資 料 メキシコ国の教育事情 ー大学、殊に法学部を中心としてー 中 川 和 彦 一、はしがき 昨年夏、機会を与えられて、メキシコ国を旅し、同国の若 干の大学を訪問して講義を聴講することができた。 ける法学教育その他を紹介しようとするものである。 本稿は、その時の体験をおりまぜながら、同国の大学にお 欧米の先進諸国における法学教育その他の大学事情が、我 については、法学教育のみならず、その教育制度一般につい 国においてよく知られているのに対し、メキシコのような国 ても、我国からの留学生が稀であることもあって、余り知ら れていないように思われる。そこで、大学の法学教育の他に も、教育制度一般、大学教育に関しては、経済学部および経 二 、 教 育 制 度 一 般 ︵1︶ メキシコでは、満六才で小学校に入学し、六ヵ年の教育を れを終了すると、大体、次の三つのコースの何れかに進学す 受ける。現在のところ、義務教育はこの初等教育のみで、こ る。第一に、中学校︵三ヵ年︶、高等学校︵二ヵ年︶そして 範学校のコース、そして第三に専門学校のコースである。こ 大学︵学部により三ヵ年ないし七ヵ年︶のコース、第二に師 の学制の大要を図示すれば、次頁の通りである削 える。しかしながら実体はどうであろうか。 形式面を見ると、その学制はなかなか整っているように見 まず、政府が教育にかなりの力を入れているということは の予算の歳出総額一五九億ぺソのうち、文教予算は三七億七 云えるであろう。手許の数字をあげれば、一九六四年度の国 千万ぺソで総額の二四%にあたり、これは、国防費一六億ぺ 営学部の事情についても触れることにする。 筆者の貧しい体験・見聞が、多少なりとも、ラテン・アメ ソ の 二 倍 以 上 で あ ︵る 3。 ︶ リカ理解の資料として役立つことができれば幸いである。 -193- 又、前述のように、小学教育は義務教育で、その教科書は 無料で配布されている‰さらに、一九七一年を目標にヽ中学 校まで義務教育とする一一ヵ年計画を実施中とのことであ ︵る 5。 ︶ しかし、このような政府の努力にもかかわらず、問題がな いわけではない。 まず、小学校が義務教育であるにもかかわらず、学令児の 就学が完全でないこと。たとえば、少し古い数字だが、一九 六〇年の全学今児童数のうち、就学児童の比率は六五・五% に す ぎ な ︵い 6。 ︶この事態は年々改善されてはいるというもの の、貧困に加えて、広大な国土に僻地が多いだけに、完全就 学は容易ではあるまい。 コでは文盲が少なくなく、一九六〇年の数字では四〇%に近 この未就学児童の問題は、文盲の問題と結びつく。メキシ い。もっとも一九一〇年当時、学今期以上のメキシコ人のう ば、文盲が漸次減少してきていることは云える。その原因と ち 読 み 書 き の で き る も の が 僅 か 二 〇 % で あ っ た 閉のと比べれ して、前述のように初等教育が普及してきていることの他、 政府が文盲撲滅のため、地方各地に、広汎に、文盲退治のセ ン タ ー を 設 け て い る 努 力 も 見 逃 す こ と が で き な い ㈲。しかしな がら、ュカタン地方を旅したとき、一寒村で聞いた、村民の スペイン語でない言葉ーマヤ語ーの会語が示すように、 -一一194-一一 現在、なおも、国語であるスペイン語の普及しない地方が残 存しており、道は、決して、平坦ではないように思われる。 三、大学 メキシコには、大学(呂-VQ訟d乱)が、各州に平均一校 ずつ、公立および私立を合わせると、三〇校あり、又、名称 こそ大学の語句を付してはいないが、同程度のものが一〇校 近くを数え、これらが、この国の高等教育機関となってい 沼 る。 その中には、アメリカ大陸で初めて創立された、メキシコ 国 立 自 治 大 学 を 始 め と し て 、 グ ア ナ フ ァ ト 大 学 な ︵ど 3、 ︶長い伝 ては、メキシコ国立自治大学およびポリテーブニコの二公立 統を有するものが少なくないが、一般に、代表的なものとし 大学、ならびに、私立のモンテレー工科大学をあげることが できるであろ‰ ︵1︶ UNAM 行きのトロリーバスで約三〇分すぎると、雑木林のかなた メキシコ市の中心部から大学都市(ci乱乱\にJniversitaria) に、大学中央図書館の壁画が見え、大学正門前の停留所で、 -195- トロリーバスは空になる。 