2008年 電気学会 全国大会 平成20年3月19日 福岡工業大学 放電基礎(1) 弱電離気体プラズマの解析(LXXVII) Higher Order Samplingとスプライン関数の 組み合わせによる電子エネルギー分布のサンプリング Studies on weakly ionized gas plasma (LXXVII) A novel technique for sampling electron energy distribution using Higher Order Sampling coupled with spline function 木村 太朗* 佐藤 孝紀 伊藤 秀範 (室蘭工業大学) T.Kimura*, K.Satoh and H.Itoh (Muroran Institute of Technology) MURORAN INSTITUTE OF TECHNOLOGY 背景 気体放電プラズマの応用分野 有害化学物質の除去 放電型イオンエンジン プラズマCVD など 放電の性質の理解が要求される 放電の性質を理解する方法 放電を構成する粒子 気体分子・原子 衝突 電子 生成 光子,励起分子・原子 イオン,ラジカル (挙動の理解が重要) 生成に最も影響 … 電子スオームパラメータによって 電子の挙動が表現される 電子エネルギー分布から求められる 電子エネルギー分布を求める方法 実験による直接測定(プローブ法) 計算機シミュレーションによる方法 Monte Carlo simulation (MCS) 電極近傍などの非平衡領域に対しても適用可 能 MCSによって電子エネルギー分布 を効果的に求める方法の一つを 提案する MCSにおける電子エネルギーのサンプリング(Standard Sampling : SS) ヒストグラムによるCounting 実際の結果 0 ℃, 1 TorrのCF4ガス E/p = 400 Td 平衡領域にてサンプリング distribution energy energy density distribution 0.12 bin幅 = 5.0 eV 統計変動・・・小 詳細さ・・・なし 0.10 0.08 0.06 0.04 0.02 0.00 0 5 10 15 20 25 electron energy[eV] 30 35 40 energy [eV] distribution energy energy density distribution 0.12 bin幅 = 0.04 eV 詳細さ・・・あり 統計変動・・・大 0.10 0.08 0.06 0.04 0.02 0.00 0 5 10 15 20 25 electron energy[eV] energy [eV] 30 35 40 理想の分布 統計変動が小さい,詳細な分布,追跡電子数が少ない 高次のサンプリング(Higher Order Sampling : HOS)[1] SS … 各binには,一つの電子数情報のみ [1] Peter L. G. Ventzek, Kazutaka Kitamori : J. Appl. Phys. 75 (1994) 3785. MURORAN INSTITUTE OF TECHNOLOGY 高次のサンプリング(Higher Order Sampling : HOS)[1] SS … 各binには,一つの電子数情報のみ HOS … binの中の電子数の密度勾配を表現 [1] Peter L. G. Ventzek, Kazutaka Kitamori : J. Appl. Phys. 75 (1994) 3785. MURORAN INSTITUTE OF TECHNOLOGY 高次のサンプリング(Higher Order Sampling : HOS)[1] SS … 各binには,一つの電子数情報のみ HOS … binの中の電子数の密度勾配を表現 Legendre多項式 gl ( ) P0 ( ) f 0 P1 ( ) f1 P2 ( ) f 2 P3 ( ) f3 P4 ( ) f 4 P5 ( ) f5 P6 ( ) f 6 P7 ( ) f 7 P8 ( ) f8 ( l はbinの番号を表す) P0 ( ) 1 P1 ( ) P2 ( ) (3 2 1) / 2 … サンプリング 2 ( l 1 l ) l 1 l 1 1 P0 ( ) g l ( ) d 2 1 3 1 f1 P1 ( ) g l ( ) d 2 1 5 1 f 2 P2 ( ) g l ( ) d 2 1 f0 … -1 で規格化 1 [1] Peter L. G. Ventzek, Kazutaka Kitamori : J. Appl. Phys. 75 (1994) 3785. MURORAN INSTITUTE OF TECHNOLOGY 高次のサンプリング(Higher Order Sampling : HOS)[1] SS … 各binには,一つの電子数情報のみ HOS … binの中の電子数の密度勾配を表現 Legendre多項式 gl ( ) P0 ( ) f 0 P1 ( ) f1 P2 ( ) f 2 P3 ( ) f3 P4 ( ) f 4 P5 ( ) f5 P6 ( ) f 6 P7 ( ) f 7 P8 ( ) f8 ( l はbinの番号を表す) P0 ( ) 1 P1 ( ) P2 ( ) (3 2 1) / 2 … サンプリング 2 ( l 1 l ) l 1 l 1 1 P0 ( ) g l ( ) d 2 1 3 1 f1 P1 ( ) g l ( ) d 2 1 5 1 f 2 P2 ( ) g l ( ) d 2 1 f0 … -1 で規格化 1 [1] Peter L. G. Ventzek, Kazutaka Kitamori : J. Appl. Phys. 75 (1994) 3785. MURORAN INSTITUTE OF TECHNOLOGY 高次のサンプリング(Higher Order Sampling : HOS)[1] SS … 各binには,一つの電子数情報のみ HOS … binの中の電子数の密度勾配を表現 Legendre多項式 gl ( ) P0 ( ) f 0 P1 ( ) f1 P2 ( ) f 2 P3 ( ) f3 P4 ( ) f 4 P5 ( ) f5 P6 ( ) f 6 P7 ( ) f 7 P8 ( ) f8 ( l はbinの番号を表す) P0 ( ) 1 P1 ( ) P2 ( ) (3 2 1) / 2 … サンプリング 2 ( l 1 l ) l 1 l binの境界上での連続性が 必ず保証されるとは限らない 1 1 P0 ( ) g l ( ) d 2 1 3 1 f1 P1 ( ) g l ( ) d 2 1 5 1 f 2 P2 ( ) g l ( ) d 2 1 f0 … -1 で規格化 1 [1] Peter L. G. Ventzek, Kazutaka Kitamori : J. Appl. Phys. 75 (1994) 3785. MURORAN INSTITUTE OF TECHNOLOGY LPWS(Legendre Polynomial Weighted Sampling)法[1] オーバーラップサンプリングによって連続性を得る方法 少しずつずらしてHOS [1] Peter L. G. Ventzek, Kazutaka Kitamori : J. Appl. Phys. 75 (1994) 3785. MURORAN INSTITUTE OF TECHNOLOGY LPWS(Legendre Polynomial Weighted Sampling)法[1] オーバーラップサンプリングによって連続性を得る方法 分布の重なり 重み付けした後,足し合わせる 少しずつずらしてHOS [1] Peter L. G. Ventzek, Kazutaka Kitamori : J. Appl. Phys. 75 (1994) 3785. MURORAN INSTITUTE OF TECHNOLOGY LPWS(Legendre Polynomial Weighted Sampling)法[1] オーバーラップサンプリングによって連続性を得る方法 分布の重なり 重み付けした後,足し合わせる 重み B-spline (基底関数) 少しずつずらしてHOS [1] Peter L. G. Ventzek, Kazutaka Kitamori : J. Appl. Phys. 75 (1994) 3785. MURORAN INSTITUTE OF TECHNOLOGY LPWS(Legendre Polynomial Weighted Sampling)法[1] オーバーラップサンプリングによって連続性を得る方法 重み B-spline (基底関数) 少しずつずらしてHOS [1] Peter L. G. Ventzek, Kazutaka Kitamori : J. Appl. Phys. 75 (1994) 3785. MURORAN INSTITUTE OF TECHNOLOGY LPWS(Legendre Polynomial Weighted Sampling)法[1] オーバーラップサンプリングによって連続性を得る方法 重み B-spline (基底関数) 少しずつずらしてHOS [1] Peter L. G. Ventzek, Kazutaka Kitamori : J. Appl. Phys. 75 (1994) 3785. MURORAN INSTITUTE OF TECHNOLOGY LPWS(Legendre Polynomial Weighted Sampling)法[1] オーバーラップサンプリングによって連続性を得る方法 連続する電子エネルギー分布 オーバーラップサンプリング・・・冗長性 [1] Peter L. G. Ventzek, Kazutaka Kitamori : J. Appl. Phys. 75 (1994) 3785. MURORAN INSTITUTE OF TECHNOLOGY 本研究の目的 Higher Order Samplingとスプライン関数を用いて 連続した電子エネルギー分布を求める MURORAN INSTITUTE OF TECHNOLOGY 平滑化スプライン[1]とHOSによる電子エネルギー分布の求め方 HOSの結果から数点抽出して一本線で結び,電子エネルギー分布とする ① 各binごとにHOSによって分布を求める ② 各bin当り40個の点を抽出(境界では平均値を使用) ③ 点を3次の平滑化スプラインで結び,電子エネルギー分布とする [1] 吉村 和美 他:「パソコンによるスプライン関数」,東京電機大学出版局 (1988) 平滑化スプライン[1]とHOSによる電子エネルギー分布の求め方 HOSの結果から数点抽出して一本線で結び,電子エネルギー分布とする ① 各binごとにHOSによって分布を求める ② 各bin当り40個の点を抽出(境界では平均値を使用) ③ 点を3次の平滑化スプラインで結び,電子エネルギー分布とする [1] 吉村 和美 他:「パソコンによるスプライン関数」,東京電機大学出版局 (1988) 平滑化スプライン[1]とHOSによる電子エネルギー分布の求め方 2つの点 HOSの結果から数点抽出して一本線で結び,電子エネルギー分布とする ① 各binごとにHOSによって分布を求める ② 各bin当り40個の点を抽出(境界では平均値を使用) ③ 点を3次の平滑化スプラインで結び,電子エネルギー分布とする [1] 吉村 和美 他:「パソコンによるスプライン関数」,東京電機大学出版局 (1988) 平滑化スプライン[1]とHOSによる電子エネルギー分布の求め方 2つの点 HOSの結果から数点抽出して一本線で結び,電子エネルギー分布とする ① 各binごとにHOSによって分布を求める ② 各bin当り40個の点を抽出(境界では平均値を使用) ③ 点を3次の平滑化スプラインで結び,電子エネルギー分布とする [1] 吉村 和美 他:「パソコンによるスプライン関数」,東京電機大学出版局 (1988) 平滑化スプライン[1]とHOSによる電子エネルギー分布の求め方 