U.D.C. 621.382.049:621.315.616.032.5:546.12:661.174:678.632.043:678.686 難燃剤フリー系ノンハロゲン封止材 Non-hologen and Retardant Free EMC 池澤良一* Ryouichi Ikesawa 林 智弘* Tomohiro Hayashi 石黒 正* Tadashi Ishiguro 赤城清一* Seiichi Akagi 環境問題の観点から半導体業界においてノンハロゲン封止材の要求がある。UL-94 V-0を達成する難燃剤フリー系封止材を開発することを目的に,難燃性に影響を与え る支配要因を把握し,本要因を生み出す機構を見出して,これを封止材構成要素にフ ィードバックするというアプローチを試みた。その結果,硬化樹脂と充填剤が支配要 因に重要な役割を果たしていることを把握し,これをもとにして目的とする各種難燃 剤フリー系封止材CEL-HF-10シリーズを開発した。 Non-halogen epoxy molding compounds (EMCs) are needed because of environmental problems in the semiconductor industry. We found an approach for understanding the characteristics that influence flame retardants, as well as the mechanism that determines these characteristics. We then applied this knowledge to the EMC component to develop a flame retardant free system for EMCs that achived UL-94 V-0 designation. As a result, we found that the cross linking resin and the filler play an important role in the factors, and developed various flame retardant free systems in a CEL-HF-10 series of EMCs. 工夫と最適化がキーポイントとなる。 〔1〕 緒 言 そこで,筆者らはUL-94 V-0を達成する難燃剤フリー系封止 近年全世界的に持続的発展型社会への転換気運が高まり, 材を開発することを目的に,難燃剤を含有しない封止材につ 半導体業界においても環境調和への取り組みが活発になって いて,主に樹脂と充填剤に着目して,難燃性に影響を与える いる。ヨーロッパではWEEE,RoHS指令による電気電子機器 支配要因を把握し,本要因を生み出す機構を見出して,これ についての環境法規制の積極的な動きが見られ,WEEE指令 を封止材構成要素にフィードバックするというアプローチを には回収廃棄物から除去されるものとして臭素系難燃剤を含 試みた。その結果,目的とする各種難燃剤フリー系封止材 むプラスチックの記述があり,ハロゲン含有部材の使用を避 CEL-HF-10シリーズを開発するに至ったのでここに報告する。 ける動きが出てきている1)2)。このような背景のもと,半導体 パッケージに使用される封止材に関してもノンハロゲン化が 求められている。 〔2〕 封止材樹脂の難燃性支配要因 分子構造の異なる各種エポキシ樹脂,フェノール樹脂系硬 ノンハロゲン化の手法としては各種非ハロゲン系難燃剤の 化剤を組み合わせて難燃剤を含有しない封止材を数種作製 使用があるが,信頼性の低下が懸念されるため,このような し,UL-94試験を実施した。この時,作製した封止材の樹脂 代替難燃剤を使用しない,難燃剤フリー系封止材が強く要望 以外の組成は統一し,硬化樹脂が難燃性におよぼす影響を把 されている。封止材は図1に示すように,エポキシ樹脂,硬 握することを試みた。 化剤の熱硬化性樹脂と充填剤を主成分として構成されるた UL-94試験の結果,樹脂の違いにより,封止材の難燃性に め,難燃剤を用いずに難燃化を図るためには,これら成分の 優劣が現れた。燃焼試験後の試験片表面を観察したところ, 難燃性の優劣と表面形態に関係があることを見出した。図2 に試験片断面のSEM写真を示す。難燃性が良好で自己消火性 エポキシ樹脂(5∼20wt%) を示す封止材B,Cは内部にガスを含むと予想される表面膨張 硬化剤(3∼10wt%) 層の形成が観察された。これに対し,自己消火性を示さず, 硬化促進剤(<1wt%) 充填剤(70∼90wt%) 離型剤(<1wt%) 低応力剤(<5wt%) その他添加剤(<2wt%) 難燃性に劣る封止材Aは表面膨張層の形成は見られず,表面 近傍に内部からガスが噴出した亀裂が観察された。以上のこ とから難燃剤を含有しない封止材の難燃性支配要因のひとつ として①表面膨張層の形成があげられると考えた。