UNAM(Universid乱Nacional メキシコ国立自治大学、通常、頭文字で略称されているの で、本稿でも、それに従う︶の前身は、スペインの統治が始 Autonoma de Mexico まって間もない、一五五一年に創立されたRealyPontificiaUniversidadde Mexicoであって、これが一九一〇年、 Universidad Nacionalde Mexicoとして再編され、次い で、一九二九年に自治権(ySono∃E乱) が与えられた。 そして、一九五三年、その敷地が狭隘になったこともあっ て、その創立四〇〇年を記念して、郊外の大学都市に移転 沼 し、現在に至っている。 現在、一五学部、附置施設一〇余を擁し、六五〇〇名の教 員を含め、教職員の合計は一二〇〇〇名、学生数は、附属高 校の生徒を除き、五〇〇〇〇名近くを数え、名実ともに、U NAMはメキシコ第一の大学となっている。 次 に 、 そ の 学 部 編 成 お よ び 附 置 施 設 を 記 す こ と と す る 。 ︵4︶ ︵大学院博士課程を有するものをyardしからざるもの をEscuelaと区別しているが、ともに、学部と訳出してお く︶。 文学科︵古典語及文学、スペイン語及文学、フランス語及 文学、イタリア語及文学、英米語及文学、ドイツ語及文 学、演劇各専攻︶ 史学科 教育学科 心理学科 人類学科 地理学科 図書館学科 理学部︸ぶ2}尿dtcFg‘a︵年限は四ヵ年︶ 数学科 応用数学科 物理学科 法学部FacultaddeDerecho 生物学科 法律学科︵年限は五ヵ年︶ 工学部Facult乱deIngenieria︵年限は五ヵ年︶ 社会事業学科︵年限は三ヵ年︶ 機械工学科 土木工学科 電気工学科 測量工学科︵本学科のみ、年限は三ヵ年︶ Filosofiay Letras︵年限は四年らしく は五年︶ 鉱山・冶金工学科 文学部Facultadde 哲学科 -196- 石油工学科 Nacional de Arquitectura︵年限は五ヵ Medicina︵年限は七ヵ年︶ 建築学部Escuela Artes 医学部哨g巴tLcle 地質学科 年︶ de deCiencias Politicas Plasticas Nacional Nacional dec{asa(貧IFS︵年限は Nar.ional rle Economia︵年限は五ヵ年︶ NacionaldQc〇mercioyμ以日Frtra- Nacional 美術学部Escuela 政治・社会学部Escuela ySociales︵年限は五ヵ年︶ 社会学科 外交官科 新聞学科 政治学・行政学科 化学部Escuela 五ヵ年もしくは三ヵ年︶ 化学工学科 化学科 薬学科 冶金化学科︵本学科のみ、年限は三ヵ年︶ don︵年限は五ヵ年︶ 経営学部Escuela 会計学科 経営学科 経済学部Rscuela 看護学部Escuela 看護学科︵年限は三ヵ年︶ 獣医学部Kscuela 助産学科︵年限はニカ年︶ Veterinariay Odontologia︵年限は五ヵ Musica EnfermeriayObstetricia de de Nacioual Nacional Medicina Nacionalde JNacionai de 音楽学部Escuela No〇tecnica︵年限は五ヵ年︶ 歯科学部Escuela 年︶ 附置施設として次のものがある。 哲学研究センター 芸術研究所 比 較 法 研 ︵究 5所 ︶ 歴史研究所 生物研究所 社会研究所 医学及細菌研究所 物理研究所 地球物理研究所 地理研究所 地質研究所 数学研究所 化学研究所 天文台 -197- 国立図書館 とが推測されるが、これは、次に示す、学部別の学生数によ 以上の学部の構成を見ると、職業教育が重視されているこ り裏付けられるであろうy 総計 四七、三二二 ︵7︶ 2︶ ポリテークニコ ︵ 大学都市発、ポリテークニコPolitecnico行のトロリーバ 系の学科が移転しているだけで、文科系は、引続き、市内の ポリテークニコの新校舎に着く。もっとも、そこには、理工 スに、メキシコ市の中心部で乗り、北進すること約二〇分、 師範学校の近くの旧校舎に残っている。 UNAM学生数︵一九六三年度︶ 法学部 六、九一二 Instituto PolitecnicN oacionalは、一九三六年、当時の 政治・社会学部 七六七 って、実業教育の最高学府である。大学部の学生数は、現 ロLenas大統領が創立した、商経料も舎む理工科大学であ 経済学部 二、三二七 経営学部 五、九六五 ︵8︶ 通り。 