アジェンダ

静岡大学大学院情報学研究科情報学専攻
湯浦研究室修士2年
原野 朱加
平成25年度修士論文審査会
目次
1.背景と目的
2.本研究のアプローチ
3.初期手法の設計
4.手法の評価及び評価に基づく手法改善
5.実地検証
6.考察
7.総括
2014/2/18
2
平成25年度修士論文審査会
1.背景と目的|ショッパー・マーケティング
ショッパー・マーケティング
マーケティングの対象を消費者ではなく,購買者(ショッパー)とした方法.
「行動の深い理解に基づくマーケティング活動の全版であり,ショッパーを惹きつけ,
購買決定に導くことを目的とする」(米国:Grocery Manufactures Association)
マーケティング支出に占める
ショッパー・マーケティングの構成比
買物同行調査
10%
構成比(%)
主な事例
8%
8%
7%
6%
4%
ID-POS(会員カード)
3%
2%
0%
2004年
2007年
2010年
引用:Advertising Age, What's in Store: The Rise of
Shopper Marketing, Advertising Age, 2007, pp. pp.1-3.
2014/2/18
アイトラッキング
3
平成25年度修士論文審査会
1.背景と目的|データ活用マーケティング
データ活用マーケティングへの期待と不安
データ活用の一つでもある「ビッグデータ」事業が重要検討課題であるとする企業
は半数を超える一方で,その具体的なビジネス価値を見いだせない企業がおおい.
引用:2012年株式会社野村総合研究所「ビッグデータの利活用に関するアンケート」
2014/2/18
4
平成25年度修士論文審査会
1.背景と目的|データマイニングとCRISP-DM
データマイニング
膨大なデータに埋もれる興味深い知識の発見を目的とし,データベース管理,統計
学,機械学習などの技術的基盤に持つ学際領域 ,および技術のこと
CRISP-DM(CRoss-Industry Standard Process for Data Mining)
データマイニングのための標準プロセス.
データ分析者とビジネス遂行者が相互協力し,探索的にデータの活用手法を構築する.
相互協力
CRISP-DM
データ分析者
ビジネス遂行者
引用:SPSS, “CRISP-DM 1.0 step by
step data mining guide,” 9 3 2004
2014/2/18
5
平成25年度修士論文審査会
1.背景と目的|まとめ
本研究の目的
ショッパー・マーケティングを題材に,探索的なデータ活用手法構築プロセスを提
案,実証することにより,日本のショッパー・マーケティングの発展とデータ活用
のビジネス価値創造のためのプロセスを示すことを目的とする.
ビジネス的価値を探索
〇〇が知りたい
△△の売り場を改善したい
どんな手法?
どんなアウトプット?
相互協力
データ分析者
データの可能性を探索
ビジネス遂行者
(ショッパー・マーケティング)
プロセスを具体化し,ショッパー・マーケティングに適用する
2014/2/18
6
平成25年度修士論文審査会
2.研究のアプローチ
本研究で用いる「手法構築プロセス」
CRISP-DMの考えを具体化した手法構築プロセスを設計(以下図)し,実行した.
2014/2/18
データ
分析者
手法設計
ビジネス
遂行者
データ
分析者
手法評価及び評価に基づく改善
ビジネス
遂行者
データ
分析者
実地検証
ビジネス
遂行者
データ
分析者
手法構築完了・運用へ
ビジネス
遂行者
7
平成25年度修士論文審査会
2.研究のアプローチ|分析対象
棚前行動データ
今回はまだショッパー・マーケティング事例の少ない棚前行動データを使用した.
使用したデータは株式会社ミディーから提供していただいた.
