体外循環中における乳酸値の変動 仙台循環器病センター 臨床工学科 前田寿 早坂啓 鈴木信司 Sendai cardio vascular center 目的 ●血中乳酸値(乳酸値)は循環状態、組織酸 素負積の指標とされ、重症例での予後判定 因子としての有用性が報告されている。 ●体外循環中における乳酸値の推移と変動要 因を検証した。 Sendai cardio vascular center 対象 2005年1月から5月の間に行われた開心術20例 年齢 63±11 男性 15名 女性 5名 冠動脈バイパス術 10例 弁置換術 7例 DVR(1)、AVR(2)、AVR+CABG(2)、 MVR+MAZE(1)、 MVR+CABG+MAZE(1)、MVR+TAP(1) 弁形成術 2例 MVP(1)、MVP+TAP+MAZE(1) 人工血管置換術 1例 Bentalle(1) Sendai cardio vascular center 方法 検討因子 説明変数(平均値、標準偏差) 体外循環時間(分) 183±50 灌流量(L/min/m2) 2.50±0.21 体表面積(m2) 1.62±0.17 灌流圧(mmHg) 61.2±11.8 希釈率(%) 21.9±3.5 膀胱温(℃) 33.1±1.3 Hb量(mg/dl) 7.6±0.7 体血管抵抗(SVRI) 1984±413 酸素分圧(mmHg) 359±43 目的変数(平均値、標準偏差) 乳酸値変化量(mmol/L) 2.5±2.4 Sendai cardio vascular center 結果 乳酸値の推移 12 乳酸値(mmol/L) 10 8 6 4 充填液に乳酸リンゲル液を 300ml以上使用した症例 2 0 5 30 60 90 時間(分) 120 150 180 Sendai cardio vascular center 結果 乳酸値の開始時と終了時の関係 12 終了時乳酸値(mmol/L) 10 8 6 4 2 0 1 2 3 4 5 6 7 開始時乳酸値(mmol/L) Sendai cardio vascular center 結果 各要因の関係 回帰統計 重相関 R 重決定 R2 補正 R2 標準誤差 観測数 0.73937 0.54668 0.14372 1.13605 18 切片 BSA 希釈率 PaO2 Hb 灌流量 灌流圧 膀胱温 血管抵抗 係数 96.3601 -3.5982 -0.1121 -0.0121 -0.1256 -26.934 0.89731 -0.1649 -0.0311 標準誤差 42.06139 4.314072 0.197646 0.011783 0.506337 9.625447 0.33321 0.352496 0.011354 t 2.290938 -0.83405 -0.56736 -1.0269 -0.24812 -2.79818 2.692915 -0.4677 -2.74111 P-値 0.047701 0.425835 0.58434 0.331274 0.809609 0.020774 0.024678 0.651119 0.022806 Sendai cardio vascular center 結果 各要因の関係 回帰統計 重相関 R 重決定 R2 補正 R2 標準誤差 観測数 0.69177 0.47854 0.3668 0.97692 18 切片 灌流量 灌流圧 血管抵抗 係数 60.0839 -20.653 0.69004 -0.024 標準誤差 16.75868 6.249445 0.221352 0.007348 t 3.585244 -3.30474 3.117399 -3.25971 P-値 0.002985 0.005213 0.007566 0.005702 Sendai cardio vascular center 考察 乳酸値の上昇原因 1、組織レベルでの酸素供給不足による 乳酸生産の増加 2、乳酸クリアランス低下 高灌流状態 = 酸素供給量の増加 → 乳酸値抑制 Sendai cardio vascular center 考察 考えられる灌流圧、血管抵抗、乳酸値の関係 灌流圧↑ = 血管抵抗↑ 乳酸値↑= 乳酸値↑ 調査結果の灌流圧、血管抵抗、乳酸値の関係 灌流圧↑ = 血管抵抗↑ 乳酸値↑≠ 乳酸値↓ Sendai cardio vascular center 考察 ●体外循環中、乳酸値は上昇し続ける ●体外循環による、非生理学的環境を考えると 体外循環中の乳酸値上昇は避けられない ●乳酸値の抑制には、他要因の影響を解明す るとともに、体外循環時間を短縮させる方法の 検討も重要 Sendai cardio vascular center 結語 体外循環中における乳酸値の推移と変動 要因を検証した。 ●乳酸値は体外循環開始時より上昇し続け 終了時に最高値となった ●乳酸値抑制には灌流量の増加と体外循環 時間の短縮が有効である Sendai cardio vascular center
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