Document

情報処理学会 数理モデル化と問題解決研究会(MPS43)
Boxed Economy Foundation Model:
社会・経済のエージェントベースモデリング
のためのフレームワーク
井庭 崇
千葉商科大学政策情報学部, フジタ未来経営研究所
慶應義塾大学政策・メディア研究科後期博士課程
中鉢 欣秀
慶應義塾大学 SFC研究所
松澤 芳昭
慶應義塾大学 SFC研究所
海保 研
慶應義塾大学 SFC研究所
http://www.boxed-economy.org/
武藤 佳恭
慶應義塾大学 環境情報学部
エージェントベースアプローチによる
社会・経済モデルのこれまで・・・
井庭崇, 「エージェントベース経済シミュレーションのためのエージェント設計論」, 『オペレー
ションズ・リサーチ:経営の科学』, 日本オペレーションズ・リサーチ学会, 10月号, 2001年10月
井庭崇, 「エージェントベース経済シミュレーションのためのエージェント設計論」, 『オペレー
ションズ・リサーチ:経営の科学』, 日本オペレーションズ・リサーチ学会, 10月号, 2001年10月
本発表の提案
本発表では、
エージェントベースアプローチによって
社会・経済モデルを記述するための
モデル・フレームワーク(メタモデル)を提案する。
Boxed Economy
Foundation Model
本発表の提案による先行研究の拡張
社会システム論
[公文 1978, 1994]
超領域的な
社会科学への試論
[西部 1989]
(Swarm, MAML, RePast,
Ascape, KK-MAS)
UML(統一モデリング言語)
によるビジネスモデリング
プログラミング支援だけでなく
モデリング支援も
[ErikssonPenker 2000]
[Marshall 1999]
記述だけでなく
操作も可能に
進化経済学
[塩沢 2000]
[江頭 2002]
エージェントの
フレームワーク
[Bruun 2002]
複雑系科学
[金子・池上 1998]
[井庭 1998]
エージェントベース
シミュレーション
のためのツール
動的に変化
するモデル
の記述・操作
より柔軟で汎用的な
モデル記述
本発表の提案
本発表の提案に対する評価軸の設定
「未踏の領域」であるので、自ら評価軸を設定する。
①現在記述が難しく、かつ必要であるモデル記述
の要件を述べ、それらが、提案モデルフレーム
ワークで記述可能であることを示す。
②提案モデルフレームワークに基づいて作成した
モデルを例示する。
井庭崇, 竹中平蔵, 武藤佳恭, 「人工市場アプローチによる家庭用VTRの
規格競争シミュレーション」, 情報処理学会「数理モデル化と応用」論文誌,
Vol.42, No.SIG14 (TOM5), 2001年12月発行
Agenda
1
社会・経済の新しいモデル化への取り組み
2
モデル・フレームワークとは
3
Boxed Economy Foundation Model (BEFM)
4
BEFMによるモデル記述例
5
まとめ
「Boxed Economy Foundation Model:
社会・経済のエージェントベースモデリングのためのフレームワーク」
社会科学におけるフロンティア領域
社会・経済における組織・制度・知識・技
術の生成と進化を内生的に表現したい。
•進化経済学会, 塩沢由典, 『方法としての進化』, シュプリン
ガー・フェアラーク東京, 2000
•江頭進, 『進化経済学のすすめ』, 講談社, 2002
•出口 弘, 『複雑系としての経済学:自律的エージェント集団
の科学としての経済学を目指して』, 日科技連, 2000
•etc. …
求められる複雑系・進化的なモデル
① 社会が、異質性と多様性のあ
る主体から構成されているとい
うこと。
② 主体が原子論的な意味でのア
トムではなく、内部状態をもって
いるということ。
③ 情報や知識が生成され、伝達
され、解釈されるということ。
④ 主体間の関係やその意味が動
的に変化するということ。
①
=
②
③
④
内部状態
複雑系(Complex System)
システムの構成要素の振舞いのルールが、
状況によって動的に変化する
構成要素の生成や消滅,内生的なルール生
成などを含む
全体
相互作用
構成要素
井庭崇, 福原義久, 『複雑系入門:知のフロンティアへの冒険』, NTT出版, 1998
複雑系(Complex System)
システムの構成要素の振舞いのルールが、
状況によって動的に変化する
構成要素の生成や消滅,内生的なルール生
成などを含む
全体
相互作用
構成要素
複雑系(Complex System)
システム
内部状態
【システムの振舞いのルール】
x=…
システムの状態が変化すると、
y=…
振舞いのルールの関数の形が
z=…
変わったり、新たに変数が加
u=…
わったりする。
u
【内部状態の値の軌跡】
相空間(phase space)
厳密には、「開いた力学系」が必要だが・・・
力学系的なアプローチ
