Differential cross sections for the dissociative single and double

Differential cross sections for the dissociative single and double excitations
in electron-CH4 collisions ── a proposal of a universal curve
2P31
(Tokyo Institute of technology) Yachi, Kazufumi; Odagiri, Takeshi; Ishikawa, Lisa; Nakazato,
Tomoharu; Tsuchida, Toshinori; Ohno, Naruhito; Kitajima, Masashi; Kouchi, Noriyuki
二つ以上の電子が同時に励起した多電子励起分子においては, 電子相関の取り扱いが重要
となり, 一電子平均場近似ではその正確な取り扱いが困難となる。また多電子励起分子のポ
テンシャルエネルギーはイオン化連続状態の領域にあり, 低い励起状態と異なり複素ポテン
シャルとなる。このような理由で多電子励起分子の生成・崩壊ダイナミクスは非常に興味深
い。しかし,その取り扱いの困難さ故に理論研究はほとんど無い。また実験の立場からもイオ
ン化連続状態の妨害により, その観測は困難である。本研究グループでは, 多電子励起分子が
中性解離し,励起原子を生成する過程が連続状態の寄与を受けない事に着目し, その解離原子
が放出するけい光を利用する多電子励起分子の観測法を確立した[1] 。その手法の一つを用い
て, CH4の電子衝突において一電子励起 (2a1)-1(npt2) (n = 3, 4)状態と二電子励起 D2, D3, D4状
態について, H(2p)原子生成に至る角度微分断面積を電子散乱角の関数として測定した[2]。本
研究では, 簡単なスケーリングを行い,さらに電子散乱角ではなく運動量移行の自乗に対しプ
ロットすることにより,各超励起状態の角度微分断面積を一つの曲線(ユニバーサルカーブ)に
載せることが出来る事を示したい[2] 。このような研究により,分子内の電子だけではなく,入射
電子も含めた電子相関が重要となる電子衝突による多電子励起過程のより深い理解を目指す。
実験について簡単述べる。本研究グル
ープが開発したイメージング型光子標
識付き電子エネルギー損失分光法 [3] に
より, 入射電子エネルギー80eV, 電子
散乱角4 , 12 , 24 , 36 , 48 において,
~
CH4 ( X 1A1 (1a1)2 (2a1)2 (1t2)6 ) を標的と
して上述の4つの超励起状態について
H(2p)原子生成に至る角度微分励起断面
積を電子散乱角の関数として測定した。
Fig.1 にてスケーリングした角度微
分断面積(Scaled DCS)を運動量移行の
自乗 K2 に対してプロットした [2] 。超
励起状態毎のスケーリング因子sαは
s(2a ) 1 (npt ) =1, sD2 =0.18, sD3 =1.0,
1
2
sD4 =0.13 である。Fig. 1 より, 測定され
!
!
た角度微分断面積はすべて一本の曲線
(ユニバーサルカーブ)
!
! に乗りそうであ
ることがわかる。また, K2=0.6原子単位
に共通の境界がある事も見て取れる。こ
の境界は恐らく励起メカニズムの変化
を意味していると思われる。スケーリン
グ因子の物理的解釈については当日述
べる。このユニバーサルカーブが,分子
多電子励起状態の生成・崩壊ダイナミク
スに関する理論研究の良い指針になる
と言っても過言では無いだろう。
Fig. 1
The scaled differential cross sections (Scaled
DCSs) for the dissociative excitations to the superexcited
states resulting in H(2p) formation as a function of the
square of the momentum transfer, K2 [4]. ◇: the sum of
-1
DCS for the singly excited (2a1) (npt2) (n = 3, 4) states
without any scaling, ▲: DCS for the doubly excited D2
(1t2)-2 (3a1) (mo) state multiplied by 0.15, ●: DCS for the
doubly excited D3 (2a1)-1 (1t2)-1 (2t2) (mo’) state multiplied
by 0.82, ■: DCS for the doubly excited D4 (2a1)-2 (3a1)
(mo”) state multiplied by 0.12. Dashed curve is the
universal curve proposed by the present research.
[References]
[1] Odagiri T et al. 1996 J. Phys B: At. Mol. Opt. Phys., 29 1829
[2] Yachi K et al. sumitted to J.Phys. B: At. Mol. Opt. Phys
[3] Nakazato T et al. 2007 J.Phys. B: At. Mol. Opt. Phys. 40 2459