政策分析の視点と手法

政策分析の視点と手法
(いくつかのヒント)
11月12日
山本条太
政策を批判的に分析するには・・

批判対象の客観的な特定が前提
ブラックボックス⇒安易にインタビュー
⇒主観的情報と個人的感想の盲信

インタビュー対象者=組織の人間
⇒組織内の所掌に立って仕事をし
⇒組織内の力学の中で仕事をする

「誰に」「何を」尋ねるか
組織内所掌への着目と組織内力学のパターン把握

政策分析の視点⇒組織への着目


2003年の対イラク措置にどう対応するか(政策の企画
立案)
1 事態の分析
2 選択肢の特定と比較
3 判断
政策の調整=組織ごとの視点の調整
1 外務省(外交政策の視点)
2 経済産業省(通商産業政策の視点)
3 防衛庁(防衛政策の視点)
4 内閣官房(政策全般の視点)
組織への着目
⇒組織単位と位置づけへの着目


外交政策の視点(外務省)
「関係局課」の選択=視点の選択
-北米第一課(北米局)
-日米安全保障条約課(北米局)
-中東アフリカ局中東第二課(中東アフリカ局)
-国連政策課(総合外交政策局)
-条約課(条約局)
-法規課(条約局)
-総政局総務課(総合外交政策局)
視点の単位=組織の単位
視点調整の力学=組織内の位置付け
外交政策の視点
全般的調整
米国との関係
全般的調整
政治的関係
国連との関係
軍事的関係
中東との関係
イラク等との関係
法的視点
安保条約等との関係
国際法一般との関係
応用:組織法令と所掌事務に注目

日本の環境政策の推移を見るためには・・
⇒組織の変遷を見る

日本のPKO政策の限界を見るためには・・
⇒関係部局の所掌事務を見る

組織改変があったなら・・
⇒視点の変更があったと考える

タスクフォース型組織ができたらば・・
⇒視点の否定が模索されていると考える
応用:国連政策課の視点(安保理の動
向を占うための視点抽出)
安保理
議長国
国連事務局
常任理事国
出先と本国
非常任理事国
出先と本国
アジア2
アフリカ3
ラ米2
東欧1
WEO2
「組織」に由来する当然の予想
~外部関係と内部関係

外部関係上の当然力学
☆ 形式的関係
国連憲章
憲章理念の進展
★ 実質的関係
他の国連機関
資源提供国(派遣等)
措置実施国(制裁等)

内部関係上の当然力学
☆ 形式的関係
一般的構成
作業手続
大使と本国
★ 実質的関係
実際の構成
作業環境
組織の力学+事例の集積
⇒パターン化の可能性




組織力学~前例踏襲(理論的可能性)
事例集積~前例踏襲(実際の発動)
前例踏襲⇒パターン化の促進
パターンの発見
「通常対応」と「変則的対応」との識別
「変則性」の画定→詳細分析の対象特定
パターン性の強弱認定

「組織性」の評価
制度的チェック機能あり?

集積性+定型性
多数事例に同様の対応?
反応の速さ?
コンセンサス?
文書に反映?・・・用語法に要注目

変則性への対応
復元力?・・・「事後」に要注目
特殊性の意識?・・・用語法に要注目
組織とパターン
インタビューへの応用(誰に聞くか)
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


単なる実施者ではなく企画立案者
素案作成者ではなく調整への参加者
調整過程の出口に近い組織(案件の相対的位置付
けを気にする組織)
アイデア提出者でなく文書作成・調整者(政策の整合
性・変則性は文書に結実)
~ 事前に組織図を見る、所掌を見る(最小単位まで)
・・・最悪の選定~関係政策の単なる実施者
組織とパターン
インタビューへの応用(何を聞くか)
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調整過程概要(どの組織が参加、どんな流れ)
関係組織(所掌は、構成は)
前例参照のポイント(誰のファイルから?)
通常対応か特殊対応か(どのファイルに?)
調整過程における文書変化(キーワード変化)
~ 関係組織を特定する(conspicuous absenceあり)
~ 前例意識(事前事後)と文書化の過程に着目する
・・・最悪の質問~動機のみの究明に固執
案件のインプリケーションを見失う早道
応用(たとえば)


安保理決議××の政策的意義を調べたい
- 事前準備~類例との決議文言の比較
- 誰に?(英仏のリーガルアドバイザー)
- 何を?(決議△△と違う文言なのはなぜ?)
ロシアの対◎◎政策の現状を調べたい
- 事前準備~首脳会談の案件だったか調査
- 誰に?(ロシア外務省の政策企画局)
- 何を?(関係組織、前例意識は?)
⇒本人に聞けないなら? 本人と密接している人に聞く
⇒○○について誰が御存知?→次への足がかり
応用(当たりをつけて次につなげる)
※ 日頃から何を気にしておくか
 組織図+レベル+調整枠組みの把握
 この手の話は通常どのような調整過程?
※ インタビューの始まりはなるべく上から出口から
 より核心の「人」を見つけ近づいていく
 相手の位置付け=調整過程概要を尋ねてみれば・・
※ 内容を聞くか、人探し情報を聞くかの区別