画像工学

画像処理工学
2012年10月23日
担当教員 北川 輝彦
前回のおさらい
2.1 人間の視覚システム
• ディジタル画像処理はなんのために存在?
⇒人が利用するため
• 人間の視覚システムを理解することで、
人間にとって何が良い処理かを理解できる。
2.1 人間の視覚システム
2.1.1 視覚システムの構成
• 目と脳
• 目だけではモノを見たことにはなりません
⇒ 脳で目に入った情報を処理
⇒知覚へと変換
2.1 人間の視覚システム
2.1.1 視覚システムの構成
• 光受容器は2種類
桿体細胞:1億個程度
光強度に感度が高い(光の強さ)
錐体細胞 :600-700万個
長中短波長光に感度が高い(色の識別)
2.1 人間の視覚システム
2.1.2 知覚
• 人間が感じる心理的情報と物理的情報に
は違い
• 5つの特徴
2.1 人間の視覚システム
2.1.2 知覚
• 5つの特徴
1.明るさの知覚
2.明るさの恒常性
3.明るさの対比
4.マッハバンド効果
5.空間処理特性
2.1 人間の視覚システム
2.1.2 知覚
• 明るさの知覚
光強度(輝度)が2倍 ≠ 明るさ2倍
目に入る光強度と知覚する光強度:対数的
2.1 人間の視覚システム
2.1.2 知覚
• 明るさの恒常性
対象に対する照度変化があっても、
一定の明るさで感じる能力
2.1 人間の視覚システム
2.1.2 知覚
• 明るさの対比
システムが周辺の平均光強度に基づいて
知覚の強度応答を調整
2.1 人間の視覚システム
A、Bのタイルの色は同じ
2.1.2 知覚
• マッハバンド効果
明るいところから暗いところへ
⇒明るさが増してから暗く
暗いところから明るいところへ
⇒暗さが増してから明るく
2.1 人間の視覚システム
2.1.2 知覚
• 空間処理特性
人間の資格システムには解像度での限界
が比較的低いものもある
⇒コントラストに依存
2.1 人間の視覚システム
2.2 ディジタル画像処理の基本機能
•
•
•
•
•
画像強調 :image enhancement
画像復元 :image restoration
画像解析 :image analysis
画像圧縮 : image compression
画像合成 : image synthesis
2.2 ディジタル画像処理の基本機能
2.3 階層的画像処理解法
• 応用課題に対する解法
• まずは求められる解法の階層を知ること。
1. 応用
2. 基本機能
3. 操作
4. アルゴリズム
2.3 階層的画像処理解法
3 ディジタル画像の基礎
3 ディジタル画像の基礎
3.1 ディジタル画像の生成
• 画像: 2次元の可視像
視覚にて知覚する画像…
カラー(
)、アナログ
3.1 ディジタル画像の生成
3.1 ディジタル画像の生成
• 画像: 2次元の可視像
視覚にて知覚する画像…
カラー(RGB)、アナログ
3.1 ディジタル画像の生成
3.1 ディジタル画像の生成
• 画像: 2次元の可視像
今回からしばらくは
白黒画像、アナログを対象
3.1 ディジタル画像の生成
3.1 ディジタル画像の生成
• 画像:白黒画像、アナログ
説明の簡単化のため:カラーは又後ほど
3.1 ディジタル画像の生成
3.1 ディジタル画像の生成
• まずは計算機(コンピュータ)で使用可能に
アナログ(連続)画像では
○○○が大きすぎる!
3.1 ディジタル画像の生成
3.1 ディジタル画像の生成
• まずは計算機(コンピュータ)で使用可能に
アナログ(連続)画像では
情報量が大きすぎる!
