情報技術演習Ⅰ 人文学研究のための情報技術入門

情報技術演習Ⅰ
人文学研究のための情報技術入門
2011/10/20
担当:林晋
TA:秋田慧
電子ライブラリ・アーカイブ
全文検索とその威力
• 図書館の本を利用するとき,どうしていますか?OPAC を使う
人?,カードを使う人?
• 今は殆どの場合,OPAC(Online Public Access Catalog)を使い
ます.京大ではKULINEの「キーワード検索」などがそれ.
• 昔は紙のカードを使っていました.殆どの書籍データの遡及
入力が済んでいますが,それでも,今でも紙カードでしか見
つからない場合もあります.
– 京大の遡及入力
• 静脩の記事.(少し古いデータです)
– 文学部でも一昨年(?)まで遡及入力をしていた. 文学部の遡及入力
のために使っていた部屋が今はラウンジになっている。
2009/10/14
昔の人は大変だった:紙カード
• 昔の紙カードによる書籍探しは?
– ブログ http://toyohiro.at.webry.info/200812/article_7.html より,
紙カード(目録カード)とそのボックス (現在,このブログは存在しません)
2009/10/14
2009/10/14
船山信一の論理学史研究
• 船山信一(1907-1994):50-70年代の立命館教授.京大文卒
業.京都学派左派(他に三木清,戸坂潤)の哲学者・労働運
動家.
• 明治期の西洋哲学の導入史で知られる.
• 明治論理学導入史も研究している.日本の論理学史の,ほ
ぼ唯一の研究.大体,明治20年代までの論理学関係の本を
網羅.
• 図書カードを駆使して「論理」「推論」「推理」「演繹」などの
キーワードで探したとしか思えない.文部省の研究費をも
らってやっている.バイトを使った?
• それが今では・・・
2009/10/14
近デジの目次検索
• 警官処世訓
– 明治38年
– 「論理」でヒット。目次に「論理学」
• 小学教員必携
– 明治18年
– 「論理」でヒット。目次に「論理学ノ部」「論理法ト教育ノ関係」
– その他、「帰納法」「演繹法」も。
• これらは船山の著作には掲載されていない。論理の専門書
や教科書ではないからかもしれないが、おそらくは目次まで
は調査できなかったからと思われる。(どんな本にでている
かわからないのだから、あらゆる本を探さねばならない。しか
し、近デジは目次まで検索できるので、こういうものが見つか
る。)
全文検索
• 沢山の文書(ファイルなど)から,一つの言葉を一斉に探し出すことを「全
文検索」(full text search) という.
– 文書の中を全部探すという意味らしい.しかし,すべての文書を,という意味
もある(日本語では,そちらのニュアンスが強いような・・・).
– Windows の「検索」,Google など,この全文検索といえる.
– 船山は「題名」(こういうのをメタデータという)を検索したと思われる.これは
全文検索ではない.
• つまり、存在する史料の全部を通して探した訳ではない。それでも、船山の本は面白い話が
満載。たとえば「憲政の神様」が書いた論理学書(1882)を書いた?どうして?
• 題名でなく全文検索ができたら凄い?!
– 日本では,次の二つが目次レベルまでの全文検索が可能
• 国会図書館近代デジタルライブラリ http://kindai.ndl.go.jp/index.html
• NII Webcat Plus http://webcatplus.nii.ac.jp/
– Google Book Search は本当の全文検索ができる.フランクリン自伝 1869年出版のもの
– Google Book Search は本を超えての全文検索も可能.(Franklin, lightning で実験)
2009/10/14
OCR: Optical Character Recognition
Google Books の全文検索を可能にしているもの
• Google Books の全文検索を可能にしているのは,OCR ソフト
• 次回,その実験をやってもらいますで,次の二つを持ってきてください.
持ってない人のためには,一応,こちらでも準備をします.
• デジカメ
– 撮影した画像をUSBディスクやSDカードでPCに移せるデジカメ.電話
を使うと高くなるので,カードやケーブルで転送できるもの.ケーブル
の場合,そのケーブルも.
• その文章を PC に入力したい5ページくらいの印刷物
2009/10/14
課題(提出要)
•
課題3
– 提出期限:10月25日12:00
– 提出方法:[email protected]にメールで.
• 件名(subject)は必ず,“情報技術演習 課題3”にする.
– 問題:政治家尾崎咢堂はどうして「論理学書」を書いたのだろうか?思うところを自由に
述べよ。ただし、史料(歴史資料)に基づいて議論すること。
•
ヒント:史料のありか: 船山の著書はもちろん大きな手がかりとなる。しかし、近代デジタルライブラリというデ
ジタル・ライブラリを使えば、船山が見たものより、沢山のものを目次レベルまで全文検索出来るし、おそらく、
船山には容易に閲覧出来なかった、明治・大正の史料をPC上で閲覧出来る。