラリー形式で 下のようなカードに記入しながら観察させると混 乱なく,意欲をもって観察に取り組む。 水を入れすぎると 見えにくくなるの で,気をつける。 [雌雄記入カードの例] 「メダカをよく観察し,めすとおすを見分けてみよう」 ○下の表にめすかおすか書きましょう。また,体のどこで見分けたの か,その理由も合わせて書きましょう。 めす?おす? ア イ ウ - 77 - どこで見分けたのか,その理由 3 メダカの飼育水槽例 (参考 HP「 ソロモンの指輪」http://homepage2.nifty.com/night-forest/) 一つの水槽で多くのメダカを飼育する方法もある が,児童一人一人が雌雄1対(もしくはメス2匹,オ ス1匹)を飼うことにより,全員がメダカと直接かか わり,大切に育てるという責任感も生まれてくる。 そこで,ペットボトルを利用した手軽なメダカの飼 育水槽を紹介する。 (1)準備物 ペットボトル(2リットルで角形のもの) 赤玉土 水草 プラスチック製のコップ2個 ペットボトル水槽 (2)ペットボトル水槽の作り方 ①ペットボトルに一か所だけコ ップの底より少し大きな穴を開 ける。 ※サークルカッターを使うと開 けやすい。 ②プラスチック製のコップを二 個重ね,どちらも下の方に大き さ縦4.5cm横2.5cmの長方形の穴 をカッターを使って開ける。 ③②のコップを①で開けたペ ットボトルの穴に差し込む。 ※二つのコップを互いに回転 させることで,コップの中に メダカを閉じ込めたり自由に 出入させたりすることができ る。 (3)ペットボトル水槽の利点 ①水かえが容易である コップの中で毎日えさを与えて続けていると, メダカはえさを入れるとすぐにコップの中に入る 習慣が身につくようになる。これを利用して,水 かえ(月に1回程度)の際には,事前にメダカをコ ップの中に閉じ込めておき,ペットボトルのふた を開ければ,水ははじめの水位のちょうど半分ほ ど流れ出る。新しい水は水道水を一日くみ置きし てから用いる。 ②配偶行動の観察が可能である オスだけをコップに閉じ込めることで配偶行動の観察が可能になる。メスではなくオスのほうを閉 じ込めるのは,オスのほうがストレスに強いからである。 - 78 - 4 メダカを殖やそう メダカの飼育について ①産卵させるためには,水温を25℃程度 に保ち,照明を1日12時間点灯させれ ば数日で産卵しはじめる。(実験では, 4日目で産卵した。) 産まれたメダカの卵 ②メダカは産卵する直前に受精するので 抱卵している状態で既に受精卵である。 水草などに着卵した受精卵をいかに効 率良く,ふ化用の別の水槽に移すかが 殖やすためのポイントとなる。水草ご と移せばほぼすべての卵を取り出すことが可能で,そのために取り出し ふ化用水槽に移した やすい水草としては「ホテイソウ」がいい。これなら直接受精卵にふれ ホテイソウ ることもなく,簡単に行える。 ③メダカのふ化日数は水温によって変わるが,おおよそ10日から2週間である。 ④ふ化した子メダカは成長して親メダカと同じ格好になったころから,徐々にえさをあたえはじめる。 乳鉢などでこな状にすりつぶしたえさをほんの少し,一日おきぐらいに水をよごさない程度与える。 なお,この時期の子メダカはあまりえさに近づかない。 ⑤親メダカの体長の3分の1ぐらいまで成長したら親との同居も可能となる。もしそのまま移さずに 他の子メダカと一緒に飼うと,小さい子メダカにはえさが行き届かず,「共食い」が起こるので注 意する。 注意点1 メダカは水流などによるストレスに非常に弱いので,空気ポンプや水流ポンプは使わない。 注意点2 まわりで動くすべての物にストレスを感じるので,水草などのかくれる場所を作る。できれば水槽 は側面が透明ではない発泡スチロール(発泡ポリスチレン)の容器などにするとよりよい環境にな る。なお,発泡スチロール(発泡ポリスチレン)は保温性にもすぐれている。 産卵させるときは温度計が25℃になってい るか確認する。 ストレスを与えず保温性に優れた発泡スチ ロール(発泡ポリスチレン)の水槽を使 う。 赤玉土を使うと砂利よりも水が汚くならな い。 産卵させるときはサーモスタットを使う。 ホテイソウを入れると産卵の場所や,隠れ 家にもなる。 水を1日くみ置きした後,メダカを入れる。メダカ は水温の変化にも弱いので ,他の水槽から移す場合は, 必ず徐々に水温に慣れさせるようにする。 - 79 - 水槽は日光の当たる場所におく。 (温度計やサーモスタットは産卵をさせない ときは使わない。) 【参考】インターネットの活用」 「 人のたんじょう」や「魚のたんじょう」の活用しやすいインターネットコンテンツを紹介する。 ①「せいめいたんじょう」 http://homepage1.nifty.com/bird-edu/edu/tanjyo/ ・調べ学習支援データベースソフトウェア。体内での子供の成長の様子などが分かりやすく説明さ れていると共に,児童が操作しやすいコンテンツになっている。 【平成10年度長期研修員D 秋葉 徹 先生 作成ソフト】 ②「身近な昆虫・動物や植物と自然環境− メダカの一生−」 http://www2.edu.ipa.go.jp/gz/q-rika/q-movd/q-mox5/IPA-rik2050.htm ・メダカのすみかや泳ぎ方,産卵,卵の変化等を動画などによ って紹介している教育画像集である。このコンテンツは他の 生き物の一生(モンシロチョウやサケ)についても紹介されて いて,静止画像だけではなく動画が入っているので分かりや すくなっている。 - 80 - 4 花から実へ 東京書籍5年上 9月上旬∼9月下旬 5(7)時間 【単元の目標】花が二つある植物と花が一つの植物の,花から実への変化に興味をもち,花のつ くりを調べて,どの花もめしべのもとの部分が実になるという共通性をとらえることができるよ うにする。そして,めしべのもとの部分が実になるときのおしべのはたらきに問題をもち,めし べにおしべの花粉をつけたものとつけないものの結実のしかたを調べる。花が実になるには,め しべの先に花粉がつく必要があることをとらえることができるようにする。 学習活動とポイント項目 学習活動 時間 ポイント項目 第1次 どこが実になるのだろうか 2時間 ・ヘチマやアサガオの花から実への変化と花のつくりを観察し,花のど こが実になるかを考える。 1 導 入に つ い て「 花 ○花全体のつくり ○おしべとめしべ ○おしべの先から出ている粉 2 のつくりはどれも ・花のつくりから,花には単性花(ヘチマなど)と両性花(アサガオな みんな同じなのだ ど)があることをまとめる。 ろ う か? 」 ・どの花も,めしべのもとの部分が実になることをまとめる。 第2次 おしべにはどんなはたらきがあるのだろうか 3(5)時間 ・おしべは,めしべのもとの部分が実になるのにどのようなはたらきを しているかを考え,話し合う。 1 ・ヘチマやアサガオのおしべの先から出ている粉をとって顕微鏡で観察( 2 ) 【 参 考 1 】 顕 微 鏡 活 する。 用の ポ イン ト ・顕微鏡の使い方を学習する。 ・おしべの先から出る粉のようなものが花粉であることを知る。 ・めしべのもとの部分が実になるのに花粉がどのようなはたらきをして いると考えられるか,話し合う。 ・花粉のはたらきを考え,花粉がめしべの先についたときとつかないと 1 きとで実のでき方がどうなるかを調べる方法を話し合う。 ・ヘチマの雌花のつぼみを2つ選んで,袋をかけ,以後課外に,開花し た一方のめしべの先に花粉をつけて,再び袋をかけておく。 ・花粉がついた(受粉した)めしべのもとの部分は実になるが,つかな 2 花粉のはたらき いものは実にならないことから,花粉のはたらきをまとめる。 に つ いて ・ 「 いろいろな受粉のしかた」の資料を読んで,受粉には,いろいろな 虫が花の間をとび回るときに,からだについた花粉がめしべの先につ 1 【 参 考 2 】 顕 微 鏡 で いたり,風でとばされた花粉がめしべの先についたりする方法がある( 2 ) の 活 用 例 「 ツ ク シ ことを知る。 ( ス ギナ ) の 胞子 」 ・ 「 たしかめよう」を行い,花から実への変化と花粉のはたらきについ 【参考3】デジタル てまとめる。 カ メ ラ活 用 1 導入について 「花のつくりはどれもみんな同じなのだろうか?」 「花のつくりはどれもみんな同じなのだろうか?」と児童に問いかけ,これまでの生活場面や学習 を基に想起させる。花のつくりについてノートに予想を立てさせるのも考えをもつという点で有効で ある。その後,ヘチマやアサガオだけではなく,校庭や地域に咲く花も集め,おしべとめしべに着目 させながら観察させ,花のつくりによる分類を行わせる。おしべとめしべについては虫めがねや解剖 顕微鏡を用いて観察させ,ノートに記録させる。 - 81 - 校庭にある花のつくりを調べた写真例 花びら・めじべ・おしべ・ がくなど丁寧に分解する。 実際に花を分解することにより,身近な植物に関心をもつことができる。また,花に見られる共通 な部分についても細かな部分まで分解するので気づくことができる。 身近に見られる草花の花粉 ヒマワリ 2 アサガオ 花粉のはたらきについて 児童は教科書p.45に記載されている実験を行った後,花粉のはたらきについて話し合い,まとめる。 実験では,めしべに花粉 がついたものは実になっ たよ。 花粉がつかないと 実にならないでか れちゃった。 実験の結果から考えられる 花粉のはたらきをまとめま しょう。 まとめ方の例 おばなのおし べの花粉がめ ばなへ。 花粉がめしべ につくと実に なります。 自然の中では虫が 花粉を運ぶんだ ね。 ・めしべの先に花粉がついたものは,めしべのもとの部分が実になります。 ・もとの部分が実のようになっているめばなでも,花粉がつかなかったものはかれていきます。 ・めしべの先に花粉がつくことを受粉 といいます。 実ができるには受粉が必要です。 - 82 - 【参考1】 顕微鏡の活用のポイント ∼教室に顕微鏡常設コーナーを∼ ※児童が自由に観察できる。 準備物 顕微鏡(一台) スライドガラス(数枚) セロハンテープ 児童に,休み時間などを利用して様々な花の花粉を採取させ,顕微鏡で観察させる。顕微鏡の使 い方を覚えるだけでなく,植物に関する興味・関心の高まりが期待できる。 【参考2】 顕微鏡での活動例 「ツクシ(スギナ)の胞子」は,湿気を感じて丸くなるなどの独特な動きが見られ,児童は自 然の面白さや神秘さを感じながら観察することができる。 ツクシ(スギナ)の胞子について ツクシ(スギナ)の胞子に息を「はぁ∼」と吹きかけると,まるで生き物のように糸状の もの(弾糸)が縮まる。低倍率で簡単に観察でき,観察教材として適している。4月頃,ツ クシが出たら,傘の開いていない(胞子がとばされていない)ものを摘み取り,空き箱など に入れて冷蔵庫で保管する。1年間は観察できる。 スギナの胞子と弾糸(息を吹きかけたとき) スギナの弾糸がまた元に伸びたもの (乾燥しているとき) - 83 - 【参考3】 デジタルカメラ活用 顕微鏡へのデジタルカメラ接続キットが市販されており, 非常によい画質で印刷できたり,児童に提示できたりするが, まだまだ高価である。下図程度の写真であれば顕微鏡のレン ズの上にデジタルカメラをかざし,ピントを合わせれば撮影 ができるのでぜひ活用してほしい。 デジタル画像なので,パソコン 上で簡単に拡大し表示すること ができる。 画像をパソコン上 で切り取り,拡大 する。 ヒマワリの花粉 - 84 - 5 台風と天気の変化 東京書籍5年上 9月下旬∼10月上旬 3(4)時間 【単元の目標】台風による強風や大雨と,それがもたらす災害に興味をもち,台風の進路と天気の変 化について,テレビや新聞,コンピュータ通信などからの情報や教科書の資料などを活用して調べ, 台風は西から東への天気の変化の仕方とは異なる特有の動きをすることをとらえることができるよう にする。また,台風による災害例などについて,教科書や地域にある資料などを調べ,災害に対する 備えや情報活用の重要性に気付くようにする。 学習活動とポイント項目 学習活動 第1次 時間 台風と天気の変化 ポイント項目 3(4)時間 ・台風による天気の変化の様子や,台風がもたらす災害について, 1 これまでの経験や資料を基に話し合う。 1 導 入に つい て「 教 科 書 の 写真 や新 聞記 事 を ・日本付近では,台風はどのように進み,また,天気はどのよう 活用しよう」 に変わるかを話し合う。 ・教科書の写真資料を使って,台風の進み方と天気の変化につい て調べる。 1 ( 2) ・日本付近を通過する台風の時期とおよその進路の傾向について, 1 資料を見て知る。 2「 パ ラパ ラ天 気」 を 作 ろう 【参考 】19 96年か らの 気 象 画 像を 参照 でき る ホ ・台風によってもたらされる天気の様子の変化や災害例などにつ ームページ いて,教科書の資料や地域の資料を基に調べる。 ・台風情報によって,事前に災害を防ぐ努力をすることの必要性 と,情報活用の大切さを考える。 1 導入について 「教科書の写真や新聞記事を活用しよう」 教科書p.48,49の台風11号がもたらす強風や大雨の写真,新聞記事を見て,気付いたこと,台風に ついて知っていることをノートにまとめさせたり,発表させたりすることにより,これからの学習の 見通しをもたせる。 予想される児童の反応例 これから学習すること ・台風がくるとかさをさしていられないくらいの強い 雨や風になる。 ・台風が近づくと海がとてもあれて大きな波が打ち寄 せる。 台風によって天気はどう変わる のだろう。 ・川の水があふれて,家や自動車が水につかっていた 写真が新聞にのっていた。 ・大きな災害が起きることがある。 台風によってどのような災害が ・台風がきたとき,集団下校をして早く家に帰ったこ おきるのだろう。 とがある。 ・台風が通り過ぎると,とてもよい天気になる。 ・台風は夏から秋にかけて日本にくる。 台風は どのように 進むのだ ろ ・台風には番号が付けられている。 う。 ・台風は南の方からやってくる。 ・日本に上陸するときと,上陸しないときがある。 - 85 - 2 「パラパラ天気」を作ろう 気象衛星ひまわりの画像をパラパラ漫画のようにアニメーション化して,天気の移り変わりを連続 的に見ることができるので,台風の進路を確認することもできる。インターネットなどでもアニメー ションで配信されているが,自分専用の「パラパラ天気」を手作りすることで,天気の変化により関 心をもたせたり,楽しみながら学習内容を確認させたりすることができる。 パラパラ天気の作り方 ①次ページにある「パラパラ ②「パラパラ天気」シートを 天気」シートを印刷する。 はさみで切る。 ③順番に重ね,ホチキスで固定す る。 画像がなめらかに動くよう に紙の重なりを調整する。 ※ケント紙の紙厚は157.0g/ ㎡ 0.175mmを使用する。 ※「パラパラ天気シート」は宮城県教育研修センター科学巡回訪問ホームページ内にある「デジタル 教材」のページからダウンロードすることもできる。 http://midori.edu-c.pref.miyagi.jp/science/dejitaru/dejitaru.htm まとめ方の例 台風は日本の南の方で発生し,やがて北や東の方へ動く 8/23 ものがある。 8/22 (台風の進路は規則性が当てはまらないので注意) 8/20 8/18 【参考】1996年からの気象画像を参照できるホーム ページ ・高知大学気象情報頁 研究・教育のための書庫 http://weather.is.kochi-u.ac.jp/archive.html 「おなじみ日本付近の 画像」がよい - 86 - パラパラ天気シート (2001年8月18日午前0時∼23日午後6時 ※教科書5年上p.49,51と同じ台風 ① ② ③ ④ ⑤ ⑥ ⑦ ⑧ ⑨ ⑩ ⑪ ⑫ - 87 - 6時間毎 台風11号) ⑬ ⑭ ⑮ ⑯ ⑰ ⑱ ⑲ ⑳ 21 ○ 22 ○ 23 ○ 24 ○ - 88 - 6 流れる水のはたらき 東京書籍5年上 10月中旬∼11月上旬 10(14)時間 【単元の目標】増水による災害の様子や,流れる水は土地の様子を変えることに興味をもち,地面 などに水を流して調べる。そして,実験結果を基に,川とその周りの土地の様子の資料や実際の川な どを調べて,流れる水には,土地を削ったり石や土を流したり積もらせたりするはたらきがあること, 流れる水の速さや水量が変わると土地の様子が大きく変化する場合があることをとらえることができ るようにする。 学習活動とポイント項目 学習活動 時間 ポイント項目 第1次 流れる水のはたらきを調べよう 4(5)時間 ・写真資料から,川や川岸の土地の変化と流れる水のはたらきに 1 1 導入について ついて,感じたことや気付いたこと,疑問に思ったことを話し 合う。 ・地面に水を流して,削られる所や土や石がたまる所を調べたり, 2 2 流 れる 水の はた ら き 水量を変えて流れの速さや地面の削られ方を調べたりする。 ( 3) を調べよう ・実験結果を基に,流れる水には,地面をけずったり,土や石 を運んだりするはたらきがあること,流れの速さや水量によっ て,そのはたらきの大きさが変化することをまとめる。 第2次 川の水はどのように土地を変化させるのだろうか ・実験で調べた結果が,実際の川にも当てはまるか話し合う。 ・川の上・中・下流の地形の写真や図を見ながら,川の水がどの ように土地を変化させているか,話し合う。 1 【参 考 】流 れる 水の は た ら き のま とめ に使 え る コンテンツ 3時間 1 3 川の観察について 【参 考 】流 れる 水の は た ら き のま とめ に使 え る コンテンツ 3 川の観察について ・川の上・中・下流の石の大きさや形,川岸の様子などについて 1 資料で調べ,川の水のはたらきについて話し合う。 ・川の水が,長い時間をかけて土地を変化させている様子につい 1 てまとめる。 ・川の水のはたらきが大きくなるときの要因と土地の変化につい て話し合う。 ・「 災害をふせぐくふう」の資料を読み,川の水による災害を防 ぐ工夫について考える。 第3次 川を観察しよう 3(6)時間 ・実際の川や周りの土地の様子を観察して,流れる水のはたらき 2 3 川の観察について を調べたり,災害を防ぐ工夫を調べたりする。 ( 5) ・観察結果を発表し,流れる水のはたらきについて話し合う。 ・「 たしかめよう」を行い,流れる水のはたらきについてまとめ 1 る。 1 導入について 教科書p.52∼53の大雨が降り続いた後の川の様子の写真を見て,気付いたことをノートまとめさせ たり,発表させたりすることにより,これからの学習の見通しをもたせる。 気付いたことの例 ・川の水がふえて流れがはやくなっている。 ・川の水が茶色ににごっている。 ・川の水が地面などをけずりとってしまった。 ・家がこわれて,土にうまっている。 ・川からあふれた水で,田が水びたしになってしまった。 ・道路や橋などがこわされてしまった。 ・ふだんの川では考えられないほどの水の力だ。 - 89 - これから学習すること ・流れる水は,地面のようすをど のように変えるのだろう。 ・流れる水の量がふえると,水の はたらきはどうなるのだろう。 2 流れる水のはたらきを調べよう 教科書p.54∼55の実験ではホースを使い,直接水道から水を流しているが,ここではじょうろを使 った実験の方法を紹介する。まず,じょうろ一つを使って水を流し,流れる水のはたらきを理解させ る。次に,じょうろを二つに増やし,流す水の量の違いによって,流れる水のはたらきが変わること を段階的に実感させることができる。 白色の砂を水と一緒 に流すと、 たまる場所を確 認しやすい。 砂 ど この 土がけずられ、ど こに 多くたまっているのだろう? (1) じょうろ一つで水を流し,地面の様子の変化を調べる。 観察・実験のポイント 流れる水には,地面を「けずる」はたらき(侵食作用),土や石を「運ぶ」はたらき(運搬作用) があることや,運ばれた土や石を積もらせるはたらき(堆積作用)があることを観察させる。 (2) じょうろ二つで水を流し,流れる水の速さや,地面のけずられ方の違いを調べる。 流れのはやさ,地面のけずられかた, 流される土の量はどう変わるだろう? 観察・実験のポイント 水の流れが速いところや水の量が多いところでは,流れ る水のはたらきも大きくなる様子を観察させる。 プランター流水実験器 花壇用のプランターを活用した教科書にある流水実験器と同様な方法を紹介する。 ・土を入れ,みぞをほり,ゆっくり水を流す。 ・侵食作用,堆積作用が観察できる。 土がけずられて深く なっているよ。 流された土がたまって いるね。 れん がなどで 角度をつける。 - 90 - 3 川の観察について 教師用指導書(東京書籍)添付のCD-ROM「川と大地」の中には,宮城県内を 流れる4つの川(白石川,鳴瀬川,名取川,阿武隈川)の上流,中流,下流の 画像資料が収録されている。児童に実際の川を見学させることが難しい場合に は,この中にある近隣の川の資料を用いるとよい。できれば,担当教師が撮影 した画像や映像を組み合わせて活用したい。 収録されている県内の主な川のようす 名取川(上流) 鳴瀬川(中流) 阿武隈川(下流) 発問例やまとめ方の例 ○「上流」「中流」「下流」の写真はどれだろう。 上流 ○「上流」「中流」「下流」の順に写真を並べて 流れの はやい みよう。 はやさ ○それぞれの流れの速さと水の量はどうだろう。 水の量 少ない ○川はばに違いはあるかな。 ○石の大きさや形を比べてみよう。 せまくて 川はば ○流れが曲がっているところの外側と内側では, 川原がない 水の流れの速さや,川原のでき方に違いがある 川の深さ 浅い か調べてみよう。 ○いろいろな川のようすを調べてみよう。 石の形 角 ば っ て い る 大きさ 大きい 中流 やや はやい やや 少ない せまいが 下流 おそい とても 多い 広くて 川原はある 川原も広い やや浅い 深い やや丸い 丸い 小さい やや大きい 【参考】流れる水のはたらきのまとめに使えるコンテンツ 「流れる水の話」 http://www.crdc.gifu-u.ac.jp/edsoftol/water/ 「にいがた水探検」 http://www.tohoku-epco.co.jp/niigata/mizu/index2.html ・「 けずる」「運ぶ」「つもる」はたらきを アニメーションを通して理解できる。 - 91 - ・「 上流」「中流」「下流」の特徴を クイズ形式で学ぶことができる。 7 てこのはたらき 東京書籍5年下 11月中旬∼12月中旬 11時間 【単元の目標】てこの仕組みに興味をもち,おもりを持ち上げて手ごたえの大きさを調べ,てこを 傾けるはたらきは,おもりの位置や力を加える位置によって変わることをとらえることができるよ うにする。また,てこ実験器で,てこが水平につり合うときの左右のおもりの数と支点からの距離 を調べ,てこがつり合うときの決まりを発見するとともに,てこやてんびんを利用した道具の仕組 みや使い方を考え,はかりなどを作ることができるようにする。 学習活動とポイント項目 時間 学習活動 第1次 ぼうで重いものを持ち上げよう ポイント項目 4時間 ・1本の棒を使って重いものを持ち上げてみる。 1 1 導入について「重いも のを持ち上げてみよう」 ・てこについてまとめ,おもりの位置や力を加える位置によって, 1 てこを傾けるはたらきがどう変わるかを予想する。 ・おもりの位置や力を加える位置を変えると,手ごたえがどう変わ 1 るかを調べる。 ・おもりの位置や力を加える位置を変えると,てこを傾けるはたら 1 2 きが変わることをまとめる。 てこを利用した道具を 見つけよう ・ 「 考えよう」について,自分の考えをまとめる。 ・てこを利用した道具をさがし,楽に仕事ができる使い方を調べる。 第2次 てこのはたらきのきまりを調べよう 3時間 ・てこを傾けるはたらきと,力を加える位置や力の大きさとの関係 を考える。 1 ・実験用てこの仕組みを知る。 ・実験用てこで,てこを傾けるはたらきが左右で等しくなるのはど 1 んなときかを調べる。 ・てこが水平につり合うときの決まりをまとめる。 1 ・ 「 考えよう」について,自分の考えをまとめる。 第3次 ものの重さをくらべよう 4時間 ・左右のうでに同じ重さのおもりをつるしたときに水平につり合う 1 ところを調べ,ものの重さを比べてみる。 ・てんびんがつり合うときの決まりをまとめ,上皿てんびんについ て知る。 【参考1】上皿てんびんに 1 ついて ・てこやてんびんの決まりを用いたはかりを作る。 1 【参考2】自作のはかり ・ 「 たしかめよう」を行い,てこのはたらきについてまとめる。 1 ・資料を読み,昔のはかりには,つり合いの決まりが使われていた ことを知る。 1 導入について「重いものを持ち上げてみよう」 単元「てこのはたらき」では,導入において体育棒等を使って重いものを持ち上げるところからは じまり,次に実験用てこを利用していく学習の流れになっている。てこについてはそのはたらきを利 用したものが身の回りに多くあるので生活との関連を気付かせるようにしたい。 そこで導入では,棒を使っての活動に加え,児童になじみ深い遊具(シーソー)を利用し,遊び感 - 92 - 覚の中で,乗る人(おもり)の位置や力を加える位置を 変えて,人(おもり)を持ち上げる活動を行う。ここで はおもりの位置などに疑問をもたせることや学習意欲を 高めることが大切である。てこのはたらきの規則性につ いては次時以降,実験を通して確認し理解していく。 ○おもりの工夫 教科書では,体育棒等を使って重いものを持ち上げる実験でお もりとして「砂袋」を使っているが,そこから学習が進むと,実 験用てこの実験では,分銅を使い,おもりを増やす際はそれ自体 の個数を増やすという方法をとる。そこで「おもりを増やす」と いう視点から,砂袋に代わるおもりを紹介する。 1.5 ç ペットボトルに水を入れておもりを作ると,1.5kgのおも りができ,児童が持ち運びもでき便利である。もっと重いおもり を作るときは,砂を入れると約3kgのものができる。 2 てこを利用した道具をさがそう てこを利用した道具は教科書p.7でも紹介されているように身の回りに数多く見られる。児童は それらの道具の「支点」,「力点」,「作用点」を見つけ,どのように使うと便利かについて考えるこ ととなる。ここでは,見つけた道具の「支点」,「力点」,「作用点」を色別のシールで表示し,児童 が考えを深めるヒントとなる工夫を紹介する。 力点 力点に緑色,支点に青色,作用点 にオレンジ色のシールをはり,それ ぞれの場所とはたらきについて考え る。 力点 力点 作 用 点 支点 支点 作用点 作用点 支点 予想される児童の反応例 てこを支える場所が 支点だから,はさみは まん中が青シールだと 思う。 力を加えるのは持つ ところだから,ペンチ の持つところが緑色の シールだね。 仕事をする位置が作 用点だから,くぎをぬ く場所がオレンジシー ルだね。 シールで表示することにより,仕事が楽にできるわけについて,てこの仕組みやはたらきにあては めて考えやすくなる。また,他の身の回りの同じような道具を見つける際にも比べることができるの で効果的である。 - 93 - 【参考1】 上皿てんびんについて 上皿てんびんには,測定範囲がある 上皿てんびんの表示プレートには使用範囲 と感量が記載されている。 使用範囲を超える物の重さは正しくはかる ことができない。つまり,使用範囲が「4g ∼200g」なら4g以下や200g以上の物は正 しくはかることは難しくなる。 また,感量が「200mg」と表示されている ものは,はかれる最小目盛りが 200mg を意 味する。 自作のはかり 教科書p.13では,てこやてんびんを利用した「はかり」 を作るが,身近にあるものを利用した簡単に作れる「はか り」を紹介する。 準備物 1.木の棒 1本 2.目玉クリップ 3個 30cm程度のもの 底が四角のもの 4.ひも 2本 20cm程度 5.つまようじ 1本 6.ガムテープ 7.チャック式ポリ袋 2袋 小さいもの - 94 - チャック式ポリ袋に 目玉クリッ プ,ひもをし っかりつける。 安定させるために水 を半分ぐらい入れる とよい。 つま ようじを 目玉クリップの 穴に通す 。 3.1.5ç ペットボトル1本 ガムテープ でつま ようじを ペ ットボトルに付ける。 【参考2】 8 もののとけかた 東京書籍5年下 1月上旬∼2月中旬 13(15)時間 【単元の目標】食塩が水に溶ける現象に興味をもち,そこから考えられる疑問を整理して,計画的 に追究するなかで,食塩が一定量の水に溶ける量には限度があること,食塩が溶けても全体の重さ は変わらないこと,水の温度によって食塩の溶ける量はほとんど変わらないことをとらえることが できるようにする。次に,ホウ酸の溶け方について,食塩の溶け方と比較しながら調べ,物が水に 溶けるときの規則性についてとらえることができるようにする。 学習活動とポイント項目 学習活動 第1次 時間 食塩を水にとかそう ポイント項目 7時間 ・食塩の粒を虫めがねで観察する。次に,食塩を水に入れて,食塩 1 1 が溶ける様子を観察する。 導入について 「食塩の溶け方」 ・ 「 水溶液」の定義を知る。 2 ・食塩を水に溶かしてから,次項の二つの問題について考え,それ 1 ぞれの結果を予想して,次時以降の問題解決の計画を立てる。 各実験について ※初等理科実験コンテンツ可 3 課題意識を高めるため ア イ (以下の○○の順序は,入れ替えてもよい 。) の実験例 ア ○50m çや100mçの水に食塩がどれぐらい溶けるかを調べる。食塩 2 ※初等理科実験コンテンツ可 ア イ ・○○の実験結果から,食塩の溶け方についてまとめる。 1 ※初等理科実験コンテンツ可 ・資料やホームページから,塩とその利用について知る。 1 4 ・水の温度を上げると,食塩の溶ける量が多くなるかを調べる。 1 第2次 3(4)時間 水を蒸発させて,食塩がどうなるかを調べる。 イ ○食塩の重さは水に溶けるとどうなるかを調べる。 ものによってとけかたはちがうか ・ホウ酸は食塩と同じように溶けるのか,ホウ酸の溶け方を調べる。 ・ホウ酸の溶け方を,食塩の溶け方と比べてまとめる。 第3次 塩とその利用について 知ろう 3 (4) ホウ酸が出てきた液を調べよう 3(4)時間 ・ホウ酸が析出したホウ酸水をろ過した液に,ホウ酸が溶けている 1 かを調べる。 ・ホウ酸をろ過した液についてまとめ,「考えよう」について考え る。 1 5 食塩のかざりをつくろう (2) ・資料を読み,食塩の結晶づくりを行う。 ・ 「 たしかめよう」を行い,物の溶け方についてまとめる。 1 1 導入について「食塩の溶け方」 教科書では食塩の粒を虫めがねで観察したり,食塩の 溶ける様子を観察したりする実験が紹介されている。 教科書に載っている実験が,みやぎIT教育ポータルサ イト内にある「初等理科実験コンテンツ」のページで詳 しく紹介している。実験準備物や手順,留意点やポイン トが掲載されており,さらに実験の様子も動画で配信さ れている。 初等理科実験コンテンツ「食塩の溶け方」実験手順 - 95 - 2 各実験について (初等理科実験コンテンツの活用) 「1 導入について」でもふれたが,初等理科実 験コンテンツでは「もののとけかた」の学習で行わ れる実験について取り上げている。実験の様子を撮 影した動画を配信しているので,実験前の確認や実 験後の見直しなど,授業でも活用することができる。 初等理科実験コンテンツ http://e-net.edu-c.pref.miyagi.jp/portal/rika/top.html 3 課題意識を高めるための実験例 第1時に,水に食塩の入ったティーバッグを入れて食塩の溶ける様子を観察するが,この実験は児 童にとって非常に分かりやすい。さらに,児童の探究心をかき立てるために,「飽和食塩水」を用い て同じ実験を行う。結果は前の実験と違い,食塩がティーバッグから流れ出る様子を見ることはでき ない。児童はなぜそうなるのか疑問をもつであろう。その後,一定量の水に溶ける食塩の量には限度 があることを伝える。 この実験は視覚的にはっきり認識できるので理解しやすく,さらに第3時に行う教科書p.22の実験 1とも関連があるので,課題意識を高めるために効果的である。 テ ィ ーバ ッ グ から 塩が溶け出ている。 水に食塩を 入れた時 テ ィ ーバ ッ グ から 塩 は 溶け 出 な い。 飽和食塩水に食塩を入れた時 実験で使用されるティーバッグは,紅茶等の入った製品と勘違いされる場 合があるが,茶葉等を入れて使用するための袋として 100 円ショップ等で求 めることができる。 ※1セットに50∼100枚入っている。 飽和水溶液の作り方 ∼スムーズな実験のために∼ (水と食塩の配合例) 1çの水に約380g 溶ける。0℃でも80℃のお湯でも溶ける量はほとんど変わらない。 ※飽和食塩水を作るのは意外に手間がかかる。また,飽和についてはまだ学習していないので, この実験をする場合は教師があらかじめ飽和食塩水を作っておく必要がある。 - 96 - 4 塩とその利用について知ろう 教科書では「理科のひろば」の資料を基に塩とその利用方法について学習するが,さらに以下 のようなホームページを活用することにより,塩の利用方法や食塩の特徴などより詳しく知るこ とができる。 ○たばこと塩の博物館「世界の塩・日本の塩」 URL http://www.jti.co.jp/Culture/museum/sio/index.html 日本の製塩の歴史や世界の食塩に ついて分かりやすく載せてある。食 塩の様々な結晶の形も見ることがで きる。 ○財団法人 URL 塩事業センター「こどもの学習」 http://www.shiojigyo.com/study/index.html 塩事業センターの「こども の学習」ページでは,市販さ れている食塩の製造方法や食 塩を使った様々な実験,工作 について掲載されている。 - 97 - 5 食塩のかざりをつくろう 準備物 モールは白色のものを! □モール 赤や緑のモールは着色されており,水に ※モールがない場合 浸すと色落ちしてしまう。大型文房具店や [アルミニウムの針金(直径2㎜ ),両面テープ, 教材取扱店では白色のモールも販売(20本 木綿糸で代用品を作成] 150円程度)しているのできれいな結晶を □木綿糸 作るためには,ぜひ白色のものを使用した □ビーカー(300mç 程度) □食塩 い。 □割り箸 □ふた付き発泡スチロール(発泡ポリスチレン)の 容器 ( 用意したビーカーが入る大きさ □ガスバーナーなどの加熱器具 図2参照) □ドライヤー ○ 微結晶から結晶を成長させる ①モールを曲げて,ビーカーに入る程度の形を作り(図1),木綿糸で割り箸につるす。 ②ビーカーで200∼250mçの水を沸騰させ,溶け残りが生じるような濃い食塩水(飽和水溶液)を作 る。(飽和すると,溶液の表面に結晶が析出してくる) ③「②」の溶液ができたら火をとめ「①」を入れ,引き上げてドライヤーまたは風乾してモールに 微結晶をつける。 ※モールに微結晶をつけておかないと,結晶は成長しない。 ④発泡スチロール(発泡ポリスチレン)容器の中に「②」を入れ,「③」をつるし(図2 ),発泡ス チロール( 発泡ポリスチレン)の容器のふ たを閉めて翌日まで放置する。取り出して完成( 図3)。 図1 図2 図3(完成) ○ モールがない場合の代用品の作り方 ・アルミニウムの針金に両面テープを巻き(図4),その上に2∼3mm幅に木綿糸を巻き付ける (図5)。 