3次の平滑化スプライン g (x) 3 i 2 ( j ) g ( ) p1 ( ) bi P ( ) i 1 j i i, j j n2 ( j ) 0 ( ) 3 ( j ) ( j ) 3 j Pi , j ( ) ( j )( j 1 )( j 2 ) /( i j ) HOSの結果から数点抽出して一本線で結び,電子エネルギー分布とする ① 各binごとにHOSによって分布を求める ② 各bin当り40個の点を抽出(境界では平均値を使用) ③ 点を3次の平滑化スプラインで結び,電子エネルギー分布とする [1] 吉村 和美 他:「パソコンによるスプライン関数」,東京電機大学出版局 (1988) 平滑化スプライン[1]とHOSによる電子エネルギー分布の求め方 3次の平滑化スプライン g (x) 3 i 2 ( j ) g ( ) p1 ( ) bi P ( ) i 1 j i i, j j n2 ( j ) 0 ( ) 3 ( j ) ( j ) 3 j Pi , j ( ) ( j )( j 1 )( j 2 ) /( i j ) HOSの結果から数点抽出して一本線で結び,電子エネルギー分布とする ① 各binごとにHOSによって分布を求める ② 各bin当り40個の点を抽出(境界では平均値を使用) ③ 点を3次の平滑化スプラインで結び,電子エネルギー分布とする [1] 吉村 和美 他:「パソコンによるスプライン関数」,東京電機大学出版局 (1988) 計算条件 SST実験における電子の挙動を追跡 E/p = 400 Td CF4[1] (0 ℃, 1 Torr) x Cathode 2.0 cm Anode 初期電子数:SS = 500,000 個,HOS = 50,000 個(SSの1 / 10) 初期エネルギー分布:平均1 eVのMaxwell-Boltzmann分布 bin 幅:SS = 0.04 eV, HOS = 5.0 eV [1] H.Itoh et al. : T.IEE Japan. 116-A (1996) 328. MURORAN INSTITUTE OF TECHNOLOGY 電子エネルギー分布の空間変化のサンプリング SS (n0 = 500,000, D = 0.04 eV) present (n0 = 50,000, D = 5.0 eV) 0.16 x = 0.0~0.01 cm 0.4 energy energy densitydistribution distribution energy densitydistribution distribution energy 0.5 陰極近傍 0.3 0.2 0.1 0.0 0 5 10 15 20 25 energy [eV] electron energy[eV] 30 35 0.12 陰極近傍 0.10 0.08 0.06 0.04 0.02 0.00 0 40 x = 0.10~0.11 cm 0.14 5 10 15 20 25 energy [eV] electron energy[eV] 30 35 40 distribution(×10 energy energy density distribution (x10 ) ) 平衡領域 60 40 20 0 0 5 10 15 20 25 energy [eV] electron energy[eV] 30 35 x = 1.99~2.00 cm -3-3 x = 1.20~1.21 cm -3 distribution(×10 energy energy density distribution (x10 )-3) 80 80 40 60 陽極近傍 40 20 0 0 5 10 15 20 25 energy [eV] electron energy[eV] 30 35 40 電子エネルギー分布の空間変化の比較 初期電子数 Standard Sampling・・・ 500,000 個 今回開発した方法・・・ 50,000 個 (SSの1 / 10) 電子エネルギー分布の空間変化の比較 陰極近傍 陰極近傍 ① 0.4 0.3 0.2 0.1 0 5 10 15 20 25 electron energy[eV] 30 0.12 0.10 0.08 0.06 0.04 0.02 0.00 0 40 K 40 20 0 2 x 5 10 15 20 25 electron energy[eV] 15 20 25 electron energy[eV] 30 35 40 30 35 ④ -3 60 0 10 80 ③ 80 energy density distribution (x10 ) ④ 0.01 5 陽極近傍 -3 energy density distribution (x10 ) A ③ 40 平衡領域 ② 0 35 ② 0.14 0.0 E 0.16 ① energy density distribution f ( ) energy density distribution 0.5 40 60 40 20 0 0 5 10 15 20 25 electron energy[eV] 30 Standard Samplingの10分の1の追跡電子数で,平衡および非平衡領域の いずれにおいても,よく一致する結果が得られた オーバーラップサンプリングなしで,連続した分布が得られた 35 40 まとめ HOSと平滑化スプラインの組合わせによる電子エネルギー分布の 新しいサンプリング方法を開発した 電極間の各位置に対する電子エネルギー分布を比較し, どの位置に対しても良く一致する結果が得られることが わかった 今回開発したサンプリング方法によって,Standard Samplingの1 /10 の追跡電子数で同様な結果が得られること がわかった 今回開発したサンプリング方法によって,オーバーラップサンプ リングなしで連続した電子エネルギー分布が得られることがわ かった MURORAN INSTITUTE OF TECHNOLOGY
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