会計コース基礎編 簿記基礎知識 ver 2 全国土地改良事業団体連合会 1 複式簿記の仕組みとそのイメージ 複式簿記は、全ての取引を資産、負債、正味財産、収入、支出のいずれか に属する勘定科目を用いて借方(左側)と貸方(右側)に同額となるよう記入 する仕訳(しわけ)手法により記録、計算、整理する方法 複式簿記における帳簿記帳の例 最終的な決算書類として財産状 況を表す貸借対照表と、一年間 の損益状況を表す正味財産増減 計算書にまとめられる。右の取 引例のように、現金の増加(資産 の増加)と借入金の増加(負債の 増加)という2つの側面を記帳し ていくため、複式簿記と呼ばれる。 商業簿記においては、資産、 負債の他、資本、費用、収益 の語を用いて説明されている が、土地改良区会計において は、これに一部なじまない面が あるため、資本ー正味財産、 収益ー収入、費用ー支出と置 き換えている。 かりかた 手科単 法目式 に簿 し記 ぼは り取 記引 帳を 、一 整 理つ の す勘 る定 かしかた 借方 現金及び預金 100万円 貸方 借入金100万円 ② いま手元 に100万円の 現金がある ① 100万円 を銀行から 借り入れた 左側の帳簿の合計と右側の帳 簿の合計が常に同額となるよう 整理される 2 単式簿記・現金主義とは ・単式簿記における会計処理は、現金による取引のみについて記録する 例) 土地改良区が備品として、測量機材1台を100万円で購入した。 5月1日に納品、5月31日に代金を支払った。 金銭出納簿(本事例では、様式例の一部を省略) 年月日 年月日 5.31 内容 内容 備品購入 (測量機材) 款項 款項 維持管理費 説明種目 説明種目 備品購入費 5.31 備品(自動車)購入 維持管理費 備品購入費 入金 出金 入金 出金 1,000,000 残高 残高 8,000,000 1,000,000 8,000,000 3 複式簿記、発生主義とは ・複式簿記とは、1つの取引について、仕訳によって二面的に記録すること ・発生主義とは、資産の移動や収入、支出の発生について、発生事実に基 づき記録すること 例) 備品となる測量機材1台を100万円で購入することとした。測量機材は 5月1日に納品され、支払いは後日の5月31日に現金で支払った。 5月1日 (借方) 取引の発生 (貸方) 測量機材という資産が発生 取引の発生 5月31日 工具,器具等 100万円 (借方) 未払金 100万円 未払金という負債が消失 未払金 100万円 未払金という負債が発生 (貸方) 現金及び預金 100万円 現金という資産が減少 取引を二面的に記録(仕訳)する 4 複式簿記は発生主義により取引を記録する ◎発生主義(減価償却等)による会計処理 発生主義では、現金の収支にかかわらず、取引による財務変動等を記録 ・土地改良施設や建物の減価償却(資産の変動)なども記録 ・現金の収支を伴わなくても、債権・債務が発生した時点で 未収金、未払金と して記録 ◎仕訳による会計処理 『仕訳』とは、各取引による勘定科目ごとの増減を帳簿へ記録するため、勘定 科目と金額を決定すること ・複式簿記による会計では、資産、負債、正味財産、収入及び支出の各要素に ついて、それぞれの 増加・減少を勘定科目ごとに記録・集計 5 仕訳と記帳の基本ルール ・全ての取引を資産、負債、正味財産、収入、支出に属する勘定科目により 仕訳する。これらは借方、貸方において定位置(ホームポジション)がある ・「現金及び預金」は資産に属する勘定科目であり、資産のホームポジション は借方(左側)である。仕訳によって左側の借方に金額が記載されるとその 額が増額となり、逆に、右側の貸方に金額が記載された場合は、その現金 高が減額となることを意味する それぞれの定位置(ホームポジション) 借 方 資産に属する勘定 科目 支出に属する勘定 科目 貸 方 負債に属する勘定科目 借 9.1 方 現金及び預金 貸 方 借入金100万円 100万円 9.2 人件費20万円 収入に属する勘定科目 9.3 正味財産に属する勘定 科目 10万円 現金及び預金 現金及び預金 20万円 交付金10万円 9.1には100万円の現金残高があり、9.2に人件 費を支給したため20万円減少したが、翌日の 3日に10万円の交付金を得た。