▼ミディー社
データ取得方法
▼棚前行動データ例
798
棚前 商品接触まで
滞在時間
の時間
0:00:08
0:01:37
0:00:46
ハダラボ
838
0:00:02
0:01:37
0:00:54
ハダラボ
2100
0:00:04
0:01:37
0:00:59
ハダラボ
838
0:00:24
0:01:16
0:00:09
極潤ミスト詰替え45ml ハダラボ
798
0:00:04
0:01:16
0:00:40
バリアリペア
1280
0:00:07
0:01:16
0:01:07
ナリスアップ
880
0:00:04
0:00:24
0:00:11
ウルリ
880
0:00:09
0:01:15
0:00:02
モイスタージュ
698
0:00:10
0:04:10
0:00:43
980
0:00:05
0:04:10
0:00:50
商品名
No
ブランド名
306 肌研
極潤ミスト詰替え45ml ハダラボ
306 肌研
極潤ミスト45ml
306 肌研
極潤美容液30g
307 肌研
極潤ミスト45ml
307 肌研
307 BR
モイストクリーム40g
308 うるおい屋
309 うるり
クリーム47g
高保湿液
310 モイスタージュ
310 肌研
200ml
210ml
極潤ヒアルロン液70ml ハダラボ
価格
接触時間
その他,カテゴリー,返品フラグ,カゴ/カートの有無,性年代などを収集
している
2014/2/18
8
平成25年度修士論文審査会
2.研究のアプローチ
本研究で用いる「手法構築プロセス」
CRISP-DMの考えを具体化した手法構築プロセスを設計(以下図)し,実行した.
2014/2/18
データ
分析者
手法設計
ビジネス
遂行者
データ
分析者
手法評価及び評価に基づく改善
ビジネス
遂行者
データ
分析者
実地検証
ビジネス
遂行者
データ
分析者
手法構築完了・運用へ
ビジネス
遂行者
9
平成25年度修士論文審査会
2.研究のアプローチ
段階1:手法設計
基礎となる初期手法を設計する.
初期手法はデータ分析者が主にかじを取り,
データ解析上,有効な分析手法を設計する.
今回は,以下4フェーズの組み合わせを
初期手法とした.
▼初期手法|分析ステップ
トランザクショ
ンデータ処理
2014/2/18
クラスタリング
購買要因分析
仮説構築
施策の実施
10
平成25年度修士論文審査会
2.研究のアプローチ
段階2:手法評価及び評価に基づく改善
初期手法が統計的に有意なものであるかだけ
でなく,ビジネス活用上有効であるかをビジ
ネス遂行者と協力して,評価する.
評価はCRISP-DMに基づいた「評価サイクル」
を繰り返すことで実施し,適宜手法の改善を
行う.
▼評価サイクル
2014/2/18
11
平成25年度修士論文審査会
2.研究のアプローチ
段階3:実地検証
設計・評価改善してきた手法を使って,実地
検証を行う.
ヘアケア売り場データを使って分析を行い,
結果から仮説を構築,提案,店舗の改装,観
察を行った.
▼実地検証ステップ
事前分析
2014/2/18
仮説構築
施策提案
店頭準備
施策の
テスト実施
検証分析
12
平成25年度修士論文審査会
4.手法評価および評価に基づく改善
評価サイクルの概要
ミディー社
ビジネス遂行者
データ分析者
筆者
■評価項目
1サイクル
2014/2/18
妥当性の評価
・分析精度の評価
・マーケティング有用性の評価
汎用性の評価
・再現性
13
平成25年度修士論文審査会
3.初期手法の設計
ショッパー・マーケティングのための分析手法
トランザクション型データの棚前行動データを使って,最終的に施策の実施をゴー
ルとする分析手法を設計する.