化学部 二、五七二 工学部 七、二七〇 化学工業及抽出工業学科 一、一二一 物理及数学科 四五 経済学科 二八〇 機械及電気工学科 三、七二三 丿 ︵3︶ モントレーエ科大やLn左右toiecnologico 一、四六九 在、一万名を数える。学科編成およびその在学学生数は次の 文学部 二、六三八 生物学科 五三三 ︵文科系小計︶ 一八、六〇九 美術学部 七七六 建築学部 四、〇三八 紡績工業学科 二二二 農業医学科 五四五 同種療法医学科 二六九 音楽学部 六二一 ︵芸術系小計︶ 一、三九七 医学部 ハ、四九一 歯科学部 一、三〇二 土木及建築学科 経営学科 二、二二七 看護学部 六八九 理学部 一、五六七 獣医学部 一、三九七 ︵理科系小計︶ 二七、三二六 yde Es- -198- Edios SuperioresdeMonterrey メキシコの東北部、米国との国境に近い、モントレーを中 を拠出して、一九四三年に創立したもので、米国のマサチュ 心とする工業地帯の実業家たちが、技術者養成のため、資金 ーセッツ工科大学に範を求めたものと言われる。次の学部を おく。 農学部 理学部 商経学部 工学部 文学部 −−}199一一 メキシコでは、教育は万能薬であり、かつ革命□Revolucion︵この国の一九一〇年代以降の革新、発展のこと︶実現 の希望である、と一般に堅く信じられているがM事実、大学 卒業生について、社会の需要は大きく、又、専門家として、 大学卒業生には、相当の待遇が約束されているようである。 学士に相当するにcenciadoの語句は会話において代名詞の 如く用いられ、又、職場における各自の名札には、学位(ロー cenciadI o品 。eniero)が必ず、付記されている。 従って、多くの者は、大学教育を受けることを熱望してい る。しかしながら、大学の入学試験は易しく、わが国におけ るような試験地獄はない。たとえば、一九六三年度のUNA Mの入学試験の合格串は六七%であっ加・これは、わが国に おけるような特定大学への集中がないこともあろうが、一つ には、中等教育の整備が遅れているた仰大学入試受験資格 者が、未だ、多くはないという事情にも起因しているのでは ないかと思われる。 また、大学は、決して、貧困家庭の子弟に門戸を閉ざして は お ら ず 、 し た が っ て 、 富 裕 階 級 の 独 占 物 で は な い ︵。 4こ ︶れ は、たとえば、UNAMを例にとれば、授業料が一カ年二〇 る。これは、専門技術者が極度に不足しているため、大学生 でも、その習得中の学識を活用する職場を容易に得ることが で き る か ら で あ る ︵。 7ア ︶ルバイト学生の大半は、月額八〇〇ぺ ソないし一、五〇〇ペソの収入を得ており、 上級生ともなれ ば、︵卒業が非常に難しいので、留年老が多いこともあっ て︶、アルバイトというより、定職をもっている者が少なく ない。 は、大学の講義が早朝と夕方に集中していることである。も 右の学生アルバイトを、結果的に助成するもう一つの事情 っとも、この事情は、学生の便宜だけのためのものではな く、教授の側の都合にもよっている。というのは、メキシコ において、大学教授は名誉職的なものと考えられており、そ の俸給が極めて少額であるため、教授達は、その生活の糧を 大学外の職場に求めざるを得ないという事情、また、大学が 急激に拡張されているため、教授が非常に不足し、講義の一 部を実務家に分担して貰っているという事情によっていると 云 わ れ る ︵。 9︶ た。このような金銭面だけではなく、教官研究室の不備など この教授の待遇の悪さは、筆者の想像を越えるものであっ の点にも間題がある。研究用の図書も完全とは云えなかっ て五〇万冊を越えるが、あの壁画で有名な中央図書館の顕著 〇ペソ︵約六、〇〇〇円︶と学費が非常に低簾であること、 数は一〇万冊にすぎない。 た。UNAM全体の蔵書数は、各学部の支部図書館も合わせ が 少 な く な ︵い 6こ ︶とからもうかがうことができる。 又、大学生の大半がアルバイトをしており、自活している者 アルバイトについては、メキシコの大学生は恵まれてい -200- -201一一− 四、UNAM法学部 1︶ メキシコの大学における法学教育は、無論、法学部が中 ︵ ‰ その代表としてUNAMのそれを紹介す 心であ UNAMの前身、前述の‘″a}yFontificia de Mexicoの当時︵一五五三年︶から既に法律の講義があ 四大ため、法学部の沿革は、当時にさかのぼるのが普通であ 今 前者が法曹の養成、後者が社会福祉事業に従事する専門家の 現在、法学部は法律学科と社会事業学科に分かれており、 養成コースとなっている。