上記封止 材で表面膨張層形成の有無を硬化樹脂の橋架け密度で類別す 図1 封止材の基本組成 封止材はエポキシ樹脂,硬化剤の樹脂成分と充 ると,形成するもの(封止材B,C)は硬化樹脂の橋架け密度 填剤を主成分とする。 の低いもの,形成しないもの(封止材A)は橋架け密度の高 Fig. 1 Basic composition of EMCs The principal ingredients of EMCs are epoxy resin, a curing agent, and filler. いものであった。 * 当社 半導体材料事業部 封止材開発グループ 日立化成テクニカルレポート No.46(2006-1) 43 難燃性 低 高 封止材B 封止材C 封止材A (総残炎時間:クランプ) (総残炎時間:150s) (総残炎時間:70s) 2mm 表面 膨張層 図2 難燃性と封止材燃焼後表面状態 の関係1(断面) UL-94難燃性の支配要 因の一つは表面膨張層の形成である。 30μm 表面に亀裂 低 均質性 高 UL-94難燃性の支配要因①:表面膨張層の形成 低 難燃性 Fig. 2 Relationship between flame retardant and state of surface after flame of EMC (Section) One of the characteristics of the UL-94 flame retardant is the formation of a surface expansion layer. 高 封止材B 封止材C 封止材A (総残炎時間:クランプ)(総残炎時間:150s) (総残炎時間:70s) 1mm 低 均質性 高 因の一つは均質な表面膨張層の形成である。 Fig. 3 Relationship between flame retardant and state on surface after flame of EMC (Surface) One of the characteristics of the UL-94 flame retardant is the formation of a homogeneous surface on the expansion layer. 表面 膨張層 UL-94難燃性の支配要因②:均質な表面膨張層の形成 次にUL-94試験後の試験片表面を観察した結果を図3に示 図3 難燃性と封止材燃焼後表面状態 の関係2(表面) UL-94難燃性の支配要 粘弾性測定,熱分解ガスクロマトグラフィー測定を実施した。 す。最も難燃性の良好であった封止材Cは表面に欠陥が無く, 図4に前記3種封止材樹脂硬化物(充填剤非含有)の動的粘 その断面(図2参照)を観察しても,表面膨張層を形成する 弾性測定の結果を示す。燃焼時に表面膨張層を形成した封止 膜が非常に均質であることがわかった。これに対し,表面膨 材B,Cの樹脂硬化物は350∼500℃の温度範囲で貯蔵剛性率 張層を形成しても難燃性が劣る封止材Bは表面に亀裂の発生 が大きく低下していることがわかる。これに対し,表面膨張 が確認され,また断面観察(図2参照)からは表面膨張層を 層を形成しなかった封止材A樹脂硬化物は同温度範囲にて貯 形成する膜の均質性が前者よりも劣ることがわかった。以上 蔵剛性率の低下が前二者に比較して小さい。高分子材料は燃 のことから難燃剤を含有しない封止材のもうひとつの難燃性 焼時,その表面は約600∼700℃に達するとされている3)。し 支配要因として②均質な表面膨張層の形成があげられると考 かし内部に向かうにしたがい温度は低下し,高分子が分解, えた。これら封止材の硬化樹脂の違いは,封止材Cが橋架け 再橋架けを起こしている凝縮相と呼ばれる部分は約300∼ 点間分子量の大きい多官能性エポキシ樹脂を使用したもので 600℃となっているものと予測される4)。この凝縮相における あるのに対し,封止材Bが2官能性エポキシ樹脂を使用したも 剛性率(弾性率)の低下度合いにより,内部から発生するガ のであった。 スによる表面膨張層の形成,非形成が分かれるのではないか 武田らは高分子材料の難燃化は,A)燃焼輻射熱の遮断,B) と考えた。本実験結果からは,支配要因①表面膨張層の形成 内部伝熱の抑制,C)分解生成物の固体内拡散の抑制,D)分 には凝縮相での貯蔵剛性率が樹脂硬化物として少なくとも 解生成物の気相拡散の抑制,のいずれかを成せば達成される 10MPa以下となることが必要であることがわかった。またこ としているが 3),前記①表面膨張層の形成はB)内部伝熱の抑 のような剛性率(弾性率)の低下を発現させるためには,封 制,②均質な表面膨張層の形成はD)分解生成物の気相拡散 止材B,CとAの硬化物構造の違いを考慮すると,樹脂硬化物 の抑制にそれぞれ効果があるものと考えられる。 の橋架け密度を低減することが有効であると考える。 〔3〕 封止材樹脂の難燃性支配要因発現機構 前記2つの難燃性支配要因 の 発現機構把握を目的に,動的 44 次に図5に封止材B,C樹脂硬化物の熱分解ガスクロマトグ ラフィー測定の結果を示す。