Fibro Scan502による肝 線維化の評価 杉岡陽介 鈴木淳史 戸塚実 東京大学医学部附属病院検査部 <はじめに> 慢性肝疾患患者の肝線維化の程度を知る ことは発癌リスクを予測する上で重要であり、イ ンターフェロンの可否など今後の治療方針に影響 する。現在、線維化の評価は肝生検が標準法 であるが侵襲的で頻回な検査は困難である。 近年非侵襲的な肝線維化定量法として Transient elastographyを用いたFibro Scan502が開発された。今回Fibro Scan502を 用い肝の線維化について検討したので報告 する。 <対象及び方法> • 2004年末までにFibroscanを施行した230人 – 男性 131人 女性 99人 – 平均年齢 61歳 • Fibroscan測定値と肝生検、血液検査 (血小板,ALB, T-Bil,AST,ALT,γGT, ALP,AFP,AFP(L3),PIVKAⅡ,Ⅳ型コラーゲン, ヒアルロン酸)との比較検討を行った。 プローブ 円筒状 <測定原理> 振動子を使用して振動波を送る。 波 形 時 間 <測定原理> 振動子を使用して振動波を送る。 振動波を超音波で追跡し速度を解析する。 波 形 時 間 超音波信号取り込み <測定原理> 振動子を使用して振動波を送る。 振動波を超音波で追跡し速度を解析する。 波 形 時 間 超音波信号取り込み 線維化が進んでいると速く、 進んでいない場合には遅く伝播される。 <肝内伝播速度解析図> 5 深さ (mm) 10 10 10 30 20 30 0 40 30 0 40 50 20 40 60 % 時間 (ms) F0 VS = 1.0 m/s E = 3.0 kPa -5 60 0 F1 0 40 50 60 0 5 深さ (mm) 20 深さ (mm) 20 5 50 20 40 60 % 時間 (ms) F2 VS = 1.6 m/s E = 7.7 kPa -5 60 0 F3 20 40 60 % 時間 (ms) F4 VS = 3.0 m/s E = 27.0 kPa -5 <検査実施法> 呼気で息止めをし測定。 肋間から肝右葉で測定。 プローブは皮膚に対して垂直に当てる。 <肝生検との相関> 肝生検 F1 (n=3) F2 (n=2) F3 (n=9) F4 (n=31) Fibro(Kpa) 6.6 10.25 14.98 24.8 <肝生検との相関> 30 Fibro 値 25 20 15 10 5 0 肝生検 F1 (n=3) F2 (n=2) F3 (n=9) 6. 6 F4 (n=31) 0 1 Fibro(Kpa) 24. 8 6.6 10.25 98 14. 14.98 24.8 10. 25 2 F分類 3 4 <血液検査との相関> 血小板 Alb AST ALT γ-GT ALP αFP L3 PIVKA Ⅳ型 コラーケ ゙ン ヒアルロン酸 y = -0.337X+20.8 y = -0.017X+4.16 y = 0.961X+31.5 y = 0.458X+40.9 y = 1.101X+43.7 y = 2.64X+170.6 y = 1.43X-0.747 y = -0.241X+11.9 y = 1.684X-0.23 y = 0.208X+3.20 y = 10.36X+62.1 r2 = 0.263 r2 = 0.238 r2 = 0.125 r2 = 0.019 r2 = 0.055 r2 = 0.146 r2 = 0.094 r2 = 0.046 r2 = 0.169 r2 = 0.579 r2 = 0.454 <血液検査との相関> 血小板 y = -0.337X+20.8 r2 = 0.263 Alb y = -0.017X+4.16 r2 = 0.238 AST y = 0.961X+31.5 r2 = 0.125 Ⅳコラーゲン ALT y = 0.458X+40.9 r2 = 0.019 γ-GT y =→ 1.101X+43.7 r2 = 0.055 肝臓特有ではない ALP y = 2.64X+170.6 r2 = 0.146 ヒアルロン酸 αFP y = 1.43X-0.747 r2 = 0.094 L3 y = -0.241X+11.9 r2 = 0.046 PIVKA y = 1.684X-0.23 r2 = 0.169 Ⅳ型 コラーケ ゙ン y = 0.208X+3.20 r2 = 0.579 ヒアルロン酸 y = 10.36X+62.1 r2 = 0.454 <血液検査との相関> 血小板 y = -0.337X+20.8 r2 = 0.263 Alb y = -0.017X+4.16 r2 = 0.238 AST y = 0.961X+31.5 r2 = 0.125 Ⅳコラーゲン ALT y = 0.458X+40.9 r2 = 0.019 γ-GT y =→ 1.101X+43.7 r2 = 0.055 肝臓特有ではない ALP y = 2.64X+170.6 r2 = 0.146 ヒアルロン酸 αFP y = 1.43X-0.747 r2 = 0.094 L3 y = -0.241X+11.9 r2 = 0.046 PIVKA y = 1.684X-0.23 r2 = 0.169 Ⅳ型 コラーケ ゙ン y = 0.208X+3.20 r2 = 0.579 ヒアルロン酸 y = 10.36X+62.1 r2 = 0.454 血小板 → 線維化の指標では? <血小板との相関> 40 35 30 血 小 板 数 25 20 15 10 5 0 0 20 40 Fibro値(kPa) 60 80 <肝生検との相関> 30 Fibro 値 24.8 25 20 14.98 15 10.25 10 6.6 5 0 0 1 2 F分類 3 4 5 <結果> F0〜F4まで直線性の ある検査項目はない ビリルビン アルブミン 血小板 F1 F2 F3 Child A 肝疾患の進行 B C <結果> F0〜F4まで直線性の ある検査項目はない Fibro Scan ビリルビン アルブミン 血小板 F1 F2 F3 Child A 肝疾患の進行 B C <比較> Fibro 肝生検 無 有 侵襲性 約5分 約一週間 報告までの時間 全体で可能 刺針部位のみ 肝全体の把握 定量(kPa) 半定量(F0-F4) 定量性 不必要 必要 入院 医師3名、技師1名 技師1人 人員 可能 不可能 頻回な検査 <考察> Fibro Scan502は短時間で非侵襲的 に定量検査を行える事から肝の線維 化の測定に有用であると思われる。 今後は時系列的に線維化の程度を検 査し肝癌発症との関連の長期的な検 討やピンポイントでの硬さの評価を可能 とするなどの機器的な改善も必要と 思われた。
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