資料4−6 周波数の有効利用方策に関する基本的な考え方(案) ∼ 固定無線・無線標定・衛星通信システムの使用する周波数帯 ∼ 検討の背景 世界最先端のワイヤレスブロードバンド環境の実現 ・情報通信審議会答申「電波政策ビジョン」(平成15年7月30日公表) 中核となる電波利用システムの導入を可能とする周波数の円滑な確保 ※)「周波数の再編方針」(平成15年10月10日公表) ※)「平成15年度電波の利用状況調査の評価結果の概要」(平成16年3月17日公表) <逼迫する周波数の中でのシステムの導入方策例> 導入システム 導入システム 共用、帯域圧縮等 技術の導入 有線系への代替、 他の周波数への移行 等 逼迫する周波数の有効利用を図ることが必要不可欠。特に、以下に掲げるシステムの 使用する周波数の有効利用のための基本的考え方について検討することが重要。 ・ 固定無線システム (有線系システムへの代替・周波数の移行など) ・ 無線標定システム (ナロー化技術及びスプリアス低減技術の導入など) ・ 衛星通信システム (地上系移動通信システムとの周波数共用など) ※)「周波数再編アクションプラン」(平成16年8月31日公表) 1 我が国の電波利用の現状 波長 100km 周波数 3kHz (3千ヘルツ) 小さい 伝送できる情報量 大きい 易しい 利用技術の難易度 難しい 10km 30kHz (3万ヘルツ) 超長波 VLF 降雨で弱められ る 直進する 電波の伝わり方 障害物の後ろに回り込む 1km 300kHz (30万ヘルツ) 長 波 LF 100m 3MHz (300万ヘルツ) 中 波 MF 10m 30MHz (3千万ヘルツ) 短波 HF 1m 300MHz (3億ヘルツ) 超短波 VHF 10cm 3GHz (30億ヘルツ) 極超短波 UHF 1cm 30GHz (300億ヘルツ) マイクロ波 SHF 1mm 300GHz (3千億ヘルツ) 0.1mm 3000GHz (3兆ヘルツ) サブミリ波 ミリ波 EHF 周波数需要の高い帯域 長 波 電波天文 簡易無線 中 船舶通信 アマチュア無線 波 マイクロ波中継 放送番組中継 衛星通信 衛星放送 レーダー 電波天文・宇宙研究 無線LAN(5.2GHz帯、屋内) 無線アクセスシステム(22、26、38GHz帯) 狭域通信システム ISM機器 波 短波放送 VHF FM放送(コミュニティ放送) 防災行政無線 消防無線 警察無線 簡易無線 無線呼出 アマチュア無線 衛星通信 レーダー マイクロ波 中波放送(AMラジオ) 船舶・航空機用ビーコン 短 船舶・航空機無線 アマチュア無線 主な利用例 ミリ波 船舶・航空機用ビーコン 標準電波 TV放送 列車無線 航空管制通信 コードレス電話 UHF 携帯電話 PHS MCAシステム タクシー無線 TV放送 防災行政無線 移動体衛星通信 警察無線 簡易無線 レーダー アマチュア無線 パーソナル無線 無線LAN(2.4GHz帯、屋内外) コードレス電話 無線アクセス(2.4GHz帯) ISM機器 2 周波数帯の使用状況例(3,000MHz∼6,500MHz) 狭域通信等 5850 5770 固定無線システム 無線標定システム 非静止移動衛星 衛星通信システム 電通業務(固定) 産業科学 医療用 アマ チュア 無線 LAN 6485 電通業務(固定) 気象レーダ 5875 計画中 (固定 衛星↓) 5650 電通業務 (固定衛星↓) 5091 4800 各種レーダ 放送事業 自動着陸誘導 システム 4500 3625 航空無線航行 (電波高度計等) 5725 その他 航空機・船舶 等レーダ 電通業務(固定衛星↑) 電通業務(固定) 6425 5925 5850 5350 5250 5150 5000 4400 4200 3600 3400 放送事業 3000 MHz 国際的な今後の周波数の割当て動向 ・ 第4世代携帯 ⇒ 6GHz帯以下 ・ 無線LAN ⇒ 主に5GHz帯 6500 MHz 固定無線システム、無線標定システム及び衛星通信システムの使用する周波数帯を 如何に有効利用できるかが重要。 