(残高は90万円) 6 借方と貸方間の仕訳の組み合せ ・仕訳は、各勘定科目を左右に分け、左側を「借方」、右側を「貸方」とし 資産、負債、収入及び支出の各要素の増加、減少を記録する ・組み合わせとしては次のようなものが考えられる 左の組み合わせの一部例 (借方) 資産の増加 負債の減少 (貸方) ① ② ④ ⑤⑥ ③ ① 工具を現金で購入した 資産の減少 ② 農協から資金を借入れた 負債の増加 ③ 賦課金の現金納入あり ④ 火災保険料の一部について (収入の減少) 収入の増加 還付を受けた ⑤ 農協の短期借入金を償還 支出の増加 (支出の減少) ⑥ 借入金により長期未払金を 支払った ※ ○数字のケースを例として右に掲げた 7 ①から③のケースの仕訳例 ① 工具3万円を現金で購入した 借方 工具、器具等 貸方 30,000 現金及び預金 30,000 現金は資産の勘定科目の中の「現金及び預金」に当たる。貸方に3万円を記して資産を 減少させるとともに、取得した工具について「工具、器具等」として借方に記し、3万円の 資産として増加させる ② 農協から返済期限1年を超える100万円の資金を借入れた 現金及び預金 1,000,000 その他の長期借入金 1,000,000 農協からの借入資金は返済期限1年を超えるものなので勘定科目は「その他の長期借 入金」とし100万円を記入。同額を「現金及び預金」として借方の資産を増加させる ③ 組合員から経常賦課金として5千円の現金納付を受けた 現金及び預金 5,000 未収賦課金等 5,000 経常賦課金収入は、勘定科目として「未収賦課金等」を用いる。貸方に5千円を記入。 同額を借方欄の「現金及び預金」勘定に記し資産を増加させる 8 ④から⑥のケースの仕訳例 ④ 火災保険料の一部について保険会社から5万円の還付があった 借方 現金及び預金 貸方 50,000 事務所費支出 50,000 火災保険料は事務所費支出として支払っていた。還付金の勘定科目としては「事務所費 支出」を用い、貸方に仕訳することで5万円を減少させる。また、借方に同額を記し「現金 及び預金」を5万円増加させる。 ⑤ 農協からの短期借入金50万円について銀行預金から償還した 借入金 500,000 現金及び預金 500,000 農協からの借入資金は返済期限1年以内のものだったので勘定科目は「借入金」として いた。「現金及び預金」50万円による償還により完済するため借方欄に記す。 ⑥ 1000万円の銀行借入を行い長期未払金を支払った 現金及び預金 長期未払金 10,000,000 10,000,000 その他の長期借入金 現金及び預金 10,000,000 10,000,000 銀行からの借入は長期借入資金なので勘定科目は「その他の長期借入金」1000万円。 同額の「現金及び預金」をもって長期未払金を支払った。 9 資産、負債、収入、支出とは 資産 土地改良区が有する貨幣、物財及び権利で、貨幣価値があるもの (例 現金及び預金、有価証券、未収賦課金等、所有土地改良施設、 職員退職給付積立金、適正化事業拠出金、車両運搬具など) 負債 土地改良事業の実施等により第三者に対して将来支払うべき債務 及び金銭上の負担額(例 借入金、未払金、預り金、適正化事業拠 出金未払金、職員退職給付引当金など) 資産の増加や負債の減少をもたらす増加便益(例:賦課金収入、 収入 転用決済金収入、○○事業補助金収入、○○業務受託料収入、 基本財産利子収入、雑収入など) 支出 事業目的のために投入・費消された経済価値(例 維持管理費支出、 委託業務費支出、所有土地改良施設減価償却費、運営事務費支出、 事務所費支出など) ※ 正味財産=資産ー負債 10 勘定科目についての知識 ・勘定科目はその事業体の性格、活 動に応じて設けられ、資産、負債等 に関しさまざまな勘定科目がある 土地改良区会計では約120、 農協会計においては約200の 勘定科目があるといわれる ・実態取引の内容、性格を端的に、 かつ的確に表したものとして用いら れる 【資産】未収賦課金等、【支出】事務 所費、【収入】他目的使用料収入 ・慣例的な勘定科目用語も多い ・決算において勘定科目は最終的に 貸借対照表等に表され、分析検討の 単位となることから、類似する科目名 との混同を避ける工夫がされている ・勘定科目の性格をよりはっきりさせ るため語頭ないし語尾に定型語を冠 している例もある 【資産】前払金、仮払金、【負債】 前受金、未払金、預り金 【資産】職員退職給付積立金、転 用決済金積立金、【負債】職員退 職給付引当金、転用決済金引当 金 【資産】過年度未収賦課金等、 【負債】長期未払金、長期借受金 11 残高試算表から貸借対照表、正味財産増減計算書 残高試算表 貸借対照表 負 債 資 産 正味財産 負 債 正味財産増減計算書 支 出 ※ 総勘定元帳の各勘定科 目の残高から残高試算表が 作成される 正味財産 当期正味財 産増減額 当期正味財 産増減額 収 入 収 入 資 産 支 出 土地改良区の運営状況を表すもの 12 土地改良区の財政状況を表 すもの 