トランザクショ
ンデータ処理
クラスタリング
(階層的クラスター
分析)
購買要因分析
(ロジスティック回
帰分析)
トランザクション型
データ
(アクションレコード)
陳列
トランザクション集計
後データ
(集約レコード)
POP
仮説構築
施策の実施
価格
表示
※2012年度S-PLUS学生奨励賞発表内容
2014/2/18
14
平成25年度修士論文審査会
4.手法評価および評価に基づく改善
評価サイクルの実施
初
期
手
法
2サイクル
妥当性の評価
(クラスタリング)
2サイクル
妥当性の評価
(購買要因分析)
1サイクル
汎用性評価
2014/2/18
改
善
後
手
法
15
平成25年度修士論文審査会
4.手法評価および評価に基づく改善
評価サイクルの実施
初
期
手
法
・分析精度の評価
プロファイル内容と映像の一致性
・マーケティング有用性の評価
クラスター区分とプロファイルの納得
理解しやすさ/使いやすさなど
2サイクル
妥当性の評価
(クラスタリング)
・分析精度の評価
統計的指標による確認
・マーケティング有用性の評価
因果関係の確認
理解しやすさ/使いやすさなど
2サイクル
妥当性の評価
(購買要因分析)
・再現性
他商材/多店舗データを使用し
た時に同じクラスターが再現
されるか
2014/2/18
1サイクル
汎用性評価
改
善
後
手
法
16
平成25年度修士論文審査会
4.手法評価および評価に基づく改善
評価サイクルの実施
初
期
手
法
・分析精度の評価
プロファイル内容と映像の一致性①
・マーケティング有用性の評価
クラスター区分とプロファイルの納得
理解しやすさ/使いやすさなど
2サイクル
妥当性の評価
(クラスタリング)
・分析精度の評価
統計的指標による確認
・マーケティング有用性の評価
因果関係の確認②
理解しやすさ/使いやすさ③等
2サイクル
妥当性の評価
(購買要因分析)
・再現性
他商材/多店舗データを使用し
た時に同じクラスターが再現
されるか
2014/2/18
1サイクル
汎用性評価
改
善
後
手
法
17
平成25年度修士論文審査会
4.手法評価および評価に基づく改善
改善例①プロファイル内容と映像の一致性
クラスター手法の変更
初
期
手
法
階層クラスター分析
クラスター数はデンドログラムを元に目視で判断.
■問題点
大きなサンプルサイズに対応していない.
非階層クラスター分析(k-means法)
改
善
後
手
法
2014/2/18
k-means法は,大きなサンプルサイズでも対応化.
ただしクラスター数を事前に決める必要があるため,今回は主成分分析の
プロット結果を元に目視で判断するよう変更.
18
平成25年度修士論文審査会
4.手法評価および評価に基づく改善
改善例②因果関係の確認
トランザクションデータ処理の単位変更
初
期
手
法
1ショッパー=1レコードとして集計
■問題点
一人のショッパーの棚前行動が煩雑で,1レコードとして集約すると購
買要因の因果関係がなくなる可能性がある.
1購買行動=1レコードとして集計
改
善
後
手
法
2014/2/18
購買要因分析のみ,1ショッパーであっても接触する商品群が明らかに変
化する場合,異なる「購買行動である」と判断し,別レコードに集計す
る.
No.
311
311
311
311
311
311
311
311
311
311
311
商品名
アスタリフト エマルジョン100ML
アスタリフト エッセンス 30ML
アスタリフト トライアルキット
アスタリフト アイクリーム15G
アスタリフト トライアルキット 美白
アスタリフト トライアルキット
ハンスキン BBパウダーパクト 12g
ハンスキン BBトータルクリーム 30ml
ハンスキン BBトータルクリーム 15ml
ハンスキン ブラミッシュカバー 10ml
ハンスキン BBパウダーパクト 12g
購買点数
0
0
0
0
0
1
0
0
0
0
1
ブランド
アスタリフト
アスタリフト
アスタリフト
アスタリフト
アスタリフト
アスタリフト
ハンスキン
ハンスキン
ハンスキン
ハンスキン
ハンスキン
サブカテゴリ(用途)
乳液
美容液
不明
不明
不明
不明
ファンデーション
クリーム
クリーム
不明
ファンデーション
サブカテゴリ(悩み)
ハリ・つや
ハリ・つや
ハリ・つや
ハリ・つや
美白
ハリ・つや
不明
不明
不明
不明
不明
19
平成25年度修士論文審査会
4.手法評価および評価に基づく改善
改善例③理解しやすさ/使いやすさ
購買要因分析における使用変数の変更
初
期
手
法
ショッパーの行動データのみを使用
■問題点
行動傾向は把握できるが,実際に店舗が実行している施策によるものか
わからないため,具体的な施策に結び付けづらい
商品情報の追加
改
善
後
手
法
2014/2/18
行動データに加え,「棚配置情報」「プライスカード情報」「POP情報」の
3つの商品情報を加え,モデルを作成した.
