駿河湾の地震の震源過程と 1

Young-Seog Kim and David J. Sanderson, 2004, Earth Science Reviews
纐纈研M2
横田裕輔
09/10/19
dmax
L
H
:断層上の最大変位
:断層の長さ
:断層の高さ
dmaxとLの関係性は
断層形状が,異なった長さスケールで
どのようになるかを理解する為に考えられてきた
1つの領域のデータセットだけでは長さスケールに限界があるため,
通常複数の領域のデータセットを用いる
データ収集の手法の違い(fieldデータと地震反射データなど)によって
一貫した議論に難を残す
dmax –L関係を制御する要素を本論文では列挙していく
これらの要素がどのようにdmax –L関係に影響し,
断層データの統計的解析にどのように考慮されるべきか...
dmax
L
H
:断層上の最大変位
:断層の長さ
:断層の高さ
断層のサイズの測定も様々な方法で行われてきた
(dmax, L, Hなどで) __Walsh et al., 2003a
断層のすべり量とはそもそも断層表面上で異なっている
→dmaxは断層中心付近
dmax
L
H
:断層上の最大変位
:断層の長さ
:断層の高さ
断層変位量の研究は,
断層上のすべり伝播過程,成長,変化の研究にも用いられている
__ Walsh and Watterson, 1987, 1988; Cowie and Scholz, 1992a,b;
Bu¨rgmann et al., 1994; Peacock and Sanderson, 1996;
Schultz, 2000; Kim et al., 2001a,b; Wilkins and Gross, 2002
断層変位量の蓄積の対する3次元断層モデルの
構築が予測に必要
__ Peacock, 2002
断層の変位量を支配するファクターを
決定する事は,断層成長に適したモデルを求めることに必要
__ Bu¨rgmann et al., 1994; Wilkins and Gross, 2002
dmax
L
H
:断層上の最大変位
:断層の長さ
:断層の高さ
断層は長さスケールによらず
これは
ある一定のdmax/Lを持つと提案された
Gillespie et al., 1992
__ Cowie and Scholz,測定の誤差__
1992b;
Cowie and Scholz, 1992b
Dawers et al., 1993; 物性やテクトニックの環境__
Scholz et al., 1993; Anders and
地層の環境__
Schlische, 1994; Dawers
and Anders,Schultz
1995 and Fossen, 2002
運動の相互作用__ Peacock, 1991; Peacock and Sanderson, 1991;
観測される断層の長さスケールに限界があり,
Bu¨rgmann et al., 1994; Cartwright et al., 1995; Wojtal,
dmax/L散布図もlogプロットされているようにバラバラである
1996; Willemse et al., 1996; Willemse, 1997
伝播過程__Peacock and Sanderson, 1996,reactivation__Kim et al.,
2001a,本質的なスケールの変化__Watterson, 1986; Wojtal, 1994,
このように多くの別環境によるデータセットを使用する以上,議論を差し
1996; Grosset al., 1997
挟める余地が多い
などによると考えられている
__Scholz and Cowie,
1990; Pacheco et al., 1992; Cowie and Scholz,
1992b; Wojtal, 1994; Clark and Cox,
dmax1996
/Lを正しく求めるために…
dmaxとLの相関関係
考慮しやすい断層面の用語の定義
Lの測定
dmaxの測定
解析精度と断層端の欠損
Cut effect
ダメージゾーン
抵抗と回転
dmax/L比の一般的な見解とコントロールファクター
dmax/L比と断層成長過程(モデル)の関係
dmaxとLの相関関係
考慮しやすい断層面の用語の定義
Lの測定
dmaxの測定
解析精度と断層端の欠損
Cut effect
ダメージゾーン
抵抗と回転
dmax/L比の一般的な見解とコントロールファクター
dmax/L比と断層成長過程(モデル)の関係
L(断層長)の定義:
1.断層上のすべり方向に平行に測定した長さ
2.地図上でのトレース長・水平方向に最も長い長さ
(dip方向に測定された長さはH(断層の高さ)としている)
今,断層長をL(水平方向),
断層トレース(地図上)の長さをL’,
高さをH,
断層トレースの高さをH’と考える
__ Willemse et al. (1996)
とほぼ同じ(右図)
ただし,断層の最長方向が
水平でない場合は難しい
__ Walsh and Watterson (1988)
R~L/2を導入(断層端から最大すべりの地点(dmax)までの距離)
すべり方向や断層タイプを推定できれば,
すべり方向の断層の長さ,トレース長が決められる
すべり方向の断層の長さ=U
⇒横ずれ断層ではL=Uで断層長そのもの
