表1 『米欧回覧実記』にみる博物館視察状況一覧表

表1 『米欧回覧実記』にみる博物館視察状況一覧表
博物館・及びそれに
NO
日付
定義
展示内容
博物館の目的
出典
類する施設
①P.220,第 12 巻 「華盛頓府
1872.2.25
パテント、オヒス
褒巧院の義なり
新発明の機械、雛形
ノ記中」
1
「スミソニアン」学
2
①P228、第 12 巻 「華盛頓府
1872.3.10
草木を蓄え、器械諸件も備足す
校
ノ記中」
●皆人の耳目を誘き、聞見を実にし、以て
生業をすヽめ、学知を博くせしめるに出
博物館
「ウードワルト」公
3
1871.12.7
苑
ヂョーロチ
毎一人木戸銭二十五「セント」、此苑は禽獣園
ボタニック ミ シ ヤ ム
草木園博物館、及ひ蔵画館を兼たる場なり、
て、莫大の費用を耗するも、曾ち吝めさる
動物を集む、禽獣虫豸胡蝶卵蛋等、みな
①p.81-83 ページ、第 37 巻
は、別に大利あるによるなり、
乾蔵法にして
「桑方斯西哥ノ記」
●都府の人民之に費用を醵したる、其利潤
は有形理学の進歩し、農工商の実益に発見
し、富庶繁栄の媒ちなる
湖水より出せる、貝類、化石類、鉱石、
①P.286,第 15 巻、「北部縦覧
4
1872.1.5
博物館
禽獣の骨、埃及の古物(ミイラ)、外国
ノ記中」
の品(日本の物品も含)
②70-71 ページ、第 23 巻「倫
5
1872.7.17
博物館
敦府ノ記上」
大英博物館の謂なり、此博物館の盛んなるこ
書庫、鉱石の室(天より隕たる石)、貝
と、欧洲に轟ける大館にして、万室みな備る、
「ブリツチ、ミジエ
6
1872.8.25
ァム」
博物館
類、化石類、地中より掘出せる全世界の
博物館に観れは、其国開化の順序、自ら心
②pp.112-115、第 25 巻 「倫
動物骨、博古の室(英国及ひ各国、古来
目に感触を与ふるものなり、
敦府ノ記下」
苟も学を志し、業を研するの人は、男女を論
せす、科課を疑せす、みな人の来観して益を
の石器、玉器、銅器、磁器)
獲る所なり
海石の室、大小の禽鳥を蓄へた室、海獣
7
1872.8.30
介の室、諸獣骨の室、陶器石器博古器の
②p.135、第 27 巻
室、蔵書室、名画を集めたる室、古き石
陂府ノ記下」
「里味
博物館
嘲雕の像を集めたる室
製作の品物を排序し、注意を加える、一
「インヂストリヤ」
8
1872.9.12
器械製造の考証に設けたる場、
此館に入れは、製作の術に於て学知の思ひ
②pp.109-111、第 31 巻 「壱
其半にすく
丁堡府ノ記」
物の原質より、次第に工作を経て、成就
博物館
に至るまで、順序を残さす陳列する
「トヤルエキステン
9
1872.2.24
上下の議堂に、ニ三百年の古画多し、
(…
③p.215、第 51 巻 「白耳義
中略…)博物館には、多く古画を集む、
国ノ記下」
ヂ」、及ひ「タウン
ホール」
動物の室
巨獣数十を乾蔵法にしたも
大学校に附属せる博
③pp.247-248,第 53 巻
10
「海
の(象など)、水禽海族(海驢、ラッコ、
物館
牙鹿担及ヒ来丁ノ記」
膃肭臍など)
11
1872.2.28
博古館は別に一館あ
埃及の古代器、(…中略…)并屍(ミイ
③p.248,第 53 巻 「海牙鹿担
り
ラの展示)、希臘、伊太利の古物
及ヒ来丁ノ記」
首として「シーボルト」氏の集めたる、
③pp.248-249,第53巻 「海
日本の諸物品を蓄へ、教室に充つ
牙鹿担及ヒ来丁ノ記」
東南洋の博物館あり
③p.247,
12
1872.3.1
博物館
第 53 巻 「海牙鹿
日本支那の物品を集め甚た富む
担及ヒ来丁ノ記」
13
14
15
1872.3.14
1872.3.2
1872.4.2