表面膨張層を形成した封止材B, C樹脂硬化物では,凝縮相温度(500℃) ,表面層温度(700℃) 日立化成テクニカルレポート No.46(2006-1) 表面 膨張層 貯蔵剛性率(Mpa) 凝縮相 40 30 封止材A 封止材A 高架橋密度系 (多官能エポキシ系) 高架橋密度系 (多官能エポキシ系) 封止材C 低架橋密度系 (多官能エポキシ系) 20 10 0 350 低架橋密度系 封止材B (2官能エポキシ系) 400 450 500 温度(℃) 550 図4 樹脂硬化物分解時の凝縮相の弾 性率 表面膨張層の形成には凝縮相の低弾 封止材B 低架橋密度系 (2官能エポキシ系) 性率化が必要であり,そのためには樹脂硬 化物の橋架け密度を低減することが有効で 封止材C 600 ある。 低架橋密度系 (多官能エポキシ系) Fig. 4 Modulus of condensed phase when cross linking resin is resolved The decreasing modulus of the condensed phase is necessary for the formation of the surface expansion layer, and it is effective to decrease the cross linking density of the resin. 表面膨張層の形成(要因①) 凝縮相の低弾性率化 硬化物の架橋密度低減 低 難 燃 性 高 封止材B 低架橋密度系 (2官能 エポキシ系) 凝縮相温度 封止材B 低架橋密度系 (2官能 エポキシ系) 表面層温度 2官能エポキシの脱離 2官能エポキシの脱離 低架橋密度系 低架橋密度系 (多官能 (多官能 残渣 タール 残渣 エポキシ系) ガス タール エポキシ系) ガス 封止材C 0% 50% 100% 50% 100% 封止材C 0% 図5 樹脂硬化物分解時のガス成分お よびガス量 均質な表面膨張層の形成に ・表面膨張層の過剰な膨張 2官能エポキシの脱離⇒ ・表面層の均質性の低下 は発生ガス量の低減が必要であり,そのた めには多官能性樹脂の適用が有効である。 燃焼 均質な表面膨張層の形成(要因②) Fig. 5 Element and amount of gas when cross linking resin is resolved A decrease in the amount of gas generated is necessary for the formation of a homogeneous surface expansion layer, and applying of multi-functional resin is effective. 発生ガス量の低減 両者ともに難燃性の劣る封止材B樹脂硬化物の方が,ガス発 生量が多いことがわかる。凝縮相においてガス発生量が多い 〔4〕 封止材充填剤の難燃性支配要因とその発現機構 と表面膨張層内部の圧力が高くなり,表面膨張層が過剰に膨 封止材の構成成分の約70∼90wt%は充填剤である。図2に 張し,形成された膜に亀裂を与える可能性が高くなると考え 示した表面膨張層の断面観察においてもその膜中には充填剤 られる。また,表面膨張層を形成する膜中においてガス発生 が存在することが確認できる。よって樹脂とともに充填剤も 量が多いと,形成された膜の樹脂残渣が少なくなり,均質性 難燃性の支配要因にとって大きな役割を果たしているものと が低下すると考えられる。さらに,ガス発生量の多かった封 考えた。そこで,次にベース樹脂を固定して充填剤の種類を 止材B樹脂硬化物についてガス成分を同定した結果,図5に 変え,充填剤が難燃性におよぼす影響を把握することを試み 示すように,2官能性エポキシ樹脂の脱離成分の量が多いこ た。今回は充填剤について,封止材で最も多く使用されてい とがわかった。エポキシ樹脂とフェノール樹脂が反応して生 る球状溶融シリカを選択し,UL-94試験と充填剤の各種パラ 成するグリシジルエーテルとフェノール性水酸基の結合部位 メータとの関係を検討した。その結果,同一充填剤量の場合, は耐熱性が低く,熱により解裂しやすい。解裂後,この部位 封止材の難燃性は溶融シリカのある種の特性(以後,パラメ はガス化又は環化を起こすため,主鎖は残渣中に残存するも ータAと表現する)と良い相関関係があることを見出した。 のもあるが4)5)6),1分子中に2箇所しか結合部位が無いエポキ 図6に溶融シリカのパラメータAと難燃性(総残炎時間)の シ樹脂の場合,解裂後,主鎖は環化反応の前に脱離し,ガス 関係を示す。本関係より溶融シリカのパラメータAが小さい 化を起こしやすいのではないかと考えられる。以上のことか ほど,難燃性が良好となることがわかった。 ら支配要因②均質な表面膨張層の形成にはガス発生量の低減 次に図7に各種パラメータAの溶融シリカを使用した封止 が必要であり,そのためには多官能性樹脂の適用が有効であ 材の,UL-94試験後の試験片断面のSEM写真を示す。難燃性 ると考える。しかし,最近の検討では2官能性エポキシ樹脂 が良好で,UL-94 V-0となったパラメータA 1.0の溶融シリカ であっても,分子構造の工夫により,ガス発生量を抑制し, を使用した封止材は厚い表面膨張層を形成していることがわ 難燃性が良好となることも見出している。 