クォーク模型による バリオン間相互作用 鈴鹿高専 仲本朝基 1.Introduction 2.クォーク模型の特徴 3.中間子交換模型との整合性 4.Summary 2006/7/24 サマースクール(KEK) 1 1. Introduction 電磁力 Coulomb force 核力 ee ee N N ~ 1.4 fm 到達距離の目安 ~ c ⊿t ~ c h /⊿E ~ hc / mc2 ~ 200/(交換される粒子の質量) fm ⇒ ω 2π,σ N N N N 近距離力 ⇒ より重い中間子の交換 より多くの中間子の交換 コンプトン波長 ↓ YN, YY相互作用へも適用 ( ex. Nijmegen potential) 2006/7/24 サマースクール(KEK) 2 Constituent of matter Atom (10-8 cm) Nucleus ( hypernucleus ) Subatomic Nucleon ( hyperon ) Quark 2006/7/24 サマースクール(KEK) 3 クォーク間相互作用がバリオン間相互作用の源泉のはず! q q q バリオン q - q 中間子 q q q バリオン しかし・・・ ・QCDから direct に導けない ・中長距離領域においては、中間子交換ポテンシャル模型は大きな成功を収めている ↓ 少なくとも・・・ 短距離領域においては、バリオンの構造性を考慮すべき ⇒ 共鳴群法(RGM) 2006/7/24 サマースクール(KEK) 4 クォークとバリオン u d s c b t アップ・ クォーク ダウン・ クォーク ストレンジ・ クォーク チャーム・ クォーク ボトム・ クォーク トップ・ クォーク ~300 MeV ~300 MeV ~500 MeV ~1.3 GeV ~4.3 GeV ~186 GeV この3つに関しては、同じような粒子の量子数が異なる状態とみなせる。 ⇒ フレイバーSU(3)対称性 u, d, s から構成されているバリオン(スピン1/2を持つものだけを列挙する) p n Λ Σ+ Σ0 Σ- Ξ0 Ξ- uud udd uds uus uds dds uss dss 陽子 中性子 核子(N) ハイペロン(Y) 2006/7/24 サマースクール(KEK) 5 2006/7/24 サマースクール(KEK) 6 フレイバーSU(3)対称性による分類 q q × (10) 3 q × (10) 3 = (10) 3 + (30) 10 + (11) 8 Δ++, Δ+, Δ0, Δ-, Σ* +, Σ* 0, Σ* -, Ξ* 0, Ξ* -, Ω- + (11) 8 (00) 1 p, n, Λ Σ+, Σ0, Σ-, Ξ0, Ξ- Λ(1405) ? 8重項バリオン同士による2体系のフレイバーSU(3) 分類 × (11) 8 = (11) 8 + (22) 27 + (30) 10 + (03) 10* + (11)s 8s + (11)a 8a (00) 1 (フレイバーSU(3)対称性が厳密に成り立つならば・・・) 6つのフレイバー成分に、総ての2体系に関する情報が含まれている!! 2006/7/24 サマースクール(KEK) 7 SU(2):2つのスピン状態の結合 クレブシュ・ゴルダン係数 SU(3):2つのフレイバー状態の結合 ウィグナー係数 例 2006/7/24 サマースクール(KEK) 8 B8B8 systems classified in the SU3 states with (l, m) S B8B8(I) 1E, 3O (P=symmetric) 3E, 1O (P=unsymmetric) 0 NN(0) NN(1) ― (22) (03) ― ‐1 LN SN(1/2) SN(3/2) ‐2 LL XN(0) XN(1) SL SS(0) SS(1) SS(2) ‐3 XL XS(1/2) XS(3/2) ‐4 XX(0) XX(1) 1 10 1 10 [(11)s+3(22)] [3(11)s‐(22)] (22) (11)s+ 2 930(22)+ 2 1 2 (00) 3 (11)s‐ 10 (22)+ 12 (00) 3 (11)s+ 52 (22) 5 2 3 ー 5(11)s+ 5 (22) 1 3 3 (11) - (22)- (00) s 2 10 8 5 ― (22) 1 5 1 5 1 10 1 10 [(11)s+3(22)] [3(11)s‐(22)] (22) ― (22) 2006/7/24 サマースクール(KEK) 1 2 1 2 [‐(11)a+(03)] [(11)a+(03)] (30) ― (11)a 1 [‐(11)a+(30)+(03)] 3 1 [(30)‐(03)] 2 ― 1 [2(11)a+(30)+(03)] 6 ― 1 2 1 2 [‐(11)a+(30)] [(11)a+(30)] (03) (30) ― 9 各成分での相互作用に関する情報を掴めば、 関連する系に対して相互作用の振る舞いを予想することができる! NN(1)系に短距離斥力がある pure (22) 成分 をもつ 実験事実 他の pure (22) 成分をもつ系 ΣN (3/2), ΣΣ(2), ΞΣ(3/2), ΞΞ(1) の1S0状態 (22) 成分をメインに含んでいる系 ΛN, ΞΛ, ΛΛ の1S0状態 NN(0)系は束縛状態(重陽子) pure (03) ΞΣ(3/2) 3S1状態は強い引力? (11)s : パウリ禁止状態 ΣN(1/2), ΞΣ(1/2)の1S0状態(9割) (30) : 準禁止状態 ΣN(3/2), ΞΞ(0)の3S1状態 } 斥力? quark-model prediction 2006/7/24 サマースクール(KEK) 10 2.