GLD Calorimeter に用いられる 新型半導体光検出器MPPCの性能評価 2007年9月18日 宇宙史コースセミナー 素粒子実験研究室 山崎 秀樹 国際リニアコライダー (International Linear Collider)計画 • 標準理論の裏づけにはヒッグス粒子を呼ばれ る粒子の発見が必要 • その手段として、新たな高エネルギー加速器 をアジア、欧米各国で共同開発している 全長 30km 重心系エネルギー 1TeV 線形にすることにより、制動 放射を抑えられる 電子は内部構造をもたないた め、backgroundが少ない →精密測定に向いている 2 GLD(Global Large Detector) Calorimeter GLD 検出器の完成予想図 断面図 (ビーム軸上から見たもの) 衝突点から近い順に バーテックス検出器 中央飛跡検出器 カロリメータ μ粒子検出器 3 GLD Calorimeter for ILC W/Pbによるサンプリングカロリメータ サンドイッチ構造→WLSF( Wave-length shifting Fiber) readou ジェット再構成法 PFA (Particle Flow Algorithm) による、粒子の正確な分離 Electro-Magnetic Calorimeter 細分化したStrip Scintillator 10mm×40mm×2mm tungsten plate 膨大の数のChannel数→(~10MChannel) 強磁場の環境での使用(~3T) PMTでは困難 PMTに代わる光検出器として MPPCが採用される予定 particles 4 readout MPPC (Multi Pixel Photon Counter) • 浜松ホトニクス社と共同で開発している 次世代半導体光検出器 1mm 3 mm 1.3 mm 拡大 1mm センサー面 真横からの図 真正面からの図 PMT MPPC Cost performanceが良い Gainが高い(~105) 磁場耐性に優れている 軽量で非常にコンパクト 応答が非線形である 熱電子ノイズの発生 5 MPPCの動作原理 Guard ring Al -conductor 光子 雪崩増幅 25~100 mm 1pixelの断面構造 MPPC LED ~1 mm 6 MPPC駆動回路 光 子 APD(Avalanche Photo Diode ) が1pixelを構成している MPPC Pulse Shape 1 p.e. Pedestal peak 2 p.e. 1 p.e peak 2 p.e peak 1 p.e.の分解能が良い 7 MPPCの基本特性 Gain:アバランシェ増幅による信号の増幅率 Noise Rate:熱電子によって起こる雪崩によるsignal Closs talk:電子雪崩から生成された光子が隣のpixelで 電子雪崩を起こす Response Curve:入射光量に対する応答曲線 P.D.E(Photon Detection Efficiency): センサーに1光子が入射したときにそれを検出する 確率 Requirement for GLD Calorimeter Gain→少なくとも105以上 Dynamic Rangeの向上→1000 photo-electrons→数千 Pixelsが必要 Noise rate( Threshold=0.5 p.e)→1MHz以下 センサーの個体毎の性能のばらつきを抑える Cross-talk が少ない 光子検出効率→30% 放射線耐性 これらの特性を探るべく、筑波大では1600pixel MPPCの基本特性の測定を行った 9 Gain Set up Noise Rate Set up 10 Gain d Q Gain A e Gainの算出式 Q :Charge A : Amp gain = 63 e : electron charge = 1.6 x 10-19 C •30oC •25oC •20oC •15oC •10oC •0oC •-20oC C Gain (VBias Vo ) e Gainの理論式 C : Pixel Capacitance V0: Breakdown voltage Gainはバイアス電圧に対して線形に 増幅し、その値は105以上あり、GLD 11 Calorimeterの要求を満たしている Noise Rate:熱電子によって起こる 雪崩によるsignal 0.5 p.e. Threshold 1.5 p.e. Threshold Noise Rate • 30 oC • 25 oC • 20 oC • 15 oC • 10 oC • 0oC • -20 oC 温度、ΔVを下げるとノイズは減少する 最大でも400kHzで、1Mhz以下の要求を 満たす 12 Cross-talk Probability Cross-talk : 電子雪崩から生成された光子 が隣のpixelで電子雪崩を起こ す 2 photo-electron signalを Cross-talkによるものとする Rate( 1.5 p.e.) cross-talk率は温度に依存しない PCrosstalk 13 Rate( 0.5 p.e.) P.D.E. (Photon Detection Efficiency) Photon Detection Efficiency (P.D.E.)