人工心肺用 流量調節鉗子の試作 仙台循環器病センター 臨床工学科 早坂啓 前田寿 鈴木信司 Cardio vascular center SENDAI 緒言 当院の人工心肺脱血側操作は,オクルーダーを 使用せず,チューブ鉗子操作を中心に脱血量の調 節を行っている. 我々はチューブ鉗子を改良し,簡便かつ安定した 調整操作を目的とした人工心肺用流量調節鉗子 (アジャストフロー)を試作した. 臨床使用に際し基礎実験を行い,脱血量の調節 に関する知見を得たので報告する. Cardio vascular center SENDAI Cardio vascular center SENDAI アジャストフロー(Adjust Flow)の形 状と特徴 1) 把持部(遮断有効部)長と厚み. 2) トリガーによる開閉. 3) ラチェット(掛け爪)数. 4) 支持指側に大型グリップ採用. Cardio vascular center SENDAI 実験方法 1. アジャストフロー圧閉による段階的 断面積変化をトレース計測した. 2. アジャストフロー圧閉による段階的 落差流量を実測した. (水道水,落差900㎜,吐出圧なし) 実験には,1/2×3/32inchタイゴンチューブ使用. 対照には,トノクラ社製電動脱血絞り Voc Ⅲ設置. Cardio vascular center SENDAI 110 ㎟ 96 ㎟ 83 ㎟ 66 ㎟ 33 ㎟ 19 ㎟ 0.6 ㎟ 完全圧閉 Cardio vascular center SENDAI 1.電動脱血絞り Voc Ⅲ(社内データ)と アジャストフローの断面積対流量比較 断面積対流量の関係 断面積 ㎟ 120 100 80 60 40 20 0 0 5000 10000 15000 流量 ml/min Voc Ⅲ Adjust Flow Cardio vascular center SENDAI 2. 電動脱血絞り Voc Ⅲとアジャストフローの 落差流量実測比較 VocⅢ実測 開口率 100% 80% 70% 60% 50% 40% ml/min 13090 13090 12610 11910 11110 9220 開口率 30% 20% 10% 5% 4% ml/min 7460 3373 77 2.5 完全遮断 Adjust Flow実測 ラチェット段数 全開 1段 2段 3段 4段 5段 ml/min 13126 13664 13932 13720 13584 12240 ラチェット段数 6段 7段 8段 9段 ml/min 8104 215 数滴 完全遮断 Cardio vascular center SENDAI 考察 元来、チューブ鉗子は,開放と圧閉の二段階の操 作を目的とした手術器械である.一方,脱血操作に 広く用いられるオクルーダーは,チューブ断面可変 型の機器であり,段階的圧閉が可能な器械として 当鉗子を着想した. 操作上の形状と強度を考慮した結果,微細な調整 幅こそ確保し得なかったが,実験上から,人工心肺 離脱などに必要な脱血量の調節に対応できると考 えられた. Cardio vascular center SENDAI 結語 人工心肺用流量調節鉗子アジャストフロー を試作した. チューブ断面積は8段階の可変が可能であっ た.落差流量計測では,4段目以降から実用に 相当する脱血量の調整が可能であった. Cardio vascular center SENDAI アジャストフローとチューブ鉗子の比較 アジャストフロー チューブ鉗子 全長 255㎜ 200㎜ 重量 230g 70g 把持部 75㎜ 45㎜ ラチェット段数 14段 4段 Cardio vascular center SENDAI
© Copyright 2024 ExpyDoc