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S=-2の系におけるX線・g線分光
実験計画
XiX Collaboration (J-PARC E03)
実験代表者:谷田 聖(京都大学)
2007年3月2日
「ストレンジネスとエキゾティクス」研究会@鳥羽
J-PARC E03 collaboration
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Kyoto University
– S. Dairaku, H. Fujimura, S. Hiraiwa, K. Imai, S. Kamigaito, K. Miwa,
A. Okamura, A. Sato, K. Senzaka, K. Tanida (spokesperson), C. J. Yoon
Brookhaven National Laboratory
– R. E. Chrien
China Institute of Atomic Energy
– Y. Y. Fu, C. P. Li, X. M. Li, J. Zhou, S. H. Zhou, L. H. Zhu
Gifu University
– K. Nakazawa, T. Watanabe
KEK
– H. Noumi, Y. Sato, M. Sekimoto, H. Takahashi, T. Takahashi,
A. Toyoda
JINR(Russia)
– E. Evtoukhovitch, V. Kalinnikov, W. Kallies, N. Karavchuk,
A. Moissenko, D. Mzhavia, V. Samoilov, Z. Tsamalaidze,
O. Zaimidoroga
Tohoku University
– O. Hashimoto, K. Hosomi, T. Koike, Y. Ma, M. Mimori, K. Shirotori,
H. Tamura, M. Ukai
実験の概略
• X-atom のX線を測る世界初の実験
– X-A の Optical Potential の直接測定
• Fe(K-,K+) 反応による X- 生成 → 静止 X- → X線測定
Fe target
K-
K+
XX ray
• 方法の確立を目指す
– 数多くのX線測定で、 XA相互作用の解明へ
– ダブルL核のg線分光にもつなげていきたい
目指す物理
• S=-2でのstrangeness
nuclear physics
– 初めてhyperon-hyperon
相互作用が現れる
• ここがわからないとmulti
strangeness系に行けない。
– 非常にdynamicな
システムなのでは?
• Large baryon mixing?
質量差に反比例
• XN-LL-SSが混ざった状態
としてのHダイバリオン?
• ほとんどわかっていない。
 J-PARCでの中心課題
X 系の重要性
• XN (有効)相互作用
– 例: XN  LL はどれだけ強いか?
• H dibaryonの存在と関連
• LL-hypernucleiにおいて、どれだけXNは混ざるか?
– One meson exchange 模型では交換相互作用が禁止
• 質量依存性はどうか?
• 中性子星への影響
– X- は負の電荷を持つので、中性子星では早く現れるかも
• XA 相互作用、特にその質量依存性が大事
– S- が重要であると考えられてきたが、核内で強い斥力を受け
ることがわかってきた。
実験の原理
• 原子 – 波動関数を精確に計算可能
• 1次摂動
E   | X (r ) |2 U X (r )dr
– Optical Potential の形を仮定
すれば、1つの測定でその強さ
は決定可能。
– 数多くのデータがあれば、形も
決定できる。
– 1次摂動が良い近似でない場合
でもこれは成り立つ
• 直接測定できる(ただし主に周辺部にのみ敏感)
 X 原子核のSpectroscopy
• p-, K-,`p, S- に対して実績ある、強力な手法
Energy (arbitrary scale)
...
l=n-3
l=n-1 (circular state)
l=n-2
...
Z
nuclear absorption
...
...
X
Z
l (orbital angular momentum)
X ray energy shift – real part
Width, yield – imaginary part
X
ターゲットの選択
• Physics view: Batty et al. PRC59(1999)295
– あるX線に対して、最適なターゲットが存在する
• 始状態での吸収は十分弱い
• X線のエネルギーシフトと幅が最大 (~1 keV)
– n=3,4,7,9のそれぞれに対して、9F, 17Cl, 53I, 82Pbを提案
n:43
54
65
76
87
98
109
F(Z=9)
Cl(17)
Co(27)?
?
Y(39)?
?
I(53)
Ho(67)?
?
Pb(82)
131 (keV)
223
314?
?
394?
?
475
518?
?