なので…
3.1 ディジタル画像の生成
3.1 ディジタル画像の生成
• まずは計算機(コンピュータ)で使用可能に
アナログ(連続)画像を
○○○○○画像に変換
3.1 ディジタル画像の生成
3.1 ディジタル画像の生成
• まずは計算機(コンピュータ)で使用可能に
アナログ(連続)画像を
ディジタル画像に変換
3.1 ディジタル画像の生成
3.1 ディジタル画像の生成
• まずは計算機(コンピュータ)で使用可能に
アナログ(連続)画像を
ディジタル(離散)画像に変換
3.1 ディジタル画像の生成
3.1 ディジタル画像の生成
• 離散化するプロセス
アナログ(連続)画像を
標本化(sampling)
⇒ 量子化(quantization)
3.1 ディジタル画像の生成
3.1 ディジタル画像の生成
• 離散化するプロセス
標本化(sampling):
等間隔の格子で画像を分割
3.1 ディジタル画像の生成
3.1 ディジタル画像の生成
• 離散化するプロセス 標本化
(sampling):
3.1 ディジタル画像の生成
3.1 ディジタル画像の生成
• 離散化するプロセス 標本化
(sampling):
3.1 ディジタル画像の生成
3.1 ディジタル画像の生成
• 離散化するプロセス
標本化(sampling):
等間隔の格子で画像を分割
(…が多い。が、別に形は何でも良い。
その他多角形で分割する例もあり)
3.1 ディジタル画像の生成
3.1 ディジタル画像の生成
• 離散化するプロセス
標本化(sampling):
六角形に分割した例
(隣接面が正方形より多い)
3.1 ディジタル画像の生成
3.1 ディジタル画像の生成
• 離散化するプロセス
標本化(sampling):
等間隔の格子で画像を分割
⇒分割された小区画:標本区画
3.1 ディジタル画像の生成
3.1 ディジタル画像の生成
• 離散化するプロセス 標本化
(sampling):
正方形一つ一つが標本区画
3.1 ディジタル画像の生成
3.1 ディジタル画像の生成
• 離散化するプロセス 標本化
(sampling):
正方形一つ一つが標本区画
画素、ピクセルとも
ペル
(動画像で使用される単位)
3.1 ディジタル画像の生成
3.1 ディジタル画像の生成
• 離散化するプロセス
アナログ(連続)画像を
標本化(sampling)
⇒ 量子化(quantization)
3.1 ディジタル画像の生成
3.1 ディジタル画像の生成
• 離散化するプロセス
量子化(quantization):
標本区画を数値化
3.1 ディジタル画像の生成
3.1 ディジタル画像の生成
• 離散化するプロセス 量子化(quantizatiion):
標本区画を数値化
代表濃淡値を取り出す
3.1 ディジタル画像の生成
3.1 ディジタル画像の生成
• 離散化するプロセス 量子化(quantizatiion):
標本区画を数値化
代表濃淡値を取り出す
皆ならどうする?
3.1 ディジタル画像の生成
3.1 ディジタル画像の生成
• 離散化するプロセス 量子化(quantizatiion):
標本区画を数値化
代表濃淡値を取り出す
平均濃淡値
中心の濃淡値
最大濃淡値
最小濃淡値 …etc
3.1 ディジタル画像の生成
3.1 ディジタル画像の生成
• 離散化するプロセス 量子化(quantizatiion):
標本区画を数値化
代表濃淡値に置き換える
平均濃淡値
中心の濃淡値
最大濃淡値
最小濃淡値 …etc
3.1 ディジタル画像の生成
3.1 ディジタル画像の生成
• 離散化するプロセス 量子化(quantizatiion):
22
176 200 128
0
133 190 210
0
23
190 220
0
20
180 200
0
21
193 144
標本区画を数値化
画素数 M
ライン数 N
M画素×Nラインの画像
3.1 ディジタル画像の生成
3.1 ディジタル画像の生成
• 離散化するプロセス 量子化(quantizatiion):
22
176 200 128
0
133 190 210
0
23
190 220
0
20
180 200
0
21
193 144
標本区画を数値化
代表濃淡値に置き換える
濃淡をどれだけ
細かく分割するか
⇒階調値(8bitだの16bit)
3.1 ディジタル画像の生成
3.1 ディジタル画像の生成
• 離散化するプロセス 量子化(quantizatiion):
22
