ペンテコステ霊性 -ペンテコステ霊性とは-

ペンテコステ霊性
-ペンテコステ霊性とは-
2008年後期
1
この単元で問われていること

ペンテコステ派と福音派とはどう違うのか。

ペンテコステ霊性の特徴は何か。

ペンテコステ霊性の特徴の中で注意すべき点はなに
か。その理由は何か。

御霊の賜物と実との間にはどういう関係があるか

霊性の形成に必須の要素は何か。
2
ペンテコステ派vs福音派


神学的にどう違うのか
歴史的にどう違うのか
福
音
派
3
ペンテコステ派vs福音派


ペンテコスト運動のルーツ
クラシカル・ペンテコスト派(AG)の特色
• ネオ・ペンテコスト派、カリスマ派、第3の波
• 異言の伴う「聖霊のバプテスマ」

新生後の聖霊経験

身体的な証拠としての異言

継続性を持つ異言(賜物として)
4
ペンテコステ派vs福音派
使徒2章
継
続
性
一
過
性
5
ペンテコステ派vs福音派
6
メソジスト派出身
ベテル聖書学校校長
Charles F. Parham
1873-1929
7
ペンテコステ運動のルーツ

使徒行伝の現代版(トペカ)
• ベテル聖書学校に下った聖霊
( 1901)
• 27歳のCharles Parham校長
• 複数教団の教職、指導者40名の学生
• 聖霊のバプテスマを受けると異言を語る
という聖書的事実の発見
8
ペンテコステ運動のルーツ

トペカ・リバイバルの意義
• 誰かの神学思想から生まれたのでは
ないということ
• 聖書に根ざした経験であること
• 一過性的な経験ではなく、永続的な実
質をもっているということ
• アズサのリバイバルに直結したこと
9
ペンテコステ派vs福音派
William J. Seymoure
Baptist Preacher
1870-1922
アズサ街312番地
-世界に広がるリバイバル発祥の地-
10
ペンテコステ運動のルーツ

アズサ・リバイバルの起因
(教会歴史専門家の分析)
• 神への飢え渇きと危機感
• 十字架の愛の実践
• 神の言葉への献身的服従
• 福音伝道と宣教への情熱
11
ペンテコステ派vs福音派
ヨ
エ
ル
の
預
言
五
旬
節
の
聖
霊
降
臨
エ
ル
サ
レ
ム
教
会
の
設
立
ア
ズ
サ
街
リ
バ
イ
バ
ル
教ア
団ッ
のセ
設ン
ブ
立リ
ー
ペ
ン
テ
コ
ス
テ
・
カ
リ
ス
マ
派
12
ペンテコステ的説教

ヨエル書をテキストにしたペテロの説教
説
教
納
合
得
意
悔
い
改
め
大
教
会
の
設
立
生
活
共
同
体
の
発
足
「知っていただきたい」(使2:14)
「私の言葉に耳を貸して下さい。」(使2:14)
人々はこれを聞いて心を刺され...(使2:37)
13
ペンテコステ的説教
彼(ペテロ)のことばを受け入れた者は、
バプテスマを受けた。その日、三千人ほ
どが弟子に加えられた。そして、彼らは
使徒たちの教えを堅く守り、交わりをし、
パンを裂き、祈りをしていた。そして、一
同の心に恐れが生じ、使徒たちによっ
て、多くの不思議なわざとあかしの奇蹟
が行なわれた。
14
ペンテコステ的説教
信者となった者たちはみないっしょにいて、
いっさいの物を共有にしていた。そして、資
産や持ち物を売っては、それぞれの必要
に応じて、みなに分配していた。そして毎
日、心を一つにして宮に集まり、家でパン
を裂き、喜びと真心をもって食事をともにし、
神を賛美し、すべての民に好意を持たれた。
主も毎日救われる人々を仲間に加えてくだ
さった。(使2:41-47)
15
ペンテコステ派vs福音派

語られた預言-ヨエル(BC600年代)

成就した預言-ペンテコスト(AD30年)