558
• 最適なターゲット: Optical Potentialによって決まる
 最初の実験の前にはわからない
最初の実験では・・・
• 実験的な理由で決める  鉄を選択
– 生成率: A-0.62 (断面積がA0.38でスケール)
– Xの静止確率: 高密度(r~10 g/cm3)のターゲットが必要
(X- range: 10-20 g/cm2, bgct ~ 2cm)
– ターゲットによるX線の吸収: significant at large Z
 小さなZ(A)、でも高密度が必要
• 小池さんによる計算: 鉄の n=6  5 遷移
– Woods-Saxon potential: -24 - 3i MeV
– Energy shift: 4.4 keV, width: 3.9 keV
– 静止 X- あたりの収量: 0.1 (核による吸収がなければ~0.4)
実験のセットアップ
K1.8 beamline of J-PARC
+
(K ,K )反応の測定
K-
K+
1.8 GeV/c
1.4x106/spill (4s)
• KEK-PS K2ビームラインで使われてきたもの
• Large acceptance (~0.2 sr)
X線測定: Hyperball-J
• ゲルマニウム検出器~40台
• PWO anti-Compton
• ピーク効率
– 16% at 284 keV
• 高レート耐性
– < 50% deadtime
• キャリブレーション
– In-beam, frequent
– 精度 ~ 0.05 keV
• エネルギー分解能
– ~2 keV (FWHM)
収量と実験精度の見積もり
• ビーム量: 1.0x1012 (800時間)
• X- の収量:
– 生成量: 3.7×106
– 静止: 7.5×105
• X線の収量: 2500 for n=65 transition
– 7200 for n=76
• 実験精度
– エネルギーシフト: ~0.05 keV (systematic dominant)
 予想されるシフトに対して十分 (~1 keV)
< 5%の精度になる
– 幅: ~ 1 keVくらいまでは直接測れる
X線の収量から、さらに情報が得られる。
予想X線スペクトル(1)
n= 65
shift & width
0 keV
予想X線スペクトル(2)
n= 65
shift & width
4 keV
ダブルL核のg線測定(?)
• stop X-あたり1%ぐらいの強度のg線まで観測可能
 ダブルL核のg線が見えないか?
• ダブルL核はどれくらいできるのか?
– トータルでは~10%程度
– 12Cターゲットの場合の平田氏らの計算では、11LLBe, 10LLBe
がそれぞれ3%ずつ
 鉄でも多い核は3%かそれ以上できると期待
• Lは高い励起状態にできる。
– Xが角運動量(~5)を持ち込むことにも注意。
 g線放出は高確率で起こりそう
X
55Mn+p+X-
0(MeV)
-0.6
10.2
56Fe+X-
56Fe-X-
28 MeV
atom (n=6)
55Mn+LL
1-2個核子を放出
すれば、LLは十分
核内にトラップされ
る(~10%?)
Nuclear Auger/蒸発
による核子放出
(2~3個)
その後g線
-18
L
L
BL~21 MeV
×2
57
LLMn(g.s.)
-60
どのハイパー核?
•
LLMn から典型的には4つぐらい核子が抜けそう。
→ 53LLMn、53LLCr あたりか。
57
• 一番多くできるのは、single L ハイパー核
– これが最も困難なB.G.
– 一番できそうなのは、54,55LMn あたり。
– 実際には何が見えたかわからない?
• 通常核はReferenceがあるので識別可能。
希望はあるのか?
• 希望1: できる核は限られている。
– Q値から言って、できる核は数種類程度で、ある程度予測可能
– 12Cターゲットでの計算では10,11LLBeに強い集中が見られる。
→ どなたか計算できませんか?
• 希望2: うまく行くパターンがありうる。
– Double L核の基底状態付近では、Lは2つとも0s軌道にいて、
その自由度は死んでいる。
– 従って、強度の強い g 線はコアの脱励起によるもの。
うまく行く(かも知れない)パターン
g1
g2
• 期待: g1,g2のエネルギーは、コア核の場合と
ほぼ同じはず
– 2つのgがcoincidenceすることを示し、
– その両方とエネルギーが近いg線を出すコア核を探す
例:
•
56Fe
53
LLMnの場合
→ 57XMnから4つ中性子が抜けたことを想定
– コア核は51Mn
– Xが角運動量(L~5)を持ち込むため、スピンが比較的大きい
状態ができやすいはず。
第2励起状態
(Ex=1140 keV)
からは、86%の割合
で、第一励起状態
へのg線が出る。
理論屋さんにお願いしたいこと
• X線測定
– X線エネルギーの精密計算
– 各バリオン間相互作用モデルはどれくらいのエネルギーシフト
(幅)を予想しますか?特徴はどこに現れますか?最適なター
ゲットは何ですか?