横位置
縦
位
置
プライスカード
POP
20
平成25年度修士論文審査会
5.実地検証
ドラッグストアでテスト実施
改善後手法を使って,改めて分析を行い,その結果からマーケティング仮説を立て
た.
その仮説を実際にドラッグストアでテストし,検証を行った.
実地検証ステップ
事前分析
仮説構築
施策提案
店頭準備
施策の
テスト実施
検証分析
検証対象
商
材
店
舗
検証方法
2014/2/18
ヘアケア(シャンプー,コンディショナー,トリートメントなど)
関東某ドラッグストア
購買データによる売上比較
21
平成25年度修士論文審査会
5.実地検証
ドラッグストアでテスト実施
改善後手法を使って,改めて分析を行い,その結果からマーケティング仮説を立てた.
その仮説を実際にドラッグストアでテストし,検証を行った.
実地検証ステップ
筆者
ドラッグストア
①ヘアケア
データ提供
④施策提案
②事前分析
③仮説構築
⑦データ提供
⑤店頭準備
⑦データ作成
⑥施策実施中
データを収集
⑤店頭準備
⑥施策実施
⑦検証分析
2014/2/18
22
平成25年度修士論文審査会
5.実地検証|ヘアケア売り場事前分析
クラスタリング概要
■分析手法 |非階層クラスタリング(k-means法)
クラスター数の決定には主成分プロットを用いた(※下記)
■使用変数 |最も接触した価格帯,接触商品数,価格帯別接触商品数,
接触ブランド数,接触サブカテゴリ数,テスター使用有無,
用途確定フラグ,悩み確定フラグ
▼主成分プロットによるクラスター数の選定
★今回は4クラスターが妥当であると判断
2014/2/18
23
平成25年度修士論文審査会
5.実地検証|ヘアケア売り場事前分析
クラスタリング結果(プロファイリング)
非階層クラスター分析を使って,ヘアケア売り場でのショッパーをクラスタリング
した.以下にプロファイル結果を示す.
2014/2/18
店内熟孝ショッパー
店頭物色ショッパー①
店内で非常に長時間検討し,全員が購入に至って
いるショッパー群.
悩みも用途もブランドも特に決めず,
ざっくばらんに物色している特殊タイプ.
店頭で5分程度物色し,購買決定を行っている
ショッパー群.
低価格帯商品を中心に,ある程度解決したい悩み
があるうえで商品を探しているタイプ.
店頭物色ショッパー②
指名買いor立ち寄りショッパー
店頭で5分程度物色し,購買決定を行っている
ショッパー群.
中~高価格帯商品を中心に,高機能な商品を探し
ているタイプ.
店頭棚前滞在時間が非常に短く,1~2点の商品
に接触し,すぐに立ち去るショッパー群.
買うものがすでに決まっているか,立ち寄っただ
けで,あまり店頭で購買決定しないタイプ.
24
平成25年度修士論文審査会
5.実地検証|ヘアケア売り場事前分析
クラスタリング結果(プロファイリング)
熟孝ショッパーは購買率がすでに100%であり,とくにアプローチの必要はないが,
その他のショッパーは店頭で必ず買う人ばかりではない.