….光子検出効率 センサーに1光子が入射したときにそれを検出する確率 測定方法 PMT(HPK製 H1161GS)とMPPCでそれぞれ測定した光電子 数を比較し.P.D.Eを下の式から算出する P.D.E.MPPC NpeMPPC P.D.E.PMT NpePMT Set Up PMT,MPPCに対して、同じ光量を当てるシステムが必要 MPPC PMT WLSF LED 0.5 mm f Pin-hole 14 PDE [ % ] P.D.E. Result ILC-11025 2006.10 S1036211-025U 2006.12 ΔV ( = Vbias – V0 ) [ V ] Gain = 3×105 で P.D.E. は 14~15% P.D.E.のBias電圧依存性の理由:空乏層領域の変化 15 に伴う量子効率の変化 γ線照射 to MPPC GLD CalorimeterではMPPCは放射線環境 下での使用が見込まれ、γ線を照射し,MPPC の放射線耐性の評価をする γ線照射実験@東工大 照射サンプルILC-11-025M sample#9.#12,#1 累積放射線量 sample#9 1krad/h 12時間照射 →12krad(120Gy) sample#12 1krad/h 6時間照射 →6krad(60Gy) sample#14 1krad/h 3時間照射 →3krad(30Gy) 60Co Source MPP 60 Cm C 放射線源: ~15TBq 60Co Source γ-ray energy : 1.173MeV, 1.332MeV Dose rate : distance dependence (few % error) 放射線照射による影響 • Total dose 効果 照射量に比例して漏れ電流増加 - Hole trap(SiO2層に正孔が捕獲される) →X線、電子、γ線 - Surface damage (Si-SiO2境界面に正孔が蓄積) • 高波高ノイズ 効果 ある照射量から大きく漏れ電流変化 局所的に高電圧状態→高波高ノイズ発生 測定項目(照射後 ) Gain,NoiseRate測定 照射前のものと比較し、放射線による影響をみる Leakage Current 測定 時間変化を測定し、回復現象をみる I-V Curveの測定 Total dose効果のみがみられる時に測定する 2015/10/1 19 Leakage Current (照射中) 30Gy (3krad)照射サンプル(#14) 60Gy(6Krad) 照射サンプル(#12) Leakage Current時間変化 (30gy 照射中) Leakage Current時間変化 (60gy 照射中) 0.15 0.1 0.05 0 0 1 2 Time(hour) 3 4 Leakage Current(μA) Leakage Current(μA) 0.15 0.1 0.05 0 0 2 4 6 8 Time(hour) 120Gy(12krad) 照射サンプル(#9) MPPCに光をあてていない状態で 回路内に流れる電流量を マルチメータで測定する 2015/10/1 Leakage Current時間変化 (120gy 照射中) 12 Leakage Current(μA) Leak Current 測定回 路 7 2 -3 0 3 6 9 12 15 Time(hour) 120Gyをあてたサンプルで は高波高ノイズが発生してい 20 MPPC Pulse Shape (Radiation ) 120照射サンプル バイアス電圧印加直後 (セルフトリガーでの波形) 高波高ノイズと思われる信号が出ており、 波高は1 p.e. (約20mV 1600pixel)よりも高 い(>5p.e. height) Leakage Current (照射後) 120GyをあてたSampleにバイア ス電圧をかけ続けると、回復現象 がみられる 0.5 0.4 0.3 0.2 0.1 0 0 10 20 30 Time(hour) 1000 Current(-uA) Leakage Current(μA) Leakage Current時間変化 (120gy 照射後) 40 50 IVカーブ(照射後) semi-log 100 10 1 0.1 1 2 3 4 0.01 5 6 Before After 30 gy After 60 gy After 120gy 0.001 ΔV(-V) 放射量によって漏れ電流が増加 120Gyをあてたサンプルでは高波高ノイズが発生し、 大きく漏れ電流が変化 Gain Q Gain A e 120Gy Sample#9 60Gy Sample#12 30Gy Sample#14 放射線量によってGainの直線グラフは 下方にシフトしている 照射前 Capacitance V0 Sample#9 0.0233(pF) V0 75.481(V) Sample#12 0.0228 (pF) V0 75.785(V) Sample#14 0.0230 (pF) V0 75.972 (V) 照射後 Capacitance 0.0205 (pF) 0.0294(pF) 0.0222 (pF) V0 V0 75.382 (V) V0 75.870 (V) V0 75.952 (V) Noise Rate 60Gy 60Gy 30Gy 30Gy 照射量によってノイズレートは増加する 24 Cross talk Probability 60Gy ? 