1 相対論的重イオン衝突実験PHENIX におけるシミュレーションによる charm粒子測定の可能性を探る 筑波大学 第一学群 自然学類 物理学専攻 980303 神長 誉人 指導教官 三明 康郎 目次 • • • • • QGP発生の証拠を求めて Invariant Mass Plot シミュレーションの結果 ここまでのまとめ 今後の展望 2 QGP発生の証拠を求めて c-c cc cq J / 粒子など cq c quark 対 charm粒子と anti-charm粒子 QGP発生によるチャーモニウム( J / 粒子など)生成の抑制 により、逆にcharm粒子の生成量が増える。 陽子陽子衝突と重イオン衝突(QGP発生?)で、チャーモニウム とcharm粒子の生成量の比を調べたい (本研究ではまず重心系陽子陽子衝突200GeVについて調べ た) 0の質量 1.864 GeV/c2 D charm粒子には -15 s 平均寿命τ 0.415×10 0 + + D ,D ,Ds がある。 cτ 1.245×10-7m 3 PHENIX測定器の概要 DC 荷電粒子の飛跡・運動量の検出 RICH 主に電子の識別 TOF 主にハドロンの識別 EMCAL 低運動量を持つハドロン識別 μの検出 ミューオン測定器 アクセプタンス: 検出器が衝突点の周りを覆っている領域 θ(deg) RICH TOF(上パネル) TOF(下パネル) EMCAL 70 ~ 110 70 ~ 110 84 ~ 96 70 ~ 110 ミューオン測定器 10 ~ 35 φ(deg) ±(22.5 ~ 112.5) 67.5 ~ 90 90 ~ 112.5 ±(22.5 ~ 112.5) 0 ~ 360 charm粒子は 寿命が短すぎ て直接検出で きない! 4 Invariant Mass Plot ① ・中性粒子や、charm粒子のように寿命が短くて直接測定す ることができない粒子の存在を確認するために使う。 ある粒子Xが粒子1と粒子2に崩壊したとき、エネルギー保存と 運動量保存が成り立つから MX (E 1 E 2 ) 2 (P1 P2 ) 2 によって崩壊粒子の質量を求めることが出来る。 粒子1 崩壊粒子の質量を示すピーク(シグナル) 粒子2 粒子1 粒子2 X バックグラウンド MX M12 5 Invariant Mass Plot ② エ ン ト リ ー 数 Signal D0のピーク BG 幅が狭いほどS/Bがいい バックグラウンド ・D0 → π+, K- の 質量(GeV/c2) 二体崩壊について調べた ・粒子衝突シミュレーション 運動量分解能なし コードとして、 PYTHIA/JETSETを用いた 6 シミュレーションを実際の測定環境に近づけるために ★ PHENIX測定器の運動量分解能(p / p)の影響 10Mイベント p / p 0 0 0 10Mイベント 30Mイベント p / p 0.01 0 0 実際にはp / p は 数%以上にもな り、より多くの統 計が必要となる。 p / p 0.005 2 0.023 2 p 2 ★ PHENIX測定器のアクセプタンスとK-の自然崩壊の導入 All Signal ・運動量分解能を入れた ・検出器の領域に向かっ てくるπとKだけ計算に用 いた ・検出器に到達する前に 自然崩壊してしまうKは除 いた 7 Vertex Cuts D0の崩壊で創られたπ+、 K-の位置分布は、そうで ないπ+、K-の位置分布よ り大きいはずである。 π+ K‐ π+ D0 K- D0の生成点(Vertex)が 何々以上であると仮 定して、 π+、K-の位 置分布にカットをかけ る(Vertex cuts)。 ※ Vertex分布を r 方向 で測れる検出器を想定 r 0.00[mm] r 0.01[mm] 位置分解能をr として導入した 8 Vertex Cuts の S2/B 310Mイベント、r = 0.01mm のとき横軸にカットの大きさをとり、 そのカットの性能指数(figure of merit ; S2/B)を調べた 0.03mm の カットでS2/B の最大値 4.45 Signal Background S2 / B その結果 r 0.01mm のと VC なし VC 0.015mm VC 0.03mm き、ピークの判別は 十分可能であった 9 ここまでのまとめ PHENIX測定器において、310Mイベント(一ヶ月間以 上実験を行って取れるデータ量)でcharm粒子の生成 量を測定するための条件 ① r 方向でVertex分布を測れ、位置分解能 r 0.01mm を持つVertex検出器を作製すること ② Vertex Cuts の目安として0.03mmをかけること ※ しかし、これでは測定時間がかかり過ぎるため、 D0が生成したイベントだけを選ぶようなトリガーを 探す必要がある。 10 Event Cuts RHICでは、実験中に一秒間に数 百回もの衝突を起こしているが、 その中から必要なイベントだけを 選んでデータを集める方が、実験 期間は短くてすむ。 集めたイベント(A) D0が生成したイベント(a) さらに、集めるデータ中のシグナ ルを含むイベントの量が多いほど 都合が良く、左図の場合、その比 は (B) (b) A : a = 480 : 1 となっている。 e ⇒ RICH μ ⇒ ミューオン測定器 π+⇒EMCAL, K-⇒TOF,Decay この比を良くするようなカットを探 すことが出来れば、実験期間の 大幅な短縮も可能である。 まだ結論が出せていません
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