図4 図5 - 98 - 9 おもりのはたらき 東京書籍5年下 2月中旬∼3月中旬 8(10)時間 【単元の目標】ふりこと衝突の簡易実験を行い, 「ふりこの1往復する時間は,どうすると変えるこ とができるか」と「当てられた物の動き方は,どうすると変えることができるか」と疑問をもち,ど ちらか一つの課題を自ら選択して,計画的に,条件を制御しながら,定量的に調べることができるよ うにする。また,ふりこの性質や衝突を利用したものづくりを行い,おもりのはたらきについて考え ることができるようにする。 学習活動とポイント項目 学習活動 時間 ポイント項目 8(10)時間 2 1 導入について「 『 ター 第1次 おもりのはたらき ・ふりこと衝突の簡易実験を行い,二つの問題について考え,ど ザンロープ遊び 』『ゴー ちらか一つを選択する。 ル イ ンゲ ーム 』を し よ 【導入となる本時だけは合同の授業とし,次時からは「ふりこの 振れ方」「当てられた物の動き方」から選択した授業とする。】 う」 ・ふりこの1往復する時間は,どうすると変えることができ 1 2「 ふ りこ のふ れ方 コ ー ふ るかを考え,実験の計画を立てる。 ス」の進め方 り ・実験装置を組み立て,おもりの重さやふりこの長さを変え 2 こ て,ふりこの1往復する時間を調べる。 ( 3) の ・実験結果から,ふりこが1往復する時間は,ふりこの長さ 2 振 によって変わることをまとめる。 ( 3) れ ・ふりこについての資料を読む。 方 ・ふりこの性質を利用したものづくりを行う。 ・ 「 たしかめよう」を行い,ふりこの1往復する時間について 1 まとめる。 当 ・おもり同士を衝突させたときの当てられた物の動き方は, 1 3「 当 てら れた もの の 動 て どうすると変えることができるかを考え,実験の計画を立 き方コース」の進め方 ら てる。 れ ・実験装置を組み立て,当てるおもりの重さや速さを変えて 2 た 衝突させ,当てられた物の動く距離を調べる。 ( 3) 物 ・実験結果から,当てるおもりの重さや速さによって,当て 2 の られた物の動きが変わることをまとめる。 ( 3) 動 ・衝突についての資料を読む。 き ・衝突を利用したものづくりを行う。 方 ・ 「たしかめよう」を行い,おもりの衝突についてまとめる。 1 1 導入について 「ターザンロープ遊び 」「ゴールインゲーム」をしよう 「ターザンロープ遊び」や「ゴールインゲーム」を体験させ,遊びの中から気付いたことや疑問に 思ったことを取り上げて,本単元の学習内容をより身近なものとしてとらえさせ,学習への興味・関 心を高めるようにする。 ○「ターザンロープ遊び」について 体育館の天井からぶら下がっているロープ(のぼり綱)で,ターザンごっこを する遊びであり,ふりこの簡易実験でもある。グループごとに1往復の時間を短 くする競争形式で行うとよい。 (1) ターザンロープに1名がぶら下がり,5往復する。 (2) 5往復する時間をストップウォッチで測定し,1往復の時間を求める。 (3) 1往復時間が短くなるように工夫する。 (4) スタート位置や代表児童はグループごとに決める。 ※安全面には十分配慮する。体育館にロープ( のぼり綱)がない場合はブランコを使う方法もある。 - 99 - ワークシート例「どのようにすれば,1往復する時間を短くすることができるかな?」 ターザンロープ遊びをして,どのようにすれば,1往復する時間を短くすることができるかな? (記入例) 5往復した 1往復の 時 時 ÷5= 間 工夫したこと 間 1回目 12 秒 ÷5= 2.4 秒 スタートの場所をできるだけ高く(遠く)にした。 2回目 12 秒 ÷5= 2.4 秒 体の大きな(体重が重い)友達がぶら下がった。 5回目 11 秒 ÷5= 2.2 秒 ぶら下がる位置を上の方にした。 わかったこと・調べてみたいこと ぶら下がる位置が上の方だと,1往復の時間が短くなったような気がするが,本当に1往 復の時間が短くなったのかよくわからなかった。もっときちんと調べたい。 ○「ゴールインゲーム」について 教科書p.37のように,カラーコーンにボールを当て,ゴール(円)の中に入れるゲームであり,衝 突の簡易実験でもある。グループごとにいかに少ない回数でゴールするかという競争形式で行うとよ い。 (1) スタート位置からカラーコーンにボールを当て, ゴールの円に動かす。 (2) 当てるボールは,サッカーボール,バスケット ボール,バレーボールの3種類で行う。 (3) 何回でゴールできたか記録する。 (4) 5,6回目は当てる回数を限定する。 ※カラーコーンの替わりに段ボール箱を使ってもよい。 ワークシート例「どのようにすれば,少ない回数でゴールすることができるかな?」 ゴールインゲームをして,どのようにすれば,少ない回数でゴールすることができるかな? (記入例) 1回目 サッカーボール を使ったとき, 8 回でゴールできた。 2回目 サッカーボール を使ったとき, 7 回でゴールできた。 3回目 バスケットボールを使ったとき, 4 回でゴールできた。 4回目 バスケットボールを使ったとき, 4 回でゴールできた。 5回目 バレーボール を使ったとき, 9 回でゴールできた。 6回目 バレーボール を使ったとき, 10 回でゴールできた。 わかったこと・調べてみたいこと 大きくて重いバスケットボールが,カラーコーンを動かす力が強かった。はやく転がすと 動かす力も強かった。動かす力をもっと強くする方法を調べたい。 ○次時の選択授業について 二つのゲームを体験した後,ワークシートの「わかったことこと・調べてみたいこと」を基に話し 合いをもち,追究する学習課題を精選する。その後,児童一人一人が「 ふりこの振れ方コース」か「 当 てられた物の動き方コース」かを選択し,学習課題の解決を図るようにする。 - 100 - 2 「ふりこのふれ方コース」の進め方 (1) 仮説を立てよう 「ターザンロープ遊び」を振り返り,「ふりこの1往復する時間を短くするにはどうしたらよいだ ろう」と問い掛け,仮説を立てさせる。 予想される児童の反応例 ・おもりを重くすると時間は短くなると思う。 ・ふりこの長さを短くすると時間は短くなると思う。 ・ふれるはばを大きくすると時間は短くなると思う。 (2) 確かめるための実験で,「調べる条件」「同じにする条件」を確認しよう ①おもりの重さを変える。 ②ふりこの長さを変える。 ※時間があれば行う。 ③ふれるはばを変える。 50cm 10g 1m 20g 30° 同じにする条件 同じにする条件 60° 同じにする条件 ・ふりこの長さ 1m ・おもりの重さ 10g ・おもりの重さ 10g ・ふれるはば 60° ・ふれるはば 60° ・ふりこの長さ 1m (3) 教科書p.40を参考に実験装置を準備しよう 分度器を拡大コピーし,厚紙 目玉クリップ にはり,目玉クリップといっ とたこ糸 しょにスタンドの自在挟で固 定する。 実験用分銅がない場合,フィ ルムケースの中に粘土などを 入れおもりにしてもよい。 スタンド おもり(実験用 てこの分銅) (4) 実験しよう ①おもりの重さを変えた実験結果例 重さ 1回目 2回目 10往復した時間を計る。 3回目 10往復する 時 間 ここで 1往復する 比較 時 間 10g 20.1 20.0 20.0 20.0 秒 2.0 秒 20g 20.1 20.2 20.0 20.1 秒 2.0 秒 ②ふりこの長さを変えた実験結果例 長さ 1回目 2回目 10往復した時間を計る。 3回目 10往復する 1往復する 時 時 間 ここで 比較 間 1m 20.1 20.0 20.0 20.0 秒 2.0 秒 50cm 14.2 14.3 14.2 14.2 秒 1.4 秒 (5) 実験結果から分かったことをまとめよう ふりこが1往復する時間は,ふりこの「長さ」によって変わる。 - 101 - 糸をぴんと張り,分度器で 振り幅を合わせ,分銅を静 かに離しスタートさせる。 3 「当てられたものの動き方」コースの進め方 (1) 仮説を立てよう 「ゴールインゲーム」を振り返り,「当てられたものの動くきょりを大きくするにはどうしたらよ いだろう」と問い掛け,仮説を立てさせる。 予想される児童の反応例 ・当てるものが重いときょりは大きくなると思う。 ・当てるものがはやいときょりは大きくなると思う。 (2) 確かめるための実験で,「調べる条件」「同じにする条件」を確認しよう ①当てるものの重さを変える。 ②当てるもののはやさを変える。 ゆっくり ビー玉にビー玉を当てる ふつう ビー玉に鉄球を当てる はやい 同じにする条件 同じにする条件 ・当てるもののはやさ ふつう ・当てるものの重さ ビー玉 (3) 教科書p.44を参考に実験装置を準備しよう プラスチックのレール (カーテンレールや配線用カバー) ビー玉の落下地点には粘土 を置くと,ビー玉の落ちた 位置が分かりやすい。 レールの端に木片な どの障害物を置き, その移動距離を測定 する方法もある。 当てられるおもり (ビー玉) 当てるおもり (ビー玉や鉄球) スタンド 粘土 台 工作用紙 (4) 実験しよう ①当てるおもりの重さを変えた実験結果例 重さ 1回目 2回目 ビー玉が動いた距離を測る。 3回目 おもりの 動くきょり ビー玉(6.2g)にビー玉(6.2g) 37.2 36.7 36.2 36.7 cm ビー玉(6.2g)に鉄球(13.6g) 48.0 48.4 47.9 48.1 cm ②当てるおもりのはやさを変えた実験結果例 はやさ 1回目 ゆっくり ふつう 2回目 ビー玉が動いた距離を測る。 25.2 25.1 3回目 40.1 40.5 おもりの ここで 比較 動くきょり 25.4 実験①の結果を用いる はやい ここで 比較 39.4 25.2 cm 36.7 cm 40.0 cm (5) 実験結果から分かったことをまとめよう 当てるおもりを重くしたり,おもりをはやく当てたりすると,当てられたものの動くきょりは大 きくなる。 - 102 - 1 ものの燃えかたと空気 東京書籍6年上 4月中旬∼5月中旬 8(10)時間 【単元の目標】物(植物体)を燃え続けさせるにはどうしたらよいかに問題をもち,物が燃えるの に必要なものや物が燃えた後の空気の変化を見通しをもって調べることができるようにする。また, 空気中の酸素には物を燃やすはたらきがあり,物が燃えると空気中の酸素の一部が使われて二酸化炭 素ができることをとらえ,物の燃焼と空気の性質や組成の変化を関係付け,物の燃焼の仕組みを多面 的にとらえることができるようにする。 学習活動とポイント項目 学習活動 時間 ポイント項目 第1次 びんの中でろうそくを燃え続けさせよう 1時間 ・燃えているろうそくに底を切ったびんや筒をかぶせてふたをす 1 1 導入について ると火が消えることから,燃え続けさせるにはどうしたらよい 2 「 火が 消え たの は , かを考え,いろいろな方法を試してみる。 空 気 がな くな った か ・燃え続ける方法が見つかったら,びんの上や下に線香の煙を近 ら?」を確かめる実験 付けて,煙の動きを調べる。 ・物が燃え続けるには,空気が必要であることをまとめる。 第2次 ものを燃やすはたらきがあるのは空気中のなにか 1(2)時間 ・空気中の何に物を燃やすはたらきがあるのか,窒素と酸素をそ 1 3 ものを燃やすはたら れぞれびんに入れて,ろうそくの燃え方を調べる。 ( 2) きは何かを調べよう ・酸素には物を燃やすはたらきがあることをまとめる。 ・木や紙などが,酸素の中でどのように燃えるか,調べる。 第3次 ものが燃えたあとの空気はどうなっているか 6(7)時間 ・物が燃えた後のびんの中の空気がどうなるか,石灰水で調べる。 1 4 も のが 燃え たあ と の 空気について調べよう 【参考】簡易石灰水採水 容器「石灰水サーバー 」 ・物が燃えると二酸化炭素ができることをまとめ,木や紙などに 1 ついても調べる。 ( 2) ・物を燃やす前と後の,びんの中の酸素と二酸化炭素の量(体積 2 5 酸 素と 二酸 化炭 素 の の割合)の変化を,気体検知管で調べる。 割合を比べよう ・物が燃えると,空気中の酸素の一部が使われて二酸化炭素がで 1 きることをまとめる。 ・資料を読み,空気と環境について考える。 ・物が燃えるときの空気のはたらきについてまとめる。 1 1 導入について 底を切ったびんを使う前に,「集気びんに火のついたろうそくを入れ,ふたをするとろうそくの火 はどうなるだろう」と児童に問い掛け予想させる。しばらくすると火が消えることから,なぜ火が消 えたのか考えさせ空気の存在について気付かせていく。さらに大きさの異なる2つのびん(250mç と 500mç など)で火が消えるまでの時間を比べると,体積の違いから空気の量に着目し有効である。 発問例と 発問例と 予想される児童の反応例 予想される児童の反応例 ○火のついたろうそくを ○なぜ,火が消えたのだ 集気びんに入れ,ふた ろう? をしたら? ・空気がへったから。 水を約1㎝の 深さで入れる ・空気がなくなったから。 ・けむりがいっぱいになっ たから。 ・燃やすはたらきのものが なくなったから。 ・燃え続ける。 ・変わらない。 ・しばらくしてから消 える。 ・すぐ消える。 - 103 - 新し い空気 児童は,キャンプの火おこしの体験などから,火がよく燃えるためには空気が必要であることを漠 然と理解している。この経験や導入の実験をふまえ,教科書p.7の実験を行うことで,空気の取り入 れ方を工夫しながら活動に取り組むことができる。 発問例 ○ものが燃えるためには,空気が必要なのだろうか。 びんの中の空気の流れ ○びんの中でろうそくを燃え続けさせる方法を考えましょう。 ○実験で使う道具を教科書で確かめましょう。 ろうそく,集気びん,ねん土,ふた,マッチ, 線こう,もえさし入れ など 集気びんの底が切ってある,ねん土を使う。 線こう のけむり がびんの中に吸 い込まれる ○先生が使ったびんとくらべ,違っているところはど こでしょう。 ものを燃やした 後の空気 ○なぜ,集気びんの底が切ってあるのだろう。 上のふたを空ける ものを燃やした 後の 空気 線こう のけむり が下から上へ 流れる 実験がやりやすい,空気が入りやすい, 上だけでなく下も空けられる。 ○このびんの特ちょうを生かして,燃え続けさせるための方 法を考えてみましょう。 ○(1)ふたをしたびん,(2)上のふたを空けたびん,(3)下を 空けたびん,(4)上も下も空けたびん,などで実験をして 確かめてみましょう。 てみましょう。 ・ふたをしたびんをかぶせたら消えそうになったので, ふたをずらしたり,びんを持ち上げたりしたら,また 燃えた。 ・上を空けたびんは,燃え続けた。 ・下を空けたびんは,消えてしまった。 ・上も下も空けたびんは,かまどみたいによく燃えた。 新しい空気 上も下も空ける ○空気の流れを見るために,線こうのけむりを近づけてみましょう。 ・上を空けたびんでは・・・けむりが,びんの中に吸いこまれていった。 ・下を空けたびんでは・・・けむりは,吸いこまれていかない。 ・上も下も空けたびんでは・・・けむりが,下から上に流れていった。 ○この実験からどんなことが分かりますか。 まとめ方の例 ・上のふたを空けたら燃えた。 ・上も下も空けるとよく燃えた。 ・下だけ空けても燃えなかった。 ・ものが燃えるためには空気が必要。 ・ものが燃えているときは空気が流れ入れかわる,上も下も空けると空気が入れかわりやすい。 - 104 - 2 「火が消えたのは,空気がなくなったから?」を確かめる実験 物が燃え続けるためには,空気が入れ替わる必要があることを理解する一方で,燃えなくなったの は ,「空気がなくなったから」と児童はとらえてしまいがちである。次のような実験を通して,空気 の量が減ったのでなく,空気の物を燃やすはたらきがなくなったということをとらえさせたい。 (1) 火の消えた集気びんにふた (2) 火の消えた集気びんに, をかぶせ,逆さまにして水中 もう一度,火のつい たろう に入れ,ふたをはずしてみる。 そくを入れる。 発問例 発問例 ○中に水が入るでしょうか? ○かたむけたら,空気のあわ が出るでしょうか? 燃やす前の空気 二酸化炭素と その他の気体 ちっ素 酸素 ○ろうそくは燃え続けるで しょうか? 燃やした後の空気 ? ? 体積は 変わらない! ? 観察・実験のポイント (1)の実験の結果から・・・中には水は入っていかない,あわが出た → 空気はなくなっていない (2)の実験の結果から・・・ろうそくはすぐ消えた → 空気のものを燃やすはたらきはなくなってしまった 3 ものを燃やすはたらきは何かを調べよう 燃えなくなったのは,空気の物を燃やすはたらきがなくなったからと考えるようになってきたら, 教科書p.8の成分表を提示し,空気は窒素と酸素からできていることを知らせる。さらに ,「それぞ れに燃やすはたらきがあるか調べてみよう」と投げ掛けp.9の実験1を行い,窒素には物を燃やすは たらきがなく酸素には物を燃やすはたらきがあることを理解させる。 発問例とまとめ方の例 ○空気の,4/5は窒素で1/5は酸素 からできています。 ○それぞれが,燃やすはたらきに 関係があるのでしょうか。 ○予想してから,調べてみましょ う。 (1) ちっ素の場合 (2) 酸素の場合 ・ちっ素にはものを燃やすは たらきはない。 ・酸素にはものを燃やすはた らきがある。 (3) 空気と同じような条件にして調べてみましょう。 ①窒素:酸素=4:1の気体 ②空気が入った集気びんと を集気びんの中につくる。 燃え方や時間を比べる。 窒素をためる 酸素をためる ・水を満たしたびんを水中で逆さにし 窒素と酸素 空気 2つのびんの中で同じよう にものが燃える様子を観察 ・窒素,酸素の順序で7∼8分目まで させることで,空気の成分 入れ,ふたをしてから取り出す。 