かる。しかし,パラメータAが大きくなるに従い,表面膨張 層の厚みは低下し,パラメータAが 7.0の溶融シリカを使用し 日立化成テクニカルレポート No.46(2006-1) 45 小 パラメータA 大 300 規格外 総残炎時間(秒) 250 200 樹脂系は 低架橋密度系 (2官能エポキシ 系)に統一 150 試験片 断面観察 (図7) V-1 100 50 0 図6 充填剤パラメータAが難燃性に およぼす影響 難燃性は充填剤のパラメ V-0 V-0 1.0 3.0 7.0 ータAと良い相関関係がある。 パラメータA Fig. 6 Influence that parameter A exerts on flame retardant Flame retardant and parameter A have a high correlation. 難燃性は充填材のパラメータAと相関関係有り 小 パラメータA 1.0 パラメータA V-0 パラメータA 3.0 大 V-1 パラメータA 7.0 規格外 図7 充填剤パラメータAと封止材燃 焼後表面状態の関係(断面) 充填剤 のパラメータAが小さいほど,表面膨張層が 500μm 厚い表面膨張層 厚 表面膨張層 薄 高 難燃性 低 厚くなり,難燃性が良好となる。 Fig. 7 Relationship between parameter A of filler and state on surface after flame of EMC (Section) The surface expansion layer thickens caused by parameter A of small filler, and an excellent flame retardant is achieved. た封止材では表面膨張層の形成がほとんど見られなかった。 その温度領域での弾性率も低い。この差が表面膨張層の厚み 前記したように表面膨張層の形成は難燃剤を含有しない封止 の差に反映されているのではないかと推測される。溶融シリ 材の難燃性支配要因の一つであるが,その厚みが大きいほど, カのパラメータAと封止材弾性率低下温度の関係は未だ不明 断熱効果が大きく,難燃性が良好となる。以上のことから難 であるが,今後これを解明していきたいと考える。 燃性支配要因①表面膨張層の形成,特に厚い表面膨張層の形 成には,充填剤の観点からはパラメータAの小さい溶融シリ カを使用することが有効であると考えられる。 〔5〕 難燃性発現のまとめ 図9に難燃剤を含有しない封止材の難燃性支配要因とその 図8に各種パラメータAの溶融シリカを使用した封止材の 発現機構のまとめを示す。この図から難燃性支配要因とその 動的粘弾性測定の結果を示す。表面膨張層を形成するパラメ 発現機構および封止材構成要素へのフィードバックに分けて ータA 1.0および3.0の封止材は約300℃から貯蔵剛性率が低下 まとめると以下のようになる。 しているのに対し,表面膨張層を形成しないパラメータA 7.0 支配要因①:表面膨張層の形成 の封止材は約350℃から低下している。ここで,本封止材の →発現機構:凝縮相の弾性率低減 ベース樹脂として使用した硬化樹脂自体の熱分解開始温度 弾性率低下開始温度と樹脂分解温度のマッ (ガス発生開始温度)を測定した結果,約300℃であることが 判明した。以上のことから表面膨張層を形成するためには封 止材の弾性率低下開始温度とベース樹脂の分解開始温度が近 接していることが必要であると考えた。逆にベース樹脂の分 チング →樹 脂:硬化物橋架け密度の低減 充填剤:パラメータAの低減 支配要因②:均質な表面膨張層の形成 解開始温度よりも封止材弾性率低下温度が高い場合は,樹脂 →発現機構:ガス発生量の低減 分解によりガスが発生しているにも関わらず,系の弾性率が →樹 脂:多官能性樹脂の使用 低下しないために表面膨張層を形成できないものと考えられ 難脱離性2官能性樹脂の使用 る。また,厚い表面膨張層を形成するパラメータA 1.0の封止 上記知見を生かし,またカップリング剤等の最適化を実施 材は3.0の封止材と比較して弾性率低下温度が若干低く,また して筆者らは表1に示す各種難燃剤フリー系封止材HF-10を 46 日立化成テクニカルレポート No.46(2006-1) 弾性率(MPa) 25 低パラメータA 樹脂熱分解開始と 同時に弾性率低下 パラメータA7.0 規格外 20 パラメータA1.0 V-0 15 樹脂分解と系の 弾性率低下の マッチングが重要 10 5 図8 封止材硬化物分解時の凝縮相の 弾性率 表面膨張層の形成には凝縮相の低 弾性率化が必要であり,そのためには充填 パラメータA 3.0 V-1 剤のパラメータAを低減することが有効であ 弾性率低下開始温度 0 250 樹脂硬化物の 熱分解開始温度 (可燃性ガス発生) 300 350 400 450 る。 