第9回 テレビが構築する集合的記憶 ~番組・アイドルの共有~ 1.テレビ番組の集合的記憶 2.スター・アイドルとメディア 3.スター・アイドルと音楽番組の集合的記憶 1.テレビ番組の集合的記憶 • 2009年に10~60代を対象にウェブ調査を実施。 • 「見たことのある番組」「もう一度見たい番組」を選択式 で尋ねた(再認法)。 レミニセス・バンプの存在 • 10~20代の頃に放送されていた番組の認知数が多い。 • 上記の番組への情緒的関与が高い。 10代・20代のバンプ • 10~20代で放送されたものがバンプとなるのは30代になっ てから。 新近性効果 • 50代では「冬ソナ」など • バンプとの類似性によるもの。 長寿番組の位置づけ • あらゆる世代に認知されている番組VS10代・20代で支持され ている番組 2.スター・アイドルとメディア • スター・アイドルとテレビ視聴形態の変遷 ~1970 • 見物・鑑賞的テレビ視聴 • テレビが一方的に視聴者に番組を提供。 ~1970年代 前半 • オーディション番組(「スター誕生」)の視聴 • テレビがスター・アイドルを作る。 70年代後半 • 能動的テレビ視聴 • 音楽番組での歌唱パフォーマンス。 ~80年代 1990年代以 降 • アイドル冬の時代 • トークなどバラエティ色のある音楽番組 3.スター・アイドルと音楽番組の集合的記憶 • 2011年2月に10代~60代を対象にウェブ調査を実施。 • スター・アイドルに対する好感度を尋ねた。 ・40代以上においては、半数以上の人に好感を抱かれて いるスター・アイドルが多い。 ・10代・20代にとっての大スターは少ない。 ・90年代以降のメディアの多様化による音楽・アイドルの多 様化。 ・社会全体で共有されるトップ・スターの消滅。 10~20代 • 強く関与する音楽番組 はない • 強烈なスター・アイドル も存在しない 40~50代 リバイバル現象 • テレビ全盛期に青年期 • 音楽番組に対する関与 が非常に高い • スター・アイドルへの関 与が高い。 ・スター・アイドルの集合的記憶は「テレビ番組」の共有 によって構築される。 ・全世代で共有するスター・アイドルは存在しない。 ・どの年代でも男性より女性の方が関与が高い。 参考文献 小城英子・萩原滋・村山陽・大坪寛子・渋谷明子・志岐裕子 (2010). 集合的記憶とテレビ―ウェブ・モニター調査(2009 年2月)の報告(2) メディア・コミュニケーション, 60, 29-47. 小城英子・萩原滋・渋谷明子・志岐裕子・李光鎬・上瀬由美子 (2012). テレビが構築する社会的出来事・音楽番組・アイ ドルの集合的記憶―ウェブ・モニター調査(2011年2月)の 報告(3) メディア・コミュニケーション, 62, 79-105.
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