店内熟孝ショッパー
店頭物色ショッパー①
43人
6人
購買率:100%
購買率:84%
購買率:86%
購買率:77%
28人
店頭物色ショッパー②
2014/2/18
139人
指名買いor立ち寄りショッパー
25
平成25年度修士論文審査会
5.実地検証|ヘアケア売り場事前分析
クラスタリング結果(プロファイリング)
各グループの分布を確認すると,立寄りショッパーは買いたいものがほぼ決まって
おり,すぐに立ち去ってしまうため,アプローチしづらい.したがって,店舗が積
極的にアプローチするべきは,店内物色ショッパー①②であると考える.
600.0
1000.0
棚前滞在時間
500.0
総商品接触時間
800.0
すぐに立ち去る
400.0
600.0
300.0
400.0
200.0
200.0
100.0
0.0
0.0
熟孝
80%
70%
60%
50%
物色①
物色②
80%
用途確定
買いたいものが
ほぼ決まっている
物色①
物色②
立寄り
物色②
立寄り
悩み確定
70%
60%
50%
40%
40%
30%
30%
20%
20%
10%
10%
0%
0%
熟孝
2014/2/18
熟孝
立寄り
物色①
物色②
立寄り
熟孝
物色①
26
平成25年度修士論文審査会
5.実地検証|ヘアケア売り場事前分析
購買要因分析概要
■分析手法 |ロジスティック回帰分析
パラメータ推定には最尤法,変数選択にはステップワイズ法を用いた.
■目的変数 |購買有無
■説明変数 |棚前滞在時間(秒),検討順,商品接触までの時間(秒)
移動距離(横),最も接触した価格帯,接触ブランド数
テスター使用有無,棚の高さ,接触商品数,価格表示の種類
総商品接触時間,POPあり商品への接触有無,
1商品あたりの平均接触時間
※1ショッパー単位ではなく,「1購買行動」単位で集計した集約レコードを使用
2014/2/18
27
平成25年度修士論文審査会
5.実地検証|ヘアケア売り場事前分析
購買要因分析結果
ロジスティック回帰分析による係数表を以下に示す.
分析対象はクラスタリング結果をもとにCLS2およびCLS3に絞っている.
■係数表(CLS2+CLS3)
変数
偏回帰係数
オッズ比
標準誤差
p値
(Intercept)
-1.63
0.20
1.09
0.135
悩み確定フラグ
-1.06
0.35
0.74
0.156
接触商品数
0.35
1.41
0.20
0.082 .
1商品あたりの平均接触時間
0.05
1.05
0.03
0.056 .
価格の大きさ(小サイズ)
-0.23
0.79
0.84
0.781
価格の大きさ(中サイズ)
-1.42
0.24
1.31
0.280
価格の大きさ(大サイズ)
2.61
13.62
0.83
0.002 **
POP(小サイズ)
3.22
25.09
1.01
0.001 **
POP(大サイズ)
-0.06
0.95
1.58
0.972
POP(特設コーナー)
-0.96
0.38
1.49
0.517
AIC: 94.93,n=89
=得られたマーケティング仮説=
仮説① POP広告と大きな価格表示がついた商品の購買率は著しく高まる
仮説② 表示の種類の多様性は購買にあまり影響をもたらさない
2014/2/18
28
平成25年度修士論文審査会
5.実地検証|施策提案
提案したマーケティング施策
テスト施策の方針
方針①
方針②
POPやプライスカードの種類を限定する
店舗側が売り出したい商品に重点的に付与する
(セール品/高機能高価格商品)
プライスカードはこの形式に統一
POP
POP
高価格
高価格
セール
高価格
PC大
POP
セール
セール
PC大
PC大
POPはこの形式に統一
※上記はイメージ.PC=プライスカード
2014/2/18
29
平成25年度修士論文審査会
5.実地検証|店頭準備
実施期間
2014年1月(事前調査1週間/事後調査1週間)
対象カテゴリ ヘアケア
対象商品
店舗側セール品/高価格・高機能商品(複数)
用意するもの 新しいプライスカード,POPを作成する
実施内容
プライスカード,POPを統一し,売上の変化を観察する