時間が与えられていて、状態が時間とともにある
ルールに基づいて発展していく。
「力学系の表現されている相空間、ルールといった
ものを固定して考えたのでは不十分であり、相空
間の次元、ルールなどの点で『開いた力学系』とい
う道具立てが必要になる。」(金子・池上 1998)
金子邦彦, 池上高志, 『複雑系の進化的シナリオ』, 朝倉書店, 1998
擬似的に表現するための道具立て
社会・経済のモデルによく現れる基本構造を「モデ
ル・フレームワーク」として設定し、その上で動的に
変化するモデルを実現するという戦略をとる。
主体と振る舞い、状
態、関係性、情報の
組み合わせの変化
モデルフレームワーク
Agenda
1
社会・経済の新しいモデル化への取り組み
2
モデル・フレームワークとは
3
Boxed Economy Foundation Model (BEFM)
4
BEFMによるモデル記述例
5
まとめ
「Boxed Economy Foundation Model:
社会・経済のエージェントベースモデリングのためのフレームワーク」
モデル・フレームワークとは
モデルによく現れる構造を抽出し明示化したもの。
モデル要素を構造化したり操作したりするための
注目点と構成原理を提供する。
概念モデル・フレームワーク
設計モデル・フレームワーク
概念モデル・フレームワークの役割
社会・経済をモデル化する際に,共通して(もしくは
多くの頻度で)登場する構造を抽出したもの。
現実世界の認識のための準拠枠
モデルを記述するための語彙
コミュニケーションのためのコード
設計モデル・フレームワークの役割
概念モデルとして得られたものを、シミュレーションとして実
現するためのフレームワーク。
Agenda
1
社会・経済の新しいモデル化への取り組み
2
モデル・フレームワークとは
3
Boxed Economy Foundation Model (BEFM)
4
BEFMによるモデル記述例
5
まとめ
「Boxed Economy Foundation Model:
社会・経済のエージェントベースモデリングのためのフレームワーク」
Boxed Economy Foundation Model (BEFM)
現実の社会・経済をオブジェクト指向分析によって抽象化
したもの。
エージェントベースアプローチによる社会・経済モデルの
基本デザインを提供。
概念モデル・フレームワーク
設計モデル・フレームワーク
BEFMに基づいて作成されたモデルは、Boxed Economy
Simulation Platform (BESP)上でシミュレートできる。
※ オブジェクト指向に
基づき、UML(統一モデ
リング言語)で記述する。
BEFM 概念モデル・フレームワーク
BEFM 概念モデル・フレームワーク
BEFM 概念モデル・フレームワーク
World, Space, Clock
World :対象世界を表現する。
Entity (AgentとGoods)を配置できる。
Space:空間を表現する。
Clock :時間を表現する。
BEFM 概念モデル・フレームワーク
Entity, Agent, Goods
Entity:世界に存在する実体
具体的には、Agent および Goods
Information を付随させることができる。
Agent:社会・経済における個人や社会集団
Goodsを所有することができる。
複数のBehaviorをもつ。
他のAgentとRelationをもつ。
Goods:Agentに所有
され、交換されるもの。
BEFM 概念モデル・フレームワーク
Information
Information:Entityが保持する情報
単独では存在せず,必ずEntityによって保持される。
BEFM 概念モデル・フレームワーク
Behavior
Behavior:エージェントの行動
Agentは、複数のBehaviorをもつことができる。
複数のBehaviorは、並列的に動作する。
BEFM 概念モデル・フレームワーク
Relation, Channel
Relation:あるAgentから他のAgentへの関連性
Agentは、複数のBehaviorをもつことができる。
複数のBehaviorは、並列的に動作する。
Channel:コミュニケーション・パス
Relationに基づいて開設される。
BehaviorとBehaviorをつなぐ。
BEFM 設計モデル・フレームワーク
状態機械としてのBehavior
BEFM設計モデル・フレームワークでは、Behavior
を「状態機械」(state machine)として定義している。
例: SendRequestBehaviorのステートチャート図
状態
遷移
イベント
(トリガー)
アクション
コンポーネントビルダー
/*
* AbstractPurchaseVCRBehavior.java
* Copyright (c) 2002 Boxed-Economy Project. All rights reserved.