ここでは、前者についてのみふれ ることとする。 法律学科の入学資格は高等学校得業士(el に限られている。修業年限五ヵ年のうちに、後述する課目を 士(ロgnciado ら 。 Universid乱 bachillerato) en Derecho)の学位を得、これにより弁護 履修し、卒業論文を提出して、卒業試験に合格すると、法学 限ニカ年の大学院博士課程がある。 士 ( y び 兵 乱 o ) の 資 格 も 与 え ら ︵ れ 4 る ︶ 。なお、この上に、年 民法第一 ︵人事法、家族法︶ 経済学第一 ︵経済通論︶ 第二学年 社会学 ローマ法第二︵債権、民事訴訟法︶ 国家学 民法第二︵財産、相続︶ 民事訴訟法第一 ︵判決手続︶ 刑法第一 第三学年 経済学第二︵経済学説史︶ 憲法 行政法第一 民法第三︵債権総論︶ 民事訴訟法第二︵判決手続、執行手続︶ 第四学年 刑法第二 権利保護 ︵かっこ内は筆者が付記した内容である︶。 商法第一 ︵総論、商人、会社、商事債務、商事契約︶ 民法第四︵契約各論︶ 行政法第二 第一学年 労働法第一 3 法学入門 刑事訴訟法 次に、法学部法律学科の履修課目を示す。 ローマ法第一 ︵ローマの社会、人、物権、相続︶ -一一202- 国際公法 第五学年 法哲学 商法第二︵有価証券︶ 農業法 労働法第二 国際私法 訴訟実務 卒業論文 選択課目 メキシコ経済論 会計学 とヽ日本メキシコ両国ともに、大陸法系に属してお引、その これらの課目とわが国の大学法学部の専門課目とを較べる 法律の体系を同じくするので、大体においてにかよってい る。わが国にあって、メキシコの課目に表示されていないの は、英米法、ドイツ法、フランス法、経済法などであるが、 これらは、内容的には、比較法、行政法、商法などの講義に 包含されているようである。 ただ一つ、第四学年に履修することになっている﹁権利保 ろう。アンパーロとは、基本的人権が侵された場合、憲法違 護((jarantiasy Amparo)jについては説明を要するであ メキシコ法制史 メキシコ︵およびラテンアメリカの若干の国︶で広く利用さ 反を理由として、最高裁判所に、保護を請求できる制度で、 比較法︵総論、ローマ法系、英米法系、社会主義法系︶ 教会法 海法 空法 農業法 民法 国家学及国際法 ゼミナールに参加しなければならない。現在、次のゼミナー ︵2︶ 法学部では卒業論文が必修であって、その作成のために れているものである。 地方自治法 税法 会社及破産 鉱業法 法哲学 ルがある。 刑事学 憲法 銀行法 法医学 軍事法 −一一203- 訴訟法 刑法 行政法 社会学 が原則である。二月始めの開講から、夏休みなしに、六〇分 の講義が、毎週三回、十一月の定期試験まで続けられる。講 義の模様を最大公約数的にまとめれば、次のようであった。 せいか、一〇〇名位で、前列に女子学生が席を占めるのは、 率が要求されているからである。受講者は、並行講義が多い る。これは、学年試験の受験資格として、最低ハ○%の出席 授業の始めに、教授は学生の名簿を読上げて、出席をと 労働法 わが国と同様である。さて、点呼︵?︶の後も、遅刻者が少 商法及銀行法 税法 なくない。教授は、Porrua社版のポケット版の法全集を片 手に、ノートを余り見ないで、適当なスピードで、よどみな 法の適用 うだけではなく、それぞれ研究室ももっている。筆者は、そ る。時々、教授から学生側に質問し、学生の誰かが正解する く講義を進め、学生は、それを一言一句ももらさずに筆記す と、教授は、名簿に記入する。一時限が六〇分なので、あっ の一つである﹁商法及銀行法ゼミナール﹂の研究室を参観し という間に終る。 常に実務に重点をおいているように思えた。たとえば、Zol 講義の内容について、筆者の理解した限りにおいては、非 で、本棚によって、大小二つの区画にうまく分けられてい た。研究室の広さは、普通の教室を二つ合わせた位の大部屋 これらのゼミナールは、教授と学生の一つのグループとい Graf教 た。大きい方の区画が学生用の読書室で、小さい方の区画が ー教授研究室で、このゼミナールの主任教授Barrera 6 授の机があった。筆者は同数授から説明を受けた。研究室は、 大要、次のようであった。