について実感させたい。 て立て,ボンベのノズルを差し込む。 - 105 - 4 ものが燃えたあとの空気について調べよう 教科書p.11の実験2では,ろうそくが燃える前と燃えた後の空気について1本のびんで調べている が,対照実験として2本のびんを比べさせることで石灰水の変化をより明確に児童に実感させること ができる。 発問例 ○ろうそくが燃える前の空気と,燃えた後の空気を「石灰水」を使って調べてみよう。 (1)石灰水を入れた2本の集気びんを用意する。 (2)1本のびんはそのまま振る。もう1本は火の (3) それぞれの石灰水の色の変化を比べる。 ついたろうそくを入れてふたをし,火が消えた ら,ろうそくを取り出してよく振る。 燃えた後 燃える前 燃える前 燃えた後 そのまま振る 火が消えてから振る 変わらない 白くにごった ○石灰水を白くにごらせた気体は何だろう。石灰水にいろいろな気体を入れ調べてみよう。 ・ビーカーの中の石灰水に,窒素,二酸化炭素,酸素をボンベから直接吹き込む。 ○木や紙が燃えた後にも二酸化炭素はできるのだろうか。予想して実験してみよう。 ※木,布,紙などは炭素を含むので,酸素O2と炭素Cが化合して二酸化炭素CO2が発生する。 ※金属は,炭素を含まないので,燃やしても二酸化炭素は発生しない。 まとめ方の例 ・ろうそくが燃えた後のびんには石灰水をにごらせる気体ができた。 ・二酸化炭素だけが石灰水を白くにごらせた。 ・ろうそくが燃えた後にできた気体は二酸化炭素である。 石灰水について ・水酸化カルシウム(別称「消石灰」,500gで1,300円程度)を水に入れ てかき混ぜ,溶け残った水酸化カルシウムは沈殿し,その上ずみ液を 「石灰水」として使う。水酸化カルシウムは,水1 ç に対して約20g の割合で入れる。 ・石灰水が白く濁るのは炭酸カルシウムができたためである。さらに二 酸化炭素を加え続けると,炭酸カルシウムは炭酸水素カルシウムに変 化し,再び透明になる。 ・右のような石灰水採水びんを使うとよい。 石灰水採水びん - 106 - 5 酸素と二酸化炭素の割合を比べよう ろうそくが燃える前と燃えた後の,酸素と二酸化炭素の量を気体検知管で調べる。体積の割合( %) を確実に読み取り,表にまとめさせることで,気体の成分の数値的な変化に目を向けさせたい。 発問例 ○火が消えたとき,集気びんの酸素はすべて使われてなくなってしまったのだろうか。 ○気体検知管を使ってろうそくが燃える前と 燃える前の空気 燃えた後の空気 燃えた後の,びんの中の酸素と二酸化炭素 酸 素 約21% 約17% の量を比べよう。 二酸化炭素 約0.03% 約3% まとめ方の例 ・約4%の酸素が燃えるのに使われ,約3%の二酸化炭素が発生した。 ・すべての酸素が使われたわけではない。 ・空気中の酸素が17%では,ものを燃やすことができない。 気体検知管について ・酸素用検知管は使用すると化学反応により約70℃まで発熱するので,管に手をふれないようにする。 ・二酸化炭素用検知管は①0.03∼1%用(黄色)②0.5∼8%(赤色)の順序で使用する。 ・使用済みの気体検知管はガラスくずとして廃棄できる。ただし,酸素用検知管は未使用または未反 応で黒色検知剤が残っている場合には測定と同様の操作を行い,黒色検知剤がすべて白色になった ことを確認して廃棄する。 【参考】簡易石灰水採水容器「石灰水サーバー」 石灰水は,水酸化カルシウムを水に溶かし,その上ずみ液を使用する。この石灰水をいつでも採 水できるように,ペットボトルなどの容器にコックをつけて,作り置きをすることができる。 (1) しくみ ①水に溶けきれずに残った水酸化カルシウムは下に沈み,水溶液の表 面には膜ができる。 ②その間にある石灰水をとるために,容器の下から1/3程度の高さの ところにコックを取り付ける。 (2) 準備物 ①ペットボトル(2ℓ用の角形がよい) ②ガラス管付きゴム栓(ゴム栓に穴をあけガラス管を通す) ③ゴム管 ④ピンチコック(または目玉クリップ) ⑤コルクボーラー (3) 作り方 ①ペットボトルの下から1/3程度の高さ(約10cm)のところに,ゴム栓 の径と同じ大きさの穴をコルクボーラーで穴を開ける。 ②開けた穴にガラス管付きゴム栓を差し込む。 ③ガラス管に10cm程度のゴム管をとりつけ,ピンチコックで注ぎ口と なるゴム管をふさぐ。 ④ペットボトルに水酸化カルシウム20gを入れ,それに蒸留水1ℓを入れる。 ⑤振ってよく混合し,一昼夜放置する。 (4)使用上の留意点 ①使用直前に容器を振り混ぜてしまうと濁って使用できなくなるので,ペットボトルを移動する ときは注意する。 ②石灰水が少なくなれば,水を注ぎ足しておく。 ③容器は,長期保存(1年以上)には適さない(ペットボトルが破損する可能性があるので,必 ず交換すること)。 - 107 - 2 動物のからだのはたらき 東京書籍6年上 5月中旬∼6月中旬 9(12)時間 【単元の目標】人や動物が生きていくためには何が必要かに問題をもち,はき出した空気と吸う空 気の成分の違いや,でんぷんのだ液による変化,拍動数と脈拍数との関係などを調べ,さらにいろい ろな資料なども活用して,呼吸,消化,血液循環にかかわる体内の各器官のつくりとはたらきについ て,とらえることができるようにする。 学習活動とポイント項目 学習活動 動物のからだのはたらき ・人や動物が生きていくためには何が必要かを考え,空気や食べ 物について話し合う。 時間 ポイント項目 1時間 1 1 導入について「人や動 物 が 生き てい くの に 必 要なものは何だろう?」 第1次 ア 呼吸をして空気中のなにをとり入れているのか 2(3)時間 ・人や動物は呼吸をして,空気中の何を,体のどこで取り入れる 1 2 呼 吸を して 空気 中 の のか,はき出した空気と吸う空気はどう違うのかを考えて話し ( 2) な に を取 り入 れて い る 合い,調べる。 のか ・肺のつくりと呼吸の仕組みを調べ,まとめる。 1 3 肺 とそ のは たら き に ・動物の呼吸の仕方について調べ,人と比べる。 ついて 第2次 イ 食べ物の養分をどのようにしてとり入れるのか 2(3)時間 ・食べ物に含まれる養分(でんぷん)と水は,体のどの部分で, 1 4 食 べ物 のな にを ど こ どのようになって体内に取り入れられるのかを考え,話し合う。 ( 2) で取り入れているのか ・ごはん粒にふくまれるでんぷんが,だ液によってどのように変 化するかを調べる。 ・消化管と消化の仕組みを調べ,まとめる。 1 ・動物の消化管について調べ,人と比べる。 第3次 酸素や養分はどのように全身に運ばれるのか 4(5)時間 ・血液は体のどこを通って酸素や養分を運んでいるか話し合う。 1 5 酸 素や 養分 はど の よ ・体の中の血液の通り道を調べ,心臓の拍動数と脈拍数を計って, ( 2) う に 全身 に運 ばれ る の 心臓の動きと血液の流れとのかかわりを調べる。 か ・全身をめぐる血液の流れとはたらきについて調べ,まとめる。 2 6 血 液の 流れ とは た ら ・動物の血管や血液の流れを調べる。 きについて ・「 たしかめよう」を行い,人や動物の呼吸,消化,血液のはた 1 【 参 考 】 各 器官の つくり らきについてまとめる。 やはたらきについての理 解を図るために 1 導入について 「人や動物が生きていくのに必要なものは何だろう?」 体育など実際に運動した場面を想起させ,体の変化の様子について気付いたことを発表させる。こ れらの体の変化は人が生きていくためにはとても重要なことであると理解させたうえで,①空気→呼 吸をすること,②食べ物→食べること,それぞれについて調べる計画を立てさせる。 発問例と予想される児童の反応例 ○運動後のからだにはどのような変化が起きるでしょう。 ・息があらくなる ・心臓がどきどきする ・脈はくがあがる ・あせをかく ・のどがかわく ・おなかがすく ・つかれる ○これらの変化が起きるのはなぜだろう。 ○人が生きていく(活動する)ために,からだの中に取り入 れなければならないものは何だろう。 ・空気(酸素) ・水 ・食べ物(養分) - 108 - これから学習すること ・人や動物は呼吸をして,空気 中の何を,からだのどこで取 り入れているのだろうか。 ・人や動物は,食べ物の何を, からだのどこで取り入れてい るのだろうか。 この単元は,呼吸(はき出した息とすう空気の成分の違い)や消化(唾液のはたらき),循環(拍 動と脈拍の関係)など体のはたらきについて調べる観察・実験が多く設定されている。これらの活動 を通して自分自身の体に関心をもたせるとともに,直接見ることはできない体の内部にある肺や消化 管,血液や心臓の仕組みとも密接にかかわっていることを理解させたい。 2 呼吸をして空気中のなにを取り入れているのか 「はき出した空気とすう空気は違うのだろうか」と児童に問い掛け,体の中に取り入れる前後の空 気の性質の違いを既習事項を基に考えさせるとともに,呼吸には肺のはたらきが密接にかかわってい ることを理解させる。 発問例と実験の指導例 ○呼吸をして,空気から取り入れているものは何でしょう。また,はき出した空気に多くふくまれ ているものは何でしょう。「ものの燃えかたと空気」の学習などをもとに調べる方法を考えてみ ましょう(実験1を行う)。 ○石灰水で調べる実験や気体検知管で調べる実験方法など,選んで実験しよう。 ◇実験(1) はき出した空気と,すう空気をポリ袋に入れて石灰水で調べてみましょう。 ①2つのポリ袋にそれぞれ石灰水を入れる。 ②1つはしぼませた後,ストローを入れて ③もう1つはまわりの空気を入れてふくらま 息を吹き込む。 せる。 よくふる よくふる 色違いのモール などを使うと区 別しやすい。 ・水蒸気(水)でポリ袋がくもる ・石灰水が白くにごる 変わらない ◇実験(2) はき出した空気と,すう空気をポリ袋に入れて気体検知管を使って調べてみましょう。 ①ポリ袋を2つ用意し,1つにはしぼませた後,息を吹き込み(ポリ袋の中で3回ぐらい吸った りはいたりするとよい),もう1つにはまわりの空気を入れてふくらませる。 ②2つのポリ袋の空気を酸素用の気体検知管で調べる。 ・まわりの空気の酸素の体積の割合は約21%,はき出した空気は約16%となる。 ③2つのポリ袋の空気を二酸化炭素用(0.5∼8%,赤色)の気体検知管で調べる。 ・まわりの空気の二酸化炭素の体積の割合は約0.03%,はき出した空気は約4.5%となる。 ○上の実験(1)または(2)からどんなことが分かりますか。 まとめ方の例 ・人や動物は酸素をからだの中に取り入れ,二酸化炭素を外に出している。 (p.15のグラフと比較させながら) ・ものが燃えるときと同じで,すべての酸素が使われるわけではない。 - 109 - 3 肺とそのはたらきについて 肺のはたらきによって空気中の酸素が体の中に取り入れられ,二酸化炭素がはき出されることを理 解させる。肺の仕組みについて調べる意欲をもたせる目的で,次のような実験を取り入れても面白い。 水槽 の中 で ふたを 取る 肺にはどのくらい空気が入るのか ①2ç ペットボトルを2本用意し,水をいっぱい に入れる。 ②水槽にさかさまに入れ,曲がるストローやビニ ール管を使って一息で空気を吹き込む。 ※児童で,2∼3 çぐらい空気を吹き込むことができる。 ※成人男性では肺の片側だけで3 çもの空気が入る。 発問例と予想される児童の反応例 ※教師用指導書資料編の図などを活用して肺のはたらき についてまとめる。 ○肺はどこか,教科書の図や模型などを参考に,胸に 酸素が 多い空気 手を当てて確かめてみよう。 ○空気の通り道(鼻,口,気管,肺)に色をぬろう。 ○気付いたことをメモしよう。 鼻と口はつな がっている。 肺は左右に 2つある。 気管は木の枝のよう に分かれている。 二酸化炭素が 多い空気 二酸化炭素 が多い血液 が全身から ○空気の通り道を順番にたどってみよう。 ①鼻や口から入り,気管を通って肺に入る。 ②肺から空気中の酸素の一部が血液に取り入れられ, 全身に運ばれる。 ③全身からもどってきた血液からは二酸化炭素が出 酸素が多い血液が全身へ される。 ④二酸化炭素を多く含んだ空気は気管を通って鼻や口からはき出される。 【参考】肺のモデルをつくってみよう 肺のしくみを理解させるために視聴覚教材などを利用することも考えられるが,肺の簡易モデル をつくることによって呼吸のメカニズムを,より実感させることができる。 準備物・・・ 風船(小)2個 ストロー 1本 透明プラスチックコップ (250mℓぐらいのもの)1個 輪ゴム 1本 布ガムテープ ストロー ストロー通る小さな穴を開ける。 小さなすきまは布ガムテープでふ さぐ。 肺 横隔膜 ストローの先に輪ゴムでとれな いように風船を取り付ける。 風船の口をはさみで大きく切り 開き,コップの口にかぶせる。 ※緑の風船(横隔膜)の部分をつまみながら下げたり,上げたりすると赤の風船(肺)がふくら んだりしぼんだりする(肺自体が動くのではなく横隔膜のはたらきによって呼吸は行われる)。 - 110 - 4 食べ物のなにをどこで取り入れているのか 成長のために 使われる。 運動するためのエネ ルギーに使われる。 口 ものを考えるとき にも使われる。 だ液 食道 ○食べの通り道に色をぬりましょう。 ○食べ物の通り道を「消化管」といいます。 ○消化管を順番にたどってみよう。 ①口→ ②食道→ ③胃→ ④小腸→ ⑤大腸→ ⑥こう門 胃 胃液 大腸 ○養分を体の中に取り入れやすくするためにどんなことをし ているか 実験をして確かめてみましょう。 ①炊いておいたご飯を,50回,80回など回数を決めてよく かみ,味や口の中の様子で気付いたことをメモする。 つぶすときは奥歯 でかんでいる。 だ液が出てきて飲みこ みやすくなってきた。 かんでいるとだんだ ん甘くなってきた。 ②実験2を行い,でんぷんがだ液によって変化するか調べる。 ごはんにヨウ素をかけたら 青むらさき色に変化した。 だ液を入れて温めたごはんにヨウ素 をかけても色は変化しなかった。 食べ物 発問例と予想される児童の反応例 ※教師用指導書資料編の図などを活用して消化管のはたらき についてまとめる。 ○食べ物の中の養分は,どんなことに使われるのでしょうか。 小腸 こう門 ふん だ液によってでんぷんが ほかのものに変化した。 まとめ方の例 ・細かくくだかれたり ,「 ( こう素」というもののはたらきによって)食べ物が体に吸収されやす い養分に変えられたりすることを「消化」という。 ・だ液や胃液など,食べ物を消化するはたらきのある液を「消化液」という。 ・養分は小腸から吸収され,吸収された養分は血液にとり入れられ,全身に運ばれる。 5 酸素や養分はどのように全身に運ばれるのか 発問例と観察の指導例 ○血液はからだの中のどこを通って,酸素や養分を運んでいるのだろう。 ○血液の通り道(血管)を調べてみよう(観察1を行う)。 ①血管を探す 体の表面で血管(静脈)が分かる部位を探す。皮膚の薄い手や腕が観察しやすい。 ②脈拍数を数える 脈拍が分かる部位を探し,静脈に対して心臓から全身に出て行く血 管動脈)があることを理解させる。脈拍数は,手首,こめかみ,首 すじ,足首など自分が最も分かりやすい部分で測定させる。慣れな いと測定が困難なので,脈拍の分かる部分をしっかり把握させ事前 に練習させる。15秒間の回数×4にして換算すると失敗してもやり 直しができ,限られた時間の中で効率的に実験ができる。 人差し指,中指,薬指の ③心臓の拍動と脈拍を比べる。 三本で脈をとる。 心臓の拍動と脈拍が同じリズムであることを確かめさせる。 - 111 - 6 血液の流れとはたらきについて 血液は心臓を2度 通ります。 発問例 ※教師用指導書資料編の図などを活用して心臓と肺のつくりや全身をめぐる血液の流れについてま とめる。 ○心臓と肺のつくりを調べよう。 ・心臓は血液を送り出すポンプのような役目の器官である。 肺 ・肺は酸素と二酸化炭素の交かんをするための器官である。 ○全身をめぐる血液の流れを調べよう。 教科書を参考にして, ・酸素の多い血液が流れている血管を赤色にぬろう。 ・二酸化炭素の多い血液が流れている血管を赤色にぬろう。 心 ○血液の流れを心臓からたどってみよう。 臓 ①血液は,心臓から送り出され,血管を通り全身に運ばれる。 ②血液によって運ばれた酸素はからだの各部分で二酸化炭素と入れかわる。 ③再び心臓にもどり,肺に送られて二酸化炭素が酸素と入れかわる。 ○それぞれの器官がどんなはたらきをしているか調べてみよう。 ・脳は全身に命令を出す器官であり一番酸素を多く使う器官でもある。 全 ・かん臓は養分を貯蔵する器官である。 身 ・胃や腸は食べ物を養分としてとり入れるために消化,吸収をする器官である。 ・手や足には感覚をするどくするためにたくさんの毛細血管がはりめぐらされている。 まとめ方の例 血液はからだのすみずみにまではりめぐらされた血管の中を流れ,全身をめぐりながら,酸素 や二酸化炭素を運ぶはたらきをしている。 【参考】各器官のつくりやはたらきについての理解を図るために 「NHKデジタル教材」(http://www.nhk.or.jp/school/) テレビ番組で放送した美しい動画を見ることができる。 直接見ることはできない体の内部の肺や消化管,血液や心臓の仕組みの理解などに有効である。 ②放送の回とタイトル名を選ぶ。 ①トップページから,6年生 理科の番組名を選ぶ。 ③「クリップとリンク」をクリック する。 - 112 - ④見たいクリップを 選ぶ。 3 植物のからだのはたらき 東京書籍6年上 6月下旬∼7月中旬 6(7)時間 【単元の目標】 植物にとって日光はどんなはたらきをしているかに問題をもち,ジャガイモやイ ンゲンマメで日光に当てた葉と当てなかった葉を調べ,植物は葉に日光が当たるとでんぷんがで きることをとらえることができるようにする。