*/
package org.boxed_economy.formatcompetition.model.behavior;
import org.boxed_economy.besp.model.fmfw.behavior.AbstractBehavior;
import org.boxed_economy.besp.model.fmfw.ChannelEvent;
import org.boxed_economy.besp.model.fmfw.behavior.Action;
import org.boxed_economy.besp.model.fmfw.behavior.CompositeState;
import org.boxed_economy.besp.model.fmfw.behavior.Event;
import org.boxed_economy.besp.model.fmfw.behavior.GuardCondition;
import org.boxed_economy.besp.model.fmfw.behavior.State;
import org.boxed_economy.besp.model.fmfw.behavior.StateMachineFactory;
import org.boxed_economy.besp.model.fmfw.behavior.Transition;
/**
* AbstractPurchaseVCRBehavior
*/
public abstract class AbstractPurchaseVCRBehavior extends AbstractBehavior {
私たちの開発した作成支援ツール
コンポーネントビルダー
※IBM and othersが無料で提供する開発
ツールのプラットフォーム「eclipse」のプラ
グインとして開発した。
※状態遷移図の記述エディタおよび、Java
プログラムの生成機能がオリジナル部分。
状態遷移図の
スケルトンの
ソースコードを
自動生成!
/**
* This method automatically generated from AbstractBehavior Builder
* Don't touch by hand
*/
protected void initializeStateMachine() {
//factory
StateMachineFactory factory = this.getStateMachine();
//states
State initialState = factory.createInitialState();
CompositeState 市場シェア情報依頼準備 = factory.createCompositeState("市場シェ
ア情報依頼準備");
CompositeState 市場シェア情報待ち = factory.createCompositeState("市場シェア情
報待ち");
CompositeState 規格情報待ち = factory.createCompositeState("規格情報待ち");
CompositeState vTR待ち = factory.createCompositeState("VTR待ち");
State terminalState = factory.createTerminalState();
DEMO!
コンポーネントビルダーによって自動生成されたコード
/*
* AbstractPurchaseVCRBehavior.java
* Copyright (c) 2002 Boxed-Economy Project. All rights reserved.
*/
package org.boxed_economy.formatcompetition.model.behavior;
import org.boxed_economy.besp.model.fmfw.behavior.AbstractBehavior;
import org.boxed_economy.besp.model.fmfw.ChannelEvent;
import org.boxed_economy.besp.model.fmfw.behavior.Action;
import org.boxed_economy.besp.model.fmfw.behavior.CompositeState;
import org.boxed_economy.besp.model.fmfw.behavior.Event;
import org.boxed_economy.besp.model.fmfw.behavior.GuardCondition;
import org.boxed_economy.besp.model.fmfw.behavior.State;
import org.boxed_economy.besp.model.fmfw.behavior.StateMachineFactory;
import org.boxed_economy.besp.model.fmfw.behavior.Transition;
/**
* AbstractPurchaseVCRBehavior
*/
public abstract class AbstractPurchaseVCRBehavior extends AbstractBehavior {
/**
* This method automatically generated from AbstractBehavior Builder
* Don't touch by hand
*/
protected void initializeStateMachine() {
//factory
StateMachineFactory factory = this.getStateMachine();
//states
State initialState = factory.createInitialState();
CompositeState 市場シェア情報依頼準備 = factory.createCompositeState("市場シェア情報依頼準備");
CompositeState 市場シェア情報待ち = factory.createCompositeState("市場シェア情報待ち");
CompositeState 規格情報待ち = factory.createCompositeState("規格情報待ち");
CompositeState vTR待ち = factory.createCompositeState("VTR待ち");
State terminalState = factory.createTerminalState();
//actions