■プライスカード,POPは以下の4タイプに限定し,対象商品に付与
通常
プライスカード
その他商品
2014/2/18
セール品
プライスカード
月間特売
プライスカード
店舗セール品
POP+
プライスカード
高機能・高価格
商品
30
平成25年度修士論文審査会
5.実地検証|店頭準備
実施期間
2014年1月(事前調査1週間/事後調査1週間)
対象カテゴリ ヘアケア
対象商品
店舗側セール品/高価格・高機能商品(複数)
用意するもの 新しいプライスカード,POPを作成する
実施内容
プライスカード,POPを統一し,売上の変化を観察する
■実施期間と検証対象
2014.1.11
2014.1.17
1週間
(事前調査)
2014.1.24
1週間
(事後調査)
棚改装日
それぞれの期間の
売り上げを比較して検証
2014/2/18
31
平成25年度修士論文審査会
5.実地検証|施策のテスト実施
テスト実施の様子
左が棚改装前,右が棚改装後の写真である.多様なプライスカードが取り外され,
新しいPOP+プライスカードが高機能高価格商品に付与されている.
【事前調査中】
【事後調査中】
その他
プライスカード
POP
POP+
プライスカード
2014/2/18
32
平成25年度修士論文審査会
5.実地検証|検証分析
検証結果|全体傾向
事前調査と事後調査の購買者数と売上金額を比較してみると,どちらも増加してい
ることが分かった.
2014/2/18
33
平成25年度修士論文審査会
5.実地検証|検証分析
検証結果|特設コーナー内外での比較
特設コーナー内と特設コーナー外に分けて買い上げ点数を集計した.
クロス集計表に対し,フィッシャーの正確確率検定を行った結果,p vlaue = 0.016 <
0.05であり,その差は有意であると認められた.
実施前に比べ特設コーナー内の買上点数が増加していることが分かった.
コーナー別買上点数(実施前)
コーナー別買上点数(実施後)
22
13%
実施前
実施後
173点
210点
163
78%
151
87%
特設コーナー内
2014/2/18
47
22%
特設コーナー外
特設コーナー内
特設コーナー外
34
平成25年度修士論文審査会
5.実地検証|検証分析
検証結果|特設コーナー内の販促別比較
特設コーナー内の商品に着目すると,実施前は何の販促もついてない商品しか買わ
れていなかったが,実施後は,特売のプライスカードがついている商品の買上点数
が急増した.
同じく集計表に対しフィッシャー直接確率検定を行った結果,p value=0.00 < 0.05で
あった.
特設コーナー内施策別買上点数(実施前)
特設コーナー内施策別買上点数(実施後)
0
0%
18
38%
実施前
22点
実施後
47点
29
62%
22
100%
特売PCあり
2014/2/18
セールPCあり
その他PC/POP+PC
いずれもなし
特売PCあり
セールPCあり
その他PC/POP+PC
いずれもなし
35
平成25年度修士論文審査会
5.実地検証|検証分析
検証結果|特設コーナー外の販促別比較
特設コーナー外の商品に注目すると,実施前は特売POPがついている商品が主に購買
されていたが,実施後は,特売品ではなく今回新しくつけたPOP+プライスカードが
ついている商品の買上点数が増えている.
また集計表に対しフィッシャー直接確率検定を行った結果,p value=0.00 < 0.05であっ
た.
特設コーナー外施策別買上点数(実施前)
33
22%
実施前
151点
特設コーナー外施策別買上点数(実施後)
2
1%
2
1%
実施後
3
2%
163点
113
75%
特売PCあり
2014/2/18
セールPCあり
1
1%
14
9%
146
89%
その他POP/POP+PC
いずれもなし
特売PCあり
セールPCあり
その他POP/POP+PC
いずれもなし
36
平成25年度修士論文審査会
6.考察
実地検証の結果から見る本手法の効果
・売り場全体の購買者数,合計売上が増加したことより,手法によって
得られた施策によって,購買者が増え売上がアップしたと考える.
