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農地・水・環境保全向上対策
体制整備構想 作成の手引き
体制整備構想は、地域における農地、農業用水などの資源や環境が
担っている役割を再認識し、この資源や環境を適切に保全し向上して
いくために必要と考えられる体制や活動内容について地域で話し合い、
将来にわたり充実した活動が行えるよう、地域自らが構想(目標)を
定めるものです。
京都府農地・水・環境保全向上対策協議会
平成21年10月
1
○体制整備構想とは?
地域内の話し合い
共同活動の
自立的定着
地域活性化
○ 活動組織の構成員が、農地・農業用水等の資源及びこれらの資源により形成されて
いる農村環境を適切に保全管理し、質的向上を図る方法を話し合うこと等を通じて、共
同活動が将来、自立的に地域に根ざしていくことを目的にしています。
○ また、共同活動はこれまでボランティア精神で行われてきましたが、本対策による支援
により、この精神が失われることのないよう、「地域の体制づくり」を行うものです。
○ 例えば、10年後、高齢化等により活動の担い手(中心メンバー)が減少することが活
動組織内で共通の認識となれば、将来の地域の保全管理体制を検討するときに有効で
す。
体
制
整
備
構
想
○体制整備構想(案)と体制整備構想
○体制整備構想(案):協定締結年度から起算して3年目の年度末までに協議会へ届出
中間年(3年目)に、これまで行ってきた共同活動を振り返り、共同活動が地域に根ざしていくためにはど
のようにすべきかを地域内で話し合い、将来の体制整備構想(案)の作成を行い、3年目の年度末までに
府協議会へ届出をします。
○体制整備構想
:協定締結年度から起算して5年目の年度末までに協議会へ申請し、承認を得る
中間年(3年目)に作成した「体制整備構想(案)」について、4~5年目の共同活動を通じて再点検を行い、
最終年(5年目)に体制整備構想の承認を申請します。
協定期間
1年度目
2年度目
3年度目
4年度目
5年度目
中間年
3年目末までに構想(案)の
作成を行い、協議会へ届出
最終年
5年目末までに構想の点検を
行い、協議会へ承認を申請
※平成19年度協定締結地区は平成21年度末までに提出
なお、20年度及び21年度協定締結地区については、
22年度末及び23年度末までに提出
※体制整備構想は、今後、地域の皆さんが活動を行っていくうえでの構想(目標)であり、構想の内容の達成状況が、共同活動支援
交付金等の交付の条件となるものではありません。
2
3
○体制整備構想の内容
体制整備構想は以下の内容を含んで地域の実情に応じて作成していただきます。
構想の考え方、流れ
現状や課題の
把握
将来の目標
①現在の体制を
把握しましょう!
構想の内容
1.共同活動の現状
(1)どんな役割分担で何をやっているのか?
(2)その分担はどのような方法で決めているのか?
(3)その行為にどれくらいの経費を見積もっているのか?
②将来見通しを推
計しましょう!
2.将来の体制の見通し
③体制のあるべき
姿について考えま
しょう!
3.共同活動の将来像
④地域農業の将来
について考えましょ
う!
(1)各活動は、どれくらいの年齢の人が中心になっているのか?
(2)10年後75歳以上の中心メンバーがリタイアしたら、活動する
人はどのような影響を受けるか?
(1)地区の地域資源の重要性や役割はどうなっているのか?
(2)それらの資源を将来も守っていくためには、誰がどのような役
割を分担すべきなのか?
4.地域農業の担い手の育成・確保
○ 活動組織の体制の強化につなげるため地域農業の担い手
となる農業者の育成・確保はどうなっているのか?
目標実現に
必要なこと
⑤目標実現に向
けた方策を考えま
しょう!
5.将来展望を実現するために取り組む具体的
方策
○ 体制のあるべき姿を実現するために具体的に何をやるのか?