500 Fig. 8 Modulus of condensed phase when cross linking resin of EMC is resolved A decreasing modulus of the condensed phase is necessary for the formation of the surface expansion layer, and it is effective to decrease parameter A of the filler. 温度(℃) 充填剤のパラメータA低減 表面膨張層の形成(要因①) ・硬化物架橋密度 ・充填剤パラメータA 要因1 表面膨張層 の形成 ・発生ガス量 要因2 均質な表面層 の形成 有 無 有 消火 無 炭化層 図9 難燃剤フリー系封止材の難燃性 支配要因まとめ 難燃性におよぼす各支 燃焼 燃焼 配要因と発現機構の関係を表す。 ・断熱効果低い ・可燃性ガスの直接噴出 Fig. 9 Summary of characteristics of flame retardant free system The relationship between the characteristics and the appearance of each mechanism on the flame retardant is shown. 可燃性ガスの噴出 表1 日立化成のノンハロゲン封止材 各種パッケージに適応可能な難燃剤フリー系封止材CEL-HF-10と他のノンハロゲン封止材のラインナップを示す。 Table 1 Non halogen EMCs of Hitachi Chemical Co., Ltd. The lineup of flame retardant free systems in a CEL-HF-10 series of EMCs and other non-halogen EMCs that can adjust to various packages is shown. FR PKG BGA/CSP Items HF 9 series Warpage MSL CEL-9600HF9 BOC Warpage MSL T/LQFP/TSOP MSL QFN/BCC Warpage MSL QFP/SOP/PLCC MSL TRS MSL NA HF 13 series HF 10 series CEL-9500HF13 CEL-9700HF10 CEL-9600HF13 CEL-9700ZHF10 CEL-410HF13 CEL-9750ZHF10 CEL-1702HF13 CEL-9200HF13 HF 16 series HF 17 series NA CEL-9240HF10 NA CEL-9200HF10 CEL-9200HF9 CEL-1702HF13 CEL-9210HF10 CEL-9220HF9 CEL-9040HF13 CEL-9220HF10 CEL-9200HF13 CEL-9221HF10 CEL-9220HF13 CEL-9240HF10 CEL-1702HF9 CEL-9510HF10 日立化成テクニカルレポート No.46(2006-1) CEL-9050HF16 CEL-1702HF16 CEL-1700HF16 CEL-1700HF17 CEL-1702HF17 CEL-4630HF17 CEL-3600HF17 47 開発した。また,難燃剤フリー系以外にも,各種パッケージ に対応できるノンハロゲン封止材として,有機リン系(HF-9) , 金属水酸化物系(HF-13,16,17)封止材も開発し,それぞ れ上市しており,これらは当社のノンハロゲン封止材の主力 となっている。 〔6〕 結 言 UL-94 V-0を達成する難燃剤フリー系封止材を開発すること を目的に,難燃性に影響を与える支配要因を把握し,本要因 を生み出す機構を見出して,これを封止材構成要素にフィー ドバックするというアプローチを試みた。その結果,支配要 因は①表面膨張層の形成,②均質な表面膨張層の形成であり, 硬化樹脂と充填剤が本支配要因に重要な役割を果たしている ことを把握し,これをもとにして目的とする各種難燃剤フリ ー系封止材CEL-HF-10シリーズを開発した。 参考文献 1)日本機械輸出組合,WEEE Handbook V,2003年 2)化学技術戦略推進機構,Q&A エレクトロニクスと高分子,436- 439(2004) 3)武田邦彦:プラスチック技術セミナー ポリマーの難燃化技術, 日 本合成樹脂技術協会 (2000) 4)Sergei V. Levchik :Polymers for Advanced Technologies,. 6, 53-62 (1994) 5)Sergei V. Levchik :Polymer Degradation and Stability,. 48, 359370 (1995) 6)高分子学会:先端高分子材料シリーズ2,高性能芳香族系高分子 材料, 丸善⑭ (1990) 48 日立化成テクニカルレポート No.46(2006-1)
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