国際収支と為替相場の 基礎的概念

国際収支と為替相場の基礎的概念
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国際金融への視点
• 国際金融は時間軸と通貨軸のマトリックスで考
える。
①時間軸⇒金融取引:将来に関する不確実性(=
金融リスク)
②通貨軸⇒外国為替取引:為替相場
①と②が結合して、国際金融にとって外国為替リ
スクが重要。
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外国為替リスクとは
• 外国為替リスク:予想将来為替相場から実現さ
れた為替相場が乖離すること。
• その乖離は、円高方向もあれば、円安方向もあ
る。
• 為替リスクの尺度:
①分散(=平均値から乖離の二乗の平均値)
②標準偏差(=分散の平方根)
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確率
標準偏差
‐5円/ドル
+5円/ドル
平均値・期待値
(110円/ドル)
為替相場
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為替エクスポージャーと外国為替リスク
資産
負債
ドル建て資産
120円/ドル
(120円/ドル)
ハイパワードマネー
円建て負債
円建て資産
資本金
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為替エクスポージャーと外国為替リスク
資産
負債
ドル建て資産
(115円/ドル)
100円/ドル
ハイパワードマネー
円建て負債
円建て資産
資本金
円高によって外貨建て資産の円建て評価額が減少
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外国為替リスク管理
• ナチュラル・ヘッジング(マリー等)
⇒バランスシートの調整
• 金利スワップ
⇒バランスシートの調整
• 金融派生商品の利用(先物、フューチャー、オプ
ション)
⇒将来の為替相場の確定
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ナチュラル・ヘッジング
資産
負債
ドル建て資産
120円/ドル
(120円/ドル)
ドル建て負債
120円/ドル
(120円/ドル)
円建て負債
円建て資産
資本金
ドル建て資産相当額のドル建て負債を保有。
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ナチュラル・ヘッジング
資産
負債
ドル建て資産
(115円/ドル)
100円/ドル
ドル建て負債
(115円/ドル)
100円/ドル
円建て負債
円建て資産
資本金
ドル建て資産相当額のドル建て負債を保有。
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金利スワップ
資産
負債
ドル建て資産
(120円/ドル)
120円/ドル
円建て負債
円建て資産
資本金
円建て資産
ドル建て負債
(120円/ドル)
120円/ドル
ドル建て資産相当額のドル建て負債と円建て資産をスワップ。
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金利スワップ
資産
負債
ドル建て資産
(115円/ドル)
100円/ドル
円建て負債
円建て資産
資本金
円建て資産
ドル建て負債
100円/ドル
(115円/ドル)
ドル建て資産相当額のドル建て負債と円建て資産をスワップ。
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先物取引による為替ヘッジ
(先物ドル買いのケース)
損益
将来直物相場-先物相場
0
先物相場
(120円/ドル)
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将来直物相場
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先物取引による為替ヘッジは事前的リスク管理
• 先物取引による為替ヘッジは事前的な為替ヘッジで
あって、事後的な為替ヘッジとはならない。
ケース:日本航空
1985年:10年後に航空機を購入するための為替ヘッジの
ために、当時の相場(200円/ドル)で10年物先物契約を
結ぶ。
1995年:直物相場が80円/ドルにまでドル安。
⇒事前的には為替ヘッジとなっていたが、事後的には航
空機購入に円建てで2倍以上のコストを要した。
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オプション取引による為替ヘッジ
(コール・オプションのケース)
損益
将来直物相場-行使価格-プレミアム
0
将来直物相場
-プレミアム
回避された損失
行使価格
(120円/ドル)
110円/ドル
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オプション取引による為替ヘッジは事前的・
事後的リスク管理
• オプション取引による為替ヘッジは事前的かつ事後
的なリスク管理。
• 事後的なリスク管理に見合ったプレミアム(手数料)を
支払わなければならない。
• 裁定取引によって、マーケット全体から見れば、先物
取引のメリットとオプション取引のメリットの相違に見
合った手数料の相違が発生する。
①先物取引:低コスト+事前的リスク管理
②オプション取引:高コスト+事前的・事後的リスク管理
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国際金融と外国為替
国内金融取引
国際金融取引
国内商取引
外
国
為
替
取
引
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国際商取引
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国際収支と外国為替取引の関係
• 生産物(財・サービス)の国際取引→外国為替
取引
• 生産要素サービスの国際取引→外国為替取引
• 資本の国際取引→外国為替取引
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財・サービスの国際取引と外国為替取引
• 輸出
↓
• 輸出代金(ドル)を円に
交換
• 【ドル売り円買い】
↓
輸出=外貨供給
• 輸入
↓
• 輸入代金(ドル)のた
めに円と交換
• 【ドル買い円売り】
↓
輸入=外貨需要
財輸出と財輸入の差=外貨需給
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生産要素サービスの国際取引と外国為替取引
• 利子受取
↓
• 受取利子(ドル)を円に
交換
• 【ドル売り円買い】
↓
利子受取=外貨供給
• 利子支払
↓
• 支払利子(円)をドル
に交換
• 【ドル買い円売り】
↓
利子支払=外貨需要
利子受取と利子支払の差=外貨需給
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資本の国際取引と外国為替取引
• 資本輸入(対内投資)
↓
• 資本(ドル)を円に交換
• 【ドル売り円買い】
↓
資本輸入=外貨供給
• 資本輸出(対外投資)
↓
• 資本(円)をドルに交
換
• 【ドル買い円売り】
↓
資本輸出=外貨需要
資本輸入と資本輸出の差=外貨需給
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国際収支表
• 経常収支:生産物(商品・サービス)と生産要
素サービスの国際取引
• 貿易収支:生産物(商品)の国際取引
• サービス収支:生産物(サービス)の国際取引
• 第1次所得収支:生産要素サービスの国際取
引
• 金融収支:資本の国際取引(直接投資、証券
投資、金融派生商品、その他投資(銀行預
金・融資)、外貨準備)
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国
際
収
支
表
の
構
成
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図1:日本の経常収支の動向
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日本の経常収支の構造変化
• 2007年以前:貿易収支黒字⇒経常収支黒字⇒資本
輸出(=金融収支黒字)⇒対外資産累積⇒第一次
所得収支黒字
• 2005年に、第一次所得収支黒字が貿易収支黒字を
上回る。
• 2008年以降:世界金融危機による世界不況と超円
高によって貿易収支悪化。さらに、2011年東日本大
震災の影響を受けて、貿易収支赤字へ。2013年後
半には経常収支赤字に。2014年以降経常収支黒字
へ回復。
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為替相場の種類
• 二国間為替相場vs.実効為替相場
(1) 二国間為替相場:2つの国の通貨間の交換比率
(2) 実効為替相場:ある特定国の通貨の価値(通常は、
貿易相手国通貨の加重平均値)
• 名目為替相場vs.実質為替相場
(1) 名目為替相場:通貨と通貨の交換比率(1ドル=S円)
(2) 実質為替相場:通貨の実質的価値の交換比率
(1ドル/(P*ドル/個)=S円/(P円/個)
⇒1ドル=(S×P*)/P円)
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図2:名目二国間為替相場(円/ドル)
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図3:実効為替相場(円)
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為替相場の基本要素
• 財・サービスの国際取引 • 資本の国際取引
↑
↑
• 商品裁定
• 金利裁定
⇒購買力平価
⇒金利平価
• 為替相場決定の基本は、購買力平価と金
利平価である。
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