4
体制整備構想の記入方法
<地域のスローガン:
>
※ 現状を確認のうえ、協定書に添付した活動計画に「構成員の役
割分担」を明記している場合、その内容を記入いただいて構いま
せん。
なお、協定締結後に構成員の役割分担を見直した場合、見直し
後の内容を記入してください。
体制整備構想作成にあたり、地域全体の話し合いの中で、今後10年間を
想定した将来像を描いていただきますが、実現へ向けたスローガンを簡潔に
記入ください。 (目標、キャッチフレーズなど自由にお考えください。)
1.共同活動の現状
(2)活動組織の意志決定の方法
1.共同活動の現状
(1)活動組織構成員の役割分担
活動組織に参画している各構成員の役割分担を簡潔に記入します。
なお、記入に当たっては、以下の記入例を参考にしてください。
構成員
農業者
主な役割
基礎部分、農地・水向上活動及び農村環境向上活動
を他の構成員と連携して実施する。
なお、畦畔・農用地法面の草刈りや個々の農用地に
隣接する水路の泥上げは個々の農家が実施する。
共同活動の役割分担等について、現在の活動組織ではどのような方
法で決定しているのかを記入します。
【記入例】
議案は出席した構成員の●●以上により決定することとし、可否同
数の場合は、議長が決するところによる。
【留意事項】
活動組織規約を添付しても構いません。
この場合、該当部分にマーカー等していただくとわかりやすくなります。
■■■■■■ 規約
(農地・水・環境保全向上対策に係る活動組織規約)
○○営農組合
基礎部分及び農地・水向上活動を他の構成員と連携
して実施する。
なお、基礎部分の施設の点検及び配水操作、農地・水
向上活動の施設の機能診断は本組合が実施する。
○○自治会
基礎部分のうち開水路の泥上げと農道法面の草刈り
と農村環境向上活動を実施する。
○○土地改良区
基礎部分及び農地・水向上活動の実施に当たっての
指導、助言及び資機材貸与等の支援を行う。
(名称)
第1条 この活動組織は、■■■■■■(以下「■■■」という。)と称する。
・
・
・
(会議)
第5条 ■■■の会議は、必要に応じて代表が招集する。
2
■■■の会議は、構成員の●●以上の出席によって成立する。ただし、
出席は、委任状をもって代えることができる。
3
会議の議長は代表があたり、議案は出席した構成員の●●以上により
決定することとし、可否同数の場合は、議長が決するところによる。
○○小学校
生態系保全の生き物調査。
農業者以外
農村環境向上活動を中心に実施。
注)農業者個人又は法人で参画している場合は、まとめて「農業者」、農業者
以外の方で個人として参画している人は、まとめて「農業者以外」として記入
してください。
平成●●年●月●日制定
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1.共同活動の現状
(3)活動組織の資金計画
協定期間内の交付金の総額(共同活動支援交付金と促進費の合計額)に対
する項目毎の支出内容と支出計画金額(概算額)を記入します。
注1「主な交付金の使途の内容」には、交付金を使用する主な内容を記入します。
注2「金額」には、項目毎に概ねの金額を記入します。
【記入例】
項 目
主な交付金の使途の内容
・農道の補修に要する費用(砂利補充のため
基礎部分の活動に要 の砂利購入等)
する経費
・ため池の泥上げに要する費用(重機のリー
ス代等)
【記入例】
本活動組織では、基礎部分の活動は農業者が、農地・水向上活動は
農業者、自治会及び■■が、農村環境向上活動は●●が中心となっ
金 額
(千円)
て行っている。
なお、主な活動の担い手の年齢構成等は下表のとおり。
○○
【平成○○年□□月時点】
千円
・開水路の補修に要する費用(目地詰めのた
めの充填剤購入等)
農地・水向上活動 ・ゲート類の保守管理に要する費用(再塗装
誘 に要する経費
のための塗料購入等)
・雑草対策に要する費用(雑草繁茂抑制のた
導
めのシバザクラ購入等)
○○
千円
・生態系保全に関する啓発・普及活動に要す
る費用(パンフレットの製作等)
・景観形成に要する費用(景観植物の苗購入
等)
・水質改善に要する費用(木炭の購入等)
○○
千円
・活動組織の管理運営に関する事務に要す
活動組織の管理運営
る費用(事務用品購入や記録・報告書類の作
に要する経費
成手当等)
○○
千円
部
分 農村環境向上活
動に要する経費
2.将来の体制の見通し
(1)活動の担い手の年齢構成等(現状)
農地・水・環境保全向上対策の各活動を主に担っている構成員と、その
構成員における活動の担い手の人数及び年齢構成の状況を記入します。
○「活動の担い手」:活動の中心となっているメンバー
※ 現状を確認の上、協定書に添付した活動計画に「資金計画」を明記