さらに,野草などの身の回りの植物も葉に日光が 当たるとでんぷんができるかを調べて,植物のからだのはたらきの共通性をとらえることができ るようにする。 学習活動とポイント項目 学習活動 時間 ポイント項目 第1次 植物は日光とどのようにかかわっているか 4時間 ・植物にとって日光はどんなはたらきをしているかを考え,話し 1 1 導 入に つい て「 植 物 合う。 が 成 長す るた めに 必 要 ・調べる方法を考えて,実験の準備をする。 なものは何だろう?」 ・日光に当たった葉と,おおいをしておいた葉にでんぷんがある 2 2 葉に日光が当たると, で ん ぷん がで きる の だ かどうかを調べる。 ・でんぷんの検出方法として,(1)アルコール脱色法,(2)たた ろうか? き染め法があることを知る( 検出は,どちらかを選択して行う) 。 3 実 験1 ア ルコ ー ル 脱 色 法と たた き染 め 法 について 【参 考 】漂 白剤 で葉 の 緑 色を洗い流す ・葉に日光が当たるとでんぷんができることをまとめる。 1 【参 考 】葉 でで きた で ん ぷ ん は, どこ にい く の だろうか? 第2次 いろいろな植物で日光とのかかわりを調べよう 2(3)時間 ・身の回りの植物も,葉に日光が当たるとでんぷんをつくるのか 2 4 い ろい ろな 植物 の 日 を考え,話し合う。 ( 3) 光 が 当た るた めの 工 夫 ・身の回りの植物で,日光によく当たった葉と当てなかった葉を について 取って,葉にでんぷんがあるかどうかを調べる。 ・植物のからだと日光のはたらきについてまとめる。 1 導入について 「植物が成長するために必要なものは何だろう?」 5学年で,植物がよく成長するためには日光と肥料が必要であることを学んでいる。ここでは5学 年「植物の発芽と成長」と前単元「動物のからだのはたらき」の学習を基に,植物と日光とのかかわ りについてさらに詳しく学習していくことを確認する。 発問例と予想される児童の反応例 ○動物や植物が成長するために必要なものは何か学習したこと を振り返ってみよう。 植物・・・日光,肥料,水(5学年で学習) 動物・・・空気(酸素),食べ物(養分 ),水(前単元で学習) ○植物は,日光によく当てて水をあたえれば肥料をあたえなく てもよく成長しました。 ○植物にとって,日光はどんなはたらきをしているのだろうか。 ○植物と日光とのかかわりについて調べていこう。 - 113 - これから学習すること 日光が当たることによっ て,植物のからだにどん なはたらきが起きている のだろう。 2 葉に日光が当たると,でんぷんができるのだろうか? 5学年での,インゲンマメが発芽するときには種子の中のでんぷんが養分として使われたという学 習を基に,植物の成長にもでんぷんが養分として必要であり,日光が当たることででんぷんができる のではないかと予想させ,実験に取り組ませる。 発問例と予想される児童の反応例 ○インゲンマメの発芽には種子の中のでんぷんが使われた。でんぷんが使われた後 でも日光に当てるとインゲンマメは大きく育った。 ○成長するためにもでんぷんが養分として使われているのだろうか。 ○日光は植物の成長にどのような役割を果たしているのだろうか。 成長の養分としてもでんぷんが使 われると思う。でも,どこからそ のでんぷんはくるのだろうか。 日光を利用してでん ぷんが作られるのか もしれない。 日光のよく当たる葉の部分ででんぷ んがつくられるのではないか。葉の 中にもでんぷんがあるのかな。 ○葉に日光が当たるとでんぷんができるかどうか調べよう。 3 実験1 アルコール脱色法とたたき染め法について ゼム クリップで 留める。 ヨウ素液の色の変化によりでんぷんがあるかないか調べる。葉は緑色なのでそのままでは色の変化 が分かりにくい。そこでこれらの方法が有効であることを児童に伝えたうえで実験に取り組ませたい。 ○事前準備 (1) 晴れた日の午後に実験を行うと結果がよくでるので,実験当日の天気をよく確認しておく。 (2) 日光が当たっていない状態から実験を始めるために,実験前日の午後に事前準備を行う。同じ ように育っている株を2つ選び,一方には区別するための切り込みを入れ(穴あけパンチを使う と簡単である),一方には箱などをかぶせおおいをしておく。 (3) 実験に使う葉は大きさや,位置が同じぐらいのものを使う。 (4) 日光に当てた部分と当てなかった部分を一枚で比べられるよ う,右図のように葉の一部にアルミホイルでおおいをする方法 も有効である。 ○ヨウ素液について (1) 市販されているものを水で10∼20倍(ビールの色ぐらい)にうすめて使用する。 (2) ヨウ素でんぷん反応は高温だと色が消えてしまうので,葉を冷ましてからヨウ素液をかけるよ うにする。 ○アルコール脱色法 (1) 葉を沸騰させた湯で2∼3分煮るとやわ らかくなり,エチルアルコールやヨウ素液 が染み込みやすくなる。 棒温度計を活用 するとよい。 (2) 葉をしっかり脱色させるには,エチルア ルコールの温度を沸点(約78℃)近くまで上 げておくことが大切なので,湯の温度は70 ∼80℃に保ちながら湯せんする。 ポットに90℃程度の湯を準備しておき,湯の 温度が下がってきたら入れ替えるようにする ※アルコールランプで使うメチルアルコール(メタノール)は有害なので使用しない。 - 114 - (3) (2)の湯せんで温める場合は,発泡スチロ ール(発泡ポリスチレン製)の容器を使う とビーカーの出し入れがしやすい。 (4) 葉を70∼80℃の湯に入れて洗い,冷まし てからヨウ素液に浸す。 200m ç ビーカーに葉が浸るくらい のエチルアルコールを入れる。 5分ほど浸して反応を見る。 ○たたき染め法 (2) 2枚のろ紙にはさんだ葉をアクリルの板 にはさみ,葉の形がうっすらと見えるよう になるまでたたく。 一辺を テープ で 留める (1) ろ紙にはさむ前に,90℃ぐらいの湯に1 ∼2分入れておくと,葉の組織がはがれや すくなる。 アクリルの板は100円ショップなどで 購入できる。デスクマット用の厚め のビニールシートも活用できる。 (3) 葉をはがし,ろ紙を湯につけ葉の緑色を洗い流す。 (4) ろ紙のまま5分ほどヨウ素液に浸して反応を見る。 まとめ方の例 ・日光が当たった葉にはでんぷんがあり,当たらない葉にはでんぷんがない。 ・葉に日光が当たると,でんぷんができる。 【参考】漂白剤で葉の緑色を洗い流す たたき染め法でろ紙の緑色を洗い流す場合,初めに洗濯用や台所用の塩素系漂白剤で漂白する と,ヨウ素液による色の変化をより明確にすることができる。 ・葉をはがしたら,ろ紙を水で10倍に薄めた漂白剤に5分ほど浸す。 ・ピンセットなどを使い,70∼80℃の湯で漂白剤を洗い流す。 ・ヨウ素液に5分ほど浸して反応を見る。 ※漂白してもでんぷんは残るので,ヨウ素液による色の変化が確認 しやすい。 ※漂白剤を水で薄めるときに少量の塩素が発生するので,十分換気を 行う。 ※漂白剤が直接皮膚や衣服などにつかないように注意し,万一ついた 場合はすぐ水で洗い流す。 - 115 - 水で10倍に薄めた漂白剤と湯 の入った容器を準備する。漂 白剤に葉をつけ漂白してか ら,湯でそっと洗い流す。 【参考】葉でできたでんぷんは,どこにいくのだろうか? 教科書p.39「とびだせ!」は発展的な学習であるが,学習を深める意味でぜひ児童に伝えたい。 ・葉でできたでんぷんは,水にとけるものに変わり,全身に運ばれる。 ・運ばれたでんぷんは成長するための養分として使われたり,いもや種子に たくわえられたりする。 ・人や動物は食べ物を通して養分を取り入れるが,植物は自分で養分=でん ぷんをつくって成長することができる。 でんぷんの観察もジャガイモなどを使って簡単にできるので,活動に取り入れたい。 ①ジャガイモやバナナなどを切って,切り口を ②水をたらしてカバーガラスをかけ,顕微鏡で スライドガラスにこすりつける。 観察する。 4 いろいろな植物の日光が当たるための工夫について 教科書p.39の実験2では身の回りの植物もでんぷんをつくっていることを実験で確かめさせる。学 習のまとめとして日光が当たるために様々な工夫をしたり,環境に適応したりして生きていることに もふれたい。 植物を選ぶ際の留意点 (1) 校庭や花壇などで見られる植物の中から,児童に調べる植物を選択させてもよいが,教師が事前 に選んでおき,その中から調べたい植物を選択させたい。 (2) ツユクサなどの単子葉植物では,葉に日光が当たるとでんぷんではなく,ショ糖を作るものもあ る。ヨウ素液につけても変化しない場合があるので,対象からはずす。 発問例と予想される児童の反応例 ○葉に日光が当たるようにするために,どのような工夫をしているか調べてみよう。 ○葉の付き方はどのようになっているだろうか。真上や真横から観察してみよう。 ・葉っぱの付き方や付いている場所は。 ・葉っぱの形は。 ・葉っぱの大きさは。 横から見ると重ならない ように,前後,左右に葉 が出ている。 上から見ると,いろいろな 方向に出ていて,日光を受 けやすくなっている。 上の葉は小さくて,下に いくと大きくなる。 茎の先が細いのは,重くな ってたれさがらないようす るためではないかな。 茎の近くや地面の近くになる と,日光が届きにくいので葉 はあまりない。 ○シロツメクサは,たくさん集まってぎっしり生えているで,ほかの植物は入りこみにくい。 ○オオバコは,背が低く高い植物に比べて不利だが,他の植物が成長できないような固い地面に生 えている。 ○クズなどのつる植物は,ほかの植物をおおうようにしてのびていくことができる。 - 116 - 4 生き物のくらしとかんきょう 東京書籍6年上 9月上旬∼10月上旬 7(8)時間 【単元の目標】生き物と空気,食べ物,水とのかかわりに問題をもち,これまでの学習や生活経 験などを想起しながら,空気中の酸素は植物が出していること,人や動物の食べ物のもとは植物 であること,生きている植物だけでなく,枯れた植物も動物の食べ物になっていること,水は生 き物にとって不可欠なものであることを,実験したり資料で調べたりして知り,生き物は互いに かかわり合って生きていることをとらえることができるようにする。 学習活動とポイント項目 学習活動 生き物のくらしとかんきょう ・生き物と空気,食べ物,水とのかかわりについて,これまで の学習を基に考える。 時間 ポイント項目 1時間 1 1 導入について「人や動 第1次 ア 空気中に酸素を出しているものはなにか ・空気中に酸素を出しているものは何かを考え,話し合う。 ・植物が二酸化炭素を取り入れて酸素を出しているか,気体検知 管を用いて調べる。 1時間 1 2 物 が 生き てい くの に 必 要なものは何だろう?」 生 き物 と酸 素と の か かわり 【参 考 】石 灰水 を使 っ た 身 近 な植 物で 調べ る 実 験 第2次 イ 人や動物の食べ物のもとはなにか 2(3)時間 ・人の食べ物のもとは何かを考えて,その材料をたどってみる。 1 3 生 き物 と食 べ物 と の また,いろいろな動物の食べ物は何かを調べて,その元をたど かかわり ってみる。 ・枯れ植物が動物の食べ物になっているかを調べ,生きている植 1 物のほかに,枯れた植物も動物によって食べられることを知る。( 2) ・ダンゴムシを飼って,枯れた植物を食べるかどうか調べる。 第3次 ウ 水は生き物にとってどのようなものか 3時間 ・これまでに学習したことを振り返りながら,生き物と水とのか 1 4 生 き物 と水 との か か かわりについて調べ,生き物にとって,水はどのようなものか わり を考える。 ・生き物と空気,食べ物,水とのかかわりについて調べたことを 2 整埋し,発表する。 ・生き物と空気,食べ物,水とのかか わりについてまとめる。 1 導入について 「人や動物が生きていくのに必要なものは何だろう?」 「人や動物が生きていくために必要なものは何か」と児童に問い掛け,これまでの学習を基にして 考えさせるとともに,その理由も合わせてノートに書かせる。その後,自由に意見を発表させながら, 生きていくためには「空気中の酸素 」「食べ物 」「水」が必要であることをまとめ,次時の活動へつ なげていくようにする。 (1) 空気中の酸素・・・呼吸によって,酸素を取り入れ,二酸化炭素を出している。酸素がないと窒息 死してしまう。 (2) 食べ物・・・生きていくために動物や植物を食べている。動物は自分で栄養をつくることができ ない。 (3) 水・・・水を体内に取り入れている。人の体内には約70%の水分が含まれていて,水によって体の 働きを保ちながら生きている。 これから学習すること ア イ ウ 空気中に酸素を出しているのはなにか? 人や動物の食べ物のもとはなにか? 水は生き物にとってどのようなものか? (生き物と酸素とのかかわり) (生き物と食べ物とのかかわり) (生き物と水とのかかわり) - 117 - 2 生き物と酸素とのかかわり 教科書ではコマツナを取り上げているが,教室などで育てて いる鉢植えで葉が十分ついているものであれば,それを利用で きる。 また,この時期は園芸店でも様々な鉢植えが安く販売されて いるので,それを購入して利用できる。 ベゴニアの鉢植えにポ リ袋をかぶせ,鉢の部 分を輪ゴムで留めてか ら実験を行う。 人や動物以外にも,家庭や工場,自動車なども酸素を使って二酸化炭素を出しているのに,空気中 の酸素がなくならないことから,植物が空気中の二酸化炭素を取り入れ,酸素を出しているのではな いかと予想を立てさせ,実験に取り組ませるようにする。 石灰水を使った身近な植物で調べる実験 気体検知管を使わないので,グループごとに実験を行わせることができる。 準備物・・・シロツメクサやアカツメサ(葉のついた茎10本),チャックつきポリ袋, ティッシュペーパー,輪ゴム,石灰水 (1) シロツメクサやアカツメクサを10本ぐら い束ね,茎の端を水でぬらしたティッシュ ぺーパーで包んで輪ゴムで軽く留める。 (2) チャック付きのポリ袋に入れ,空気をぬ く。 (3) チャックの端を少し開け,ストローで袋 の中にはいた息を吹き込む。 (4) シロツメクサを入れた袋と入れていない 袋の2つを準備し,チャックを閉じて教室 のベランダなど日光の当たるところにおく。 (5) はいた息には,二酸化炭素が多いことを説明し,石灰水が濁ることを確認しておく。 (6) 植物がでんぷんをつくるときに二酸化炭素を吸収するならば,1∼2時間後には二酸化炭素が 少なくなって,石灰水が濁らなくなることを話し合っておく。 (7) 袋のチャックを少し開け,スポイトで石灰水を少量入れ,袋のチャックを閉めてよく振る。 (8) シロツメクサを入れた袋の方は白く濁らず,入れていない袋の方は白く濁ることを確かめる。 (9) シロツメクサを入れた袋の方は二酸化炭素が減ったことから,植物がでんぷんをつくるために 取り入れたことを説明する。 - 118 - 3 生き物と食べ物とのかかわり 人や動物の食べ物の関係をたどっていくと,食べるものと食べられるものとの間には鎖のような密 接なつながり( 食物連鎖)があり,植物に行き着くことを図をかかせたり,資料を用いて理解させる。 発問例やまとめ方の例 ○人や動物の食べ物をたどってみよう。最後には何に行き着くでしょうか。 ・動物の食べ物をたどると最後は植物になる。動物の栄養のもとは植物。 ・植物は,自分で栄養を作り出すことができる。 ・植物がなければ,動物は生きていけない。 ・かれた植物(ほし草,落ち葉など)も動物の食べ物になっている。 ・生物どうしのつながりには,食べる−食べられるの関係がある(食物連さという)。 カレーライス 米 イ ネ いも 肉 ジャガイモ ウシ 教師用指導書資料編の中 には このような図も掲載 されている。 人 ト ウモ ロコ シ 4 生き物と水とのかかわり 次のような問い掛けによって ,「なぜ人や動物や植物は水を取り入れないと生きていくことができ ないのか」を考えさせる。 (1)人や動物について 発問例やまとめ方の例 ○人や動物の体の中で,水がたくさんふくまれているものをあげてみましょう。 ・血液・・・酸素や養分を体中に運び,二酸化炭素やいらないものと入れかえる働き。 ・オシッコ・・・体の中にできたいらないものを水にとかして捨てる働き。 ・あせ・・・体温を調節する働き。 ・なみだ・・・目のねんまくを守る働き。 ・鼻水・・・ばいきんを取りこんで体外に出す働き。 ・だ液,胃液,消化液・・・食べ物を消化する働き。 ○これらは人や動物が生きていくためにとても大切や働きをしているのです。 (2)植物について ○植物も水を取り入れないと生きていけません。植物は水 をどこから取り入れるでしょう。また,取り入れた水を どのように使っているのでしょう。 ・根から水と水に溶けた養分を取り入れている。 ・水はでんぷんをつくる材料になったり,葉でつくられた でんぷんを,体中に運ぶ働きをしている。 - 119 - 巻末の﹁とびだせ!﹂には ホウセンカの茎の中の水の 通り道 ︵道管 ︶を観察する 方法が掲載されている。 発問例やまとめ方の例 5 大地のつくりと変化 東京書籍6年下 10月上旬∼11月中旬 12(15)時間 【単元の目標】身の回りの大地やその中に含まれる物に興味をもち,大地の構成物やでき方について 資料などで学習したことを基に地層を観察し,そこが,水のはたらきか火山のはたらきか,どちらの はたらきでできたところかを推論できるようにする。また,大地の変化について,自然災害と関係付 けながら調べ,大地は地震や火山の噴火などによって変化することをとらえるとともに,そこに見ら れる自然の力の大きさを感じとれるようにする。 学習活動とポイント項目 学習活動 第1次 時間 大地はどのようなものでできているか ポイント項目 1時間 ・わたしたちの住んでいる大地は,どのような物でできているの 1 1 かを話し合う。 