Action 知人に使用規格を尋ねる = new Action() {
public void doAction() {
知人に使用規格を尋ねる();
}
public String toString() {
return "知人に使用規格を尋ねる";
}
};
Action 市場シェアを記憶する = new Action() {
public void doAction() {
市場シェアを記憶する();
}
public String toString() {
return "市場シェアを記憶する";
}
};
Action useBehaviorを起動する = new Action() {
public void doAction() {
useBehaviorを起動する();
}
public String toString() {
return "useBehaviorを起動する";
}
};
Action 市場シェアを尋ねる = new Action() {
public void doAction() {
市場シェアを尋ねる();
}
public String toString() {
return "市場シェアを尋ねる";
}
};
Action 購買前評価を行う = new Action() {
public void doAction() {
購買前評価を行う();
}
public String toString() {
return "購買前評価を行う";
}
};
Action 規格情報を記憶する = new Action() {
public void doAction() {
規格情報を記憶する();
}
public String toString() {
return "規格情報を記憶する";
}
};
Action vCRを注文する = new Action() {
public void doAction() {
vCRを注文する();
}
public String toString() {
return "vCRを注文する";
}
};
Action 周辺シェアを計算する = new Action() {
public void doAction() {
周辺シェアを計算する();
}
public String toString() {
return "周辺シェアを計算する";
}
};
//guard-conditions
GuardCondition 規格情報 = new GuardCondition() {
public boolean isMatched(Event e) {
return 規格情報(e);
}
};
GuardCondition すべての返答を受け取った場合 = new GuardCondition() {
public boolean isMatched(Event e) {
return すべての返答を受け取った場合(e);
}
};
GuardCondition vTR = new GuardCondition() {
public boolean isMatched(Event e) {
return vTR(e);
}
};
GuardCondition 市場シェア情報 = new GuardCondition() {
public boolean isMatched(Event e) {
return 市場シェア情報(e);
}
};
//transitions
Transition transitionVTR待ちToTerminalState = factory.createTransition();
Transition transition市場シェア情報待ちTo規格情報待ち = factory.createTransition();
Transition transition市場シェア情報依頼準備To市場シェア情報待ち = factory.createTransition();
Transition transitionInitialStateTo市場シェア情報依頼準備 = factory.createTransition();
Transition transition規格情報待ちTo規格情報待ち = factory.createTransition();
Transition transition規格情報待ちToVTR待ち = factory.createTransition();
//states setting
//structure of states
this.setInitialState(initialState);
this.addState(市場シェア情報依頼準備);
this.addState(市場シェア情報待ち);
this.addState(規格情報待ち);
this.addState(vTR待ち);
this.addTerminalState(terminalState);
//transitions setting
transitionVTR待ちToTerminalState.setEvent(ChannelEvent.class);
transitionVTR待ちToTerminalState.setGuardCondition(vTR);
transitionVTR待ちToTerminalState.addAction(useBehaviorを起動する);
transition市場シェア情報待ちTo規格情報待ち.setEvent(ChannelEvent.class);
transition市場シェア情報待ちTo規格情報待ち.setGuardCondition(市場シェア情報);
transition市場シェア情報待ちTo規格情報待ち.addAction(市場シェアを記憶する);
transition市場シェア情報待ちTo規格情報待ち.addAction(知人に使用規格を尋ねる);
transition市場シェア情報依頼準備To市場シェア情報待ち.addAction(市場シェアを尋ねる);
transition規格情報待ちTo規格情報待ち.setEvent(ChannelEvent.class);
transition規格情報待ちTo規格情報待ち.setGuardCondition(規格情報);
transition規格情報待ちTo規格情報待ち.addAction(規格情報を記憶する);
transition規格情報待ちToVTR待ち.setGuardCondition(すべての返答を受け取った場合);
transition規格情報待ちToVTR待ち.addAction(周辺シェアを計算する);
transition規格情報待ちToVTR待ち.addAction(購買前評価を行う);
transition規格情報待ちToVTR待ち.addAction(vCRを注文する);
//connection of transitions