• ダブルL核:どのハイパー核がどれくらいできそうか、計
算できませんか?
• 測定に成功したとして、その物理的意味は?
– 「コアの脱励起で、g線のエネルギーが余り変化しない」場合
にだけ測定ができるとして、それから何がわかりますか?
• 回転モーメントはどれだけ変わりそうですか?
• 偶偶核の 0+-2+-4+ が回転的振動的に変化したり、なんてことがあり
ませんか?
– LL相互作用が顔を出す、なんてことは?軽い核?
まとめと見通し
• X原子からのX線を測定する実験提案
– X-AのOptical Potential
– シリーズの最初の実験。世界初
– 実験手法の確立を目指す
• 最初の実験としては、実験のやりやすさを主に考えて鉄
をターゲットとして使用。
• X線エネルギーの測定精度 ~ 0.05 keV
– 予想されるエネルギーシフトに対して十分良い (~1 keV)
– 幅: ~ 1 keVまでは直接測れる。収量からの間接情報
• Byproduct: ダブルL核のg線分光
– 観測は多分可能
– IDがネックだが、うまく行く可能性はある
将来の見通し(希望)
• J-PARCのPACにおいて Stage2 Approval (full
approval!)を認められた。
– 実験に本質的困難はない。
• 2008年には準備ができている予定
– 2010年には最初の実験を行いたい。
• 最終のゴールは、各nから2つ程度のデータ
–
–
–
–
鉄の結果を見て、次のターゲットを選定。
全部では10点くらいのデータが得られる。
強さだけでなく、形の情報も得られる予定
見積もり通りなら、1-2週間で1つのターゲットの実験が可能
• もしダブルL核のg線が見える(そしてIDできる)なら、ダ
イアモンドターゲットを使った専用実験をやりたい
Backup slides
Summary of the experiment
• Produce X- by the (K-,K+) reaction, make it stop in
a Fe target, and measure X rays from X- atom.
Fe target
K-
K+
X-
• Physics:
X ray
– X-nucleus interaction (optical potential)
– Real part – shift of X-ray energy (up to ~10 keV)
Imaginary part – width, yield
• Sensitivity
– X-ray enerygy shift: ~0.05 keV
 Good for expected shift of O(1keV)
– Width: directly measurable down to ~ 1keV
X核Spectroscopyの問題点
• 主にコア励起の問題
– 2つ以上の状態がある場合、それらを分離できなければ、位
置・幅は正確に出せない。
– 特に幅を出す上で問題になる
– そもそもピークが分離できない
KEK-PS E369
場合さえある
KEK-PS E522
Yield estimation
Y=NK x sX x t x WK x eK x RX x RX x (1-hX) x eX x eo
• Beam: NK (total number of K-) = 1.0×1012
• Target:
– sX: (differential) cross section = 180 mb/sr
Taken from IIjima et al. [NPA 546 (1992) 588-606]
– t: target thickness (particles/cm2) = 2.6x1023
– RX: stopping probability of X in the target = 20%
(according to a GEANT4 simulation)
– RX: branching ratio of X-ray emission = 10%
(estimated by Koike)
– hX: probability of self X-ray absorption in the target = 58%
(GEANT4 simulation: mean free path for 284 keV X-ray is
~8 mm)
•
K+ spectrometer
– WK: acceptance = 0.2 sr
– eK: detection efficiency = 0.51
(taken from the proposal of BNL-AGS E964 )
•
X-ray detection
– eX: X-ray detection efficiency = 8%
[16% (GEANT4 simulation) x 0.5 (in-beam live time)]
•
Others
– eo: overall efficiency (DAQ, trigger, etc.) = 0.8
X-ray background
• Estimation based on E419
• E419: 8 x 10-5 counts/keV/(p+,K+), around 284 keV
– X-ray detection efficiency: x4
– Other effect: x2 (considering different reaction)
 ~2400 counts/keV
• Continuous BG is OK
• Line background might be a problem, though unlikely.
– there seem no strong lines in this energy from normal
nuclei around A=50.
– Completely unknown for (single) hypernuclei
– Even weak lines may deform the peak shape
Expected X-ray spectrum
1 keV
S1 eV
1 keV
4
1 eV
5
6
r(fm)
(weakly) attractive at peripheral
(strongly) repulsive at center