引用された預言-ペテロ(使2:16-21)

更に成就した預言-アズサ(1906-09)

成就しつつある預言-ペンテコステ教会の誕
生とカリスマ運動の発展
• 米国AG (1914~)、日本AG(1949~)
16
御霊で始めたのに、今に
なって肉で仕上げるというの
か。あれほどの大きな経験を
したことは、むだであったの
か。まさか、むだではあるま
い。(ガラ3:3-4)
17
ペンテコステ霊性(定義の前に)

ペンテコステ人とは
• アイデンティティーの確立の必要

日本アッセンブリー教団はペンテコステ教団としての座
標軸がまだ定まっていないといわれる現状
• 『ソフィーの世界』から学ぶ

「私は誰なの。どこから来てどこへ行くの。」
(主人公の自問自答)

アッセンブリー人に迫られる自問自答
18
ペンテコステ人とは


使徒の働きに記録されている歴史的事実は、
今日も現実に起こりうる事実であると信じ、体験
し、実践している群
1コリ12章~14章に提示されているパウロの神
学的・宣教学的・教会論的内容が、この信仰と
体験と実践の中に実存的に組み込まれて生活
している群 (KK)
19
ペンテコステ霊性と今日


「心」を失った日本人の霊的回復のために
• 政治、経済、社会、文化などと全く無関係ではな
い霊性
聖霊が働きやすいような環境造りのために
• 霊性向上への努力と精神的鎖国への動き

今日の時代の流れを察知するために
• 明日を見極める預言者的な視点の必要
• そのためのペンテコステ霊性
• ことばを受肉させる機能を持つ霊性
20
「霊性」とは

人間の霊的な関心事の総体
特定の宗教的共同体を性格づける信
仰と価値観によって意味づけられた行
為と心情の総体
ラッセル.スピットラー
21
「霊性」とは
・
信 仰
為行
霊
感
性
情
価値観
22
「霊性」とは

人間の霊的な関心事の総体
人間の根元的次元、即ち霊的な次元を現
実化する生きた体験である,その霊的な次元
は,個人の霊的もしくは宗教的な経験,個人
の信仰や信念,思考のパターン,個人の究極
的なもの、もしくは神に関わる感情と行動の
総体
23
「霊性」とは
The sum total of a person’s
spiritual concerns.
(個人の霊的関心事の総体)
Spirituality is both what we
do and what we feel.
David Hymes
24
「霊性」とは
・
.
信仰
為行
霊
感
性
情
価値観
25
「霊性」とは

人間の霊的な行為の総体
• 祈ること
• 断食すること
• 賛美すること
• 学ぶこと
• 交わること
ダビデ・ハイムス26
「霊性」とは

人間の感情的な態度の総体
• 悲しむこと/喜ぶこと
• 慰めること/慰められること
• 確信すること
• 愛すること
ダビデ・ハイムス
27
「霊性」とは
/
霊的であること
の行動的・感性
的表現の多様性
基本的共通点
神
「愛」
隣人
28
「霊性」(総括的定義)
霊的要素
霊性
認識的要素
行動的要素
感性的要素
29
「霊性」(福音主義的定義)
Knowing
Doing
生活の神学
Being(基盤)
30
霊性形成の3要素
・
...になること
Becoming
霊
性
の
成
熟
...知ること
Knowing
...であること
Being
...すること
Doing
31
ペンテコステ的霊性形成の3要素
・
...になること
Becoming
霊
性
の
成
熟
宣
教
へ
の
情
熱
...知ること
Knowing
...であること
Being
...すること
Doing
32
「ペンテコステ霊性」とは
.
真の霊性とは,唯一なる主を礼拝し
崇める中で,我々自身を主に捧げて
いくことを必然的に含むものである。
(ロマ12:2) そしてそれらがやがては
我々の行為や価値観に影響をあた
えるのである。
セシルM・ロベックJr.
33
ペンテコステ霊性
『聖霊の神学』p.166
御霊の実
ガラ5:22-23
機
本
能
質
的
に
相
同
違
一
御霊の賜物
1コリ12:1-11
「実の信仰は、賜物の信仰の準備
である。」ポール・ショック
34
ペンテコステ霊性
『聖霊の神学』p.166
潜在的性質
と親
い切
うで
品あ
性る
御
霊
の
実
と親
い切
うに
行す
動る
顕在的動因
35
ペンテコステ霊性
『聖霊の神学』p.166