預託には、同じ通貨で払戻しを受 乱 r a g o n ︵教 8授 ︶の商法第二部の講義は、銀行預託のテーマで、 いう説明から始り、有価証券の預託に移り、その間題点を、 けるregularと、しからざるirregularの二者がある、と では、英・米・仏・伊・西の代表的文献が大体揃っているよ 南側の窓を除いて、壁は全部書棚になっていた。外国の書物 うだったが、殊に、イタリーの文献が豊富のようであった。 なのか、第三に、その譲渡性などにしばった。次いで、銀行の 額の預託なのか、第二に、前述した、regularかirregular 第一に、証券自体の預託なのか、それとも証券の表彰する金 その反面、奇異に思われたのは、ドイッの文献が皆無に近い ことで、これは、学生がドイッ語を読めないから、という説 明 だ︵ っ7 た︶ 。 ︵3︶ 大学の講義は、一年を通じて、毎週三時間行なわれるの -204- 保管金庫に話が飛び、その現行の取扱規則、そして、メキシ コ商法改正草案中の関連規定の解説で、その時間は終った。 の、大体において、授業は教授の側からの一方的説明に終始 講義を進めながら、時々、学生に質問するとはいうもの していた。又、判例の紹介は、例示しただ[ondMln教授 ︵現職の裁判官である!︶の場合でも、一度も耳にする機会 が な か っ ︵た 9。 ︶ ー ー205 五、経済学部及び経営学部 法曹および医師がメキシコにおける伝統的専門職('昌dT 例にとれば、その学生数は、一九五四年に四八三名にすきな かったものが、一九六五年には、約五位の二五一五名に達し ており、このような急激な膨脹の結果、教授陣の極度の不足 に 悩 ん で い る の が 現 状 と 云 わ れ ︵る 2。 ︶ の講義を聴講する機会にも恵まれたが、その模様は、前述し 筆者は、UNAM経営学部およびポリテークニコ経営学科 た法学部の講義と同様であった。 次に、UNAM経済学監経営学心の履修課目を紹介する も︶を卒業すれば、公認会計士の資格が与えられることにな こととする。なお、後者の会計学科︵ポリテークニコのそれ っている。 UNAM経営学部履修課目 会計学科 第一学年 経営及商業実務 会計学第一 法学及び民法学原理 経済学 社会学 商業数学第一 第二学年 社会経済調査方法 家などは新しい職業であって、この事情は、経済学部および 経営学第一 tionap lrofessions)であるのに対して、会計士、経営専門 経営学部にも反映している。すなわち、UNAM経済学部を −一一 -206 会計学第二 税務会計 憲法及行政法 監査第二 商法 演習 経済学第二 官庁会計 商業数学第二 会計学特殊講義︵銀行及保険会計、公益事業及運輸業会 第三学年 ちから一課目選択︶ 統計学入門 計、ホテル及病院会計、農業会計、公益法人会計のう 経営学第二 会計学第二 統計資料分析 経営学科 会計学第二 第一学年 原価計算第一 会計学第一 会社会計 経営学第一 税法第一 法学及民法学原理 第四学年 経済学第一 経済学第三 商業数学 原価計算第二 社会学 監査第一 第二学年 税法第二 会計学第二 労働法及社会保障法 経営学第二 財政学第一 商法 論文作成技術 憲法及行政法 第五学年 財務数学 資料の機械的及電子処理 経済学第二 一一−207一一 産業社会学 第三学年 原価計算 経営学第三 税法原理 労働法 統計学総論 メキシコ経済論 産業心理学 市場論 第四学年 予算 人事管理第一 販売管理 経営統計 広告論 工学原理 論文作成技術 第五学年 財務諸表分析及解釈 経営学演習 企業振興 企業財務 人事管理第二 卒業論文 UNAM経済学部履修課目 第一学年 理論経済学第一 数学第一 会計学総論第一 近代経済史 経済地理 第二学年 実験第一 理論経済学第二 数学第二 会計学第二 メキシコ経済史 マルクス経済学及思想 経済法 実験第二 第三学年 理論経済学第三 経済統計 財務諸表分析 金融及銀行 一一208- 工業経済 メキシコ農業経済 調査実習 第四学年 経済発展の理論 貿易論 財政学 人口論 経済学説 演習︵企業組織及管理、経済社会学、経済調査の数学的 第五学年 方法のうち一つを選択︶ 経済計画 経済循環 メキシコ経済論 メキシコ財政論 演習︵メキシコ貿易論、国際経済協力、財政政策、メキ シコ公企業論のうち二つを選択︶ liienvenida。 1965。 による。 --209-
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