3 固定無線システムの使用する周波数の 有効利用のための基本的考え方 4 固定無線通信システムの使用する周波数の有効利用のための基本的な考え方 ① (1) 現在の利用方法 ・ 電気通信業務用(都市間の中継等)、放送事業用(放送局から離れた送信所への中継等) 及び公共・一般業務用等(防災行政用無線の中継等)で使用。 ・ マイクロ波帯を中心として、短波帯から準ミリ波帯まで幅広い帯域で割り当てられており、 伝送容量や回線距離等のシステム特性や無線局の用途に応じ使用周波数帯を割当て。 <現在の使用方法例> 山上中継局への中継回線 長距離の中継回線 固定局B 固定局A 固定局B 固定局C 固定局D ~~~~ ~~~~ ~~~~ ~~~~ ~~~~ ~~~~ ~~~~ ~~~~ ~~~~ ~~~~ ~~~~ ~~~~ 離島との中継回線 固定局E 固定局A 5 主な固定無線通信システムの利用状況に関するデータ例 システム名 免許人数*1 無線局数*1 送信装置数*1 割当周波数幅 3.4GHz帯音声STL/TTL/TSL用 87 306 557 3.4∼3.456GHzのうちの29MHz 3.4GHz帯映像STL/TTL/TSL用 97 295 537 3.456∼3.6GHz 3.4GHz放送監視制御用 24 183 260 3.4∼3.456GHzのうちの10MHz 4GHz帯電気通信業務用*2 14 637 6,544 3.6∼4.2GHz 5GHz帯電気通信業務用*2 14 640 10,098 4.4∼5.0GHz 6GHz帯電気通信業務用*2 14 587 8,108 7.5GHz帯公共・一般業務用*2 133 2,923 9,449 12GHz帯公共・一般業務用*2 115 2,088 5,215 5.925∼6.425GHz 6.57∼6.87GHz 7.125∼7.9GHz 12.2∼12.5GHz *1 「平成15年度電波の利用状況調査の調査結果(平成16年3月公表)」から抜粋。平成15年4月1日現在の値。ただし、4,5及 び6GHz帯電気通信業務用については平成14年10月31日現在の値。 *2 「4、5及び6GHz帯電気通信業務用」システムの送信装置数(システム上必要となる予備装置数も含む。)については、例 えば、一の無線局に4GHzと5GHzの送信装置が設置されている場合、「4GHz帯電気通信業務用」及び「5GHz帯電気通信業 務用」のそれぞれの装置として集計したもの。 *3 上表のシステム以外にも、多くの固定通信システムが存在する。 6 固定無線通信システムの使用する周波数の有効利用のための基本的な考え方 ② (2) 周波数の有効利用方策 周波数の有効利用方策として主に以下の4つの手法(又は各組合せ)が考えられる。 ① 光ファイバ等の有線系システムへの代替 無線回線の全部又は一部を有線系システムに代替する方法。 無線回線 無線回線 固定局A 固定局B 固定局C 無線回線 光ファイバ等 の有線回線 光ファイバ等の有線回線 又は他の周波数帯 を利用した無線回線 局A 局B 局C 局A 固定局B 固定局C 7 ② 他の周波数帯への移行 逼迫していない他の周波数帯が利用可能な場合は、無線回線の全部又は一部を他の周波数 帯へ移行する方法。 無線回線 無線回線 固定局A 他の周波数帯を 利用した無線回線 固定局A 固定局C 固定局B 他の周波数帯を 利用した無線回線 固定局B 他の周波数帯を 利用した無線回線 固定局C 固定局A 無線回線 固定局B 固定局C ③ 割当周波数帯幅の見直し 周波数の使用状況及び今後の需要等を踏まえ、見直しが可能な場合には、現在割り当て られている周波数帯幅を見直す方法。 割当周波数帯幅 (15チャンネル分の割当て) 見直し割当周波数帯幅 (9チャンネル分の割当て) 空き周波数の創出 (6チャンネル分) 8 ④ 周波数の有効利用技術の活用 電波の有効利用技術の導入による方法。 <周波数利用効率を向上する技術例(ⅰ)(ナロー化技術)> 信号の周波数帯幅を小さくすることで、チャネル容量の増大が可能。 