金融の基本50 Q49,50 柏嶋 美由紀 Q49 証券業界は今後どの方向に向 かっていくのか リーマンショックをはじめとする一連の混乱の要 因になったとされる証券会社が企業や機関投資家 向けにサービスを提供する投資銀行ビジネス、な いし証券業務の意義を全否定する見解 米国で証券大手5社が、銀行持株会社への移行や 商業銀行による買収、経営破綻 「投資銀行は死んだ」 しかし、 日本では資本市場の拡大が これまで以上に求められ、 証券市場が果たすべき役割の 重要性は高まる。 1.個人投資家への金融サービスの提供 株式、債券、投資信託 合計で1割程度 現金、銀行預金 過半数を占める また、 公的年金制度は今後より少ない 現役世代の拠出で多くの退職世代への 給付を賄わなければいけないため、 期待しにくい。 より高いリターンが期待できる株式や債券などにも長 期的な目線で投資したほうが資産形成しやすいと考え られ、ニーズに応える金融サービスを提供するという 証券会社の役割は意義深い。 2.資金調達の一経路としての 資本市場の拡充 以前 財政投融資制度を通じた借入や地元の銀行からの 借入れがほとんど 2001 財政投融資制度改革 →制度の規模の縮減 また、民間銀行の地方債保有消極化 市場公募債の増加 公的資金比率 財政投融資比率 市場公募債比率 上昇 財政投融資制度改革 市場公募債を発行し投資家から幅広く資金を調達する 資金調達の経路として の 資本市場の拡大が必須 3.アジア地域の成長の果実をもたらす上での 金融面での支援 アジア新興国のめざましい経済発展 日本企業のアジア地域の現地法人の設立や現地企業と資 本提携、買収 投資家が容易にアジア地域に投資できる投資信託など の金融商品・サービスを提供 企業に対して有望な現地企業に関する情報の提供 提携・買収を行う際の必要な資金の手当て 金融面のスキームの提案 などが求められる 1.個人投資家への金融サービスの提供 2.資金調達の一経路としての 資本市場の拡充 3.アジア地域の成長の果実をもたらす上での金融面 での支援 これら3つの観点より証券会社の存在意義は ますます高まっている Q50 海外市場と日本市場の関連性 は今後も深まっていくのか 日本国内での人口減少や内需停滞による業績伸び悩み アジアなど新興地域への製品・サービ スの販売先拡大 輸出を増やすのではなく、現地法人を設立し 現地での販売活動を促進 企業活動に占める海外事業の割合増加 海外事業の先行きに 対する見方が日本企 業の業績に影響 株式市場での投資家の比率海外投 資家半分以上 (要因) バブル崩壊での業績の悪化、 金融政策に対する規制などによって 日本の機関投資家が消極的になった ため。 海外投資家の割合の増加に よって国内と国外の市場の 連動はさらに大きくなる ・日本の上場企業の株主構成 2008末 25%を海外投資家が保有する 日本企業が国際的に 比較されやすくなる 国際的な比較から日本の個別企業の株や株式市場 が評価され、海外市場との関連強まる また、日本企業の利益に対する海外事業の依存度 も上昇傾向にあり、海外経済との関連は強まる 景気や企業業績を考える上でも、市場 動向を考える上でも日本国内の情報だ けでなく世界の動きや様々な情報を収 集し、それを活かしていくことが日本 や世界の金融市場を考えていくために 重要である。
© Copyright 2024 ExpyDoc