土地改良区会計基準による財務諸表体系 財 務 諸 表 等 貸借対照表 正味財産増減 計算書 財務諸表に 対する注記 財 産 目 録 ・事業年度末における全ての資産、負債及び正味財産の状況を表示 ・資産の部(流動資産、固定資産)、負債の部(流動負債、固定負債)及び正味財産 の部(一般正味財産、指定正味財産)に区分 ・一事業年度における正味財産の全ての増減状況を表示 ・一般正味財産増減の部{経常収入(賦課金等)、経常支出(事業費等)、経常外収入 (評価益等)、経常外支出(評価損等)}及び指 定正味財産増減の部(使途に制約が ある寄付財産)に区分 ・貸借対照表、正味財産増減計算書に係る表示内容を補足する内容を掲記 ・資産評価において特別な評価事情を含む場合もここに記す。 ・所有土地改良施設、受託土地改良財産使用収益権に係る減価償却累計額も記さ れる。 ・事業年度末における全ての資産及び負債につき、その名称、 数量、価額等を詳細 に表示 ・貸借対照表と同様に資産の部と負債の部に区分し、正味財産の額を表示 13 ○○土地改良区財務諸表等の全体構成 (数個の特別会計を有する地区の例) 一般会計貸借対照表 一般会計正味財産増減計算書 財務諸表に対する注記 + ○○特別会計貸借対照表 ○○特別会計正味財産増減計算書 財務諸表に対する注記 + ××特別会計貸借対照表 ××特別会計正味財産増減計算書 財務諸表に対する注記 + 貸借対照表総括表 正味財産増減計算書総括表 + 財産目録 様式5-2 貸借対照表総括表 平成年月日現在 科 目 一般会計 ○○特別会計 ××特別会計 内部取引消去 合 ※ 正味財産増減計算書総括表も同様のつくり 14 計 複式簿記会計の基本 土地改良区の会計は以下のような流れをたどり、まとめられていく。 予 算 作 成 取 決 引 算 簿記上の取 引とは、資 産・負債・正 味財産の各 項目に影響を 与える事象 仕訳帳 (伝票) 財 務 諸 表 残 高 試 算 表 精 算 表 議 公 決 表 財務諸表 ・貸借対照表 ・正味財産増減計算書 ・財務諸表に対する注記 ・財産目録 総勘定元帳 会計基準外での規定 ・収支予算・決算書 ・事業報告書 補 助 簿 15 複式簿記会計の基本 資産科目の残高 現金及び預金 残高 総 勘 定 元 帳 100 有価証券 残高 150 未収賦課金 等 合各 計勘 額定 残高 120 をの と残 棚卸資産 り高 、を 一転 残高 50 致記 をし 確、 認借 す方 負債科目の残高 る 、 貸 方 預り金 の 残高 100 残高試算表 勘定科目 借方 精算表 貸方 勘定科目 残高試算表 借方 現金及び預金 有価証券 未収賦課金等 棚卸資産 所有土地改良施設 100 150 120 50 800 預り金 借入金 工事費支出 維持管理費支出 運営事務費支出 修正記入 正味財産増減計算書 貸借対照表 借方 現金及び預金 100 有価証券 150 未収賦課金等 120 棚卸資産 50 所有土地改良施設 800 100 200 賦課金収入 負担金収入 他目的使用料収入 貸方 500 100 50 500 300 50 100 200 賦課金収入 負担金収入 他目的使用料収入 500 100 50 合計 2,300 2,300 貸方 100 150 120 50 750 500 100 50 500 300 50 50 50 100 2,300 借方 100 200 正味財産 合 計 貸方 50 預り金 借入金 工事費支出 500 維持管理費支出 300 所有土地改良施 設減価償却費 運営事務費支出 50 貸方 借方 2,300 50 50 1,200 減価償却費等の計上等、期末整理仕 訳を「修正記入」欄に整理し、精算表を 完成させる 100 1,200 1,500 1,500 16 土地改良区会計の現状 土地改良区を取り巻く状況 土地改良区会計の現状 ・管理や工事の費用の記帳は 現金主義 ・土地改良施設の資産評価は 取得時の価額のみで減価償却 はしていない 農業生産法人など複式簿記によ り記帳を行う組合員の増加 土地改良区の全財産の 価額が不明 資産の適正な評価の必要性 ・組合員のコスト意識の増大 ・ストックマネジメント(既存施設の 予防保全対策等)の実施 ・アカウンタビリティー(説明責任) の社会的要求の高まり ・地方公共団体会計は27年度からの 複式簿記会計化が決定 資産の減価償却の必要性 ○ 土地改良区の会計方式のあり方については、組合員のコスト意識の増大や組合員等に対す るアカウンタビリティー(説明責任)の社会的要求の高まりを踏まえた対応が必要。 17 土地改良区の会計処理における課題 • 土地改良区におけるこれまでの会計処理は、単式簿記の現金主義による ものであり、現金以外の財産(資産と負債)の変動を把握できないという欠 点がある。 • 農業法人など複式簿記を行う経営主体が増大し、組合員のコスト意識が高 くなってきているが、単式簿記では事業等に要した正確な費用を的確に把 握できない。 • 土地改良区は公共組合であり、補助金等の交付を受けていることなどから、 国民に対する説明責任を果たすために、財務の状況を明らかにすることが 求められている。 • 近年、土地改良区の役職員による横領等の不祥事が増加する傾向にあり、 土地改良区には不正を未然に防止できる会計処理の導入が求められてい る。 18 複式簿記会計方式を導入する必要性 土地改良区の財産(資産・負債)の増減状況を日常的に的確に把握し、それを組合 員等へわかりやすく説明するために必要 コスト意識が高まってきている組合員からの要請に応えるためには、各事業別に、 要した費用を正確に把握する必要 地方公共団体は、複式簿記を導入することが決定済み。公共組合である土地改 良区も複式簿記を導入し、組合員へ説明責任を果たす必要 記帳のミスや不正の発見が容易な複式簿記を導入し、不正を未然防止するための 導入 19 複式簿記方式の導入により期待できる効果 ○ 発生主義の導入によ り、「財産の状況」を常時、 的確に把握 ○ 減価償却費などを含 む「正確な費用(コスト)」 を算出 ○ 更新事業費等の引当 金を計上することで、スト ックマネジメントの推進や ライフサイクルコスト低減 への対応が容易 ・土地改良区の資産や負債の額を的確 に把握(組合員のコスト意識の高まり等 への対応) ・資金管理と資産管理が一体的に行わ れ、記帳ミスや不正の発見が容易 (不正の未然防止) ・各事業ごと(維持管理事業、補助事業、 受託事業、小水力発電事業等別)の 正確な費用(コスト)の把握 ・修繕費や更新事業費を事前積立する 根拠(的確な予防保全対策や適期の 更新事業の実施)の説明が容易 20 会計ソフトを活用した実務について 左に紹介するのは全土連と、 千葉県に本拠をもつ株式会社 NID・ISが共同開発した複式 簿記会計ソフト「水土里ネット 会計」の紹介パンフ。 全国水土里ネットのホームペー ジに全体をつるしているので参 照可能。 国が定めた土地改良区会計基 準、諸様式に完全準拠している 会計ソフトであり、発電事業会計 にも対応できるもの。24年から 同社より販売されている。 21 会計ソフトを活用した実務について 複式簿記導入に関する概算費用 費用項目 作 業 内 容 水土里ネット会計 一式 定価:300千円 ※:科目、財務諸表、金融口座等の設定等を含 む。 (納品された時点から会計処理が可能) 年間保守料 1.15万円(平成25年度、平成26年度実績) 5万円~28万円の選択制で毎年変更可能で ある。 2.年間保守の恩恵 下記のバージョンアップが無償で提供される。 (1).水土里ネット会計 ・操作性、運用性などを反映 ・改良区からの要望などを反映 (2).Windows、Access等 WindowsXPからWindows7への移行は無 償 土地改良区内の作 業量 1.土地改良施設などの評価:約3ヶ月相当 2.会計処理の負荷軽減 手作業で行っていた単式簿記と比較し水土 里ネット会計を導入し行った複式簿記の方が負 荷軽減が図れた。 左の情報は、「水土 里ネット会計」の24 年からのユーザーで ある群馬県のN土地 改良区のもの。会計 処理の軽減に資して おり、導入を評価して いる。 N土地改良区の概要 ・維持管理事業主体の土地改良 区 ・会計は一般会計のみ ・会計規模は約9千万円 ・土地改良区の区域規模約500 ha ・職員数3名,うち1名が会計主 任を兼任 ・年間仕訳数 約1400 ・日々の会計事務は30分以内, 期末に1週間程度 ・会計細則,勘定科目は国の通 知に準拠し、 24年度に改訂済み 22 複式簿記会計への移行経過(N土地改良区の例) 23年度 24年度 3月 総代 会 理事会 次年度予算 複式試行経 費の承認 次年度複式試 行の方針決定 25年度 3月 次年度予算の承認、 会計細則等の改訂 承認 会計細則案等の 決定 複式簿記試行実施(単式会計は24年 度まで継続) 事務 局 関係情報の収集 予算化の検討 勘定科目、 諸様式の概 定 勘定科目、諸様式の 決定 会計ソフト導入 土地改良施設評価作業を継続 会計細則等の変更案作成を継続 財 産 目 録 複式簿記(本格施行) 対期 照首 表資 登産 載価 額 の 貸 借 23 「土地改良区複式簿記の基礎知識」 終 了 24
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