C09 ネットワーク問題のモデル化と アルゴリズムの研究 伊藤大雄(京大) 岩間一雄(京大) 増澤利光(阪大) 宮崎修一(京大) 堀山貴史(埼玉大) 今回紹介する成果 • • • • • P2P探索の効率化 安定結婚問題の近似アルゴリズム 競合比の自動証明 孤立クリーク・密部分グラフの列挙 組合せゲーム・パズルの成果 Peer to Peer (P2P) 探索の効率化 • P2Pファイル共有システム – ピア(Peer)間の直接通信によるファイル交換 – 例:Napster, Gnutella, BitTorrent, Winny • 探索問題 – 目的オブジェクト(ファイル等)を持つピアの探索 – 最適化 • 探索に要するメッセージ数の最小化 • 探索問題の難しさ – 莫大な数のピア – 動的ネットワーク環境(ノードの参加・離脱) 適応的な分散型解法が必要 ランダム探索モデル B A A: Searcher :Object B: Owner : Index • ランダム探索 (Miura, Tagawa, Kakugawa, IEEE TPDS, 2006) – ファイル所有者はインデックスをランダムに散布 – 探索者はランダムに探索クエリーを送付 インデックス数 少 多 インデッスク散布・更新コスト 小 大 探索コスト 大 小 散布・更新コストと 探索コストの トレードオフ 研究成果(1) • システム全体の総通信コストの最小化 – 総コスト:(インデックス散布・更新コスト) +(探索コスト)*(探索頻度) – オブジェクトの探索頻度に応じてインデックス数を最適化 通信コスト 8.E+06 6.E+06 提案手法 既存手法 α:Zipf 係数 4.E+06 2.E+06 0.E+00 α=0.6 α=0.8 α=1.0 α=1.2 研究成果(2) • 自己適応型の探索アルゴリズム ファイルの探索頻度(人気度)の変化 総コストの最適化(インデックス数の自己最適化) 1.E+05 理論最小値 1.E+05 提案手法 提案手法 通信コスト 8.E+04 通信コスト 理論最小値 1.E+05 6.E+04 4.E+04 8.E+04 6.E+04 4.E+04 2.E+04 2.E+04 0.E+00 0.E+00 T 2T 3T 4T 5T 6T 人気度が連続変化する場合 7T 2T 4T 6T 8T 10T 人気度が離散変化する場合 安定結婚問題 入力 :男性 N 人 女性 N 人 各人の希望リスト 出力 :男女間の安定マッチング 例 (N=5) 男性 女性 1: a c b d e a: 2 1 3 4 5 2: c a e b d b: 2 1 4 5 3 3: b a e d c c: 1 2 3 5 4 4: c b d e a d: 3 1 4 2 5 5: c d b e a e: 4 3 1 2 5 安定結婚問題の応用 病院 - 研修医 NRMP (National Resident Matching Program) CaRMS (Canadian Resident Matching Service) SPA (Scottish Pre-registration house officer Allocations) JRMP (Japanese Resident Matching Program) 学校 - 生徒 Singapore [Teo, Sethuraman, Tan 1999] 本特定領域研究での成果 同順位と不完全リストを許す拡張に対して最大サイズの安定 マッチングを求めることはNP困難であることが知られていた。こ の問題に対して多項式時間近似アルゴリズムを与えた。 log N N 1 ・ 2-c √N ・ 2-c [Iwama, Miyazaki, Okamoto; SWAT 2004, IEICE Trans. 2006] [Iwama, Miyazaki, Yamauchi; ISAAC 2005] ・ 1.875 [Iwama, Miyazaki, Yamauchi; SODA 2007] ・ 1.8 [現在] 男女にできるだけ平等な安定マッチングを求める問題はNP完全であること が知られていた。この問題に対し近似アルゴリズムを与えた。[Iwama, Miyazaki, Yanagisawa; WADS 2007] オンライン・アルゴリズムの性能保証 • 競合比の解析 – 将来の情報なしに、いかにうまい行動をとるか – 将来の情報をすべて知っている場合の最良の選択に どれだけ迫れるか 競合比= オフラインの利得 の最悪値 オンラインアルゴリズムの利得 より良い競合比を示すには、詳細な場合分けに基づく アルゴリズム設計と競合比解析が必要 オンライン・アルゴリズムの性能保証 • 競合比の解析 計算機の援用 競合比改善のアイデアはあっても、 – 将来の情報なしに、いかにうまい行動をとるか による 場合分けが膨大となるため、 – 将来の情報をすべて知っている場合の最良の選択に 自動解析 証明が困難 どれだけ迫れるか 競合比= オフラインの利得 の最悪値 オンラインアルゴリズムの利得 より良い競合比を示すには、詳細な場合分けに基づく アルゴリズム設計と競合比解析が必要 競合比の自動解析 • 2ビンの オンライン ナップザック 問題 – – • 競合比 上界 1.334 下界 1.281 → 1.301 (上下限 一致) (人手による解析) アイデア (無限を有限におさえる) – アルゴリズムの状態の遷移を自動生成、 各状態で競合比解析 – アイテムを大きさをクラス分けして扱い、入力を網羅 – クラスに基づくと、ビンの状態は有限 – SS + LL ≦1 or >1 等の場合分けを自動生成 状態遷移図 276状態 1. 状態遷移をすべて列挙 2. 各状態で 競合比 ≦ 1.3334 を証明 孤立クリーク・密部分グラフの列挙 • クリーク列挙:ウェブ探索などで近年注目されている。 • しかしクリークの問題は難しい・・・ – 最大クリーク発見問題⇒近似比: Ω (n1-ε ) [Hastad 99] – 極大クリーク列挙⇒指数(Θ(3n/3))個ありうる[Moon, et al. 65] • そこで我々は・・・孤立クリークを導入 < ck 本の枝 k 節点 • 全c-孤立クリークをO(c422cm)時間で列挙! • さらにc=O(1)⇔線形時間、c=O(logn)⇔多項式時間を証明。 孤立クリーク・密部分グラフの列挙 • 擬クリークPC(α,β): 誘導部分グラフの平均次数≧αかつ 最小次数≧β、を定義し、 1-孤立擬クリーク k 1 k (logk) , (ε>0)に対し、「ε=0 PC ⇔ 多項式時間列挙可能」を証明。 1 (logk) • 1-孤立2部クリークに対し、 – それが指数個存在し得ること – 部の大きさの比が定数のときの多項式時間総列挙ア ルゴリズム を示した。 組合せゲーム・パズルの成果 • 半順序集合ゲーム(ニム、チョンプ等を含む古典的ゲー ム)を拡張し重み付き半順序集合ゲームを提案。 – (0,1)重み:(重み無し)半順序ゲームに多項式時間帰着。 – 実数重み:半順序が全順序であるものに対する多項式時 間必勝手順。 • 一般化三並べ – スネーキーの置き石1の必勝法 ⇒スネーキーのハンディキャップ数は0か1。 今回紹介した成果 • • • • • P2P探索の効率化 安定結婚問題の近似アルゴリズム 競合比の自動証明 孤立クリーク・密部分グラフの列挙 組合せゲーム・パズルの成果
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