クォーク模型の特徴 (1)パウリ原理 バリオンレベル クォークレベル p Λ u 異種粒子 s d Λ 接近すると・・・? クォーク間相互作用がどういっ たものなのかを考える以前に、 クォークの運動エネルギーを考 慮するだけで理解できる u u 量子数の異なる 同種粒子たち d p Λp系はフェルミ粒子である クォークからできている ⇒ 反対称化 2006/7/24 サマースクール(KEK) 11 ハイパー核に反映されるかもしれない点 (11)s : パウリ禁止状態 ΣN(1/2)の1S0状態(9割) (30) : 準禁止状態 ΣN(3/2)の3S1状態 } 斥力? Σ single-particle potential (原子核の中でΣ粒子が 感じるポテンシャル)が斥力的に記述できる 2006/7/24 サマースクール(KEK) 12 2.クォーク模型の特徴 (2)短距離斥力 最もポピュラーなクォーク間ポテンシャル ⇒ one-gluon exchange potential (OGEP) バリオンスペクトラムの多くを説明できる g 主な構成 q q (color-Coulombic term) + (color-magnetic term) + (spin-orbit (LS) term) + (tenser term) ※ confinement force は記述できない color-magnetic interaction ⇒ flovor-singlet (00) state 以外の総ての (カラー磁気相互作用) state において short-range 斥力を与える 核力(NN相互作用)における実験事実を定性的に正しく再現 2006/7/24 サマースクール(KEK) 13 H-particle ( H-dibaryon ) flavor-singlet (00) state ( ストレンジネス-2, アイソスピン 0 すなわち ΛΛ-ΞN-ΣΣ系の 1S0-state ) におけるカラー磁気相互作用の振る舞い u u s s 短距離斥力は現れず、 代わりにかなり強い短 距離引力になる! d d u s s d d u コンパクトな6クォーク系の 新粒子が存在するのでは? ↓ 30年来,世界中の実験家が探索実験に奔走! → ・・・未だ発見されず。 ΛΛ系のすぐ上にある共鳴状態? ⇒ 依然としてストレンジネス-2の系における課題 2006/7/24 サマースクール(KEK) 14 2.クォーク模型の特徴 (3)大きなanti-symmetric LS force スピン・軌道(LS)力:軌道角運動量L=1(P波) 以上の状態で寄与する非中心力 反対称スピン・軌道(anti-symmetric LS)力:スピンの値を変える効果をもたらす ⇒ 核力には存在せず、YN, YY系特有の効果 スピン・軌道力による原子核・ハイパー核の状態分離 ⇒ 原子核の場合に比べて、Λハイパー核における分離は小さい Λハイパー核において、LS力とanti-symmetric LS力は逆符号で寄与する { 中間子交換模型による評価 ⇒ 打ち消しあう度合いが比較的弱い クォーク模型による評価 ⇒ 比較的強い 2006/7/24 サマースクール(KEK) 15 3.中間子交換模型との整合性 短距離領域はクォーク模型によって定性的に記述できた ⇒ 中・長距離領域における振る舞いの再現は? ↓ 中間子交換模型の成功は活かすべき ↓実は・・・ クォーク間での中間子交換を考慮すると、中・長距離領域で バリオン間での中間子交換ポテンシャルと同じ振る舞いをする! ・クォーク間の南部-ゴールドストンボゾン交換 ・系統的に中・長距離領域における中間子交換模型の 望ましい効果を組み込むことができる 2006/7/24 サマースクール(KEK) 16 4.Summary 他のエキゾチックハドロン? ストレンジトライバリオン!? ハドロンスペクトロスコピー Θ+ ⇒ ペンタクォーク? OGEP? NGB-exchange? Hybrid ? Λ(1405) ⇒ KN束縛状態? クォーク模型 Confinement ? バリオン間相互作用 Hダイバリオン? YN, YY相互作用 核力(NN相互作用) 原子核 ハイパー核 クォーク・パウリ効果? ? 2006/7/24 サマースクール(KEK) 17 クォーク模型によるバリオン間相互作用をハイパー核にいかに反映させるか? Let’s study the hypernuclear physics by using the quark-model baryon-baryon interactions ! クォーク模型に関するレビュー論文等 • M.Oka and K. Yazaki, in Quarks and Nuclei, ed. W.Weise (World Scientific, Singapore, 1984), p.489 • C. W. Wong, Phys. Rep. 136 (1986) 1 • K. Shimizu, Rep. Prog. Phys. 52 (1989) 1 • M. Oka, K. Shimizu and K. Yazaki, Prog. Theor. Phys. Suppl. No.137 (2000) 1 • A. Valcarce, H. Garcilazo, F. Fernandez and P. Gonzalez, Rep. Prog. Phys. 68 (2005) 965 • Y. Fujiwara, Y. Suzuki and C. N., to be published in PPNP; http://qmpack.homelinux.com/~qmpack/sent/review2.pdf 2006/7/24 サマースクール(KEK) 18
© Copyright 2024 ExpyDoc