テクニカル・ライティング

テクニカル・ライティング
第6回
~皆さんの課題のレビュー~
今日の課題
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皆さんが提出した課題を
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良い例
努力を要する例
で分類してレビューします。
まずは、「良い例」
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南雲さん
小林さん
南雲さんの課題について
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相手が何を求めており、どんな点で評価するの
かという点がよく考慮されていた。
よく網羅されている。
ミッションが割り出される経緯、根拠があった。
授業レポートという位置づけの文章を書くにあ
たり、その授業のミッション、目的をよく考慮し
ている。
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思いつきでないということがわかる
割り出された分析項目の粒度が適当だった。
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表と箇条書きのスタイルが、見やすく、実用的。
課題の切れ目、内容の切れ目を意識している。
レポートが全体的に非常に見やすいという点で
評価が高い。
日で書き上げたわりにパフォーマンスがよい。
何を書くべきかが予め整理されているような印
象を受ける。
本人談
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「文章を書くのにひねり出したというかんじ。文
章が長かったのを調節する意味で、文章を減
らした」
アドバイス
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ミッションを複数設定する場合は、その優先順位を決めるとよい。
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他のミッションとの関係を示す
表現のレベルの問題で、見易さ見にくさが評価を大きく変える
→余白の使い方が重要
レポートの評価の基準
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あげられた項目の妥当性
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レポートの表現の仕方
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本当に使えるものか?
よく整理されていてみやすいか?
良いレポートは削って作られる。
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いかに削るか、いかに隙間をつくるかが良いレポートをつくる上でのコツ。
小林さんの課題について
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分析項目の理由が冒頭にまとめて示されている。
しかしもう少し整理されていてもよかった。
自分のなかで考えをまとめてから分析項目の列挙に
かかっている。
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論理的につながっている
要求分析が先であるという必然性が定義してある。
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要求ありき 論理的に物事を割り出す。
論理の前提が説明されている必要がある
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論理的であるという点で評価が高い。
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作業課題の出し方がよい。
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論理的であれば、システマティックに使える項目
になる 冗長性があまりない。
粒度がよく考慮されている
独自のパラメータ「時間スペック」
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それぞれの課題にどれだけの時間をさけるか
合理的 余白がよくとられていて、見やすい。
本人談
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「とびとびで3日くらいかかった。がーっと書
き出して、再構成していくかんじ」
アドバイス
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実用的かつ漏れなく書かれていることが評
価の基準
書きっぱなしではなく、書いたものを良く見
直して洗練させましょう
努力を要する例
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中村さん
蒲田さん
花本さん
田村さん
中村さんの課題
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もう少しディテールに踏み込んで欲しかった。
分析項目が足りない。 ミッションについても同じ。
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「期末レポート」という対象が定まったことはよいが、それを
何のために書くかについての記述がない →対象はむしろ
自明
作業課題についても詳細度が足りない。 ただしレ
ポートの体裁はきれで見やすい。
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余白、インデントを工夫していた
ただしインデントに関してはもう少し工夫の余地がある
蒲田さんの課題
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レポートの構成のしかたに問題。
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内容も含め、箇条書きの文章をそのまま並べていくような感じで書
かれている。
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独自の図を入れるなどして見やすくはしているが、改行がばらばら。
思考の順番に書かれているような印象を受ける
思考の過程自体は間違っていないが、読む側としては読みづらい。
このような形がよく見られるのはメールの文章。
読む側にとしては、どうしても散漫であるという印象を受けてしまう。
分析項目についても、思いついた単語が並んでいるという印象が
否めない。
分析項目をつくるにあたり、コンセプトが決まっているかどうかが重
要。
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さもないと機能しない
本人談
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「自分なりのチェックリストのような形で考えた」
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アドバイスとして
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概念の構造化を見直したほうがよい。
アドバイス
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概念の構造化を見直したほうがよい。
構造化という発想が見られない方が見られた。
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これらを一段高いレベルで包括する。
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具体例A ・具体例B ・具体例C
抽象化する
分類する
具体例のレベルで終わっていしまっていて、適
切な抽象化、分類を行っていない人が多い。
花本さんの課題
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分析項目は少ないが、その理由が詳細に説明。
文章をベースに全てを記述しているところが特徴的。
基本的に良く考えられているが、ひとつ課題。 質的な
面に重きをおいて書かれている。
物事を説明する際に、対象を質的・量的側面からバラ
ンスよく捉えながら記述すると良い。
いくつかの着眼点について、全てを質的に把握してい
た。
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質的な捉え方としては非常に優れていた
しかし、量的な側面の記述が不足していた。
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レポートの分量、割ける時間
アドバイス
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物事の性質あるいは意味を、 質的に捉える
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量的に捉える
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言語で表現する
数値で表現する
大雑把に質的であることが一番良くない
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役に立たない
田村さんの課題
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傾向として大雑把過ぎる。
しかしもっと問題なのは文章の方。
体言止めをすると、文章が切れてしまう。
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読みにくい ミッションの記述があいまい。
「その準備」とは何か?
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どの準備か?
誰が準備するのか?(行為の主体はだれなのか?)
アドバイス
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書き手の頭の中で自明のことを文章に反映し
てしまう人が多かった。
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読み手には書き手の文脈が分からない
読み手が混乱してしまう
体言止めは、文章の呼吸をととのえるもの。
句読点の打ち方は文章の呼吸に大きく関連して
いるが、これは属人性が高い。
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その人固有のものであるときが多い 客観化されて
おらず、読み手にしてみれば読みにくいことが多い。
総評
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頭の中をそのまま記述することは避けてください
自明なものでも記述する
記述した後で確認する 書かれたあとで削ることはできる。
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とにかく書いてから、後で見直して、削る。
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あまりに自明である場合 最初からそれをやってしまうと、読み
手にとって必要な情報を除いてしまう可能性が高い。
書く段階と削る段階を区別すると良い
総合的には、 「物事をきちんと記述して、構成してくださ
い」 という単純なコメントにおちつく。