176 200 128
0
133 190 210
0
23
190 220
0
20
180 200
0
21
193 144
画素数、ライン数、
階調値
画像解像度
3.1 ディジタル画像の生成
3.2 空間解像度
3.2 空間解像度
3.2.1 空間密度と空間周波数
• 空間解像度:
光景の空間的細部をディジタル画像が
表現するために必要な画素数
3.2.1 空間密度と空間周波数
3.2.1 空間密度と空間周波数
• 空間解像度
⇒ 空間密度 と 光学系解像度
に関係
3.2.1 空間密度と空間周波数
3.2.1 空間密度と空間周波数
• 空間解像度
⇒ 空間密度 と 光学系解像度
に関係
3.2.1 空間密度と空間周波数
3.2.1 空間密度と空間周波数
• 空間密度
画像の粗密。
ディジタル画像においては
単位面積辺りの画素数。
3.2.1 空間密度と空間周波数
3.2.1 空間密度と空間周波数
• 光学的解像度
元の光景の空間的細部を表現できる能力
光学系解像度 > 空間密度
空間解像度:空間密度で決まる。
(いわゆるボトルネックだねー)
3.2.1 空間密度と空間周波数
3.2.1 空間密度と空間周波数
• 空間周波数
空間解像度:
人間が観察して十分≠計算機処理で十分
直感的ではない概念
3.2.1 空間密度と空間周波数
3.2.1 空間密度と空間周波数
• 空間周波数
画像情報:明から暗、暗から明へ
輝度(濃淡値)の変動
⇒ 無ければ単一の色の板に過ぎない
3.2.1 空間密度と空間周波数
3.2.1 空間密度と空間周波数
• 空間周波数
画像情報:明から暗、暗から明へ
輝度(濃淡値)の変動
空間周波数:反復度合いのこと
3.2.1 空間密度と空間周波数
3.2.1 空間密度と空間周波数
• 空間周波数
標本化の格子の繰り返しの空間周波数で
決定
⇒ 標本化周波数
3.2.1 空間密度と空間周波数
3.2.1 空間密度と空間周波数
• 標本化周波数
空間的細部をどれほどまで表現したいか
⇒ 標本化定理
3.2.1 空間密度と空間周波数
3.2.1 空間密度と空間周波数
• 標本化周波数
空間的細部をどれほどまで表現したいか
⇒ 標本化定理
3.2.1 空間密度と空間周波数
3.2.1 空間密度と空間周波数
• 標本化定理
画像に含まれる最高空間周波数の倍の周
波数にて画像を標本化
…できれば全ての情報を画像として表現で
きるが、大抵はそこまで必要無い。
3.2.1 空間密度と空間周波数
3.2.1 空間密度と空間周波数
• 標本化定理
光学的には数mmの物体
集合写真等では必要?
⇒ 目鼻がしっかり確認できれば良い
状況に応じて使い分け
3.2.1 空間密度と空間周波数
3.2.1 空間密度と空間周波数
• 標本化定理
必要な標本化周波数を満たす性能の
カメラシステムを選択
3.2.1 空間密度と空間周波数
3.2.1 空間密度と空間周波数
• 標本化定理
必要な標本化周波数を満たす性能の
カメラシステムを選択
オーバーサンプリング
無駄に大きな容量
計算コストが大きい
とは言え、
3.2.1 空間密度と空間周波数
3.2.1 空間密度と空間周波数
• 標本化定理
ダウンサンプリングしすぎて、
情報が潰れては意味は無いが。
エリアシング、チェッカーボード効果の問題
3.2.1 空間密度と空間周波数
3.2.2 空間エリアシング
• 空間エリアシング:
画像細部の空間周波数の2倍以下で
標本化したときに発生しうる現象
3.2.2 空間エリアシング
3.2.2 空間エリアシング
• 空間エリアシング:
画像細部の空間周波数の2倍以下で
標本化したときに発生しうる現象
情報を失うだけではなく、
新たな望まない情報が発生することも。
⇒偽信号(alias)
3.2.2 空間エリアシング
3.2.2 空間エリアシング
• 空間エリアシングが連続的に発生
⇒ モアレパターン(縞状の斑紋)
現画像には存在しない構造物
3.2.2 空間エリアシング
3.3 輝度分解能
• 標本区域内の輝度、濃淡強度(値)の
分解能
⇒何段階の色(の濃さ)に分割しているか
3.3 輝度分解能
3.3 輝度分解能
• 輝度分解能の低下
⇒ 擬似輪郭が発生
人間の一般的な視覚:8[bit]で十分
…が、医療用など特殊用途では12[bit]が
用いられることも。
3.3 輝度分解能
次回予告
3.4 カラー画像
3.5 ディジタル画像系列
3.6 ディジタル画像の品質
4 画像強調と復元(単一画像)
次回予告