している場合は、その内容を記入いただいても構いません。
なお、協定締結後に資金計画を見直した場合は、見直し後の内容を
記入してください。
構成員
人 数
平均年齢(歳)
65歳以上の割合(%)
農業者
○人
□□歳
△△%
自治会
○人
□□歳
△△%
■■
○人
□□歳
△△%
●●
○人
□□歳
△△%
合 計
○人
□□歳
△△%
【留意事項】
① 「構成員」には、各活動を主に担っている構成員(文中に記載した構
成員)を記入してください。
② 「人数」は、各構成員ごとの主な活動の担い手(中心メンバー)の人
数を記入してください。
※例えば、農業者と自治会に重複している場合など、重複した人数で
構いません。
③ 「平均年齢」には、主な活動の担い手の概ねの平均年齢を記入して
ください。
④ 「65歳以上の割合」には、例えば、主な活動の担い手に該当する人
数から概ねの割合を計算してください。
⑤ 記入例は「主な活動の担い手」のみを記載することを示していますが、
構成員数が少ないなど、地域の実情を踏まえ構成員全体の年齢構
成等を記入しても構いません。
2.将来の体制の見通し
(2)高齢化等を踏まえた概ね10年後の推定
10年後の活動を行う体制(構成員数、活動の担い手など)の状況を推定し記
入します。前項(1)も参考にしてください。
【記入例】
・10年後に、現在65歳以上の活動の担い手が75歳以上となって活動に参
加できなくなると仮定した場合、本活動組織では概ね■%の活動人員が
減少すると見込まれる。
注) 文中の「■%」については、活動の担い手の高齢化率と構成員全体の高齢化率
がほぼ同じと考え、前項の年齢構成表より、次のように算出した率を記入してく
ださい。
構成員
人
数
平均年
齢(歳)
65歳以上の
割合(%)
<65歳以上の人数>
農業者
3人
□□歳
67%
2人÷3人=67%
自治会
5人
□□歳
40%
2人÷5人=40%
■■
2人
□□歳
50%
1人÷2人=50%
●●
1人
□□歳
0%
0人×1人= 0%
合計
11人
□□歳
45%
計5人
※ 上記の例では、45%(5人÷11人=45%)のように記入してください。
<活動の担い手の減少と活動人員の将来見通しが同方向ではなく、活動
人員の維持、増加が見込まれる地区の例>
・10年後には活動の担い手の減少も想定されるが、本対策により地域の連
帯感も生まれ、また共同活動を通じて地域を担う後継者を育成していると
ころでもあり、10年後においては活動人員はほぼ維持されると見込まれる。
・混住化の進行により、今後ますます農業者以外の方が増えていくと想定さ
れ、また、本対策により農業者以外の方の参画や地域資源の保全への理
解が浸透してきていることから、10年後においては活動人員の増加が見
込まれる。
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3.共同活動の将来像
(1)当地区における農地・水・環境が有する地域資源としての役割
農地、農業用水及び農村が、地域において果たしている役割(地域の皆
さんが想うこと、感じていることなど)を記入します。
なお、記入に当たっては、以下の記入例を参考にしてください。
○「地域資源」:農業者だけでなく地域社会全体にとっての共通の財産
【記入例】
・農地は、食料を生産するための最も基礎的な資源であるとともに、集中
豪雨の際には洪水の発生を抑え、住民の生命・財産を守る役割も果た
している。
・農業用水は、食料を生産するための最も基礎的な資源(水)であるとと
もに、様々な動植物が生育する上でも重要な役割を果たしている。
特に●●地区の用水路では、最近見かけなくなった■■(例えば、ク
ロメダカやヒメタイコウチ など)の生息が確認された。
・農業用水は、農業生産に用いられる資源であるとともに、消流雪用水
や防火用水という地域住民の生活に欠かすことができない役割も果た
している。
・○○地域内を流れる農業用水路は、生態系保全にとって重要な役割
を果たしているとともに、地域の人々に親水空間を提供している。
・田園風景や多様な生き物が生息する農村環境は、地域住民はもとより、
訪れる人々にゆとりと心の豊かさを与えるなどメンタル面でも重要な役
割を果たしている。
・長年にわたり農業の営みを通して育まれた□□地域の自然は、人々に
ゆとり、安らぎ、心の豊かさを提供している。
3.共同活動の将来像
(2)将来展望
10年後を想定して、地域として農地・水・環境を守っていくために必要な
活動組織の将来展望を記入します。
4.地域農業の担い手の育成・確保
10年後を想定して、地域の農業の担い手を育成・確保していく目
標を記入します。
【記入例】
地域農業の担い手となる農業者の育成は、活動組織の体制強化につな