御霊の実
• パウロの神学:(ガラ2:22-23)

九つの御霊の実
• ヨハネの神学:(ヨハ15:1-16)

御霊による品性の実(質)

御霊による宣教の実(量)
36
霊性向上の流れ

クリスチャン霊性の2つの流れ
• 鍛錬的(修道的)霊性

漸進的訓練による霊性向上(1コリ9:24-27)
• ペンテコステ的霊性

飛躍的な体験による霊性向上

今日的な聖霊の働きによる霊性向上
(ガラ3:2-3,5)
37
リチャード・ラブレス
ペンテコステ霊性
スペ
テン
霊テ
性コ
Statement of
Fundamental Truths
信仰綱要
正統的教義
福音主義的理解
38
ペンテコステ霊性

その特徴
・ 神が超自然的方法を通して今もなお教会
に働きつづけていると信じていること
・ 「賜物」が今日のためのものであって,教会
において顕わされるべきであるということ
39
ペンテコステ霊性

霊性を支配する五つの「隠れた価値」
• 個人的な体験の最重要視(個人性)
• 語ることの重要性(発語性)
• 人為的でない聖霊の自由な働き(自発性)
• 現実よりも確かである永遠の彼方へのあこ
がれ(未来性)
• 体験の基礎である聖書の権威(霊感性)
ラッセル・スピトラー ・KK
40
ペンテコステ霊性

自発性のデメリット
・ 自発性の故に会衆は期待しないことが起こ
ることを期待する。
・ まとまりのない、行き当たりばったりの集会
になる傾向がある。
・ 御霊による自発性と神の言葉との均衡が
必要となる。
41
ペンテコステ霊性

体験重視のデメリット
・ 個人的な体験を過度に強調する結果、信
仰が体験をするための二次的になること
・ 体験しなければその信仰は「本物」ではな
いと錯覚すること
・ 体験を意図的に作りだそうとする誘惑があ
ること
・ 「インスタント」効果を求める傾向があること
42
ペンテコステ霊性

体験重視の改善
・ 自己省察をすること
・ 個人的体験を客観的に分析すること
・ 自己省察を共同体全体の反省に導くこと
(詩46:10、1コリ11:28、2コリ13:5)
43
霊性(福音主義的定義)

日ごとの生活に神の恵を自覚し、キリスト中心
にした歩み
聖霊のバプテスマ
認
罪
新
生
聖
化
栄
化
キ
リ
ス
ト
者
の
完
成
44
ペンテコステ霊性

日ごとの生活に神の恵を自覚し、御霊に満た
され、御霊の顕れを体験し、キリスト中心にし
た歩み
キ
聖霊のバプテスマ
リ
ス
栄 ト
聖
新
化 者
化
認
の
生
完
罪
成
45
ペンテコステ霊性の重点
健
全
な
霊
性
聖書的教理
神学的認識
祈り・瞑想
聖霊体験
46
霊性の重点
禁神
欲秘
主主
義義
聖書的教理
神学的認識
祈り・瞑想
宗教的体験
47
霊性の重点
合主
理知
主主
義義
祈り・瞑想
宗教的体験
聖書的教理
神学的認識
48
ペンテコステ霊性の重点
ロ
ゴ
ス
聖書的教理
神学的認識
健
全
な
霊
性
エートス
パ
ト
ス
祈り・瞑想
宗教的体験
49
ペンテコステ霊性の両面

霊性の静的側面
• 神の子とされた者が御霊によって生れたゆ
えにすでに持っているもの
(ヨハ3:5-6、ロマ8:9-11)

