鹿児島大学/愛媛大学 銀河電波天文学特論 第1回 星間物質と宇宙での物質循環 半田利弘 鹿児島大学 大学院理工学研究科 物理・宇宙専攻 Mellinger 電波といえば… ▶ 携帯電話、テレビ、ラジオ ▶ 情報が得られる ▶ 天体からは? Mellinger 電波天文学 ▶ “電波を観測することで研究を行う天文学” ▶ 天体が発する電波を観測することで天体の 状況・構造・しくみなどを調べる ▶ 電波を発生する天体とは… Mellinger よく知られた天体からも ▶ 太陽 ▶月 Mellinger 木星 ▶ 木星磁場の構造 Mellinger 宇宙にある物体=天体 ▶ 恒星 ■ 中心部で核融合反応が発生している その前後の段階の天体を含む ■ ■ 非常に濃い電離ガス 自己重力とガス圧の釣り合い ▶ 星雲→星間物質 ■ 非常に薄いガスと塵 Mellinger 星までの距離 ▶ ▶ ▶ ▶ 宇宙を1/200億に縮小 地球:直径0.6mm 太陽:直径7cm 1AU=7.5m Mellinger 恒星間の広さ ▶ 太陽系の大きさ:縮尺1/200億で ■ ■ 太陽-冥王星 40AU=約300m 隣の恒星まで 4光年=約2000km ▶ 星間空間はさらに想像を越えた広大さ Mellinger 星ではない天体 ▶ 星≠天体 ■ 小中学校の知識だと、星=惑星planet+恒星star ▶ 天文学では、星star=恒星 ▶ “星ではない天体”とは… ■ ■ 恒星star=点状に見える 星雲nebula=広がって見える Mellinger AAO 5種類の星雲 ▶ ▶ ▶ ▶ ▶ 輝線星雲 HII region 反射星雲 Reflection Nebula 惑星状星雲 Planetary Nebula 超新星残骸 SNR 暗黒星雲 dark nebula 国立天文台広報普及室 Mellinger ▶ “散光星雲”には要注意 国立天文台広報普及室 輝線星雲 HII region ▶ 大質量星の放つ紫外線で周囲の星間ガスが 電離 Mellinger 輝線星雲と若い星 ▶ 活発で寿命が短い星 ▶ 輝線星雲は星形成領 域の目印 Mellinger 惑星状星雲 planetary nebula ▶ 低質量星が末期に流出 ▶ 中心星の紫外線で励起 Mellinger 超新星残骸 supernova remnant ▶ 大質量星が末期に爆発した衝撃の痕 Mellinger 反射星雲 reflection nebula ▶ 近所の星の光を星間ガス中の塵が反射 ▶ 暗黒星雲と実態は同じ Mellinger 暗黒星雲 dark nebula ▶ 星間ガスが影として見える Mellinger 暗黒星雲を電波で見ると ▶ 暗いところが電波では光っている ▶ 可視光よりも電波で広がりがよくわかる Mellinger 国立天文台野辺山 東京大学/阪本ほか 宇宙空間は真空ではない ▶ 1cm3当たり100個~1000個の分子 ■ ■ 地球大気だと1019個程度 地球大気1cm3≒星間ガス1km3 中央駅 Mellinger 1km3 鹿大 県庁 宇宙空間は真空ではない ▶ 1cm3当たり100個~1000個の分子 ■ ■ 地球大気だと1019個程度 地球大気1cm3≒星間ガス1km3 愛媛大 松山駅 Mellinger 道後温泉 市駅 松山城 1km3 宇宙空間は真空ではない ▶ 1cm3当たり100個~1000個の分子 ■ ■ 地球大気だと1019個程度 地球大気1cm3≒星間ガス1km3 ▶ 成分 ■ ■ ■ 90%以上=水素 10%程度=ヘリウム 残り=一酸化炭素、酸化珪素、水、メタノール、アンモニ ア、その他のいろいろな分子 ▶ 水素の状態で3分類できる ■ 分子ガス、中性原子ガス、電離ガス Mellinger 星間ガスの物理状態 ガスの種類 典型的温度 典型的密度 分子ガス 20K -3 >100個cm 分子雲 放射冷却(極めて遅い) 中性原子ガス 100K SNR加熱 1個cm-3 主な天体 膨張 WNM, CNM 電離ガス 6000-10000K 100個cm-3 HII領域 電離ガス 106K コロナガス <0.01個cm-3 圧力平衡 重力収縮 Mellinger 物質はなぜ“見える”のか ▶ 電磁波と物質の相互作用 ■ 放射と吸収 電磁波エネルギーの放出と吸収 光子の放出と吸収 ■ 物質構造と電磁波の放射・吸収 Mellinger いろいろな電磁波 ▶ 波長による電磁波の“性質”の違い ■ ■ 物質との影響のしかたが違う 物質の構造に大きさの段階がある 物体構造、分子、原子、原子核、素粒子 Mellinger 電波で見えやすい天体 ▶ スケールが大きな物質構造 ■ 空間的に広がった希薄な物質:星間ガス ▶ エネルギー差が小さな遷移 ■ ■ 低温の物体:星間塵、低温の星間ガス エネルギー準位差が小さな物質:分子、原子 Mellinger 分子・原子の状態変化 ▶ エネルギー変化に伴う放射 Mellinger 分子ガスの温度・密度 ▶ 分子輝線の励起→水素分子による衝突励起 ▶ 温度・密度によって励起状況が変わる ■ 励起されやすい遷移、されにくい遷移 ▶ 多輝線観測→温度密度の違い Mellinger 宇宙での物質循環 ▶ “物質輪廻” Mellinger
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