がることから、この育成・確保に努める。具体的な目標は下表のとおり。
内 容
現 状
目 標
①認定農業者や集落営農組織の育成
●人or組織
◎人or組織
②①を除く市町認定農家や作業受託組織の育成
○人or組織
■人or組織
▲人
△人
④担い手への農地の利用集積
◆◆ha
◇◇ha
⑤担い手への農作業の委託面積の拡大
◆◆ha
◇◇ha
⑥新規就農者の確保
-
【記入例】
ア 農地・水・環境が有する地域資源を守っていくための活動体制
イ 非農業者との連携
ウ 環境にやさしい農業への展望
・△△地域の農地・水・環境は、地域共有の貴重な資源であるため、今後
も農業者だけでなく農業者以外も参加する(or地域及び地域外の参画も
得て)地域ぐるみの共同活動で、この資源の保全活動に取り組んでいく。
・地域住民全体で取り組むに当たっては、個人・団体それぞれが受けてい
る利益・恩恵に応じて担うべき役割を分担し、資源の適切な保全を図って
いく。
・高齢化により、10年後の農業及び農地・水・環境を守っていく農業者等
は、現在に比べ減少すると想定されることから、新たな活動の担い手を育
成・確保していく。
・農地、農業用施設を保全しつつ、減農薬、減化学肥料の環境保全型農
業を発展させ、環境にやさしい農業・農村づくりに取り組んでいく。
③①及び②を除く地域農業の担い手の育成
⑦減農薬、減化学肥料に取り組む農業者
□人
○人
◎人
⑧その他
□人・or組織 ●人or組織
【留意事項】
① 上記例のように7行全てに記入が必要というわけではありません。記入することができる
ものを記入してください。
② 「地域農業の担い手」とは、認定農業者や集落営農組織、経営所得安定対策に加入し
ている農業者など、地域で主に営農を営んでいる農業者のことです。
③ 表中「認定農業者や集落営農組織の育成」欄には、地域で農業経営基盤強化促進法に
基づき認定を受けた農業者(農業生産法人または特定農業法人を含む)の数を記入して
ください。
④ 表中「担い手への農地の利用集積」欄には、担い手が所有権や利用権に基づき営農を
行っている面積を記入してください。
⑤ 表中「担い手への農作業委託面積の拡大」欄には、担い手が利用権を設定した以外の
土地で作業委託を受けた面積を記入してください。
⑥ 表中「新規就農者の確保」欄には、将来担い手となる新規就農者を記入してください。
⑦ 「減農薬、減化学肥料に取り組む農業者」については、営農活動支援に取り組んでいる
活動組織においては、その現状及び目標を記入してください
⑧ 「目標」欄には、現状を踏まえ、地域で話しあった上で目標とする概ねの数値を記入して
ください。
⑨ 上記内容以外にも、営農組合の設立や面積拡大など、地域の実情に応じたものを記入
してください。
⑩ 当地区において、地域農業の担い手が減少すると見込まれるがそれを維持することを
目標とする場合には、現状を維持する旨などの地域の実情に応じた文章を記入してくだ
さい。
7
8
5.将来展望を実現するために取り組む具体的方策
6.参考
3の(2)の将来展望の欄に記入した内容(活動組織の体制など)を実現
するために必要と考えられる方策を記入します。
・体制整備構想の地域での話し合いの概要を添付してください。
・また、活動組織において、地域づくり構想マップを作成されている場合は
添付してください(地域づくり構想マップの作成・提出は任意です) 。
【記入例】
ア 農地・水・環境が有する地域資源を守っていくための活動体制
イ 非農業者との連携
ウ 環境にやさしい農業への展望
・保全管理の省力化のため、簡易な生産基盤整備を実施するとともに、
作業の機械化を進める。
・地域の魅力や地域を守る取組を幅広く情報発信することにより、地域内
外から新たな活動参加者を募る。
・活動参加者を安定的に確保するため、地元企業に対して活動の共同
実施を呼びかける。
・農地・水・環境を守る担い手を育成するため、小学校などと連携した農
業体験や環境保全活動を開催し、これらを通して地域の子供達に農業
や環境の大切さと親しむ心を育てていく。
・活動組織の体制を強化するために、概ね■年後までにNPO法人化す
ることを目指す。
・地域の豊かな農村環境を自分たちで保全していくために、農村環境向
上活動の■■を新たなテーマとして取り組む。
・構成員の適切な役割分担による共同活動を継続するほか、隣接集落
間での共同活動の連携を目指す。
・当地域では、活動の担い手の育成・確保も難しい状況にあるが、農業
者以外の方とともに地域共有の資源である農地・農業用水等の保全管
理を継続していく。
・減農薬、減化学肥料農業という付加価値を販売戦略として、インター
ネット販売等の販路の多様化を図っていく。このことにより地域農業の
担い手を確保していく。