霊性の動的側面
• 聖霊に満たされ、導かれ,育てられ,戦い,
築き, 完成を目指して進むもの(ロマ8:12-14)
50
霊的経験の多様性
歴史的背景
文化的環境
神学的根拠
個人的志向性
霊
的
経
験
51
霊性の現れ方
・
文化的相違
社会的相違
神学的相違
コ
ン
テ
キ
ス
ト
の
相
違
霊
性
の
現
れ
実践
行為
態度
52
霊性の成熟
・
プログラム
人
対神
格
的
関
対人
係
霊
性
の
成
熟
53
霊的訓練の目的

人格形成
• 霊性・品性・聖化

関係の深化
• 対神・対人

賜物の発掘・育成
• 奉仕・宣教
(小渕,p.82)
54
霊性の成熟
・
...になること
Becoming
霊
性
の
成
熟
...知ること
Knowing
...であること
Being
...すること
Doing
55
霊性の特性



霊性は普段の生活において具体的に現れる
キリストに似た者となりたいという動機が与え
られる
キリストの視点から現況・事象を判断するよう
になる

永遠という見地から物事を見るようになる

神とその臨在を意識する
56
霊性顕現の理解

霊的経験は一律ではないこと
• こうあるべきだとか,こうしなければ霊的で
はないと断言できない多様な霊的経験

霊の勢いで倒れること

笑いの霊に満たされること

霊のダンスをすること
• 霊的顕現を無差別にコピーすることの危険
57
霊性顕現の理解

コンテキストの相違によって様々な様相があ
る霊性の現れ
• 文化的相違:アフリカ文化圏/韓国文化圏
• 社会的相違:年功序列社会/業績主義社会
• 神学的相違:改革派教会/カリスマ系教会

現象のすべてが今日ここでのコンテキストに
おいて意味あるものかどうかを吟味する必要
58
霊性の特性
汝等キリストの心
を心とせよ(ピリ2:5-文
語訳)

「キリストの心」を心とする可能性
• 自己客観化と役割取得能力
59
霊性の特性


実体的な存在ではない霊性
三位一体の神と人と「ことば」との関係の中
で成育・成熟
• 神との対話
• キリストとのつながり
• 聖霊の満たし
• 共同体における交わり
60
霊性の特性

「精査の合間(Interlude for scanning)」
• 霊的な葛藤の中で習得する霊性向上
• 矛盾・危機の中で学ぶ霊的真理
危
機
状
況
対否
応定
的
対積
応極
的
解放
・
開放
ジェームス・ローダー
状
況
受
容
霊
的
真
理
の
習
得
霊
性
の
向
上
61
霊性の維持

「御霊に満たされなさい」
(エペ5:18)

「御霊を消してはなりません」
(1テサ5:19)

「神の聖霊を悲しませてはいけ
ません」
(エペ4:30)
62
霊性とは-まとめ
。
霊
性
・備えられる
御霊によって ・結ばれうる
・結ばれ続ける
63
霊性とは-まとめ
霊
ものの見方の訓練
キリスト者の基本的特質
性
神と人との交わりの生活
64
霊性とは-まとめ
「イエス・キリストとの出会いか
らでた生に関するもの全て」
マクグラス『キリスト教の霊性』(p.19)
キリストの福音にふさわしく生活しなさい。
(ピリ1:27)
汝ら、キリストの心を心とせよ。
(ピリ2:5 文語訳)
65
霊性と祈り
・
『主よ、変えられないものを
受け入れる静けさと
変えられるものを
変える勇気と
その両者を見分ける
英知を我に与え給え。』
R.ニーバー
66
第5回阿蘇聖会(1961年8月)
67
この単元で問われていること

ペンテコステ派と福音派とはどう違うのか。

ペンテコステ霊性の特徴は何か。

ペンテコステ霊性の特徴の中で注意すべき点はなに
か。その理由は何か。

御霊の賜物と実との間にはどういう関係があるか

霊性の形成に必須の要素は何か。
68