希臘、羅馬の古彫刻、(…中略…)高名
p.328 ページ
第 58 巻 「伯
なるものは、皆之を模造して、此に蓄ふ
林府ノ記上」
上層には油絵を集む・陶器・埃及の古棺、
③p.255,
石屍、石彫、銅人、玉人
府ノ記」
蠡の化し其の飛虫となる、蝶は、其の葉
④p.59、第 63 巻 「聖彼得堡
を食へる虫の化成
府ノ記上」
博物館
水晶館
第 53 巻 「奄特担
以て遊衍の場に供す
農業博物館
此庫は、政府より公税を以て蓄へたるものに
3p.69、第 43 巻「巴黎府ノ記
16
大書庫
て、借覧の人より、借料を収めすして、縦観
二」
せしむ
1873.1.6
書庫、書庫に附属せ
古器古画を陳設す、(…中略…)回廊に
③pp.69-72、第 43 巻「巴黎府
る博古館
は古武器を飾る
ノ記二」
17
鑛物の肥糞に広益あること、日本に於て
18
1872.4.10
鑛山の器械雛形あり、各国の鑛内の縮形
は、人民自用ひて、猶自知らさるもの多し、
あり、(…中略…)銀鑛、沙金鑛の縮形
是国民の化学に見解なきによる(…中略
④pp.96-97、第 65 巻「聖彼得
あり(…中略…)化石の一室には巨獣骨
…)西洋の鑛山家は、独り貴金を採取する
堡ノ記下」
あり
にあらす、民間必須の鑛属を採取して、利
鑛山学校の博物観
益を与ふ、是鑛学の世に大功ある所たり
アイスランド、グリーンランド、又東西
④pp.146-147,第 67 巻「嗹馬
19
1872.4.20
博物館
民種学の博物館と名つく」
印度、南東洋の諸島等の異俗の国より集
国ノ記」
めた諸物
鉱石の室、禽鳥類の室、甲虫類の室(ア
20
1872.4.25
博物館
ルコール漬したもの)、農業工芸を教え
④pp.172-174,第 68 巻、「瑞
るため草木の種子の成形の図説、耕作の
典国ノ記上」
工芸博物館の式に類す
順序、雛形、獣類
21
1872..4.26
考古学の遺物(石斧、石刀等)、鋼板画、
④pp177-178,第 69 巻「瑞典国
墨画、陶器、古甲、油絵など
ノ記下」
博古館
④pp276-277,第 74 巻「仏羅稜
22
1873.5.9
博物観
希臘古代の彫像、描画、古器
府ノ記」
23
24
1873.5.9
1873.5.13
古甲、古兵、銅像、象牙、琥珀、瑪瑙、
④p278,第 74 巻「仏羅稜府ノ
其他宝石の細工、古代の陶器
記」
白石の彫像、羅馬時代の古彫古物、大石
④p305-306,第 76 巻「羅馬府
棺など
ノ記下」
博古館
聖彼得寺の博物館
「カピトル」の博物
25
1873.5.16
④p.315,第 76 巻、「羅馬府ノ
古石像
観
記下」
其地より獲し古物を集めて、他の古物と
④pp.328-329,第 77 巻、「那
26
1873.5.21
「ポンペイ」博物観
共に陳列、名画を多く集める、書庫あり
不児府ノ記」
(古書を蔵す)
27
1873.6.27
1868 年、「ユリ」郡の山中より掘り出し
⑤p95,第 86 巻「「ベロン」及
たる鼠水晶の結晶
ヒ「ゼネーヴァ」府ノ記」
博物観
28
書庫
借覧するものは券子を与えて入る
博物館
画の展覧場なり
⑤p102,第 86 巻「「ベロン」
29
1873.6.30
及ヒ「ゼネーヴァ」府ノ記」
30
31
「カイロー」府の博
⑤p266.第 95 巻「紅海航程ノ
物館
記」
1873.7.27
1873.3.1
三大室内に、亜剌伯以東、印度、南洋、
③p.249、第 53 巻「海牙鹿担
東洋諸国の物を陳集す
及ヒ来丁ノ記」
蔵画館
美術館
③p.328,
32
1873.3.15
集画館
第 58 巻
「伯林
石刻、画額
府の記上」
一つの博物館に至
33
④p.148,第 67 巻「嗹馬国ノ