空き周波数の創出 (3チャンネル分) 出 出 力 力 占有周波数帯幅 周波数 ナロー化技術 周波数 <周波数利用効率を向上する技術例(ⅱ)(アンダーレイ技術)> 固定無線通信システムに大きな干渉を与えない範囲で他のシステムを導入することで周波数の 共用を可能とすることにより周波数の有効利用を図る方法。 他のシステム 干渉を 与えない 限度まで 9 <周波数利用効率を向上する技術例(ⅲ)(システム間のキャリアセンス技術)> 他のシステムとの混信を回避するため、システム間のキャリアセンス機能を装備した無線局を導入することで 時間的に他のシステムとの周波数共用が可能。 システムAが送信中 (例) システムA 時間の空きを確認 システムA システムA 送信しない システムB システムB システムB 時間の 隙間利用 システムAが送信停止中 システムC 空きを確認後、短時間利用 時間 システムA システムA 送信 システムB システムB 10 固定無線通信システムの使用する周波数の有効利用のための基本的な考え方 ③ (3) 周波数有効利用方策の検討の進め方 固定無線通信システムの使用する周波数の有効利用については、以下の「基本的な検討の進め方」 に従い検討。 <基本的な検討の進め方> ① 光ファイバ等の有線回線への代替の可否について、次の観点を踏まえて検討。 ・ 回線の二重化、回線の埋設、バックアップ等の信頼・安定性の確保 ・ 無線回線と同等以上の品質の確保 ・ 監視体制等の運用・保守の確保 ・ 無線回線とのコスト比較及び無線設備の減価償却期間等を踏まえた経済性 ② 他の周波数帯への移行の可否について、次の観点を踏まえて検討。 ・ 周波数の使用状況、今後の需要を踏まえた適切な周波数割当て ・ 降雨減衰、フェージング、伝搬距離等に係る移行先周波数の伝搬特性 ・ 従来の周波数を使用した場合と移行先周波数を使用した場合のコスト比較及び無線設備 の減価償却期間等を踏まえた経済性 ③ 割当周波数帯幅の見直しの可否について、次の観点を踏まえて検討。 ・ 周波数の使用状況、今後の需要を踏まえた適切な周波数割当て ・ 割当周波数帯幅の見直しに係る無線設備の改修又は更改コスト及び無線設備の減価 償却期間等を踏まえた経済性 ④ 周波数の有効利用技術の活用の可能性について、次の観点を踏まえて検討。 ・ 伝送品質等の確保 ・ 周波数有効利用技術の活用コスト及び無線設備の減価償却期間等を踏まえた経済性 11 固定無線通信システムの使用する周波数の有効利用のための基本的な考え方 ④ (4) 個別の無線局の具体的な検討に当っての進め方 個別の無線局に係る具体的な検討に当っては、「基本的な検討の進め方」を踏まえ、 以下の点を検討。 ① 周波数の有効利用を実際に実施するシステムの使用状況や今後の需要動向等を踏まえ、 取り得る周波数有効利用方策やそれにより有効利用が可能となる周波数幅等の検討。 ② 同じ固定無線通信システムを構成する無線局であっても、無線局ごとに設置場所、相手局 との伝送距離、必要な回線品質等の条件が異なるため、無線局ごとにどのような手法 (複数の手法の組合せも含む)が適用できるかの検討。 ③ 周波数需要は地域及び時間的にも異なることから、地域における需要動向を踏まえつつ、 地域ごとに、かつ段階的に、周波数有効利用方策に着手可能な無線局から実施。 ④ 光ファイバ等の有線回線への代替の可否、他の周波数帯への移行の可否及び割当周波数 帯幅の見直しの可否については、客観的に判断ができるように、「基本的な検討の進め方」 の詳細の検討。 12 無線標定システムの使用する周波数の 有効利用のための基本的考え方 13 2 無線標定システムの使用する周波数の有効利用のための基本的な考え方① (1) 現在の利用方法 ・ 気象用レーダー、航空・船舶用レーダー、速度センサや移動体検知センサ等として使用。 ・ 3GHz帯、5GHz帯及び9GHz帯は主に気象用、航空・船舶用レーダーに、高マイクロ波帯 及びミリ波帯はその他のレーダーやセンサに割当て。 <現在の使用方法例> 移動体検知センサ (侵入防止) 気象レーダー ゴール 船舶レーダー 速度○○km 速度センサ 14 主な無線標定システムの利用状況に関するデータ例 5GHz帯気象/空港気象レーダー 8 無線局数*3 65 5GHz帯船舶レーダー 1 1 5.48∼5.6GHz 9GHz帯気象レーダー 10 12 9.32∼9.5GHz 速度センサ 140 4,636 10.51∼10.54GHz*4 *2 − 2,457 24GHz帯移動体検知センサ*2 − 17,298 10.51∼10.54GHz 24.05∼24.25GHz 76GHz帯ミリ波レーダー*2 − 1,102 76.0∼77.0GHz システム名 10GHz帯移動体検知センサ 免許人数 割当周波数幅 5.25∼5.35GHz *4 *1 「平成15年度電波の利用状況調査の調査結果(平成16年3月公表)」から抜粋。平成15年4月1日現在の値。 *2 免許不要局。 *3 免許不要局の無線局数は平成13∼15年度の3年間の出荷台数の合計。 *4 「速度サンサ」と「10GHz帯移動体検知センサ」は周波数を共用。 *5 上表のシステム以外にも、多くの無線標定システムが存在する。 15 無線標定システムの使用する周波数の有効利用のための基本的な考え方② (2) 周波数の有効利用方策 周波数の有効利用方策として主に以下の3つの手法(又は各組合せ)が考えられる。 ① 他の周波数帯への移行 逼迫していない他の周波数帯が利用可能な場合は、他の周波数帯へ移行することにより 周波数の有効利用を図る方法。 他の周波数帯を 利用したレーダー レーダー レーダー ② 割当周波数帯幅の見直し 周波数の使用状況及び今後の需要等を踏まえ、現在割り当てられている周波数帯幅を見直す ことにより周波数の有効利用を図る方法。 割当周波数帯幅 (15チャンネルの割当て) 見直し割当周波数帯幅 (9チャンネルの割当て) 空き周波数の創出 (6チャンネル分) 16 ③ 周波数の有効利用技術の活用 電波の有効利用技術の活用により周波数の有効利用を図る方法。 <周波数利用効率を向上する技術例(ⅰ)(ナロー化技術及びスプリアス低減技術)> レーダーの使用帯域幅を減少し、送信スプリアスを低減させることで他のシステムとの周波数共用 及び空き周波数の創出が可能 レーダーの電波 レーダーの電波 他の無線システムの電波 他の無線システムの電波 占有周波数帯幅 周波数 空き周波数の創出 周波数 ナロー化技術 スプリアス低減技術 <周波数利用効率を向上する技術例(ⅱ)(アンダーレイ技術)> 無線標定システムに大きな干渉を与えない範囲で他のシステムを導入することで周波数の 共用を可能とすることにより周波数の有効利用を図る方法。 他のシステム 干渉を 与えない 限度まで 17 <周波数利用効率を向上する技術例(ⅲ)(システム間のキャリアセンス技術)> レーダー波との混信を回避するため、システム間のキャリアセンス機能を装備した無線局を導入することで 時間的に他のシステムとの周波数共用が可能。 システムAが送信中 (例) システムA 時間の空きを確認 システムA システムA 送信しない システムB システムB システムB 時間の 隙間利用 システムAが送信停止中 システムC 空きを確認後、短時間利用 時間 システムA システムA 送信 システムB システムB 18 無線標定システムの使用する周波数の有効利用のための基本的な考え方 ③ (3) 周波数有効利用方策の検討の進め方 無線評定固定無線通信システムの使用する周波数の有効利用については、以下の「基本的な 検討の進め方」に従い検討。 <基本的な検討の進め方> ① 他の周波数帯への移行の可否について、次の観点を踏まえて検討。 ・ 周波数の使用状況、今後の需要を踏まえた適切な周波数割当て ・ 降雨減衰、フェージング、伝搬距離等に係る移行先周波数の伝搬特性 ・ 従来の周波数を使用した場合と移行先周波数を使用した場合のコスト比較及び無線設備 の減価償却期間等を踏まえた経済性 ② 割当周波数帯幅の見直しの可否について、次の観点を踏まえて検討。 ・ 周波数の使用状況、今後の需要を踏まえた適切な周波数割当て ・ 割当周波数帯幅の見直しに係る無線設備の改修又は更改コスト及び無線設備の減価 償却期間等を踏まえた経済性 ③ 周波数の有効利用技術の活用の可能性について、次の観点を踏まえて検討。 ・ 伝送品質等の確保 ・ 周波数有効利用技術の活用コスト及び無線設備の減価償却期間等を踏まえた経済性 19 無線標定システムの使用する周波数の有効利用のための基本的な考え方 ④ (4) 個別の無線局の具体的な検討に当っての進め方 個別の無線局に係る具体的な検討に当っては、「基本的な検討の進め方」を踏まえ、 以下の点を検討。 ① 周波数の有効利用を実際に実施するシステムの使用状況、今後の需要動向等を踏まえ、 取り得る周波数有効利用方策やそれにより有効利用が可能となる周波数幅等の検討。 ② 同じ無線標定システムであっても、無線局の使用場所、無線局の仕様等が異なるため、 無線局ごとにどのような手法(複数の手法の組合せも含む)が適用できるかの検討。 ③ 周波数需要は地域及び時間的にも異なることから、地域における需要動向を踏まえつつ、 地域ごとに、かつ段階的に、周波数の有効利用方策に着手可能な無線局から実施。 ④ 他の周波数帯への移行の可否及び割当周波数帯幅の見直しの可否については、客観的に 判断ができるように、「基本的な検討の進め方」の詳細の検討。 20 衛星通信システムの使用する周波数の 有効利用のための基本的考え方 21 3 衛星通信システムの使用する周波数の有効利用のための基本的な考え方① (1) 現在の利用方法 ・ 電気通信事業者、放送事業者等が、宇宙空間にある人工衛星を利用して地上にある地球 局、移動局等の無線局向けに、電気通信サービスや放送サービスの提供に使用。 ・ マイクロ波帯を中心に準ミリ波帯までの帯域で割り当てられており、無線局の用途に応じて 使用周波数帯を割当て。 <現在の使用方法例> 人工衛星を使用した電気通信サービスの提供 人工衛星を使用した放送サービスの提供 放送衛星局 人工衛星局 放送波 視聴者 地球局 地球局 地球局 地球局(衛星制御用) 地球局(番組伝送用) 22 主な衛星通信システムの利用状況に関するデータ例 システム名 免許人数*1 無線局数*1 送信装置数*1,2 割当周波数幅 Cバンド衛星ダウンリンク 3 13 − 3.44∼4.199GHz Cバンド衛星アップリンク 7 43 442 5.854∼6.485GHz BS放送 4 11 − 11.7∼12.2GHz CS放送 2 11 − 12.2∼12.75GHz Kuバンド衛星ダウンリンク 2 27 − 12.2∼12.75GHz Kuバンド衛星アップリンク 9 10,763 10,641 13.75∼14.5GHz Kaバンド衛星ダウンリンク 2 10 − 17.7∼21.2GHz Kaバンド衛星アップリンク 2 60 497 27.5∼31.0GHz *1 *2 *3 *4 「平成15年度電波の利用状況調査の調査結果(平成16年3月公表)」から抜粋。平成15年4月1日現在の値。 送信装置数についてはアップリックのみ調査対象。 「CS放送」と「Kuバンド衛星アップリンク」は一の人工衛星局のトランスポンダを区分して使用。 上表のシステム以外にも、Sバンド衛星通信システム等が存在する。 23 衛星通信システムの使用する周波数の有効利用のための基本的な考え方② (2) 周波数の有効利用方策 周波数の有効利用方策として主に以下の5つの手法(又は各組合せ)が考えられる。 ① 光ファイバ等の有線系システムへの代替 光ファイバ等の有線系システムに代替する方法。 ② 他の周波数帯への移行 逼迫していない他の周波数帯が衛星通信システムに利用可能な場合は、当該周波数帯へ移行 する方法(他の周波数帯の既存衛星通信システムへの巻取りを含む)。 人工衛星局 人工衛星局 他の周波数帯への移行 人工衛星局 地球局 地球局 地球局 地球局 地球局 地球局 地球局 地球局 地球局 24 ③ 割当周波数帯幅の見直し 周波数の使用状況及び今後の需要等を踏まえ、現在割り当てられている周波数帯幅を見直す ことにより周波数の有効利用を図る方法。 