導 入に つい て「 地 面 の 下 は, どう なっ て い ・地層は,小石,砂,粘土などが層になって積み重なった物であ るのでしょうか」 ることを知る。 第2次 地層はどのようにしてできるのか 3(4)時間 ・地層に見られる物と川の様子の資料を基に地層のでき方につい て考える。 1 2 ( 2) 水 中に 砂や ねん 土 が ・水のはたらきで,どのように地層ができるか,水槽に土を流し 積もる様子を調べよう 【参 考 】傘 袋を 使っ た 地 込む実験をして調べる。 層堆積実験 ・水のはたらきによる地層のでき方とその特徴を,写真資料を基 1 にとらえる。堆積岩や化石について,実物や写真資料で特徴を 調べる。 ・火山のはたらきでできた地層の特徴を写真資料を基にとらえる。 1 第3次 8(10)時間 わたしたちが住む大地はどのようにしてできたのか ・資料を読み,海や湖の底でできた地層が陸上で見られるわけに ついて知る。 3 3 ( 5) 4 地層を観察しよう ・現地観察の計画を立て,観察の準備をする。 ボ ーリ ング 試料 を 活 用しよう ・地層の観察を行い,水か火山のどちらのはたらきでできたかを 【参考】教師用指導書CD- 考え,記録にまとめる。 ROM「川と大地」の活用 ・わたしたちが住む地域に,地震や火山の噴火によって変化した 1 様子が見られるかを話し合い,どちらか一つを選択して,学習 の計画を立てる。 【以降の「地震」「火山」は個別選択とする。】 地 ・地震による大地の変化の様子を調べる。 3 震 (大地の変化の跡を保存している施設が,近くにあれば,現 地調査を行う。) 火 ・火山の噴火による大地の変化の様子を調べる。 山 (大地の変化の跡を保存している施設が,近くにあれば,現 地調査を行う。) ・調べたことや観察結果を整理して発表し,地層のでき方や,大地の 変化と災害についてまとめる。 ・「 たしかめよう」を行い,大地のつくりと変化についてまとめ る。 - 120 - 1 1 導入について 「地面の下はどうなっているのでしょうか」 これまでの体験を基に(教科書や資料集などを見せないで ),「地面の下は,どうなっているでし ょうか。」と問い掛け,地中の様子を予想してノートにかかせる活動を行い,大地のつくりについて の関心をもたせる。その後,教科書p.2∼3の地層写真を見て,大地は小石,砂,粘土などで構成さ れていること,がけがしま模様になって見えるのは,色や粒の大きさの違う小石,砂,粘土が層にな って積み重なっていることをおさえさせる。このとき,小石や砂や粘土を実際に見たり触ったりさせ ながら,粒の大きさや手触りの違いを実感させるとよい。 発問例と予想される児童の反応例 ○地面の下は,どうなっているでしょうか。ノートに予想してかいてみましょう。 土と石からできていると思う。 土や砂や石などがしま模様になっていると思う。 ○教科書p.2∼3の写真を見て,気が付いたことはありませんか。 土の色がちがっているので がけがしま模様に見えるの 砂や小石やねん土が積み重な 種類の違う土でできている は,何かが重なって積もっ っているから,色がちがうん と思う。 たからだと思う。 だ。 ○がけがしま模様になって見えるのは,色やつぶの大きさのちがう小石や砂,ねん土などが層にな って積み重なっているからです。小石や砂,ねん土をさわってみましょう。 砂は,校庭の砂のようにざら 小石は,河原の石のように丸 ねん土は,粉のようだ。 ざらしている。 い。 ○小石,砂,ねん土などの層が,積み重なったものを,地層といいます。地層はどのようにしてで きるのか,調べていきましょう。 2 砂と土を4:1の割合で混ぜた物 ※砂と土はざるやふるいを用い,粒の 大きな物を取り除く。1回の量は大 さじ3∼5杯ほど。 水中に砂やねん土が積もる様子を調べよう 流れる水のはたらきでできた地層 が,いくつかの層に分かれてしま模 様に見えることを確かめるには,右 図のような川に見立てたといと,海 に見立てた水槽に,土と水を流し込 む実験をするとよい。といは,牛乳 パックで作成することができる。 1回目の土が沈 みきったら,も う一度,水と土 を流し込む。こ れを3回ほど繰 り返す。 とい 水槽 プラスチック板 ○といを1リットル牛乳パック3個で作る方法 ① ② 輪ゴム ③ ①牛乳パックの口を開き 底面を切り取る。 ②牛乳パックを折りたたみ,両端 を谷折りしてといの形を作る。 - 121 - ③同じように作った牛乳パック3個を はめ込むようにつなぎ合わせる。 3 地層を観察しよう ○現地での観察の仕方 ①ある程度離れた場所から地層全体を眺め,しま模様が 見えるか,地層が傾いているかなどを問い掛ける。 ②地層全体の様子をスケッチする。地層の厚さや色など を記入する。 ③地層の構成物を調べるために地層に近付く。地層をつ くる砂,小石を観察した後は,がけの下から速やかに 離れる。必要以上にがけの下に滞在しない。 ④観察して分かった地層の構成物をスケッチに記入する。 ⑤水と火山のどちらのはたらきでできたかを考え,まとめ る。 4 地層のスケッチ例 ボーリング試料を活用しよう 近くに観察する適切な地層がない場合は,ボーリング試料の活用を図る。学校にボーリング試料が ない場合は,教育委員会や近隣の学校などに問い合わせてみるとよい。下水道工事などの関係で,水 道局に関連資料が保管されている場合もある。 ボーリング試料には,「礫混じりの砂質シルト」などのように土質が細分化されているので,「小 石 」「砂」「粘土」の3種類に分類し直しておくとよい。また,ボーリング試料は数地点分あると地 層の広がりを理解することができる。 A地点 地表 B地点 C地点 0m 小石 砂 10m 粘土 深 さ 試料を観察し,水と火山のどち らのはたらきでできたかを考える。 20m また,色や粒の大きさなど特徴 のある地層を取り上げ,地層の広 がりを考える。 - 122 - 【参考】傘袋を使った地層堆積実験 (1) 準備物 ・傘袋(ホームセンターで100枚350円程度で売られている 透明なもの) ・砂と土を4:1の割合で混ぜた物 傘袋 ・ビーカーまたはプラスチックコップ スタンド ・スタンド バット ・バットまたはプラスチック水槽 (2) 実験方法 ① ② ③ ④ 砂と土を4:1の割 かさ袋に40㎝ほどの かさ袋の口を保持し, しばらくすると粒の 合で混ぜた物をビー 高さになるように水 ①を一気に注ぐ。袋 大きさや色の違う層 カー入れる(大さじ を入れる。 の下に砂や土が積も ができる。周囲に水 4 杯 ほ ど )。同 じ 物 ったら,次の砂や土 がこぼれないように, を約3個用意する。 を注ぎ,積み重なっ バットや水槽の中に ※砂と土はざるやふ ていく様子を観察す スタンドを立てる。 るいを用い,粒の る。3∼4回ほど繰 大きな物を取り除 り返す。 いておく。 【参考】教師用指導書CD-ROM「川と大地」の活用 教師用指導書添付のCD-ROM「川と大地」の中には全国の水のはたらきでできた大地,火山のはた らきでできた大地の様子を伝える画像が収録されている。単元の導入や現地観察が困難な場合に活 用できる。 主な宮城県内の収録画像 水のはたらきでできた大地 火山のはたらきでできた大地 石巻市福貴浦 互層 蔵王町土浮山 火山灰層 仙台市青葉区白沢 湖成層 涌谷町小里 火山灰層 東松島市野蒜南余景 凝灰岩 仙台市青葉区放山 玄武岩 - 123 - 6 水よう液の性質とはたらき 東京書籍6年下 11月中旬∼12月中旬 10(14)時間 【単元の目標】水溶液には何が溶けているかに問題をもち,水溶液には気体や固体が溶けているも のがあることを調べる。また,リトマス紙を使うと水溶液を酸性,中性,アルカリ性に仲間分けでき ることをとらえる。次に,身の回りの水溶液と金属について,水溶液は金属を変化させるか疑問をも ち,多面的に追究しながら,金属が水溶液によって質的に変化することをとらえることができるよう にする。 学習活動とポイント項目 学習活動 時間 ポイント項目 第1次 水よう液にはなにがとけているか 3(4)時間 ・ 「 薬品をあつかうときに気をつけること」を読む。 2 1 薬品の扱い方 ・塩酸,炭酸水,食塩水,石灰水,アンモニア水にはどんなもの ( 3) 2 導入について「水溶液 が溶けているか,蒸発させて調べる。 には何がとけているか」 ・水溶液には,気体や固体が水に溶けているものがあることをま 1 とめる。 ・資料を読み,炭酸水に溶けている二酸化炭素について調べる。 第2次 水よう液をなかま分けしよう 3(4)時間 ・水溶液は,溶けているもの以外に,どのような性質で分けるこ 1 とができるか,いろいろな水溶液をリトマス紙につけて調べる。 ・水溶液は,リトマス紙の変化で,酸性,中性,アルカリ性に仲 2 3 ム ラサ キキ ャベ ツ で 間分けできることをまとめる。 ( 3) 指示薬を作ろう ・身の回りのいろいろな水溶液をリトマス紙につけて,性質を調 べる。 ・資料を読み,いろいろな指示薬について知り,指示薬づくりを 行う。また,「酸性雨」の資料を読み,水の環境について考え る。 第3次 金属を水よう液に入れるとどうなるか 4(6)時間 ・水溶液には,金属を変化させるはたらきがあるかを調べる。 1 4 金 属を 塩酸 に入 れ る ( 2) とどうなるか ・塩酸にアルミニウムはくが溶けた液を蒸発させて,何か出てく 2 るかを調べる。また,出てきたものがアルミニウムはくと同じ ( 3) 金属かどうかを調べる。 ・水溶液には,金属を変化させるものがあることをまとめる。 1 ・「 たしかめよう」を行い,水溶液の性質とはたらきについてま とめる。 1 薬品の扱い方 本単元では,塩酸,炭酸水,食塩水,石灰水,アンモニア水の5種類の水溶液を扱う。使用する水 溶液はその用途に応じて適切な濃度で適切な量を使用させる必要があり,取り扱いにも十分留意しな ければならない。ここでは,特に危険性のある塩酸及びアンモニア水について解説する。 (1) 塩酸の特徴 ・市販の濃塩酸の濃度は12mol/ç。 ・水素と塩素の化合物である塩化水素HCl(常温で気体)を水に溶かした溶液である。 ・無色透明で,刺激臭があり,市販びんのふたをとると,白煙( 塩化水素)が生じることがあるが, この気体を吸い込まないようにする。 ・皮膚,衣類につけないようにする。(皮膚についた場合,多量の流水で洗い流す) (2) アンモニア水の特徴 ・市販の濃アンモニア水の濃度は15mol/ç。 ・無色透明で強い刺激がある。気体を吸い込まないようにする。 ・揮発性があり,加熱すると気体のアンモニアが発生するので,気密容器に入れ冷暗所に保存する。 - 124 - (3) 塩酸・アンモニア水の調整の仕方 実験では,市販のびんに入ったものを水でうすめて使う。塩酸は,4倍(3mol/ç )と12倍(1mol/ç) にうすめた2種類の濃度のもの調整し,アンモニア水は5倍(3mol/ç )と15倍(1mol/ç)にうすめた 2種類の濃度のものを調整して実験によって使い分ける(下表参照)。 (例)うすい塩酸 (3mol/ç 水溶液,市販びんのものを4倍にうすめた濃度)を200mç 作る場合 ②市販の濃塩酸50mçを①とは別の乾いたメス シリンダーで測り,ガラス棒を用いて少し ずつ,ゆっくりと加える。 ①水150mçをメスシリンダーで測り,300mç のビーカーに入れる。 まず,水を入れ 次に薬品を加え る。逆にしてはい けない! ③必要ならば,試薬びんに移し,ラべルを貼っておく。 うすい塩酸(4倍) ※十分に換気して調整の作業を行う。 ※濃塩酸に水を加えると,発熱した水がはねて危険である。水に濃塩酸を加えるという手順を, 決して逆にしてはいけない。 ○実験で使用する塩酸・アンモニア水一覧 試薬名 塩酸(酸性) 作りたい 4倍にうすめた塩酸 水溶液 アンモニア水(アルカリ性) 5倍にうすめた アンモニア水 12倍にうすめた塩酸 15倍にうすめた アンモニア水 調整方法 水に濃塩酸を加えて 水に濃塩酸を加えて1 水に濃アンモニア水 水に濃アンモニア水 4倍にする。 2倍にする。 を加えて5倍にする。 を加えて15倍にする。 教科書の 実験 2 体積比 水:濃塩酸 =3:1 体積比 水:濃塩酸 =11:1 p.23 実験1 p.29 実験3 p.32 実験4 p.25 実験2 体積比 水:濃アンモニア水 =4:1 体積比 水:濃アンモニア水 =14:1 p.23 実験1 p.25 実験2 導入について「水溶液には何がとけているか」 導入においては,まずそれぞれの水溶液を,視覚や嗅覚などを使いながらじっくり観察させるとこ ろから始める。次にどんな物が溶けているか既習事項を基にして,水溶液を蒸発させて調べさせる。 なお,ここでの「とけていたもの」とは,物質そのものの名前ではなく,「固体」や「気体」という 表し方をするので注意する。 - 125 - まとめ方の例 水よう液の名前 見たようす 塩 酸 とうめい 炭 酸 水 とうめい,あわが出ている 食 塩 水 とうめい 石 灰 水 とう めい,上の方に白いも におい しない しない しない しない じょう発させると とけていたもの においがした 何も残らない 気 体 においはしない 何も残らない 気 体 においはしない 白いつぶが出てきた 固 体 においはしない 白いつぶが出てきた 固 体 のがういている場合もある アンモニア水 とうめい しない 強いにおいがした 何も残らない 気 体 水溶液には,固体や気体が水にとけているものがある。 3 ムラサキキャベツで指示薬を作ろう リトマス紙のように,酸性,中性,アルカリ性を色の変化で調べるときに使う薬品を「指示薬」と いう。教科書p.27やp.61には,ムラサキキャベツや花の汁で指示薬を作る方法が紹介されている。こ こでは包丁やお湯を使わず,簡単に素早く指示薬を作る方法を紹介する。 準備物・・・ムラサキキャベツ,食塩,ポリ袋,ビーカー,試験管,スポイト 作り方 ①ムラサキキャベツの葉を3∼4枚手で小さ くでちぎり,ポリ袋に入れる。 ②食塩を一にぎり加えて,袋の上からよくも む。 ③適量(100∼200mç ぐらい)の水を加えて さらによくもむ。 ④汁の色が紫色になれば指示薬のできあが り。ビーカー等に小分けして使用する。 できれば,30分程度ポリ袋に入れたままにし ておくと,より濃い色の指示薬ができる。 指示薬はあまり長持ちしないので 実験ごとに作り直した方がよい。 ※食塩を入れることで浸透現象が起こり,ムラサキキャベツの細胞に含まれる色素「 アントシアン」 を取り出すことができる。 ※食塩自体は中性なので実験の結果に影響はない。 - 126 - 実験の手順 汁を試験管に入れ( 高さ3㎝,量5mç程度) , 調べたい水溶液をピペットで加える。 酸性は赤色やピンク色,中性は変色せずに紫 色のまま,アルカリ性は緑色∼黄色へと変色す る。 右の写真は,水酸化ナトリウム水溶液で黄色 に,酢でピンク色にそれぞれ変色した様子。 4 金属を塩酸に入れるとどうなるか アルミニウムはく スチールウール 結果 スチールウール (鉄) とけた(変化した) 塩 酸 全部とけた 金属の名前 全部とけた さかん にあわが出た 塩 酸 さかん にあわが出た 区別のために輪 ゴムを巻く。 教科書p.29の実験では,スチールウール(鉄)やアルミニウムはくに,うすめた塩酸(4倍)を注 いで,その反応の様子を観察する。この実験の留意点を挙げておく。 (1) 実験前の留意点 スチールウールは1g程度,アルミニウムはくは1㎝角を4∼5枚を4倍にうすめた塩酸に入れ る。どちらも泡を出し20∼40分ぐらいで溶けきる。しかし,表面に酸化膜ができているため溶け始 めるまでに時間がかかる。そこで,あらかじめ使用するスチールウールやアルミニウムはくを,塩 酸に短時間浸した後に水洗いしたものや,紙ヤスリで軽くみがいておいたものなどを用意しておく とよい。 (2) 実験中の留意点 観察しながら,気付いたことをノートやワークシートなどに記録する。 換気を十分行い,水溶液が手についたり,目に入った場合は水道水で直ちに洗い流す。 しばらくの間,このままにしておき,次の時間に観察する。 まとめ方の例 アルミニウムはく (アルミニウム) とけた(変化した) 塩酸はスチールウール(鉄)もアルミニウムはく(アルミニウム)もとかした。 (3) 実験後の留意点 実験で使ったうすい塩酸やスチールウールを溶かした後の溶液は多量の水で十分希釈し,流しに 捨ててもかまわない。ただしアルミニウムを溶かした溶液は,廃液として処理するか,液体を蒸発 させ残った固体をゴミとして廃棄し,決して流しに捨ててはならない。 - 127 - 7 電流のはたらき 東京書籍6年下 1月上旬∼2月中旬 12(14)時間 【単元の目標】電流を流すと磁石になるおもちゃに興味をもち,電磁石を作って調べ,その仕組み やはたらきをとらえることができるようにする。また,電磁石のはたらきを大きくすることに興味を もち,電流の強さや巻き数を変えて電磁石のはたらきの変化を多面的に調べ,電流のはたらきについ てとらえることができるようにする。さらに,身の回りの電磁石の利用について調べ,電磁石を利用 した道具やおもちゃを作ることができるようにする。 学習活動とポイント項目 学習活動 時間 ポイント項目 第1次 電磁石の性質を調べよう 4時間 ・電磁石を使ったおもちゃがどんな仕組みになっているか,分解 1 1 導 入に つい て「 キ ャ して,作りを調べる。 ッ チ ャー ゲー ムを し よ ・棒磁石と似ている所と違う所を考え,話し合う。 う」 ・電磁石についてまとめる。 ・電磁石をつくり,電流を流したときの性質とはたらきを調べる。 2 【参 考 】電 磁石 で重 い 物 をつり下げよう 2 電 磁石 にも N極 や S 極 が ある こと を調 べ よ う ・電磁石の性質についてまとめる。 