⇒逆・正断層ではL≠Uで断層長そのものには
ならない
__Schultz and Fossen (2002)
断層のL,H,アスペクト比に断層上の変位は依存すると考える
→ 楕円断層モデルとするべき
(アスペクト比が大きくなるようなケースではdmaxが小さくなる)
断層が伸びてL>>Hのケースは圧倒的にdmax/L比が小さくなる
...はずが実際にはそうなっていない
断層長を推定・決定する手法の多くは,あるしきい値(r)を超えて解析される
右図のように断層長をロストしてしまう
図のようなすべりと断層の関係である時,
であり,dmaxは変わらず,Lだけ過小となるため,
下図のようなプロットとなる
10m程度のズレによる分解能では
250-1000m程度の断層長のロストを起こしかねない
(数km以下程度の断層長の時には留意)
__Pickering et al. (1997)
他にも炭鉱に表出した100mmより大のズレ,
50m程度の断層長では極めて大きく影響した
__Walsh and Wattrson (1988)
断層周囲のダメージゾーンはdmax/L比に2つの重要な影響を及ぼす
1.断層端やlinkage zoneは見かけの変位を複雑化
2.ダメージゾーンが断層端に形成されて,長さ(L)の測定に影響
断層の中心部とすべり量の相関関係があるということと共に
ダメージゾーンのサイズとすべり量の相関関係があると認識されている
__ Knott et al., 1996; Shipton and Cowie, 2001
2次断層や細かな破砕帯の部分
ダメージゾーンと(断層長さ)^2の関係:
様々な大きさの断層できれいな比例関係
ここではstrike-slipのみ考慮
dmaxとLの相関関係
考慮しやすい断層面の用語の定義
Lの測定
dmaxの測定
解析精度と断層端の欠損
Cut effect
ダメージゾーン
抵抗と回転
dmax/L比の一般的な見解とコントロールファクター
dmax/L比と断層成長過程(モデル)の関係
観測と理論から断層すべり量は境界のある断層面の全域に3Dに分布
ところがどっこい,多くのデータセットは2Dで,断層トレースに沿ってdmaxを推定
正断層
逆断層
Errorが出やすい←
slipベクトルがdip,strikeの両者の成分を含む場合など
横ずれ断層
変位量
断層
Cut effect
x
1000, 300, 100m
X=0.05…0.95
トレースからの考慮では,
このように下がることも
地層の乖離の観察による変位量には延性の抵抗が影響する
__Walsh et al.(1996)
1.伸長
2.剪断歪
3.延性引張り
4.褶曲地層での延性のある変位や地層の拡大
リレーゾーン
地層の乖離
リレーゾーンの大きな変位勾配は地層の回転,抵抗による
__Peacock and Sanderson, 1991; Anders and Schlische, 1994; Nicol et al., 2002
リレーゾーン内の断層すべりの減少と断層の回転と折れ曲がりの増加が相関を持つ
__ Nicol et al. (2002)→断層と折れ曲がりの運動学的関係を示唆
抵抗の効果は変位の減少に関係し,別々のデータセットによる研
究の評価には留意が必要:
摩擦抵抗がdmax/L比の減少に寄与する__Gross et al. (1997)
dmaxとLの相関関係
考慮しやすい断層面の用語の定義
Lの測定
dmaxの測定
解析精度と断層端の欠損
Cut effect
ダメージゾーン
抵抗と回転
dmax/L比の一般的な見解とコントロールファクター
dmax/L比と断層成長過程(モデル)の関係
n=2.0, Watterson, 1986; Walsh and Watterson,1988;
n=1.5, Marrett and Allmendinger, 1991; Gillespie et al., 1992;
n=1, Cowie and Scholz, 1992a,b;Dawers et al., 1993; Scholz et al., 1993; Clark
and Cox, 1996; Schlische et al., 1996;
n=0.5, Fossen and Hesthammer, 1997
n=1: スケーリング則(self-similarity)
⇒c= dmax/L
n≠1: スケール依存の幾何学が支配
多くの環境の違うデータがあるため,
正・逆・横ずれ断層で分離↑
資料の影響,
テクトニック環境,
断層の歴史的背景・岩石学的背景
などなどデータセットに依存するものがある
物性
断層(観測そのもの)のパラメータ
地震時の動的特徴
Segmentation and Linkage(6)
Reactivation(6)
メカニズムの違いや岩石との接触が小断層の広が
りを抑制する__Rippon, 1985; Wilkins and Gross,
2002) ; Bu¨rgmann et al.,1994
dmaxは断層が岩石通過する影響を受ける
(小断層でより影響するはず)
__Steen and Andresen(1999); Wilkins and
Gross (2002)
⇒図に見られるような特徴はない
dip-slipではstrike-slipよりもdmax/L
が小さくなる
断層すべりの平行方向に断層長を
測定できるため大きくなっている?