割当周波数帯幅 (15チャンネル分の割当て) 見直し割当周波数帯幅 (9チャンネル分の割当て) 空き周波数の創出 (6チャンネル分) ④ 周波数割当ての地域分割によるシステム間共用 地球局の送受信周波数を陸上系システムの需要の少ない地域向けには多くのチャンネルを割り 当て、需要の多い地域では逆にチャンネルを絞ることにより、地球局と陸上系システムとの周波数 の共用を図る方法。 多くのチャンネルを割当て 陸上系システムの需要が少ない地域 チャンネルの割当てを絞る 陸上系システムの需要が多い地域 25 ⑤ 周波数の有効利用技術の活用 電波の共用技術の活用により周波数の共用を図る方法。 <周波数利用効率を向上する技術例(ⅰ)(干渉波からの影響低減技術)> 移動する干渉波源からの干渉波を主アンテナに取り付けた補助アンテナによりダイナミックに追尾 し、干渉波と逆位相の波を発生させて干渉波からの地球局への干渉を低減させ、他のシステムと の周波数共用を図る方法。 補助アンテナアレイ 干渉波へビーム指向し、 ダイナミックに追随 補助アンテナ 干渉波源 主アンテナ 主アンテナ 干渉波源 <周波数利用効率を向上する技術例(ⅱ)(アンダーレイ技術)> 地球局や人工衛星局が行う無線通信(又は放送)に大きな干渉を与えない範囲で他のシステム を導入することで周波数の共用を可能とすることにより周波数の有効利用を図る方法。 他のシステム 干渉を 与えない 限度まで 26 衛星通信システムの使用する周波数の有効利用のための基本的な考え方 ③ (3) 周波数有効利用方策の検討の進め方 衛星通信システムの使用する周波数の有効利用については、以下の「基本的な検討の進め方」 に従い検討。 <基本的な検討の進め方> ① 他のシステムへの代替の可否について、次の観点を踏まえて検討。 ・ 従来のシステムによるサービスを利用していたユーザに対するサービス内容及びコスト 面での影響 ② 他の周波数帯への移行の可否について、次の観点を踏まえて検討。 ・ 周波数の使用状況、今後の需要等を踏まえた適切な周波数割当て ・ 降雨減衰、大気中のガスによる吸収等に係る移行先周波数の伝搬特性 ・ 従来の周波数を使用した場合と移行先周波数を使用した場合のコスト比較及び無線設備 の減価償却期間等を踏まえた経済性 ③ 割当周波数帯幅の見直しの可否について、次の観点を踏まえて検討。 ・ 周波数の使用状況、今後の需要等を踏まえた適切な周波数割当て ・ 割当周波数帯幅の見直しに係る無線設備の改修又は更改コスト及び無線設備の減価 償却期間等を踏まえた経済性 ④ 周波数割当ての地域分割によるシステム間共用の可否について、次の観点を踏まえて検討。 ・ 既設地球局移設等に係るコスト等の経済性 ⑤ 周波数の有効利用技術の活用の可能性について、次の観点を踏まえて検討。 ・ 伝送品質等の確保 ・ 周波数有効利用技術の活用コスト及び無線設備の減価償却期間等を踏まえた経済性 27 衛星通信システムの使用する周波数の有効利用のための基本的な考え方 ④ (4) 個別の無線局の具体的な検討に当っての進め方 個別の無線局に係る具体的な検討に当っては、「基本的な検討の進め方」を踏まえ、 以下の点を検討。 ① 周波数の有効利用を実際に実施するシステムの使用状況、今後の需要動向等を踏まえ、 取り得る周波数有効利用方策やそれにより有効利用が可能となる周波数幅等の検討。 ② 同じ衛星通信システムを構成する無線局であっても、無線局ごとに設置場所、相手局 との伝送距離、必要な回線品質等の条件が異なるため、無線局ごとにどのような手法 (複数の手法の組合せも含む)が適用できるかの検討。 ③ 周波数需要は地域及び時間的にも異なることから、地域における需要動向を踏まえつつ、 地域ごとに、かつ段階的に、周波数有効利用方策に着手可能な無線局から実施。 ④ 他のシステムへの代替の可否、他の周波数帯への移行の可否、割当周波数帯幅の見直し の可否及び周波数割当の地域分割によるシステム間共用の可否については、客観的に 判断ができるように、「基本的な検討の進め方」の詳細の検討。 28
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