1873.4.20
石彫の像
る、之は美術館にて
記」
④246-247,第 72 巻「南日耳曼
34
1873.5.6
蔵画館
ノ記」
最初一千八百五十一年、「ハイドパーク」
にて万国博覧会のとき国人に感動を生し、
英国の製作物は、技巧の練熟は、外国に相
東南洋の博物館あり、「シーボルト」氏
「ケンシントン」ノ
35
此博覧館は、一千八百五十六年より剏立せる、
1872.7.16
競ふへしと雖とも、形貌の拙劣なることを
②pp.64-66、第 23 巻「倫敦府
発明し、因て其誘導鼓舞のため、此場を興
ノ記上」
の集めたる、日本の諸物品、南洋諸島の
博覧館
常博覧会なり
博覧会
器
さんと謀り、当時博覧会事務局の積金を本
とし、議員より其の半額を補助し、此造営
に取り掛かヽれり
「フリンス、アスベ
(②pp.90-91、第 23 巻「倫敦
36
1872.8.4
ルト、ロード」の博
府ノ記上」
覧会
●院外は樹緑りに草芳しい、跳水(ホン
テイン)あり。池中には藻、荇、芰、芡、
芙蓉を育し、池傍には芭蕉、椰子、棕櫚
等、すへて熱帯の樹を種えて夭喬たり
●各熱帯国の人物屋廬を模造し、其樹根
のおく、銅色の人あり、棕色の人あり、
黒人、黄人、各其俗の衣をきる、世界を
縮めて此院中に観るへし
●廊下の左右には、閣あり、憩止の所あ
り、或は茶を売り、酒を売り、彩影を売
元一千八百五十一年、倫敦の「バイトパー
り、貨物を売る、楽堂あり、舞壇あり
ク」に於て、万国博覧会を設けしときに、
「キリスタス、パレ
37
●楼上には、油絵を集めて売る、数廊の
1872.8.17
②pp109-111、第 25 巻
「倫
彼地に建築して、出品を陳列するの場とな
ィス」(水晶宮)
間、みな大小の画を掲く
敦府ノ記下」
せるを、会畢りて後に、此に引移し、美観
●水族室あり、
を存せるもの
●庭中の徑を盤回し去れは、乍ち巨獣の
樹により立つあり、地殻の層層として、
橋岸に仄たるあり、池洲に怪鱗悪虫、目
を立ち、立ち、瞋らし口を開き伏すは、
みな禽前世界の、獣、虫、豸を模作せる
ものにて、亦博古の最も古なるものなり
●時には亭子あり、木馬、鞦韆、縄戯の
具設けて、遊客を待つ、英国四境無事、
洋洋乎たる太平の楽地、都鄙の男女、日
に麕集して盤楽す
農業展覧会は、勧農会社と相待て、此業の
勧奨となり、進歩を促す、緊要の会にて、
種物会社は、百般の農業圃芸の種子を備へ、
欧洲各国みな挙行す、但し其国の情形によ
各地方に売与へ、併せて其樹芸培養の法を教
38
1872.10.25
農業展覧会
りて、その方法を異にす、凡そ展覧会に於
②pp.372-373、第 40 巻 「倫
て、陳列品の美悪を評し、褒章を与へ、不
敦後記」
ふ、此場より買獲して、播蒔したる後に、収
穫の穀菜は、みな其尤を抜きて、此場に送り
良及ひ妨害アルコトハ、新聞紙にて布告
て展覧に供す
し、又耕丁牧人の勉強抜群なる者を賞す、
皆其国益を起すこと少からすと云ふ
政府の設くる所にて、市内より諸細工をなし
④pp179-180,第 69 巻、「瑞典
39
1873.4.26
展覧会
たるものは、此を持出し、人に販売せしむる
国中の工を勧める一端なり
国ノ記下」
為に設く
④p.399,第 81 巻、「維納府ノ
40
1873.6.9
博覧会
記附匈加利国ノ記ノ略説」
博覧会は「エキスビジョン」とて、国国よ
り物産を特集りて、一楼榭内に列し、之を
衆人に物品を衆見に観せて、各地人民の生
意、土宜、工芸、嗜好、風習を知らしめ
●
樹木を植え、各国より、其国の建築
●特集りたる人人、己の物品を衆人に供し
風によりて、茶亭、酒店、遊楽の舎場を
て、其売買の声誉を広め、永久の利益を計
設け、其土俗の如くに整理をなす(地球
るにし