→結局不明
断層長と変位量の関係は一定
より断層長が長くなるとdmax/Lが大
きくなっているようにも見られる
相互作用・ひずみの局所化が断層
が大きくなると影響してくるの
か...
dmaxとLの相関関係
考慮しやすい断層面の用語の定義
Lの測定
dmaxの測定
解析精度と断層端の欠損
Cut effect
ダメージゾーン
抵抗と回転
dmax/L比の一般的な見解とコントロールファクター
dmax/L比と断層成長過程(モデル)の関係
地震規模はすべりの大きさ・断層規模に関係する
__Utsu and Seki, 1954; Utsu, 1969; Kanamori and
Anderson, 1975; Wyss, 1979; Singh et al., 1980;
Purcaru and Berckhemer, 1982; Scholz, 1982;
Wesnousky, 1986; Darragh and Bolt, 1987; Wells
and Coppersmith, 1994
u
Ls
Wells and Coppersmith, 1994
102  101
Kim and Sanderson, 2004
これらの差異は1つの断層でイベントが
103回程度(数多く)起こっているということ
105  104
Wells and Coppersmith, 1994
断層とは...2つのモデルを示す
断層とは...
1つの滑らかな連続した表面を持った面
(すべりが大きくなると断層面も増加する)
__ Watterson, 1986;
Walsh and Watterson, 1987, 1988; Marrett and
Allmendinger, 1991; Cowie and Scholz, 1992a,b
断層とは...
1つ1つの断層が連結して成長していく
(segmentation and linkage)
__ Segall and Pollard, 1980; Ellis and Dunlap, 1988;
Martel et al., 1988; Peacock and Sanderson, 1991;
Cartwright et al., 1995; Kim et al., 2000
Kim et al., 2000
1つ目;1断層の成長_モデル
イベントと共に発生するすべりの蓄積によって断層は成長する
__ Walsh and Watterson, 1987; Cowie and Scholz,1992a,b; Bu¨rgmann et al., 1994
イベント数の増加に従って,変位-距離関係とdmax/L比が
円熟に至った断層系と主張
__Walsh et al., (2002)
イベント分布・断層の広がりに依存していく
__Peacock and Sanderson, 1996
Filbrandt et al. Walsh et al.
(1994)
(2002)
Log-logプロット
連結モデル__ Peacock and
Sanderson, 1991; Cartwright
et al., 1995; Kim et al., 2000
小さくて
dmax/L比が断層 断層成長に
孤立した断層 長と共に増大 依存しない
2つ目;連結成長_モデル
事ここに至って断層成長より
すべりにシフトする
様々な方向に成長
__ Peacock, 1991; Peacock and Sanderson, 1991;
Cartwright et al., 1995; Willemse et al., 1996; Kim et
al., 2000, 2001b; Wilkins and Gross, 2002
2つ目;連結成長_モデル
2つ目;連結成長_モデル
アレイ(塊;リレーゾーンなどでの)があると,
図のように部分的にすべりが大きくなる
reactivation(再活性化)
応力環境の変化・テクトニック環境の変化に
よってそれまでのすべりの反対方向のセンス
がある場合がある(reactivation)
__Kelly et al., 1999; Kim et al., 2001a
⇒ dmax/L比を減じる(右図)
Crackington Havenのreactivation
右ずれ断層たち
102  101
1. dmaxとLには下の相関関係があ
り,多くの観測からはn=1と考えられ
る
2.考慮しやすい断層面の用語とし
て,
右図のように考えて,
L:断層長,H:断層の高さと呼ぶ
3.違う環境,観測によって得られた
データセットが多くまとめて考慮,プ
ロットするケースでは留意が必要
4.断層長を小さく見積もる可能性がある
(断層中心を通らないトレースやダメージゾーンによる)
5.最大変位量を小さく見積もる可能性がある
(断層中心を通らないトレース・抗力・separation)
6. dmax/L比は横ずれ断層が一般的
に大きくなる
(すべり方向に水平な断層である)
7. dmax/L比はほとんど>10-3であるが1つのイベントに限れば<10-4と
なってイベントが蓄積して見かけのdmax/L比が大きくなっている
8.図のように断層の成長過程の途上でdmax/L比は変化する
特に図のStage2では他に比べて小さくなり,プロットは散らばる
9.断層は成長過程で複雑な過程を辿るため,
reactiovationによってdmax/L比が小さくなることもある