・特設コーナー内と特設コーナー外では,購買傾向が異なる.
コーナー内で販促のついている商品の買上点数が増加したことから,
特設コーナー×絞られた販促による相乗効果があった.
また,コーナー外では今回作成した販促のついた商品の買上点数が従
来のPOPに比べて割合増加し,かつ全体の売上も増加していることか
ら,従来の多様な販促をつけるより,絞られた販促をつけた方が,効
果的に売上を伸ばすことができると考えられる.
・また,従来は特売商品に集中していた売り上げが,その他商品に分散
していることから,ショッパーが価格のみではなく,本来のニーズに
合った商品を的確に購買することができている可能性がある.
2014/2/18
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平成25年度修士論文審査会
7.総括
まとめ
・ショッパー・マーケティングを題材に,一つのデータ活用マーケティ
ングの構築プロセスを示すことができた.
・特に,ビジネス遂行者とデータ分析者が協力し,サイクルを回す実例
と,それによる実地検証まで実施することができたことで,実ビジネ
スに直結するマーケティング手法の構築が実現された.
今後の課題と展望
・詳細な施策の効果検証と,次施策への評価サイクルの実施
・手法構築プロセスの標準化,システム化
・他分野への手法構築プロセスの適用
2014/2/18
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平成25年度修士論文審査会
【補足①】改善項目
妥当性評価(クラスタリング)
評価項目
分
析
精
度
マ
ー
ケ
テ
ィ
ン
グ
有
用
性
2014/2/18
評価結果
プロファイル内容と映
像の一致
×
改善例①
クラスター区分とプロ
ファイル結果への納得
×
(クラスター数決定方法)
×
(指名買いショッパーと立ち
寄りショッパーが未分類)
使いやすさ
理解しやすさ
○
改善策
階層的クラスター分析から
非階層的クラスター分析へ
変更
使用変数の追加
(サブカテゴリ情報,テス
ター利用を追加)
クラスター数の決定ロジッ
クの考案
購買者と非購買者に分けて
プロファイルする
-
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平成25年度修士論文審査会
【補足①】改善項目
妥当性評価(購買要因分析)
評価項目
分
析
精
度
マ
ー
ケ
テ
ィ
ン
グ
有
用
性
2014/2/18
評価結果
改善策
変数を追加し,変数選択の
上でモデルを作成
×
統計的指標による確認
改善例②
使いやすさ
理解しやすさ
×
使用変数の追加
・商品の棚配置情報
・POP情報
・価格表示情報
(マーケティングドライバー
がない)
改善例③
因果関係の納得
×
(複数のカテゴリにわたった
購買行動への対処)
トランザクション集計方法
の見直し
(※購買要因分析のみ)
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平成25年度修士論文審査会
【補足②】実地検証|分析評価
▼特設コーナー内外クロス集計
実施前
実施後
差分
特設コーナー内
22(13%)
47(22%)
25(+10%) *
特設コーナー外
151(87%)
163(78%)
12(-10%) *
173
210
合計
p vlaue=0.01612
37
*:p値<0.05, n.s.:有意差なし
▼特設コーナー内外販促別集計
実施前
特設内
特設外
実施後
差分
特売PCあり
0
29
29
セールPCあり
0
0
0
その他PC/POP+PC
0
0
0
いずれもなし
22
18
-4
特設コーナー内合計
22
47
25
特売PCあり
33
2
-31
セールPCあり
2
1
-1
その他POP/POP+PC
3
14
11
いずれもなし
113
146
33
特設コーナー外合計
151
163
12
173
210
-
合計
p-value = 0.00000
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