transitionVTR待ちToTerminalState.setSourceState(vTR待ち);
transitionVTR待ちToTerminalState.setTargetState(terminalState);
transition市場シェア情報待ちTo規格情報待ち.setSourceState(市場シェア情報待ち);
transition市場シェア情報待ちTo規格情報待ち.setTargetState(規格情報待ち);
transition市場シェア情報依頼準備To市場シェア情報待ち.setSourceState(市場シェア情報依頼準備);
transition市場シェア情報依頼準備To市場シェア情報待ち.setTargetState(市場シェア情報待ち);
transitionInitialStateTo市場シェア情報依頼準備.setSourceState(initialState);
transitionInitialStateTo市場シェア情報依頼準備.setTargetState(市場シェア情報依頼準備);
transition規格情報待ちTo規格情報待ち.setSourceState(規格情報待ち);
transition規格情報待ちTo規格情報待ち.setTargetState(規格情報待ち);
transition規格情報待ちToVTR待ち.setSourceState(規格情報待ち);
transition規格情報待ちToVTR待ち.setTargetState(vTR待ち);
}
/**
*知人に使用規格を尋ねる
*/
protected abstract void 知人に使用規格を尋ねる();
/**
*市場シェアを記憶する
*/
protected abstract void 市場シェアを記憶する();
/**
*useBehaviorを起動する
*/
protected abstract void useBehaviorを起動する();
/**
*市場シェアを尋ねる
*/
protected abstract void 市場シェアを尋ねる();
/**
*購買前評価を行う
*/
protected abstract void 購買前評価を行う();
/**
*規格情報を記憶する
*/
protected abstract void 規格情報を記憶する();
/**
*vCRを注文する
*/
protected abstract void vCRを注文する();
/**
*周辺シェアを計算する
*/
protected abstract void 周辺シェアを計算する();
/**
*規格情報
*/
protected abstract boolean 規格情報(Event e);
/**
*すべての返答を受け取った場合
*/
protected abstract boolean すべての返答を受け取った場合(Event e);
/**
*vTR
*/
protected abstract boolean vTR(Event e);
/**
*市場シェア情報
*/
protected abstract boolean 市場シェア情報(Event e);
}
コンポーネントとBoxed Economy Simulation Platform
BEFM設計モデル・
フレームワーク
作成したコンポーネントは、Boxed Economy
Simulation Platformにプラグインして実行できる。
Model Components
Presentation Components
BESP
Boxed Economy Simulation Platform
Java VMw
コンポーネントの共有・再利用が可能
BESP
Boxed Economy Simulation Platform
Agenda
1
社会・経済の新しいモデル化への取り組み
2
モデル・フレームワークとは
3
Boxed Economy Foundation Model (BEFM)
4
BEFMによるモデル記述例
5
まとめ
「Boxed Economy Foundation Model:
社会・経済のエージェントベースモデリングのためのフレームワーク」
家庭用VTRの規格競争モデル
家庭用VTRの規格競争モデル
日本における家庭用ビデオテープレコーダー
(VTR)の規格競争モデルを取り上げる.
井庭崇, 竹中平蔵, 武藤佳恭, 「人工市場アプ
ローチによる家庭用VTRの規格競争シミュレー
ション」, 情報処理学会「数理モデル化と応用」論
文誌, Vol.42, No.SIG14 (TOM5), 2001年12月
発行
Beta Format
100
方式選択(多項ロジットモデル)
VHS Format
Share
75
効用関数
50
25
局所的シェア
大域的シェア
選好
0
1975
1980
1985
Year
家庭用VTRの規格競争モデル
分析フェーズ
概念モデル・フレームワークに基づく
AgentとBehaviorの洗い出しと定義
Behaviorの流れの明確化
アクティビティ図
(=フローチャート)
<<type>>
情報収集してビデオテー
プレコーダーを購入する
概念モデル・フレームワークに基づく
Relationの洗い出しと定義
概念モデル・フレームワークに基づく
Goodsの洗い出しと定義
概念モデル・フレームワークに基づく
Informationの洗い出しと定義
Behavior間の相互作用の明確化
エージェント間取引の1シナリオ
Clock
消費者
消費者
調査会社
販売店
家庭用VTRの規格競争モデル
設計フェーズ
設計モデル・フレームワークに基づく
AgentとBehaviorの設計
概念モデル
設計モデル
設計モデル・フレームワークに基づく
Goodsの設計
概念モデル
設計モデル
設計モデル・フレームワークに基づく
Informationの設計
概念モデル
設計モデル
設計モデル・フレームワークに基づく
Relationの設計
概念モデル
設計モデル
設計モデル・フレームワークに基づく
Behaviorの状態遷移の設計
概念モデル(アクティビティ図)
設計モデル(状態遷移図)
SurveyCompany: SurveyBehavior
Consumer: ReplyFormatBehavior
Consumer: RecognizeVCRNeedsBehavior
DiffusionControlFunction:PermitVCRNeedsBehavior
Consumer: PurchaseVCRBehavior
SurveyCompany:
SurveyBehavior
Consumer:
ReplyFormatBehavior
Shop: SellVCRBehavior
Consumer: UseVCRBehavior
Behaviorの動的な生成と消滅
DEMO!