⑤pp21-52,第 82 巻、「万国博
●他人の特集り物品を観て、己の及はさる
覧会見聞ノ記上」
を縮めて、此一苑に入りたる思いをな
41
す)
維納万国博覧会
●工匠の術を極、
所以をしり、今より工夫すへき要を考へ、 第 83 巻「万国博覧会見聞ノ記
各国列品の夥しき、之を評するも精力屈
諸方の嗜好に従ひ、更に我生意を広くする
下」
す(例えば、銃、綿花、煙草、麻、羅紗、
目的を達すへし、併せて名士の高評を乞
レース、置時計、器械、彫像、日本の高
ひ、其の注意を受け、益其進歩をなす津筏
蒔絵、屏風など)
を求むるに便にす、故に貿易盛んにし、製
作を励まし、知見を衆に広むるには、切要
なる会場にて、国民の治安、富強の媒助と
なす設けなり
42
動物園
43
「ヂョーロチ、カー
禽獣園の謂なり、其内に世界の禽獣を、旁羅
②pp.77-78、第 23 巻「倫敦府
テン」
捜索して豢養す
ノ記上」
1872.7.28
1873.3.6
44
ヒポポタマス牝牡、「シーブラー」と云
③P.255、 第五十三巻 「奄
ふ馬
特担府ノ記」
水族観
禽鳥、獣畜、鱗介
④p.128、第 66 巻「北日耳曼
禽獣園
鴟鴞の族
前記」
禽獣園
巨象
禽獣園
1873.4.17
45
④p229,第 71 巻「北日耳曼後
46
1873.5.4
記下」
水族館
②pp70-71、第 23 巻「倫敦府
47
1872.7.17
水族室
此は魚類を生活せるまヽに養ひおく室なり
ノ記上」
③p.313、
48
1873.3.10
水族観
第 57 巻
「伯林
大蛇、蟇、蛙
府総説」
「タウァル、オフ、
49
1872.8.16
園中に一館を起し、外国の異貨を集む、
②p.103、第 25 巻
日本の物品、江戸の生人形、胴仏像など
ノ記下」
玻瓈を嵌固し、鉄管にて蒸気の温度を送
②p.312、第 36 巻
り、熱地の動物、及ひ樹木を養ふ
府ノ記」
「倫敦府
倫敦古城、楼上が宝庫
ロントン」
「リヤールド、カベ
50
1872.9.28
「舌非力
ンサン」公「チャッ
ヴィース、ハウス」
②p.333,第 37 巻 「スタッホ
51
「ウオリッキ」亜爾
古器古画を陳設す、(…中略…)回廊に
の古城
は古武器を飾る
1872.10.2
ルト」及ヒ「ウォリッキ」州
ノ記
52
1873.3.27
伊太利人「ラハイ」氏の画を首として、
③pp.354-356、第 60 巻 「伯
名画を蓄ふ
林府ノ記下
太子の居寝には、満室みな戦図戒具を陳
③p.359、第 60 巻
列す
記下
拿破侖第一世の遺物、名画、古器、雛形、
③p.47 ページ、第 42 巻「巴
諸械
黎府ノ記一」
名画、古代の器,胸像、各国より掘り起
④pp.64-66、第 63 巻「聖彼得
こした古器古物、石彫刻、など
堡ノ記上」
「オレンヂ」宮
附「ポツタム」
「バーベルス、ベル
53
1873.3.27
伯林府の
ヒ」(皇帝の建築な
附「ポツタム」
その他
せし別宮)
54
55
1872.11.17
1873..4.2
「ルーヴル」宮
宝庫となし
宮内に設けたる宝庫
王宮のあるところ
56
④p.181,第 69 巻、「瑞典国ノ
1873.4.25
古い絵図、画額を集める
「クイン、アィラン」
記下」
教皇の宝庫(書庫の
57
1873.5.13
④p.307,第 76 巻、「羅馬府ノ
「ワチガンの宮殿なり」
各国の帝王より贈られた物品
内なる展覧器)
記」
④p.394,第 81 巻、「維納府ノ
58
1873.6.7
武庫
隣国と戦争の図、古甲古兵
記附匈加利国ノ記ノ略説」
④pp.399-401,第 81 巻、「維
59
1873.6.10
宝庫
宝冠、御車、馬具、古来の銃
納府ノ記附匈加利国ノ記ノ略
説」