1 第2次 電磁石のはたらきを大きくしよう 4(5)時間 ・電磁石のはたらきを大きくするにはどうしたらよいかを話し合 1 い,調べる方法を考える。 ・電流を強くしたり,導線の巻き数を増やしたりして,電磁石の 2 3 電 磁石 のは たら き は はたらきの大きさを調べる。 ( 3) ど の よう にす ると 大 き くなるか調べよう ・電磁石は,電流を強くしたり,導線の巻き数を多くしたりする と,はたらきが大きくなることをまとめる。 ・電磁石を利用したものの資料を読み,エネルギーと環境につい て考える。 第3次 電磁石を使った道具やおもちゃを作ろう ・電磁石の性質を利用した道具やおもちゃをつくる。 ・発電の資料を読み,エネルギーと環境について考える。 ・ 「たしかめよう」を行い,電流のはたらきについてまとめる。 1 導入について 1 4(5)時間 3 【参 考 】鉄 しん のな い ク ( 4) リップモーター 1 「キャッチャーゲームをしよう」 下図のような「手作りクレーン」を提示し,1分間にカードを何枚つり上げることができるかとい うゲームをさせ,鉄(クリップ)を引き付ける仕組みに興味をもたせるようにする。活動を通して, スイッチを入れると磁石のようになることや,スイッチを切ると引き付ける力がなくなる(電流を切 った直後は,まだ磁力が残っているのでクリップなどを引き付けることがある)ことに気付かせる。 導線(エナメル線) ※エナメル線とスイッチや乾電池との 接続箇所は紙やすりでよく磨く。 割りばし エナメル線 を巻き付け たストロー 乾電池 スイッチ 鉄製のくぎ 「手作りクレーン」と「つり上げるカード」の例 - 128 - カードには,鉄製の クリップを数個∼10 個程度付け,重さを いろいろ変える。 ゲーム活動後の発問例と予想される児童の反応例 ○この手作りクレーンはどのような仕組みになっていますか。分解して調べましょう。 ストローの中にくぎが入っている。 ストローにエナメル線がまいてある。 このくぎは磁石なのかな。 くぎはただの鉄みたいだ。 ○ストローに導線をまいた物をコイルといい,コイルに鉄しんを入れ,電流を流している間,鉄し んが磁石になるものを電磁石といいます。 ○(3年生のときに学習した)磁石と似ている所,ちがう所はどこですか。 どちらも鉄を引き付ける。 どちらも両はしが引き付ける力が強い。 コイルの方は,電流が流れないと磁石に ならない。 コイルは磁石になったり,ならなかった りする。 ○電磁石について,調べてみたいことはありませんか。 N極やS極はあるのか調べ たい。 どんな物を引き付けるのか 調べたい。 2 引き付ける力を強くする方 法を調べたい。 電磁石にもN極やS極があることを調べよう 電磁石にも磁石と同じようにN極やS極があるかどうかを調べる実験では,下図のような方位磁針 を用いて調べるとよい。 スイッチ 乾電池 方位磁針の針の向き と電磁石が直角にな るように配置する。 実験のポイント ・方位磁針の針の動きから,くぎの先端 が何極になったか調べる。 ・くぎの向きが変わっても極は変わらな い。 ・乾電池の+極と−極の向きを変えると 極が変わる。 くぎを入れたコイル まとめ方の例 電磁石に電流を流すと,鉄しんが磁石のはたらきをもつようになる。電磁石にもN極とS極が あり,電流の向きが反対になると,極も反対になる。 方位磁針のS極が電磁石の方を指して いるのでN極となる。 方位磁針のN極が電磁石の方を指して いるのでS極となる。 - 129 - 3 電磁石のはたらきは,どのようにすると大きくなるか調べよう 実験では乾電池の数( 電流の強さ)や導線の巻き数を変えて,電磁石のはたらきの大きさを調べる。 下図のようにコイルにくぎを入れたもの,乾電池,スイッチ,電流計(検流計も可)をつなぐ。 −端子 +端子 (5A) 実験のポイント スイッチ ・乾電池の数を増やすと,つり上げるクリ ップの数が多くなる。 ・巻き数を多くすると,つり上げるクリッ プの数が多くなる。 ※できるだけ新しい乾電池を使う。 ※コイルが熱くなるので,こまめにスイッ チを切る。 電流計 −極 +極 導線の巻き数を 変える。 ワークシート例 (1) 電流の強さを変える(導線のまき数は100回) かん電池の つり上げたクリップの数 電流の強さ 数 1回目 2回目 3回目 1個 A 個 個 個 2個直列 A 個 個 個 3個直列 A 個 個 個 (2) 導線のまき数を変える(かん電池は1個) 導線の 電流の強さ まき数 1回目 100回 A 個 200回 A 個 つり上げたクリップの数 2回目 3回目 個 個 個 個 乾電池の数を 変える。 平均 個 個 個 平均 個 個 まとめ方の例 電流を強くしたり,コイルの導線のまき数を多くしたりすると,電磁石のはたらきは大きくなる。 【参考】電磁石で重い物をつり下げよう 理科室に右のような電磁石はありませ んか。このタイプの電磁石は,乾電池を 取り付けると,持ち手部分(電磁石)が つり下げ部分(鉄の板)を強力に引き付 け,数十㎏の物(写真の電磁石は約60㎏) をつり下げることができる。この電磁石 に水の入ったペットボトル(5個程度) をつり下げる実験を行うことで,電磁石 に対する関心を高めることができる。 発問例 ○水の入ったペットボトルを何本つり 上げることができますか。 (児童に予想させた後,実験する) ○仕組みを見てみましょう。 (コイルや鉄しんの様子を観察させる) 持ち手部分 電磁石 乾電池 つり下げ部分(フック状で ない物もある) ロープで 固定する 脚立 ひもでつ り下げる 水の入ったペットボトル ※つり下げ部分がフック状でない場合,S字フック(耐荷重10㎏以上 , 100円ショップなどで購入可)を用いるとよい。 - 130 - 【参考】鉄しんのないクリップモーター (1) 準備物 エナメル線(太さ0.4mm,長さ50cm),単一乾電池(1個),ゼムクリップ(2個), 強力磁石(1個 ※教材販売店で5個,400円ほどで購入可),紙やすり,セロハンテープ (2) 作り方 ①エナメル線を単一乾電池に3回ほど巻き ④ゼムクリップ下図のように引き伸ばし, コイルを作る。 乾電池の+極,−極にセロハンテープで 固定し,コイルの軸受けにする。 ②コイルを乾電池からはずして,ほどけな ⑤強力磁石を乾電池の中央に設置する。 いように両端をコイルに軽く巻き付け, 位置を固定する。 ③エナメル線の片方は全面を紙やすりなど ⑥コイルを軸受けのクリップに通し(クリ で表面のエナメルをはがす。もう片方は, ップにのせ),軽くコイルを押すと回転を 断面の半分を削り取り,半分はエナメル 始める。 をはがさないようにする。 ※よくはがすことがうまく回すポイント。 (3) うまく回らない場合の解決策 ①エナメルがしっかりはがされていない。→ もう一度紙やすりでエナメルをはがす。 ②コイルのバランスが悪い。→ 下図に合わせて形を整える。 ③乾電池が消耗している。→ 新しい乾電池と交換する。 - 131 - 8 人とかんきょう 東京書籍6年下 2月中旬∼3月中旬 8(11)時間 【単元の目標】人のくらしと環境とのかかわりに問題をもち,人は空気,水,植物やほかの動物と どのようにかかわり,どのような影響をおよぼしているか,また,環境を保全するためにどのような 工夫をしているかなどについて調べ,その結果を基に,環境保全のために自分たちにできることや, 地球環境の大切さと生き物と環境とのかかわりについて考えることができるようにする。 学習活動とポイント項目 学習活動 時間 ポイント項目 第1次 人とかんきょう 8(11)時間 ・人は空気,水,植物やほかの動物とどのようにかかわっている 1 1 導 入に つい て「 1 年 かを考えて話し合い,人と環境とのかかわりについて,調べる ( 2) 間 の 学習 をふ り返 っ て 計画を立てる。 みよう」 ・情報を集める方法を確認する。 ・人は空気,水,植物やほかの動物とどのようにかかわり,その 1 2 人 と空 気, 水, 植 物 結果,どのような影響をおよぼしているかを調べて,まとめる。( 2) とのかかわり ・人は環境保全のためにどのような工夫をしているかを調べて, 1 3 環 境を 守る ため の 工 まとめる。 ( 2) 夫 ・学校や地域での取り組みや,自分たちの生活を振り返りながら, 2 4 空 気と 水の 汚れ を 実 環境保全のために自分たちにできることがないかを調べて,考 感させるために える。 ・人と空気,水,植物やほかの動物とのかかわりや,環境保全に 2 3 環 境を 守る ため の 工 ついて調べたり考えたりしたことを整理して,発表する。 夫 ・地球の環境保全の大切さを話し合い,生き物と環境とのかかわ 1 りについてまとめる。 1 導入について 「1年間の学習を振り返ってみよう」 「4 生き物のくらしとかんきょう」では,生き物と環境とのかかわりについて学習した。ここで は,対象を人の生活にしぼって話し合わせる 。「人は,空気,水,植物や他の動物とどのようにかか わっているか」と児童に投げ掛け,人と空気,人と水,人と植物や他の動物とのかかわりという視点 でこれまでの1年間の学習を振り返る。さらに,それぞれとのかかわりを「 かんきょうとのかかわり」 としてとらえ,自分なりに調べる計画を立てていくようにする。 発問例とまとめ方の例 ○人と空気,人と水,人と植物というかかわりで1年間の理科の学習を振り返ってみよう。 1ものの燃え 2動物のからだ 3植物のからだ 4生き物のくらし かたと空気 のはたらき のはたらき とかんきょう (1) 人と空気とのかかわり ・人はものを燃やして酸素を使い,二酸化 炭素を出している。 ・人は,酸素を吸って二酸化炭素を出して いる。 ・人は二酸化炭素を出すが,植物は二酸化 炭素を取り入れて,酸素を出している。 ・化石燃料を燃やすと二酸化炭素が増え, かんきょうに様々なえいきょうを与えて いる。 5大地のつくり 6水溶液の性質 7電流の とはたらき と変化 はたらき ( 2) 人と水とのかかわり ・人は飲み水として,体の中に取り 入れている。 ・人の体には多くの水がふくまれて いて,体のはたらきを保ち,生き ている。 ・人がごみなどを燃やすときに出る 物質が,空気中で変化して雨水に とけると,強い酸性の雨 (酸性雨) になって降ることがある。 - 132 - (3) 人と植物とのかかわり ・人は木材を燃料として燃やしてい る。 ・人は二酸化炭素を出しているが, 植物は二酸化炭素を取り入れて, 酸素を出している。 ・人は,植物を食べ物として体の中 に取り入れている。 発問例 ○人とかんきょうとのかかわりについてさらにくわしく調べていこう。 ・人は,空気や水,植物やほかの動物とどのようにかかわり,どのようなえいきょうをおよぼし ているのだろうか。 ・人は,かんきょうを守るために,どのような工夫をしているのだろうか。 ・わたしたちは,かんきょうとどのようにかかわりながら生活していけばよいだろうか。 2 人と空気,水,植物とのかかわり 「人は生活の中で,空気や水,植物などをどのように利用しているのだろうか」「それらの利用で地 球全体のかんきょうは今,どうなっているのだろうか」と投げ掛け,それぞれについて,表にまとめ させる(興味のあるもの一つにしぼったり,グループごとに調べさせたりするのもよい)。 発問例とまとめ方の例 ○生活の中で,空気,水,植物(森林)をそれぞれどんなことに利用しているのか,教科書など で調べ,まとめよう。 ○その結果,かんきょうにどのようなえいきょうや問題が起きているのだろう。 ①呼吸のた めに利用す る ②すいじを するために ガスなどを 燃やすとき に利用する ①飲み水と して利用す る ③発電を行 うため,石 油・石炭を 燃やすとき に利用する ④ 自動 車を走 ③すいじや お風呂など 生活用水と して利用す る ①家を 建て るため の, 材料として, 利用する ②家具など, 様々な製品 を作るため に利用する ③木材 を燃 料とし て燃 やし, 利用 する 空気 ら せ る ため , ガ ソ リ ンや 軽 油 を 燃 やす と き に 利 用す る 植物 ④野菜や果 物を食料と して利用す る ⑤紙や本に するための 原料として 利用する 水 ④米や野菜 などを育て るために利 用する ②洗た くな どいろ いろ なもの を洗 うとき に利 用する ⑤工場では, 様々に水を 利用する かんきょうにどのようなえいきょうや問題が起 きているのだろうか。 ・空気中の酸素が使われ,二酸化炭素が増えて いる。 ・空気のよごれや,地球の気候へのえいきょう が問題になっている。 ・川や湖,海などの水のよごれが問題になって いる ・開発などによって,多くの木が切られ,森林 が減少している。 - 133 - 3 環境を守るための工夫 教科書p.54,55の写真は ,「人がかんきょうにおよぼすえいきょうを少なくするくふう」「自然のか んきょうを守るための努力」という視点で掲載されているが,「空気や水を汚さない工夫」「森や林, 自然の生き物を守り育てる努力」のように,具体的な視点を加えることで,児童の調べる内容がより 明確になる。 発問例とまとめ方の例 ○人はかんきょうを守るために,どのようなくふうをしているのか調べよう。 かんきょうにおよぼすえいきょうを少なくするくふう ・海や湖,川などの 水を汚さない工夫 ・空気を汚さない工夫 ・下水処理場 ・料理で使った油 を下水に流さな い工夫 ・電気自動車 ・燃料電池自動車 ・風力発電 ・太陽光発電 自然のかんきょうを守るための努力 ・森や林などを守り 育てる工夫 ・自然の中の生き物 を守り育てる工夫 ・再生紙の利用 ・グリーンマークに よる呼びかけ ・木を植え,森林を 守り育てる ・尾瀬や淀川のよう な自然保護活動 環境の調べ学習に有効なコンテンツ 「環境省 こどものページ」 「(独)国立環境研究所ホームページ」 「EICネット http://www.env.go.jp/kids/ http://www.nies.go.jp/nieskids/index.html このゆびとまれ!エコキッズ」 http://www.eic.or.jp/library/ecokids/ 4 空気と水の汚れを実感させるために 環境を守るためにできることを児童に考えさせる上で,次のような実験を行うことも効果的である。 (2) 牛乳を使った水の汚れ調べ 水と比べ る 交通量の多い道 路沿いなど 住宅街や公園など 地上1メートル程度の高さにタオルを数日間 つり下げて,場所による汚れ具合いを比べ,排 気ガス等による空気の汚れを実感させる。 牛乳を水でうすめる (1) タオルを使った空気の汚れ調べ ピペットで1m ç の牛乳をビーカーに測りと り,水で,10 倍,100 倍,・・・とうすめていく。10000 倍にうすめても,にごりが残ることから,家庭 排水による水の汚れを実感させる。 - 134 - よくある理科室・理科準備室における問題点について ①現行の教育課程では 使用しなくなった実験 器具(風向計やモノコ ード,線膨張試験器な ど)が限られた収納ス ペースをふさいだりし ていませんか? ②引き出しや棚に収納 されている物の表示が ないため,実験器具や 試薬などを見つけるの に時間がかかったりし ていませんか? ③ビーカーや試験管な どの実 験器 具が 散在 し,一か所に収納され ていないため,必要な 数をそろえるのに時間 がかかったりしていま せんか? これ では すぐに 理 科室を利用できま せん。 みんなで理科室の 整理をしましょう。 ④消耗品(試薬,気 体検知管など)の補 充がされていなく て,すぐ利用するこ とができなかったり していませんか? ⑤ 前 年 度ま で に 使 っ た 自 作実 験 器 具 や ワ ー クシ ー ト な どが,見つけづらい と こ ろ に収 納 さ れ た り し てい ま せ ん か? - 135 - 「使いやすい理科室」のコンセプト 理科室・理科準備室における問題点を解決し,観察・実験の準備がしやすい 理科室のコンセプトは! ① だれでも迷わずに利用できる ② いつでも素早く準備できる ③ 前年度までの指導が活用できる コンセプトに基づいた「使いやすい理科室」のリフォームの方法 (1)事前準備 ちょっとアドバイス ラベルシートやチェック ①単元の実験ごとに実験器具や ②実験内容ごとにまとめたラベ シートを印刷するときの 消耗品をそろえるために,ケー ルシートを準備します。ラベル デジタルデータ(word)は, スを必要な数だけ準備します。 シートには学年,教科書ページ, 宮城県教育研修センター 3∼6学年で 50 個程度必要で 単元名,準備物の順に記入され 「科学巡回ホームページ」 す。ケースは百円ショップでも ています。 からダウンロードできま す。 入手できます。 ちょっとアドバイス ペットボトルやアル ミ缶,びん,牛乳パ ックなど,身の回り の物で実験に使えそ うな物を集めておく ③単元ごとに必要な実験器具を と,より充実した準 チェックできるシートを準備し 備が行えます。理科 ます。チェックシートには学年, 準備室に分別してお 単元名,教科書ページ数,実験 く と 使 いや す い で 器具名,チェック欄が用意され す。 ています。 - 136 - (2)整理方法 ①すべての器具を棚から出して,棚の使用学年 を決めます。この時,現行の教育課程で使用し ない実験器具は,準備室の奥などにしまって棚 の収納スペースをできるだけ確保します。 ちょっとアドバイス 「使いやすい理科室」の 整理に要する時間は 5∼ 6 人で行えば 2 時間程度 です。 できれば,新しい配置場 所を確認したり,現状を 把握したりする意味で も,みんなで行いましょ う。 ②棚を学年別に使用し,ラベルで表示します。 自作実験器具の例 学年ごとにしっかり整理 ③自作実験器具やワークシートは,学年の棚に保管します。そ のため学年のスペースは可能な限り広く設定しておきます。 - 137 - ④ケースに,教科書のページや単元名が記入された ラベルをはり,実験内容ごとに実験器具や消耗品を そろえます。 ⑤ビーカーや試験管など,多学年が重複して使用するもの は「共有器具用棚」を設け,ここに整理し,表示します。 器具の個数も記入し,いつでも使える状態にしましょう。 - 138 - 「使いやすい理科室」にリフォームした学校から届いた先生方の声 ○実験器具を探すとき,学年の棚のケースにしっかり準備されているので,とても助かってい ます。 ○転任してきて一年目なのですが,学年の配置がすぐに分かって迷うことなく,使いたい器具 が見つけられます。 ○学年ごとに分けられているので,「自分たちの学年の物」として責任感をもって整理するよ うになりました。 ○チェックシートでチェックできるので,何があって何を補充すればいいのか簡単に分かるよ うになりました。 実施前 実施後 6年 - 139 - 「理科指導CD」 「新・理科指導ポイント集」を活用するためのデジタルコンテンツです。 授業でそのまま活用することができ,児童の興味・関心を一層高めることができま す。 理科指導に有効なデジタルコンテンツ満載! 「理科指導CD」メニュー画面 宮城県教育研修センターホームページ内の 「科学巡回訪問 HomePage」を開きます。 http://midori.edu-c.pref.miyagi.jp/science/ このページから「理科指導CD」に収録されて いるコンテンツの最新版をダウンロードするこ とができます。 「デジタル教材」をクリック - 140 - 理科指導に有効なコンテンツ 1 小学校理科の実験手順が動画で見られる「初等理科実験コンテンツ」 2 豊富なデジタル教材が利用できる「理科ねっとわーく」 3 「新・理科指導ポイント集」で紹介しているコンテンツ一覧 1 「初等理科実験コンテンツ」みやぎIT教育ポータルサイト(宮城県教育委員会) http://e-net.edu-c.pref.miyagi.jp/ 宮城県教育委員会が管理,運営するみやぎIT教育ポータルサイト内にある「初等理科実験コンテン ツ」は,小学校理科の実験の中から数多くの実験を取り上げ,準備や演示の際のポイントをビデオク リップ及び実験手順書としてまとめ,公開している。 ②「実験手順書を見る」を クリック ①「初等理科指導資料」を クリック ③実験の手順や動画を見ること ができる 収録されている実験 学年 単 3 7 元 名 光を当てよう 実 験 内 容 ○光電池に日光を当てると電流が流れて,電子オルゴールが鳴る ことを調べる 8 明かりをつけよう ○豆電球の中の作りを見せ,電気の通り道を調べる 年 ○金属の表面に塗ってある物をはがして,電気を通すか調べる 9 じしゃくに ○印のない磁石のNとSを見つける つけよう ○磁石に付いた鉄が,磁石の性質をもつようになることを調べる ○磁気カードに鉄粉を振り掛け,バーコードの様子を調べる 8 もののかさと温度 ○空気を温めたり冷やしたりして,かさの変わり方を調べる 4 ○水を温めたり冷やしたりして,かさの変わり方を調べる ○金属の球を温めたり冷やしたりして,かさの変わり方を調べる 年 ●アルコールランプの使い方 ●ガスバーナーの使い方 ●ガラス管の切り方 ●ゴム栓の穴の開け方 9 水のすがたと ゆくえ ○湯気をスプーンに当てると,スプーンの表面はどうなるか調べ る - 141 - 4 9 水のすがたと ○泡をろうととストローを使ってポリ袋に集め,袋の中の変化を ゆくえ 調べる ○水を熱して,沸騰しているときの温度を調べる 年 ○水を入れた試験管を氷の中に立て,温度の変化を調べる 11 ものの ○金属棒の温まり方を調べる あたたまりかた ○銅板の一部を温めて,金属の温まり方を調べる ○水を入れた試験管を熱することで,水の温まり方を調べる 5 4 花から実へ ●光学顕微鏡の使い方 7 てこのはたらき ●上皿天秤の使い方 8 もののとけかた ○食塩の溶ける様子や食塩水の様子を観察する 年 ○水に溶ける食塩の量を調べる ○食塩が水に溶けると,食塩水の重さはどうなるか調べる ○食塩水を蒸発させると,溶けている食塩はどうなるか調べる 9 おもりのはたらき ○おもりの重さや速さを変えて斜面を転がし,当てられたおもり の動く距離を調べる 1 ものの燃えかたと 空気 ○物が燃えた後の気体はどうなっているか石灰水で調べる ○物が燃えた後の気体はどうなっているか気体検知器で調べる ○窒素と酸素に物を燃やすはたらきがあるか調べる 2 動物のからだの ○米飯粒のでんぷんがだ液によって変化するか調べる はたらき 3 植物のからだの 6 はたらき ○葉に日光が当たると,でんぷんができるかどうかをたたき染め 法で調べる ○葉に日光が当たると,でんぷんができるかどうかをアルコール 脱色法で調べる 年 6 水よう液の性質と はたらき ○水溶液に金属を入れたときの変化の様子を調べる ○炭酸水から気体を取り出し,それが二酸化炭素であることを確 認する 6 水よう液の性質と はたらき ●リトマス紙の使い方 ●水溶液の作り方 ●ろ過の仕方 7 電流のはたらき ○コイルを自作する ○電磁石の極を調べる ○鉄しんのあるクリップモーターを作る ●電流計の使い方 実験器具等の使い方 ●アルコールランプの使い方 ●ガスバーナーの使い方 共 ●ガラス管の切り方 ●ゴム栓の穴の開け方 通 ●光学顕微鏡の使い方 ●上皿天秤の使い方 ●リトマス紙の使い方 ●水溶液の作り方 ●ろ過の仕方 ●電流計の使い方 - 142 - 2 「理科ねっとわーく」(独立行政法人科学技術振興機構) http://www.rikanet.jst.go.jp/ 小・中・高等学校の理科 の授業で使えるデジタル教 材を集めたサイトである。 簡単な利用者登録をするだ けで,収録されている約4 万点ものシミュレーション ソフト,動画,静止画,ワ ークシートなどを無償で利 用できる。すでに2万人以 上の先生方が活用中である。 単元ごとにまとまったデジ タル教材を利用できる 先生方による活用事例が参 照できる 初めての方はここから登録 する 利用できる教材が限定される が,登録しなくても活用でき る「一般公開版」もある 4年「月の動き」「星の動き」などで活用で きる「宇宙と天文」 5年「天気と気温の変化」「台風と天気の変 化」で活用できる「マルチビュー天気教材」 5年「流れる水のはたらき」で活用できる 「流れる水のはたらきと土地の変化の関係」 ※一般公開版で利用可 6年「大地のつくりと変化」活用できる「大 地のつくりをコンピュータグラフィックスで みよう」 ※一般公開版で利用可 - 143 - 3 「新・理科指導ポイント集」で紹介しているコンテンツ一覧 学年 単 2 元 名 チョウを そだてよう コンテンツ ・宮城県教育研修センター平成13年度長期研修員研究報告書 (冷蔵庫を使ったモンシロチョウの羽化時間の調整法などを紹介 している。) http://aobadb.edu-c.pref.miyagi.jp/practice_research/att ach/01C0011.pdf ・青虫くんの成長日記 3 (モンシロチョウの成長の様子を動画で見ることができる。) http://midori.edu-c.pref.miyagi.jp/science/dejitaru/deji taru.htm 年 3 植物のからだを しらべよう ・青森県総合学校教育センター小学校理科講座 (植物の葉,茎,根の見分け方や葉の枚数についてクイズ形式で 楽しく学べる。) http://www.edu-c.pref.aomori.jp/ 4 こん虫を しらべよう ・昆虫エクスプローラ (様々な昆虫の生息環境を調べることができる。) http://www.insects.jp/ ・石川県ふれあい昆虫館 (カブトムシ,アゲハチョウ,バッタ,テントウムシ等,様々な 昆虫の飼育方法について紹介されている。) http://www.pref.ishikawa.jp/fureai/ 5 星の動き ・科学巡回訪問ホームページデジタル教材 (星座学習用のパワーポイントファイル「夜空を見上げよう」を ダウンロードすることができる。) http://midori.edu-c.pref.miyagi.jp/science/dejitaru/deji taru.htm 6 すずしくなると ・気象庁のホームページ 4 ( 宮城県内20箇所の気温などの気象情報を調べることができる。) http://www.jma.go.jp/jma/index.html 年 10 寒くなると ・インターネット昆虫図鑑 (昆虫の生態について調べることができる。) http://www.iip.co.jp/zukan/ ・TBS生物図鑑 (動物の生態について調べることができる。) http://www.tbs.co.jp/seibutsu/zukan/ 12 生き物の1年を ・気象庁ホームページ ふりかえって ( 宮城県内20箇所の気温などの気象情報を調べることができる。) http://www.jma.go.jp/jma/index.html - 144 - 1 天気と気温の変化 ・高知大学気象情報頁 研究・教育のための書庫 (1996年4月から現在まで気象衛星の雲写真をダウンロードする ことができる。) http://weather.is.kochi-u.ac.jp/archive.html 3 生命のたんじょう ・ソロモンの指輪 (ペットボトルを利用した手軽なメダカの飼育水槽を紹介してい る。) http://homepage2.nifty.com/night-forest/ ・せいめいたんじょう (体内での子供の成長の様子を分かりやすく紹介している。) http://homepage1.nifty.com/bird-edu/edu/tanjyo/ ・身近な昆虫・動物や植物と自然環境− メダカの一生 − (メダカのすみかや泳ぎ方,産卵,卵の変化等を動画などによっ て紹介している。) http://www2.edu.ipa.go.jp/gz/q-rika/q-movd/q-mox5/IPA-ri k2050.htm 5 5 台風と天気の変化 ・科学巡回訪問ホームページデジタル教材 ( 「 パラパラ天気」シートをダウンロードすることができる。) http://midori.edu-c.pref.miyagi.jp/science/dejitaru/deji 年 taru.htm ・高知大学気象情報頁 研究・教育のための書庫 (1996年4月から現在まで気象衛星の雲写真をダウンロードする ことができる。) http://weather.is.kochi-u.ac.jp/archive.html 6 流れる水の はたらき ・流れる水の話 (川の「けずる 」「運ぶ 」「つもる」はたらきをアニメーション で紹介している。) http://www.crdc.gifu-u.ac.jp/edsoftol/water/ ・にいがた水探検 (川の「上流」「中流 」「下流」の特徴をクイズ形式で学ぶこと ができる。) http://www.tohoku-epco.co.jp/niigata/mizu/index2.html 8 もののとけかた ・たばこと塩の博物館「世界の塩・日本の塩」 (日本の食塩の歴史や世界の食塩について紹介している。) http://www.jti.co.jp/Culture/museum/sio/index.html ・財団法人 塩事業センター「こどもの学習」 (食塩の製造方法や食塩を使った様々な実験,工作について紹介 している。) http://www.shiojigyo.com/study/index.html - 145 - 2 動物のからだの はたらき ・NHKデジタル教材 (NHK学校放送を動画で見ることができる。) http://www.nhk.or.jp/school/ 6 8 人とかんきょう ・環境省 こどものページ (環境教育に関する情報を提供している。) 年 http://www.env.go.jp/kids/ ・(独)国立環境研究所ホームページ いま地球がたいへん! (地球環境を守るための工夫について紹介している。) http://www.nies.go.jp/nieskids/index.html ・このゆびとまれ!エコキッズ (身近な環境を守るための工夫について紹介している。) http://www.eic.or.jp/library/ecokids/ ・ 「 初等理科実験コンテンツ」みやぎIT教育ポータルサイト (小学校理科の実験手順を動画で見ることができる。) http://e-net.edu-c.pref.miyagi.jp/portal/rika/top.html ・理科ねっとわーく (豊富なデジタルコンテンツが利用できる。) 共 通 http://www.rikanet.jst.go.jp/ ・宮城県教育研修センターホームページ (教育情報を提供している。) http://www.edu-c.pref.miyagi.jp/ ・宮城県教育研修センター科学巡回訪問ホームページ (「 新・理科指導ポイント集 」「学習リンク集 」「デジタル教材」 などが利用できる。) http://midori.edu-c.pref.miyagi.jp/science/ - 146 - 参考文献及び参考URL [1]文部省:「 小学校学習指導要領解説 理科編」 東洋館出版 1999 [2]「平成17年度 小学校用 新編新しい理科」 東京書籍 2005 [3]「平成17年度 小学校用 新編新しい理科教師用指導書指導編(朱書)」 東京書籍 2005 [4]「平成17年度 小学校用 新編新しい理科教師用指導書資料編」 東京書籍 2005 [5]「平成14年度 小学校用 新編新しい理科教師用指導書指導編」 東京書籍 2002 [6]「平成14年度 小学校用 新編新しい理科教師用指導書研究編」 東京書籍 2002 [7]「平成14年度 小学校用 新編新しい理科教師用指導書地方版資料東北版」東京書籍 2002 [8]「平成17年度 みんなと学ぶ [9]「平成17年度 小学校用 小学校理科」 小学理科」 学校図書 2005 教育出版 2005 [10]「平成17年度用 わくわく理科」 啓林館 2005 [11]「平成17年度用 新版たのしい理科」 大日本図書 2005 [12]静岡県総合教育センター: 「 小学校理科観察・実験集」 [13]日本初等理科教育研究会: 「 初等理科教育 2006 2005年5月∼2006年12月号」 農文協2005∼2006 [14]日本初等理科教育研究会:「 初等理科教育 2004年4月増刊号 小学校理科授業のレベルアップ読本」 農文協 2004 [15]日本初等理科教育研究会: 「 初等理科教育 2003年5月増刊号 楽しい理科の導入の工夫」 [16]「小学館の図鑑NEO ③昆虫」 [17]降旗勝信: 「 新しい理科指導 100のポイント」 農文協 2003 小学館 2004 国土社 1991 [18]佐賀県教育センターのホームページ(http://www.saga-ed.jp/) [19]糸魚川市理科教育センターのホームページ(http://www17.ocn.ne.jp/ i-risen/) [20]黒川理科研究会ホームページ(加藤幸男先生の授業プラン) (http://homepage2.nifty.com/KurokawaRika/) [21]岡山理科大学総合情報学部生物地球システム学科植物生態研究室(波田研)のホームページ (http://had0.big.ous.ac.jp/ hada/index.html) [22]東京農工大学動物行動学研究室のページ (http://www.tuat.ac.jp/ ethology/) [23]シリウス/静岡教育サークルのホームページ(http://homepage1.nifty.com/moritake/) [24]藤沢メダカの学校をつくる会渡辺克己メダカクイズ (http://www2s.biglobe.ne.jp/ kurobe56/fms/fms.htm) [25]TOSSインターネットランド: ( http://www.tos-land.net/) [26]宮城県教育研修センター: 「 理科指導ポイント集 教科書観察・実験編」 2006 [27]宮城県教育研修センター: 「 理科指導ポイント集 教材・教具活用編」 2006 [28]宮城県教育研修センター: 「 理科指導ポイント集 理科指導Q&A編」 2006 [29]宮城県教育研修センター: 「 小学校理科研修会資料」 - 147 - 2006 本冊子についてのお問い合わせ等は,下記までお願いいたします。 宮城県教育研修センター 初等理科研究グループ 〒980−0845 仙台市青葉区荒巻字青葉393 Tel:022−227−2626 Fax:022−213−8635 宮城県教育研修センター「みやぎ先生ひろば」ユーザーの方は,「小学校の部屋(理科)」の 各学年の掲示板に御記入下さい。 「小学校の部屋(理科)」を クリック みやぎ先生ひろばトップページ 「第○学年掲示板」をクリックして 感想や質問等をお書き下さい 編集関係者 平成18年度 専門研究員 初等理科研究グループ 名取市立不二が丘小学校教諭 平栗 秀勝 大崎市立上野目小学校教諭 鎌田 雅博 柴田町立東船岡小学校教諭 玉田 芳治 指導主事 企画研究班 班 長 菊地 利一 指導主事 教職研修班 次 長 小室 秀一 指導主事 企画研究班 主 幹 門脇 卓 指導主事 企画研究班 主任主査 狩野 秀明 新・理科指導ポイント集 平成19年(2007年)3月 発 行 編 集 ・ 発 行 宮城県教育研修センター 〒980−0845 仙台市青葉区荒巻字青葉393 Tel:022−227−2626 Fax:022−213−8635
© Copyright 2024 ExpyDoc