参考
シミュレーション結果
消費者間の相互作用が全くない場合
井庭, 竹中, 武藤(2001)
消費者間の局所的な相互作用がある場合
参考
シミュレーション結果
井庭, 竹中, 武藤(2001)
井庭崇, 竹中平蔵, 武藤佳恭, 「人工市場
アプローチによる家庭用VTRの規格競争
シミュレーション」, 情報処理学会「数理モ
デル化と応用」論文誌, Vol.42, No.SIG14
(TOM5), 2001年12月発行
方式選択(多項ロジットモデル)
効用関数
局所的シェア
大域的シェア
選好
人工証券市場モデル①
BehaviorType別に意思決定戦略を設定
板寄せ約定方式による市場
DEMO!
人工証券市場モデル②
人工証券市場モデル②のAgentとBehavior
ザラバ約定方式による市場
Lux (1995)および Chen/Lux/Marchesi (2001)を拡張し、
制限値幅制度がもたらす効果を分析
山田悠, 井庭崇: 「制限値幅が市場効率性に与える影響の分析: 人工市場アプロー
チによる分析」, Poster Session, 第7回進化経済学会 (2003)
Behaviorによる意思決定Behaviorの取り替え
各エージェントが、自分の採用するOrderBehaviorの種類
(性格)を,市場の動向に合わせて変更する。
Sugarscapeモデル
動的に変化する「環境」をAgentとして表現
砂糖の山などの環境を制御する部分を
Environmentエージェントとする.
DEMO!
投票選挙モデル
経済以外の領域の社会モデルにも適用可能
田中(2003)の選挙投票シミュレーションでは、演説やテレ
ビ、会話、インターネットなどの選挙に関する情報別に、
有権者同士の相互作用の影響を分析するために,有権
者の投票行動のプロセスを,BEFMでモデル化している。
・田中潤一郎: 「エージェントベースシミュ
レーションによる個人行動の相互作用の研
究: 選挙運動のWEB解禁に伴う有権者の
投票行動を事例に」, 慶應義塾大学政策・
メディア研究科修士論文 (2003)
・田中潤一郎, 井庭崇: 「個人間コミュニ
ケーションが選択行動に及ぼす影響分析:
選挙における有権者の情報交換と候補者
選択を事例に」, Poster Session, 第7回進
化経済学会 (2003)
Agenda
1
社会・経済の新しいモデル化への取り組み
2
モデル・フレームワークとは
3
Boxed Economy Foundation Model (BEFM)
4
BEFMによるモデル記述例
5
まとめ
「Boxed Economy Foundation Model:
社会・経済のエージェントベースモデリングのためのフレームワーク」
本発表の提案
本発表では、
エージェントベースアプローチによって
社会・経済モデルを記述するための
モデル・フレームワーク(メタモデル)を提案した。
Boxed Economy
Foundation Model
本発表の提案と先行研究との比較
社会システム論
[公文 1978, 1994]
超領域的な
社会科学への試論
[西部 1989]
(Swarm, MAML, RePast,
Ascape, KK-MAS)
UML(統一モデリング言語)
によるビジネスモデリング
プログラミング支援だけでなく
モデリング支援も
[ErikssonPenker 2000]
[Marshall 1999]
記述だけでなく
操作も可能に
進化経済学
[塩沢 2000]
[江頭 2002]
エージェントの
フレームワーク
[Bruun 2002]
複雑系科学
[金子・池上 1998]
[井庭 1998]
エージェントベース
シミュレーション
のためのツール
動的に変化
するモデル
の記述・操作
より柔軟で汎用的な
モデル記述
本発表の提案
本発表の評価軸と提案・考察
自ら評価軸を以下のように設定し、考察を行った。
①現在記述が難しく、かつ必要であるモデル記述
の要件を述べ、それらが、提案モデルフレーム
ワークで記述可能であることを示した。
②提案モデルフレームワークに基づいて作成した
モデルを例示した。
情報処理学会 数理モデル化と問題解決研究会(MPS43)
Boxed Economy Foundation Model:
社会・経済のエージェントベースモデリング
のためのフレームワーク
井庭 崇
千葉商科大学政策情報学部, フジタ未来経営研究所
慶應義塾大学政策・メディア研究科後期博士課程
中鉢 欣秀
慶應義塾大学 SFC研究所
松澤 芳昭
慶應義塾大学 SFC研究所
海保 研
慶應義塾大学 SFC研究所
http://www.boxed-economy.org/
武藤 佳恭
慶應義塾大学 環境情報学部