30Gy Crosstalk率も照射量によって増加する まとめと今後の予定 今回の測定ではTotal dose効果のみならばPhoton Counting はできることが分かった(Noise Rateは) 高い電圧をかけると高波高ノイズが消えるようにみえる!? →高い電圧かけ続け、アニーリングが進むか確かめる必要がある Total dose効果では熱によるアニーリングは進むのか!? →γ線ではBulk 損傷はない) 120Gyをあてたサンプルの赤外線発光観察をする →電圧をかけながら、Gain,NoiseRateの測定 Proton、中性子線による照射実験(1600pixel MPPC) GLD Calorimeter における各放射線量の見積もり Back Up 2015/10/1 27 120Gy 照射Sample 2015/10/1 29 2015/10/1 30 温度モニター( γ線 照射中@照射室) 30 Gy (Sample#14) (2007年 9月14日 10時53分開 始) 60 Gy (Sample#12) (2007年 9月14日 10時53分開 始) 120 Gy (Sample#9) (2007年 9月14日 19時25分開 始) Leakage Currnet (サンプルの個体差) IVカーブ(照射前サンプル比較) 0.025 0.02 Current(-uA) 0.015 Sample9 0.01 Sample12 Sample14 0.005 0 1 1.5 2 2.5 3 -0.005 ΔV(-V) 3.5 4 4.5 5 240Gy 照射サンプル 測定結 果 Gain(ADC Distribution) S d Gain A e S :ADC 分解能 (0.25pc/Count) d: 1 p.e. mean – Pedstal mean A : Amp gain = 63 e : electron charge = 1.6 x 10-19 C 測定一回目 バイアスをかけた直後 全event数 10000 2015/10/1 測定二回目 バイアスをかけた直後 全event数 10000 Photon Countingが出来な い 測定二回目 バイアスをかけてから 14時間 全event数 100000 34 Noise Rate(Threshould Curve) Noise Rate:熱電子によって起こる 雪崩によるsignal Threshould Curve 放射線をあててない MPPCの Threshold Curve(現行システ ム) バイアス電圧をかけた直後からのプロット 0.5 p.e. Threshold 1.5 p.e. Threshold 2015/10/1 オーダーは10MHzまで 達している 放射線をあててないMPPCでは 35 数十KHz Noise Rate(Threshould Curve その2) この波高領域が 効いている 一度バイアス電圧を切ってから再度測定 2015/10/1 Dark Noiseの数が多すぎ て CAMAC Discriのgateに入 りきっていないのではと思わ れる 36 漏れ電流 (Leakage Current) 半導体検出器に逆電圧印加時、熱電子によって 定常的な電流が発生 Time Vs Leakage Current 9.00 MPPCに光をあてていない状態で 回路内に流れる電流量を マルチメータで測定する 2015/10/1 Leakage Current(μA) 8.00 7.00 6.00 5.00 4.00 3.00 2.00 1.00 0 5 10 15 20 25 30 Time(hour) 35 40 今回の測定では漏れ電流のピークは8μAで 東工大 松原さんの結果では10μA まで達して いることから、アニーリングは進んでしまっている ことが分かる 45 50 37 55 ホールが捕獲されることで禁制帯の中に新しいエ ネルギー 東工大 松原さんのトラぺより抜粋 SIPM損傷試験:ADC distribution@東工大 照射前 (累積放射線量22.2krad) 2015/10/1 10krad/h*10h照射後は photon counting出来てい ない (累積放射線量122.2krad) 41
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